研究論文
国民福祉水準向上への寄与
一金融機 関の立場 か ら‑
橋 本 光 恵
目次 は じめ に
1
.検討の前提 としての諸定義2
. 中小企業の位 置付 け3
.中小企業 と金融仲介4.
銀行以外 の中小金融機関5.
「員外貸出」
規制の逸脱6
.主要金融機関の資金量 ・貸出 ・有価証券投資残高7
.健全化 ・効率主義的銀行経営 は、福祉 金融 と両立で きるか8.
時間的資源配分 と しての住宅 ロー ン9.
国民 の生涯生活設計の豊 か さの最大化への銀行の寄与 は じめに本稿 では、主 に 「国民 の生涯生活設計の豊 か さの最大化への銀行の寄与
」
について議論す る。そのために、以下の 二つのテーマ を設定 して検討す る。
(手 「健全化 ・効率 主義的銀行経営 は、福祉金融 と両立で きるか
」
② 「時間的資源配分 と しての住宅 ロー ン
」
従 って、対 象 となる経 済主体 は、(Dの場 合 には、主 に中小 〔零細〕企業であ り、
(彰の場合 には、主 に個 人 (個 人事業者 を含 む) とい うこ とになろ う。
「国民福祉水準 の向 上‑ の寄与
」
とい う課題 と関連 した二つのテーマ を考 えるに 当た って、想起 される前提条件 は、主 に以下の ような もの になろ う。まず、「福祉水準」 とは何 かであるが、「社会福 祉
」 ( Soci a lWe l f ar e)
との関連性国際経営 フ ォー ラムNo.12
が強い とみれば、そ こには国家予算の中の社会福祉費、年金、賃金 あるいは生活水 準全般 、 さらにはその国際比較 な ど、 さまざまな検討 ポ イン トが挙 げ られ る。 その 中で、あるいはその他で、 どの ような点 に課題 を絞 った らいいか を検討 しなければ な らない。
テーマ① は、現銀行法
( 1 99 2
年6
月改正、96
年6
月改正 、等 を経 た)や大蔵省 、 金融庁等 の指向す る銀行経営 の健全性 あるいは銀行経常 のあ り方 としての効率主義と 「福祉 金融」 とは相容 れない ものか、それ とも金融機関側が積極的 に両立 を図 る べ きもの なのか を究明すべ きであろ う。 いわば、官対民 の意識 レベルの問題 に もつ
なが ろ う。
また、その手法 と しては、金融仲介機 関が業 として受 け入れ る資金 〔預 金〕 は、
個 人、個 人事業者 、零細 ・中小 企業 か ら主 に寄せ られて い る。一方、 「銀行離 れ」
志 向が強 くなっている大 口借 り入れ先 (主 に大企業 、中堅企業) との相 関関係 か ら も検討す る要があろ う。 その場合、銀行 に対 しての顧客側 の預貸率 (預金残高 と借 入金残高の比率) は、有力 な指標 となろ う。 さらにいえば、銀行取引の採算 ない し メリッ ト (フ ィー ビジネス を含めた)の計量化 とい うこともあろ う。
「庶民金融」 は比較的低所得 の個 人に対す る小 口金融 と解 されるが 、それ よ りも 対象 ・金額 を大 き くした ものが、 「福祉 金融
」
とい えるのか も知 れ ない。個 人の場 合 には、背景 として、未組織 の個 人 〔家計〕や一部の消費者運動等 を想定す る必要 があ りそ うだ。(参のテーマの万 は、今述べ た 「生活者 としての権利意識
」
的 な ものが背景 にあろう。
生活経済学的思考 によれば、生活者 としての個 人 〔家族〕 は、年齢 ・家族階層 な い しは給与水準 の変化 に応 じて さまざまな消費行動 を行 う。 一 方、生活者である個 人階層 は、銀行 に対 して預 金者 ・借 入人 と して、大 きな利益 を与 えている存在であ る。 その割 には、銀行 は報 いていない。個 人階層 は もっ と報 われて然 るべ きだ、 と い う思考が あ りそ うだ。それが、住宅 ロー ンな どで ライフサ イクルの変化 に対応す る銀行 の施策の充実 ・強化 を求めているのだ、 と考 えるべ きなの だろう。
消費者 ロー ンでは、 日米 ともに乗用車の年代毎の買い換 え行動が似 ている。住宅 ロー ンの場合 は、米国で はモーゲー ジロー ン (住宅抵 当貸付)が発達 してお り、家 族構成の変化 に伴 う住宅の買い換 えが、 日本 よ り自由である。 なお、 ロー ン全体 に ついては、金融機 関の業態別比較 、公的機関 (住宅金融公庫 、東京都 、な ど)の動 向 に も注意 したい。
研究論文●国民福祉水準向上への寄与 以上 は、個別的な検討 に先立 っての包括的な見方であ り、多分 に仮定の要素 も含 まれている。従 って、 これ を一つの 「叩 き台」 として、以下検討 を進めることと し たい。
1
.検討の前提 と しての諸定義 (1)「国民」
あるいは 「国民福祉」 とはここでは、国語辞典的な解釈 を求めている訳 ではな く、国民総生産
( GNP)
とか 国民経済計算 といった場合の 「国民」 を考 えねばな らない。その関連では 「国民概 念」 とい う言葉がある。 これは、国民経済計算上で国内概念 と国民概念 を区別す る ための用語で、前者 は 「国内領域 に結 びつけ られる」概念 を、後者 は 「居住者であ る経済主体 に結 びつ け られ る」
概念 を指 している。
「国民経済計算」 とは、簡単 に いえば、国民経済の集計 システムであ り、その中で 日本銀行が公表す る 「資金循環 (勘定)表」
では、 日本の経 済主体 は、 日本銀行部 門、民 間金融機 関部 門、公的金 融機関部 門、中央 一地方政府部 門、企業部門、個 人部門 と分け られる0しか し、「国民福祉」 とい った場 合、 この ような厳密 な区分 は され るだろ うか。
「国民福祉
」
とい う言葉 自体 は単 なる合成語 と思 われるが、「国民純福祉」 とか 「国 民福祉指標」 な どの用語 はある。 後者の例 で説 明す る と、「 GDP
(国内総生産)の 増加が必ず しも国民福祉の向上 に結 びつかない との反省か ら、新 しく検討 されてい る指標。GDP
