JSD 学会誌 システム・ダイナミクス No.19 2020
pp.17-24
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公衆衛生分野におけるシステム・ダイナミクスの活用
Application of System Dynamics in the Field of Public Health
西 信雄(
Nobuo NISHI)
医薬基盤・健康・栄養研究所 [email protected]
Abstract:
In public health where activity and research for health of the public are conducted., as awareness about complex relationship among social determinants of non-communicable diseases are raised recently, necessity for system dynamics has been increasing to deal with dynamic complexity. System dynamics is also applied to COVID-19 pandemic on various aspects. It is desirable that system dynamics is increasingly applied in the field of public health from interdisciplinary perspective to achieve sustainable society.
キーワード:疫学、健康の社会的決定要因、高齢化、医療費、新型コロナウイルス感染症、持続可能な社会 要旨 公衆の健康のための活動および研究を行う公衆衛生分野では、近年、要因間の関連が複雑な非感染性 疾患の社会的決定要因への関心が高まるとともに、動的な複雑性を扱うシステム・ダイナミクスの必要 性が高まっている。また、パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症についても、様々な側面で システム・ダイナミクスの活用が可能である。今後、持続可能な社会の達成に向けて、公衆衛生分野に おいて学際的観点からシステム・ダイナミクスの活用がさらに進むことが望まれる。 1.緒 言 公衆衛生分野では、公衆(public)の健康(health)のための活動および研究を行う。憲法第 25 条第 2 項に「国 は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」 と示されるように、国家の役割が規定されており、我々の日常生活と不可分である。 公衆衛生分野の研究手法の一つに疫学がある。疫学は、「明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連 のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有 効な対策樹立に役立てるための科学」と定義される。歴史的には、19 世紀半ばの英国ロンドンにおいてコレラの 伝播様式を解明した事例や、1950~60 年代、英国での追跡調査により喫煙と肺がんの因果関係を解明した事例等 で疫学が貢献したとされる[1]。これらの事例からもわかるように、疾病構造の変化により、疫学の主な対象は特 定の病原体が特定の疾患を引き起こす感染症(コレラ等)から、複合的な要因が複合的な病態(肥満、高血圧等) や疾患(がん、心疾患等)を引き起こす非感染性疾患に移ってきた。 本論文では、まず疫学の考え方を紹介した後、疫学だけでは公衆衛生分野の課題の解明が困難になっている現 状をふまえ、公衆衛生分野におけるシステム・ダイナミクスの活用例を示し、さらなる活用の可能性を探ること を目的とした。 2.疫学の考え方 疫学の研究デザインを、研究の方向や曝露因子の調査方法をもとに分類したのが図 1 である(ランダム化比較 試験のみ介入研究。他は観察研究)[2]。各研究デザインの詳細の説明は省略するが、どの研究デザインを選択す るかは研究対象とする原因(要因)と結果(病態や疾患)に関する先行研究の状況が参考になる。因果関係(原因 と結果の関係)の判定では、関連の時間性(時間的前後関係)、関連の一致性、関連の強さ、量-反応関係、生物 学的妥当性といった基準が用いられる[1]。関連の時間性の基準では、原因が結果に先行するという時間的前後関 係を前提としていることが特徴的である。 ある非感染性疾患の原因を解明したい場合、複合的な各要因の寄与は一般的に多変量解析により求められる。
