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イオン電流計算式に含まれる誤差関数の検討

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Academic year: 2021

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(1)Title. イオン電流計算式に含まれる誤差関数の検討. Author(s). 松浦, 勇二; 鈴木, 岳. Citation. 北海道教育大学紀要. 自然科学編, 51(1): 73-81. Issue Date. 2000-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/541. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (自然科学編) 第5 1巻 第1号. 平 成 12 年 9 月. lof Ho jowl 霊童縦do Uhiversiケ of Educat i ) Vo na l i on (NatmaISc ences .51 , No .I. Sept ember ,2000. イオン電流計算式に含まれる誤差関数の検討. 松浦. 勇 二 ・ 鈴木. 岳*. 北海道教育大学釧路校技術教室 * (株)ソフトフロント. study of the Enror Function Exist ing in the Nuu ion of the lon Cu [ nericaI Calculat u ヒ rent Y叫i M[ATSL元 I RA, Takash i SUZU り紅*. Tech =国ca ILaborato dro Campus ; ido Uni i坪 of Educat i a ver s iy, Kush on , Hoも出 *Sof t コ Frontbqc .. Abstract The e lec l 口on energy di ion of A ive ColumLn ofthe glow di t sbdbut r 血 the Posi scharge can be meas‐ L ’ is of Dた 則red on 出e bas lect r rents are the su um of e yveste~rn s Probe theoly. Because・Probe cuu ron cuu rrents and i 0n c皿αents, it is necessaIγ to remove ion c皿菖ents frOm Probe cuu rrents m order to. im the accuate electron energy di obta ご ibut ion. sb VVe have i ー r l igated t ゴロst ing in t lue of t l vest r l e ion cuαrent e he probe cuu red va r rents. ln e measuj thi he aPproXi ion by Hast s Paper, we use t ings m order to i 1nate equat he accu] 亡acy ofthe I口Prove t ゴ ロ L l亘at ion fort heion cuロ nmme ion is the aPPro露江口ate 倭xPansion equat cal cal c ビ rents ion of s equat . Thi. 化l ] ばbut ion Funct ion wh i l 刀 l e NonnaI Dist ion ofthe enror funct ion- on 化 ch is used for calc at l e basis ts of 化l ese resul i red electron ene i ion of A 1 r e the measui ical rgy d ththe theoret stdbut r Wi L , we compa di ゴ ロbut ion. st. キ ー ワ ー ド:A1グロー放電, イオン電流, 誤差関数 標準正規分布関数 電子エネ ルギー分布 , , l ( ion,the normal d ow discharge of一缶,ion cmrent ist亘but ion 短ロct tmct ion, g , error f electron enerき. 由sthbut ion). 1. 緒. 言. ラングミュア探針原理に基づ いてプラズマ中の電子エネルギー分布を測定する際には, 探針に流入するイ オン電流についての補正が必要となる. 筆者らはこれま で, 文献( 1 )に示すア ドミタンス法によるヘリウムガ. ス及びネオンガスの電子エネルギー分布測定値についてイオン電流補正を行って精度の良い電子エネルギー 1 1 3 1 4 } 電 子 エ ネ ル ギ ー 分 布 F( )測 定 値 は (1 ・ 1) 式 で 表 わ さ れ るD ・② ’( ’{ 分 布 を求 め て い る( ど t ruyves e . ~頃 の. (7 3).

