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知的障害のある青年の自己決定に関わる発達的検討

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知的障害のある青年の自己決定に関わる

発達的検討

長谷部 昌 子

† 1.問題と目的 2006 年 12 月に国連総会において採択され、 2014 年 1 月に日本政府が批准した障害者の権利 に関する条約(障害者権利条約)の理念をもと に、国内においては、改正障害者基本法および 障害者総合支援法といった法体制が整備されて きた。その中で、障害のある人たちが、主体的 に自分の行動を決める生活の重要性が議論され るようになり、知的障害のある人に関わる教育 や福祉の現場においても支援の方法が模索され ている。 障害のある人の支援については、出来ない ことを補填する側面から検討されることが多い が、本人が獲得している力や求めるものを明確 にすることで見えてくる支援がある。こうした 発達的視点は、特に、より主体性が求められる 自己決定支援において、他者からの意図的な介 入が本人の意思に影響する可能性を考慮すると 不可欠なものである。しかしながら、多くの先 行研究では、対象者を「知的障害者」という一 括りで捉えていることから、発達的特徴を丁寧 に みとった自己決定のあり方とその支援につ いて検討する必要があると考える。また、古屋・ 三谷(2004)1) は、知的障害のある人の自己決定 を促進するための支援について、①評価基準(選 好)の選択と重み付けへの支援、②選択肢の生 成と評価への支援、③自己決定に必要なスキル 向上のための支援の 3 点に整理している。その 中でも①の個人の評価基準を明確にし、優先順 位に照らして決定するために必要な自己認識を 育むことは、意図的な行動場面が増加し、大人 † 障害児教育専攻 担当教員:白石惠理子 からの自立を求めることで新たな価値観を選択 しようとする青年期の発達課題とも重なる。 以上のことから、本稿では、発達年齢が 5・6 歳頃から 10・11 歳頃にある青年期の知的障害者 を対象として、発達的側面から自己決定の特徴 を明らかにし、より主体的な自己決定のあり方 とその意義を検討する。なお、同じ対象者に対し て予備的にアンケート調査を実施しており、そ こでは、余暇を始めとした生活経験の狭さや、 限定的になりがちな他者との関係性等の課題が 指摘されると同時に、自立欲求と依存欲求の間 で 藤する姿が見出され、この点についてさら に明らかにする必要性が感じられたため、半構 造化面接を通して考察を深めることにした。 2.研究方法と対象 学校から社会への移行期をモラトリアムの 時期として保障する A 事業所(自立訓練事業 2 年と就労移行支援事業 2 年を合わせ、最長 4 年 の利用が可能)に通う 19 歳∼ 21 歳の男性 9 名、 女性 3 名、計 12 名に対して個別の半構造化面接 を実施した。 1)知的発達面の評価 ①重さの保存課題、②新版 K 式発達検査下位 項目の財布探し課題、③「仕事とは何ですか? という言語発達に関わる質問、④田丸(2010)2) を参考にした「物を買うときにお店の人にお金 を払うのはなぜだと思いますか。また、お店の 人はそのお金をどうすると思いますか?」とい う思考の発達に関わる質問を行い、対象者の発 達段階を推定した。

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2)自己認識および自己決定行動に関わる質問 質問項目は表 1 に示す。 3.半構造化面接の結果から 1)対象者の知的発達の推定 知的発達に関わる課題の回答をもとに対象 者を 4 つのグループ(Ⅰ∼Ⅳ)に分け、それぞ れの発達段階を推定した結果を表 2 に示す。グ ルーピングの方法は、まず抽象的思考の有無を 財布探し課題の結果で判断し、具体的思考の時 期と抽象的思考の時期に分けた。さらに、具体 的思考の時期については、働くことについて賃 金や他者と関連づける力の有無によって、5・6 歳頃の段階と 7・8 歳頃の段階に分けた。抽象的 思考の時期については、重さの保存課題を通過 したことで、10 歳頃の抽象的思考の力を確実に 獲得していると考え、それ以前の人を 9 歳から 10 歳頃の抽象的思考への移行期と位置付けた。 対象者によっては、発達的特性が顕著なことか ら獲得能力の個人内差が大きいことが予想され たが、おおよその目安として推定した。 2)項目別回答の結果 ① 事業所の利用に関わる項目 特別支援学校(高等養護学校)卒業後の進路 先として A 事業所を選んだ理由と、主たる決定 者について質問した回答を表 3 に示す。 A 事業所の利用は、全員が親や学校の先生から 勧められて実習に行ったうえで進路を選択してい たが、自分で決めたと認識する人が 12 名中 8 名で あった。ただし、自分で決めたと答えながらも、そ ⾲ 1  ⮬ᕫㄆ㆑࠾ࡼࡧ⮬ᕫỴᐃ⾜ື࡟㛵ࢃࡿ㉁ၥ㡯┠ ձ ᐇ㝿ࡢ⾜ືࡸᛮ࠸ࡢ☜ㄆ 1 A ஦ᴗᡤࡢ฼⏝ࢆỴࡵࡓ⌮⏤㸦ㄡࡀỴࡵࡓ࠿㸧 2 ࡞ࡾࡓ࠸኱ேീ㸦⌮⏤ࠊࡑࡢࡓࡵ࡟ດຊࡋ࡚࠸ࡿࡇ࡜㸧 3 ᕼᮃࡍࡿ௙஦㸦⌮⏤ࠊࡑࡢࡓࡵ࡟ດຊࡋ࡚࠸ࡿࡇ࡜㸧 4 ௒ࡢ⮬ศ࡜≉ูᨭ᥼Ꮫᰯࡢ㡭ࡢ⮬ศࢆẚ࡭࡚ᡂ㛗ࡋࡓ࡜ࡇࢁ㸦⌮⏤㸧 5 ᚰ㓄ࡸ୙Ᏻ࡟ᛮࡗ࡚࠸ࡿࡇ࡜㸦⌮⏤ࠊ┦ㄯ┦ᡭ➼㸧  ղ ⮬ᕫỴᐃ࡟㛵ࢃࡿࡇ࡜ 1 ⮬ศࡀᕼᮃࡍࡿ௙஦ࢆࠊぶ࠿ࡽ཯ᑐࡉࢀࡓࡽ࡝࠺ࡍࡿ࠿㸦⌮⏤㸧 2 ࡶࡋ཭㐩ࡀࠊࠕ࠾ᑠ㐵࠸࡛ዲࡁ࡞ࡶࡢࢆ㈙࠾࠺࡜ࡋࡓࡽࠊぶ࠿ࡽ཯ᑐ ࡉࢀࡓࠖ࡜┦ㄯ࡟᮶ࡓࡽ࡝࠺ຓゝࡍࡿ࠿㸦⌮⏤㸧 ⾲ 2  ྛᑐ㇟⪅ࡢ᥎ᐃⓎ㐩ẁ㝵 ࢢ࣮ࣝࣉ ⮬ᕫㄆ㆑ࡢⓎ㐩ⓗ≉ᚩ ᑐ㇟⪅ 㸦᥎ᐃⓎ㐩ẁ㝵㸧 Ϩ ⮬ᕫᙧᡂどࡢⱆ⏕࠼ A࣭B࣭C࣭D 5㹼6 ṓ㡭 㸦⮬ศࡢኚ໬ࢆᤊ࠼ࡿ㸧 ϩ ከ㠃ⓗホ౯࡬࡜౯್㌿᥮ E࣭F࣭G 7㹼8 ṓ㡭 㸦⌧ᐇྫྷ࿡ࡀྍ⬟࡟࡞ࡿ㸧 Ϫ ᢳ㇟ⓗᛮ⪃࡬ࡢ⛣⾜ᮇ H࣭I࣭J࣭K 9㹼10 ṓ㡭 㸦≀஦ࢆᑐ㇟໬ࡋጞࡵࡿ㸧 ϫ ᢳ㇟ⓗ࣭ㄽ⌮ⓗᛮ⪃ࡢ⋓ᚓ L 10㹼11 ṓ㡭 㸦⮬ᕫᐈほどࡀྍ⬟࡟࡞ࡿ㸧 表 1 自己認識および自己決定行動に関わる質問項目 表 2 各対象者の推定発達段階