か ら環境破壊 、通勤時間、防衛等 の費用 を控 除 し、家計労働 、余暇 等の貨幣評価額 を付 け加 える考 え方」 とあるので、参考 になろ う。(2)「福祉」、「福祉水準」、「福祉金融」 とは
福祉 については さきに述べ たが、福祉国家、福祉社会等の言葉 もあるが、福祉サ ー ビスが具体的である
。
「福祉サ ー ビス」 の対応す る内容 は きわめて多様多次元的 であ り、1人の人間の福祉サー ビスを考 える場合、複合的な構成要素 を持つ ことに なるが、根本的には、「身体面の福祉 (健康)、物 質面の福祉 (豊か さ、最低限度保 障)、精神的 ・心理的な面の福祉 (安 らぎ、精神衛生)な ど」 が要求 される。その延長線上で、「福祉水準
」
もあ り、「豊か さ」
の尺度 に も通ず る ものがある。また、「福祉金融」 も物質面の福祉の一環 として位置づけ られるのだろ う。 ただ し、
それ を提供す る主体が官 なのか民 なのか、それ とも両方であるべ きなのか、一考 を 要する。
国際経営 フ ォ‑ ラムNo.12
(3)庶民金融 と福祉金融 、零細企業 と中小企業
「庶民金融」 とは、金融業界で一定の理解が なされている用語で、古 くは、質屋 、 無尽、 な ど、最近 では、サ ラ金、手形割引業者 、貸金業者、 な ど零細企業 ・個 人な
ど生業 に近 い事業 を対象 とす る金融 であ る
。
「福祉金融」 の方 は、そ うい った イメ ージはないが、 まだ内容 は必ず しも熟 してお らず、老 人 ・母子家庭向けの 「福祉定 期預金」 とか、む しろ制度間題 と しての実質ゼ ロ金利下の低金利 につ なが っている のか もしれない。私見では 「零細企業」 とい う制度的な規定 はな く、一種の感覚的な言い方である と理解 している。 中小企業の 「′
ト ( s ma
ll ,s ma l l e r ,s ma l トs i z e d)
企業」 に相 当 しょ うが 、特 に明確 な区分 は ない。 「中小企業 白書」 で は、「小規模企業」支援対策 、「小企業」等経営改善 とい った項 目もあるが、定義 は見当た らない。
一方 、中小企業の方 は
、9 9
年1 2
月に施行 された 「新 中小企業法」 によって、中小 企業の範囲が改定 され、定義 も明確化 されたので、問題 ない
。 (下記参照)2.
中小企業の位置づ け(1)中層企業の定義変更 とその背景1)
中小企業政策の理念が 、「大企業 との格差 の是正」 か ら 「独立 した中小企業 の多 様 で活力のある成長発展」に転換 したこ とに よ り、中小企業の対象範囲 について も、
従来の 「生産性 、賃金等 で大企業 との格差が存在す る層」 か ら、「企業が積極 的 な 事業活動 を行 う際 に必 要 な各種 の経営資源 を、市場 か ら調達す るこ とが 困難 な層」
を中小企業 として とらえ直す必 要が生 じた。
また、昭和48年 に中小企業の定義 を改定 してか ら26年が経過 し、その間に物価水 準が
3
倍程度 にな り、一企業当た りの資本金額 もおおむね3
倍 か ら5
倍 に増加す る 等 、経済の実態 も大 き く変化 している。 そ こで昨年( 9 9
年)の中小企業基本法の改 正 に当た り、政策理念の変更 と同時 に、中小 企業の定義 も改正 された。具体 的 には、製造業 その他の事業 を営 む企業 については、資本金基準 は
1
億 円以 下か ら3億 円以下 に、卸売業 については、資本金基準が3,000万円以下か ら 1億 円以 下 に、小売業 については、資本金基準が1,000万円以下か ら5,000万 円以下 となった。サ ー ビス業 につ いては、資本 金基準 を1,000万 円以下か ら5,000万 円以下 に引 き上 げ られる とともに、近年情報サ ー ビス業や 人材派遣業 な ど
1
企業 当た りの従業者数 が多い業種が シェア を拡大 してい るこ とを踏 まえ、従業者数の定義 も100人に引 き 上げ られた。研究論文●国民福祉水準向上への寄与
第33ト 2図 中小企 業 の範囲の変更
改正前の中小企業基本法の定義 改正後の中小企業基本法の定義 製造業その他 資本金300人以下1億円以下又 は従業者数 3資本金00人以下3億円以下又 は従業者数 卸 売 業 資本数10金 30人以下千万円以下又 は従業者 資本金100人以下1億円以下又 は従業者数
小 売 業 資本金数50人以下1千万円以下又 は従業者 数5資本金0人以下5千万円以下又 は従業者 サ ー ビ ス 業 資本金 1千万 円以下又 は従業者 資本金 5千万円以下又 は従業者 (注) 中小企業金融公庫法等 においては,政令 により旅館業 は資本金 5千万 円以下又 は
従業者数200人以下, ソフ トウエア業 ・情報処理サー ビス業 は,資本金3億 円以下 又 は従業者数300人以下を中小企業 としている。
(2)中小企業の果 た してい る役割
総務庁 の 「事業所 ・企 業統計調査
」
デー タに よれば、基本法改 正後 の時点 で、中 小企 業 の数 は、約5
百万社 、従 業者 数 (常用雇 用者 の ほか、有給 役 員 、個 人業主 、 無給 の家族従業者 、臨時雇用者 の合計 ) は、41百 万 人強 、雇用 者数 (会社 の常 用雇 用者数 と個 人事 業者 を含 む従業者数 の合計 ) は、32百万 人強 になってい る。また、通産省 ・中小企 業庁 の 「商工業実態基本調 査
」
デー タに よれば、平成10年 にお け るわが 国の製造業 、卸売 業 、小 売 業 の合計 売 上高 は863兆 円であ り、 この う ち、 中小 企 業 は367兆 円 、全体 の43%を占め て い る。 中小 企 業 の定 義 改 正 に よ り、中小企業の売 上 高は合計
9 4
兆円増 加 した。営 業利益 でみ る と、わが国の上記3業種 の営業利益 は合計 は21兆 円であ り、 うち 中小企 業 は10兆 円 と、全体 の46%であ る。 中小 企業が製造 業 、卸売業 、小売業 にお いてわが国の雇用 、販売 の面 でいか に重要 な役割 を果 しているかが分 か ろ う。
3.
