異文 化体験前 の個 人特性から見る異文 化体験者 の不適 応感
一異文化不適応想定,ゆとり感,自律的留学動機の視点から−1
問 題
国 際 化 社 会
国 際 化 が 進 ん できた 日 本 社 会 には 海 外 の 国 々 から多く
の 留 学 生 や 海 外 赴 任 者 が 来 日し てい る。また, 現 在 の 日
本 には ,外 国 企 業 や 外 国 料 理 店 など ,日 本 に い な がらし
て多 くの 外 国 文 化 に 触 れることがで きる。 さらに 多 くの 外
国 人 が 日本 で 生 活 をして お り, facebook など のSNS の 普
及 に 伴 い, 外 国 人 と知り合 うことも 比 較 的 容 易 になってきて
いる。また, 多 くの 日本 人も留 学 や 海 外 赴 任 を 経 験 す るよ
うになってきてい る。 文 部 科 学 省 高 等 教 育 局 学 生・留 学 生
課(2010) によると, 海 外 からの 留 学 生 の受 け入 れ は2009
年 現 在 でお よそ13 万3 千 人となって おり,お よそ7 万5 千 人
の 日 本 人 学 生 等 が 欧 米 諸 国, オ セ アニ ア ,アジ アな どの
様 々 な 地 域 に 留学 をしてい る。また, 外 務 省 領 事 局政 策 課
(2013) による在 留 邦 人 の 調 査 で は, 海 外 に3 か 月 以 上 在
留して い る日 本 国 籍 を 持 つ 者 に は「長 期 滞 在 者」と「永 住
者」があるとされてい る/ 長 期 滞 在 者」は 外 国 政 府 職 員, 海
外 赴 任 者, 留 学 生, ワー キング ホリデ ー など ,い ず れ 日 本
に 帰 国 することが 前 提 で一 時 的 に海 外 に3か月 以 上 居 住し
てい る者 を指 す / 永 住 者」 は海 外 諸 国 にお い て 永 住 権 が
認 められ, 居 住 の 本 拠 地を海 外 に移した者 を指 す。 2013年
現 在, 839,516 人( 前年 比1798 人 増)の「長 期 滞 在者」 が海
外 で 生 活 をしてお り, 418,747 人( 前 年 比6888 人 増) の「永
住 者」が 海 外 に 移 住していることが示 され ている。 また,この
海 外 在 留 者 数 は, この調 査 が始 まった1968 年 以 降過 去 最
多となったことが示 され ている。このことから, 国 際 化 の進 ん
だ 日本 で は, 今 後も多くの 日 本 人 が異 文 化 の 中で 生 活 を
する機 会 が 増 えると予 測 され る。また ,自ら異 文 化 体 験 を求
め, 海 外 渡航 をする者も増 えていくと予 測 される。
異 文 化 体 験
異 文 化とは, 早 矢 仕(2003) によると,個 人 の属 す る文 化
と異 なる文 化 のことであり,一 般 的 に はそ の個 人 の属してい
ない 社 会 や集 団 の 文化 のことで あるとされ ている。 一 般 的な
異 文 化 として, 外 国 文 化 を考 える入 札多 い。 し かし ながら,
「 サブ カル チ ャー 儿 異 文 化 の1 つ であり,黒 木(1996) は ,
階 級 や 性 別, 世 代 や 職 業 ,国 内で の居 住 地 域 なども 異 文
化 であると述 べて いる。
黒 木(1996) は, 異 文 化 接 触 や 異 文 化 体 験 は, 単 に違 う
文 化 を体 験 することや 違う文 化 に接 す ることで は なく,人 が
他 文 化 の人と関 わることで あり,海 外 旅 行 とは違 い ,自身 の
変 容 を伴うも のであるとしている。また, サ ザ ーランド(2010)
は 個 人 が身 に 着 けてきた慣 習 や 教 養 など に 基 づく文 化 背
鉄 川 大 健 一
谷 口 淳 一 一森 下 高 治
景 とは 異 な っ た 文 化 背 景 を 持 つ 者 同 士 で 行 わ れ る, 対 面 的 相 互 作 用 で あ るとし て い る 。つ まり,異 文 化 体 験 と は 異 な っ た 文 化 に 住 む 人 々 が 対 面 的 に 接 触 す ることで, そ の 経 験 を 通 し て 自 身 の 変 容 を 伴 うプ ロセ ス で あ る。 そし て ,中 村・ 石 川(2010) に よると, 異 文 化 体 験 に お い て ,自 国 文 化 で の 経 験 と異 な る 経 験 を す るこ とで, 個 人 の 価 値 観 に 影 響 が 及 ぼ され る。 さら に 川 内(2006) は, 異 文 化 体 験 は 価 値 観 を 再 認 識 し, 文 化 的 同 一 性 を 発 見 で き , 心 理 的 自 立 が 確 立 さ れ るな ど, 転 換 期 を 迎 え ることが で きる と述 べ て い る。 こ の ように 異 文 化 体 験 を す ることは 異 文 化 体 験 者 に とっ て ポ ジ ティブ な 影 響 をも た ら す と考 え られ る。 一 方 で, 安 達(2008) は 異 文 化 と接 触 す ることに より摩 擦 が 生 じると示 し て い る。 こ れ らの ことか ら, 人 々 は 異 文 化 体 験 を す るこ とに よっ て 利 益 を 得 ることが で き るとも 考 え ら れ る が , 同 時 に 様 々 な 不 利 益 が 生 じて し まうとも 考 え られ る。 異 文 化 体 験 の 問 題 こ の よ うに 異 文 化 と接 触 す るこ とで 不 利 益 が 生 じ るこ と が あ る。 そ の1 つ に 異 文 化 接 触 ストレ ス か お る。一 般 に ス トレ スと は 様 々 な 要 因 に よっ て 緊 張 や 当 惑, 身 体 症 状 が 引き 起 こされ るこ とで あ る(Lilienfeld, Lynn, Namy & Woolf, 2009) 。こ の ことか ら, 異 文 化 接 触 ストレ スとは, 異 文 化 体 験 を す ること に よる 緊 張 や 当 惑 で あ り,ま た, 身 体 症 状 が 引 き 起 こ され るこ とで あ ると 考 え ら れ る。 異 文 化 体 験 を す るこ と で ,自 国 文 化 で は 当 然 の ように 行 わ れ て き た 事 象 が 打 ち 碎 か れ 訃 ラブ ル が 生 じ, ストレ ス が 発 生 す る( 島 田, 1991) 。こ のこ とか ら, 異 文 化 接 触 時 に 生 じ たトラブ ル が ストレ ッ サ ー と な り, 異 文 化 接 触 ストレ ス が 生 じる と考 え られ る。 また, カ ル チ ュ ア ショックも 異 文 化 体 験 時 の 不 利 益 とし て よく知 られ て い る。 渡 辺(2002) は, カ ル チ ュ ア ショックは, 異 文 化 を 体 験 し 九 時 の 驚 きや 戸 惑 い, 不 安 の 体 験 で あ る と述 べ て い る。 ま た, 星 野(2010) は, 異 文 化 へ 移 行 す る 時, あ るい は 異 文 化 が 侵 入 し て きた 時 に 文 化 的 接 触 が 起 き, 何 らか の 変 化 が 起 きる 前 に 経 験 さ れ る, 文 化 的 現 象 で もあ り, 心 身 に 影 響 す る 個 人 的 現 象 で あ ると述 べ て い る。 つ まり, カ ル チ ュ ア ショックとは, 異 文 化 体 験 時 の 文 化 的 な 問 題 か ら 生じ る 個 入 内 の ストレ ス 反 応 で あ る と考 え ら れ る。 そし て, カ ル チ ュ ア ショッ クは, 異 文 化 とい う環 境 の 異 な る 地 域 に 行 く 以 上, 避 けて は 通 れ な い 問 題 で あ ると考 え ら れ る。 異 文 化 適 応 こ の ように 異 文 化 体 験 を す ることで, 様 々 な 問 題 が 生じ る。 そ の た め, 異 文 化 体 験 者 の 異 文 化 に 対 す る 適 応 が 大 き
は, 異 文 化 体 験 者 がそ の 国 の文 化 を理 解し, そ の 文 化 で
の 生 活 に お い て 適 切 に 異 文 化 の 慣 習 を 自 分 の 中 に 取り
入 れて いくことが 異 文 化 適 応 で あると述 べ てい る。 異 文 化
適 応 に 関して は, 今 まで 様 々 な 研 究 がなされ てきてい る。
Lysgard(1956) は, 異 文 化 適 応 に 関して 横 断 的 研 究 を行
い, 異 文 化 体 験 初 期 に は 高 い 幸 福 感 かおるが, そ の後 一
