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東院地区西北部の調査

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Academic year: 2021

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東院地区西北部の調査

第381次

奈文研紀要 2005

  今回の調査成果

 今回の調査では、4期にわたる遺構変遷を確認した。

各遺構の解釈および周辺の調査成果との整合性について は、さらに詳細な検討が必要であるが、検出した主な遺 構について概説する。

 まず、南側の第292次調査(1999年度)でみつかった総 柱の掘立柱建物SB17800が、当時の所見よりも北に2間 分のび、梁行6間、桁行6間の正方形の平面プランをと ることがわかった。さらに北側に、同規模かそれ以上の

規模の掘立柱建物が並ぶことも明らかとなった。 SB 17800との距離は20尺で、SB17800とSB17810の間隔と同

じであり、柱筋もほぼ通ることから一連の建物と判断さ れる。

 また、今回の調査では、先行する建物を確認した。柱 穴の重複関係から明らかな遺構変遷は、8間以上×2間 の南北棟の側柱建物→3間×2間の東西棟の総柱建物→

8間×4間の東西棟の総柱建物→6間以上×6間の総柱 建物である。これらはいずれも柱同寸法が10尺等間で設 計されている。とくに総柱建物のうち、新しい2時期の ものは、平城宮内でもきわめて大規模な部類に属する。

 これら特異な遺構群の性格を明らかにするには、周辺 地区の従来の調査成果とあわせて、今後検討しなければ ならない。さらに東院地区の中枢部分の発掘調査をすす めることによって、東院地区の全体像を把握する必要が

ある。       (神野 恵)

図139 第381次調査区西半の検出状況(北から)

  調査の概要

 調査は2005年1月5日から開始した。調査面積は1050

「。基本層序は整備による盛土、耕作土、担褐色粘質土 の地山となるが、西半は地山の上に中世以降の土器を含

む遺物包含層が残る。奈良時代の遺構は地山面で検出し た。東側の地山は栓灰色の粘質土であり、西にいくほど 漸移的に裸が多くなる。

 平城宮の東に張り出す東院地区の自然地形は、東側か 北から宇奈多理神社にむかって南にのびる丘陵、西側は

水上池からっづく谷地形である。 1960年代以来、西辺を 中心に発掘調査(第22北・43 ・104 ・128 ・ 270 ・ 292次)が継 続的におこなわれてきた。現在、この谷筋に沿って東院

庭園にむかう宮内道路が整備されている。今回の調査区 は東から西にさがる緩傾斜面に位置し、遺構検出面のレ ベル差が調査区の東西で約1mある。しかし、第128次調 査など西側の調査成果によると、遺構の残存状況は良好

で、この高低差は奈良時代から存在したと考えられる。

  周辺の調査成果

 これまで東院地区については、園池を含む南側の発掘 調査が先行的にすすめられた。その研究成果は2003年に  『平城報告XV』として刊行され、また園池を中心とする  「東院庭園」の復原整備がすでに竣工している。

 文献史料には、奈良時代後半になると「東宮」ないし  「東院」は、儀式や叙位がとりおこなわれた場所とし て、しばしば登場するようになる。しかし、このような 儀礼の舞台となった中枢部分の実態は明らかでないのが 現状である。

 今回の調査区は、南は第292次、西は第128次および第 22次(南)に接する。西側の第128次および第22次(南)の 調査では、雑舎や厨と推定される数多くの建物や大型の 井戸SE9600など、東院に付属する諸施設の存在が明らか

となった。さらに、1999年度の第292次調査では、一連の

大規模な掘立柱建物SB 17800、SB17810、SB 17820が見つ かった。とくにSB17800とSB17810は総柱であり、高床の

構造が考えられることなどから、「楼閣宮殿」と想定され た。今回の調査は、この全容を把握し、西側の遺構群と の関係を明らかにすることを目的とした。

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