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れほど強く望んでいたわけではない G さんや、決 定において親の意向を む必要があったと思われ る J さんらの発言からは、最終的な決定に至るプ ロセスにも注目した検討が求められるだろう。 また、A 事業所を選んだ理由については、就職 を目的とした学びを求める人と、「知り合いがい たから(A さん・K さん)」「(先輩や職員が)優 しかったから(B さん・L さん)」というように対 人関係を重視した人に大きく分かれた。中でも明 確に「勉強じゃなく友達が欲しかった」と答えた J さんについては、人間関係の広がりを求める本 人の意向と、就労に向けたスキル獲得を求める親 の意向が異なっていることが推察された。 ② 理想自己に関わる項目 理想の大人像および希望する仕事に関する 質問の回答を表 4 に示す。 表 3 A 事業所を選んだ理由と決定者について ⾲ 3  A ஦ᴗᡤࢆ㑅ࢇࡔ⌮⏤࡜Ỵᐃ⪅࡟ࡘ࠸࡚       㸨࠙ ࠚࡣ➹⪅ࡢⓎゝ   㑅ࢇࡔ⌮⏤ Ỵࡵࡓே A ⏨ 㸦Ϩ㸧 ࠸ࡁ࡞ࡾാ࠸࡚ാࡅࡿ࠿ࡗ࡚ඛ⏕࡟ゝࢃࢀ࡚ࠋࡶ ࠺ᑡࡋ௙஦ࡢࢫ࣭࢟ࣝẼᣢࡕࢆࡶ࠺୍ᅇసࢁ࠺࠿ ࡞࡜ᛮࡗ࡚ࠋ㸦1 ᖺୖࡢ㸧ඛ㍮ࡀ࠸ࡓࠋ  ⮬ศ࡛ࠋ࠙ぶࡣ㸽ࠚЍ᭱ึ ࡣ཯ᑐࡉࢀࡿ࠿࡞ࡗ࡚ᛮࡗ ࡓࡅ࡝ࠊᛂ᥼ࡋ࡚ࡃࢀࡓࠋ B ⏨ 㸦Ϩ㸧 ࡲࡔỴࡵ࡚ࡲࡏࢇࠋࡸࡉࡋ࠸࡞࡜ᛮࡗ࡚㸦ඛ⏕࡜ ⏕ᚐ㸧ࠋ ࣭࣭࣭ࠋ࠙ぶ࡟່ࡵࡽࢀ ࡓ㸽ࠚЍ࠾ẕࡉࢇࠋ C ⏨ 㸦Ϩ㸧 ാࡃຊࡀḧࡋࡃ࡚ࠋ㐍㊰ࡢඛ⏕࠿ࡽ⪺࠸ࡓࡢ࡛ࠋ ぶ࡜┦ㄯࡋ࡚Ỵࡵࡓࠋ D ዪ 㸦Ϩ㸧 ⮬ศ࡛㏻࠾࠺࡜ᛮࡗ࡚࡞࠿ࡗࡓࠋ௙᪉࡞ࡃ᮶࡚ࡿࠋ ⾜ࡃ࡜ࡇࡀぢࡘ࠿ࡽ࡞࠿ࡗࡓ࠿ࡽࡇࡇ࡟࡞ࡗࡓࠋ ࠾ẕࡉࢇࡀࡇࡇࡣ࠸࠸࠿ࡽ ࡗ࡚ࠊ↓⌮ࡸࡾධࢀࡽࢀࡓࠋ E ⏨ 㸦ϩ㸧 ࡸࡾࡓ࠸ࡇ࡜ࢆ᥈ࡍࡓࡵࠋ ⮬ศ࡛ࠋ F ⏨ 㸦ϩ㸧 ሙᡤࡶࡁࢀ࠸࡛Ẽ࡟ධࡗࡓࠋᒃᚰᆅࡀࡼ࠸ࠋ  ⮬ศ࡛ࠋ G ⏨ 㸦ϩ㸧 ࡶ࠺ࡕࡻࡗ࡜ຮᙉࡀࡋࡓ࠸࡞࡜ᛮࡗ࡚ࠊ㧗➼㒊ࡢ ඛ⏕࡜ႅࡗ࡚ᐇ⩦࡟⾜ࡗࡓࠋ ⮬ศ࡛ࠋ࠙ࡶࡋࠊぶࡀ཯ᑐࡋ ࡚࠸ࡓࡽ㸽ࠚЍࣂ࢖ࢺࡋࡓࠋ ࡑࡇࡲ࡛⤯ᑐ࡛ࡣ࡞࠸ࠋ H ⏨ 㸦Ϫ㸧 ࡁࡻ࠺ࡔ࠸ࡳࡓ࠸࡟኱Ꮫࢆฟ࡚࠿ࡽᑵ⫋ࢆࡋࡓ ࠸ࠋࡲࡔࡶ࠺ࡕࡻࡗ࡜௙஦ࡢࡇ࡜ࡣ⪃࠼ࡎࠊᑵ⫋ ࡢ஦ࢆຮᙉࡋ࡚࠿ࡽࡢ᪉ࡀ࠸࠸࠿࡞࡜ᛮࡗ࡚ࠋ ⮬ศ࡜ぶ୍࡛⥴࡟Ỵࡵࡓࠋ ࠙࡝ࡗࡕࡢẼᣢࡕࡀᙉ࠿ࡗ ࡓ㸽ࠚЍぶ࡛ࡍࠋ   I ⏨ 㸦Ϫ㸧 ᑵ⫋ࡀࡋࡓ࠸࠿ࡽࠋ㧗➼㣴ㆤࢆ༞ᴗࡋ࡚ࡶࡲࡔ㊊ ࡾ࡞࠿ࡗࡓ࠿ࡽࠋࡇࡇࡣ⫋ᴗカ⦎ᰯࡔ࠿ࡽࠋ 㸦ᩍ࠼࡚ࡃࢀࡓࡢࡣẕࡔࡀ㸧 ⮬ศ࡛ࠋ J ዪ 㸦Ϫ㸧 ຮᙉࡌࡷ࡞ࡃ཭㐩ࡀḧࡋ࠿ࡗࡓࠋຮᙉࡶ⡆༢ࡔࡗ ࡓࢇ࡛ࠊࡇࡗࡕࡢ᪉ࡀᏳᚰ࠿࡞ࡗ࡚ᛮࡗࡓࠋ ୍ᛂ⮬ศࠋ㸦஦ᴗᡤࡢᏛ⩦ࡢ㸧 ୰㌟࡛୧ぶࡀ႖ვࡋࡓࠋ⚾ࡣ ࡝ࡗࡕ࡛ࡶ࠸࠸ࡢ࡟ࠋ K ⏨ 㸦Ϫ㸧 ཭㐩ࡀ⾜ࡃ࡜⪺࠸࡚㏻࠾࠺࡜ᛮ࠸ࡲࡋࡓࠋ ᅇࡃ ࡽ࠸ᐇ⩦ࡋࡓࠋ ⮬ศ࡛ࠋ L ዪ 㸦ϫ㸧 ᭱ึ࡟ᐇ⩦࡟⾜ࡗࡓᡤࡀཝࡋࡃ࡚኱ኚࡔࡗࡓࠋA ஦ᴗᡤࡣඛ㍮ࡀඃࡋࡃ࡚ᴦࡋ࠸ேࡤ࠿ࡾ࡛ࠊ᪂ࡋ ࠸ࡓࡵࡲࡔே㸦฼⏝⪅㸧ࡀᑡ࡞࠿ࡗࡓࠋ ⮬ศ࡛⾜ࡁࡓ࠸ࡗ࡚ࠊࡑࢀࡣ ᛮࡗࡓࠋ