気 に落 ち 込 み ,そ れ を 経 て また 持 ち 直 す とい う適 応 の 過
程 がU 字 曲線 になることを提 唱した。 さらに0berg(1960)
は, 異 文 化 体 験 初 期 を希 望 に 満 ち溢 れ た「蜜 月 期」とし, そ
の 後 を, 異 文化 の 差 異 を感じる「敵 対 期」とし, 次 の段 階 を
「回 復 期」 ,そして 最 後 に異 文化 適応 が完 了し, 異 文 化 を受
容 す る「適 応 期」と段 階 的 に 区 別した。 このように20
世 紀
後 半 に は 異 文 化 適 応 研 究 が 多く行 われ てきた。 そ の 後, 異
文 化 適 応 の推 移 研 究より,異 文 化 適 応 に 影 響す る要 因 研
究 が 主 流 となってい る。 代 表 的 な 研 究として, Kim (2001)
は, 個 人 の パ ーソナリティや 現 地 の 環 境 など の様 々 な 要 因
により異 文 化 適 応 の 適 応 過 程 が 決まると示した。
異 文 化 適 応 要 因 の 先 行 研 究
異 文 化 適 応 要 因 には 様 々 あり,言 語 能 力 ,パ ーソナリ
ティ,動 機 づ けなどの 個 人 特 性 要 因と,対 人 および 文 化 距
離, ソー シャル サ ポ ート, 現 地 の受 け入 れ 態 度など の 環 境
特 性 要 因 の2つ に大 別 できる(宮 城, 2011)。
本 研 究 で は, 異 文 化 体 験 に 対 す る個 人 特 性 の 影 響 を
検 討 す ることを大 きな 目的 とした。 個 人 特 性 要 因 に 関 す る
研 究として は, 小 林(2000) の ,自 文 化 アイデ ンティティが
異 文 化 体 験 時 の 適 応 過 程 に どう影 響 す る の か の 研 究 か
おり,自 文 化 アイデ ンティティが 肯 定 的 であ ることが, 異 文
化 適 応 を 促 進 す る要 因 となることを示 唆してい る。また, 小
林・Wangwan・
渡 辺(2009) の研 究で は ,自尊 感 情 は 異 文
化 適 応 の重 要な 要 因 であることを示 唆して いる。 さらに 孫
(2009) は ,自 己 効 力 感 とパ ーソナリティの 関 連と異 文 化 適
応 の 研 究 を行 い, 損 害 回 避 特 性 お よび 新 奇 哇追 求 特 性 が
高 いと不 適応 傾 向となり,協 調 性 および 自 己 指 向 性 の 高 さ
は 適 応 的 に 作用 すると示 唆してい る。 また, 譚・ 今 野・ 渡 漫
(2009) は ,内 発 的 留 学 動 機 の 異 文 化 対 人 適 応 へ の 肯 定
的 な 影 響 を示 唆し, 一 方 で, 外 発 的 留 学 動 機 が 不 適 応感
を抱 か せ るということを示した。こ のように 多くの 個 人 特 性
が 異 文 化 適 応 の 要 因 で あることが ,先 行 研 究 で 明らか に
なってきた。
し かし, 高 井(1989) は, これ まで 行 わ れ てきた研 究 は ,
各 研 究 間 の 傾 向 がは っきりと分 からない 状 態 であると述 べ
ている。このことから,異 文 化 適 応 研 究 に 関して 縦 断 的 研 究
が必 要で あると考 えられ る。
このように 異 文 化 適 応 の研 究 にあたり多 少 の問 題もある
が, 現 在まで に様 々 な 要 因 が異 文化 適応 に影 響 す ることが
示 され てい る。本 研 究で は, 異 文 化 適 応 に 影 響 す ると推 測
される3つ の個 人 特 性 要 因 によって研 究 を行うこととした。
本 研 究 で 着 目 し た 個 人 特 性 要 因 1 つ 目 の 要 因 とし て, 異 文 化 体 験 前 に「 自 分 は 異 文 化 に 適 応 で き な い だ ろ う」と考 え る 認 知 で あ る『 不 適 応 想 定 』を 用 い た。 宮 城(2005) は, 留 学 予 定 者 に 対 し 予 測 さ れ る 困 難 を 自 由 回 答 さ せ, 異 文 化 体 験 前 に は す で に 異 文 化 体 験 予 定 者 は 待 ち 受 け て い る 困 難 を 認 知 し て い ると述 べ て い る。 異 文 化 体 験 前 の 異 文 化 適 応 に 対 す る 期 待 や 不 安 が 異 文 化 体 験 時 の 異 文 化 適 応 に 影 響 す ると推 測 さ れ る。 また , こ の ような 認 知 的 な 要 因 に 着 目 す ることで, 異 文 化 体 験 前 の 認 知 の 変 容 に よる 適 応 支 援 に つ な げ ることが 可 能 で あ る と考 え ら れ る。 よっ て, 異 文 化 体 験 前 の『 不 適 応 想 定 』を 異 文 化 適 応 に 影 響 す る認 知 的 要 因 として 検 討寸`ることとし た 。 次 に2 つ 目 の 要 因 とし て, 生 活 の ゆ とり感 を 用 い た。 富 田(2008) は, ゆとりが な い 状 態 を 不 安 や 焦 燥 感 に 圧 倒 さ れ 視 野 が 狭 くな る 状 態 とし, 逆 に 充 実 感 や 安 心 感 か おる 状 態 は ゆとりか お る 状 態 で あると述 べ て い る。 こ の ゆとり感 に 関 し て 今 まで 様 々 な 研 究 が お こ な わ れ て きて い る。古 川・ 山 下・ 八 木(1993) は, ゆ とりとは ど の ような 構 造 か ら で きて い る の か を 検 討 す るこ とで, ゆ とり(感) 尺 度 を 作 成 し た。 こ の 尺 度 を 用 い ,高 島・ 五 十 嵐・ 平 尾・ 清 水・ 中 村(2004) は 美 容 専 門 学 校 生 に お い て, 学 校 適 応 と ゆとり感 の 間 に は 有 意 な 相 関 関 係 が 認 め られ たことを 示 し て い る。 また, こ の ゆ とり感 が な い 状 態 の 時 に は, 視 野 が 狭 くなり,ど ん な 状 況 にも 不 安 や 不 満 を 抱 くと考 え られ る。 そ の た め ,自 国 に お い て さえ ゆとりを 感 じ るこ とが で きな い の で あ れ ば, 衝 突 の 多 い 異 文 化 と接 触 し た 時 に は 尚 更, 不 安 や 不 満 を 抱 くの で は な い か と考 え られ る。 こ のこ とか ら, あ る 環 境 に お け る 適 応 感 とゆ と り感 の 間 に は 関 連 か お ると 考 え ら れ, 異 文 化 体 験 時 にも 適 用 可 能 な の で は な い か と推 測 さ れ る。 よっ て, ゆ とり感 を 異 文 化 適 応 に 影 響 す る要 因 とし て 検 討 す ることとし 九 さら に3 つ 目 の 要 因 とし て ,自 律 的 留 学 動 機 を 用 い た 。 田 畑・ 田 中(1991) は, 積 極 的 な 理 由 で 留 学 をし て い る 者 に 比 べ, 受 け 身 的 な 理 由 で 留 学 をし て い る 者 は, 異 文 化 で の 生 活 に あ まりとけ 込 め て い な い ことを 示 唆 し て い る。 また, 譚 ら(2009) は ,自 律 的 留 学 動 機 が 高 い 留 学 生 け 対 人 適 応 感 が 高く, 逆 に 自 律 的 留 学 動 機 が 低 い 留 学 生 け 対 人 適 応 感 が 低 い ことを 示 し て い る。 し かし, 若 生・ 長 谷 川・ 中 山(2012) は ,自 己 決 定 的 な 留 学 動 機 で あ るか ど うか に 関 わら ず, 留 学 中 の 適 応 感 は 高 くな ると示 唆 し て い る。 こ の ように 留 学 動 機 が 異 文 化 で の 生 活 の 適 応 に 影 響 す るとい う報 告 が さ れ て い る が ,日 本 人 留 学 生 を 対 象 に し たも の は 少 な く,ま た, こ れ ま で の 研 究 結 果 に は 一 貫 性 が な い こと が わ か る。 よっ て ,自 律 的 留 学 動 機 を 日 本 人 留 学 生 の 異 文 化 適 応 に 影 響 す る 要 因 として 検 討 す ることとし た 。 目 的 本 研 究 の 大 きな 目 的 は, 異 文 化 適 応 に 影 響 す る 個 人 特 性 要 因 を 明 らか に す るこ とで あ る。 