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茶廃棄物高付加価値リサイクルに関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

茶廃棄物高付加価値リサイクルに関する研究

高, 品

http://hdl.handle.net/2324/4474898

出版情報:Kyushu University, 2020, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

茶廃棄物高付加価値リサイクルに関する研究

Study on high value-added recycling of tea waste

高品 Pin Gao 2020年12月

(3)

目次

第1 序論 ... 1 章

1.1 背景 ... 1

茶の生産量について ... 1

1.1.1 茶廃棄物の処理について ... 3

1.1.2 バイオベースマテリアルに関する研究 ... 6

1.1.3 感性価値向上の方法 ... 12

1.1.4 課題 ... 13

1.1.5 1.2 目的 ... 20

1.3 研究方法 ... 20

1.4 本論文の構成 ... 22

第 2 章 高温圧縮成形法に基づく、茶廃棄物のリサイクル ... 26

2.1 本章の目的と概要 ... 26

2.2 先行研究および仮説設定 ... 26

茶殻と茶の茎の成分比較 ... 26

2.2.1 茶の茎形態について ... 27

2.2.2 仮説設定 ... 29

2.2.3 2.3 茶殻と茎の強度について ... 29

実験の目的 ... 29

2.3.1 方法 ... 30

2.3.2 実験結果と考察 ... 31

2.3.3 2.4 茶樹の種類と成型した茶の茎強度の関係 ... 33

実験の目的 ... 33

2.4.1 方法 ... 34

2.4.2 実験結果と考察 ... 35

2.4.3 2.5 まとめ ... 37

第 3 章 成形後茶廃棄物の生分解性 ... 38

3.1 本章の目的と概要 ... 38

3.2 生分解に関する先行研究および仮説設立 ... 38

生分解性に関する実験方法 ... 38

3.2.1 生分解性の評価方法 ... 38

3.2.2 茶廃棄物とバイオベースマテリアルに関する生分解研究 ... 39

3.2.3 吸湿性と分解速度との関係 ... 40

3.2.4 仮説設定 ... 41

3.2.5 3.3 茶廃棄物の吸湿性実験 ... 41

実験の目的 ... 41

3.3.1 方法 ... 42

3.3.2 実験結果と考察 ... 43

3.3.3 3.4 生物分解性実験試料の製作 ... 44

目的 ... 44

3.4.1 方法 ... 45

3.4.2 実験結果 ... 45

3.4.3 3.5 茶廃棄物/PLA 複合材料の土壤中における生分解性実験 ... 46

実験の目的 ... 46

3.5.1 方法 ... 47

3.5.2 結果と考察 ... 49

3.5.3 3.6 本章のまとめ ... 50

(4)

4.1 本章の目的と概要 ... 52

4.2 提案するモデルの概要および仮説設立 ... 53

適用背景 ... 53

4.2.1 ミクロ経済学を取入れた選好評価法 ... 53

4.2.2 本モデルの特徴 ... 54

4.2.3 仮説設立 ... 55

4.2.4 4.3 画像の物理量に関する研究 ... 55

実験対象サンプルの取得 ... 55

4.3.1 物理量の測定 ... 59

4.3.2 4.4 印象評価語の収集実験 ... 60

実験の目的 ... 60

4.4.1 方法 ... 60

4.4.2 結果 ... 61

4.4.3 4.5 印象評価実験 ... 62

実験の目的 ... 62

4.5.1 方法 ... 63

4.5.2 結果 ... 63

4.5.3 4.6 一対比較実験 ... 64

実験の目的 ... 64

4.6.1 方法 ... 65

4.6.2 結果 ... 65

4.6.3 4.7 物理量と印象の関係 ... 66

物理量と印象の相関分析 ... 66

4.7.1 回帰分析 ... 69

4.7.2 4.8 印象と視覚的選好の関係 ... 71

印象と選好の相関分析 ... 71

4.8.1 回帰分析 ... 71

4.8.2 4.9 まとめ ... 72

第 5 章 茶廃棄物の画像加工と検証実験 ... 74

5.1 本章の目的と概要 ... 74

5.2 画像加工 ... 74

目的 ... 74

5.2.1 方法 ... 74

5.2.2 結果 ... 76

5.2.3 5.3 印象評価実験 ... 78

目的 ... 78

5.3.1 方法 ... 78

5.3.2 結果と考察 ... 79

5.3.3 5.4 選好評価実験 ... 81

実験の目的 ... 81

5.4.1 方法 ... 81

5.4.2 結果と考察 ... 82

5.4.3 5.5 まとめ ... 83

第 6 章 結論 ... 84

6.1 各章の総括 ... 84

6.2 茶廃棄物リサイクル方法の提示及び製品の提案 ... 85

6.3 本研究の限界 ... 91

6.4 今後の研究 ... 93

(5)

付録1 ... 99

付録2 ... 101

付録3 ... 103

付録4 ... 107

付録5 ... 108

付録6 ... 109

付録7 ... 110

(6)

序論 第1章

1.1 背景

本節では、はじめに茶の現状および今後の予測によって茶廃棄物の排出に関すること を記述し、その意味するところを確認した上で茶廃棄物とバイオベースマテリアルリサ イクルの事例を紹介する。先行研究を概観し、茶廃棄物とバイオベースマテリアルが有 する問題を論じる。また、材料の感性価値に着目し、それぞれの研究動向を踏まえた、

感性価値向上の可能性や課題について記述し、得られた課題を整理する。

茶の生産量について 1.1.1

茶、コーヒー、ココアは、世界三大ノンアルコールドリンクと呼ばれている[1]。茶は 飲み物として中国を起点に世界中に広まって以来、茶に対するニーズがますます増えて きている。2016年5月にケニア・ナイバシャで開催された茶の国連食糧農業機関政府間

グループ(FAO/IGG on Tea)会議において、現在の茶の生産量および今後10年間の茶葉生

産量の増加傾向について分析が行われた。分析データによると、2015年の世界の茶葉総 生産量は520万tに達し、今後10年間の茶の生産量は年率平均で3.7%増加すると予測され た[2]。

2018年の第23回のFAO/IGG on Tea会議(国際連合食糧農業機構「茶に関する政府間グ

ループ」)において、茶について今後10年間持続的に成長することを再確認し、緑茶と 紅茶のそれぞれの成長率を分析した。図1-1において、世界の紅茶生産量は今後10年間 の年間成長率は2.2%と予想され、2027年に440万トンに達する見込みである。世界の緑 茶生産量はより速い年成長率、すなわち7.5%の速度で増加し、2027年には360万トンに 達する見込みである[3]。

(7)

図 1-1 紅茶と緑茶の成長の見込み[3]

茶以外に、例えば、茶飲料、特定保健用食品など茶に関するものも持続的に成長して いる。茶産業の発展は茶の生産国の農業発展に重要な影響を与えている。中国茶産業の

生産額は2018年に30310億円を超えた。これは直接的に8000万の茶農家の生活に関係し

ており、すでに中国農業の重要な作物の一つとなっている[4]。

図1-2に示すように、茶の廃棄物は生産プロセスによって大きく2種類に分けられる。

一つには(右図)、茶の加工過程において選び出した茶の茎であり、これは荒茶(乾燥 された半製品状態のお茶である)の総重量の20%-30%を占めている[5]。もう一つに は(左図)、茶飲料工場において排出された茶の茶殻(茶飲料残渣あるいは排出された 茶葉)である。

図 1-2 茶廃棄物(左:茶殻、右:茶の茎)

