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潮汐波およびその他の外乱に対する浦の内湾の応答特性について

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(1)

潮汐波およびその他の外乱に対する

 浦の内湾の応答特性について……

  ・I J   伴 道一1・岸田高幸2   ニ (1農学部海洋環境工学研究室.2㈱三洋テクノマリン)

A Study

on the Dynamical

Response

of Urヽan㈲油i

Bay

to Tidal Waves

     ニand

Other Eχtemal Disturbances   /

犬  十

        Michikazu Ban and Takayuki KiSHIDA

^ Laborator-y of Maritirae Enuironmerital Eれsineering.ダFaculりof Agriculture;

'SANYO TECHNO MARINE Inc.

Abstact : The dynamical response of Uranouchi Bay to the astronomical tidal wave and to the other external disturbances such as short period incident waves and wind drags are investigated by field measurments and by numerical experiments. !n orderくto clarify the tidal ch叫ヽacteristicswithin the bay, the harmonic analyses were carried out on the observed data and the tidal constants of principal tidal constituents were determined. Although the amplitudes were almost the same as those at Kochi Port, the phase lags are somewhat larger than those. The M2constituent, which is the most prevailing one, is delayed about thirty minutes compared with the adjacent SeEし

 On the other hand, the short period waves excited by other disturbances十were remarkable in a11 observations. The first mode oscillation,which has its node of surface fluctuation at an open mouth, will become most significant in bays and ports. In Uranouchi Bay, however, the second mode oscillation has a larger amplitude than that of the first mode. It was observed both in十highly and negligibly stratified seasons. The wave period and the vertical range was about 3 5 minutes and 5 cm repectively. In addition to these principal waves, several ones generated locally and temporally were distinguished by spectral analyses and numerical computations.   つ

Key word : Harmonic analysis, Tidal oscillation,Resonar!ce, Finite element method。

       I.ま え\ が き      ト  浦の内湾は,東西に細長く,入り組んだ枝湾を多く持つ複雑な地形の湾である。湾口部が狭く, 水深も湾内に比ぺて浅く,砂州が発達していることから閉鎖性が強く,湾外との海水交換がされに くい。湾内では,ハマチ養殖が盛んで給餌による有機物の負荷量が多く,汚濁の原因物質は湾内に 蓄積される傾向にある。最近では,この有機物負荷が原因となって底層部の貧酸素化,赤潮の発生, そして魚類のぺい死が大きな問題となっている。現状を改善するための方策が具体的に検討されて いるが,その際には,湾の流動環境について正確に把握することが重要である。  一般に,湾内の物質の対流・分散機構や密度流などの内部機構は湾外からの外力に対する湾内水

(2)

128 ◇高知大学学術研究報告=………第41巻∧(1992)……1……自然科学レ…… の応答特性に支配されていると考えられる。トこ=れまで, iヌ いては地理的に近いことから高知港1ソあこるノいぱ桂浜?l・3)に' 湾内に発生している短周期の水位変動も,そり存在ぱ知……ら ていな/いようであるご∧〉 \     十……:。:万1=・:  そこでレ本研究では浦の内湾におい七湾内潮(位 いに湾内の潮汐成分について検討する。さらに√ 測デ十夕の解折から調べる。その結果を\もとレに√ せて,\j湾内に発生し得る短周斯波の振動モ+∧ドを  ・.・・.・   ・:   jL\潮汐波に対すレる応i  外洋かレら入射する潮汐波が浦の内湾の中でどの\よ゛つ.う・・・==4こ変 測を行い,これを=もとに主要分潮成分の調和定数を/求め√フ 湘定数)と比較することによづて,潮汐波に対す恙湾の ず潮汐=め調和分解について簡単jに述べる6 十\\〉………  1.し調和分解法  … ………十:………  潮位\((0は√角速度が叫( r = 1, 2丿レ・・.:レ示)………の 現されるレ    づ \       \=万………       μ 一一 ノ     ・● L(0〒十Σfr HrCOS∧(Wし十a。+   1   ・r.=・・Lニ.・  .・ 十 ここで,耳は分潮の振幅,犬島は分潮め遅角,ニ叫:は は検潮所の経度と観測開始時刻が決まれば一義的こに あるノ残る振幅と遅角を各分潮に対して求める/こ\ど  潮位め調和分解には犬Darwin法・,ヱレ法,最小ソE 最小自乗法によ/る方法4・5)を用いた。。まず, (1)宍式yは