具 体 的 な 目 的 とし て は , 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 ,自 国 ゆ とり感, お よび 自 律 的留 学 動 機 が 異 文 化 体 験 時 の 異 文 化 適 応 感 に ど の ような 影 響 を 与 え る の か を検 討 す ることを 目 的 とし た 。 仮 説 小 泉(1995) の 研 究 で は, 小 学 校 か ら 中 学 校 へ の 環 境 移 行 時 の 期 待 や 不 安 が 中 学 校 入 学 後 の 学 校 適 応 感 に 影 響 す る の か を 検 討 し, 不 安 が 高 い と不 適 応 感 を 抱 きや す い と い う結 果 を 示 し て い る。 本 研 究 に お け る 異 文 化 体 験 を 環 境 移 行 と捉 え ると, 不 適 応 想 定 が 高 い 者 は, 異 文 化 体 験 時 の 異 文 化 不 適 応 感 が 高 くな ると推 測 され る。 し か し, こ れ は 宮 城(2005) の 研 究 に 反 す る結 果 で あ る。 た だし, 宮 城(2005) の 研 究 に お い て は, 期 待 を 過 剰 に 持 ち す ぎ て い ることに よ り, そ の 期 待 が 裏 切 られ, 不 適 応 感 を 感 じ るの で は な い か と も 考 え ら れ る た め に 本 研 究 で は, 不 適 応 想 定 が 高 い と異 文 化 体 験 時 の 不 適 応 感 が 高くなると推 測 され た。(仮 説1) 。 さら に 長 年 住 み 慣 れ た 自 国 に お い て ゆ とりを 感 じ ること が で きな い 者 は, ストレ スを 感じ や す くな る 異 文 化 へ 移 動 し たとき に 自 国 に お い て ゆ とりを 感 じ て い た者 よりも ストレ ス を 感 じる と推 測 され る。 つ まり,自 国 ゆとり感 が 高 い 者 は, 異 文 化 不 適 応 感 が 低 くな ると推 測 され る( 仮 説2) 。 ま た, 外 国 人 留 学 生 で は 留 学 動 機 と適 応 感 の 間 に は 関 連 が 認 め られ て い る( 譚 ら, 2009; 若 生 ら, 2012) 。よっ て ,日 本 人 留 学 生 に お い て も 関 連 が 認 め ら れ ,自 律 的 留 学 動 機 が 異 文 化 不 適 応 感 を低 減 させ ると推 測 され る( 仮 説3) 。 方 法 調 査 参 加 者 2012 年3 月 お よ び7 月 ,8月 に ア メリカ 合 衆 国 オ レ ゴ ン
州 の ポ ートランド 州 立 大 学(Portland State University? PSU) に1 ヶ月 間 のAmerica Plus Language and Culture Program (APLCP) に より留 学 し て い た 日 本 人 留 学 生132 名( 男 性73 名 ,女 性59 名 ,平 均 年 齢20.23 ±1.96 歳) を 対 象 に 質 問 紙 調 査 を 行 っ た。 そ の 内, 最 終 的 な 有 効 デ ー タ人 数 は,85 名( 男 性43 名 ,女 性42 名 ,平 均 年 齢20.25 ±2.24 歳) で あ っ た ノ プ ロ グ ラ ム( A PLCP) に つ い て PSU が 実 施 す る 海 外 語 学 研 修 プ ロ グ ラ ム の1 つ で あ る。 平 日 はPSU 付 属 の 語 学 学 校 で あ るIntensive English
Language Program (IELP) の 専 属 教 員 に よるコミュニ ケ ー シ ョン や 文 化, 現 地 の 経 済 な ど に 関 す る授 業 を 受 け, 現 地 の 企 業 や 博 物 館 等 を 訪 問 す るフ ィー ル ドトリップ も 行 わ れ る。 プ ロ グラ ム に 参 加 し た 学 生 の み の クラス 構 成 の た め, 生 徒 は 全 員 日 本 人 で あ る。 休 日 は 基 本 的 に は 自 由 な 時 間 で は あ る が, ホ ストファミリー と過 ご す ことが 推 奨 され て い る。 質 問 紙 留 学 生 適 応 尺 度 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 お よ び 異 文 化 体 験 時 の 不 適 応 感 を 測 定 す る 尺 度 とし て ,江 村 (1993) が 使 用 し た 留 学 生 適 応 尺 度 を 使 用 し た。 本 尺 度 は
Baker (1981) のFreshman's Scale for Adjustment (FSA)
尺 度 を 上 原(1988) が 改 訂 し て 作 成 し た も の で あ る。 本 調 査 で は, 本 尺 度 の 質 問 項 目 の56 項 目 か ら26 項 目 を 選 出し た。 本 尺 度 の 下 位 尺 度 は, 学 習・ 研 究, 心 身 健 康・ 情 緒 , 対 人 関 係, 文 化, 住 居・ 経 済 の5 尺 度 で あ り,こ れ ら の 下 位 尺 度 ご とに 偏 りが 出 な い ように 質 問 項 目 を 選 出 し た。 こ のう ち の8 項 目 は 逆 転 項 目 で あ っ た。 非 常 に よくあ て は まる(5 点) ,や や あ て は まる(4 点) ,ど ちらとも 言 え な い(3 点) ,や や あ て は まらな い(2 点) ,まっ たくあ て は まら な い(1 点) の5 件 法 を 採 用 し た。 た だし, 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 に 関し て は, 異 文 化 体 験 時 の ど の くらい 不 適 応 に な る か を 想 像 さ せ て 回 答 させ るような 質 問 形 式 とし た。 ま た, 異 文 化 体 験 時 の 不 適 応 感 に は, そ の 時 点 で の 不 適 応 感 に つ い て 回 答 さ せ た。 ゆ とり(感) 尺 度 自 文 化 お よ び 異 文 化 で の 生 活 の ゆとり 感 を 調 べ るた め に 古 川 ら(1993) が 作 成 し た ゆ とり(感) 尺 度 を 使 用 し た。 本 調 査 で は, 本 尺 度 の 質 問 項 目 の50 項 目 か ら27 項 目 を 選 出 し た。 本 尺 度 の 下 位 尺 度 は, 遊 楽 性, 環 境 快 適 性, 挑 戦 性, 時 間 自 由 性, 有 能 性 ,富 裕 性, 満 足 安 定 性 ,自 由 奔 放 性 の8 尺 度 で あ り,こ れ ら の 下 位 尺 度 ご と に 偏 りが 出 な い ように 質 問 項 目 を 選 出 し た。 こ の うち の3 項 目 が 逆 転 項 目 で あ っ た。 全 くそ うだ(7 点) ,か な りそ うだ(6 点) ,や や そ うだ(5 点) ,ど ち らとも い え な い(4 点) ,や や ち が う(3 点) ,か な りち が う(2 点) ,まっ た くち が う(1 点) の7 件 法 を 採 用 し た。 本 尺 度 は 対 象 者 が 雇 用 者 全 般 で あ っ た の で , 質 問 項 目 の 内 容 を 大 学 生 が 対 象 とな る ように 表 現 を 修 正 し た。 異 文 化 体 験 前 に 使 用 す る 本 尺 度 に 関し て は ,日 本 で の 生 活 の ゆ とり感 に つ い て 回 答 さ せ, 異 文 化 体 験 時 に は , 現 地 で の 生 活 の ゆとり感 に つ い て 回 答 させ た。 自 律 的 留 学 動 機 尺 度 留 学 生 の 異 文 化 体 験 に 対 す る 動 機 を 調 べ る た め に 譚 ら(2009) が 作 成し た 自 律 的 留 学 動 機 尺 度 を 使 用 し た。 本 調 査 で は, 本 尺 度 の 質 問 項 目 の 26 項 目 か ら13 項 目 を 選 出 し た。 本 尺 度 の 下 位 尺 度 は 同 一 化 的 動 機 づ け, 内 発 的 動 機 づ け, 取 り入 れ 的 動 機 づ け, 外 的 動 機 づ け の4 尺 度 で あ り,こ れ ら の 下 位 尺 度 ご とに 偏 りが 出 な い ように 質 問 項 目 を 選 出し た。 本 尺 度 へ の 回 答 に は , よく当 て は まる(5 点) ,ど ち らか とい うと当 て は まる(4 点) ,ど ちら でも な い(3 点) ,ど ち らか とい うと当 て は まらな い(2 点) , まっ たく 当 て は まらな い(1 点) の5イ 牛法 を 採 用 し た。 本 尺 度 は 日 本 に 留 学 し て き た 外 国 人 留 学 生 を 対 象 とし て い た の で, 外 国 に 留 学 す る 日 本 人 留 学 生 を 対 象 とで きるように 表 現 を 修 正 し た 。 こ れ ら3 種 類 の 尺 度 を 使 用 し て 質 問 紙 を 作 成し た。 た だ し, 質 問 紙 に は 異 文 化 体 験 前 用 と異 文 化 体 験 時 用 の2 種 類 を 用 意 し た。 異 文 化 体 験 前 用 の 質 問 紙 に は, 異 文 化 体 験 前 に 想 像し て い る異 文 化 体 験 時 の 適 応 度 を 回 答 させ る 留 学 生 適 応 尺 度 ,日 本 の 生 活 に 関し て の ゆとり(感) 尺 度 お よ び 留 学 動 機 尺 度 の3 種 類 の 尺 度 を 使 用 し, 異 文 化 体 験 時 用 の 質 問 紙 に 関し て は, そ の 時 点 で の 適 応 度 を 回 答 さ