(3) . 松浦. 74. 勇二・鈴木. 岳. ,探針電流2階微分値すなわちア ドミタンス測定値Ymの探針シース電位V” に対する 1階 探針原理により, )鍵・{ 3 ) 1 微分 値 か ら求 め られる(. 軸)- 針 轡. / 2 1 1 / 2 / v・2畿キー 針 守] w2量. .” -. 。: 探針電 流, Ym: ここで, q :電 子 の電 荷, m :電 子 の質 量, S:探針 表面積, V h:探 針 シース電位, 1. 探針電流の探針シース電位に対する1階微分値である. これまでは, イオン電流の計算式に含まれる誤差関数e r f(x)の計算にマクローリン展開 による近似式 f ) しか し 変 数 × の 範 囲 が 0 ~10ま で の 広 い 範 囲 にお よぶ た め, e (x)の 近似 計 算 に r を用 いて き た凪”い5い6 , .. )の 「統計数値表」 に基づいて, 正規 7 おいて発生する計算誤差についての検討が必要となる. このため文献( 7 } 使用した正規分布関数の近似式は, Has tmgsらの近似式 に戸田・ 分布関数の展開式について検討を試みた( . ーリン展開 による誤 清水.竹内が修正を加えた ものを用いている◎ . この結果, これまで用いているマクロ 差関数計算値と, 新しく検討 した上記の近似式による計算値は一致し, 筆者らが目的とするイ オン電流計算 には支障のないとの結論 を得た. この結果に基づいて, イオン電流補正を行ったアルゴンガス電子エネルギー分布の測定値と, ボルツマン 解析から選られる理論計算分布の不一致の原因についての検討を行っている. 2. 誤差関数の計算式 イオン電流liの理論計算式を (2・1) ~ (2・3) 式に示す. また, イオン電流計算に使用 される誤 差関数e r f(x)は, (2 ・ 4) 式 で示 さ れる.. 1. 叫叫言『q≧に. ふ. 信 葡 q ,. F. 2- -r r s p. 塾 キ kTi. f/ 毎 -r. 朝. ...(2.・) ‐・.(2‐2). 断. 4 ー・ .靭 xio *r. …. (2 .3). ・ r : シー ス 半 径, r。: 探 針 半 径, :L : 探 針 長, 8: 自 然 対 数 の底, Jn お よ び nio n:イ オ ン こ と で,. オ 電 流密度 とイ オ ン数密 度, qi:イ オ ンの電荷, : k: ボルツマ ン定 数, TI:イ オ ン温度, M:イ ン質量, V h: 探針 シー ス 電 位 で ある. さ ら に e r fは誤差関数で (2・4) 式で与えられる.. z m の ‐ 制 ;すぎα. ,.・(2.4). 誤差関数は, 正規分布関数の (x) を用いて次のように表される. …. f(%) = 2の(JI愛)-・ er. 4) (7. (2 ・ 5).

(4) . 75. イオン電流計算式に含まれる誤差関数の検討. こ れま で は正規 分 布 関 数I P (x) の展 開 式 と して (2 ・ 6) 式 のマク ロ ーリ ン展 開 式 を使用 してき た.. (ザ 下 書 r.. ①◎ →+右. メ モ. ...(2・6). +.・] -). 上式において計算項数n は計算誤差を考慮して32項まで取っているが, 文献( )によればマクローリン展開 7 式は×の小さいところで収束がよいことが示されている. しかし漸近展開式を用いた計算において, 項数n を大きく取れば誤差が小さくなるとは限らないことが指摘されている. 79こは有効数字3 上述の 「統計数値表」( 5桁の正規分布関数の計算結果が記載されている. さらに正規分布 関数の近似式として, 取り扱いの容易なHas i t ngsらが示した近似式に戸 田・清水・竹内が修正を加えた ) 8 (2 ・ 7) 式 が記 載 さ れて い る{ .. 3 の ◎ キ,一÷(,十d ,ェ+d〆 +dェ +d〆 + ぜ. 1 6 )‐ 犠 %6. (x ≧o). … (2 4 ). た だ し, d.=0 0498673470 0211410061 0032776263 . , d2=0 ‐ , d3=0 ‐ d4= =○ =○ 0000380036 0000488906 =○ 0000053830 で ある・ , d5= ・ . , d6= ・. 3. 誤差関数の計算結果 筆者らは (2・7) 式を用いてx=0~1 0までの範囲の計算を行い, 正規分布関数の計算結果と 「統計数 の に記載されている値を比較し 計算に含まれる誤差についての検討を行った 値表」{ , . 「 図1に, 統計数値表」 の値を真値として (2・7) 式から計算される近似値との相対誤差を表す. 図1に示した相対誤差 (どR ) は, (2・8) 式で表される. 近似値Q(x) eR =. …( 2. 8). 真 値Q(x). ここで, Q (x) は標準正規分布の上限確率であり, 正規分布関数 の (x) を用いて表すと次式で示され る.. Q(劣) = 1一の(“. … (2.9). 1‐OE‐02. 1‐0震+○1 … ・ ー…. . .. 1‐OB-03 ・ ・ 0. 1‐OE十00. ー 1.OE-04. 1′ ’. 掴. 繋 1‐oE‐m. 交 .俳 鮎. 【. . ・. . ー 1.OE‐06. 1‐OE-02. ′ ・. ー・ ・′. 1・0E‐07. 1.OE‐03. o o ‐. 2 0 ‐. 4 0 ・. 6 0 ‐. 1.oE-o l ,. 8 0 ・. x. 図1. ▼. 2,. ,β. 6,. X. 上 限 確立 Q(x)の 計算 誤 差. 図2. (75). 上 限 確立 Q(x)の近似 値.

