図形概念の学習に及ぼす発問系列の違いの効果
著者
伏見 陽児, 麻柄 啓一
雑誌名
東北教育心理学研究
巻
1
ページ
1-9
発行年
1986-03
URL
http://hdl.handle.net/10097/00121862
図 形 概 念 の 学 習 に 及 ぼ す 発 問 系 列 の 違 い の 効 果
伏 見 陽 児 来 ・ 麻 柄 啓 一 村
*茨城キリスト教大学文学部 料 千 葉 大 学 教 育 学 部問 題
麻柄・伏見 (1982)は,幼児の図形概念(三角形と四 角形)の学習をとりあげ,焦点事例の違いが学習結果を 大きく左右する乙とを報告している。乙乙で焦点事例(
f
o
c
u
s
ーi
n
s
t
a
n
c
e
)
とは, 当該概念の判断基準を 学習者に教える際 lと用いられる正事例であり,その後の 事例の分類の際に照合の基準となったり,判断基準を想 起する手がかりとなったりすると考えられる事例である。 「まがり角(頂点〉が3つあるのが三角で,まがり角が 4つあるのが四角だ」という判断基準(;レーjレ)を教え るに際し, Fig.1 I乙示す2種類の焦点事例が用いられ た。ひとつは幼児がすでに「さんかくJ
r
しかくJ
と正│ム口
!
P
L
l
Rf型焦点事例 If型焦点事例 Fig. 1 麻柄・伏見 (1982)で用いられた焦点事例 しく命名可能な図形である正三角形と正方形(Rf型焦 点事例)であり,他方は不等辺三角形と不等辺四角形(If 型焦点事例)であった。事後テストではさまざまな三角 形・四角形を提示して各々が三角であるか四角であるか を質問した。その結果 Rf型焦点事例を用いた群では 平均正答率が4996であったのに対し, 1 f型焦点事例を 用いた群では7996であり,後者の成績が有意に高かっT。こ 図形の分類にとって論理的に必要にして十分な矯報(乙 の場合は三角形と四角形のjレーノレ)を与えるにしても, 用いる焦点事例によってその効果は大きく異なる乙とが 示された。 しかしながら, 1 f型焦点事例によってルールを教え られたすべての幼児が事後に高成績をあげ子こわけで、はな い。 20人中17人は10問中7間以上の事後正答数をあげた が,残り3人は 2間以下の低成績にとどまった。彼らは 提示された 1f型焦点、事例が自分が思っていた三角・四 角とかけ離れていたために,それぞれ三角形・四角形で ある乙とが納得できなかったものと考えられる。そのた めノレールの獲得ができなかったと考えられる。 1f型焦 点事例はすべての幼児に効果があるわけではない。上記 3名のような幼児にも学習効果を保証しうる方策を考え る乙とが問題として残されている。 乙のためわれわれは発問と教示の系列(以下,発問系列 と略す)を2種類準備した(Fi g. 4, 5参照)。 発閥 系列aは幼児に納得の得られる正三角形・正方形を用い てノレールを導入し,少しずつ変形させた図形にそれを適 用させていくものである。乙れに対して発問系列bは不 等辺三角形ι・不等辺四角形をくり返し提示してjレールを 教示するものである。 乙乙で今回用いる乙のような2つの発問系列の特徴を はっきりさせるために 過去の発問研究の中K位置づけ てみたい。発問あるいは発問系列の製分けやその効果に 関しては,乙れまでいくつかの提案がなされてきたし, レビューも行われている(たとえば,小林1974, 竹下 1976)。しかし乙乙でのわれわれにとっては細谷(1976) の操業が示唆的である。それは今回の実験で用いる発問 系列を一般化して記述するための枠組を与えてくれる。 細谷は,当該学習内容に関して学習者があらかじめ誤 った判断基準(誤ルーjレ)を所有しているか否かに着目 して,学習援助のストラテジー(乙乙でいう発問と教示 の系列)を大きく「つみかさね型ストラテジー」と「く みかえ型ストラテジ-J