せ る留 学 生 適 応 尺 度と現 地で の 生 活 に 関して の ゆとり(感)
尺 度 の2種 類 の尺 度 を使 用した。 なお, フェイスシ ートには ,
学 籍 番 号, 性 別, 年 齢, 学 科, 留 学 経 験, 留 学 国 お よび 留
学 期 間 を尋 ね る質 問 項 目を設 けた。この 時, 学 籍 番 号 は 計
4 回 の調 査 のため の通し 薛 号として使 用した。
調 査 手 続き
本 調 査 で は, 計4 回 の 質 問 紙 調 査 を行 った。4 回 の調 査
全 て にお い て集 団 実 施した。 まず, APLCP
の 現 地 到 着 後
オリエ ンテー ションに お いて, 第1 回調 査を行っ た。 第1 回 調
査 で は, 異 文 化 体 験 前 用 の 質 問 紙を 使 用して, 異 文 化 体
験 前の 不 適 応 感 の想 定 ,日本 で の生 活, 留 学 動 機 につ い
て 回 答させ た。 この時, 本 調 査 の 主 旨, 本 調 査 は 合 計4 回
の 調 査 かおることお よび 任 意 の 調 査 で あることを説 明した。
また, プ ライバ シー の保 護を約 束し, 調 査を 実 施した。 そし
て, 第1 回 調 査 の1週 間 後 に 第2 回 調 査,2 週 間 後 に 第3 回
調 査,3 週 間 後 の 帰 国 前 最 終オリエンテ ー ション にお いて
第4 回 調 査 の 計3 回 の 追 調 査 を行っ た。この 時 は 異 文 化 体
験 時 用 の質 問 紙 を使 用し, そ の時 点 で の不 適 応 度 お よび
現 地 で の生 活 につ い て回 答 させ た。
結 果
各 測 定 尺 度 の 因 子 分 析
因 子 分 析 を行うにあ たり,留 学 生 適 応 尺 度 お よび ゆとり
(感) 尺 度 に 関しては, 異 文 化 の 生活 を十 分に 体 験し ている
と考 えら れ る 時 期 の デ ー タを 使 用 す るこ とが 妥 当 で あ ると考 え, 留 学3 週 目(Week 3)の デ ー タを 分 析 に 用 い た 。 留 学 生 適 応 尺 度 留 学 生 適 応 尺 度 の26 項 目 に つ い て , 鏝 尤 法Promax 回 転 に より探 索 的 因 子 分 析 を 行 っ た。 因 子 負 荷 量。40 以 上 を 採 択 基 準 とし た ところ,3 因 子18 項 目 が 抽 出 さ れ た(Table 1) 。上 原(1988) の 先 行 研 究 で は,5 つ の 領 域 に 分 か れ て い た が, 各 因 子 の 項 目 か ら, 本 研 究 で は 先 行 研 究 に お け る 文 化 領 域 お よ び 心 身 健 康・ 情 緒 領 域 を 中 心 にし た『 文 化 的 精 神 不 安 』を 第1 因 子, 住 み 心 地・ 経 済 領 域 お よ び 心 身 健 康 領 域 を 中 心 にし た『 日 常 生 活 不 安 』を 第2 因 子, 学 習・ 研 究 領 域 を 中 心 に 学 業 場 面 で の 対 人 関 係 を 含 む『 学 業 生 活 不 安 』を 第3 因 子 とす る 因 子 構 造 で あ る と 考 え ら れ る。 信 价 腫 の 検 討 の た め にCronbach の a 係 数 を 算 出し たところ, Week 3に お い て は 十 分 に 高 い 値 が 示 さ れ た。 し か し, 体 験 前, Week 1, Week 2に お い て, Week 3に比 べ, 低 い 値 が 得 られ て い る 因 子 も あっ た が, 再 検 査 法 に よる 信 价 腫 分 析 に より, 級 内 相 関 係 数( 7CC) を 算 出 し た 。 そ の 結 果 汀 文 化 的 精 神 不 安( 瓦7C =。78) 』『 日 常 生 活 不 安 (瓦 ズC =。62) 』『 学 業 生 活 不 安( 肥 C =。79) 』と 比 較 的 高 い 値 が 示 さ れ た。 よっ て, 全 時 点 に お い て, 十 分 な 信 价 哇 が 確 認 さ れ た ので, 以 降 の 分 析 に 使 用し 售 本 尺 度 の 平 均 尺 度 得 点( 皿) と 標 準 偏 差CSD) を 算 出し , 今 後 の 分 析 に 用 い た 。分 析 に 先 立 ち ,不 適 応 想 定 を 含 む, 異 文 化 不 適 応 感 の 推 移 を1 要 因 の 分 散 分 析 で 確 認 し
Table 1 留 学 生 適 応 尺 度 の因 子 構 造と信 頼性
項 目
F1 F2 F3F1: 文化 的精神不安( 体験前:a=.78, Weekl:a=.81, Week2:a=.79, Week3:a=.88)
21 私 は 何となく不 安 にな ることがある( だろう) 12 私 は 対 人 関 係 の 問 題 で 悩 む( だ ろう) 13 私 は 現 地 の 社 会 の 特 性 は あまり理 解 で きな い( だろう) 19 私 は 自 分 の 心 理 的、 精 神 衛 生 上 のことで 悩 む( だろう) 20 私 は 現 地 の 大 学 で の 勉 強 を続 け ていく能 力 に 自 信 が ない( だ ろう) 8 私 は 現 地 のあい さつ や 礼 儀 が わ からな くて 困 ることがある( だろう) 18 私 は 寂しくなることが よくある( だ ろう) 17 私 は 自 分 の授 業 が 理 解 で きな い で イライラすることが ある(だ ろう) 24 私 は 経 済 的 にとても 困る( だ ろう) 22 私 は 現 地 の 大とは あまりつ きあお うと思 わ ない( だ ろう) 15 私 は 現 地 の人 の 表 現 が 率 直 で 直 接 的 な ので 時 々 イライラす る ことがある( だ ろう) .79 .00 .03
79
73
73
69
56
55
2106 5554 .18 -.06 .11 -.04 .04 -.08 96567171111011 54665190020130F2: 日 常 生 活 不 安( 体 験 前:a-.51, Weekl:a=.54, Week2:dr=.58, Week3:a ―.78) 10 私 の 住 まい の 住 み 心 地 は 非 常 に 快 適 で 満 足 す る( だろう) .05 .85 -.03 14 全 体 とし て ,私 は 現 地 で の 生 活 に 満 足 す る( だろ う) .11 .79 .17
7 私 は 大 変 健 康 で ある(あろう) -.05 .54 .04 5 私 は よく眠 れ な いことがある( だろう) .28 -.47 .01 F3: 学 業 生 活 不 安( 体 験 前:ff=.61, Weekl:a=.72, Week2:a=. 69, Week3:<r=. 81)
4 私 は 現 地 の 大 学 で の 勉 強 が 楽しい( だ ろう) .03 -.08 .91 11 全 体 とし て ,私 は 現 地 の 大 学 で の 自 分 の 勉 強 に満 足 す る( だろ う) .13 .23 .78 16 全 体 とし て, 現 地 の 大 学 で の 人 間 関 係 に満 足 する( だ ろう) -.19 .14 .45
一 皿 (J )
Table 2 異 文化 不 適 応 感 の 推 移
Weekl 一 皿 (J ) Week2 -M (SD) Week3 -M (SB) F μ 多 重 比 較 (Bonferroni)aa?