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

2017 2027

紅茶 緑茶 万トン

(8)

されている。この部分の茶葉は使用された後にほとんど茶殻として排出された。2005年 では、2000年に引き続き、緑茶飲料の需要拡大が顕著になっており、飲料メーカーでは

約25,700トン(荒茶の28.2%を占めている)の茶葉が使用されている。また、2015年に

なると飲料メーカーにおける茶の使用量は27,000トン(荒茶の35%を占めている)で増 加しており、茶殻の排出量も増加している[6]。

現在、全世界の茶廃棄物の年排出量に関するデータは見つからないものの、茶の年総 生産量によって大概に推測できる。上記による資料に基づく、茶の生産量の増加に伴い、

茶の茎は荒茶の総重量の20%を占めている場合、2027年の茶の茎の排出量は160万トン に達する可能性があると見込まれている。この数字は、茶の主要生産国中国の2009年全 国生産量(137.5万トン)を超える。

茶の生産量の向上及び関連産業の発展はその国の農業経済、多くの利点がある半面、

茶の生産量の増加と茶摘み技術の発展に伴い、生産過程における茶廃棄物の処理も無視 できない問題となってきている。

茶廃棄物の処理について 1.1.2

日常利用の中で、茶殻は茶に由来することにより、茶殻自体にもその茶の香りがある。

そのため、茶殻は枕、におい袋、香炉に香料として用いられ、入浴剤としても使用され ている。茶殻はまた、除湿と消臭の効果で玄関や畳の掃除にも使われている。

中国や日本の茶の販売では、茶の茎あるいは茎茶として売られているものの、茎の品 質に対する要求は非常に高く、例えば、日本で販売されている茎茶は、玉露や高級な煎 茶の仕上げ加工過程において、選別機によって新芽の茎だけを抽出した茶である。地域 によっては「棒茶(ぼうちゃ)」としても販売されている[7]。中国ではもともと茶の茎 は飲み物として使われていなかった。近年、茶の茎には降糖などの保健効果があること が発見されたことに従い、茶の茎を焼いて飲む人が現れ始めた。しかし、茶の茎の調理 過程が複雑なため、普及していない。

今まで、茶の製造工程において排出された茶の茎に対する一般的な処理法は焼却処理 である。一方、飲料工場において排出された茶殻は保水率と温度が高く腐敗しやすいた め、茶殻の処理は茎に比べてより難しい。また、近年茶飲料の需要の増加に伴い、製造 工程で排出される茶殻の量は年々増加している。

株式会社伊藤園では、2012年に年間茶殻排出量が49,000トンに達した。その中の約 65%の茶殻は直接堆肥となり、17%は熱回収し、残りの部分は飼料あるいは添加物とし て使われている[8]。日本のスーパーマーケット「TRIAL」も茶飲料を自社で製造し自 社で販売している。企業は排出された茶殻を処理するため、毎年約1200万円を支払う必 要がある[9]。

「外食産業における食品リサイクルの基本的考え方」によれば、「飲食業の場合、商品 を作るための原材料が存在する。その価値はさまざまな定義で表すことができるが、一 番分かりやすいのが仕入価格というお金の卖位である。図1-3に示すように、仮に、商

(9)

なる。言い方を換えると廃棄物を排出すると言うことは、価値を放棄することと言える [10]。

また、茶製品生産企業が茶廃棄物の排出者として廃棄物を処理する責任を負担し、処 理費用を支払うことは当然なことである。つまり廃棄する時、企業が「廃棄にかかる費 用負担」以外に「価値の放棄」の二重の損失をも負担している。したがって、企業利益 の角度から見ると、茶廃棄物リサイクルは、実質的意義があると考えられる。

図 1-3 廃棄による損失[10]

図1-4に示すように、茶廃棄物に関する研究例から、茶廃棄物には多種多様な有効成 分が残っている。例えば、茶廃棄物の中には窒素、リン酸、有機炭素などが含まれてお り、炭素量と窒素量の比率(C/N比)は6.19である。そのため、茶廃棄物は微生物によ る有機物分解の際に窒素が放出され、養分として土壌に吸収され、土壌の保肥力を高め ることができる[11]。茶廃棄物の堆肥性に関する研究において、餅田らは鶏ふんの堆肥 性が向上するように、茶殻と混合した。その結果、茶殼の鶏ふんへの投入では発酵・堆 肥化期間を短縮させ、堆肥としての品質向上などの効果のあることが示唆された[12]。

白石らは茶殻とクリンカーを混合して堆肥化したクリンカー茶殻堆肥(以下クリ茶堆肥) を水田に使用し、水稲の生育および収量について調査した。その結果、クリ茶堆肥を施 用すると、次年度の生育が旺盛になり、収量も増加し、耐倒伏性も向上する可能性が推 察された[13]。このように、茶廃棄物は堆肥原材料として優れた特性を有していること が指摘されている。

また、茶の廃棄物(茎と茶殻)の中で茶ポリフェノールなどの有効成分が多く残存し ており、消臭・抗菌効果といった機能性がある。バイオベースマテリアルや化学工業な どの分野において既に多くの研究者が茶の廃棄物に対する研究を行っている。例えば、

茎の主要な成分はセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンで、測定により茎の中で セルロースとリグニンが木材より尐なく、ヘミセルロースの含有量は木材と同等である ことが報告されている。その研究に基づき、蘇団は烏龍茶の茎を粉砕し、高温圧縮成型

(10)

よる樹脂/茶複合材料を作成した。実験を通して発見した、一定の大きさの茎を用い、

30%の割合により添加して製造した樹脂/茶複合材料では、引張強度は茎を添加してい ないプラスチックより優れていた[15]。

化学工業における研究について、江進学らは、茶殻をフィラーとして中密度繊維板に 添加してホルムアルデヒドを除去できることを示した。また、たんぱく質は水に溶けに くく、分解されずに残るため、密度板の製作過程においては、茶殻中のタンパク質ポリ ペプチド鎖のアミノ基はホルムアルデヒドを重合反応を発生し、ホルムアルデヒド放出 量を低減させた[16]。

また、茶殻及び茎はホルムアルデヒドに対しても物理的吸着作用が存在している。

蘇団は茎自体が多孔性材料であることを指摘し、高温圧縮加工の際にホルムアルデヒ ドを有効に放出させられることを示した[14]。

万順利らは茶殻の重金属を浄化する能力を分析した。茶殻の多孔性構造は水中の金属 イオンの浄化の有効性を決定すると指摘した[17]。Bajpaiでは、茶殻は網状構造を持ち、

多孔性材料であり、生物吸着剤と定義した[18]。

図 1-4 茶廃棄物の有効成分と研究事例

上記の先行研究から、茶廃棄物の中で利用できる成分が存在することが分かった。ま た、茶廃棄物のリサイクルでは、企業側の損失を低下させるという利点がある。した がって、茶廃棄物の回収とリサイクルに関する研究では、学術的意義と実務的意義の双 方があると考えられる。しかし、目前茶廃棄物に関する研究および参考にできるリサイ クル事例が依然として尐ない。

また、茶廃棄物は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどで構成されており、

天然の植物繊維として生物質材料あるいはバイオベースマテリアルの一種に属している [14]。

(11)

特徴がある。近年環境保護に対する意識が徐々に高まっているため、ますます多くの研 究者たちはバイオベースマテリアルに目を向けている。バイオベースマテリアルを調査 することにより、バイオベースマテリアルに所属する茶廃棄物に対してより多くの参考 事例を提供できると考える。そのため、次の1.1.3節では、バイオベースマテリアルに関 する研究について論じる。