刀(乙)・=α。COS (ω・μ)し十a; COS (ω-μう/jヂ=ス……宍・。宍・;・j・

ナわ。sinニ(.ωμ卜十ふsin (ぷ元\)…………=.干),.・・.j と書き表せる‰∧ただし。。とOトであり,右辺第]li/項= す。実測値と計算値との残差の)2乗の観測全期冊にわた  ノ Ⅳ 瓦=・Σ y      ………ト…… Σ卜CLr COS ( COrti卜卜/乱 る万際には,▽潮汐につ y/られている。 また いぐ:卜るが;…………消S=・し.・しi・観丿預l・分析は行われ し√潮位ノデ十……タ:の調和分解を行 頌振動性について,観 恚\自由振動を発生さ なめjに4………湾内で潮位観 ……(=今回は高知港での調 こと:にするレそこでま ノし/で√次式のように表 (1) あるよヶf6・ V。、、U。 各分潮に固有な値で 6jるが、………本研究では 合と\して√ (2) までの高さを表 (3)

(3)

潮汐波およびその他の外乱に対する浦の内湾の応答特性について . 1 y =1 ∂召   一 一   − ∂侃 ⅣΣ   一 r=0 卜 ︱ ⅣΣ・E

ⅣΣ戸

|α。COS (ωΓti)十J。S毎。(ωλ・)| la。COS (ωμ,)十6rSin (ωよ)l となる。これらを行列形に書き直すと(6)式のようになる。 CC(『CCoi … CC、SC、j… SC、 wwifl cc、 … CC≒ SCn … S(乱  E   E  才  E   E  E  E a CSio CS.1 … CSI、SSn … S乳 一一・ ●一一 ・・・ 幽學一 い・一 一一・ ●・・ ただし, CS。C応 ・・・ C‰ S乱 S‰ α 6 の α ・ & & 一 一 ηG 引 衣入 η& ・● 7&     jv ηに=Σ0ぶOS ( ωJ,)ト   (m=O∼π)     i=1      −     Ⅳ         ニ _        \ 7・&7Σ{Lsin(ωJf)1     (・m=1∼7z)     f=1 伴・岸田)  129 COS (ω。t,) sin(ω^u)       ・Ⅳ     ・●

CCi=Σjcos (ωμi) COS (COmti)「      ・( l,m =・O∼O       g=1 SS。 SC、、 一 一 一 一 CS, = 7V Σ隔n(ωふ)cos ( ω.u) \  \ ト(Lm=1∼zl) g=1 N Σ g=1 N Σ g=1 {sin (ω山) COS (ωμf)l

Icos (・ωI ti ) sin (ωμi)|

=O (4) =O  (5) (丿=i∼,z,・m= 0∼,z) (Z -- O∼4,M 一 一 L∼0 (6) である。よって、(6)式の2n+1元の連立次方程式を解くことによV)、(lo∼亀、とbl∼b。を求 めることができる。第r分潮の振幅および遅角は(1r 、\収を用いで       十  ‥

(4)

130 高知大学学術研究報告上第訂巻(1992)二自然利傑士=……トし:犬 凡=∇√j7竿丁b' ∼こ ︱  Xji と表せるレさらにレ,・ニ(1)式の丿とW十Å ぞれの分潮の調和定数を次式により求めjるこ 耳 一 一 召。 一 八 g。= 八十叫十 ζ .2。潮 ・位・観 測 .・.. .・・     ・.・. . ・・.・ .・..・.・.・.∧.………=\=.・=.・.:一万j=・I  潮位観測を行った場所をFig. 1に示すノ14日/即=り連続≫ 崎市浦の内灰方の高知県水産試験場で1991年7月ゾ評日ドノ8 日や11月9日に↓残る1回は同光松でi1月28日ド工2レ月口目万 製T D4001卜どEP-RトOM記録装置.(コッナシ\スデムダ社 夕処理はパーソナルコンビ立−ダて日本電気社製pレC9801 観測場所内経度か:ら求めれば,それ ㈲  I レこ]のうちト3回は須 8月/24/日√10月25 (豊田工機社 )ごE/C÷UV)をソ使用し・ ・,ト後のデー づた6…………\……=………:…………=十∧万 犬

Fig. 1 Observation stat畑面∧拓ドス

−..゜:.:.・・ .・  ・

∧=りiyodo Riv.

