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(1)

鈴 木 芳 雄

資 本 化 と現 在 価 値

( 論 説)

目次 (1)開題

(2)二様 の 「資本化 」概 念 (3)現在価値概 念 の先行者

(4)JohnBurrWilliams,TheTheoryofInvestmentValue.(1938) (5)むす び

(1)開題

「現 在 価 値 (presentvalue,presentwor也)」 とい う考 え方 が い つ 登 場 した か, これ が小 論 の課 題 で あ るO結 論 を先 取 り してい うな ら, それ は ア メ リカで1938年, ジ ョン ・バ ー ・ウィ リア ム ズ UohnBurr Williams)に よって発見 され,計算 式 が明 らか にな った。

この1930年 代 とい うの は, ア メ リカの証 券 市場 に とって,特 殊 な時期 で あ ったo それ は,一 方 で は 1929年 の世界 恐慌 を経験 した, とい う特殊性 が あ るが,他 方 それ と同時 に世界 恐慌 に先行 す る時期 にお い て株 式市場 は未曾 有 の活況 を見 たので あ って, その 中か ら,景気判 断 を ど うや って わが もの とす るか, 投 資判 断 について の基 準 を何 とすべ きか, そ うした一連 の検討 が急速 に進展 した時期 で もあ った。 この著 書 が刊行 された1938年 とい うのは, まさにGreatDepressionの最 中であ り,worstbearmarketも終 わ り

に近 い時期 に当た ってい たので あ る。

例 えば,後 に参 照 す る,Barron'Sとい う投 資週 刊 誌 (nleNationalFinancialWeeklyとい う副 題 を も つ) は,1921年 の創刊 で あ る。 また,そ もそ もダウ平均 な る ものは,CharlesH.Dowに よって考案 され, 彼 の死 後, ウォ ール ・ス トリー ト ・ジ ャーナル の編 集 者 で あ った,WilliamH血 lton (Cf.W皿am Peter Ham ilton,TheStockMarketBarometer,1922,HarperandBrothels.)に よ.,て完成 された もので あ るが,当 初 は景気予測 の手 法 として開発 され た もので あ った。1884年 (11銘柄),1897年 (工業株12種 平均 な ら びに鉄道株20種平均) と発展 し,1928年 に工業株30種平均,1929年 に公益事業株20種平均 が開発 され た。 その後,1938年 に今 日の ダウ平均 とな った。

この よ うに,投 資現在価値 な る ものは,1930年代 とい う或 る特殊 な歴史 的環境 の下 で知 られ る よ うに な った もので あ る。

以下 で特 に取 り上 げ るの は,JohnBurrWilliamsのThe771eOryOflnvestmentValue(1938)な る書物 で あ る。 この書物 は,今 日で もペ ーパ ーバ ックで刊行 されてお り,広 く読 まれてい る 「古典」で あ る。

尤 も, この ウィ リア ムズの書物 の引 くとこ ろに よる と,現在価 値 とい う考 え方 の源 流 は,先 に触 れ た Barron'Sな る投 資週刊誌 の1930年930日号 にあ るRobertF.Wieseに よる"InvestingforTrueValues"と

(2)

‑ 12 資本化 と現在価値

い う論稿 に よる もの とされてい るので, これ について も触 れ る必要 が あ る。

(2)二様 の 「資本化」概念

しか し, そ うはい って も,「資本化 (Capitalization)」 とい う概 念 には,二様 の ものが存在 す るので, そ れ らについて若干,整理 してお くので なければな らない。

第一 の ものは,「擬 制 資本価格」 と して の資本化概念 で あ る。 これ はか な り早 くか ら知 られてい たO ウ イ リアム ・ぺ テ ィは,Atreatiesoftaxes,andcontributions.1662(大 内兵衛 ・松川七 郎訳 『租税嘉納論』岩 波文庫) の中で,土地価格 につい て触 れてお り,マル クスは これ を紹 介 しつつ次 の よ うに記 してい る (『剰 余価 値 学説史』大 月書店版 全 集,第26巻 Ⅰ,450頁)0「地代 が資本還 元 され,す なわ ち,土地 の価 格 と