(5) . 岳. 松浦 勇二・鈴木. 76. 図1から明らかなように, 上式中の変数×が5以下であれば, 相対誤差は数パーセント以内に収まるが, xが5を越えると10%以上となり急激に相対誤差は増加する. 図2は (2・9) 式の上限確立を表わすグラフである. 同図から, 変数×が5以上となると、Q (x) の 7よりも小さくなるため (2・5) 式の誤差関数の計算においてその誤差は無視できる値 値そのものは1 0‐ , となる. なお, 図2中に示される記号●は 「統計数値表」 に記載されている真値であり, 記号□は (2・9) 式から計算される近似値を表わしている. 図3は, これまで検討してきたヘリウムガスの探針電流測定値と, (2・1) ~ (2・3) 式で計算され るイオン電流の計算値を示す図である. 図 3 中 で 使用 さ れ て い る 記 号 ● は, ヘ リ ウ ム ガ. 6 o o - . 0 o - 5 ー .. ス 中 で 測 定 し た 探 針 電 流 測 定 値 を 表 わ し, 記 号 ■ は, (2 ・ 7) 式 のHas t ings等 の 近 似 式 を用 い て. 4 0 0 ‐ . 3 0 o - ー .. ヘ リ ウ ムイ オ ン電 流 を 計 算 した 値 で あ り, 記 号 ◇. 0 0 2 . lo 0 .. で 表 わ した 値 は, (2 ・毒) 式 の マク ロ ー リ ン展 開 式 を使用 して 計算 したイ オ ン電 流 計 算 値 で ある. ク ロ ーリ ン展 開 式 を用 い た 計 算 結 果 (図 3 中 ◇ 印). ・ ・. ▼. ‐. 00 2 . 三‐ lo ool .. 、 ′ ・. イ オ ン 電 流 の 計 算 にお い て, 従 来 行 っ て き た マ. . .. l. と, (2 ・ 7) 式 による 計 算 値 (図 3 中■ 印) は-. ‐20 0 .. - 30 0 .. ‐. 致 す る. す な わ ちイ オ ン電 流 計 算 に お い て 対 象 と. -4 0 0 : ー .. な る × の 範 囲 は0 ~ 6 程 度 で あ る の で, 上 述 の 結. ‐5 o o .. 果 か ら, こ れ ま で 行 っ て き たイ オ ン 電 流 計 算 式 の. ‐6 o 0 .. 妥 当 性 が 確 認 さ れ た.. -7。 。 ‐ .. しか し, イ オ ン電 流 の 計 算 時間 を比 較 した 場 合,. ‐. ・ ・ r ・ lo o0 l 夕 ・. 00 2 o o 2. ー . . 1 . ・ .・ I ・ , ・ キ 〈 ー・ Q L -■ .- ー - ■ ■ ユ ‘ ・コ ” - ー ▼ 1. ・ ・. 1 ・. 3 00 3 o o .. 40 4 qo. 輝- 輝ー. ~. T→~’ー や 一】 』. ▼1‐. - 8 0 0 . ‐Vs h ( V ). 正 規 分 布 関 数 の 計 算 に お い て, 本 論 文 で 使用 した (2 ・ 7) 式 に示 すHas ingsら の 近 似 式 を用 い た t. 図3. 場 合 は, マ ク ロ ー リ ン展 開 式 を用 い た と き のイ オ. ヘリ ウ ム ガ ス 探 真電 流 測 定 値 と イ オ ン電 流 計 算 値. ン電流計算時間に較 べて, およそ三十分の一計算 時間が短縮される. 以上の検討結果に基づいて, 測定したアルゴ ンガスの電子エネルギー分布と, ボルツマン方程式を用いて 理論的に計算される分布との相違の原因について検討する. 4. アル ゴンガス探針電流測定値のイオン電流補正 図4は, 後述するアドミタンス測定値に関するイ オン電流校正値に基づき高エネルギー部分の校正曲線を 9 ) o ) 累積電離を考慮したボルツマン方程式から計算される電子エ ’q 推定して得られる電子エネルギー分布と( , ネルギー分布を比較したアルゴンの電子エネルギー分布である. 4×1が ( 1 5 / 図4中の●印は測定値, △印は準安定励起原子数密度を3 ) とした場合のボルツマン方程 cm3 . 9 ) 口印は累積電離を省略したときの同方程式の解である 準安定励起原子数密度は文献回 りか 式の解であり{ . , ら推定される密度と比較して一桁大きくなっているが, それでも測定した電子エネルギー分布と一致しない. この相違を検討するためこれまでのイオン電流計算式の検討に基づき, アルゴンガスのイオン電流計算値 について考察する. 図5は, 探針電流測定値 (記号●印で表わす) とイオン電流計算値である. 図5中の◇印で示したイオン (76).