バイオベースマテリアルに関する研究 1.1.3

人類は地球温暖化、環境悪化、石油の欠乏などの問題に直面しており、バイオマスの 応用は重要な研究課題となることが指摘されている[19]。バイオマスは風力、太陽エネ ルギーと同様の化石燃料の代替として使うことができ、無尽蔵で、再生可能エネルギー である。

バイオマスに関する技術は主にバイオ燃料、バイオ発電およびバイオベースマテリア ルを含めている。本研究では、バイオマスに属しているバイオベースマテリアルに注目 する。

バイオベースマテリアル(Bio-based Materials、以下BBMと省略する)は、広義では、

バイオマスを利用して製造された工業製品や原料のことを言い、紙、木材、皮革などが 含まれている。BBMは伝統的な高分子材料にはない環境に優しい、再生可能および生 分解性を持つ、循環型社会の実現に不可欠な材料であり、21世紀の中核材料と呼ばれて いる[20]。

今のBBMに関する研究は、主に二つの部分に集中している(図1-5)。一つには、

BBMはフィラーとしてプラスチックと混ぜ、バイオベース複合材料を製作する。いわ ゆるグリーンコンポジットである。一方、各BBMの特性を利用し、主な基材として高 温圧縮成型方法という技術と結合して人造ボード製作に関する研究である。では、具体 的な研究事例について次の1.1.3.1および1.1.3.2にて論じる。

図 1-5 BBMに関する研究

(12)

ているため、廃棄後は自然界の微生物によって分解されて水と二酸化炭素になり、再び 土壌や植物に吸収され、プラスチックの自然循環が実現される。そのため、PLAは現在、

工業用のプラスチック材料として幅広く使用されているABS樹脂の変わりとなる目的で 開発され、多く応用されている生分解可能な高分子材料である。しかし、PLAの生産コ ストが比較的高い、耐熱性、耐久性も普通のABS樹脂より低いので、民間の普及では多 くの制限を受けている。

BBMは原料再生可能性と生分解性を有することから、複合材として用いることで、

PLAの性能を改善し、生産コストを低減する効果が期待されており、多くの研究者が

PLA/BBMの複合材料における研究に注目している[21] [22]。

邉吾一らはケナフ繊維シートとPLAシートを配合して高温圧縮成形法によってPLA/

ケナフシートを作成した。静的引張試験より得られたPLA/ケナフシートの引張強度は2 倍以上に増加した[23]。小川らはPLAと各ふすまを20wt%混合し、ふすまを含んだサン プルの分解性が著しく促進された[24]。このほかに、竹繊維、麻繊維、籾殻と生分解性 プラスチックとの複合化の研究もある[25]。

麻,綿,ジュート,パイナップル,などの天然植物繊維と生分解性プラスチックの複 合化が盛んに試みられている。PLA以外、植物繊維、デンプンなどのBBMにも他種類 のポリマーとの配合に使われている[26]。表1-1のように、BBMは加工中の添加割合及 び製造方法によって分類された。

表 1-1 天然複合生物質プラスチック

部分的BBMプラスチック 全面的BBMプラスチック

天然系 デンプン/樹脂混合(例:

PSM)

繊 維/樹 脂 混 合 ( 例 : WPRC)

熱 可 塑 性 樹 脂/デ ン プ ン

(例:TPS)

繊 維 素 系 プ ラ ス チ ッ ク

(例:CA)

化学合成系 ポリトリメチレンテレフタ レート

ポリブチレンサクシネート

ポリアミド 610

ポリアミド 410…

ポリ乳酸

ポリヒドロキシアルカン酸

ポリアミド1010

ポリアミド11…

1.1.3.2 BBM人造ボード

人造ボードの製作はBBMが最もよく利用される分野である。人造ボードは木材など の植物繊維を原料とし、接着剤と混合して高温圧縮成型によって製造される板である。

ファイバーボードとも呼ばれる。

BBM人造ボードの製作では、モミ、ワラ等農業生産活動に伴い大量に発生する農業 系廃棄物を有効に利用することができる。また、成形後のBBM人造ボードが高い強度 を持ち、各種の家具の製作に利用できる。これも木材資源の不足をある程度緩和できる。

特に最近はますます多くのBBMに基づいて開発された人造ボード家具も現れ始めてい る。

(13)

は植物の重要な構成要素であり、緑色植物に多く存在している。以前、わらなどの農業 副産物はよく廃棄物として焼却処分され、環境破壊をもたらした[27]。近年、植物繊維 の複合材料の研究が盛んになるにつれて、これらの農業副産物もBBMとして再利用さ れてきた。一般的な植物繊維は6種類に分類され、その主要な由来と分類は図1-6のよう に示されている[28]。茶廃棄物特に茶の茎は、BBMの茎繊維類に属している。

図 1-6 植物繊維の分類

高温圧縮成型法(Hot Press Process)はチップボード、中密度繊維板(MDF)など人 造ボード加工におけるある常用法として幅広く運用されている。加工過程において、圧 力は材料間の結合をより密にし,高温は接着剤の硬化を促進する。この方法により、人 造ボードの強度を向上させることができるようになる。他のBBMに関する研究でもこ の方法を採用して成形実験が行われている。

例えば、黄蓉は高温圧縮成型方法を採用し、麦わらに対して成型を行い、中国国家基 準(GT/T4897-92)に適合した人造ボードを得られた[29]。

筆者らは茶廃棄物の茎に対し、その繊維形態が針葉樹の材に近いという特徴を生かし て高温圧縮加工を行い、高い力学的強度を有する茶廃棄物人造板を製造した[9]。

Elvin KaranaらはCradle to Cradle, C2Cという理念に基づき、コーヒーかすのリサイク

(14)

作った。種子は水を加えた後に迅速に発芽し、同時にコーヒーかすは栄養を提供する [30]。

実際には、ヤシの繊維、針葉樹の葉、海草、さらに馬の糞便など自然界に存在する繊 維物質もリサイクルに使われ、その材料の特性に合う製品を作ることができる[31]。実 生活中においてもパルプ包装、木質のMDF(中質繊維板)など、さまざまなBBMをリ サイクルする事例が多く見られる。

1.1.3.3 BBMの問題

多くのBBMは低価格な反面、印象などの問題が存在している。例えば、図1-7のよう に、同じ木質由来の天然材料なのに、木材の方がいいと考えている人が多い。配向性ス トランドボード(OSB:Oriented Strand Board、以下OBSと省略する)は、木質材料の一 種である。高温プレス加工を経て強固な板材にしている。また、削片状のエレメントは、

パーティクルボードに用いられるものより面積が大きく薄い形状をしており、木材の異 方性をより多く残している。そのため、その見た目の印象から、OSBは端材や廃材のリ サイクル品だと誤解されることが多い[32]。材料の価格にも木材の方はOSBの数倍以上 である。強度を除き、OSB表面のテキスチャーは人の印象に悪い影響を与えていると考 えられる。

図 1-7 左:木材、右:木質配向性ストランドボード

BBMによる人造ボードや木質系ボードには各種の接着剤が加工工程で使用されてい る。これは、木材チップや端材を貼り合わせて人造板や集成材を製造するためである。

それらの接着剤の多くは、ホルムアルデヒド樹脂が接着剤の原料として使われている。

ホルムアルデヒドに曝露された場合、目、鼻、喉への刺激、濃度依存性の不快感、流涙、

くしゃみ、咳、吐き気などの症状が現れる[33]。 これもBBMにネガティブなイメージ を与えている。

そして、BBMの力学的性質に関するの研究例が多く見られたものの、材料の表現、

印象、感覚などに関する研究が依然として尐ない。木くず、もみがらなど、その形状自

(15)