して計算 され るのは,次 の よ うに してで あ る。 1エ ーカ ーが年 々10ポ ン ドの地代 を生 む としよ う。利 子 率 は5%で あ る とす れ ば,10ポ ン ドは200ポ ン ドの資本 の利 子 を表 してお り,‑‑‑‑1エ ーカ ーの価値 は200ポ ン ドにな るで あ ろ う。 こ うして,地代 の資本還元 は利 子率 に よって定 まる。」 また, 資本還元 に つい て, サ ー ・ジ ョサ イア ・チ ャイル ドが,1668年 に出版 した,BriefObservationsconcerningtrade,and interestofmoneyにおい て次 の よ うに述べ てい るの も注 目されて よい。 チ ャイル ドは,「利子 払 きさげ は, すべ て の国民 の繁栄 と富 との原 因で あ り, この王 国 にお け る利子 の6パ ーセ ン トか ら4パ ーセ ン トない し 3パ ーセ ン ト‑ の ひ きさげ は,20年 をへず して,国民 の資本 を二倍 にせず にはい ないで あ ろ う」 とし,「そ の よ うな法律 がつ くられたの ちは, かれのすべ ての土地 はただ ちに以前 の二倍 の価値 を もつで あ ろ う」 と 述べ,「その資産 の過半 が土地 に あ る貴族 お よび ジ ェン トリは, ほ どな くして,かれ らの所有 す るすべ て の土地財産 の上 に,50と書 くか わ りに,100と書 くこ とにな るで あ ろ う」 としてい る (ジ ョサ イヤ ・チ ャ イル ド,杉 山忠平訳 『新交易論』東大 出版 会,1967年,53頁以下。 また, 同訳書巻末 の訳者解説 を参 照。

さらに, ア シ ュ トン 『産業 革命』 中川敬一郎訳,岩波現代叢書,11頁参 照。) また, マル クスは, ジ ョサ イア ・チ ャイル ドを 「株式投機業 の父」 としてい る (『資本論』第5編第36章,岩波文庫版 (7)441頁)0

更 に,伝 え られ る とこ ろに よる と,1694年, イ ング ラ ン ド銀行 が創 立 され るについ て,当時 の土地 貴 族層 が支持 に まわ った とい われ, その理 由は イ ングラ ン ド銀行創設 に よって金利 が低下 す るな らば,土地 価格 が上昇す るで あ ろ うとす る期待 に よる もので あ った, とい う。

ここで重要 な こ とは,上 に述べ た よ うなかた ちで の擬制 資本価格 として の資本化概 念 が,「場所 的空 間 的 な」広 が りの中で資本化 とい うこ とを捉 え よ うと した もので あ り, そ うした意味 で は 「構造 的 な」捉 え 方 に よってい る とい う点 で あ る。

これ と対比 した意味 で,現在価値 として の資本化概念 を見 る と, それは 「時間的 な」流 れの 中で資本化 を捉 え よ うとした もので あ り, そ うした意味で は 「機能 的 な」捉 え方 にな ってい る とい う点で あ る.

しか し, そ うした点 で の両者 の違 い に加 えて,い まひ とつ重要 な ポ イ ン トが あ る. それ は,擬 制 資本 価格 としての扱 い は,極 めて素朴 な次元 に止 まるのに対 して,現在価値 とい う扱い は格段 の内容 を持 って い る。す なわち,現在価値 として の扱 い におい て は,以下 で検 討す るジ ョン ・バ ー ・ウィ リアムズにおい て,既 に配 当金 のみ な らす,留保利益 を も含 んだ利潤 の全体 とい うものが考察 の範 囲 にふ くまれてい る。

当時,注 目 されてい た の は,企業 にお け る留保 利益 の存 在 で あ って,例 えば配 当金 がゼ ロで あ って,全 額 が留保利益 とな ってい る場合 の株価 ,す なわち投 資現在価値 を ど う考 えれば よいか, が問題 とされてい た。 ジ ョン ・バ ー ・ウィ リアムズの書物 が,既 に株価収益率 (PriceEarningsRatio)をそれ として取 り上 げてお り (pp.82,143,156,187,396), その意味 で は,後 のMM理論 に まで至 る道筋 が示唆 されてい る。

こ うした点 は,擬制 資本価 格 と して の資本化概 念装 置 には求 むぺ くもない ところで あ る。 ウィ リアムズ は,株価収益率 (PER)を問題 とす るに当た って,留保利 益 が大 で あ って配 当ゼ ロの会社 も存在す るこ と を示 し, そ うした ケ ースについ て,次 の よ うに処理 してい る。興 味深い ところで あ るので原文 の まま引い

