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第16章 まとめ

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Academic year: 2021

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第16章  まとめ 

 

本研究においては、第一部において本研究の概要、目的とその方法について、第二部に おいて本研究に関連する先行研究についてそれぞれ整理している。その後、第三部以降に、

具体的な研究内容に入っている。 

  そこで、本章においては、本研究の第三部(第9章、第10章、第11章)、第四部(第1 2章、第13章、第14章)、第五部(第15章)において得られた各成果についてまとめる こととする。 

 

16.1 第9章にて得られた成果 

第9章においては、地域産業活性化策の体系と歴史的展開について論じてきた。 

地域産業活性化策については、本研究では二つの切り口を示し体系的に論じている。 

そして、各政策体系についてその歴史的展開を示している。先行研究、公的機関の調査 報告書等を部分的に活用しつつも、オリジナリティの高い論理体系に基づき、地域産業活 性化策の立案に必要な歴史認識の基礎となる政策展開を整理し分析した。

 

  9.1項では、地域範囲の視点に基づく地域産業活性化策の体系、政策分野に基づく地 域産業活性化策の体系を論じている。 

地域範囲の視点に基づく地域産業活性化策の体系として、1)外発的政策、2)内発的政策、

3)共通基盤整備政策、の三つを政策的な構成要素とした。通常は対立概念とされる1)と2)

の相互関係についても論じた。

政策分野に基づく地域産業活性化策の体系として、1)産業、市場等に関する諸政策、2) 産業立地政策、3)企業家支援政策、を主要な構成要素とし、政策全般の推移、国と自治体の 政策について論じた。

9.2項では、政策分野の視点に基づく地域産業活性化策の分類に基づき、産業、市場 等に関する諸政策、産業立地政策、企業家支援政策について、各歴史的展開を論じている。

まず、我が国の戦後の個別産業、個別市場、個別産業組織への政策的介入について、歴 史的経緯をまとめた。産業立地政策については、国土計画系政策、産業集積系政策、イン フラ整備系政策に分類し、それぞれの歴史的展開を論じている。

企業家支援政策については、中小ベンチャー企業政策、産学官連携・コーディネート等 について、その変遷をまとめた。

各政策の歴史的展開の中から、成功要因と課題を抽出した。

 

16.2 第10章にて得られた成果 

第10章においては、地域産業活性化策の諸構成要素について論じてきた。 

地域産業活性化策の管理過程、経営資源、インフラについて、先行研究を部分的には活 用しつつも、新しい分析のフレームワークを提示した。 

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に必要な管理過程支援システムについても論じた。 

  また、管理過程において活用すべき情報を体系化し、データベース化情報/ナレッジベー ス化情報の概念を示し、その収集と活用について論じた。 

  10.2項では、地域産業活性化に必要な経営資源、インフラについて論じた。 

  まず、産業集積の経済性、近接立地のメリットにふれつつ、Weber の立地要因理論のフレー ムワークを現代流に再定義した。地域産業活性化のために必要な経営資源を4M1Iのフ レームワークにより体系化し、各経営資源間の相互関係、各種市場との関係をモデル化し た。特に経営資源の中では、人材の重要性を示し、その類型化を行った。 

  インフラについては、一次インフラ、二次インフラ、三次インフラに類型化し、トータ ル分析するフレームワークを示した。 

 

16.3 第11章にて得られた成果 

第11章においては、国内外の活力ある工業集積地事例とその成功要因等について論じ てきた。先行研究、公的調査資料を部分的には活用しつつも、各地域の成功要因と課題を 提示した。 