ような不規則性はBBMの使用機能に影響を与えないが、人々の印象を低下させる。

また、BBMの一種である茶廃棄物の年間排出量は、木くず、もみがらなどと比べ、

低いである。卖純に人造ボードの原材料として利用すれば、効率が低くて最大の利用価 値が挙げられないと考える。そのため、茶廃棄物の発展に対して、高付加価値リサイク ル方法が必要と考える。

タッパーウェアの事例

BBMはプラスチックのように、最初にプラスチックが現れた際、それは安価ではあ るが、务悪で、違和感などを表していた[34]。プラスチックの発明は各分野にとって重 要な役割を果たしているが、当時は満足できる製品ではなく、プラスチックのイメージ を改善するため、木材、大理石等の天然材料にまねをするという「化粧貼り」が多く見 られた[35]。

20世紀50年代になると、タッパーウェア(Tupperware)という会社は軽くて柔らかい 感触のプラスチック(ポリビニル樹脂を主成分とする)材料を開発し、他製品から明確 に区別された。その材料はプラスチックの物理的な特性だけでなく、ユーザーに従来と は違った全く新しい使用体験をもたらした。そのため、当時のタッパーウェア製品は

「モダン専業主婦(Modern housewives)」、「モダンキッチン(Modern kitchen)」という印 象につながっていた[36]。

タッパーウェアの事例に基づき、Elvin Karanaらは新材料は機能性を満たすだけでな く、ユーザーに対する材料の体験(Materials Experience)も重要であると指摘している [37]。また、その体験の分類は表1-2に示すような感性評価語と関連することが分かっ た。

1-2 Elvin Karanaらは材料の体験ヘの定義 審美/感官体験

(Aesthetic experience)

意味体験

(Experience of meaning)

情感体験

(Emotional experience)

冷たい、つるつる、ピカピカ… モダン、セクシー、快適… 素晴らしい、驚く、退屈…

Elvin Karanaらは材料の体験をデザインするため、Material Driven Design (MDD)とい う方法を推奨した[30]。この方法は、SDによる感性評価は主要な定量化手法とし、「材 料認識」、「材料体験ビジョンを作る」、「材料体験を展示」、「材料をデザインする」とい う四つのステップによって構成されている。

Hassenzahlにより、製品の材料では、機能と意匠のニーズを満たす必要があり、新材

料を開発のため、学際的研究が大事なことが分かった[38]。

図1-8は新しい材料の高付加価値開発手段である。上記の研究者たちにより、材料に

「感性」という付加価値を与えることで、従来の材料との差別化でき、より広く使える ようになると考えられる。

(16)

図 1-8 材料の高付加価値開発手段

材料の開発において、材料自体の回収や成型などに注目するだけではなく、感性価値 の向上にも注目している。そのため、本研究は感性価値向上に関する方法を茶廃棄物の 高付加価値リサイクル手段とする。図1-9に、生分解性BBMに関する従来のリサイクル 方法を示す。従来のリサイクル方法は、成型及び生分解性実験から、材料のリサイクル 適性を把握し、BBM製品を開発するのが一般的である。

図 1-9 従来のBBMリサイクル方法

しかし、図1-10のように、本研究で検討する茶廃棄物を対象にしたリサイクル方法で は、従来のリサイクル方法に基づき、感性価値向上に関する研究により、感性価値を向 上させる方法を付け加え、茶廃棄物向けの高付加価値リサイクル方法を検討する。また、

デザイン作品により、研究結果を統合し、製品開発の可能性を探る。

(17)

図 1-10 本研究の方法

上記の先行研究をもとに、次の1.1.4節で感性価値を向上させる方法について論じる。

感性価値向上の方法 1.1.4

現代においては、製品の機能性、安全性のみならず、製品の外観がもたらす印象とい う感性の品質も重視され始め、選好判断に大きな影響を与えている。例えば、携帯電話 の実用性としては情報伝達機能である。精神的な満足の要求には、つながり感、安心感 と考えられる。柳沢は従来のデザイン方式ではデザイナーがいかにアイデアを具体化す るかを考えているが、感性に基づく理論的、定量的な説明が困難であると指摘している。

感性評価に関する方法はデザインプロセスにおいて、設計要求の把握の段階において要 求仕様を具体化することができる[39]。

続いて感性評価における理論的検討の事例について論じる。竹材の感性評価に関する 研究について、沈得正らは異なる方法で染色されたタケを研究対象とし、異なる染色方 法と印象評価との対応関係を分析した。研究は二つの部分に分かれており、第一部分で は沈得正らは異なる加工方法と染料で5つの実験サンプルを製作した。被験者に視覚情 報のみで各サンプルに対する印象を自由に記述してもらった。印象評価の出現頻度を基 準として数量化理論Ⅲ類により、異なる染色竹材に対応している印象評価語を解明した [40]。

研究の第二部分においては沈得正らはタケの構成要素である表皮、維管束、柔組織そ れぞれの部位を赤色、青色、緑色の三色で染色した場合の印象変化と、各部位と色が生 じる印象変化の検討を行った。サンプルに対する物理量の測定には、視感測色法を用い、

マンセル値(HV/C)及Lab値を測定した。上記の研究では、印象評価語を収集したもの の、色の違いによる竹材の印象変化は考慮していない。そのため、沈得正らは同じ方法 を採用して印象評価語を収集した。実験によって挙げられた出現回数30回以上の語を評 価尺度とし、7段階SD尺度を用い、因子分析を行った。因子分析から得られた第1因子

(活動性因子)と第2因子(評価性因子)を従属変数として竹材の染色部位と色(独立 変数)と重回帰分析を行った。これにより活動性因子の印象には表皮と柔組織の明度、

柔組織の色相が、評価性因子の印象には維管束と表皮の色相が大きな影響を及ぼしてい ることが明らかになった[41]。

(18)

評価との関係を分析した。彼らの研究では、BBMに向けての研究ではないものの、木 粉、コルク粉末などBBMに関する材料も感性価値を高めるためにフィラーとしてプラ スチックと混合し製作した[42]。

木質材料における研究では、信田聰らは日本産木材50種のデジタル画像を用いた視覚 的な好ましさの評価を行った。物理量に関する画像の明度とRGB値の最小値、最大値、

平均値など物理量を算出した。

感性評価に関する実験では、一対比較法を用い、各サンプルの視覚的な好ましさの間 隔尺度を求める。そして、信田聰らは色に関するパラメータと視覚的好ましさの間隔尺 度値の相関分析を行い、RGBの中のR値の変動係数やR値の最小値が好ましさと正の強 い相関性を明らかにした。R値の変動係数をさらに分析し、画像内の色のばらつきが小 さく赤みの強く明るい画像が視覚的に好まれるということが解明出来た。画像の明るさ と濃淡のばらつきが視覚的好ましさに対する影響の分析については重回帰分析によって 両者に定量的分析を行った。得られた回帰係数から考察すると、材内の赤みのばらつき が視覚的好ましさに影響を与えることが分かった[43]。