(6) . イオン電流計算式に含まれる誤差関数の検討. 0 30 . 0 28 . 0 24 . 0 22 .. I. 1 1 , ー. o 12 . 0 lo .. 08 0 . 0 06 .. r ロ. ー [. 0 04 . 0 0 .2. 1. ロ. lo 0 .. -L - o. ‘ ・. 臥. r I. ・. .. L. 塾、^ 5 .0. ‘. 0 O .. q. 」 、 ▲. ・ 0 00 (= .. P I. I. q. 『・. 0 O .. ・. 1,. 、△. {. 14 . ごo .. u 」. O ー 20 .. 、1. I6 ′、 0 .. ′ ・. L. ▲、 ▲ ′4 凸. 0 26 .. 0 20 . 0 18 .. 77. [L -. -lo O .. 斗~. h. O 10 0 .. ーY ノ患 ー. 15 O .. ) 電子エネル ギー ど ( ev. ZUU. U , 畠 IU ー ・ 醐 1’ . ・1 ー1. ◆ .. 船.、. 0・ , ▼. ‐20 O .. ‐Vsh (V). 図4. アルゴン電子エネルギー分布測定値と. 図5. アルゴン探針電流測定値とイオン 電流計算値. 理論値の比較. 1 0( 電流は, プラ ズマ中の電子数密度n を3 485×10 1 / ) と した と き の 計 算 結 果 で ある. ま た ■ 印 は, 電 cm3 . 3 1 0 1 710×10 ( / 子数密度n を3 cm )と して 計算 した値 で ある. 両 者 と も 曲 線 の傾 き は ほ ぼ一 致 した形 とな っ て . い る.. 文献( 3 )に示すようにイオン電流の計算値は, 探針シース電位V hが-1 OV以下の領域で電子電流の値が無 視できるため適正な値を持つと考えられる. しかし, 図5中に◇印で示されるイオン電流計算値は, V‘hが -1 0~一20Vの範囲で探針電流測定値 (図中◎で示す) の値よりも小となり曲線が上部に移動した形となっ ている. また, 曲線の傾斜も測定曲線と異なっ ている. このようにイオン電流計算値の傾きが探針電流測定値の傾きに較べて急となる現象は, 図3に示すヘリウ ムガスの場合および文献 陸 )に示すネオンガスのイ オン電流計算にはみられなかっ た現象である. 5. 電子エネルギー分布測定における誤差の検討. 5. 1. プラ ズ マ 中のイ ン ピー ダ ンス に よる 効 果. 図6に, 文献{ 6 )に記載されているプラ ズマ中の振動が5mv以下である静止したヘリウムガス中において, 異なっ た測定信号を用 いて測定したア ドミタンス測定値を示す. 測定条件は, ヘリウムガス E o=3‐43 W/ cm/Ton) 4kHz (図中 □ で示す) の異なった条件で測 , 測 定 周 波 数360H Z (図中 0印で示す) と3 . 定 した ア ドミタ ンス 測 定 値 Ymを表わ して いる.. この相違の原因は, 陽極と探針間に存在するプラズマの, 主に等価的なイ ンダクタンス成分と見なしうる インピーダンスにある. プラズマ中で発生する振動が大きい場合, あるいは測定信号周波数が大きい場合に は, 放電管外部から加えられる測定信号がプラズマのインピーダンスに分圧されて, 探針シース部にかかる I ) 本論文で対象としている アルゴンガスのデータは およそ振 電圧を正しく測定することができなくなるQ . , (77).