(4)

理想の大人像について、A さんは過去の成功 体験、C さんは過去の失敗体験といった自らの 具体的な経験を通して理想の自己像を思い描い ていた。一方、理想の自己像を挙げながらも、 その理由が明確に示せない人も目立った。G さ んは、「その方がいいかなって思う」といった 漠然とした理由を挙げ、H さんは、きょうだい という明確なモデルを持ちながらも、目標にす る理由については「考えたことがなかった」と 答えた。K さんについては、「理由は特にないで す、よくわからないんです」と答えたが、休憩 時間が気になり、面接に対してやや向き合いに くかった影響も考慮する必要がある。 次に、希望する仕事では、知的発達段階に 関係なく、実習等で実際に体験し仕事内容のイ メージが可能な職種を挙げる人が多かった。実 習等で経験しない職業を挙げたのは、D さんの 「色を塗る仕事」、F さんの「ダンス」、J さんと K さんの「ユーチューバー」である。F さんは、 筆者が本人の話を受容的に聞きながら、実現す ⾲ 4  ⌮᝿⮬ᕫ࡟ࡘ࠸࡚        㸨㸦 㸧ෆࡣ⌮⏤  ࠙ ࠚࡣ➹⪅ࡢⓎゝ   ⌮᝿ࡢ኱ேീ  ᕼᮃࡍࡿ௙஦ A ⏨ 㸦Ϩ㸧 ே࡟㢗ࡽࢀࡿ♫఍ே㸦㌿ᰯ⏕࡟ඃࡋࡃ ࡋ࡚཭㐩࡟࡞ࡗࡓࡇ࡜ࡀ࠶ࡿ࠿ࡽ㸧 㣧㣗ᗑࡢ⿬ࡢ௙஦           㸦ே࡜᥋ࡍࡿࡢࡀⱞᡭࡔ࠿ࡽ㸧 B ⏨ 㸦Ϩ㸧 ࣮ࣝࣝࢆᏲࡿࡇ࡜㸦ࡲࡔỴࡵ࡚࠸࡞࠸㸧 ఍♫࡛ാࡁࡓ࠸           㸦࠾ᤲ㝖࡜࠿ࡸࡾࡓ࠸࡛ࡍ㸸ᐇ⩦⤒㦂᭷㸧 C ⏨ 㸦Ϩ㸧 ┿㠃┠࡞ே㸦ᐇ⩦࡛㐜้ࢆࡋࡓ࠿ࡽ㸧 ᶵᲔࢆ౑࠺௙஦ࠊࣇ࢛࣮ࢡࣜࣇࢺࡢචチࢆ ྲྀࡾࡓ࠸㸦ዲࡁࡔ࠿ࡽ㸧 D ዪ 㸦Ϩ㸧 ࡶ࠺ࡕࡻࡗ࡜⮬ಙࡀࡘࡃࡼ࠺࡟ 㸦↓ゝ㸧࠙࢔ࣥࢣ࣮ࢺ࡛ࡣⰍࡠࡾࡗ࡚᭩࠸࡚ ࠸ࡓࡅ࡝ࠚЍࡕࡻࡗ࡜࠸࠸࠿࡞࡜ᛮࡗ࡚ E ⏨ 㸦ϩ㸧 ࡞࠸ ࡲࡔࢃ࠿ࡽ࡞࠸ࡅ࡝≀ࢆసࡿ⣔ F ⏨ 㸦ϩ㸧 ⣲┤࡞኱ே㸦┿㠃┠࡞ឤࡌ㸧 ࢲࣥࢫ㸦࠿ࡗࡇ࠸࠸ࠋ࡛ࡶࠊ⫋ᴗࡀ࠶ࡿ࠿ࡣ Ẽ࡟࡞ࡿࡋࠊ࠾㔠ࢆ✌ࡄࡢࡣ㞴ࡋࡑ࠺㸧 G ⏨ 㸦ϩ㸧 ┿㠃┠࡟ࢥࢶࢥࢶാࡃே㸦ࡑࡢ᪉ࡀ࠸ ࠸࠿࡞ࡗ࡚ᛮ࠺㸧 ಴ᗜసᴗ              㸦ே࡜᥋ࡍࡿࡢࡀⱞᡭࡔ࠿ࡽ㸧 H ⏨ 㸦Ϫ㸧 ⪃࠼ࡓࡇ࡜ࡀ࡞࠿ࡗࡓ㸦඗ࡸጜࡳࡓ࠸ ࡟௙஦࡟ࡘࡅࡿ኱ே࡟࡞ࡾࡓ࠸ࡢ࡛ࠊ ࡑࡢඛࡣ⪃࠼ࡓࡇ࡜ࡀ࡞࠸㸧 ஦ົ࡛ࣃࢯࢥࣥ㸦ຊ௙஦ࡀⱞᡭࡔ࠿ࡽࠊᤵᴗ ࡛ࡸࡗࡓࣃࢯࢥࣥࡢ᪉ࡀ࣐ࢩ࠿࡞ࡗ࡚ᛮ ࠺㸧 I ⏨ 㸦Ϫ㸧 ࡕࡷࢇ࡜㌴ࢆ㐠㌿ࡍࡿே㸦ዲࡁࡔ࠿ࡽ㸧 ᳨ရ࣭〇㐀㸦⯆࿡ࡀྥ࠸࡚࠸ࡿ࠿ࡽ㸧 J ዪ 㸦Ϫ㸧 ௒ࡲ࡛㏻ࡾ ᐙ᪘࡛࠾ⳫᏊᒇࡉࢇࢆࡋࡼ࠺ࡗ࡚ヰ࡟࡞ࡗ ࡚࡚ࠋ⚾ࡣぶࡀஸࡃ࡞ࡗࡓࡽ࣮ࣘࢳ࣮ࣗࣂ ࣮ࢆࡸࡾࡓ࠸ࠋ K ⏨ 㸦Ϫ㸧 ≀஦ࢆ෭㟼࡟ุ᩿࡛ࡁࡿ኱ே㸦⌮⏤ࡣ ≉࡟࡞࠸ࠊࡼࡃࢃ࠿ࡽ࡞࠸࡛ࡍ㸧 ࣮ࣘࢳ࣮ࣗࣂ࣮㸦⌮⏤ࡣ⟅࠼ࡓࡃ࡞࠸㸧 L ዪ 㸦ϫ㸧 ே࡟ᙺ❧ࡘ♫఍ே㸦㞀ᐖ⪅࡞ࡢ࡛ฟ᮶ ࡞࠸ࡇ࡜ࡶ࠸ࡗࡥ࠸࠶ࡿࡅ࡝ࠊࡑࢀ࡟ ㏆࠸ຊ࡛ࡸࡾࡓ࠸㸧 ㍍సᴗࠊ㣗ရࢥ࣮ࢼ࣮࡜࠿ࠊ⑓㝔࡛ࡣ㣗ᮦࢆ ษࡗࡓࡾ⓶ࢆࡴ࠸ࡓࡾࡋࡓࡢ࡛ࠊࡑ࠺࠸࠺ ࡢࢆࡸࡾࡓ࠸㸦ᐇ⩦య㦂ࢆ㏻ࡋ࡚㸧 表 4 理想自己について