Station

TO帥士Bay

(5)

潮汐波およびその他め外乱に対する浦の内湾の応答特性についで(伴・岸田) 3。湾内潮汐波の調和分解    ‥  主要8分潮と呼ばれる8つの分潮成 分について分解した結果を以下に示す。 Fig. 2はこれらの振幅を湾外の値1)と 比較したものである。この図から湾内 に入射した潮汐波の大きさはほとんど 変化しないことが分かる。しかし, M4やMs4のような振幅が小さく周期 の短い分潮ほど増幅され,湾内振幅の 方が湾外のそれより大きくなる傾向が ある。  次にもう一つの調和定数である遅角 を比較した結果をTable 1に示す。 表では湾内波が湾外よりどれだけ遅れ でいるかを角度と時間(分)で表して いる。観測ごとのバラツキは振幅より T§ w 底゛ ZOコOC司﹄﹁一 C : 丿 ㎜ sspコlIldLUW 102 十Jul.24th∼Aug.9th X Aug.9th∼Aug.24th \ △Oct.25th∼Nov.9th ONov.28th∼Dec.12th       <   Qi M瓦十〇 L    0   1 10 ̄1 も大きいが,湾内では振幅の大きい  Fig. 2

Ma, S2, Ki, Oiの波はいずれも湾 外より遅れ,最も主要なM2分潮でも上 ‥ 約30分遅れていることが分かる。 M2 amplitudes(cm)'> a       1   8じ 一 一 一 一      一 一 一 一 一 一 一 一       4 2 2 1 帆 ‘ 8 2 K ︲ 0   -z o s ' s 131 O‘1十  100 づ 101  十 102  Amplitudes in Kochi P ・ (Cm)\

Comparison of calculated amplitudes of the principal∧eightユtidaトconstituents in Uranouchi Bay against those∧at Kochi Port1).       十       十

今回の一連の観測結果から得らjれた湾内非調租定数をTzble. 2にまとめておく。

Table l Comparison of calculated phase lags of the principal four tidal       constiuentsin Uranouchi Bay against those at Kochi Port"

constituent M2 S2 K1 0 1 lnⅢⅣ IⅡⅢⅣ ⅡⅢⅣ ln ⅢⅣ

Uranouchi Bay  Kochi Port"

185.3 191.1 216.4 189.5 -206.1 221.6 220.2 208.5 difference 174.7 199.4 10.6 16.4 41.7 14.8 7281 6209  22 4785  一 ・ I 1 82133     ″!     90     1 9830  一 一 ・ 争8244 91991211 188.2 175.0 189.5 187.5 167.8 20.4  7.2 21。7 19.7 I :7/25∼8/9 ll:8β∼8/24 Ⅲ:10/25∼11/9 =IV:11/28∼12/12 2 4 6 1 2 3 8 3 3428 144 1 4754 381 1 8 1 3 5 8 3 9 8

(6)

132 :高知大学学術研究報告レ第41巻1:…………(ソ1992)……=自然科学レj万………=……]=ト∇

Mean !idal range (spri昭)上 Mean tida! range (・leap) Averaged tidalrange High water interval   ◇ High water elevation (spring)

3 in]Ura面uchi Bay

……KぶS周ムケ……=∧>、1………j \6L∧hourト

4馬州:,)+R+H……\\\………j………レ………183.7 cm

\2馬州丿凡…………レ\ノ………]………jj j万:140、タ0 cm:

K。ごis the phase lag of the M2 constituent,呻リレμJ=プHi,:Hj, Hg are the ai the M2, S2,:KIタ・・01 constitue!Its respectively・,プj〉十〉]………=∧=j\=……1ダ:==。==ニ犬j\………