(7) . . 松浦 勇二・鈴木. 78. 岳. ●アドミタンス測 定値(為) ) 1 ◆イオン電流の傾き(“鮒 1 0 ) ( 485 × 10 〃F3 .. △イオン電 流の傾き(“-) 0 1 ) ( 710 × 10 “ ー3 ‐. ) l □イオン電流補正値(元a ) =為-“馴 (yC l a. 一. fI 1. 、r o s 、 一. 0. ℃ >℃\ Qー. ー ー ー 口. 1. . □ I ▼▼▲▲ ▼▼ ー ス ▲ ー ,ハ Z ・ ム 込 づ ・ J 口. 0 95 0 100 0 85 0 90 0 80 0 75 65 0 70 . .105 . ‐ . . . . . 0 0. ,. n□口口 [ 【” qn. ′ 、r ^’ ・ ‘ ′. □. ( V ) 陽極探針電位Vp ・- ^ ^ :: OG(= 1 . ‐5 0 .. . ・ ・. 1 I 1. 0 5 .. 15 0 ‐. 25 0 .. V) -Vs ( h. 図6. 図7. 測定周波数によるア ドミタンス測定値. ア ドミタンス測定値とイオン電流の傾き Yi。。お よ びイ オ ン電 流補 正 値Y。.ー. の相 違 (ヘリ ウム). 3kHzの周期的な振動 が発生している状態で測定したデータである. すなわち, 測定し 幅1 5V, 周波数3 . たア ドミタンス測定値についての プラズマインピーダンス補正の必要性を検討する必要がある. しかし, ア ルゴンガスの場合ヘリウムやネオンガスと異なって様々な原因による振動が発生し, ヘリウムガスおよびネ オンガス プラズマのように静止したプラズマ状態を作り出すのが困難で, プラズマのインピーダンスを測定 4k H z におけるインピーダンスを用いて, する こと が で き な い. そ れ ゆ え, ヘリ ウム ガス で の測 定周 波 数3 .. アルゴンガス電子エネルギー分布測定に与えるインピーダンスの作用について推論する. 図7は, 図5に示した探針電流測定値と理論計算によって得られたイオン電流曲線から求めたア ドミタン ス測定値Ymと (図中●印で表わす) , イオン電流計算値の傾き (図中△印で表わす) を示す. 図中◆で表わ 1 0( 1 48 5×10 / されている傾きは, 電子数密度n を3 ) と見積もって計算されるイオン電流曲線から得ら cm3 . 1 0( 1 71×10 / )と して 計算 さ れるイ オ ン電 流 曲線 れた 傾 き Yi。m で あり, 一 方 △ 印 は電 子 数密 度 を n。を3 cm3 .. の傾きYi。。 2である. イオン電流の傾斜 はn。の相違によっ て若干異なっ ているが, 曲線の傾斜はほぼ同じ ) からイオン 形状となっている. なお, 図7中のイオン電流補正値Y ,(□)は, ア ドミタンス測定値 (Ym 電流計算値の傾き (Yi。m) を減じた値である. 前述の図4に示した電子エネル ギー分布F(E)は, 図7に示すイ オン電流補正値Y。可(□)を, (1・1) 式に代入して計算されたものである. この電子エネルギー分布に対するアルゴンガス中での振動の効果につ (78).