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るためにできる事を確認していく中で、ダンス を職業とすることは現実的でないという意見に 自ら変わっていった。また、J さんは、家族の 意向と自分の意向を分けて捉える姿が特徴的で あった。そして K さんについては、ユーチュー バーになるための登録をしようとしたがうまく 出来なかったという話が後から出てきた。た だ、それでも諦めることはないと言い、思うよ うにならない 藤を抱えつつも、目標に向けた 前向きな姿勢が窺われた。 ③ 成長した点について 特別支援学校(高等養護学校)の頃と比べて、 A 事業所に通うようになってから成長した点とそ の理由について質問した。回答内容は表 5 に示す。 成長した点については、推定発達段階がⅠ、Ⅱ グループの人は、具体的な作業や行動における スキルの獲得を挙げる人が多かったが、Ⅲ、Ⅳグ ループの人では、自己の内面の変化に言及する 表 5 A 事業所に入って成長した点とその理由 ⾲ 5  A ஦ᴗᡤ࡟ධࡗ࡚ᡂ㛗ࡋࡓⅬ࡜ࡑࡢ⌮⏤ 㸨࠙ ࠚࡣ➹⪅ࡢⓎゝ   ᡂ㛗Ⅼ ⌮⏤ A ⏨ 㸦Ϩ㸧 ே࡟ྜࢃࡏࡿࡼ࠺࡟࡞ࡗࡓࠋ ௒ࡣ࣓ࣔࢆྲྀࡿࡼ࠺ᚰ᥃ࡅ࡚࠸ࡿࠋ B ⏨ 㸦Ϩ㸧 ≉࡟࡞࠸ࠋ࠙A ஦ᴗᡤ࡟᮶࡚ฟ᮶ࡿࡼ࠺࡟ ࡞ࡗࡓࡇ࡜ࡣ㸽ࠚࣅࢪࢿࢫ࣐ࢼ࣮࡛ࠊ㌟ࡔ ࡋ࡞ࡳࡢࢳ࢙ࢵࢡࢆࡋ࡚ᣵᣜ⦎⩦ࠋ   C ⏨ 㸦Ϩ㸧 ࢦ࣒ࢩ࣮ࢺ㈞ࡾࡀฟ᮶ࡿࡼ࠺࡟࡞ࡗࡓࠋ ዲࡁ࡟࡞ࡗࡓ࠿ࡽࠋ D ዪ 㸦Ϩ㸧 እฟ‽ഛ࡜࠿ࠊ࣮࣒࣮࣒࣍ࣝ࡜࠿ࠋ⪃࠼ࡿ ࡢࡣࡍࡈࡃ᎘ࡸࡅ࡝ࠊ⪃࠼ࡿຊ࡜࠿͐ࠋ 㸦஦ᴗᡤࡣ㸧࠶ࡲࡾዲࡁࡌࡷ࡞࠸ࡅ࡝ࠊ ᴦࡋ࠸࡜ࡇࢁࡶ࠶ࡿࠋ E ⏨ 㸦ϩ㸧 ኚࢃࡗ࡚࠸࡞࠸࡜ᛮ࠺ࠋ   F ⏨ 㸦䊡䠅 ࿘ࡾ࡜࠿ࠊே㛫㛵ಀࢆ⪃࠼ࡿຊࠋ࠙౛࠼ ࡤ㸽ࠚே㛫㛵ಀ࡜࠸࠺࠿ࠊ⮬ศ࡛⪃࠼ࡿຊࠋ ࡕࡻࡗ࡜ࢃ࠿ࡽ࡞࠸ࠋ G ⏨ 㸦ϩ㸧 㟁㌴㏻໅࡟࡞ࡗࡓࠋ 㣴ㆤᏛᰯࡣ⮬㌿㌴࡛ࠊࡑࡢ๓ࡣࣂࢫࡔ ࡗࡓ࠿ࡽࠋ H ⏨ 㸦Ϫ㸧 ᫂ࡿ࠸࡜ࡇࢁࡣኚࢃࡗ࡚࡞ࡃ࡚ࠊࡳࢇ࡞࡜ ༠ຊฟ᮶ࡓࡾ࡜࠿͐ࠋ࠶࡜ࡣ⪃࠼ࡓࡇ࡜࡞ ࠸ࠋ࠙༠ຊ࡜ࡣ㸽ࠚㄪ⌮ᐇ⩦࡛ࡍࠋ 㸦A ஦ᴗᡤ࡛ࡣ㸧༠ຊࡍࡿᤵᴗࡀከ࠸ ࠿ࡽࠊ㌟࡟ࡘࡅ࡚࠸ࡗ࡚ࡿ࠿࡞࡜ᛮ࠺ࠋ I ⏨ 㸦Ϫ㸧 ࡕࡷࢇ࡜㉁ၥࢆ࠸ࡗࡥ࠸࡛ࡁࡓࠋ ᑵ⫋࡟㏆࡙ࡃࡓࡵࡢຊ࡛ࡍࠋ J ዪ 㸦Ϫ㸧 ≉࡟࡞࠸ࠋ ࠸ࡌࡵࡽࢀࡓࡇ࡜ࡀ࠶ࡗ࡚ࠊࡑࢀ࠿ࡽ ே㛫ࡀᛧࡃ࡚ዲࡁࡌࡷ࡞࠸ࠋ K ⏨ 㸦Ϫ㸧 1 ᖺ⏕ࢆぢ࡚๓ࡢ⮬ศࢆ᣺ࡾ㏉ࢀࡿࡼ࠺ ࡟࡞ࡗࡓࠋ㸦Ꮫ⩦ࡢ㝿ࡢ㸧኱ࣃࢽࢵࢡ࡜࠿ࠋ ᡂ㛗ࡋ࡚ࡶࠊࡲࡓᡠࡗ࡚ࡋࡲ࠺ࡇ࡜ࡣ ࠶ࡿࠋ L ዪ 㸦ϫ㸧 ᫇࡜ẚ࡭࡚⥭ᙇࡀ࡞ࡃ࡞ࡗࡓࠋ࠾ẕࡉࢇ࡟ ㏦ࡗ࡚ࡶࡽࢃࡎࠊ⮬㌿㌴࡜ࣂࢫ࡜㟁㌴࡛⾜ ࡅࡿࡼ࠺࡟࡞ࡗࡓࠋࡸࡗࡥࡾࡇ࠺࠸࠺ࡢࡣ ⮬ศ࡛⪃࠼࡞࠶࠿ࢇ࡞࡜ࠋ 㧗➼㒊࡛ࡣ୙Ᏻ࠸ࡗࡥ࠸࡛࢞ࢳ࢞ࢳࡸ ࡗࡓࢇ࡛ࠋᚋ㍮ࡀฟ᮶࡚࠿ࡽࡕࡻࡗ࡜ ࡎࡘⰋࡃ࡞ࡗ࡚࠸ࡗࡓࠋ

(6)