   ………j   \   \Ⅲ。こ短周期=の応答特性\1……レj.・:レ1/\\……ゾ………=………j.・ 1ノ.湾内の定常振動 本章では潮汐周期よりさらに短い周期の変動成分についで 定数をもとに√観測されたデータから潮汐成分を取]り=除レく七 段はj8月5.日O時∼6時,下段は8月1?日10時卜琲時昨もノのであ] 振幅が約2.5 の定常波が発生七ている。他の観測期具でノも:j,ノ=:;jま力 おいても同様の結果が得られた。し  そこでまず潮位変化のパワースペクトルを Fig. 4に示す。スペクト│ル推定にはMEM法7 クトルは酷似しており,複数個の定常卓越波の クに対応していると思われる。その他に周期 央の光松では24分の振動が顕著である。\ Ivふ Lト15トt  <  10:00ユj11:00犬 12:00十づ∧13:00……:、=・j…………jJ・・:I・i

Fig.・ 3 Short period fluctuationsしof……sea一万.=・.万W・4・ter:・.・y一

犬  the principal tidalダconstituentsに=万一£

of られた8分潮の調和 iy形]が得ら‥れるノ上 位\,\I・=周期が約30分で な中央部での観測に 分布を求めた結果を よレらず得・られたスベ l波は周期35分のピー )灰方ではi8分,湾中 二1991 ゾ…………16:00 毎尚observed data;

(7)

潮汐波およびその他の外乱に対する浦の内湾の応答特性について(伴・岸田) 1 ( 8 ) n u ] L u -  u j o ︶ A ︸ I S U 8 p Eコ﹄もΦ一の 1         1 0 1 コ U │ U J -  1 1 1 0 ︶   1 A ︶ I S U 3 p E コ ﹄ l o a d s

:       Wave period (in minute)         Wave period(inminute)

Fig. 4 Power spectra of observed water elevation. Lef卜one is estimated      ∧from the data from Oct. 25th until Nov. 9 th, and another one is       from Nov. 28th until Dec. 12th in 1991.

133

2。数値実験による短周期振動の解析

 前節で述べた定常振動の振動モードを数値実験8)にようて調べる。解析には平面二次元浅水波方 程式を基礎方程式とする有限要素法9)を用い,種々の条件下で湾内に発生し得る定常振動を再現さ せる。三角形要素による領域分割をFig. 5に示す。要素総数は506個,節点総数は788個である。

(8)

134  高知大学学術研究報告∧第41:巻………(1992)::jJ I=I自:然科学ノ ……J=jj=1=,=J万 riSjfc一Erlhttp://www.:・f,レフ∧・・:‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1‥‥‥ ‥‥‥‥∧……… 基礎方程式は以下の運動方程式と連続式から\なる言∧………万…………j、………丁……… I=   31j.   プ洵、z    a7z        a\ヵ…………∧………l…………:…………1……… + 1j -∂y ∂u -∂乙 ∂η -∂レ

づ穿千言

+M ∂1j -∂χ + +ニν べ………│ : 許 ∂ -∂X + 虹 ∂ダ ∂' V -∂y2 \{H半々)い. ∂ − ∂・ ここで,乙z流速の東西成分(東向き正),ヤ1・ の水面偏差,ぎは平均水面以下の水深,g 擦定数,し7μ風による摩擦抵抗係数,□a。/は (北向き正), p。は空気(?)密度,トそしてブレは次式で示:さ万 /=2∇w sinφ……… ふ==ヅフ.27×109\radi sec 剛 ㈲ ㈲ (は平均水面から 店性係数√C……l..・まチェジーの摩 正)い……し=j\………4ま=風.速jの南北成分 プタラメト夕…………:し\………: ㈲ である。ここでφ,=\iはそれぞれ経度と地球の:自万転四角速度でjあ毎√まjケた,j.・境界丿条・件Sよ潮 口),境界が㈲式に流速(陸岸ト境界が㈲式・の形で与えノらノれ宍乱j………J……\\………:………J………   V it)ト¬ラ\(0十 …………     =レ。……\ぺ…………:j………ナ1レノj……\\ト\。∵…………=・I………∧=宍……=…………j………1…………(15)  : 呪=。0プ ………\\│………)∧……\………:.y:\・\ノ=。。=j犬j,……I:ノレ・j……=,・ノレレニj・ソ:……ト……日十……… (1軋 である丁ただしレラit) l±既知の水位変動を√レ呪………IJズ゜=陸岸│こIお:=tする法線方向=の流速成分である。時 間積分には選択集中化法を用いる2段階陽的スキト本ヴソ奇=採用工ん……=時=間増分は/6\秒,……集中化係数は D.8を用いた。\ 尚 っ十      ………万一犬.J………=………ゾレj 。・ノ∧=j………\1……∧j/……ノ………ノ……:ゾゲレy.・:・y\=j………:………∧IIト=………j 3。強制振動モーこドの数値実験 潮位観測値に周期35分め定常振動が存在するごと=万が明ゾら:j るために,し湾口から種々の周期jの波を入射ざせけこ=れにノよ) 数値実験によって検討する。      \  湾口で振幅10しmの周期の異なる正弦波を与 の時の湾奥部3点てjの振幅を入射波の振幅で えでレノ定常 無次元化七 づこ:の振動めぞードを調べ ご/る強制振動19)の振幅を れるスまで計算を続ける。こ 波の周期に対しすプロヅト