安 2
‘89
(
‘63
) 2.40 (.58) 2.42 (.57) 2.39 (.72) 28.34 *** Pre > Wl, W2, W3
宍 戸2.64 (.69) 2.09
(.62) 2.07 (.59) 1.98 (.71) 28.95 Pre
> Wl, W2, W3
驚
戸2.42 (.61) 2.28
(.77) 2.27 (.71) 2.05 (.78) 7.67 Pre,
Wl, W2 > W3
5035 0000 8 3 0 1 .27 .77 .68たところ 汀 文 化 的 精 神 不 安 』
お よび『 日 常 生 活 不 安 』
にお
い て は, 異 文 化 体 験 時 のどの 時 点 の 不 適 応 感 心,異 文 化
体 験 前 の不 適 応 感 上りも有 意 に 低くなってい ることが示 され
た。 また 汀 学 業 生活 不 安 』に関しては, Week 3にお ける不
適 応 感 八 不 適 応 想 定お よびWeek 3以 前 の不 適 応 感 より
も有 意 に低 いことが示 された(Table 2)。
ゆとり(感) 尺 度
ゆとり(感) 尺 度 の27 項 目 につ い て ,
先 と同 様 に採 択 基 準 を 因 子 負 荷 量。40 以 上とし, 鏝 尤 法
Promax 回 転 により探 索 的 因 子 分 析 を行った。 その 結 果,1
因 子 構 造 が 妥 当 であると判 断し,22 項 目が抽 出した(Table
3)。古 川 ら(1993) の 先 行 研 究 で は,8 因 子 構 造 で あった
八 本 研 究 で は, 生活 にお けるゆとりまた は 余 裕として 包 括
的 に 捉 える。信 价 哇 の検 討 のため にCronbach の a 係 数 を
算 出したところ, 全 時 点 にお い て, 十 分に 高 い 値 が示 され ,
信 价 哇が 確認 され た。
本 尺 度 の 平 均 尺 度 得 点(皿) と標 準 偏 差(S 仞 を 算 出
し, 今 後 の 分 析 に用 い た。自 国 ゆとり感 の平 均 尺 度 得 点 は
Table 3 ゆとり感 尺 度 の 因 子構 造と信 斷 壯
項 目 F1
-F1: ゆとり感( 体験前:a=.88, Weekl:a=. 93,
Week2:<z=.94, Week3:a=. 95)
25 私 の 生 活 は 安 定し て い る 18 私 の 生 活 は 充 実し て い る 23 何 事 も 楽し んで や っ て い る 24 私 は 今 の 生 活 に 満 足し て い る 26 何 を す るに も選 択 の 輻 は 広 い 14 何 か 新し い ことを 始 め る意 欲 が 十 分 ある 3 学 校 生 活 は 極 めて うまくい っ て い る 7 他 人 の た め 、心 遣 い す る 余 裕 かおる 9 い つ も向 上し ようと 心 掛 け て い る 27 た い て い のこと に は 対 処 で きる 20 住 んで い る 家 は 十 分 な 広さ かおる 15 感 情 を素 直 に 表 す ことが で きる 10 交 友 関 係 は 豊 か だ 5 健 康 に 恵 ま れ て い る 8 家 庭 内 はうまくい っ てい る 4 休 暇 は 十 分 に ある 2 自 分 の 白 由 に な る 時 間 かお る 21 精 神 的 に 安 定し て い る 19 私 には 大き な 目 標 かおる 17 周 囲 に とらわ れ ることなく白 由 に 生 き て い る 13 精 神 的 余 裕 か おる 1 経 済 的 な 余 裕 か おる 5 5 4 4 2 1 1 6 4 4 2 1 1 8 6 4 4 3 8 4 8 8 8 8 8 8 8 7 7 7 7 7 7 6 6 6 6 6 5 5 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 一 ・ ・ ・ ・ ・ .52 .454。98(SD =。70)点 てあった。 また, 本 尺 度 は得 点 が高 いとゆ
とり感 が高 いことを示 す 。
自 律 的 留 学 動 機 尺 度
自律 的 留 学 動 機 尺 度 の13 項 目
につ い て, 先と同 様 に採 択 基 準 を因子 負 荷 量。40以 上とし,
鏝 尤 法Promax 回 転 により探 索 的 因 子 分 析 を 行った。 そ の
結 果,2 因 子11 項 目が 抽 出 され た(Table 4) 。譚 ら(2009)
の先 行 研 究で は,4 因 子 構 造 で あっ た八 各 因 子 の 項 目か
ら, 本 研 究 で は 先 行 研 究 に お ける同 一 化 的 動 機 お よび 内
発 的 動 機 を含 む『 内 発 的 留 学 動 機 』
を 第1 因 子 ,取り入 れ
的 動 機 を含 む
『 取り入 れ 的 留 学 動 機 』
を第2 因 子とす る因子
構 造で あると考えられ る。信 价 肬の 検 討 のた めにCronbach
の a係 数 を 算 出したところ, 各 因 子 にお い て 十 分 に 高 い値
が示され, 信 价 腟が確 認 された。
本 尺 度 の 平 均 尺 度 得 点( 皿) と標 準 偏 差(S 刧 を 算 出
し ,今 後 の 分 析 に 用 い た 。
『 内 発 的 留 学 動 機 』因 子 で
は4.2 6(SD =。62) 点 汀 取り入 れ 的 留 学 動 機 』
因 子 で は
2.53CSZ) =。91)点 てあった。 また, 本 尺 度 は, 得 点 が 高い と
各 因 子 の留 学 動 機 が 高いことを示 す 。
異 文 化 体 験 前 の 個 人 特 性 の 異 文 化 適 応 感 へ の 影 響
異 文 化 体 験 初 期 の不 適 応 感 は認 知 面 を含 む 異 文 化 体
験 前 の 個 人 特 性 から 影 響 を受 け てい ると推 測 される。 よっ
て 汀 文 化 的 精 神 不 安 』
『 日 常 生 活 不 安 』
『学 業 生活 不 安 』
の
異 文 化 体 験 前 の不 適 応 想 定 ,自 国 にお け るゆとり感, お 上
Table 4 自 律的 留 学 動 機 尺 度 の因 子 構 造と信 頼性
項 目 F1 F2 一 一 FI: 内 発 的 留 学 動 機(a=.80) 10 留 学し た か った から 2 外 国 の 文 化 、知 識 を 学 び たい か ら 12 外 国 で 生 活 す ることが 面 白 そうだか ら 3 外 国 で の 勉 強 は 楽しい から 自 分 の 視 野 を広 め 、人 生 経 験 を 8 豊 か にし た い か ら 4 自 分 の 外 国 語 力 を上 げ た い か ら 自 分 が 行 きた い か どうか で は な く、 I 周 りの人 に 影 響 さ れ た から F2: 取 り 入 れ 的 留 学 動 機(a=. 73) 5 外 国 語 を 学 ば な い と不 安 だ から 7 外 国 語 を 喋 れ な い と恥 ず かしい か ら 外 国 語 は 覚 え なけ れ ばな らな い 9 も の だか ら II 留 学ブ ー ムで み んな が行 くか ら .78 .67 6 1 6 6 6 5 51 51 .09 .04-.04 .67
-.03 .44
因 了吽目関 -.14び,『 内発 的 留学 動 機 』
『 取 入 れ 的 留 学 動 機 』
などの 自 律 的
留 学 動 機 などが, どのような 影 響を 異 文 化 体 験 初 期 の 不 適
応 感 に与 えて いるの かを検 討し た. また, 異 文 化 体 験 が 進
む につ れて, 異 文 化 体 験 前 の 個 人 特 性 に加 え, そ れ まで
に 抱 いてきた 異 文 化 不 適 応 感 がそ の時 点 で の 異 文 化 不 適
応 感 にど のように 影 響してい るのか につ い ても検 討した. そ
の ため,4 つ の 異 文 化 体 験 前の 個 人 特 性 を独 立 変 数 とし,
異 文 化 体 験1 週 目の 異 文 化 不 適 応 感( 以 下, Week 1不 適
応)を 目的 変 数 とした重 回 帰 分 析,4 つ の独 立変 数 に加 え,
Week l不 適 応 を独 立 変 数 とし, 異 文 化 体 験2週 目の 異 文
化 不 適 応 感( 以 下.Week 2不 適 応)を 目的 変 数 とした 重 回
帰 分 析, お よび, Week 2不 適 応 を加 えた6 つ の変 数 剖 虫立
変 数 とし, 異 文 化 体 験3 週 目 の不 適応 感( 以 下.Week 3不
適 応) を 目的 変 数 とした 重 回 帰 分 析 を 行った. 分 析 にお い
ては, 異 文 化 不 適 応 感 の3 つ の 因子 そ れぞ れ に関して行っ
た.
文化 的 精神 不 安領 域 の異 文 化不 適 応感 へ の影 響 まず ,
異 文 化 体 験 前 の 個 人 特 性 が ,文 化 的 精 神 不 安 領 域 にお
ける各 週 の 異 文 化 不 適 応 に 与える影 響 につ い て 検 討した
(Table 5).そ の 結 果, 各 週 の 不 適 応 得 点 のそれ ぞ れ にお
いて, 重 相 関係 数 はWeek l:(R)=. 59,
Week 2:(R)=.69,
Week 3:(R)=.76) で あり,重 回 帰 式 は 有 意 であった(Week
1:F(4, 80)=10.65, 夕<.001, Week 2:K5, 79)=14.26,
y・<.001, Week 3:Fie, 78)=17.97,夕<.001)。 Week l不 適
応 に お い て は, 不 適 応 想 定 が 有 意 な 正 の影 響(β=.47,
/・<.001)
を示し てい た. また, Week 2不 適 応 に は, Week l
不 適 応 が 有 意な 正 の 影 響( β=.51, 夕<.001)を示 し, さら
に, Week 3不 適 応 に
自国 ゆとり感 が 有 意 な 負 の 影 響(β
=-.19, p<. 05)
を示し, Week l不 適 応 が有 意 な傾 向で 正 の
影 響(β= 19, p・<.10)
を示し, Week 2不 適 応 が有 意 な正 の
影 響(β=.55,夕<.00l)を示して いた.