姿が目立った。中でも K さんは、「成長しても、 また戻ってしまうことはある」と、負の側面にお いても、肯定的な側面と同様に自己認識の一部 として捉える姿があった。また、L さんは、明確 な過去の自分を基準として今の自分と比較する ことで、自己の変容を認識していると思われた。 全体的な傾向としては、発達年齢に関わら ず、対人場面における協調や適応といったスキ ルの獲得を重視した回答が目立った。一方 J さ んは成長した点はないとし、過去の経験から「障 害をわかってくれない人」への恐怖がいまだに あることを理由として述べた。 ④ 心配や不安に思っていることについて 心配や不安に思っていることとその理由、さ らに相談相手について質問した。回答内容は表 6 に示す。 抽象的思考が芽生え始める前のⅠ、Ⅱグルー プの人たちは、仕事に就くことが出来るか、作 業が出来るかといった直近の未来や具体的な事 がらを心配していた。一方、Ⅲ、Ⅳグループの K さんや L さんは、自分の苦手なところにも言 及し、自己の負の側面を踏まえたうえで、うま く社会に適応できるかといった、将来を見越し た生活に対する漠然とした不安を抱えていた。 相談相手については、事業所の職員や親が中 心であったが、L さんは同時に友達を挙げた。 また、J さんや L さんは、相談内容によって相 談する相手を選んでいると思われた。誰にも相 談をしないと答えた人は、心配なことがないと 答えた人も含めて 6 名と半数を占めた。K さん ⾲ 6 ᚰ㓄ࡸ୙Ᏻ࡟ᛮ࠺ࡇ࡜                             㸨࠙ ࠚࡣ➹⪅ࡢⓎゝ   ୙Ᏻ࣭ᚰ㓄 ┦ㄯ┦ᡭ A ⏨ 㸦Ϩ㸧 ࡇࢀ࠿ࡽ࡝࠺௙஦ࡋ࡚࠸ࡇ࠺࠿୙Ᏻࠋ 㸦஦ᴗᡤࡢ㸧ඛ⏕ࠋ࡛ࡶᛁࡋ࠸ࡢ ࡛࡞࠿࡞࠿͐ࠋ B ⏨ 㸦Ϩ㸧 ࡞࠸࡛ࡍࠋ࠙ᑵ⫋ࡢᚰ㓄࡜࠿ࡣ㸽ࠚЍ࡞࠸࡛ ࡍࠋ   C ⏨ 㸦Ϩ㸧 ᐇ⩦࡛సᴗࡀࡕࡷࢇ࡜ฟ᮶ࡿ࠿ࠋ㉁ၥ࡛ࡁ ࡿ࠿ࠋ ≉࡟࡞࠸ࠋ D ዪ 㸦Ϩ㸧 ௙஦࡟⾜ࡗ࡚ே࡜ႅࡿࡢࡀࠊࢃ࠿ࡽ࡞࠸࠿ ࡽ᎘ࠋ࠶ࢇࡲࡾ㛵ࢃࡾࡓࡃ࡞࠸ࠋ ඛ⏕࡟ࡣゝࡗ࡚࡞࠸ࠋ E ⏨ 㸦ϩ㸧 ⫋ሙぢᏛ࡛࠾♩≧ࢆ᭩ࡃ᫬࡟࡝࠺ᛮࡗࡓ࠿ ࢆ᭩ࡃࡀࠊ࡝࠺᭩ࡅࡤ࠸࠸ࡢ࠿ࢃ࠿ࡽ࡞࠸ࠋ┦ㄯࡣࡋ࡞࠸ࠋ F ⏨ 㸦ϩ㸧 ከศ࡞࠸࠿࡞ࠋ ࡲ࠶ࠊࡓࡲ࡟㸦஦ᴗᡤࡢ㸧ඛ⏕ࠋ G ⏨ 㸦ϩ㸧 ௙஦ࡀぢࡘ࠿ࡿ࠿࡝࠺࠿ࠋ ┦ㄯࡣⱞᡭ࡛ฟ᮶࡞࠸ࠋ࠙⫋ဨࡸ ぶࡣ㸽ࠚЍⱞᡭࡔ࠿ࡽゝ࠼࡞࠸ࠋ H ⏨ 㸦Ϫ㸧 ⮬ศ࡟࠶ࡗࡓ⫋ࢆṧࡾࡢ  ᖺ࡛ぢࡘࡅࡽࢀ ࡿ࠿࡝࠺࠿ࠋ ୍␒ࡣ࠾ẕࡉࢇࠋ I ⏨ 㸦Ϫ㸧 ࠶ࡾࡲࡏࢇ㸦ᑠࡉ࡞ኌ࡛➹⪅ࢆࢳࣛࢵ࡜ぢ ࡞ࡀࡽゝ࠺㸧ࠋ   J ዪ 㸦Ϫ㸧 ႅࡿࡲ࡜ࡵࡀⱞᡭ࡛ࠊ⮬ศ࡛ࡲ࡜ࡵࡽࢀ࡞ ࠸ࠋ 㸦஦ᴗᡤࡢ㸧ඛ⏕࡜࠿ࠋぶ࡜ႅࡿ ࡜࡝࠺ࡋ࡚ࡶ㛗ࡃ࡞ࡿࠋ K ⏨ 㸦Ϫ㸧 ೺ᖖࡢே࡜࠺ࡲࡃࡸࡗ࡚࠸ࡅࡿ࠿࡝࠺࠿ࠋ ࡼࡃ࠸ࡌࡵࡽࢀ࡚࠸ࡓ࠿ࡽࠋ ఱࡶ࠿ࡶ⮬ศࡢࡏ࠸࡟࡞ࡗ࡚ࡋ ࡲ࠺ࠋ⤖ᒁᛣࡽࢀࡿࡢࡣ⮬ศࠋ௒ ࡣ┦ㄯࡋ࡞࠸ࠋ L ዪ 㸦ϫ㸧 ἑᒣ୙Ᏻࡣ࠶ࡿࡅ࡝ࠊ࣐࢖ࢼࢫᛮ⪃ࡀከ࠸ ࡇ࡜ࠋࡕࡷࢇ࡜ฟ᮶ࡿ࠿࡞ࡗ࡚ࠋ ࠾ẕࡉࢇ࡜࠿ඛ⏕࡜࠿཭㐩࡜࠿ࠋ 表 6 心配や不安に思うこと

