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技術革新 ライフ

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Academic year: 2022

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技術革新 

研究開発

Vol.102 No.01 125

技術革新  ライフ

がんの放射線治療の一種である粒子線治療では,患 部の形状と体表からの深さに合わせ,加速器がイオン ビームを適切なエネルギーまで加速して照射する。

日立では,高精度・高線量率の照射が可能であり,病 院に容易に設置できる小型・低コストを実現する新型 加速器VEMICを開発中である。

従来型加速器では,加速器としてビームのエネル ギーとON/OFF制御が容易なシンクロトロン,または 超伝導電磁石の採用により小型化が容易なサイクロト ロンが採用されている。

従来型加速器の長所を兼備するVEMICでは,超伝 導電磁石が励起する磁場内を,偏心軌道に沿ってビー ムが加速される。各エネルギーのビームが共通して通 過する軌道集約領域の外に取り出しチャネルを設ける ことで,任意エネルギーのビームを高周波キッカーに より取り出し可能としている。

現在,理想的な電磁場条件において加速原理が確認 されており,今後はハードウェアの試作試験を実施し たうえで製品適用をめざす。

粒子線治療向け

新型可変エネルギー加速器

1

地球温暖化を防ぐためには,CO2排出量の少ない EV(Electric  Vehicle)/PHEV(Plug-in  Hybrid  Electric Vehicle)の普及が必要とされている。バッテ リーを主動力とするEV/PHEVは,航続距離や車内空 間の拡大が課題であり,これらを解決するため,モー タやインバータなどの電動パワートレインの小型・高 出力化が求められている。

日立は,インバータの中で大きな体積を占めるパ ワーモジュールやその冷却システムに対して,内蔵さ

直接水冷型両面冷却パワーモジュール を搭載した車載インバータ

2

2直接水冷型両面冷却パワーモジュール 1新型可変エネルギー加速器の構成

超伝導 コイル

磁極

加速電場

ディー電極

取り出し ビーム

セプタムコイル

チューナ 回転 コンデンサ ビーム

偏心軌道 ビーム

ヨーク

Φ2.7 m

ビーム

ビー 安定周回磁場を形成

主電磁石

ピーラ

リジェネレータ磁場 勾配を持つ磁場でビームを取り出し口 まで変位させる。

高周波加速空胴

回転コンデンサ結合で周波数変調

取り出しチャネル

セプタム電磁石でビーム取り出し 高周波キッカ

高周波電場でビームON/OFF制御

(2)

126

れるパワー半導体の両面をグリースを介さず冷却水で 直接冷却する両面冷却パワーモジュールを開発し,

2013年に量産を開始した。

今回新たに開発した直接水冷型両面冷却パワーモ ジュールは,パワー半導体の性能を最大限に発揮させ るために,大電流配線の低インダクタンス化とパワー 半導体の放熱性向上を行った。特に,低インダクタン ス化はパワー半導体の両面に配置した放熱フィンに渦 電流を誘導する回路形状と,複数の配線を並列に配置 して周囲の磁束を打ち消すことで可能にしている。ま た,高い放熱性は絶縁層の熱抵抗を低減することで達 成した。

本パワーモジュールを搭載したインバータは,出力 パワー密度が従来比約1.6倍の54  kVA/Lまで高めら れ,アウディ社(Audi AG)初の量産電気自動車である

「e-tron」に採用された。今後は機種展開を計画して おり,EV/PHEVによる環境負荷低減に貢献していく。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

*は「他社登録商標など」(143ページ)を参照

日本をはじめとした多くの先進国では,労働力人口 の減少や高齢者の移動困難などの社会課題が予測され ており,産業機器や自動車の自動運転による課題解決

高信頼・高安全を実現する 自動運転システム技術

3

が期待されている。自動運転の普及には,対象システ ムのさらなる安全性や信頼性が必要となる。その際,

さまざまな環境変化に応じた制御システム機能の変更 や更新,異常発生時の安全な対応が必要となる。

日立では,これまでIT分野で培ってきた機器制御技 術の知見を生かし,ソフトウェアにより制御システム の機能を柔軟に変更可能なミドルウェア技術を開発し た。本技術では,制御システムの自動運転中にセンサー からの入力情報や,制御演算の計算結果をバックアッ プ領域に保存する。制御システムの機能を変更する場 合には,バックアップ情報を用いて入力情報の再生や 計算値の修正を高速に実施する。これにより,信頼性 や安全性の高い自動運転の実現が可能となる。