また、伊藤らは腕時計のグラフィックと選好に関する研究の中で、腕時計自体の材質、

色が固定されている場合、ダイアル、インデックスおよび針という腕時計のグラフィッ ク要素の違いにより、異なる選好結果を得た[44]。幼児の食物選好に与える視覚情報の 検討の研究において、同じ果物の視覚情報により、写真は線画(色がなく表面の情報を 貧弱にした線画)に比べて食物を選好するオッズが2.27倍になり、線画よりも、写真で 食物を選好する傾向が強いことが示された[45]。金相賢らは表示画像の解像度向上が選 好に与える影響を研究し、同じ内容の画像では4K画像が2K画像より好まれ、解像度の 向上は人の選好判断に影響を与えることを解明した[46]。

上記の研究では、感性評価の場合、印象評価および選好評価という研究方法がよく見 られた。このことから、「印象」と「選好」は感性価値表現において非常に重要な要素 であると考えられる。

また、茶の廃棄物に関する研究では、国立情報学研究所 (NII)における論文検索CINII、

Google Scholar、中国知網など学術論文検索エンジンにおいて検索してみると、茶の廃

棄物の加工や再利用に関する研究事例は見つけたものの、茶の廃棄物に対する感性評価 に関する研究例は当たらなかった。

そして、木材や竹材といった材料以外に印象評価に関する方法を使ってBBMの感性 価値を高める研究は非常に限られている。

課題 1.1.5

ここまで、本研究の先行研究から、茶廃棄物の処理について概観し、バイオベースマ テリアル(BBM)の研究、感性価値向上の研究事例について触れてきた。今までの既

(19)

BBMにおける研究課題について記述する。

1.1.5.1 茶廃棄物の分類について

図1-11は茶廃棄物の分類図である。1.1.2節において指摘したとおり、茶の茎は針葉樹 の材に近い繊維形態がある良い繊維原材料である。したがって、茶の茎にも人造ボード 加工の可能性があると考えられている。一方、茶殻が添加物とし、他の材料と配合して 人造ボードを作った事例はあったものの、茶殻自体が人造ボードの加工に適しているか どうかについての研究は見つからなかった。すなわち茶殻および茶の茎、この両者の人 造ボードへの加工適性に関する研究がない。また、三輪らの研究では、茶葉と茶の茎の 化学成分含量が異なっていることが判明した[47]。人造ボードの強度は主に植物繊維に より構成される。そのため、茶殻と茶の茎の成分の違いにより、成型した材料の強度も 異なると考える。

また、これまでの研究では、茶廃棄物についてさまざまな研究が行われ、一定の研究 成果が得られたものの、ほとんどの研究は卖一の茶廃棄物(例えば緑茶の茶殻、烏龍茶 の茶の茎など)に対して研究され、全面的かつ有効な解決策は与えられないという問題 がある。蘇団は烏龍茶の茎を粉砕し、高温圧縮成型方法により、茶茎人造ボードを作成 した。強度試験を通し、強度がある丈夫な人造ボードであることを確認した[14]。しか し、烏龍茶の茎以外に、緑茶、紅茶の茎もある。また、これらの茎の形態(大きさ)も 異なる。福田らは長さの異なる竹繊維を用い、バイオプラスチック(PLLA)と配合し て複合材料を製作した。強度試験を通し、比較的長い竹繊維複合材料の強度がより強い ことが発見した[48]。このことから、茎の形態の違いにより、成形した材料の強度も違 うと考える。そのため、茶の茎の種類と材料強度の関係を明らかにする必要がある。

図 1-11 茶廃棄物の分類図

(20)

1.1.5.2 茶廃棄物複合材料の生分解性

羽賀清典は、茶殻、茶の茎といった茶廃棄物を生物分解性有機廃棄物と定義し、堆肥 の原料になり得ると指摘している[49]。近年では、生物分解性有機廃棄物を用い、プラ スチックと配合することで、複合材料の生分解性の向上、製造コスト低減に向けた研究 が益々増えてきている。このように、茶廃棄物と配合して製作したプラスチック複合材 料は生物分解性を有すると想定される傾向がある。そして、廃棄物の添加率の増加に伴 い、生分解率も向上すると考えられている。

しかし、植物繊維はその分解性の違いにより、分解しやすいタイプと分解しにくいタ イプの二種類が存在している。例えば、サトウキビの搾汁後の残渣(バガス)は加工し て成形するとプラスチックと同じ化学構造を持ち、私たちの環境の中では数百年間持続 可能である[50]。衣川らは、生分解性研究の重要性を指摘し、生分解性プラスチックの 中にはライフサイクルの環境負荷に関する知見が十分でない材料もあり、ライフサイク ルにおいて寄与の大きいプロセスやパラメータの同定は環境負荷低減策を検討する上で 重要となる[51]。王文広のバイオマス材料の分解性分類に関する研究によると、木材・

プラスチック再生複合材((Wood-plastic recycled composite, WPRC))の原料は木質系原 料(木粉)であるものの、成形後に分解しにくい複合材料に属している(表1-3)[26]。

表 1-3 生分解されると生分解されない生物質プラスチック 原料

部分的BBMプラスチック 全面的BBMプラスチック

非 生 分 解

木 材 ・ プ ラ ス チ ッ ク 再 生 複 合 材

(WPRC)

デンプンとポリオレフィンのブレン

ポリアミド410、610、1021

バイオベース1、3-PDOを用いたPTT

ポリアミド11、1010、10T

バ イ オ ベ ー ス ポ リ プ ロ ピ レン

(PP)

バ イ オ ベ ー ス ポ リ エ チ レ ン

(PE)

生分解性 ポリブチレンサクシネート(PBS)

ポリカプロラクトン(PCL)

ポリエステルカーボネート(PPC)

ポリ乳酸(PLA)

ポ リ ヒ ド ロ キ シ ア ル カ ン 酸

(PHA)

変性デンプン

再生セルロース

上記のことから、複合材料の生分解性があるかどうかを解明するために、具体的な生 物分解性実験が必要と考えられる。

また、茶飲料の生産企業である伊藤園では、茶殻を配合したプラスチック樹脂を開発 し、射出成形によってバス・トイレ用品や文具用品などを製作したものの、製作した複 合材料の生分解性に関する研究は見つからない[8]。

1.1.5.3 感性価値を向上させる方法

1.1.4節での先行研究に基づき、感性価値向上に関する研究方法では、図1-12のように、

二種類のモデルに分類できると考えた。物理量とは、ものの形、色、テクスチャ、機能

(21)

ている物理量を抽出できる。「物理量―選好」モデルでは、前と同じように測定し、お 互いの関係を分析する。そして、選好に有意な影響を与えている物理量を抽出できる。

図 1-12 感性価値向上に関する従来のモデル

上記の2つのモデルは研究対象が同様であるが、最後の目標が違う。また、今の感性 価値向上に関する研究方法では、人の印象及び選好の向上を目指す研究法が主流となっ ている。

しかし、印象と選好との関係性の研究は行われていない。また、印象と選好が混在し ており、区別できないことも多くある。

図1-13のように、選好という概念に関しては、日常用語と特定の数理的な研究用語の 両方の定義を持っている。例えば、日常用語においては、よく印象評価語の「好み」と 同じように、選択における傾向性を意味している。それ以外、「かわいい」という女性 特有の選好用語も見られる[52]。

ただし、特定の研究領域では、選好はより厳密に定義されている。藤井は数理的な研 究における選好に対し、「数理心理学においては、特定の人物の選好は、選択肢間の順 序付けとして定式化されている。つまり、数理的理論体系の中では、選好とは、ある個 人甲が、ある選択肢a よりも選択肢b をより好ましく感じているという関係そのものを 意味するものとして定義されている。そして、しばしばそういう関係はa <bと表記され る」と説明した[53]。