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表 7 自己決定に関わる質問の回答 については、困った時に相談してきた経緯があ るが、その中で解決することなく、さらに自分 が怒られるという体験を通して、「今は相談しな い」と答えた。 ⑤ 自己決定に関わる質問 親に意見を反対されるという仮定の 藤場 面を 2 つ(①自分がやりたいと思っている仕事 を親に反対されたらどうするか?②友達が小遣 いで好きなものを買おうとしたら親に反対され たと相談にきた。どのように助言するか?)提 示し、どう行動するかを聞き取った。それぞれ の回答を表 7 に示す。 ⾲ 7  ⮬ᕫỴᐃ࡟㛵ࢃࡿ㉁ၥࡢᅇ⟅               㸨࠙ ࠚࡣ➹⪅   ձ௙஦ࡢ㑅ᢥ ղ཭ேࡢᑠ㐵࠸ A ⏨ 㸦Ϩ㸧 ⣲┤࡟ㅉࡵ࡚㐪࠺௙஦ࢆ᥈ࡍࠋ࠙ࡍࡈࡃࡸࡾ ࡓ࠸௙஦࡛ࡶ㸽ࠚࡑࢀ࡛ࡶࡸࡽ࡞࠸ࠋ ㄌ⏕᪥࡟㈙ࡗ࡚ࡶࡽ࠺࡜࠸࠸ࠋ B ⏨ 㸦Ϩ㸧 ࡸࡵࡿࠋᤲ㝖ࡸࡾࡓ࠸࡛ࡍࠋ ࡲࡔ⪃࠼୰ࠋ C ⏨ 㸦Ϩ㸧 ཯ᑐࡉࢀࡿ࡜ΰ஘ࡍࡿࠋㅉࡵࡿࠋ௓ㆤࡢ௙஦ ࡟⯆࿡ࡀ࠶ࡗࡓࡅ࡝ࠊ࠾ẕࡉࢇࡀࡸࡵ࡜ࡁ ࡗ࡚ゝࡗ࡚ࡸࡵࡲࡋࡓࠋ ࡸࡵ࡜࠸ࡓࡽ㸽↓㥏౑࠸ࠋ࠙཭㐩ࡣḧࡋ࠸ࢇ ࡔࡼࠚ୍␒Ᏻ࠸ࡸࡘ࡛࠸࠸ࢇࡌࡷ࡞࠸ࠋ D ዪ 㸦Ϩ㸧 ࣭࣭࣭ఱࡀ࠶ࡿ࠿▱ࡽ࡞࠸࠿ࡽࠊఱࡀࢲ࣓࠿ ព࿡ࡀࢃ࠿ࡽ࡞࠸ࠋ ఱ࡜ࡶゝ࠼࡞࠸࠿ࡽࠊ࠾ẕࡉࢇ࡜ヰࡋ࡚ࡗ࡚ ゝ࠺ࠋࢃ࠿ࡽ࡬ࢇࠋ E ⏨ 㸦ϩ㸧 ㅉࡵࡿࠋ⌮⏤ࢆ⪺ࡃࠋ࠙⣡ᚓ࡛ࡁ࡞࠿ࡗࡓ ࡽ㸽ࠚㅉࡵࡿࠋ࠙࡞ࡐ㸽ࠚࡇࢀ௨ୖぶ࡟㏫ࡽ ࡗࡓࡽ࠼ࡽ࠸┠࡟࠶࠺࠿ࡽࠋ ⌮⏤ࢆ⪺࠸࡚⌮⏤ࡀ࡞࠸࡞ࡽ㈙࠺ࠋዲࡁ࡞ࡶ ࡢࢆ㈙࠺ࡢࡣ⮬⏤ࠋ࠙௙஦ࡶ⮬⏤࡛ࡣ㸽ࠚࡲ ࠶ࠊࡑࢀࡀே⏕࠿࡞ࠋ F ⏨ 㸦ϩ㸧 ࡑࡢ᫬ࡣࡋࡻ࠺ࡀ࡞࠸ࠋ࠙ㅉࡵࡿ㸽ࠚࢃ࠿ࡾ ࡲࡏࢇࡅ࡝ࠊඛ⏕࡜┦ㄯࡍࡿ࡜࠿ࠋ ブḭ㸽࠙౛࠼ࡤࡶࡗ࡜ຮᙉ࡟࡞ࡿ≀࡟ࡋࢁࡗ ࡚ゝࢃࢀࡿ࡜࠿ࠚぶࡀࡑ࠺ゝ࠺ࡢࡶ௙᪉࡞࠸ࠋ G ⏨ 㸦ϩ㸧 ูࡢ௙஦᥈ࡋ࡚ࡑࡇ࡛ാࡇ࠺࠿࡞ࠋ࠙࡞ ࡐ㸽ࠚ↓⌮ࡋ࡚௙஦ࡍࡿࡼࡾ⮬ศ࡟࠶ࡗࡓ ௙஦ࡍࡿ᪉ࡀ࠸࠸ࠋ ࡶ࠺ᑡࡋ㢗ࢇ࡛ࡳࡓࡽࡗ࡚ゝ࠺ࡅ࡝ࠊ↓⌮࡞ ࡽᛣࡽࢀ࡞࠸ࡼ࠺ぶࡀ࠸࡞࠸᫬࡟㈙࠺ࠋ H ⏨ 㸦Ϫ㸧 ࠾ẕࡉࢇࡢゝ࠺ࡇ࡜ࢆ⪺ࡃࠋ࠙࡞ࡐ㸽ࠚ࠾ẕ ࡉࢇࡢゝ࠺ࡇ࡜࡟ࡋ࡞࠸࡜ࢲ࣓࠿࡞ࡗ࡚ᛮ ࠺ࠋ࠙࡞ࡐ㸽ࠚ࠾ẕࡉࢇࡢゝࡗ࡚ࡿࡇ࡜ࡢ᪉ ࡀṇࡋ࠸ࡗ࡚ᛮࡗ࡚ࡋࡲ࠺ࠋ 㸦ぶࡢ㸧ពぢ࡞ࢇ࠿ู࡟࠸࠸ࡸࢇࠋ࠙௙஦࡜ ᑠ㐵࠸ࡣ㐪࠺㸽ࠚ௙஦ࡣᑗ᮶ࡢ஦࡞ࡢ࡛ぶࡢ ゝ࠺஦ࢆ⪺ࡃ᪉ࡀ࠸࠸ࠋḧࡋ࠸≀ࡣ⮬ศࡢᑠ 㐵࠸࡛ఱ࡜࠿࡞ࡿࠋ௙஦ࡣࡑ࠺ࡣ࠸࠿࡞࠸ࠋ I ⏨ 㸦Ϫ㸧 ูࡢ௙஦ࠊ㣗ရࡸ௓ㆤࡢ௙஦ࢆࡍࡿࡋ࠿࡞ ࠸ࠋㅉࡵࡿࡋ࠿࡞࠸ࠋ࠙࡞ࡐ㸽ࠚㅉࡵ࡞ࡉ࠸ ࡜ゝࢃࢀࡲࡃࡗ࡚࠸ࡿ࠿ࡽࠋ ാ࠸࡚࠿ࡽ㈙࠸࡞ࡉ࠸࡜ゝ࠺ࠋ࠙ാ࠸ࡓ࠾㔠 ࡛ࡶ཯ᑐࡉࢀࡓࡽ㸽ࠚㅉࡵࡿࡋ࠿࠶ࡾࡲࡏࢇࠋ J ዪ 㸦Ϫ㸧 ᐙࢆฟ࡚ࢢ࣮ࣝࣉ࣮࣒࣍࡟⾜ࡃࠋࡶ࠺኱ே ࡸࡋࠊࡸࡾࡓ࠸ࡇ࡜ࡸࡽࡋ࡚ࡗ࡚ゝ࠺ࠋ ᐙฟ࡚࠸ࡗࡓࡽ㸽ᐙฟ࡚࠸ࡗࡓࡽ⮬⏤ࡸ࡛ࡗ ࡚ゝ࠺ࠋ K ⏨ 㸦Ϫ㸧 ㅉࡵࡲࡍࠋ࠙࡞ࡐ㸽ࠚₔ⏬ᐙ࡟࡞ࡾࡓ࠸ࡗ࡚ ゝࡗࡓࡽࠊ࡝࠺ࡏࣃࢡࣜࡋ࠿ฟ᮶ࡦࢇ࠿ࡽ ࠶࠿ࢇࡗ࡚ゝࢃࢀ࡚ㅉࡵࡓࠋ ぶࡀ຾ᡭ࡟Ỵࡵࡓࡇ࡜࡞ࢇࡸ࠿ࡽẼ࡟ࡏࢇ᪉ ࡀ࠸࠸ࡗ࡚ゝ࠾࠺࠿࡞ࡗ࡚ᛮ࠸ࡲࡍࠋ L ዪ 㸦ϫ㸧 ࡞ࡐࡑ࠺ゝ࠺ࡢ࠿⪺ࡁ࡞ࡀࡽ௙஦ࡢ᭩㢮ࢆ ୍⥴࡟ぢࡿࠋᚰ㓄ࡉࢀ࡚ࡿࡗ࡚஦ࠋ࠙⣡ᚓฟ ᮶࡞࠿ࡗࡓࡽ㸽ࠚ ᅇ௙஦య㦂࡟⾜ࡗ࡚ࠊࢲ ࣓࡞ࡽゝ࠺㏻ࡾ࡟ࡋ࡚ࠊ࠸ࡅࡿ࡞ࡗ࡚ᛮࡗ ࡓࡽࡶ࠺୍ᗘㄝᚓࡍࡿ ࡞ࡐ཯ᑐࡍࡿࡢ࠿ࠋఱࢆ㈙࠾࠺࡜ࡋ࡚࠸ࡿ࠿ ୍⥴࡟ぢ࡟⾜ࡃࠋ࠙ࡼࡉࡑ࠺࡞≀ࡔࡗࡓࡽ㸽ࠚ ཭㐩ࡢぶࡀ࡞ࡐ཯ᑐࡋ࡚ࡿࡢ࠿ゝⴥࢆ⪺ࡃࠋ