(8) . イオン電流計算式に含まれる誤差関数の検討. いて検証する. 図8は, 図7のア ドミタンス測定値から求めた. 79. .. .▲ ‐ ▼. 探針電流2階微分値とそのイオン電流補正値およ びインピーダンス補正値を示す. 図中●印はイオ ン電流補正値を表わし, ◆印はインピーダンス補 正を施した2階微分特性, そして□印は補正なし の2階微分特性を表わす. また, △印はボルツマ ン方程式の解として得られる分布から逆算した2 階微分特性である. ◆印のインピーダンス補正を施した2階微分特 性と , ●印で示すイオン電流補正を施した2階微 ・ 分特性を比較すると, インピーダンス補正を行っ. 1雌』 l. - f. . . 霊. . . . た曲線はイオン電流の補正を施した曲線よりさら に左側にずれて, △印で示すボルツマン方程式の 解として得られる分布から逆算した2階微分特性 からさらに外れてしまう. すなわち, アルゴン電子エネルギー分布のずれ. 1厳4 7. I D 0 E仙. O 01 01 07 OS 0I O1 3 01 09 0 01 6 P1 7 5 Z β1 1 4 1 02 03 01 05 06 . . . . , . , , . . . . . ) E( OV. の原因はプラズマイ ンピーダンスによるものでは. 図8. ないと考えらる. 次に, アルゴンガス電子エネルギー分布測定値. A1探針電流2階微分値とイオン電流. 補正値およびインピーダンス補正値. とボルツマン方程式に解として理論的に導かれる分布との相違についてプラズマインピーダンス以外の要因 を推定する. アルゴンはヘリウムやネオンに比べてイオンの質量が大きいため, アルゴンイオンが探針に衝突する際に 生じるスパッタリングによる2次電子放出が大きい. 前述の図4 「アルゴン電子エネルギー分布測定値と理 論値の比較」 に見られるようなアルゴンガスの電子エネルギー分布測定値と理論的に計算される分布の相違 の原因として, アルゴンイオンのスパッタによる探針からの2次電子放出が考えられる. 実験で使用してい る探針は白金で作られているが, 白金のスパッタリングに関するデータは調査中であるので詳 しい検証はで きない. さらに研究を進める上での資料として, 探針からの2次電子放出が電子エネルギー分布測定に与え る効果について推論する. 5. 2. ア ル ゴ ンのス パ ッ タ 作用 の推 定. 図9 は, 探針周辺のイオンシース領域のモデルである. 正負の電荷を持つ正イオ ン (図中十印) と電子 (図中-印) が等しく存在するプラズマ中に白金探針を挿入すると, 探針に飛び込む電子とイオンの速度の 相違により探針の周囲にはイオンシースが形成される. 電子エネルギー分布測定の際には探針電位がプラズ マ電位に比べて負に保たれているため, イオンシース内の正イオンは加速され電子は減速されてそれぞれ探 針表面に運ばれる. 探針シース電位の増加に従って正イオン (十) が加速されスパッタに必要なエネルギーを持って白金探針 に衝突すると, 探針から2次電子 (●印) が放出される. 探針から放出される2次電子の移動方向は, シー ス内から探針に流れ込む電子 (-) の方向と逆で相殺されるため, 探針に流入する電子電流は減少する. す なわち, 探針電流測定値は図1 0の実線で示すような急激に減少する曲線となって測定されている可能性があ る. この場合, 探針電流の傾きである探針電流1階微分測定値すなわち ア ドミタンス測定値 (Ym ) は大と (7 9).

(9) . 松浦 勇二・鈴木. 80. 岳. 探針電流 ◎ ◎ ◎ ◎ プラズマ ◎◎ 6◎. ◎ ◎◎ ◎. ー一一----------------------. e. +. (電子 電流). ÷ 〆 一つ ミ. イ オンシース領域. (仮想的2次電子補正曲線) . 探針電位. 電位 (イ オ ン電流). 探針電流測定曲線. 図10 探針電流曲線. 図9 探針周辺のイオンシース領域のモデル. なり, 図1 1中の実線で示されるような曲線と なっていることが考えられる.. 針電流1階微分値. 探針からのスパッタによる2次電子放出量. m測定値. が定量化され, 探針電流測定値に対する補正 が可能となる場合, 2次電子補正を施した探 針電流特性は, 図1 0中の点線で示されるよう な緩やかな曲線を描いて減少することが予想. 想 的 2次 、. 子補 正曲線. される. このときの探針電流の傾きは, Ym 1中の点線 測定値に比べて小さな値となり図1. 探針電位. で示されるような曲線となるであろう. 電子エネルギー分布は, 探針電流2階微分 値, すなわち図1 1の探針電流1階微分特性 を さらに微分して得られるものである. すなわ ち, 図1 1の実線で示 されるYm測定曲線と, 仮想的2次電子補正曲線から明らかなように,. 図11 仮想的探針電流1階微分特性. 探針電流2階微分値 エ ネ ル ギー 分 布 計 算 基 準 点. ) から得られる探 ア ドミタンス測定値 (Ym 2に示すよう 針電流2階微分特性曲線 は, 図1 に2次電子補正を施 した場合の2階微分特性 、 2 次 電子 補 正 曲 線 、. と比較して狭まった特性になると推定できる. 以上の推論から考えて, スパッタリングによ. Ymの傾. る探針からの2次電子放出作用が, 前述の図. 8に示した探針電流2階微分測定特性とポル ツマ ン方程式を用いた理論解析から得られる 理論的2階微分特性の相違の原因としてあげ. 空間電位. 探針電位. られよう. この問題は今後の課題としたい. 図12 仮想的に2次電子補正を行った2階微分特性 (80).