(3)

てお く。す なわち,

Erie(RailroadCompany),tobesure,neveryetpaidadividend,but,tojudgebyitsmarketprice(as ofJune15.1937)of147/8,itisexpectedtodososometime,directlyorindirectly.(p.83)

やや立 ち入 って述べ て お くと, ここで ウィ リアムズは, 1)株価収益率 をその もの として把握 しつつ, し か もそれ を, 2)配 当利 回 り (DividendYield)に引 き付 けて,《これ を配 当利 回 りの 目で読 み こなす》 こ とを試 みてお り,留保利益 が多額 で あ る とい うこ とは, それがいつ の 日か配 当 に回 され る可能性 を含 む も の として説 明す る。 これ は, プ ラクテ ィカル を心 が け る人 に してで きるこ とで あ ろ う。

また, 自己株式 の消却 (cancellation)の場合 につい て,次 の よ うな記述 が ある。

TexasandPacificI.andTrustpaysnodividendsoftheordnairysort,yetitsstocksellsfarabove zerobecauseitpaysavirtualdividendinliquidaiotnwhenitbuysinitsown Sharesforcancellation.

(p.84)

こ うした諸例 を踏 まえつつ,次 の よ うに述べ られ る。

Themarketmusttakeaccountoftheentirerangeofpossibilitiesfordividends,andgive considerationtothepossibilitythatearningsmaybeunexpectedlylargeorunexpectedlysmall.To re且ecttheseextremepossibilities,thecommonstockinthecaseherediscussedwouldsellabove zero,andthebondsbelowpar.(p.84)

実 際, この頃,既 に 自己金 融 (‑内部 金 融) 〔当時 は,利 益 の再 投 資 の こ とを農 作 業 に な ぞ らえて, plowingback(鋤 返 し) と呼 ん だ〕 の もつ重 要 な意 味 が知 られて お り,例 えば,1928年 に刊 行 され た, Dwigh tC.Rose,A Scientlji'cAP♪roachtoInvestmentManagement.(Harper&Brothers,NewYorkand LDndon)は,PlowingBackPartofEarningsな る項 目を掲 げ

,

「産業経 営 を成 功裏 に進 め るた めの基 本原 則 の一 つ は,利 益 の一部 の規則 的 な再投 資で あ り,利益 の一部 を事業拡大 のた めにplowback(鋤返 し) す る こ とで あ る」 と述べ てい る。 ジ ョン ・バ ー ・ウィ リアムズの著書 には, このDwightC.Roseの書物 の或 る箇所 を採用 した部分 が あ り, そ うした こ とか らす る と, ウィ リアムズの著作 はそ うした知識 を十二 分 に岨噂 した上 で の もの と考 えるこ とがで きよ う。

(3)現在価 値概念 の先行者

現 在 価 値 とい う概 念 の 発 見 は,先 に も述 べ た よ うに, ジ ョン ・バ ー ・ウ イ t)ア ム ズ Uolm Burr Williams;1899‑1989)の名 に帰 せ られ る。彼 の1938年 に刊行 された 『投 資価値 の理論』(The¶leOryOf lnvestmentⅥllue)が,現在価値 とい う概念 を発見 した。

もち ろん, ウイ ')アムズ よ り先 に,例 えば, ア ーブ ィング ・フ ィッシャー (h‑VingFisher)に よる 「複 利 計 算」 の重 要 性 の指 摘 が あ って の こ とで あ り, フ ィッシ ャーの著 作,77wPurchasingPowerofMoney (1911)や,Rateoflnterest(1907)あ るい は771eOryOflnteyleSt(1930)は, ウィ リア ムズの書物 において も 援用 されてい る。

(4)

‑ 141 資本化 と現在価値

ウ ィ リア ム ズの書 物 が 引 用 す る とこ ろで は,直 接 的 に は,彼 が 当 時 のBary10n'Sな る投 資雑 誌 の論 稿 か らそ の ヒ ン トを得 て い る こ とが 明 らか で あ る。 す な わ ち, こ のBarron'Sの19309月8日号 に, Scudder,Stevens

&

Clark社 のRobertG.Wieseに よ る,Investing/orTrueValuesな る論 説 が 掲 げ られ て お り, ウィ リア ムズは, この論 説 か ら次 の よ うな部 分 を引用 してい る。 (ちなみに,このScudder,Stevens&