(22)

図 1-13 日常用語と数理的な研究用語の選好

ミクロ経済学における選好では、消費者行動理論に属していると考えられる。選好は 消費者が異なる消費の組み合わせに対する好みの程度を記述し、自分の意識に沿って順 位を作るものである。選好は消費者の選択行動に影響を与える要因と考えられている。

したがって、消費者の選択行動を研究するためには、まず消費者の選好を研究すべきで ある。アマルティア・セン(1998年ノーベル賞受賞)は選好を「選択に内在する二項関 係」と呼んでいる[54]。このことから、数理的な研究領域選好では、印象と明確な違い があることが分かった。

また、印象と選好の測定方法も異なる。図1-14に示すように、印象を評価する時には、

一般にSD法が用いられることが多い。SD法とは、対象物に対して複数の形容詞を用い て印象評定を行う方法である。一方、一対比較を選好の測定する方法として用いられて いる。

一対比較とは判断すべき複数の対象から2つを対にして呈示し比較させる方法である。

この方法にはいくつかの手法があるが、好ましさを測定する場合、Thurstone法では対 呈示された対象物から、より好ましい方の対象を強制的に選択するよう求める。また、

SD法は卖独の刺激に対する評価であるのに対して、一対比較は2つの刺激の比較を基に した評価といえる。

(23)

図 1-14 SD方法と一対比較方法の違い

鎌田らは商品写真に対する印象と選好の差異性を検証した。研究結果から、印象評価 得点が高い商品の方が低い商品よりも選択されやすい傾向があったものの、有意な結果 とはならず、印象評価得点が高い商品は必ず選ばれるとまでは言えない。また、印象評 価得点が高くても選好評価が低い、逆に、印象評価得点が低くても選好評価が高い商品 がある[55]。

筆者は茶廃棄物材料に対する印象と選好の関係を解明するため、2018年12月5日から 12月10日までオンラインで20名の被験者に対して評価実験を行った[56]。

今回実施したアンケート調査では、中国の調査サイト「問巻星」にてアンケート票を 作り、アンケート票のリンクをウェーボーやWeChat(微信)等のソーシャルネット ワークに上げ、回収した。

評価実験の刺激は茶廃棄物により作った材料の画像8枚(図1-15)であり、画像に対 する印象と選好評価実験を行った。印象評価実験では、自然、明るい、温かいなど9つ の印象評価語を用い、7段階評価項目を作成した。また、被験者は画像に対する順位を 決めることにより、選好評価実験を行った。最後に、印象と選好評価実験から得られた データを相関分析を行い、相関係数を求めた。相関分析の結果を表1-4に示す。自然、

明るいなど印象が選好と正の相関が見られたが、華やかというポジティブな印象が選好 にネガティブな影響を与えていることを示唆する結果を得た[56]。本実験の結果により、

印象と選好の間に負の相関関係を発見し、印象の向上は選好の向上と等しくないことを

(24)

好に影響を与えている物理量を抽出できる。しかし、印象といった要素に対する研究を 欠いているので、実際に応用する場合においてデザイン活動にとって足りないところも ある。具体的には、デザイン製品自体の印象表現はデザイン活動における重要な要素と 考えられている。製品開発の段階において印象の表現は消費者集団の位置づけと密接な 関係がある。例えば、未来感のある製品の外観は若い消費者に人気があったものの、高 齢者にとっては受け入れられにくいということが考えられる。

特にデザインする時、卖純に物理量から選好を向上させる研究は参考価値が低いと考 える。上記の分析から、消費者の選好とデザイン活動の両方のニーズを満たすために、

印象と選好を向上させる方法の構築が必要だと考える。

図 1-15 茶廃棄物により作った材料の画像8枚

表 1-4 印象と選好の相関係数

自然 明るい 温かい 高級 きれい 目立つ 華やか 柔らか

落ち着 選好

Pearson 相関係

0.811 0.528 0.443 0.112 0.449 -0.142 -0.514 0.356 0.279

ここでは、先述1.1.5.1節から1.1.5.3節までとりあげた茶廃棄物と感性価値向上させる 研究の課題について整理する。

上記の研究背景および先行研究で述べた内容から明らかなように、茶廃棄に関する研 究では、いくつかの問題が存在している。まず、茶廃棄物の加工利用についての一般的 な知見が乏しい(ほとんどの研究は卖一の茶廃棄物に対して研究されている)。また、

茶の廃棄物を加工して成形した材料に関する生分解性の研究が見られなかった。そして、

茶の廃棄物のみならず、BBMに関する感性価値向上における研究が非常に尐ない。

(25)

印象と選好との関係性の研究が尐ない、印象と選好が混在しており、区別できないこと も多くある。

これらの解決すべき課題と明らかにすべき項目について表1-5にまとめている。

表 1-5 本研究で明らかにすべき課題の整理

対象 課題 明らかにすべき項目 期待できる成果

茶廃棄物 課題A 茶廃棄物の分類と強度 の関係

茶殻と茶の茎の異同からリサイ クル適性の分析

茶の茎の種類と材料強度の関係

茶廃棄物に対する高 付加価値リサイクル

要件の抽出 茶廃棄物複合材料 課題B 茶廃棄物複合材料の生

分解性

成型した茶廃棄物複合材料の生 分解性

感性価値向上させ る方法

課題C 印象と選好を向上させる 方法

印象と選好間の関係を分析する ための定量化的な方法

1.2 目的

経済産業省から発表された2010年度の経済政策、「新成長戦略」の中でグリーンイノ ベーションが大きな戦略課題となっている[57]。この戦略を産業界や学界での研究開発 に投影すると、再生可能資源からのエネルギーと化学品の生産、つまりバイオエネル ギーとバイオベースマテリアルとなる。このことから分かるように、BBMは次のグ ローバル戦略の中でますます重要な役割を演じることになると考えられる。

したがって、本研究は、既存研究が残してきた課題について、茶廃棄物を研究対象と してより全面的に掘り下げて研究し、異なる領域の研究方法を結合して研究するにより、

茶廃棄物における高付加価値リサイクル方法を構築することを目指すものである。

そのためには、異なる種類の茶廃棄物の区別に関する研究が不可欠である。さらにそ のためには、複合材料の生分解性について、具体的な生物分解性実験が必要となる。

また、材料の感性価値を向上するために、「印象」、「選好」要素の関係を分析する必 要がある。最後に、材料と感性に関する研究を結合することにより、茶廃棄物リサイク ル方法を構築し、茶廃棄物製品を提案する。

1.3 研究方法

図1-16は、研究方法の構成である。「高温圧縮成型方法」、「土壌埋設方法」、「印象、

選好評価に関する方法」の三つの方法で構成されている。

(26)

図 1-16 研究方法の構成

「高温圧縮成型方法」では、1.1.3.2節で述べたように、高温圧縮成型法(Hot Press

Process)は木材チップのパーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、木質配向性スト

ランドボード(OSB:Oriented Strand Board)など人造板加工における常用法として幅広 く運用されている。加工材料と接着剤を混ぜて加工過程において、圧力は材料間の結合 をより密にし、高温は接着剤の硬化を促進する。この方法により、人造板の強度を向上 させることができるようになる。また、他のBBMに関する研究にもこの方法を採用し て成形実験を行う。