IC分ける。 つみかさね型ストラテジーとは 学習者が誤jレーノレを 所有していない場合のストラテジーであり,典型的には スキナ一流のフ。ログラム学留にみられるように,教材を スモーjレステップで構成し,それを順次学習者の中に積 み重ねていくものである。乙の場合,学習者があらかじ め誤ルールを所有していると,積み重ねがうまくいかな い乙とが予想される。 乙のような場合,つまり学習者がすで、に誤jレールを所 有してしまっている場合にはくみかえ型ストラテジーが 要請される。そ乙では単に正しいノレールを与えるというのではなく,誤ノレールをいかに正しいノレーノレへと組みか えるかが必要とされる(後述するように今回の実験事態 もとれに対応する)。 乙の組み換える方策として細谷は 「ドヒャー型
J
と「じわじわ型J
という2つのストラテ ジーを提案している。少し詳しく説明を加える。 「ドヒャ一型」ストラテジーとは学習者の持つ判断基 準からの予想が(実験)結果と一致しない事例を課題と して最初に提示して誤ノレールで、ある乙とに気づかせると とによって,それを一気に正しいノレーノレへ組み換えよう とするストラテジーである。他方「じわじわ型J
ストラ テジーとは学習者の予想と結果が一致するような事例を まず提示して同意にもとづきルールを導入し,その後は その新jレールの使用を予想と結果が一致しない事例へ徐 々に広げていくストラテジーである。 重さの保存のノレーノレを例にとると次のようになる。 「ドヒャ一型J
では,たとえば「体重計の上での姿勢変 化jの問題を最初に提示して,実験結果から学習者の持 つ判断基準が誤りである乙とを意識化させ,それを新し いノレーjレに組み換える。たとえば仮説実験授業における 問題の配列がそうである(紙倉 1966参照)。他方「じ わじわ型」では,たとえば「ハカリの上で物の位霞をわ ず.かに変えるJ
問題を最初に提示して,予想と結果の一 致から局窓にもとづいて新ノレールを導入し, 1""さらに位 置を変える」等の開題に対しても,その新jレールの使用 習慣を強めていく乙とになる。 本実験で扱う三角形と四角形に関しては,乙れまでの 調査から,多くの幼児が正三角形と正方形,あるいは乙 れらと知覚的に類似している二等辺三角形や長方形に対 しては「さんかくJ1""しかくjと命名可能であるが,不 等辺三角形や不等辺四角形に対しては「三角でも四角で もない」とか「わからないJ
と判断する乙とがわかって いる(伏見・麻柄 1981 )。乙の乙とは,幼児が頂点の 数あるいは辺の数のみを手がかりにしているのではなく て,三角形花関してはその図形が等辺(等角)を持っか 沓かに,四角形iζ関してはその図形が鹿角や等辺を持っ か否かに乙だわっていることを示している。すなわち誤 った判断基準を所有しているといえる。細谷の提案iと従 えば, くみかえ型ストラテジーが必要とされる状況であ る。 本実験の発問系列aでは正三角形と正方形をまず提示 するので,それらが「さんかくJ
1""しかく」であるとい う教示はよ記の特性を持つ幼児にも受け入れられやすい であろう。そしてそこでの納得を契機に新しいjレーノレが 導入され,その適用範閣の拡大が徐々にはかられる。乙 れは細谷の型分けに従うと「じわじわ型」に対応する。 乙れに対して発問系列bでは 幼児が持つと考えられ る判断基準からすれば「さんかくJ
1""しかくJ