Clark社は,由緒あるファンド・マネージメン ト会社で, ごく最近,チューリッヒ保険がこれを買収 したことが報 じら れてい る。)

そ こで,R.G.Wieseの論稿 か ら, ウィ リア ムズが引い てい る箇所 を原 文 の まま書 き写 して み よ う。

Theoretically,theproperPriceofanysecuri&,whetherastockorbond,isthesumofa

l l

JTutureincome Paymentsdiscountedatthecurrentrateofinterestinwdeytoam'veatthepresentvalue.

そ もそ も, この論 説 の副題 は,StockPricesin1929DemandedConstant50/oGrowthinEarningsuntil1940 とい うもので あ った。 こ う した関心 か ら,現在 価値 が論 じられてい た ので あ る。

い ま抄 とつ, ウイ 1)アムズが 自 らの先 行研 究 と して記 してい るの は,GabrielA.D.Preinreichの著書 ,

TheNatureofDividends(1935)の 巻 末 に付 され た 「MathematicalAppendix」 で あ って, そ こで は,the presentvalueofafuturesumに関説 され てい る。 (ウイ t)ア ムズの著 書 が刊 行 され た後 ,発表 され た書 評 の なか に, このPreinreichの著 書 を凌 駕 す る と評 価 した もの が あ る。 このPreinreichの著 書 が広 く流 布

され,一 つ の基準 とな ってい た こ とを意 味 しよ う。)

ウィ リア ムズは, これ らの先行研 究 の上 に立 ちなが ら,現在価 値 に関す る論 陣 を張 ったので あ る。

(4)JohnBurrWiHiams,777e777eOryOf/nL/eSlmenti(a/ue.(i938) ウィ リア ムズのい うとこ ろを, 略記 して み よ う。

彼 の主張 の要 点 は,株 式 のValueは, カ ジノの よ うな市場 にお け る売 買 に よ って決 まるので は な く,秩 式 それ 自身 のintrinsicvalueで決 まる とい うこ とに あ った。 即 ち,現在 只 今 の利 益 や配 当 に よって で は な く,将 来 に わた って の利 益 や配 当 の流 れが決 めて くる, とい うので あ る。 つ ま り,端 的 にい うな ら,鶏 の Valueは, それ が産 み 出す卵 に よ って決 まる とい うので あ った。 かれ の著 書 は,h short,astockiswor也 onlywhatyoucangetoutofit.(p.57)と述 べ た あ とで,次 の よ うな詩 を掲 げてい る。 老農夫 は息子 にい う。

Acowforhermilk, Ahenforhereggs, Andastock,byheck, Forherdividends.

A norchardfor血・

山t ,

Bee

sf

orm eirhon ey,

And

s t

oc

k s ,

besides,

For

eir

d i

vidends.(p.58)

こ うした思考 は,将 来 にお け る会社 企業 の盛 衰 に まで及 び, その ライ フサ イ クル に まで説 き及 ん でい る。

この ウィ リア ム ズの主 張 が,後世 に与 えた影 響 は広 い範 囲 に及 ん で お り,HarryMarkowitzやW皿am Sharpe に対 し, またGordonmodelに対 し,更 に は,Modiglimi ‑Miller命題 に対 して,影響 を及 ぼ してい

(5)

る。

ここで, ウィ リアムズその人 について若干触 れておかねばな らない。

彼 は,1899年 に生 まれ,1989年 に88歳 で没 した。没 後 ,TheNewYorkTimes(Sep.19.1989)及 び TheBostonGlobe(Sep.19.1989)が,追悼文 を掲 げてい る。前者 は ウィ リアムズ を "economist" とし, 後者 は "author,economist,investmentmanager'' としてい るのが注 目をひ く0 (Wh o'SWh Oにお け る記載 は見 当 た らない。)大 学 で教鞭 を とった の は,1960年代 の 中 ごろに,visitingprofessorと してUniversity ofWisconsinでeconomicsやinvestmentanalysisを2年 間,教 え た の み で あ る。彼 は1927年 以 降, privateinvestmentportfolioの運 営 に当 た って お り, これが彼 の主 た る生業 で あ ったo彼 の著作 は, そ う