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親に仕事を反対された場合の反応では、反 対されても自分の要求を実現したいと考えたの は、J さんと L さんの 2 名であった。J さんは自 分の意向が尊重されることを望んだが、L さん は親の意見について理由を確認したうえで、改 めて自ら判断することを望んだ。一方、諦める と答えたのは 8 名であり、C さん、I さん、K さ んは親から諦めるように言われた経験に触れ、 E さんは理由を聞く姿勢を見せたものの、最終 的には「親に逆らったらえらい目にあうから」 と述べた。また、A さんと H さんは、親の言う ことは正しいため、従った方がよいと考えてい た。 それに対して小遣いの使い方では、半数の人 が本人の意向を尊重すべきとの回答であった。 仕事の決定では親の意向に従うと答えた人で も、小遣いについては自分の自由にしたいと考 えていた。E さんは「好きなものを買うのは自 由」と言い、G さんは、「怒られないよう親がい ない時に買う」と答えた。また、親の判断は正 しいと考える H さんも、「(親の)意見なんか別 にいいやん」とはっきり答えている。そして、 仕事と小遣いの違いについて、将来に関わる大 きなことについては親の判断に従った方がよい が、自分の力で対処できそうなことについては 自分の意向を優先してもいいと考えていた。 なお、今回は、親との関係性に関わる要因 の影響をなるべく排除し、対象者の率直な意識 を確認するために、小遣いに関する質問では友 人への助言という形を取った。そのため面接で は、自分が友人の立場であったとしても同じ反 応をするかについて確認したが、主体による差 は窺えなかった。 4.考察 1)発達段階ごとの特徴 対象者の知的発達段階を推定し 4 つのグルー プに分けて検討した結果、それぞれの段階ごと の特徴が見えてきた。対象者数が十分でないこ とから発達的特徴を一般化することはできない が、個人の要求を発達的側面から理解しようと することは、主体性を尊重する支援に繋がるも のと考える。 【5・6 歳頃の発達段階】 理想とする大人像については、A さんは転校 生に優しくして友達になった過去の成功体験、 C さんは実習で遅刻をした過去の失敗体験をも とに、求める自己像を思い描いていた。また、 成長した点については、ビジネスマナー(B さ ん)やゴムシート張り(C さん)といった実習 等の中で身につけた具体的な作業やスキルの獲 得を挙げた人が大半であったことからも、この 段階にある人たちは、実体験を通して自己像を イメージしていることが指摘される。また、D さんは、自己決定に関わる質問に対して、「何が あるか知らないから、何がダメか意味がわから ない」と答えたが、具体的にイメージする手立 てがないと、主体的な選択や決定には繋がりに くく、その結果「お母さんと話して」と言うよ うに、判断基準を外的なものに委ねやすくなる ことが推察される。これらのことからは、多様 な場面や人間関係の中で豊かな経験を積むこと が、現在および未来の自己像の充実や、主体的 な自己決定において重要であることが示唆され る。加えて、C さんのように遅刻という失敗体 験から学び、真面目な人になりたいという理想 像に結びつける姿からは、失敗回避を目的とし た保護が生じやすい知的障害者の支援のあり方 について一考する必要性が指摘される。 【7・8 歳頃の発達段階】 この時期の人たちは、仕事の決定など将来に 影響する重要な事がらでは、判断を他者の価値 観に委ねやすい側面があるが、小遣いの使い方 など経験をもとに想像しやすいことであれば、 自分の要求を優先させようとする姿があった。 決定する内容によって主体性が異なる点につい ては、9・10 歳頃の発達段階の人とも共通する 姿であるが、両者の相違点としては、経験があ る事がらにおいては 9・10 歳頃の人たちが親の 意見に明らかな反発を示すのに対し、7・8 歳頃 の人たちはそれほど強く自己主張しないことが 挙げられる。このような姿からは、漠然と自分 で決めたい要求が生まれているが、たとえ身近 な事柄であっても、何としても自分で決めたい といった強い自己決定欲求にまでは至っておら ず、その時々で揺れ動きながら決めている段階 と言えるだろう。また、F さんは希望する仕事

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について、好きなダンスを職業にしたいと答え たが、「そのために今努力していることは?」と いった筆者の質問を通して、自らダンスの仕事 が現実的ではないとの発言に至った。時に非現 実的な要求になることがあるが、他者とのやり とりの中で改めて模索しながら現実的な意見へ と変化する姿からは、この発達段階にある人た ちにとって他者の存在が、要求や決定の主体性 に影響を及ぼしやすい反面、新たな気づきのプ ロセスを促進する可能性が示唆される。 以上のように、7・8 歳頃の発達段階にある人 たちは、多面的な視点を獲得しはじめるが、ま だ外的な評価基準に影響されやすい特徴を持つ ことから、周囲は意見を押し付けないよう配慮 する必要がある。そして、彼らが自己の要求に 対峙できるよう、プロセスに焦点化した声かけ をすることや、 藤をもとに揺れ動く姿を、問 題行動ではなく自己と向き合うために必要な時 間として、ゆったりと見守っていくことが求め られる。 【9・10 歳頃の発達段階】 9・10 歳頃は、ピアジェの思考の発達段階にお いて「具体的操作期」から「形式的操作期」へ と移行する時期にあたり、発達的には重要な質 的転換期となる。この時期の対象者の特徴とし てまず指摘されるのは、自己の内面を意識した 回答が見られ始めることと、自己の否定的側面 についても言及するようになることである。成 長した点における J さんの「人間があまり好き じゃない」、K さんの「成長しても、また戻って しまうことはある」といった発言は、その特徴 をよく表している。自己理解においては、障害 のない幼児期と児童期の子どもを対象にした佐 久間(2000)3) らの先行研究においても、年齢の 増加に伴い肯定的側面のみの抽出が減少し、否 定的側面に言及することが増えると指摘されて おり、9・10 歳頃の力の獲得が一つの目安とな ることが示唆される。 また、希望する仕事については、J さんが家 族と自分の意向を分けて捉え、自分が出来る範 囲で主体的に選択しようとする姿や、K さんが、 実現に向けた行動が思うようにいかず、 藤を 抱えながらも諦めないと言う姿からは、自分の 中で要求を実現させるための目標を立て、努力 しようとしていることが考えられる。自己決定 に関わる質問においては、特に身近な小遣いの 使い方について、自分の要求や選択を尊重すべ きとし、親の意向に従う必要はないと答える人 が目立ったグループである。自己決定欲求が明 確になりつつあるが、現実的には周囲との兼ね 合いやスキル等が関連しながら、要求と現実に 折り合いをつける必要性が出てくる。この発達 段階にある人は、将来像をイメージしながら目 的的に行動したり、何らかの障壁に対しても工 夫して対処したりする力をつけ始めることか ら、本人が選択した事がらを尊重しながら、自 分で落としどころを見つけていく姿を見守るこ とが求められるだろう。 【10・11 歳頃の発達段階】 対象者が L さん 1 名であり、考察するには不 十分であるが、他の対象者と比較した際の特徴 についていくつか指摘する。 L さんの回答で最も特徴的な点は、9・10 歳 頃の発達段階にある人が、自己決定に関わる事 がらにおいて、自分の要求と親の意見を対比し て捉えたうえでどちらか一方を選択する傾向が あったのに対し、L さんは、積極的に親の発言 の背景にある理由を知ろうとし、両者を比較検 討したうえで、改めて自分で選ぼうとする姿が 見られたことである。このような姿は、抽象的 思考を確実なものとする中で獲得する、表面的 な事がらにとどまらずその本質へと目を向ける 力に繋がっていくことが示唆される。同時に、 理想の大人像に関する質問では、自分に障害が あることを前提とした発言があるなど、自己を 客観的に捉える力をつけたことで、より現実的 な自己決定へと繋がっていくものと思われる。 加えて、成長した点では、母親の送迎に頼ら ず公共交通機関の利用が出来るようになったと 答えた後で、「やっぱりこういうのは自分で考 えなあかんな」と呟いたが、面接では他の場面 でも、自分で実行することや決めることの必要 性に言及することがあった。新井(2003)4) は、 自分のことは自分で決めたいと思う「自己決定 欲求」と、自分のことは自分で決めるべきだと 考える「自己決定権意識」を区別するが、知的 障害のある人においても、この発達段階になる と、「自己決定権意識」が充実してくると推察