こ のことから ,文 化 的 精 神 不 安 領 域 に お い て1 週 目に
は, 不 適 応 想 定 が 高 い 者 は 異 文 化 不 適 応 感 が 高くなり,2
週 目に なると,そ の 影 響 は 有 意 で はなくなるが,1 週 目の 異
文 化 不 適応 感 が 高くなると2週 目 の異 文化 不 適 応 感 が高く
な ることが 示 され た. そ し て,3 週 目で は,1 週 目と2 週 目 の 異 文 化 不 適 応 感 が 高 い と3 週 目 の 異 文 化 不 適 応 感 が 高くな る こ とが 示 さ れ た. さら に は, 異 文 化 体 験 前 の 自 国 で の ゆ とり 感 が 高 い と, 異 文 化 不 適 応 感 が 低 くな ることが 示 さ れ た . 日 常 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 次 に 異 文 化 体 験 前 の 個 人 特 性 が ,日 常 生 活 不 安 領 域 に お け る 各 週 の 異 文 化 不 適 応 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し た (Table 5) .そ の 結 果, 各 週 の 不 適 応 得 点 の そ れ ぞ れ に お い て, 重 相 関 係 数 はWeek l:(K)= 45, Week 2:<ft)=58, Week 3:(f?)=68) で あ り, 重 回 帰 式 は 有 意 で あ っ た(Week 1:F(A, 80)=4.99, 夕<.01, Week 2:H5, 79)=8.06, P<.001, Week 3:F(6, 78)=11.42, /><.001)。Week l不 適 応 に お い て は, 不 適 応 想 定 が 有 意 な 傾 向 で 正 の 影 響( β= 18, £<10) を 示 し ,自 国 ゆとり感 が 有 意 な 負 の 影 響( β=-.33,/><.0l) を 示 し て い た. また.Week 2不 適 応 に お い て は, Week l 不 適 応 が 有 意 な 正 の 影 響( β= 42, 夕<.00l) を 示 し て い た. さら にWeek 3不 適 応 に お い て は ,自 国 ゆ とり感 が 有 意 な 負 の 影 響( β=-.21, /><.05)を示 し, Week 2不 適 応 が 有 意 な 正 の 影 響( β=.40,/><.00l) を示 し て い た. こ の こ とか ら ,日 常 生 活 不 安 領 域 に お い て1 週 目 に は , 不 適 応 想 定 が 高 い 者 は 異 文 化 不 適 応 感 が 高 くなり,また , 異 文 化 体 験 前 の 自 国 ゆとり感 が 高 い 者 は 異 文 化 不 適 応 感 が 低くな るこ とが 示 され た.2 週 目 に な ると, そ の ど ち ら の 影 響 も 有 意 で は なくな る が ,1週 目 の 異 文 化 不 適 応 感 が 高 い と2 週 目 の 異 文 化 不 適 応 感 が 高 くな ることが 示 さ れ た. そし て,3 週 目で は,2 週 目 の 異 文 化 不 適 応 感 が 高 い と3 週 目 の 異 文 化 不 適 応 感 が 高 くな り, 異 文 化 体 験 前 の 自 国 ゆ とり感 が 高 い と, 異 文 化 不 適 応 感 が 低 くな るこ とが 示 さ れ た. 学 業 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 さら に 異 文 化 体 験 前 の 個 人 特 性 が, 学 業 生 活 不 安 領 域 に お け る 各 週 の 異 文 化 不 適 応 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し た (Table 5) .そ の 結 果, 各 週 の 不 適 応 得 点 の そ れ ぞ れ に お い て, 重 相 関 係 数 はWeek l:G?)= 45, Week 2:収)=.78, Week 3:(f?)=.69)で あ り, 重 回 帰 式 は 有 意 で あ っ た(Week1:F(A, 80)=4.96, 夕<.01, Week 2:Fib, 79)=24.52,/><001,
Table 5 異 文 化 不 適 応感 に対 す る異 文化 体 験 前 の個 人 特 性 の影 響3
文化的精神不安
Week 1 Week 2 Week 3
説 明変 数
不 適 応 想 定
自国 ゆとり感
内発 的 留 学 動 機
取入 れ 的 留 学 動 機
不 適 応 感(Week 1)
不 適 応 感(Week 2)
刀 2
.47 .15 .09 .08 * ** 尺 リ 0 0 1 1 1 1 1 0 尺 リ * ** ** * → * 593895 01001 尺 リ「」常生 活 不 安
Week 1 Week 2 Week 3
18 ↑ ** 3 1 4 りa 1 0 I I I * 3101602 11 1 龠 I I I 龠 * ** 3325211 1 0 4 .40 ***
学業 生活 不 安
Week 1 Week 2 Week 3
.21 ↑ -.32 .01 -.06 * * 12 17 * * ** 325 006 * * * 546437 120013 − 龠 ︱ − I I .35 *** .47 *** .58*** .20 ** .34 *** .47 *** .20 ** .61 *** .48 *** 註) Table 内 、中 段 の 値 は β の 値 で あ る
Week 3:F(6, 78)=12.11,/><.001)
。 Week
1不 適応 にお いて
は, 不 適 応 想 定 が 有 意 な傾 向 で 正 の影 響(β= 21, p<.10)
を示し ,自 国 ゆとり感 が 有 意な 負 の 影 響(β=-.32, p<m) を
示してい た. また, Week 2不 適 応 にお いて は ,自 国 ゆとり
感 が有 意な負 の影 響(β=-.n,P<m)
を示し, Week 1不 適
応 が 有 意 な 正 の 影 響(β=.65, /x.001)を示して いた. さら
にWeek
3不 適 応 にお いて は,自国 ゆとり感 が有 意 な負 の
影 響(β=-.24, p<. 05)
を示し, Week 2不 適応 が有 意 な正 の
影 響(β=.37,/><.00l)を示して いた.
こ のことから, 学 業 生 活 不 安 領 域 に お い て1 週 目 に は ,
不 適 応 想 定 が高 い 者 は異 文化 不 適 応 感 が高くなり,また ,
異 文 化 体 験 前 の 自 国 で の ゆとり感 が高 い 者 は 異 文 化 不 適
応 感 が 低くなることが 示 され た.2 週 目に なると, 不 適 応 想
定 の 影 響 は有 意 で はなくなるが,1週 目 同 様 に 異 文 化 体
験 前 の 自国 で の ゆとり感 が 高い 者 は 異 文 化 不 適 応 感 が 低
くなり,1週 目の 異 文 化 不 適 応 感 が 高いと2週 目の 異 文 化 不
適 応 感 が高くなることが 示 され た. そして,3 週 目で は,2 週
目の 異 文 化 不 適 応感 が 高 いと3週 目の 異 文 化 不 適 応 感 が
高くなるの に加 え, 異 文 化 体 験 前 の 自国 で の ゆとり感 が 高
いと,異 文化 不 適 応感 が低くなることが示 され 售
考 察
本 研 究で は, 異 文 化 体 験 前 の認 知 を含 む 異 文 化 体 験
者 の個 人 特 性 が 異 文 化 体 験 時 の不 適 応 感 に 影 響 す るの
かを検 討 す るた め に 異 文 化 体 験 前 の認 知 や 自国 で の 生
活 に 焦 点を 当てた 縦 断的 研 究を行 っ售
異 文 化 不 適 応 感 の 推 移
重 回 帰 分 析 に先 立 ち, 異 文化 不 適 応 感 の推 移を1 要 因
分 散 分 析 により検 討したところ, 文 化 的 精 神 不 安 お よび 日
常 生 活 不 安 の 領 域 にお い ては, 不 適 応 想 定 よりも 実 際 の
不 適 応 感 は 低くなってい た。 また, 学 業 生 活 不 安 の領 域 に
お い て は, Week 3の不 適 応 感 がそ れ 以 前 の 適 応 感 及 び
不 適 応 想 定 よりも 低くなっ ていた
学 業 生活 不安 にお い ては, Week 3の 不 適 応 感 がそ れま
で の時 点 よりも低くなっており,異 文 化 適 応 が徐 々 に進 んで
いると考 えられる。 また, 文 化 的 精 神 不 安 お よび 日常 生 活
不 安 の 領 域 で は, 異 文 化 体 験時 の時 点 の 間 には 有 意 差 は
見 られな かった が, 数 値 的 に は徐 々 に 値 が 小 さくなっ てい
る。このことから全 体 的 に みると,1 か 月という短 期 の 語 学 留
学 であっ ても, そ の 間で, 徐 々 に 異 文 化 適 応 が 進 んで いく
ので はない かと考 えられる。
文 化 的 精 神 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響
文 化 的 精 神 不 安 領 域 にお け る個 人 特 性 の 異 文 化 不 適
応 感 へ の影 響 を検 討 す るた め に 重 回 帰 分 析 を行ったとこ
ろ, Week 1不 適 応 へ は異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 が 影
響し, Week 2不 適 応 へ はWeek 1不 適 応 が 影 響していた。
また, Week 3不 適 応 へ は, Week 1およびWeek 2不 適 応 ,
自 国 ゆとり感 が 影 響してい ることが 示 され た。 そ のた め ,文