(10) . 81. イオン電流計算式に含まれる誤差関数の検討 6. 結. 論. (1) :正規分布関数を計算する際の展開式として, 32項まで考慮したマクローリン展開式による計算結果 は, 理論的にイオン電流を求める際には妥当な誤差関数の計算を与えることが示された. tmgsらおよび戸田等の近似式を用いたほうが計算 (2) :しかし, 誤差関数計算の近似式としては, Has 時 間 が 短 縮 でき る.. (3) :アルゴンガス電子エネルギー分布測定値にインピーダンス補正 を施した分布が, 理論的に求められ る分布からさらに外れる傾向から推定して, プラズマインピーダンスの影響は少ないと考えられる. (4) :アルゴンガスの探針表面からの2次電子放出効果の推定から, 電子エネルギー分布測定値とボルツ マン解析から得られる理論分布の相違は, 探針表面からの2次電子放出に起因する可能性がある. 今 後, 白金電極の2次放出現象を調査して, あらためて検討したい.. 〈参考文献〉 [1] 松浦・坂口・山岸・斉藤・新田・西辻. “アドミタンス法によるグロー放電陽光柱内の電子エネルギー分布関数の測定”. 1 電学論, Vo l 3 am‐ -A, No . .11 ,j ,1993 1) ” [2] 束・松浦・坂 口 ・新田・西辻 “ア ドミタ ンス 法 による 電子エネル ギー分布 関数の測定 (1. 放電 研究会資料, ED-. 93‐13・DE1 ‐93‐13. [3] 束・松浦・坂口・畑中・西辻. “アドミタンス法による電子エネルギー分布の高エネルギー部の補正” 放電研究会資料 ,. ED‐ 93 85 ‐. [4] 坂本.松浦・畑中・坂口・西辻. “ネオンの電子エネルギー分布測定値から求めた電子スオーム・パラメータ” 放電研. 究会資料, BD‐94 72 ‐ [5] 坂本・坂口・畑中・ 松浦・西辻. “アル ゴ ングロー放電 陽光柱内の電 子エネ ルギー分布測定”. [6] 松浦・坂口・東. “アドミタンス法を用いた電子エネルギー分布測定値のイオン電流補正”. 放電研究会 ED‐ 95 1 23 ‐. 北海道教育大学紀要 (第2. 部A) 第47巻第1号Aug ‐ ,1996 “ 197 統計数値表 JSA‐ [7] 山内二郎編. [8] 戸田・清水・竹内 2 1 理 21(9),(11 ) ) ,(. [9] 鈴木・松浦・坂口. (財) 日本規格協会 “統計分布と電子計算機” 1正規分布関数の展開式および近似式の検討( 1 2 3 ) ( ) ( ) . , , , 標準化と品質管 “アルゴンガス電子エネルギー分布測定値の検討”. HI O年電気学会道支部大会要項集, No 2 1 7 ‐ ,. 244頁. 1 0 [ ] 松浦・坂口・畑中・西辻. “ポルツマン方程式を用いたアルゴングロー放電陽光柱の電子スオームパラメータの解析”. 電学論, VO 1 12 -A, No ‐114 . , 鳶口」 1994. 1 1 [ ] 松浦・坂ロ・斉藤・西辻 する影響”. “L z孤 仰 山r探針回路系におけるプラズマインピーダンスと電子エネルギー分布関数測定に対. 電 学論AVO 1 12 4 -A, No ‐1 . . ,1992 , Apr. (81).

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参照

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