中小企業 と金融仲介以下で は、金融仲 介が 中小企業 に対 していか に機 能 してい るか、あ るは機 能 して いないか につ いて、調べ る。 基礎 デー タにつ いては、おお むね中立 的 な立場 にあ る と理 解 され る全 国銀 行協 会 の 『図説 わが 国の銀行
』
同金融 調査部編 、財経 詳報社 、 2000年 に主 に依 った。国際経営 フ ォー ラムNo.12
(1)金融仲介 と銀行機 能
わが国の金融 システムは、 ほほ法 人部 門が資 金不足 、個 人部 門が資 金余剰 の流 れ にあ って、銀行 を中心 と した間接 金融 の形態 を維持 して きた。第一次石油危機 以降 は国債 の 大量発行 に よ り政府が最大 の資 金不足部 門 となった。一方 、大企業 は資本 市場 か らの資金調達‑ とシフ トしてい った。バ ブル期 以 降 は企業 はおおむね資金余 剰 となった。 この間 にあ って、銀行 な どの金融機 関 は資金過不 足の仲 介機 関 と して の役割 を果 して きた。
(2)普通銀 行の業態別預金 ・貸金比率
普通銀行 は、業態 別 には都市銀行 、地方銀行 と第二地方銀行協 会加盟 の地方銀行 (第二地銀協 地銀 、 もと相互銀行 で、略 して第二地銀) に、三大別 され る。
都市銀行 の貸 出先 には、大企 業が 多 く、預 金面 で も法 人預 金 の ウエ イ トが高 かか ったが、近年 は大企業 ・製造業 を中心 と した借 入資 金需 要の減退 か ら、 中小企業 や 個 人向け貸 出の ウエ イ トが急速 に高 まってい る。
一方 、地方銀行 は地場 産業 向 け金融が 中心 で、貸 出先 には地元 の中小企業が 多 く、
また預 金面 で も地元企業 、個 人預 金の ウエ イ トが高 い。第二地銀 は、地方銀行 同様 、 地元 中小企業 、個 人 を主 な基盤 と してい る。
もちろん、個 人預 金や個 人向 け貸 出は、信託銀行 や長期信用銀行 、信用金庫 や信 用組 合 な どの他 の金融機 関、 さ らには郵便局 な どに分布 してお り、下記 の図がすべ ての数字 を表 してい る訳 で はない。
業態別 一預金 の個 人 ・法 人比率 (1999年 9月末)
都市銀行
地方銀行
第二地銀 協 地銀
∵
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 1( 二 船
田 個人預金 [コ法人預金 E2]その他
%
研究論文●国民福祉水準向上への寄与 業態別 一貸 出の貸 出先別比率 (1999年9月末)
都市銀行
地方銀行
第二地銀 協地銀
= = = = = 「 コ
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 国 個人 [コ 中小企業
匡ヨ中小企業以外の企業
■ 地方公共団体,その他
(資料) 日本銀行 「金融経済統計月報」
%
4 .銀行以外の中小企業金融機関
協 同組合組織 金融機 関一信用 金庫 、信用組合
わが国では、 中小企 業金融 を円滑 にす るため に、各種 の金融機 関が設立 されてお り、民 間金融機 関 と しては、協 同組合組織 金融機 関であ る信 用 金庫 、信用組合が そ の役割 を担 っている。
信 用 金庫 は、「信 用金庫 法
」
に基づ く会員組織 の金融機 関 であ り、営 業 区域 は定 款 で定 め られた範 囲 とされ てい る。 また、貸 出 も原則 と して会員であ る中小 企業 と 個 人 に限 られ ているが、預 金 は一般 か ら受 け入れ る こ とが で き、 ここが信用組合 と の最大の差 といえる。一方 、信 用組 合 は、「中小 企 業等協 同組 合法
」
お よび 「協 同組合 に よる金融事 業 に関す る法律」
に基づ く会員組織 の金融機 関であ る。 信 用組合 は信用金庫 よ りも協 同組合的色彩 が強 く、一定地域 内 を基盤 とす る地域信用組合 、特定 業種 を基盤 とす る業域信用組合 、特定職場 を基盤 とす る職域信用組合 の3
種類 があ る。また、貸 出、預 金 ともその対象が、原則 と して組合員であ る中小企業や個 人 に限 られてい る。
「員外 貸 出」 につ いて は、信 用 金庫 の場 合 は、「会員以外 の者 の利用 は、貸 出総 額の20%まで」、信用組合の場 合 は、「組 合員以外 の者 の利用 は貸 出総額の20%まで
」
との制 限が課 されてい る。 問題 は、後 で述べ る よ うに、 この制 限が監督不十分 の た
国際経営 フ ォー ラムNo.12
めに しば しば守 られなかったことにある。
このほか、中小企業金融機関 としては、中小企業 によって組織 された組合 に対す る金融の円滑化 を図るため 「商工組合中央金庫法
」
に基づいて設立 された商工組合 中央金庫がある。 商工 中金 には政府が出資 してお り、 また発行す る金融債の一部が 財政投融資資金で引 き受 け られるなど、政府の関与が強い機関である。以上の中小企業金融機 関 とは性格が異 なるが、「労働金庫法」 に基づ いて設立 さ れている労働金庫 は、労働者の団体 を中心 とす る協 同組織 の金融機関であ り、労働 者の生活向上 を図るために必要 な金融事業 を行 っている。 なお、労働 金庫 も員外貸 出 として 「会員以外の者の利用は貸出総額の20%まで」 とい う制限がある。