化 的 精 神 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 に お い て, 仮 説1 お よ び2 は 一 部 支 持 され, 仮 説3 は 支 持 され な かっ た 。 異 文 化 体 験 初 期( 本 研 究 に お け るWeek 1) に お ける 文 化 的 精 神 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 感 へ は, 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 が 決 定 因 子 とな るこ とが 示 さ れ た。 こ の 文 化 的 精 神 不 安 領 域 は, 精 神 的 な 不 安 を 測 定 で きる 因 子 構 成 で あり, 精 神 的 不 安 を 含 む 項 目 が 多 い。 そ の た め, 異 文 化 へ 移 行 す ることに 対 す る 不 安 など, 体 験 前 の 認 知 や 思 考 が 文 化 的 精 神 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 に 影 響し た の で は な い か と考 え られ る。 異 文 化 を 実 感 す ること に対 す る 不 安 が 異 文 化 体 験 前 か ら 存 在 す るこ とで, 異 文 化 体 験 前 の 不 安 が 維 持 さ れ, 異 文 化 体 験 時 に 文 化 の 移 行 に 対 す る 不 安 を 感 じ な が ら 生 活 を す ることで, 異 文 化 で の 不 適 応 感 が 高 く な っ た の で は な い か と考 え ら れ る。 こ の 不 適 応 想 定 の 影 響 は 異 文 化 体 験 初 期 の 異 文 化 不 適 応 感 の み に 見 ら れ, 以 降 の 異 文 化 不 適 応 感 に は 直 接 的 な 影 響 は 見 られ な か っ た 。 た だ し, 初 期 に 決 定 づ け ら れ た 異 文 化 不 適 応 感 を 介 し て , 不 適 応 想 定 が 初 期 以 降 の 異 文 化 不 適 応 感 を 決 定 づ け て い ると考 え られ る。 こ のこ とは, 異 文 化 体 験 前 の 不 安 の 認 知 が ,間 接 的 に 異 文 化 体 験 初 期 以 降 の 異 文 化 不 適 応 感 に 影 響し て い るこ とを 示 し て い ると考 えら れ る。 ま た, 異 文 化 体 験 後 期( 本 研 究 に お け るWeek 3)に お い て, 異 文 化 体 験 前 の 自 国 ゆ とり感 が 異 文 化 不 適 応 感 の 決 定 因 子 とな るこ とが 示 され た。 つ まり,自 国 で の ゆとり感 が 低 か っ た 者 は, 異 文 化 体 験 後 期 の 不 適 応 感 が 高 くな る。 こ の 影 響 は 異 文 化 適 応 過 程 に 沿 っ たも の で あ る と考 え られ る。 0berg(1960) に よると, 異 文 化 適 応 過 程 の 紆 余 曲 線 は 第 一 段 階 が「 ハ ネ ム ー ン 期」 で 新 し い 環 境 を 楽 観 的 にとらえ る 段 階 で あり, 個 人 差 は あ るも の の, 異 文 化 体 験 か ら1 週 間 程 度 持 続 す るとさ れ, 第2 段 階 の[ ソ ヨック 期] は, 新 し い 文 化 へ の 敵 対 心 の あ ら わ れ で あ る。ゆ とりの 低 か っ た 者 の 中 に は, 新 し い 文 化 で の 生 活 が で き ることで, 精 神 的 に 高 揚し て お り,「ハ ネ ム ー ン 期」 の 段 階 に い た が, 異 文 化 体 験 が 進 む に つ れ, 敵 対 心 な ど が 生 ま れ る「シ ョック 期」 の 段 階 とな り, 精 神 的 な 落 ち 込 み が 発 生 す ると 考 え ら れ る。 そ の た め, 異 文 化 体 験 後 期 に お い て ,自 国 ゆ とり感 が 決 定 因 子 とし て 出 現し た と考 えら れ る。 日 常 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 日 常 生 活 不 安 領 域 に お け る 個 人 特 性 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 を 検 討 す る た め に 重 回 帰 分 析 を 行 っ た とこ ろ, Week 1不 適 応 へ は 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 お よ び 自 国 ゆ とり感 が 影 響 し, Week 2不 適 応 へ はWeek 1不 適 応 が 影 響 し て い た。 また, Week 3不 適 応 へ は, Week 2不 適 応 お よび 自 国 ゆ とり感 が 影 響 して い ることが 示 され た。 そ の た め ,日 常 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 に お い て, 仮 説1 お よび2 は 一 部 支 持 され, 仮 説3 は 支 持 され な かっ た 。 異 文 化 体 験 初 期 に お ける 日 常 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 感 に 対 し, 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 が 決 定 因子 とな るこ とが 示 され た。 こ の 因 子 に は, 生 活 ス タイル に 関 す る 項 目 か お り,こ れ まで 生 活 し てき た 環 境 とは 別 の 環 境 で 生 活 を す ること に 対 す る 不 安 や 期 待 が 異 文 化 体 験 前 に 存 在 し た と考 え ら れ る。 異 文 化 で の 日 常 生 活 に 期 待 し て い た 者 は ,自 身 の 期 待 す るような 結 果 を 求 め 行 動 す るこ とで, 異 文 化 不 適 応 感 を 抱 か な か っ たと 考 えら れ る。 そ の 反 面, 異 文 化 で の 日 常 生 活 に 不 安 を 抱 い て い た 者 は ,自 身 の 不 安 に 思 っ て い るような 結 果 ば か りを 考 え, 不 適 応 的 な 行 動 に 至 っ たこ とに より異 文 化 不 適 応 感 を 抱 い た の で は な い か と 考 えら れ る。 さらにSherer, et al. (1982) は ,自 己 効 力 感 の 中 に は, 行 動 を 起こし, そ の 行 動 を 完 了 し ようとす る努 力 を し, 逆 境 に 立 ち 向 か う時 に は 我 慢 を で きるとい う3つ の 要 素 が 存 在 す ると述 べ て い る。 こ の ことか ら, 異 文 化 体 験 に 対 す る 期 待 が ,自 己 効 力 感 的 に 作 用 し, 異 文 化 体 験 時 の 適 応 感 に 影 響し て い た の で は な い か と考 え られ る 。 ま た, 異 文 化 体 験 初 期 に お け る 異 文 化 不 適 応 感 へ は , 自 国 ゆ とり感 心決 定 因 子 とな るこ とが 示 さ れ た。 こ れ は ,日 本 文 化 か ら 米 国 文 化 の 生 活 形 態 へ の 急 激 な 変 化 に よっ て 生 じる の で は な い か と考 え ら れ る。 異 文 化 体 験 者 の 中 で も, 今 まで の 生 活 へ の ゆとりの な い 者 は ,日 常 生 活 そ のも の が 変 わ る と, 今 まで 以 上 の 不 安 や 不 満 を 抱 え る の で は な い か と 考 え られ る。 また, ゆ とり感 とは, 広 辞 苑( 第6 版) に よ れ ば , 「 余 裕 か お ること。 窮 屈 で な い こ と。」で あ り,ま た, 富 田・ 高 橋(2003) に よ れ ば ,「不 安 や 葛 藤 に 飲 み 込 ま れ な い 心 の 落 ち 着 き」で あ るとさ れ て い る。 つ まり,自 国 で ゆ とりを 感 じて い な か っ た 者 は, そ の 時 点 で す で に「 余 裕 の な い 状 態 , 不 安 や 葛 藤 の あ る 状 態」 で あ り, 一 方 で, ゆとりを 感 じ て い た 者 は ,「余 裕 のあ る 状 態, 不 安 や 葛 藤 の な い 状 態」 で あっ た と考 え ら れ る。 そ の 上うな 中 で ,自 国 に 対 し て ゆとりの な かっ た 者 は, 異 なる 生 活 スタイル や 生 活 面 の 文 化 差 を 感 じること で, 異 文 化 体 験 初 期 に 異 文 化 不 適 応 感 を 抱 い た の で は な い か と考 え られ る。 一 方, ゆとりの あ っ た 者 は, 少 な か ら ず , 不 安 や 葛 藤 は 体 験 して い ると考 え ら れ る が, 異 文 化 体 験 前 か ら 余 裕 か おり,ゆ とり感 が 低 い 者 と比 べ ると, 異 文 化 不 適 応 感 を 抱 か な か っ た の で は な い か とも 考 え られ る。 今 回 の 調 査 を 行 っ た 日 本 人 留 学 生 が 所 属 し て い た