(9)

135 したものがFig. 6である。用いた時 間積分スキームが散逸性を有している ために増幅率は1以下になっているが, 周期33∼35分の時に湾奥での増幅率が 大きくなることが分かる。これは観測 値中の卓越周期と同一であり,湾の固 有振動周期の一つであると思われる。  Fig. 7 は強制振動周期が35分のと きの,湾全体での振幅増幅率の分布を 示したものである。湾口から奥に向か うにつれて単調減少し,湾中央部では 湾口振幅の1/5と以下となる。しか し湾の最奥部では再び振幅は増大する。 この波形を模式的に表わすと,図中の 模式図のような単節の第2モードの波 であると思われる。 ﹂OもI uoiieoujidEく A

       Periodof incident waves (inminute) Fig. 6 Computed surface response at the head of       UranouchiBay against the several forced       oscillations.

Amplification factor

■1.0∼0.8

Eヨ0.4∼0.2

圖0.8∼0.6匯]0.2∼0.0

国0.6∼0.4

Fig. 7 Computed surface response in Uranouchi Bay against the forced      oscillation of 35 minutes wave period.

(10)

136 高知大学学術研究報告 第41巻(1992)自然科学 4。自由振動モードの数値実験  湾口での7を一定に保つたまま,水面に 風によるセン断力を作用させ,湾内に定常な 吹送流を発生させる。一定のwind-setupが 形成された後に水面セン断力を解消し,水面 勾配が消滅するまでの過渡的過程における自 由振動解から,湾全体そして湾内の局所的な 固有振動を検討する。あらかじめ選定してお いた代表点にて水面変化7を記録しておき, これのパワースペクトルを計算することで, 湾内各所での卓越振動周期を求めることがで きる。  Fig. 8 のそのパワースペクトルを示す。 湾口近傍の点を除き,湾全体に周期114分の 波が発生している。明らかに湾口で節となり, 湾内には節のできないモードであることが分 かる。観測値に見られた卓越波(周期90分) と比較して周期は僅かに異なるが,前出の35 分周期の約3倍となり,この数値実験で得ら れた波と観測で得られた波とは同じモードで あろうと思われる。  Fig. 8 では湾軸に沿った7点でのパワー スペクトルを湾口から順に湾奥へと並べて描 いているが,スペクトルピークが現れる周期 が,場所によって大きく異なることが理解で きる。湾口・湾央・湾臭と大きく分けてみる と, 114分のピークの右側に湾口部では28分, 湾中央部では22分,湾奥部では30分のところ にピークが現れている。そしてさらに1分前 後の短周期の固有振動が局所的に発生する可 能性を伺わせるレ。・これらは枝湾単位でも固有ニFig. 8 の振動が発生し得ることを意味している。

   Period (in seconds)

Spectral peaks如。surface・ elevations computed undeer free oscillation conditions.        IV.あ と が き………1……1……  本研究では浦の内湾固有の物理特性として,湾内の流動環境を決定する最も重要な湾内水の振動 に注目し,湾外から入射する潮汐波に対する応答特性と,やはり湾外から作用するより短周期の外 力に対する応答特性を,観測と数値実験という2つの手段で詳細に検討した。  湾の規模が小さいこともあって,湾内の潮汐=波は湾外のそれ=とほぼ同じであるが,湾口部が浅く 狭いために湾外よりやや位相が遅れていることが明らかになった:。短周期の水位変動は,単一波で はなく複数の波が混在する重複波であることがわかった。湾に固有振動が生じるときには,第1モー ドの成分が最も発生することが多いが13凧浦の内湾では第2モードの成分が最も卓越している。