政府系金融機関 には、 さらに国民金融公庫がある。 戦前か らの庶民金庫お よび恩 給金庫の業務 を継承 して昭和
2 4
年 に設立 された政府金融機関で、一般の金融機関か ら融資 を受 けることが困難 な零細企業や国民大衆 に対 し小[」の事業資金の貸付 を行 うことを目的 としている。99年10月、環境衛生金融公庫 と統合 して国民生活金融公 庫へ と衣替 え した。中小企業信用公庫 は、中小企業の事業振興 に必要 な設備資金や長期運転資金の融 資 を行 うことを目的 とす る政府金融機関で、昭和28年 に設立 された0
金融機 関別中小企業等向 け貸出金額 ・シェアの推移
(単位 :億円.()内は%)
年 月 国内銀行 都市銀行 地方銀行
地 第
銀二 業金棟中′ト企関融 信& 用 借* & %欄 公庫等 商中 金 公 庫 公 庫工 国 民 中 小 合 計93. 394. 3
95. 396. 397. 3 2.790,695 1.282.226 821,420 396.703 780.633 604.021 176,612 281,229 115,906 80.920 84.403 3.852.557 (72.4) (33.3) (21.3) (10.3) (20.3ー (15.7) (4.6) (7.3) (3.0) (2.I) (2.2) (100.0)
3,282,992 1.555,490 955.618 449,550 847,515 661.369 186.146 299.432 118,066 89,011 92.355 4,429,939 (74.1) (35.1) (21.6) (10.1) (19.1) (14.9) (4.2) (6.8) (2.7) (2.0) (2.1) (loo.0) 3.310.416 1.540,365 974.760 460.129 869.732 679,157 190.575 298,661 117,432 92,295 88,934 4.478.809 (73.9) (34.4) (21.8) (10.3) (19.4) (15.2) (4.3) (6.7) (2.6) (2.1) (2.0)
( 1
00.0)3,382.103 1,555.125 1,011.722 467,972 885,625 698,982 186.643 284,282 116,188 90.200 77.894 4.552.010 (74.3) (34.2) (22.2) (10.3ー (19.5) (15.4) (4.1) (6.2) (2.6) (2.0) (I.7)
( 1
00.0)3.394,793 1,555,478 1.016.278 465.982 874,735 702,014 172,721 275.243 113.7
0
0 89.056 72.487 4,544,771(資料) 全国信用金庫協 会 「信用金庫」 よ り作成
研究論文●国民福祉水準向上への寄与
5.
「員外貸 出」
規制 の逸脱問題 は、 さきに指摘 した 「員外貸出」 の制限 につ いてである。 信用金庫 につ いて は、「会員以外 の者の利用 は貸出総額 の20%まで」、信用組合 につ いては、「組合員 以外 の者の利用 は貸出総額の20%まで
」
とされ ている。9 0
年代 に入ってバ ブルが崩壊 し、9 6
年 には住 宅金融専 門会社 (住専)への融資が 回収不 能 とな り、その第一一次損 失処理 に当 た って、6, 85 0
億 円の税 金 を投 入 した。9 0
年3
月、大蔵省が 「土地関連融資の抑 制 につ いて」
の通達 を出 し、総量規制 (不 動産業 、建設業、 ノンバ ンクの三業種規制) をかけたが、全国信連協会 (信連、信 用農業協 同組 合連合会)は 「三業種規制」の対象外 で、土地関連融資規制 は 「尻抜 け」
となった。その結果、農協系金融機関の土地融資 は急増 し、後 に農協 (農業協 同組合)の救済へ の途 を開いたのである。 信連傘下 には、個別の農業協 同組合 (農 協 )があ り、組 合員外 に も 「組合員 の事業の利用分量額の5
分の 1以内でその施設を利用 させ ることがで きる
」
とされている。既 に
、8 0
年1
0月1 6
日の大蔵省 ・農水省通達 で、信 連の住専向け融資 を 「銀行 その 他 の金融機関 に対す る貸付」 と し、信連の員外融資規制 (農協 の組合員以外へ の融 資 は、組合員 に対す る融資 の20%以下 とす る とい う規制)の対象外 と している。 こ の8 0
年通達の背景 には、農家の兼業化 、土地売買代金等 の収入増 な どに よ り、農協 自体が余裕資金の運用先 を求めた ことがあ る。 また、7 9
年 に農協 系金融機関 を母体 と して8
番 目 (最後)の住 専である 「協 同住宅 ロー ン」
を発足 させ た こともある。農協 の住専融資 は 「当局公認」 とはいえ、末野興産 な どの商業用 ビルの開発 ・運 転資金の貸付 な ど、「住宅 の取得 に必 要 な もの」 とい う通達 に違反す る事例 も多か った。2) よ り具体 的 には、平成
6
年 に表面化 した東京都 の二信組問鴇 (東京協和信 用組 合、安全 (!