「土壌埋設方法」は土壌中にある微生物により、材料を分解させる方法である。具体 的には、成形した材料あるいは試料を土中に埋設し、一定の時間(数十日、数月)が経 つと、材料を取り出して質量損失、強度の損失、分解状態などを測定する。「土壌埋設 方法」では、コンポスト法や活性汚泥などの方法に比べ、試験期間が長いと考えられた ものの、自然環境条件下においての分解性をより真実に反映できるというメリットがあ る。

「印象、選好評価に関する方法」では、物理量を測定したBBMの画像を例に、SD法 および一対比較法を利用し、BBMの画像に対する印象および選好の傾向を定量的に把 握する。そして、定量化した物理量、印象、選好のデータに基づき、SPSSという統計 解析ソフトウェアを利用し、相関分析、回帰分析により、上記の三要素の関係性を分析 し、印象と選好に有意な影響を与えている物理量を抽出する。

また、本研究では、「材料」、「感性」の2つの部分に分けた。

材料のリサイクルには、高温圧縮成型方法に基づき、茶廃棄物に成形実験をし、強度 を測定する。実験結果から、どのような要素が成形した材料の強度に影響を与えている かを解明する。また、茶廃棄物複合材料に対し、土壌埋設による生分解性実験を行い、

茶廃棄物の添加量に伴い生分解率が増加するかを分析する。

材料の感性価値向上には、印象及び選好両方とも向上させることができるモデルを提 案する。また、提案モデルを基づき、材料の物理量、印象および選好といった三要素の 関係を定量的分析し、高付加価値リサイクル要件を抽出する。最後に、茶廃棄物を対象 とし、提案したモデルに検証実験を行い、モデルの有効性を検証する。

(27)

1.4 本論文の構成

本論文では、序論である本章の他に、以下の5つの構成で展開する(図1-17)。

第二章では、茶の廃棄物を構成する茶殻と茶の茎に文献調査を行い、高温圧縮実験に より両者のリサイクル適性を解明する。卖一の茶廃棄物だけで研究するという問題に着 目し、茶の総生産量世界第1位である中国を研究例とし、中国の異なる茶樹の茶廃棄物

(茶の茎)を収集する。そして、その茎の形態、粉砕後の繊維分布状況及び成形した強 度を分析し、異なる茶樹の茎の異同及びその異同が生じる要素を抽出する。

第三章では、成形した茶廃棄物が自然環境における生分解性を分析するために、文献 調査により、茶の廃棄物およびバイオベースマテリアルの生分解性の影響要因を判明す る。射出成形実験により、生分解性の試料を製作する。そして、土壌埋設法を採用し、

成形した茶廃棄物複合材料の生分解性を測定する。

第四章では、感性価値向上のため、印象および選好を向上させるモデルを提案する。

そして、そのモデルに基づき、茶廃棄物及びバイオベースマテリアル(BBM)に対し て材料の感性価値を向上させる方法について研究する。本章の中で、茶廃棄物を含む BBM画像38種を収集し、視覚的な角度から印象と選好との関係及び画像の物理量が印 象と選好に与えている影響を定量的に分析する。

第五章では、第四章の結果に基づき、茶廃棄物により作成した画像を試料として画像 加工および検証実験を行う。先ずは画像処理ソフトウェアPHOTOSHOP、IMAGEJによ り材料の画像を加工する。そして、加工前後の画像によって印象と選好の変化を測定し、

前文で提案したモデルの有効性を検証する。

第六章では、本研究を総括し、まとめを行い、茶廃棄物リサイクルと茶廃棄物の感性 価値を向上させるモデルに関する結論を述べる。また、高付加価リサイクル方法を構築 し、茶廃棄物製品提案を行う。最後に、本研究の限界および今後の展望について示す。

(28)

図 1-17 研究のフロー

(29)

基礎論文と本稿の対応を表1-5に示す。

表 1-5 論文と本稿との対応

論文タイトル(査読有り) 発行年 対応する章 生物質材料茶木の視覚的印象及び選好の研究(生物质材料“茶木”

的视觉印象以及喜好度研究), 高品, 尾方義人,

设计(デザイン)雑誌,设计雑誌出版社, Vol.5, pp.234-237 概要:茶廃棄物画像の印象と選好について、相関分析により、画像 の印象と選好の関係を分析した

2020.3 第1章

高温圧縮に基づいて、茶廃棄物の種類と強度との関係について(基 于热压工艺下,茶梗碎料板强度与茶梗种类的关系探究),

高品,尾方 義人,

建材与装饰(建材とインテリア)雑誌, 建材与装饰雑誌出版社,

Vol.47, pp.162

概要:高温圧縮成型方法に基づき、紅茶、緑茶及び烏龍茶の茎の形 態を分析し、成形した材料の強度に影響する要因を解明した

2017.11 第2章

The Methods of Tea Waste Reutilization and Economic Benefits Analysis, Pin Gao, Yoshito Ogata, Jin Liu, Chang Song,

2017 5th International Conference on Mechatronics, Materials, Chemistry and Computer Engineering 学 会 誌 ,Atlantis Press出 版 社, Vol.141, pp.418-423

概要:費用便益分析を採用し、成形した茶廃棄物材料に対し、経済 収益と環境収益から生産者は利益を得るかどうかを論じた

2017.9 第2章

Biodegradability of PLA and Tea Waste Composites Based on “CHAMU”

and the “Tea Waste Recycling System” , Pin Gao, Yoshito Ogata,

IOP Conference Series: Materials Science and Engineering 学会誌,IOP Publishing出版社, Vol.563, no.2, pp.1-8

概要:土中埋設法を採用し、射出成型により得られたPLA/茶廃棄物 複合材料の生物分解性を測定した

2019.7 第3章

CHAMU:An effective approach for improving the recycling of tea waste, Pin Gao, Yoshito Ogata,

IOP Conference Series: Materials Science and Engineering 学会誌,IOP Publishing出版社, Vol.711, no.1, pp.1-10

概要:土中埋設法を採用し、射出成型により得られたPLA/茶廃棄 物複合材料の生物分解性を測定した

2020.1 第3章

(30)

また、その他研究発表と本稿の対応を表1-6に示す。

表 1-6 発表と本稿との対応

発表タイトル(査読無し) 発表日 対応

する章 レジリエンスデザインとしての環境の構築―廃棄物である「茶木」の再生利

用による、エネルギー効率化と環境保護の研究 高 品、江頭優佳、三舛悦人、尾方義人

日本デザイン学会第4 支部 平成29 年度研究発表大会

2017.01.28 第2章

「茶木」家具 高品

ミラノサローネの上海展「第1回Salone del Mobile.Shanghai」

2016.11.19

~21 第2章

「茶木」家具 高品

ミラノサローネの上海展「第2回Salone del Mobile.Shanghai」

2017.11.23

~25 第2章

CHAMU Eco-friendly Tea Packing 高品

China Red Star Design Award受賞(中国)

2018.12.9 第3章

CHAMU Eco-friendly Tea Packing 高品

Green Concept Award入賞(ドイツ)

2019.1.15 第3章

Establishment of Tea Waste Recycling System based on the concept of CHAMU, 高品,

2019 Materials Research Society (MRS) Spring Meeting & Exhibit Best Poster Award入選(アメリカ)

2019.04.22 第3章

(31)

高温圧縮成形法に基づく、茶廃棄物のリサイクル 第2章

2.1 本章の目的と概要

本章では、茶廃棄物の分類に関する課題を解決するため、茶廃棄物のリサイクル適応 性に着目し、高温圧縮成型方法および強度試験を通し、材料自体の成分、形態と強度の 関係を明らかにすることを目的とする。具体的には、まず、茶の茎、茶殻といった茶廃 棄物のリサイクル適応性を把握するために、茶廃棄物の中で茶殻と茎の成分上の区別、