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される。つまり、個人的欲求を越えて、社会を 意識した権利主体としての自己決定へと変化す ると考えられるため、この発達段階にある人に とっては、いつも同じ人との関係にとどまるの ではなく、様々な価値観に触れることが出来る よう、地域社会とのつながりを充実させていく ことが重要な課題になると考える。 2)ライフステージから捉える知的障害青年の姿 青年期は、学校や家庭の保護から離れ、自立 的な生活を求め始める移行期である。大人が設 定した目標や期待に応えることから、自己の要 求に向き合い新たな価値観を自ら構築すること が、ライフステージにおける重要な発達的課題 となる。面接の中でも、「もう大人やし、やりた いことやらして」(J さん)、「自分で考えなあか んな」(L さん)といった発言があり、依存的関 係から少しずつ親に対して心理的距離を取り始 める姿が見られていた。さらに、予備調査で実 施したアンケートでは、将来は一人暮らしがし たいと考える人が多数を占めたことからも、青 年期になると知的障害の有無に関わらず、親か らの自立要求が大きくなることが示唆される。 しかしながら、発達的側面においては、7・8 歳頃までは自分と親の価値観が異なる場合、ま だ両者を調整することが難しいため、どうして も大人の意向に従うことになりやすい。そし て、具体的経験から理解を深める段階にあるこ とから、イメージすることが難しい事がらにつ いては、自分だけで選択することが出来ず、大人 の意向といった外的な評価基準に依拠しやすく なることが本研究を通して明らかになった。ま た、一般的に 9・10 歳頃の力を獲得すると、他 者の価値観を自分の価値観の中に取り入れるこ とが可能になるが、この段階にある対象者にお いては、親の意向を全面的に受け入れるか、自 分の要求を主張するかのいずれかに偏りやすい 傾向が指摘された。さらに、心配や不安の相談 相手としては、身近な大人、もしくは相談しな いと答えたことからは、多様な価値観に触れる 機会に乏しく、他者と自分の意見をすり合わせ る経験に繋がりにくいことが推察された。 このように知的障害のある人の青年期は、心 理的には将来を志向し自立を求め始める一方 で、現実的には多くの面で大人の意向の影響を 受けている。しかしながら、自己決定は必ずし も一人で行うものでなく、他者の関与も含めた 行為である場合が少なくない。ただ、そこで重 要になるのは、他者の意見を全面的に受け入れ るのではなく、自分の意向とすり合わせなが ら、最終的には、自分の価値観に基づいた判断 が求められる点である。他者の価値観に触れな がら、新たな自分の価値観を作りあげていくこ とは、パターナリズムの関係に陥りやすい知的 障害のある青年にとって、特に重要な課題であ ると考える。 また青年期は、親からの自立要求と反比例す るように、友達との関係性が大きな意味を持つ ようになるが、本研究の対象者の中で相談相手 に友達を挙げたのは、10 ∼ 11 歳頃の力を獲得し た L さんだけであった。しかし、対象者の多く が将来の仕事や社会生活に対して不安を感じて いたり、親に対する自立と依存の間で 藤を抱 えていたりする姿からは、多くの共通する課題 があると推察される。同じような立場にある人 達とそういった思考や感情を共有することは、 将来に対する不安の軽減や自分も頑張ろうと励 まされる機会にも繋がるのではないだろうか。 さらに、時には、自分では思いつかない考え方 や対処法があることに気づいたり、同じような 悩みを乗り越えた人に出会ったりすることがあ るかもしれない。こうした対等な関係性にある 同世代の人たちとの交流は、新たな価値観に気 づくことや、他者の価値観を自分の中に取り入 れながら自己を再構築することに繋がる重要な 機会であると推察される。そのようにして新た に自分で作りあげた評価基準によって、自分自 身に関わることを選択する力こそが、青年期以 降の自分らしい生活の土台となると考える。 3)自己決定支援のための課題 本研究では、知的障害のある青年の自己決定 について発達的側面から考察を深めてきたが、 最後に環境要因に関わることも含めながら、彼 らの自己決定の保障のために重要な点を整理す る。1 つ目は、実際の経験を積む機会の保障で ある。具体的なスキルが選択肢の拡大に繋がる こと、イメージの充実が主体的な選択に繋がる

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文末脚注 1) 古屋健・三谷嘉明(2004)「知的障害を持つ人 の自己決定」名古屋女子大学紀要 50(人・社) pp.41-53 2) 田丸敏高(2010)「児童期の発達段階と 9・10 歳 の節」心理科学、第 30 巻、 第 2 号 pp.23-32 3) 佐久間(保崎)・遠藤利彦・無藤隆(2000)「幼 児期・児童期における自己理解の発達:内容的 側面と評価的側面に着目して」発達心理学研究、 第 11 巻、第 3 号 pp.176-187 4) 新井邦二郎ら(2003)「子どもの自己決定欲求と 自己決定権意識の発達」筑波大学心理学研究、第 25 号 pp.105 − 112 5) 白石惠理子(2006)「18 歳から 20 歳へ―青年期 後期の発達」 障害者問題研究 第 34 巻 第 2 号 こと等がその理由として挙げられる。2 つ目は、 モラトリアムの保障とそのために必要な大人と の距離を置いた関係性である。大人に対する自 立と依存の間で揺れ動く姿を見守り、 藤や失 敗も含めて受容される関係性があることで、よ うやく安心して自分の要求を表現できるのでは ないかと考える。そして 3 つ目は、幅広い人間 関係を保障するために、高等部卒業後の選択肢 や、サービスや余暇を担う社会資源の充実及び 地域社会とのつながりの拡充が求められる。親 子ともに家族だけに頼らなくてもよい状況が保 障されることで、互いの主体性の尊重に繋がる こと、また、青年たちにとっては、多様な価値 観に触れることで新たな自分らしい価値観を構 築する機会に繋がることが考えられる。さらに 4 つ目として、具体的な情報提供が挙げられる。 J さんは自分の要求を守るために「家を出てグ ループホームに行く」と答えたが、具体的な選 択肢を知ることでより前向きな現実検討へと繋 がると考える。さらに、情報提供の中には、自 分たちの権利に関わる学習も含まれる。なぜ自 分で決めることが大切なのか、自分らしい生き 方とはどういうものなのかといった権利意識を 対象化し、自己決定の本質について考える機会 を保障することは、抽象的思考が芽生え始めた 人たちの主体性の基盤に関わるものと考える。 白石(2006)5) は、知的障害のある青年にお いても、「行きつ戻りつの姿を示しつつ、新た な社会的関係の中で、徐々に自己決定が可能に なったり、自らの要求の主体になりゆく」姿が あるとするが、そのような時期に「自分はどう ありたいのか」という要求に対峙し、揺れ動き ながらも自分らしい選択をしていくことは、今 後の成人期に向けた主体的な生活の土台となる ものと考える。その為には、発達的特徴を押さ えながら内から生起する要求を育むこと、生活 年齢を踏まえた経験を保障する必要性があるこ とを、支援者は十分に理解しておかなければな らない。

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表 7 自己決定に関わる質問の回答については、困った時に相談してきた経緯があるが、その中で解決することなく、さらに自分が怒られるという体験を通して、「今は相談しない」と答えた。⑤ 自己決定に関わる質問親に意見を反対されるという仮定の葛藤場 面を 2 つ(①自分がやりたいと思っている仕事を親に反対されたらどうするか?②友達が小遣いで好きなものを買おうとしたら親に反対されたと相談にきた。どのように助言するか?)提示し、どう行動するかを聞き取った。それぞれの回答を表 7 に示す。⾲7  ⮬ᕫỴᐃ࡟㛵ࢃࡿ㉁ၥࡢᅇ⟅

参照

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