)信用組合の破綻 ) に して も、員外貸出の監督不十分 に一半 の責 任があ った といわれ る。 当時、信用組合の監督機 関は原則 と して都道府県知事 であったが、2000年4月か らは金融監督庁 (硯金融庁 ) に移管 された。
95年春の東京都労働経済局発表 による と、信 用組合の員外預金 は総預金額の20%
を超 えてはな らない とい う規制があ るが、都内の信用組合の うち、 この規制 に違反 してい る ところは
6 3 . 6%
に達 していた. また、同一人 に対す る貸出 と保証 の合計額 が、広義 自己資本の20%相 当額 と8億 円のいずれか低 い方 を上回ってほな らない と い う大 ロ融資規制が あ るが 、 この規制 に違 反 していた都 内信用組合 は49%であ っ た3)と、い う。国際経営 フ ォー ラムNo.12
これ を もとに全国ベ ースで推測す る と、員外預 金の割合は約45% に (員外預 金規 制 に よれば20% を超 えて はな らない)、融資 限度額 8億 円以上が20.6%に及 んでい る。 つ ま り、信用組合のルール違反 は常態化 してい るのである。 信用金庫業界 には
「モ ラルな し」 とい うのか。 まさに、「ルールあ って無 きが ごとし」 の惨状 である。
6. 主要金融機関の資金量 ・貸出 ・有価証券投資残高
わが国の金融機関の資金量の総計 は、99年 8月末現在で、政府系金融機関 を含め 金融機 関別 資金量 ・貸出 ・有価証券投資残高
(1999年8月末現在、国内店ベース)
(単位 :健 円,% )
金触横 間種 別 株 関数金 融 残預 高金 構成比等 (系扶掛ナ残 高金) 残貸 高 出成 残有 価 証 券高 構成比
国 内 銀 行 170 5,560,億円587 46%.6 億円 4.651億円,532 58%.7 I.358.使円348 42%.5 都 市 銀 行 9 2.481,493 20.8 2.l30,763 26.9 564.192 17.7 地 方 銀 行 64 1,734.191 14.5 1.335.186 16,8 380,365 ll.9 地 方 銀 行 n 60 612,589 5.1 512,723 6,5 109,649 3.4 信 託 銀 行 34 298,622 2.5 303,163 3.8 190.931 6.0
長 期 信 用 銀 行 31 433,686 3.6 369,696 4.7 113,209 3.5 信託 (専 業34,兼営20) I.476.064 12.4 169,621 2.1 1.138.678 35.7
全 国 信 用 金 庫 連 合 会 165,482 8.9 60,728 0.8 92,623 2.9 信 用 金 津 395 1,024,008 126.846 700,764 8.8 198,549 6.2 商 工 組 合 中 央 金 庫 1 129.451 1.1 111.560 1.4 21,422 0.7 全国信用協同組合連合会 1 32,075 1.7 16.726 0.2 4,915 0.2
信 用 組 合 (7月 ) 316 199.665 32309,6.2,582274777 148,419 1.9 24,713 0.8
労 働 金 庫 連 合 会 1 30,295巨 91020.71..050 1.353 0.0 24,456 0.8 労 働 金 津 41 112,383 70,971 0,9 14,893 0.5 農 林 中 央 金 庫 1 387.592 183.085 2.3 151,656 4.7 信用農業協同搬合連合会 47 490.689 64,119 0.8 115.985 3.6 借用漁業協同組合連合会 35 22,863 12,555 8,558 0.1 2,250 0.1 農業協 同組 合 (7月) 1,579 698,647 448,808 219,051 2.8 44,218 1.4
漁業協 同範 合 (6月) 941 14,634 12,072 6,035 0.13,192,294584 0.0 郵 便 貯 金 (速 報 ) 1 212.,95618.3.714805 100.0 改 称 系 金 融 横 関 ll ‑ 1,513.764 19.1
合 計 3,541 968.932 7,926,286 100.0
資 金 運 用 部 44 4,383,945 3.334,139 1,039.497 柿 易 保 険 1,128
,
40 0 ‑
299.412 613.618 ‑ 生 命 保 険 (7月 ) 18,758,761 570,loo 1,021.882(注) 政府系 金敵 横 関 (】1)は,99年10月の 日本 政策投 資銀行 ,国際協 力銀行設 立以前 の計 数O (資料) 日本銀行 「金融樫 済統 計 月報」 な どか ら作 成o
研 究論 文● 国民福祉水準向上へ の寄 与
て
1 , 2 91
兆 円 に達 している。 これ を業態別 にみ る と、国内銀行 が5 5 6
兆 円で全体 の4 6 . 6%
と大 きなシェアを占めている。その他 、中小企業金融機関が1 5 5
兆円 (全体 の1 1 . 7 %
)、農林漁業金融機関が1 2 2
兆円 (同7 . 0%)
、郵便貯金は2 5 6
兆円 (同2 1 . 5%)
となっている。
次 に、貸出残高 をみ る と
、9 9
年8
月末現在、7 9 2
兆円 に達 している。 これ を業態 別 にみ る と、国内銀行が4 6 5
兆円、全体の5 8 . 7 %
とい う大 きなシェアを占めている。 この他 、中小金融機関が全体の1 3 . 1 %
を、農林漁業金融機関が同6 .
1%の シェアを占 めている。 ‑方 、政府系金融機関 は1 5 1
兆円 と全体 の1 9 . 1
0/Oに達す る。有価証券投 資残高 は、31 9
兆円 に達 してお り、国内銀行が全体 の4 2 . 5%
と大 きな シェアを占め ている。7.