  11.1項では、海外の活力ある工業集積地域事例として、シリコンバレーモデル、イ タリアモデル、オースチンモデル等を挙げ、その成功要因と課題を示した。 

  11.2項では、国内の活力ある工業集積地域事例として、多摩地域、浜松地域、北上・

花巻地域等を挙げ、その成功要因と課題を示した。

11.3項では、工業集積地域におけるネットワーキング事例として、広域多摩地域、

浜松地域等のビジネスコーディネータの活動を挙げ、その成功要因と課題を示した。

16.4 第12章にて得られた成果 

第12章においては、事例地域の産業集積と産業活性化策について論じた。

事例地域としては、筆者が10余年、コーディネート活動等を実践してきた群馬県太田 地域、太田地域を含む群馬県、首都圏北部地域を取り上げた。

12.1項では、太田地域の産業集積、産業活性化策について論じている。

太田地域は、全国でも有数の工業集積地域であり、首都圏に近い利点を備えている。

製造技術の集積は十分にあるが、研究開発型企業の集積が課題となっている。

産業活性化策としては、新分野進出補助金等の独自制度も見られるが、基盤整備と工場 誘致が基本となっている。リサーチパークへの研究開発型企業の集積は遅れているが、群 馬県産業技術センター分所が設立される。産学官連携策の萌芽が見られる。

12.2項では、群馬県、首都圏北部地域の産業集積、産業活性化策について論じてい る。工業集積は群馬県内で太田地域が群を抜いているが系列色がやや強い。県央部にはI Tベンチャーをはじめとする多様性のある企業群が立地している。栃木県と群馬県は産業

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規模的にほぼ拮抗しており、共通の課題としては、総合的な研究型大学、研究開発型企業、

製品開発型企業の集積が不足していることである。

群馬県では国の政策の活用、国の政策の後追いが多いものの、1社1技術運動を中核と するパッケージ型政策展開にはオリジナリティがある。中核的支援機関への機能統合が進 み、地域プラットフォーム、ベンチャー支援センターの一体的運用が実施されている。

広域の複数自治体間で連携する政策は、成果が上がりにくい構造があった。産業クラス ター政策の一環として地域指定された首都圏北部地域においては、指定された地域内の意 欲的な企業や団体に国の制度を活用する道が開ける。

 

16.5 第13章にて得られた成果 

第13章においては、事例地域の企業家活動等の実態について、計画な目的意識を持ち、

徹底的に足を使ったヒアリング調査を実施し、それを補完するためのアンケート調査も併 せて行った。地域産業を幅広く、そして同時に深く分析を行っている。

  13.1項においては、事例地域の製造企業等を対象とした1)第一次調査(1994年度)、

2)第2次調査(2000年度)の結果の分析をそれぞれ行っている。

  次に、13.2項においては、中小ベンチャー企業等を対象とした 3)新分野進出企業の 調査(1994年度−1997年度)、4)中小創造法認定企業を対象とした調査(1998年

度)、5)首都圏北部地域のフロントランナー企業を対象とした調査(2001年度)の結果の分

析をそれぞれ行っている。1)−5)の各調査のまとめについては、13.1項及び13.2項 において示された通りである。

16.6 第14章にて得られた成果

第14章においては、事例地域における諸課題と課題解決のための実践について論じて いる。14.1項においては、事例地域の経営資源、インフラに関する諸課題について論 じた。経営資源については、14.1.1項にて、人材を中心として現状と諸課題に関す る分析を行い、そのまとめとして、企業家の集積、技術集積の詳細な分析表を作成した。

インフラについては、14.1.2項にて、一次インフラ、二次インフラ、三次インフ ラの現状と諸課題に関する分析を行い、そのまとめとして、一次インフラ、二次・三次イ ンフラの詳細な分析表を作成した。

さらに、14.1.3にて、地域に若手企業が少ない背景を探るため、事例地域の4高 校、2大学の学生達に対して実施した意識調査結果の分析を行っている。

14.2項においては、事例地域におけるコーディネート活動の実践について論じた。

14.2.1項にて、事例地域で筆者がコーディネートしてきた地域産業ネットワーク 学会における実践を通じて得られた知見についてまとめ、弱連結/強連結、ハンズオフ/

ハンズオン、が複合化したネットワーキングについて可能性を示している。

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た知見についてまとめ、事例地域に相応しい産業クラスター組織、そのコンセプトや成功 イメージ、テクノロジー志向のイノベーション創出手法について示している。