の範囲外 の図形である不等辺三角形・不等辺四角形が‘実は三角 ・四角だ、と告げられ,同時ICJレーノレが教示される。 した がって細谷の型分けに従うと「ドヒャー型JIr対応する。 ただし,通常「ドヒャー型」では事例の一回の提示で効 果的なjレーノレの組み換えが生じる乙とが期待されている。 その意味では今回の発問系列bは不等辺三角形・不等辺 四角形を3回〈り返して提示するので,純粋に「ドヒャ ー型」であるとは言い難い。言うなれば「ドヒャー型」 をくり返したものに対応する。麻柄・伏見(1982)の実 験における 1f型焦点事例の提示が,細谷のいう「ドヒ ャ一型JIとより近い。 乙のようなストラテジー(発問と教示の系列)は,極 地方式研究会テキストや仮説実験授業研究会の授業饗の 中で意識的に用いられており,いくつかの教室場面で実 践されている。しかし同ーの学習内容に関して条件を統 制した上での効果の検討は行われていない。 本研究では,麻柄・伏見(1982)の実験でIf型焦 点事例が効果を持ちえなかったような学習者に対して, 発問系列aと発閥系列bのいずれが有効かを検討する乙 とを第1の目的としているが,さらに,細谷のいう「ド ヒャー型jストラテジー, 1""じわじわ型jストラテジー がどのような場合に効果を持っかについて示唆を得る乙 とを第 2の目的としている。方 法
(1 ) 実験の概要 実験は第1セッションと第 2セッションに分かれる。 第lセッションは「学習状況1J
と「テスト 1J
からな り,第2セッションは「学習状況 2J と「テスト 2J から なる。各セッション内はそれぞれ学習状況・テストのIJ聞 に連続して実施し,セッション聞は1,._3日の間隔をお いて実施した。また,実験はすべて個別に行なった。 (2)第1セッション 1 f型焦点事例(不等辺三角形・不等辺四角形)を用 いてノレールを教えてもあまり効果のない学習者を選び出 す目的で実施。 <学習状況1> Fig.2の学習カード(18cm x 13 cm)を提示して,以下のような手順で教示を行なう。 ① 「乙乙lと形が2つ描いてあるね。乙ういう所にと がったまがり角があるでしょ。乙ういうまがり角が3つ あるとその形は三角で まがり角が4つあると四角なん-2-だよ」とJレーノレを教示する。 ②
ix x
ちゃんといっしょにまがり角がいくつある か数えてみよう」と言って対象児の指をとり,各頂点を 指さしながら数え,ノレーlレを確認する。 ③ サインペンを手わたし まがり角にしるしをつけ る(ぬりつぶす)乙とを求める。同時に再度各図形のま がり角を数えさせ名称と対応させる。 ④ 最後に再度jレーノレを述べて確認する。F
i
g
.
2
第一セッションの学習カード 所要時間は約5
分間。なお麻柄・伏見(1
9
8
2
)
では③ のあとに相似形を用いて練習課題を 2由実胞したが,今 回は行わない。 <テスト1>
三角形か四角形かを問う1
2
課題からな る。r
わからない」という反応が続くのを防ぐ目的でテ ストにはさらに正三角形・正方形を各3個加えた〈乙れ ら6
個は採点の対象外)。各図形(F
i
g
.
3
参照)は1
5
cmX 1
5
c
m
のカードに描かれており.1
枚ずつ提示して「乙 の形は三角かな四角かな。わからないときはわからない と言ってね」と教示する。i
なが三角J
i
なが四角jと いう反応に対しては,さらに「なが三角は三角かな四角 かなj等と噂ねた。提示IJ国序はF
i
g
.3
の番号IJ顕であり, 正誤は述べない。所要時間は約 5分間。ム
ロ
1
4_
_
1
ロ
IG. 3 テスト図形 (注1)正三角形と正方形は採点の対象外 (注2)数字は提示順を示す (3)第2セッション テスト 1で低成績であった学習者を対象I.
r
2種類の発 問系列を準備する。学習状況2で幼児は2群iζ 分けられ,ν
ずれかの発問系列による学習捜助をうける。 <学習状況2>
発問系列aで学習する群をA群とす る。具体的な手順は以下のとおり。 ① 学 習 カ ー ドa-1 (Fig.
