神奈川大学大学 院経営学研究科 F研究年報』 第11号 2007年3月 25
■ 修士論文要旨
中国の化粧品市場における日本企業の経営戦略
一 日系、欧米系企業の比較研究 ‑
ManagementStrategyofJapaneseCompanyinChineseCosmeticMarkeトComparativeApproachbetween JapaneseCompanyandWesternCompany
神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程
李 銀
YinLee
■キーワー ド
中国市場、化粧品業界、マーケテ ィング戦略
本論文 のテ ーマは、「中国の化粧品市場 におけ る日本企業の経営戦略」である。
本論文 は中国市場、化粧品業界及び 日本企業の 経営戦略
3
つ を中心に考察 した。本論文では、中国の化粧品市場 における日・米 ・ 欧企業の事例研究か ら比較す ることで、資生堂 を はじめとす る日本企業の経営戦略 を把握 し、今後 の市場展開戦略における提案 を以下の4つの戦略 を中心に論述 した。
1.ブラン ド戦略一商品開発、マス ・ミ ドル市場 への参入、中国産 ブラン ドの輸出
2.流通戦略一百貨店流通、化粧品専門店、ドラッ クス トア、スーパ ーマーケッ ト
3.価格戦略一高価格戦略、中低価格戦略 4.広告戦略‑ テレビ広告の強化、インターネ ッ
ト広告
巨大な消 費市場 として、中国は全世界に注 目さ れている。
中国の化粧品市場 は、 その規模、伸長率、将来 性等の面か ら現在最 も魅力的な市場であ り、世界 の有力化粧品企業がほぼ出揃い、 シェア拡大 に向 けた激 しい競争 を展開 している。
中国の化粧品の市場環境 は大 きな変貌 を遂 げて いる。化粧品企業やブラン ドの数が激増 し、消 費 者 は商品の選択肢 が増 えて きたQ また、唯一販売 経路だった百貨店のほかに、スーパ ーマーケ ッ ト、
化粧品専門店、 ドラックス トア、通信販売等販売 チャンネルの多様化が進行 している。
資生堂、 ロ レアル、‑p&G、エステ ィローダー 等の外資系企業 を中心 とす る高級化粧品は百貨店 中心で、 またスーパ ーマーケ ッ トでは中価格帯化 粧品が中心に販売 されてい るほか、化粧品専門店、
ドラックス トアなどで も様々なブラン ドの化粧品 が販売 されている。
外資系化粧品企業 が、中国に展開す るにはふた つの方法があるO‑つは、 日本や欧米で生産販売 している自社 ブラン ドを輸入販売す る方法、 もう 一つ は、現地生産化 し、国産品 として展開す る方
26 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第11号 2007年3月
法である。
国産品の成功例 としては、資生堂が中国の女性 のために開発 した高級 ブラン ド 「オプレ」 が有名 である。
中国人の肌 は 日本人 と類似 して、 日本の化粧品 企業 にとっては展開の しやす さがある。 また、漢 字文化 をは じめ、様々な文化や習慣 も馴染みやす さがある。 したがって、 日本の化粧品企業 にとっ ては大 きなチ ャンスがある市場である。
日本 の化粧 品企業 も資生堂、 カネボ ウ、 コー セ‑、花王 など、 日本国内の有力企業が積極的な マーケテ イングを展開 している。
急速に変貌 し拡大 している中国化粧品市場にお いて、外資系企業 は製品開発、価格設定、流通経 路及び販売促進 などのマーケテ ィング戦略 を全面 的に練 り直 している。競争激化 と業界再編 が加速 され る中、国内企業の敗退が 目立 ち、外資系企業 による市場主導の状況が形成 されつつ ある。
近年、関税率の低減 などか ら、新 しい輸入化粧 品の市場導入が相次いでいるほか、大手企業 によ るブラン ド買収 も進み、市場 はますます活性化で ある。
第
1
章 では、中国化粧品市場の概況 につ いて論 述す る.中国化粧品市場の現状、また化粧品のマー ケテ ィング戦略及び中国での戦略特徴 を論述する。第2章 では、中国における主 な外資系化粧品企 業の戦略について分析す る。 日本企業の中国進出 にあったての背景やその進出状況、 フランスのロ レアル と米 国のP&Gの戦 略 を論述す る。 日系企 業では、カネボウ、花王、 コーセーを中心にその 戦略 を分析す る。
第
3
章 では、資生堂の事例 を取 り上 げ、中国で のブラン ド・マーケテ ィング戦略について論述す る。国民的人気になった「オプレ」の戦略 を通 じて、資生堂型 ビジネスモデルの成功要因を分析す る。
また、今後期待 され るマスマーケッ トを攻略す るために設立 された、上海卓多姿有限公司につい て、2006年3月12日に著者 が リア リング調査 を行 い、その内容 をもとに、資生堂の中価格帯戦略を 論述す る。
第4章では、今後中国市場 で勝つ ための 日本企 業の課題 につ いて分析 し、市場展開戦略における 提案 をブラン ド戦略、流通戦略、価格戦略、広告 戦略 を中心に行 う。