 

16.7 第15章にて得られた成果 

第15章においては、地方工業集積地域におけるグレードアップ型産業活性化策につい て、第四部までの知見を総合して論じた。

  15.1項ではグレードアップ型地域産業活性化策のロジックについて論じ、諸提言を 行った。地域産業活性化策のメカニズムを明確化し、イノベーションを通じた生産性向上 策、内発型、外発型政策のポイントを提示した。

  また、地域産業の類型化の切り口、ポジショニング戦略立案手法を示した。

そして、地方工業集積地域に適したポジショニングについて提案し、その要点を論じて いる。地域クラスター形成のフェーズと政策的フェーズについて、各フェーズに必要な政 策的知見をまとめた。

  そしてグレードアップ型地域産業活性化策のロジックを体系的に示した。

  グレードアップ型地域産業活性化策の有効性と限界についても、先行研究、国内外先進 地域事例研究、実践研究から抽出された諸要因をベースに論じている。

15.2項では地域経営資源、地域インフラの整備策について、論じ、諸提言を行った。

地域資源の整備策については、企業家(新規創業、第二創業)、技術者・技能者の整備策を 重点的に論じた。新規創業に対する正負のモチベーション、創業に必要なスキル、事業構 想、外部経営資源活用、地域に必要な新規創業に対する支援システム、民間支援機関のロ ジックについても示している。インキュベーションサイクルのトータルマネジメントシス テム、若手企業家輩出のための方策について提言している。

第二創業については、実践研究における知見をベースに、第二創業支援策を示し、提言 を行っている。エクセレントニッチ企業を軸とした地域の中小ベンチャー企業支援、能力 開発システムについても論じている。

技術者・技能者については、地域産業のファンダメンタルズ分析を示し、垂直的技術集 積と水平的技術集積という概念に基づき、充実策を示している。分析表を示し、論理的な 政策立案への知見を示している。地域テクノマイスター政策についても提案している。

地域インフラの整備策については、新規インフラ補充と既存インフラの広域的活用の二 つの視点から論じている。一次インフラ、二次インフラ、三次インフラについて、分析表 を示し、地域インフラ整備の対象と目的についても論じている。

特に即効性があるのは、既存インフラを活用する政策であり、地域インフラ分析マトリ ックスを用いて、地域におけるインフラ整備政策を事例に基づき示している。

こうした広域的なインフラの活用、あるいは外部経営資源の活用に重要な存在であるビ ジネスコーディネータを通じた地域産業活性化策についても論じている。

15.3項では地域イノベーション創出システムの構築策について、それぞれ論じ、諸

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提言を行っている。

  地方の工業集積地域においてグレードアップ型の産業活性化を実現するには、地域にお いて群生的なイノベーションを創出するシステムを構築する必要がある。

  まず、15.3.1項にて、地域イノベーション創出システム(RICS)のコンセプトに ついて論じている。地域内外の需要と経営資源をリンケージし、群生的イノベーションを 引き起こそうとするシステムである。イノベーションを創出する推進エンジンは、地域イ ノベーション発生機構(RIG)、それを後押しする地域産業の意思決定システム(RDSI) が一体となり、地域イノベーション創出システムを構成している。

15.3.2項にて、地域イノベーション創出システムの構築上のポイントについて、

実践研究を通じて得られた知見を基礎としてまとめている。

  地域イノベーション発生機構(RIG)は、イノベーター間のネットワーク、地域ディレク ター、組織的なプラットフォームの三位一体により構築される。この発生機構により、イ ノベーター集積の経済性が発揮される。

RDSIは、政治と産業政策をリンケージするシステムであり、RIGの機能を発揮さ せる上で必要な仕組みである。地域イノベーション創出システム(RICS)は、RIG/R DSIと一体となり、特に地域クラスター形成の初期には重要な貢献が可能なシステムで ある。こうしたシステムをコモンズ、すなわち社会共通資本としてサスティナビリティを 地域が保証することが重要である。

参照

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