,4
)
を提示。i
ζ
乙K
XX
ちゃんのよく知っている形が描いであるね。とっち が三角で乙っちが四角だね。なんで乙の形を三角ってい うか知ってる? まがり角が3乙あるから三角って言う んだよ。じゃいっしょに数えてみようJ(一緒に数える) 四角に関しても同様に行なう。a-2
,Fig.4
発問系列a
の学習カード ② 学 習 カ ー ドa-1
の下に学習カードa-2
を並べ て提示。 i乙のカードを見て下さい。乙の三角 (a-1 の正三角形)が少し傾いてノッポになりました。じゃこ の形 (a-2の三角形)は三角かな四角かな?J
答え たら頂点の数を一緒に数えて確認する。誤答の場合l乙は 数えた後に訂正する。四角に関しでも同様κ
行なう。 ③ 学 習 カ ー ドa-1
,a-2
の下ζ
l
学習カードa
ー3を並べて提示。あとは②と同様の乙とをくり返す。 ④ 「乙ういうように,乙の三角 (aー1)が少し傾 いてノッポになっても (a- 2) ,もっとずっと傾いて も (a-3),まがり角は同じ3つだね。だから乙っち 側の形はみんな三角です」と教示する。四角についても 同糠の手続きで教示する。 発問系列bで学習する群をB群とする。具体的な手順 は以下のとおり。 ① 学 習 カ ー ドb-1 (Fig..5)を提示。
i
乙乙lと 2つの形が描いてあるね。乙っちが三角で乙っちが四角 なんだよ。なんで乙の形を三角って言うか知ってる?J 以下a系列の①と同様に行なう。 Fig.5 発問系列bの学習カード ② 学 習 カ ー ドb-1の下に学習カードb-2を並べ て提示。 b-2の各々について三角か四角かを間い,答 えたら頂点の数を一緒に数えて確認する。誤答の場合に は数えた後ζi訂正する。 @ 学習カードb-l. b-2の下iと学習カード b-3を扱ベて提示e②と同様のととをくり返す。 ④ 「ζっち側(左側)にある形はいろんな形をして いるけれど,どれもまがり角は3つで同じだね。だから 乙っち側の形はみんな三角ですJ
と教示する。四角につ いても同様に教示する。 発問系列a・bともに所要時間は約5分間。なお学習 カードa-3,b-3の図形は同一であり,乙れらは学 習状況1で用いた図形とも同一である。 <テスト 2> テスト 1と同一課題をA・B両群に実 施。所要時間は約5分間。 14)対象児・実験期日 千葉市内の幼稚園の年中児を対象とする。第1セッシ ョンの対象児は62名。平均年齢5歳0か月 (4歳4か月 --5歳 5か月)。第2セッションの対象児は,第1セッ ションを行なった者のうち後述の基準を満たす低成績者 34名である。平均年齢4歳11か月 (4歳4か月--5歳5 か月)。実験期日は1981年7月--9月。 15) 仮説 麻 柄 ・ 伏 見 (1982)において1f型焦点事例(不等辺 三角形・不等辺四角形〉の提示が有効であった乙とから 考えて,それを3回くり返す発問系列bが効果を持たな い乙とはありえまい。しかし今回の第2セッションの対 象児はテスト 1での低成繍者であり,不等辺図形を三角 ・四角と納得するζとに抵抗を示した者たちである。し たがって,彼らの納得を得られる図形を用いてルールを 導入し,少しずつ変形した図形にそれを適用していく発 閥系列a
のほうがより有効であると考えられる。結 果 と 考 察
各図形の正答lと1点を与え,ひとり12点満点として以 下論をすすめる。(
1
)テスト1
の結果 テスト 1の平均得点は5.1点(平均正答率42%)であ った。各得点の人数分布を Table1 !C:::示す。麻柄・伏 見 (1982)の1f型焦点事例を提示した群の成績(79%) より低成績であったのは,今回の実験では学習状況1で 相似形を用いた練習課題を実施しなかった乙とと,今回 の対象児のほうが低年齢(年中児)だった乙とによると 考えられる。 Table 2 テスト1の得点分布点数 I~AA
A
A
AAA22
日員定
人数l
X
XXAX X
X
丈夫よ大丈夫
-4ー(3) テスト 1からテスト2への得点の伸び A群は2.5点 (217ぢ)から9.5点 (79%)へ上昇し (t= 8.33 df =16 P<. 001). B群は2.4点 。0%)から7.2点(60%) へ上昇した (t= 4.40df = 16P
凋
<
001)。両群とも教授 効果が認められた。 テスト 1での平均得点2.4点を基準lとして, 2点以下の者を 低成績群 (f群),3
点-
-
6
点の者を高成績群(
h