America Plus Language and Culture Program は ホ ー ム ステ イプ ログ ラ ムで あ り,留 学 生 け 皆, 現 地 の 家 庭 に 入 り生 活 をし て い た。 こ のこ とも ,自 国 で の ゆ とりが な か っ た 者 が 異 文 化 不 適 応 感 を 抱 く要 因 に な っ た とも 考 え ら れ る。 鹿 浦 (2007) は, ホ ー ムステ イ を す る 留 学 生 か, ホ ー ム ステ イ 時 の 生 活 に 満 足 せ ず に ストレ スを 感 じ て い るこ とを 自 由 記 述 式 の 質 問 紙 に より明 ら か にし て い る。 こ の ことか らも 分 か る よう に 異 文 化 で の 日 常 生 活 は ,自 国 に い る よりも ストレ ス を 感 じ や す い 生 活 に な るこ とが 考 え ら れ る。 そ の た め ,自 国 で の ゆ とりが 低 か っ た 者 は, 余 裕 が なくな り, 異 文 化 不 適 応 感 を 抱 い て い た と考 え ら れ る。 し かし, 現 地 の 生 活 に 徐 々 に 慣 れ て い くことに より, 異 文 化 で の 生 活 に 対 す る 不 満 の 源 や ストレッ サ ー が 徐 々 に 減 っ て い き, 異 文 化 体 験 中 期( 本 研 究 に お け るWeek 2)に は , 自 国 ゆ とり感 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 が 見 ら れ なくな っ たと 考 え ら れ る。 た だ し, 異 文 化 体 験 後 期 に な ると, 文 化 的 精 神 不 安 領 域 と同 様 に 生 活 そ のも の にも 敵 対 心 を 持 つ よ うな シ ョック期 に 入 ることで, 本 来 ゆ とりが な か っ た 者 は, 余 裕 が な くな り,不 満 や ストレ ス が 溜 まっ て い っ た の で は な い か と考 え ら れ る。 そ の た め ,異 文 化 体 験 後 期 に お い て ,自 国 ゆとり感 が 決 定 因 子 の1 つ となっ たと考 え られ る。 学 業 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 最 後 に 学 業 生 活 不 安 領 域 に お け る 個 人 特 性 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 を 検 討 す る た め に 重 回 帰 分 析 を 行 っ た ところ, 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 お よび 自 国 ゆ と り感 がWeek 1不 適 応 へ 影 響 し て お り, Week 2不 適 応 へ は Week 1不 適 応 お よび 自 国 ゆとり感 が 影 響 し て い た。 また , Week 3不 適 応 へ は, Week 2不 適 応 お よび 自 国 ゆとり感 が 影 響 し て い るこ とが 示 され た。 そ の た め ,学 業 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 不 適 応 に お い て, 仮 説1 は 一 部 支 持 さ れ, 仮 説 2支 持 され た が, 仮 説3 は 支 持 され な か っ た 。 異 文 化 体 験 初 期 に お ける 学 業 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 適 応 感 へも, 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 が 決 定 因 子 とな ること が 示 さ れ た。 こ の 因 子 は, 言 語 学 習 に 関 す るこ とだ け で は なく,大 学 で の 人 間 関 係 な ど, 学 業 全 般 に 関 す る 不 安 の 項 目 で あ り, 学 生 の 主 軸 で あ る 学 業 に 対 す る 不 安 や 期 待 が 異 文 化 体 験 時 の 学 業 生 活 に お け る 学 習 や コミュ ニ ケ ー ション に 対 し て 存 在し た と考 え ら れ る。 異 文 化 体 験 前 に 異 な る 言 語 を 使 用 して 学 習 や コミュニ ケ ー ションを 行 うことへ の 期 待 が 存 在 す ると, 異 文 化 に お ける 学 業 場 面 に お い て 楽し み が 見 い だ せ, 満 足 感 が 高 まることで, 異 文 化 に 対 し て 適 応 で きる の で は な い か と 考 え ら れ る。 一 方, 異 文 化 体 験 前 に 異 な る 言 語 を 使 用 し て 学 習 や コミュ ニ ケ ー ション を 行 うこ とへ の 不 安 が 存 在 す ることで, 実 際 に 異 文 化 で の 学 業 生 活 に 触 れ た 時 に 予 測し て い た 不 安 な 状 況 を 体 験し, 異 文 化 不 適 応 感 が 生じ た の で は な い か と考 えら れ る。 し かし, 異 文 化 で の 学 業 生 活 に 触 れ て い く に つ れ, そ の 不 安 が 解 消 さ れ ることで, 異 文 化 不 適 応 を 感 じ ることが なくな っ て い くこ と が 考 え られ る。 そ の た め, 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 が 異 文 化 体 験 中 期 以 降 の 異 文 化 不 適 応 感 へ 直 接 的 に 影 響 を 及 ぼ すこ とが なくな る の で は な い か と考 えら れ る。 また, 学 業 生 活 不 安 領 域 の 異 文 化 適 応 感 へ は ,自 国 で の ゆ とり感 が 異 文 化 体 験 全 体 を 通 し て 影 響 し て い るこ とが 示 さ れ た。 こ のこ とか ら ,自 国 ゆ とり感 は, 異 文 化 体 験 時 の 学 業 生 活 に お け る 異 文 化 不 適 応 感 の 決 定 因 子 で あ ると 考 え られ る。 今 回 の 調 査 参 加 者 は 日 本 の 大 学 に 通 う大 学 生 で あ っ た こともあ り,自 国 で の 本 業 は 学 生 で あ っ た。 そ の た め ,1 日 ,1週 間 の 大 半 を 占 め る の が 大 学 生 活 で あ る た め に 自 国 で の ゆ とりとい う概 念 の 中 に 大 学 生 活 のことが 含 ま れ て い た 可 能 性 が 考 え られ る。 学 生 で あ る た め に 大 学 生
活 の ことを 想 定 す る の は 必 然 で あ る。 大 学 生 活 の ゆとりとと らえ て い た とす れ ば, こ れ ま で の 自 国 で の ゆとりが な か っ た 者 は ,日 本 の 大 学 よりも ,コミュ ニ ケ ー シ ョン や 学 習 が 困 難 に な る 異 文 化 に お い て, 困 難 感 や ストレ ス が 溜 まり, 学 業 生 活 面 で の 異 文 化 不 適 応 感 が 高くな っ た の で は な い か と考 え られ る。 一 方 で ,自 国 で の 大 学 生 活 に ゆ とりが あっ た 者 は , そ の 余 裕 か ら, 新 し い 大 学 で 学 ぶ 意 欲 や 楽し み が 湧 き, 異 文 化 不 適 応 感 を 抱 くこ とが な か っ た の で は な い か と 考 え ら れ る。 不 適 応 想 定 と ゆ とり 感 の 全 体 的 考 察 全 体 的 に 見 て, 不 適 応 想 定 は 異 文 化 体 験 初 期 の 不 適 応 感 に 影 響 し て お り,自 国 ゆ とり感 は 異 文 化 体 験 全 体 を 通 し て 不 適 応 感 に 影 響 し て い るこ とが 示 唆 さ れ た。 た だ し ,自 国 ゆとり感 に 関 し て は, 不 適 応 感 の 各 領 域 で 傾 向 が 異 な る ことが 示 され 售 不 適 応 想 定 に 関し て は ,自 己 成 就 予 言 の 効 果 が 働 い た とも 考 え ら れ る。 不 適 応 想 定 時 に 期 待 が 高 かっ た 者 は, 想 定 時 の 自 身 の 期 待 に 応 え ようと, そ の 期 待 に 基 づ き 行 動 を し た 結 果, 期 待 通り の 状 況 となり,自 身 が 適 応 で きて い るよ うに 感 じ て い た の で は な い か と考 え ら れ る。 一 方, 不 適 応 想 定 時 に 不 安 が 高 か っ た 者 は, そ の 不 安 に 基 づ き 行 動 を す るこ とで, 不 満 や 不 快 な 事 象 が 増 え るこ とで, 予 測し て い た 不 安 通 りの 状 況 となり,自 身 が 適 応 で きて い な い ように 感 じ た の で は な い か と考 え られ る 。 自 国 ゆ とり感 の 異 文 化 不 適 応 感 の 影 響 に 関 し ても, こ れ まで 考 察 し てき た ような ことが 考 え られ るが, ハ ネ ム ー ン 期 の 影 響 は, 文 化 的 精 神 不 安 領 域 に の み 限 定 され て い た。 この ことに 関 して は, 文 化 的 精 神 不 安 領 域 と 日 常 生 活 不 安 お よ び 学 業 生 活 不 安 領 域 の 違 い とし て, 文 化 的 精 神 不 安 領 域 に は 情 動 に 関 す る 項 目 が 多 く,日 常 生 活 や 学 業 生 活 不 安 の 領 域 に は 道 具 的 な 項 目 が 多 い。 ハ ネ ム ー ン 期 は 高 揚 感 や 興 奮 のあ る 時 期 で あ る た め, 情 動 反 応 を 問 わ れ る 文 化 的 精 神 不 安 領 域 に の み 自 国 ゆ とり感 の 影 響 が 出 現 し た の で は な い か と考 え ら れ る。 そ し て ,日 常 生 活 や 学 業 生 活 不 安 領 域 の, で きる か で きな い か の 道 具 的 な 結 果 を 問 わ れ る 日 常 生 活 不 安 お よび 学 業 生 活 不 安 の 領 域 に は ハ ネ ム ー ン 期 の 影 響 が な か っ た の で は な い か と考 え ら れ る。 自 律 的 留 学 動 機 の 異 文 化 不 適 応 感 へ の 影 響 各 因 子 に お け る 異 文 化 不 適 応 感 に 対し て, 異 文 化 体 験 前 の 自 律 的 留 学 動 機 の 影 響 は 有 意 に 現 れ ることは な か っ た。 こ の ことか ら, 異 文 化 適 応 は 自 律 的 留 学 動 機 に 依 存 し な い 要 因 で は な い か と 考 え ら れ る。 今 回 は 異 文 化 体 験 前 の 不 適 応 想 定 とい う認 知 と ゆ とり感 ととも に 分 析 を 行 っ た こ とで, 留 学 動 機 そ の も の の 影 響 だ け で は 異 文 化 適 応 を 決 定 づ け ることが な い の で は な い か と考 え られ る。 先 行 研 究 に お い て ,自 律 的 留 学 動 機 が 高 い と適 応 で き る( 田 畑・ 田 中 , i99i; 譚 ら, 2009) とい う示 唆 は 事 例 的 な 研 究 や 相 関 分 析 に より弱 い 相 関 が 見 ら れ た とい う結 果 か ら で あり,自 律 的 留