健 全 化 ・効 率 主 義 的 銀 行経 営 は 、福 祉 金 融 と両 立 で き る か (1)銀行経営の基本原則私的企業経営の基本的理念は収益の追求 にあ るが 、銀行 な どの金融機関は、その 特殊性 か らそれに加 えて社会的 ・公共的な責任 を果たす ことが、一般 の企業以上 に 要請 されている。
この ことは銀行法
( 9 3
年4
月施行)第 ュ条 (目的) において、法の基本理念 とし て第 1項で 「この法律 は、銀行の業務の公共性 にかんがみ、信用 を維持 し、預金者 等の保護 を確保する とともに、金融の円滑 を図るため、銀行の業務の健全かつ適切 な運営 を期 し、 もって国民経済の健全 な発展 に資す ることを目的 とす る」
とされ、また第
2
項では 「この法律の運用 に当たっては、銀行 の業務の運営 についての 自主 的な努力 を尊重す るよう配慮 しなければな らない」 とされていることで も明 らかで ある。以上の ような金融機関の特殊性 か ら くる銀行の経営理念 としては、公共性。健全 性 、収益性 の3っの点があげ られるが、 これ らについては一 々多言 を要 しないであ ろ う。 設問は、健 全化 (健全性 ) と効率主義 (収益性) を前提 としている。収益性 を追求するあ ま り、公共性や健全性 を軽視す ることは許 されない。 したが って、収 益 を高めるためには、経営の合理化 、効率化が強 く要請 されることになる。
それ故 に、上の説明で効率主義 を収益性 に置 き換 えたのである。 となる と設問の
「福祉金融
」
とは、銀行の公 共性 につながる ものである といえる。国際経営 フ ォー ラムNo.12
(2)福祉 金融 と銀 行 の収益性
①福祉金融 とはなにか
銀行経 営 の基本原則 か らは、国民経 済全体 を考 えた上 で 、個 人や企業 の応 じた金 融 サ ー ビスの提 供 、 産業構 造 の変化 、消 費 者 金融市場 の拡 大等 、金融 自由化 の進展 な どに も関連 して 、資 金 の適 正 かつ効 率 的配 分 とい う観点 か ら も、 「公 共性」とい
えて くる。
「福 祉 金融
」
につ いて は、有 力 な定義 は兄 い だ し得 なか ったが 、議論 の流 れか ら も、 「国民 の福 祉 に貢献 す る 〔で きる〕 金融」と理解 して 間違 い なか ろ う。 そ こで は、私 企業 と して の利 益 追 求 (収益性 、安 全性 ) と福 祉 金融 とい う思 考 (公 共性 ) をい か に調 和 させ るのか、 あ るい は両 立 させ るのかが 問 われ る こ とになる。② わが国の銀行の収益構造
世 間で は、 「銀 行 は儲 け過 ぎだ」とか 、「ゼ ロ金利 政 策 は銀行 を助 け る もの だ」あ るい は 「銀行 員 の給 料 は高す ぎる」とい った こ とが 、 よ くい われ る。 果 してそ うな のか。 金融機 関の経 営指 標 と して は、従 来 は 「業務純益」を重視 してい た。全 国銀 行協 会の デ ィス クロー ジ ャー誌41で は、下記 の
図
を揚 げてい る.業務純益の計芹方法
資金運用収支 (預金、貸出金、有価証券などの利息収支) 役務取引等収支 (各種手数料などの収支)
特定取引収支 (金利等の短期的な変動などを利用 して得た収支) その他業務収支 (債券や外国為替などの売買損益)
①②⑧④
業 務 粗 利 益 (① + ㊨ + ⑧ + ㊨ ) ⑥ 一般貸倒引当金繰入額
経費 (臨時的経費を除 く) 債券責 (債券発行銀行の場合)
業 務 純 益 (㊨ ‑ ⑧ ‑ ⑦ ‑ ⑧ )
世 間で は、 「業 務 純 益」の絶 対 額 を見 て、 欧 米等 との比 較 もせ ず に 「儲 け過 ぎ」 だ とか い う。 これが
、9 2
年 に導 入 され たBI S
規 制 に よ り量 的拡 大 が 困難 とな り、規模 の拡 大 か ら収益 の確保 を経営 目標 (量 か ら質の経営 )‑転換 せ ざる を得 な くな って
、ROA
(総 資 産収 益 率 あ るい は株 主資 本利 益 率) あ るい はROE
(自己資本利研究論文●国民福祉水準向上への寄与 益率あ るいは株主資本利益率)が重視 される ようになったのであ る。
ROE
については、本年6
月3 0
日の業界紙 「ニ ッキ ン」
に下の図がでている。日欧米の ROE 比較
三 キロ
8. 3
大 手ロ 6. 1
東 京 ≡三乗
4. 7
住 友
4. 6
節 ‑ 勧 銀
3. 7
む期
豊
艶㈲
3. 7 3. 7 3. 5 2. 7
HSBC
チ ェ ‑ ス マ ン ノヽツタ ン シ テ ィコ ‑ フ'
ナ ットウ エ ス ト
JP
モ ノレカ ンウ エ )レズ フ ァー =r ノヾン クオ フ●ア メ リカ BN P
ドイ ツ ノヾン ク
21. 81 19. 89 19. 42 18. 77 17. 05 16. 38 15. l∫ l 10. 09
9. 95
% 、当 期 不U益 ペ ー ス。事拓銀 は
2000
年、連 轟音ペ ー ス 。タt銀 は
99
年12
月 期 。欧米主要銀行 と比べ 、 日本 の銀行 の
ROE
(株 主資本利益率)格差 が 目立つ。 こ の要因 は資 金運用利鞘 の差 で、米銀 で は4‑ 5%
あ るの に対 して 、 日本 の銀行 は1%
程度 であるためだ。 また、 フ ィー ビジネス も5 0
対2 0
位 に少 ない。5)③資金運用収支 と利鞘
「利鞘」 (りぎゃ) とは、資金運用金利 と資 金調達 金利 (例 えば、貸 出金利 と預 金金利)の差 をい う. 前 に述べ た銀行 デ ィスクロー ジャー誌では、
●1 0 0
万円 を預金金利3%
で預 か り、貸出金利4%
で貸 し出 した場 合 利益4%‑3%‑ 1%
利益1 0
()万円× 1%‑