異なる種類の茎による強度の違いについて先行研究を行う。また、先行研究から得られ た結果を踏まえた上で、茶廃棄物のリサイクルについて仮説を設立し、検証実験を行う。

最後に、結果について考察を行う。

2.2 先行研究および仮説設定 茶殻と茶の茎の成分比較 2.2.1

前文において、茶廃棄物は、主に茶殻と茶の茎に分類されることを述べた。近年では、

この二つの廃棄物に対して分別研究をする研究例がいくつかあったものの、この両者の 区別に関する研究がない。また、既存研究において、この二つの廃棄物の作用が違うこ とが指摘されている。具体的には、江进学らは中密度繊維板(MDF)のホルムアルデ ヒドの放出量を低減させるために、茶殻を利用し、高温圧縮成型によるMDFを製作す る[16]。実験を通して、茶殻の添加によってホルムアルデヒドの放出量を低減されたも のの、茶殻の添加量の増加に伴い、強度も低下することがが確認されている。一方、於 学領は茎の粉末を利用し、射出成型による樹脂/茶複合材料を製作し、強度を測定した 結果から、茶の茎を粉砕した後に150μmふるいを通過させたものを用い、30%の割合に より添加して製造した樹脂/茶複合材料の引張強度は茎の粉末を添加していないプラス チックより優れていたことを発見した。

上記の既存研究から、茶廃棄物の種類の違いにより、成形した材料の強度に影響を与 えていることが分かる。また、人造ボードの強度の形成は主に材料自体に含まれる植物 繊維から生じるため、茶殻と茶の茎成分上の違いは強度に影響する主な原因と考えられ る。

蘇団は、植物繊維の中でセルロース含有量の多尐は成形後の材料の強度に決定的な影 響を与えることを指摘した。すなわちセルロース含有量が高いほど、成形した材料の強 度が向上する[14]。

では、茶殻と茶の茎という茶廃棄物において、植物繊維に関する成分はについて、既 存研究をもとに、表2-1に示している。表から見えるように、二つの廃棄物の繊維質の 比率が異なることがわかる。茶の茎の繊維質特にセルロースの含有量は茶殻の3倍以上 である。セルロース含有量の違いにより、成形した茶廃棄物の強度も違うと考えられる。

(32)

表 2-1 茶殻と茶の茎の繊維質の比率[14] [58][59] セルロース/% ヘミセルロース/% リグニン/%

茶殻 10 3.4 8.07

茶の茎 35.01 31.28 9.81

茶の茎形態について 2.2.2

前文の研究では、茶の茎が人造ボードの原材料として加工でき、一定の強度を持って いることが証明されていた。

しかし、茶の茎の種類やその茶樹の種類については明確に分析されていない。異なる 種類の茶の茎には、その茶の茎自体の形態も違う。1.1.5.1節において指摘され、材料自 体の形態は成形した強度に影響を与えている。そのため、成型した茶の茎材料の強度も 異なると考えられる。それを明確に分析しないと、茶の茎の応用に影響する恐れがある。

他のバイオマス材料における研究としては、大北らによる竹繊維の大きさ及び竹繊維 含有率と衝撃強さの関係を調査した事例が挙げられる。図2-1のように、竹繊維の直径 が180μmから500μmの範囲では,竹繊維含有率が増加するに伴い、衝撃に対する強さ は向上した。一方、同75μm未満では竹繊維含有率の増加に伴い衝撃に対する強さは低 下することを発見した[60]。このことから、材料自体の直径は強度に影響を与えている ことが分かった。また、蘇団は、茶の茎の大きさは強度に影響を与えることを指摘した。

茎が長く太いほど成型した材料の強度も大きくなる[14]。

図 2-1 竹繊維含有量とアイゾット衝撃強さとの関係(大北 引用)

また、先行研究により、茶の茎の形は茶樹の種類と密接な関係があることが発見した。

茶の主要な生産国である中国の例を挙げ、茶樹は産地の気候、土壌、降水量などの条件 によって低木型と高木型の2種類に分けられている。

(33)

地は低木型の茶樹が多く、江单生産区は低木型と小型の高木型茶樹が中心である。西单 茶生産区は地形が複雑で山が多く、気候の違いが大きいため、この地区には各種の茶樹 が生育している。華单茶生産区の気温が高く、降水量が多いのため、中国において最も 茶の生育に適している地区である。この地区の茶樹の種類は高木型で、その茶の茎の形 態も最も大きい。このことから、茶の茎の形態は加工方法によって分類された茶の種類

(烏龍茶、紅茶、緑茶など)と関係がない、茶樹の種類と関係があることが分かった。

図 2-2 中国の四大茶産地および茶樹の種類

図2-3のように、図の左側は中国の福建省の高木型茶樹の茎で、図の右側は日本の静 岡県の低木型茶樹の茎である。この二種類の茎を見ると、形態の明らかな違いが分かる。

低木型茶樹の茎は高木型茶樹の茎よりも細くて小さい。

図 2-3 左:高木型茶樹の茎、右:低木型茶樹の茎

図 1-14  SD方法と一対比較方法の違い  鎌田らは商品写真に対する印象と選好の差異性を検証した。研究結果から、印象評価 得点が高い商品の方が低い商品よりも選択されやすい傾向があったものの、有意な結果 とはならず、印象評価得点が高い商品は必ず選ばれるとまでは言えない。また、印象評 価得点が高くても選好評価が低い、逆に、印象評価得点が低くても選好評価が高い商品 がある [55] 。 筆者は茶廃棄物材料に対する印象と選好の関係を解明するため、2018年12月5日から 12 月 10 日までオンラインで 20
図 2-4  高温圧縮実験プロトコル   実験結果と考察 2.3.3  高温圧縮成形により得られた人造ボードは図 2-5 に示すように、茶の茎によって製作 した人造ボードは十分な強度を有していた。しかし、茶殻で成形した人造ボードの強度 が低い茶殻ボードに小さな力を加えるだけで、ボード自体が破断を発生する。これは茶 殻の中でセルロースといった強度を構成する必要な成分が欠乏し、接着剤が添加されて も十分な強度にはならないためである。また、加工方法の影響により、高温に耐えられ ない茶殻が炭化させられ、茶殻ボードの
図 2-5  茶茎の人造ボード  表2-3に示した実験結果から見ると、セルロース含有量が高い茶の茎がセルロース含 有量が低い茶殻より強いことが分かり、上記の仮説 1 と一致した結果が得られた。 また、曲げ強さの規格値により、セルロースの含有量が低い茶殻は人造ボードの原材 料としては適さないということが分かった。一方、セルロースの含有量が高い茶の茎は パーティクルボードの規格値( 13 タイプ)に適合し、とても良い原材料であることが分 かった。このことから、茶の茎人造ボードは家具の材料として利用できることが分
図 2-8  粉砕した茎繊維の分布状況  2.4.3.2 強度の比較  今回の試験は、材料の曲げ強さ、引張強さを測定する。力学試験の結果(表2-5)に よると、高木型茶樹の茎は成形後の強度が低木型茶樹の茎より大きかったことが分かっ た。このことから、仮説2と一致した結果が得られた。  また、この実験により、茶の茎による成形したボードの強度に影響する要素を解明し た。強度に影響する要素は茶樹の種類である。そのため、すべての茎は同じ加工方法に 適合しているわけではなく、茶の茎の加工実験と茶の生産区の現地状況を結
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