自動車のステアリングシステムは,車線維持のため のハンドル操作などの運転支援機能を加えながら,よ り高度になる自動運転レベルに対応した高信頼化が要 求されている。

今回,信頼性を高めるため二重化した冗長型のモー タとコントローラを小型化する技術を開発し,ベルト ドライブ式電動パワーステアリングに適用した。巻線 を二重化したモータは,磁界解析を駆使した最適設計 により磁石の減磁耐力を最大化する構造として,永久

高信頼電動パワーステアリング向け 冗長型モータコントローラ小型化技術

4

4ベルトドライブ式電動パワーステアリング

モータコントローラ

3制御システムソフトウェアの高速変更技術

異常時

( CPU2

側に機能

A

を上書き)

機能B

CPU2 CPU1

CPU2 CPU1

機能A 機能B

バックアップ 領域

バックアップ 領域 機能A

正常動作時

産業機器

センサー

モビリティ 産業機器

モビリティ

バックアップ 情報 ミドルウェア

計算値

入力情報

CPU1

異常発生 制御情報

センサー

入力情報 制御情報

注:略語説明 CPUCentral Processing Unit

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技術革新 

研究開発

Vol.102 No.01 127

磁石使用量を低減した。また,コントローラは分割し たパワーモジュールを分散配置することで冷却効率を 高め,ヒートシンクレス構造に刷新した。これらの技 術により,本来冗長化で純増するはずのサイズを従来 に比べて20%小型化することに成功した。

今後は,さらなる信頼性を高めた自動運転レベル3 以上に適用可能な小型モータ・コントローラにより,

高度な顧客ニーズに対応していく。

(日立オートモティブシステムズ株式会社)

(量産開始時期:2019年4月)

近年,少子高齢化や共働きの増加などにより,生活 環境の多様化が見られる。このような変化に合わせて ニーズも多様化しており,ユーザーが使い方を選べる カスタマイズ機能として,下部の二つの引き出し(切 替室)を冷凍・冷蔵・野菜の収納から選べる冷蔵庫を 開発した。

本機能を実現する熱流体制御システムでは,冷蔵庫 の背面側に設けた大風量ファンと二つのフラップを制 御することで切替室への冷気風路を替えて,温度帯を

冷蔵庫の熱流体制御技術

5

切り替えている。冷凍時にはフラップを開き,冷却器 からの冷気を引き出し容器内に直接入れて冷却させ,

冷蔵(野菜)時には主にフラップを閉じて,冷気を直接 送り込まずに切替室後方の断熱壁からの伝熱を活用し て冷却させている。

今後,カスタマイズも含め,使用者の一人ひとりに 寄り添い,生活の質を高めるような機能の開発をめ ざす。

日立製作所研究開発グループ東京社会イノベーショ ン協創センタは,日立グローバルライフソリューショ ン ズ 株 式 会 社 と 連 携 し,「Hitachi  meets  design  PROJECT」と題したデザイン改革を推進している。

この取り組みの特徴の一つが,社外デザイナーやエキ スパートとのコラボレーションによるデザイン価値の 創造である。

昨今のキッチンは,リビングに開かれたオープンな スタイルが主流となってきており,「見せるキッチン」

としてインテリアデザインへの関心が高まっている。

こうした潮流に応えるため,さまざまなこだわりを持 つ使用者の嗜(し)好に合わせ,豊富なバリエーション のある冷蔵庫をデザインした。2019年12月に発売さ れた冷蔵庫HWSタイプでは,インテリア家具や日用 品に実績のあるACTUS社をパートナーとしてデザイン 開発を行った。従来の家電品にはない落ち着いた印象 の色彩や仕上げを持つ全7種の選択肢を用意している。

今後も,社会の変化を見据えながら人々の生活を彩 り豊かにするデザインをめざし,デザイン改革を推進 していく。

社外コラボレーションによる 生活家電のデザイン

6

5温度帯切り替えを実現する熱流体制御システム

「冷凍」設定時

「冷蔵」設定時 大量の冷気を直接入れて冷凍温度まで冷却

フラップ開

フラップ閉 直接の冷気の流入を抑え, 伝熱を利用して間接的に冷却

大風量ファン 上段

切替室 冷蔵室

下段

切替室 冷却器

大風量ファン 冷却器 上段切替室側断面イメージ図

ドアドア

上段切替室側断面イメージ図 仕切り フラップ

仕切り

フラップ 大風量 ファン 冷却器

断熱壁 主に伝熱を

利用して冷却 冷気を直接 送って冷却

6冷蔵庫HWSタイプのバリエーション例

参照

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