1万円と利鞘の説明 を している。 最近 までの実績 での利鞘 (金利差) は、次 の通 り。6)
直近 の事例 で見 る と
、9 9
年1 2
月の国内銀行 の貸 出約定平均 金利 は、2. 1 0 0%
(痩 期 は1 . 7 65%
、長期 は2. 382%)
であ り、公定 歩合 を0. 5%
に引 き下げた95
年 当時 の2. 7 8 8%
(短期2. 2 31
%、長期3. 2 4 9%)
に比べ る と、大分下が っている。一方、預金金利の方 は、定期預金 (自由金利分新規受 入ベ ース、期 間
6
カ月以上1
年未満 、預 入金額3
百万 円未満 ) を基準 と して見 る と、99
年1 2
月で0. 11 3%
と、95
年 の0. 900%
に比 べ 預 金 者 に大 幅 に不 利 に な って い る。 す なわ ち。0. 900%
‑0. 1 1 30 / .ニー0. 7 8 7%
である。 (資料 ‑ 日銀 「金融経 済統計 月報」、 平成1 2
年4
月)利 鞘 (金利 差 ) で は
95
年 の貸 金 金利( 2. 7 880 / o)
‑預 金 金 利( 0. 900%)
‑利 鞘( 1 . 888
%) か ら、99
年1 2
月の 貸 金 金 利( 2. 1 00%
)一預 金 金 利( 0. 11 3
1)‑利 鞘( 1 . 9 87%
)へ と、0. 09 9%
利鞘 は僅 か に拡 大 してい るが、「銀行 を助 けている」 とい国際経営 フ ォー ラムNo.12
図
5‑1
銀行貸出金利 ・預金 ・金利差の推移 (%)9 8 7 6 5 4
3 2
1
0
1
991
.1 92.1 94.1 96.I (資料) 日本銀行 r経済統計年報J r経済統計月報Jわれる程の ものではない。
以上か ら見 る と、銀行の利鞘 は欧米比かな り低位 にはあるが、その中で も 「顧客 によ り報 いる途 を探 さねばな らない」 とい うのが、金融機関 としての公共性の原則 に基づ く責務 と言 うことになろ う。 では、 どういった階層 に、 どの ような方法で報 いればいいのか、これが次 のテーマ となろう。ただ し、計数的 には現状の異常 な預 貸金金利水準が正常化 された時点で、一定の見直 しが必要 となろう。
(郭福祉金融の対象 となるべき階層
小論 「個 人 ・中小企業 と金融仲介」7)で、取引先各階層 の銀行 における預金 ・貸 金状況の把握 に努めた。 これは、マス として どの階層が どの ように銀行 に報いてい るか、その順位 を探 った ものである。 その結果 は、当然、福祉金融の対象 となるべ
き階層 を特定す ることにつながるであろう。
国内銀行 (全銀行が対象)の預金業務 を預金主体 によ り区別す る と、個人が預 け た もの を個 人預金、金融機関 を除 く一般法人が預 けた もの を一般法 人預金、金融機 関が預 けた もの を金融機関預金、政府 (国 ・地方 自治体)が預 けた ものを公金預金
研究論文●国民福祉水準向 上への寄与 とい う。 そのほか、非居住者が預 けた非居住者預金がある。
このデー タは、 日本銀行 の 「金融経済統計 月報」か ら得 られるのであるが、悪い こ とに、統計上 の欠陥 によ り、「個 人
」
には 「個 人事業者」
を含 んでお り、将来統 計形態 を変 えない限 り、純粋 の 「個 人」の計数 は得 られないないのである。 一方 、 個 人事 業者の計 数 もないので、逆算 して 「個 人」 の計数 を得 ることもで きない。同 じように、一般法人か ら中小企業 を分離 ・区分す ることも不可能である。なお、
貸出金 については、中小企 業基本法の改正 に よる と思 われ るが、中小企業への貸 出 金が平成11年4月か ら表示 されることになった。
今 得 られ る 「預 金者別預 金残 高」 を示 す と、以下 の ようになる。 (弊論 文 『個 人 ・中小企業 と金融仲介 (前)』 表
3
参照)預金音別預金残高 (98年度末 、国内銀行ベ ース)
FTt包 含 .汁 ‑ 椴 は.人 例 人 公 金 帝 金 1線 織 rq
柁
ql一兆 710 462.50 1′H.09 277.78 23.82 16.81これ を 「銀行預金 ・銀行貸金の中に占める個 人の比率
」
で見れば、次 の通 り。単位 :兆円 98年度末 銀行預金 ・銀行貸金の中に占め る個 人の比率
す なわち、階層 と しての個 人 (個人事業者 を含 む) については預金過 多 (預貸率 100%超)、法 人 については貸金過 多 (預貸率100%未満) とい う一般 的銀行取 引傾 向が うかが えるのである。個 人か らは多額の預金 を受 け入れることによって、銀行 は個 人客層 か ら、いわば、恩 を受 けているのであ る. (弊論文、63ペー ジ参照)
一方、中小企 業 については どうだろ うか。既 に中小企業の貸出先 と しての重要性 は明 らかである。 弊論文60ペ ージで も中小企業 に対 す る貸出残高の推移 を、時系列 的 に示 しておいた。 (次葉)
国際経営 フ ォー ラム
No . 1 2
年
8 0 8 5 8 8 9 0 9 2 9 4 9 6 9 8
% 41 . 4 4 6 . 3 5 3 . 1 5 7 . 1 5 7 . 6 5 8 . 6 5 7 . 2 5 4 . 5
大企業 と中小企業の財務構成 を比較 してみる と、次の ような結果が得 られる。 大企業 ・中小企業の財務構成
( 1 9 9 8
年度)〔資 産〕
中′ト企業 大企業
繰 延資産 0.3
(注) 中小企業 ‑資本金
1
億円未満,大企業 ‑資本金1
億円以上 (資料) 大蔵省 「法人企業統計年報」(注) 中小企業基本法 は
,9 9
年1 2
月に改正 ・施行 され,中小企業の定義が資本 金1
億円か ら3
億円に引 き上げ られたが,