した実際 の体験 を生 か したかた ちの もので あ り,彼 は,企業財務 ・企業会計,景気診断,投 資分析 に関 し て当代一流 の知識 の持 ち主 で あ った。博士論文 の執筆 に際 して, ア ドヴ ァイザ ‑で あ った シュムベ ーター は,彼 に そ うした経験 を生か した領域 で執筆 すべ きこ とを勧 めたので あ る0

彼 は,1923年,Harvard大学 で,Bachelor'sdegreeを得 てい るが, ここで数学 ・化 学 を学 ん で い るO この こ とが彼 に代数式 を展 開 しつつ論述す る能力 を与 えた。

1925年,HarvardBusinessSchoolで,Master'sdegree(Business)を得 てい る。

1932年,Harvard大 学 のGraduateSchoolofArtandSciencesで,Master'sdegree(Economics)を得 てい る。 そ して,

1938年,著書 で あ る,TheTheoryofInvestmentValue.をHarvardUniversityPressか ら出版 したO代数 式 が あ ま りに多い た めに, マ ク ミラ ンか らもマ グ ロ‑ ヒノレか らも断 られ, 出版経費 の一部負担 を条件 とし ての出版 とな った もので あ る。

1940年, この著 書 に よ って,Ph.D.を取 得 した。 この と きのDoctorialAdviserは,Schumpeterで, そ の勧 め に よ って,体 験 を生 か した こ うい う領 域 を論 文 に す る こ とを決 め た。 また,Ph.D.審 査 の committeeは,Sclmmpeter,Leontief,Hansenの3名 で あ った。審 査 に入 る前 に出版 した, とい う点 な ど が問題視 されたが,最終 的 には博 士号 が無事 ,授与 された もので あ る。 (こ うした諸点 に関 して は,Peter L.Bernstein,CapitalIdeas,1992,TheFreePress,ADivisionofMacmillan.NYが詳 しい。 また, この書物 は

こ うした分野 の全体 的 な潮流 を大観 した好著 で あ る。 なあ このPeterL.Bernstein が依拠 す る ところは, ウィ リアムズが晩年 に書い た 自伝 的 な スケ ッチで あ る,FiPyYeaysoflnvestmentAnalysis‑ aretrospective, 1979な る小冊子 で あ って, この小冊 子 につい ては別稿 において詳 しく紹介す る。)

後 に少 し く検討 す るが, この著 書 は,① 一般 的 な理論 ,(920以上 の数 式 モデル,③ ケ ースス タデ ィ, の3つ の部分 か ら成 り立 ってい る。

本書 が刊行 され るや,直 ちにい くつか の書評 が発表 された。す なわち,

1)R.S.VandeWoestyne,TheJournalofBusinessoftheUniveysityofChicago,Vol.12.No.2,(APT.,1939) pp.211‑213

2)CorlissLloydParry,771eAmericanEconomicReview,Vol.29,No.1(Marリ1939)pp.118‑119 3)BenjaminGral1am ,TheJournalofPoliticalEconomy,Vol.47,No.2(Apr.1939)pp.276‑278 な どで あ った。 いずれ も好意 的 な もので あ った。

例 えば,1) のWoestyne(Univ.ofChicago)に よる書評 が, '̀Theproductisadmittedlytheoreticaland 血e血eoryisgood."とし,"Forthatreasonitishighlypractica1."としてい るご と くで ある。

そ こで,この著書 その ものについ て若 干 の検討 を試 み よ う。 まず,その事 の構成 は次 の通 りで あ る。 (辛 題 の ローマ数字 をア ラ ビア数字 に改 めた。)

(6)

-16-

BOOK I PART I

INVESTMENT VALUE AND MARKET PRICE SPECULATIN IN THE STOCK MARKET 1. The Difference between Speculation and Investment 2. Does the Stock Market Predict the Future?

3. Marginal Opinion and Market Price

PART II THE PURE THEORY OF INVESTMENT VALUE 4. Does the Quantity Theory of Money Apply to Stock Prices?