(11)

潮汐波およびその他の外乱に対する浦の内湾の応答特性について(伴・岸田) 137 この成分によるの水面の上下動は約5cmであり,波浪や潮汐波に比べてかなり小さいが,恒常的に 発生し,これによって湾の水が全層にわたって往復運動をしていることを考慮すると,波のもつエ ネルギーは甚大であり,これが湾の流動・水質環境の形成に果たす役割は大きいと推察される。  浦の内湾では夏の成層斯に底部に形成された貧酸素水塊が突発的に水面近くまで上昇し,生け簑 で養殖されているハマチが酸素欠乏でへい死するという被害が毎年のように生じている。観測によ ると,湾外の高塩分・低水温の海水が密度流となって湾深部へ浸入することがこの現象のトリガー となっているようであるが,この現象の具体的なメカニズムは依然として明らかでない。内部波が 局所的に励起され,砕波している可能性も考えられる。今後は,本研究で明らかにすることができ た湾全体の,そして枝湾スケールの局所的は固有振動が,夏季成層期の内部波の発生・砕波そして 鉛直混合にどのように関わっているかを明らかにすることが肝要である。       引 用 文 献 1)海上保安庁水路部,日本沿岸潮汐調和定数表,書誌第742号, 113 (1983). 2)海上保安庁水路部,平成3年潮汐表,第1巻,書誌第781号, 121-123 (1991).

3) MiYAZAKi.M., KuRONUMA.S. and Inoue.T.:Tidal Constants along the Coast of Japan,

The OceanogroしphicalMagazine, \9(1), 13-55 (1967). 4)彦坂繁雄・赤木登・矢野雄幸:最小自乗法による潮汐調和分解とその精度について,海上保安庁水路  部研究報告,第1号, 27-31 (1966). 5)村上和男:最小自乗法による潮汐・潮流の調和分解とその精度,運輸省港湾枝研資料,第369号, 1 −38 (1981). 6)土木学会:水理公式集,昭和60年版, p. 556-558√東京(1985)し 7)日野幹雄:スペクトル解析, p.210-225,朝倉書店√東京(1977)∧

8 ) Grubert.J.P.: Numerical Computations of Two-Dim ensional Flows,Jour几d of

 Water-luay, Hoしrbors and Coastal EngineeringDiuision,ASCE, 102, No.WW 1 , 1 −12

 (1976).

9)伴道一:内湾に形成される潮汐残差流について,平成3年度農業土木学会講演会講演旨集. 276-277

 (1991).      プ    +

10) Kawahara.M., Hirano.H., Tsubota.K. and Inagaki.K.: Selective Lumping Finite

 Element Method For Shallow Water Flow, terRational Jolふr几dfor Nur

 in Fluids,2, 89-112 (1982).

11) Lee.J.JバWave-induced oscillations in harbours of arbitrary geometry, Journal O/

 FZ 「d Mec加証cs, 45, part 2, 375-394 (197以

12) Lbe.J.J. and Raichl耳N,F.:Oscillation in Harbours with Connected Basins,Journal of

 Waterujaでy. Harborsand Coastal EngineeringDiuision.,ASCE, 98, No.WW3, 311-332

 (1972).

13)合田良実:長方形および扇形の港の副振動についてーフーリエ交換を用いた一解法−,第10回海岸工学

 講演会講演集, 53-58 (1963).

14) Hwang,L. and TocK.E.O.:On the oscillation of harbours of arbitrary shape, Journal

 of Fluid Mechanics,42, Part 3, 447-464 (1970).

15) Miles,J.WパResonant response of harbours: an equivalent-circuit analysis, Journal

 of Fluid Mechanics,46, part 2, 241-265 (1971).

(平成4年9月30日受理) (平成4年12月28日発行)

(12)

Fig. 1 Observation stat畑面∧拓ドス
Table l Comparison of calculated phase lags of the principal four tidal       constiuentsin Uranouchi Bay against those at Kochi Port"
Fig. 5 Finite elemeりt space discretization for tidal current computations.
Fig. 7 Computed surface response in Uranouchi Bay against the forced      oscillation of 35 minutes wave period.

参照

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