群)とした ときの得点の伸びをFtg.6K
示す(AB
両群内のf
群は各10名,h
群は各7
名となった)0AB
両群ともテスト2
において,h
群とr
群はほぼ等しい成績をあげた。 各図形ごとの正答者数の変化をT
a
b
l
e3
に示す。 すべての 図形で正答者数の増加が認められた。また, B群の伸びがA群 のそれを上まわった図形は1個もない。 A.- B群 群 群 群 A h r 小 一 ⋮ 081 ノI
D
77,
咽 -AAUM n n v F h uグ /
/
/ / / ' Q d/
/
/
必
,O
383
6
テスト 2 低成績・高成績群別の正答率の伸び テスト 1 F ig • 6 (2) 第2セッションの対象児の選択 以下の基準で第2セッションの対象児を選択し た。①テスト 1の得点が6点以下の者。②正三角 形・正方形(採点の対象外)に対して「さんかく」 「しかくJ
と命名不可能な数名を除く。③3--4 の範囲の計数不能な者(頂点の数を数えられなか った者)数名を除く。 その結果,第2セッションの対象児として34名 が選択され,ほぼ等質なA・B両群に分けられ各 群17名となった。両群のテスト1での関芯をT
a
b
l
e
2 i ζ示す。平均正答率は約20%であり,誤答のほと んどは「わからない」という反応であった。また, テスト 1の得点の大部分を,長方形・二等辺三角 形 か ら 得 て い る(
T
a
b
l
e3
参照)。 乙の幼児 たちに関してはI回 1f型焦点事例を用いてノレー jレを教示してもほとんど、効果のない乙とがわかるe この乙とから対象児の選択は妥当なものといえよ 間関ω
つ。 80 70T
a
b
l
e
2
テスト1
での反応総数 60 50 40 30 (各群17人x
12問) a 一 j M m 7 3 M m 誤 一 t3 一 t 3 答 一 3 M m 一 1 崎 正 一 4 幻 一 4 訂 群 群 A B 誤d。
誤C 155 : (76%): 156 ! (76%)! 誤b。
。
20 10。
(注)誤a:三角形を「しかくJ
または四角形を 「さんかく」とする誤答 誤b
:
r
どちらでもない(三角形でも四角 形でもない)J
とする誤答 誤c
:r
わからない」とする誤答 誤d:上記以外の誤答 図形ごとの正答者数(各群17人中)T
a
b
l
e
3
6 11 10 8 16 3 13 18 4 7 17 14 図 形o
/8
13i
/ 8 / 7 / 5 / 2 / 2 / 1 / 3 / 1 / 1 / 0 17(J /15 '/15iJ /17 "/14 "/12 .1/14u /15.1/12i /14v / 9 A群o
//
111 / 0 . 1 / 10v/8 0/
8 2 / 0 /10v/8
13i
/ 10 / 4 / 5 / 4 / 2 15iV/11~ /11OJ /12~ /10 "/8 B群 (注1) (注2) 図形の番号はFig.3
参照 テスト 1の正答者数/テスト 2の正答者数(4) テスト 2の得点の差の検討 発閥系列条件 (A群vsB群).成績の高低 (h群vsf 群),図形の種類(三角形m四角形)の 3条件によるテス ト2の得点の分散分析を行った結果を Table4に示す。 Table 4 テスト 2の得点、の分散分析表 変 動 凶 Ss df MS P発問系列 (A群vsB時 21.16 21.16 Qテスト1の成績(hvsf) 0.08 l 0.08 pXQ 0.33 0.33 誤差 184.93 30 6.16 R図背タ3種類(三角vs四 矧 4. 78 4.78 pxR 1. 56 1.56 QXR 0.00 0.00 pxQXR 0.25 l 0.25 誤差 42.53 30 1.42 。p=. 071 + P =.074 「発問系列条件」に有意な差が認められ
.A
群の得点 がB群のそれにまさった。r
図形の種類」に有意な差が 認められ,三角形のほうが四角形より正答が多かった。 「テスト 1での成績の高低jには有意差はなく, h群とf