5. Evaluation by the Rule of Present Worth 6. Stocks with Growth Completed

7. Stocks with Growth Expected 8. Bonds and the Price Level 9. Stocks and the Price Level

10. Bonds with Interest Rate Changing 11.Algebraic Budgeting

12. Algebraic Budgeting (cont.)

13. Growth by Merger or Sudden Expansion 14. Option Warrants and Convertible Issues 15. A Chapter for Skeptics

PART ill THE ECONOMICS OF INTEREST AND DIVIDENDS 16. The Source of Interest and Dividends

17. Taxes and Socialism

18. Where is the Interest Rate Determined?

PART N THE OUTLOOK FOR INTEREST RATES AND THE PRICE LEVEL 19. Politics, Inflation, and Government Bonds

20. The Future of Interest Rates

BOOK II CASE STUDIES IN INVESTMENT VALUE PART I CURRENT STUDIES

21. General Motors 22. United States Steel 23. Phoenix Insurance

PART II POST MORTEMS 24. American Telephonein1930

25. Consolidated Gas, and United Corporation,in1930 26. American and Foreign Powerin1930

27. Conclusion

(7)

実 に多 くの章節 を費や してい るで はないか。事柄 の原理 その ものは単純 で あ った。著書 はい う。

L

etusdefinetheinvestmentvalueofastockasthepresentworthofallthedividendstobepaid uponit.(p.55)

これだけの こ とで あれば,原理 は単純 に して明快,何 らの章節 を必要 とは しない。 しか し, これ を実際具 体 の状況 に合 わせて考 える とな る と, そ う簡単 な こ とで はない。例 えば,将来 に亘 って の配 当金 の流列 が コ ンス タ ン トな もの, とい う保証 は どこにあ るか。 その変動 が予想 され る とした ら, どう処理 すれば よい か。先 に若 干触 れた よ うに,著者 は,留保利益 が あ る よ うな場合 (す なわち株価収益率 が問題 にな る場合) (p.156)辛, 自己株 式 の取 得 が関 わ る よ うな場 合 (p.84)に至 る まで,論 理 的 に説 明 しよ うと試 み る。

著者 は,現実具体 に適用 で きるプ ラクテ ィカル な書物 た らん とす る方 向において最大 限の努力 を試 み るの で あ る

ウィ リアムズの論述 は,1)配 当減 少 の傾 向 に あ る場合,2)配 当一定 の場合,3)配 当増加 の傾 向にあ る場 合,4)配 当 の増加 に緩 急 の あ る場合,5)レグ ァ レッジー走 で成 長 す る会社 の場合,6)レグ ァ レッ ジ増 大傾 向に あ る成長 会社 の場合,7)企業合併 な ど急激 な拡 大 の場合, これ らをそれぞれ に検討 す る。

注 目すべ きは,将来 の配 当 な どを推測 す るについて は,会計士 が行 うよ うな作業手順 を必要 とし,将来 に おけ る当該会社 の資産 ,負債 ,収益,配 当 な どについ ての情報 を集 め るこ とが必要 だ, とい う(p.128)。 最後 の結論部分 にお け る所述 は経験 に従 った実 に控 え目な 4)ので あ って,次 の よ うに述べ られてい る。

Thelastwordonthetrueworm ofanysecuritywillneverbesaidbyanyone,butmenwhohave devotedtheirwholelivestoaparticularindustryshouldbeabletomakeabetterappraisalofits seculitiesthan仇eoutsidercan.(p.563)

(5)むすび

1938年, この年 に 「現在価値 」 とい う概 念 が定 ま った。 それ は, ジ ョン ・バ ー ・ウィ リアム ズの名 を 冠 して語 られ るべ きもので あ る。 そ して, この概念 は,当初 予想 されていた の よ りも多方面 にわた って影 響 を及 ぼ し続 けた こ と既述 の通 りで あ る

概念 の淵源 を探 り, その始原 を尋 ね るこ とが,概念 の歴史 的本質 を知 るこ とに繋 が るので はないか, と い う思い か ら, この小論 はな された もので あ る。 ここか ら現代 の証券理論,金融理論 , あ るい は会計 ・財 務理論 へ の系譜 が併 せ て明 らか に され るな らば,い よい よ問題 の深 みに及 び うる もの と思 われ る。残 され た課題 の大 きさに戸惑 いつつ, とりあ えず小論 の稿 を閉 じる次第 で あ る。

謝辞 史料 の収集 に,神奈川大学図書館 の内田節子 さんの手 をわず らわせた。

また, 中央大学図書館,横浜 国立大学経済学部 図書室,早稲 田大学高田早苗記念研究 図書館 な どにお世話 にな った。

参照

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