上記の計数は改正前の中小企 業の定義によっている。「現金 ・預 金」資産 は、大企業が全体 の
7 . 6%
であるの に対 して、中小企業のそ れは1 3 . 5%
と、ほぼ倍 に近い。その理 由は、中小企業が大企業 に比べ て信用力が低 く、手元流動性 を手厚 くしておかなければな らないか ら、である と言われる。従 っ て、中小企業 は、平均 してい えば、B/S
資 産残高の1 3 . 5%
が現金 ・預金 (2
つの 区分 けはで きないが)である とい える. また、‑‑‑般法 人の預貸率である3 6 . 6 5%
よりも高い (た とえば少な くとも
4 0%
以上の)預貸率であると推定で きる。これは、かな り大 きな数字である、 と言 え よう。従 って、「中小企業の金融的位
研究論 文●国民福祉水準向上への寄与 置付 けは、銀行 に とって、預金面か らも高 く評価すべ きである
」
との答 えが導 き出 せ るのである。 (弊論文、67‑6 8
ペー ジ参照)上記説明か ら、「預貸率Jの面か ら、銀行が重視すへ き階層 は、次 の順 になる。 (ヨ個 人階層 ・ ・預貸率
40 4. 81%
② 中小企業 ・・・預貸率
40%
以上 (推定)③ 一般法 人 ・・・預貸率
36. 85%
④顧客にどのような方法で報いればいいのか。
銀行が進めている顧客優遇策で、特 に金銭的 な優遇 (預金金利 の上乗せ 、貸金金 利の優遇)が 、 どの ように行 われているか を、今後の対策の一環 と して、見てみ よ
う 。
(1) 預金金利 の上乗せ
預金金利 の 自由化の中で、唯一残 されてい るのが、「当座預金金利の 自由化」
であ る。 「当座預 金の付利 禁止」 を残 してい る理 由は当局 に聞 くしか ない。米 国で は、預 金金融機 関 に小切手振 り出 し制 限の ない スーパ ー
NOW
預 金 口座 、 証券会社 にMMF(投資信託 で決済機能 を持 つ)が認め られている。新設の オ リックス信託銀行 は、
7
月か らセ ゾ ンカー ド会員 に新 たなサー ビス を開始 した。す なわち、月間平均 残高が3 0
万 円以 上あれば、セ ゾ ンカー ドの利 用額 に応 じて、金利が上乗せ され る 「優遇金利付 き普通預 金」をス ター トした。現在、通常 の普通預 金の金利 は
0. 05%
であ るが 、口座 を開設 した初回預 入月 と 翌 月 につ いては、金利 が0. 2%
とな り、 と くに、7
月・8
月中 にH座 を開設 し た人はキ ャンペー ンで0. 5%
が適用 される。以降はセ ゾ ンカー ドの利用額で金利が上が り、月
1
0万円超の カー ド利用があ れば最大1%
の金利が適用 される。また、先 日合併 した中央三井信託銀行 は、夏の ステ ップア ップキ ャンペ ー ン とい うことで
、6
月1
日か ら8
月21
日まで、期 間中、スーパ ー定期 (2
年以上、通常 金利
0. 1 2%)
に20
万円以上入金 した個 人客 に、2
年以 上5
年末満の場 合 、 金利 を年0. 2%
プラス、5
年以上の場合 に金利年0. 3%
プラスと、金利上乗せ を 宣伝 している。一方、先 日三行提携 か ら下 りた、あ さひ銀行 の場合 は、盛 んに リテールバ ン キ ングキ ャンペ ー ンを打 っているが、金利上乗せ の ような具体策 は示 されてい ない ようだ。
国際経営 フォー ラムNo.12
(2) 貸金金利の優遇
都市銀行 の中小企業 向け融資対策 と して、「小 口 ビジネス ロー ン」が、最近 注 目を浴 びてい る。 その特徴 は、「短期 ・無担保」 とい う点 にあ る ようだ。 こ れは、金融庁が要求す る銀行貸出金の 自己査定 の推進 、技法 としての 自動審査
システム、企業格付 け とも関連 している。
中小企業 に対す る融資 は、重要預金層対策 として必要であ るが、福祉金融 と い う立場 か らは、小 口 ビジネス ロー ン対 象先 は中で も重 要である。 その点 で、
都市銀行 の事例 として、次の三和銀行の事例 を見ていただ こう。
「三和銀行 は、中小企業の商売繁盛 を応援 してい ます」 として、「審査迅速
」
(原則
3
日以 内)、「新規万来」 (新規 の方 もOK)
、「担保不要」 (代表者の保証 だけで可) とうたっている。 詳細 は 下記 の通 り。気軽 に相談 で きる中小企業の運転資金融資‑ 三和 ビジネスロー ン
○最高
1 0 0 0
万 円 まで ご融資可能( 1 0 0
万 円以上1 0 0
万円単位)ただ し、最近決算 の平均 月商の範囲内。 ご融資期 間は
1
年。毎 月末 日元金均 等返済 (12回返済)〇年 9%の固定金利
上記利率 は平成
1 2
年7
月1
0日現在の適用利率 です。取組時の適用金利 は金融 情勢 によ り変動す るこ とがあ ります。○電話 ・インターネ ッ トでの 申込書の ご請求
申込みか ら審査結果 回答 まではご来店の必要があ りませ ん。
<お 申込みいただける万 >下記事項のすべ て に該当す る企業
業歴3年以上 の営利法 人 (確定 した決算書 を3期分 ご提 出可能 な企業)。最 近決算売上が
5 0 0 0
万円以上かつ債務超過 で ない企 業。 同一事業 を同一場所 で1
年以上営 んでいる企業。三和銀行 にて本 ロー ン以外 の融資 ・与信取引のない企 業。これ らの条件 は、都市 銀行 の小 目 ビジネス ロー ンの平均 的形態 とい える。
<お 申 し込みいただける万 >の条件 は、明示 されていて大変良い。 この ロー ン は主 に新規先 を想定 している ようである。 あるいは、従来預 金口座 しかなかっ た取引先である。 この条件明示 によ り、 申 し込み希望者 は、事前 に融資可否の 自己審査 がで きるので、無用の手間や トラブルが回避 で きる。 た とえば、税務