群はほぼ等しい成績だった。また交互作用はいずれも 有意ではなかった。以上の結果から,テスト 1での成績 の高低にかかわらず,また図形の種類にかかわらず,発 問系列aのほうが発問系列bよりも効果的だったといえ る。 ( 5) 学習状況 2における反応の検討 学習状況2では各群に対して学習カード2,3を用い て合計4回の予想を求めている(三角形・四角形各 2 回)。 そ乙での平均誤答数を比較すると, A群では0.8 回であるのに対し, B群では1.4回であり, A群のほう が少ない傾向にある。 誤答数とテスト得点の関係をTable5 I乙示す。 Table 5 学習状況 2での誤答数とテスト得点の関係 誤答数 A 群 B 群 人数テスト l テスト2 人数テスト 1 テスト 2 3 or 4 3人 2. 3→ 8.3 2人 0 → 4. 5 1 or 2 5人 1.8→ 10. 2 10人 2. 9→ 6. 6。
9人 3.0→ 9. 6 5人 2.4→ 9.4 A群では学習状況での誤答の多少にかかわらず,テスト 2ではいずれも高成繍をあげているし,テスト 1からテ スト 2への得点の伸びも大きい。乙れに対してB群では, 学習状況で誤答数がゼロであった者は得点の伸びが大き くテスト 2で高成績をあげているが,学習状況で誤答が あった者は伸びが小さく得点も低くなっている。乙のと とは,学習状況で誤った予想をしたりあるいは予想をた てられなかった場合でも, A群の者はその後に与えられ たjレーノレの教示(頂点の数を数える乙とによる 訂正の情報)を学習したのに対し, B群の者は F そうできなかった乙とを示している。 3.440 テスト2でのA・B両群の成績の違いは,学 3.37+ 1.10 習状況での誤答数の多少,さらに誤答後に与え られた訂正情報(ノレーノレの教示)の受け入れの 違いにあるといえよう。討 論
本研究は 1f型焦点事例(不等辺三角形・不 等辺四角形)が有効に働かない学習者に対して 2種類の発問系列を準備し,どちらが有効であ るかを検討したものである。その結果,発問系列aのほ うが有効であり,仮説は支持された。 学習者がつまずいたら,その種の問題をくり返し教え てそれを克服するという方法はむしろ常識的である。し かし以上の結果はそのような方法が必ずしも最良ではな い乙とを示している点で興味深い。 それではなぜ発閥系列aのほうが発問系列bよりも効 果的であったのか。われわれは以下のように考える。第 2セッションの対象児は不等辺三角形・不等辺四角形を それぞれ「さんかくJ
r
しかく」と認める乙とに強い抵 抗を示した者である。つまり,三角形に関してはその図 形が等辺(等角)を持っか否かに,四角形に関してはそ の図形が直角や等辺を持っか否かに強い乙だわりを持っ ていたといえる。乙のような学習者にとっては,発問系 列bのように自分の考えとは一致しない図形をくり返し 提示されルールを教示されても納得できないために, 自分の持っている誤lレールをなかなか棄てきれなかった と考えられる。結果(5)に示したように.B群のうち学 習カードb-2, b-3で誤答であった者がテスト 2で 低成績だったという事実は,以上の推論を裏づけている。 他方A群では学習カードa-2,a-3で、誤答で、あっ た者でもテスト2で高成績であった。乙れは発問系列a を用いると学習者は誤ノレールを修正しやすかった乙とを 示している。学習カードa-2で誤反応しでも提示図形 が正三角形ゃ正方形と知覚的にそれほど離れていないた めに,その後に与えられたノレールへの同意はB群より容 易である。学習カードa-3で誤反応した場合も,提示 図形が学習カードaー2と知覚的にそれほど離れていな -6ーいために同様であろう。 さらに,学習状況で求めた4回の予想での誤答数自体 がA群では少なかった。乙の事実も発問系列aのほうが 誤ノレーノレを棄てさせて新しいルールの同意にもとづいて 正しい予想を立てやすかったととを示している。 乙のように,発問系列aでは正三角形と正方形を徐々 に変形していく乙とにより,学習者の持つ誤ノレーノレを捨 てさせて教えたいルールへの同意を生み出すととができ た。乙乙で注意しておきたいのは,乙の点、において発問 系列aは従来プログラム学習で用いられてきたスモーjレ ステップの原理とは異質なものであるという乙とである。 なぜなら,今回の発問系列aは既有の誤れる判断基準に 着目して,それを教えたいルールへと作り変える乙とを 意図して用いられている。乙れに対してスキナ一流のプ ログラム学習においては,学習者の既有の誤れる知識は 考慮される乙とがなかったからである。その意味でスキ ナ一流のプログラム学習は細谷のいう「つみかさね型」 になる。 次l乙,以上の討論をふまえて細谷(1976)の提案する 「ドヒャー型」と「じわじわ型」のストラテジーの特徴 を検討したい。 問題の項で、述べたように 麻柄・伏見(1982)で用い た1f型焦点事例の提示は「ドヒャー型