- 18 - 出典:文献 2 をもとに著者が作成 図 1 疫学研究のデザイン 多変量解析の例として図 2 のような回帰分析のモデルを考えると、喫煙や高血圧、脂質異常症の心筋梗塞発症の 寄与は、回帰式の解として得られる。ここでは、以下が前提となっている[3]。 ・それぞれの説明変数は目的変数に対して一方向で作用する。 ・説明変数はお互いに独立して目的変数に作用する。 ・各説明変数の係数値は変化しない。 ・モデルの構造式に変数の追加などの変化がない。 ただ、このような回帰分析のモデルでは、構造変化が起きる、不測事態が起きる、連鎖反応が起きるといった シナリオには対応していない[3]。また、回帰分析のモデルが適用されるコホート研究では研究開始時にコホート を固定して追跡することが多いため、研究への非協力や脱落等の偏りによる誤差の影響を受けやすい。 図 2 回帰分析のモデル
近年、健康に関連する要因を社会的なものにまで広げた「健康の社会的決定要因(social determinants of health)」 が注目されている。これを扱う疫学の分野を社会疫学と呼び、「人口集団において、健康や症状の生起に関する 社会構造や社会的因子の役割を研究する疫学の 1 つの分野、あるいは 1 つの下位専門分野」と定義される[4]。 社会疫学の古典的な研究として、英国の公務員を対象としたコホート研究である Whitehall study の結果を紹介 する。対象者の 10 年間の死亡率を観察したところ、管理職、専門職/行政官、事務職、その他の順に高くなり、そ れは全死因でも、また冠動脈疾患とその他に分けても同様であった[5]。この結果が意味することは、英国の公務 員という、貧困層とは考えにくい集団においても健康格差が観察されること、つまり社会経済状態の相対的な格 差が健康格差を生むということである。 図 3 に、健康の社会的決定要因に関する概念的枠組みを示す[6]。一番右側にある健康格差への影響の左側には、 直近の要因として物的環境や行動と生物学的要因、心理社会的要因といった中間決定要因(健康の社会的決定要 因)が示されている。さらにその左側には、社会経済的地位や社会経済的・政治的背景といった構造的決定要因 (健康格差の社会的決定要因)が示されている。注目すべきは、これらの要因間を結ぶ矢印には左側から右側の ものだけでなく、右側から左側のものもあることである。つまり、時間的前後関係を事前に仮定する疫学の分析 研究の方向 一時点 横断研究 前向き コホート研究 ランダム化比較試験 後ろ向き 曝露因子の調査 新規に調査 症例対照研究 過去のコホート コホート内症例対照研究 後ろ向きコホート研究 高血圧者の割合 喫煙者の割合 脂質異常症者の 割合 心筋梗塞発症率 説明変数 目的変数 回帰式 Y=b0+b1X1+b2X2+b3X3
JSD 学会誌 システム・ダイナミクス No.19 2020 pp.17-24 - 19 - モデルだけでこの健康の社会的決定要因の枠組みを実証的に明らかにすることは困難である。 なお、この概念的枠組みは健康日本21(第二次)の策定過程で参照され、健康格差の縮小は、健康日本21 (第二次)において健康寿命の延伸とともに重要な具体的目標に位置づけられている[6]。 出典:文献 6 図 3 健康の社会的決定要因に関する概念的枠組み 3.システム・ダイナミクスの考え方 社会システムの観察において、人間は数学や行動科学、経験論等、種々の方法論でアプローチすることは得意 なものの、いくつかの要素が相互に作用しながらダイナミックに変化する状態を追跡することや、すでに存在す る情報を一つの全体システムとして総合化するための構造を見出すことは不得意とされる[7]。現代社会の複雑性 には種類による複雑性(detail complexity)とダイナミックな複雑性(dynamic complexity)があるとされ、シ ステム思考はダイナミックな複雑性の検討に向いている[8]。 疫学は演繹的に研究を進めるため、ロジカル・シンキングにより要素に分解する思考法を採用している。一方、 システム・ダイナミクスの基本であるシステム・シンキング(システム思考)では帰納的に全体の系をとらえる 思考法を採用する[9]。ロジカル・シンキング等の伝統的思考スキルとシステム思考スキルを対比させると、表 1 のようになる[10]。 各スキルの説明は文献 [9、10]を参照いただくとして、上述の疫学の考え方の多くが伝統的思考スキルに基づ いていることがわかる。公衆衛生分野にシステム思考を取り込むことで、疫学とは異なるアプローチが可能にな ると考えられる。 表 1 伝統的思考スキルとシステム思考スキルの対比 伝統的思考スキル システム思考スキル ① 静的思考 動的思考 ② 結果システム思考 因果システム思考 ③ 木を見る思考 森を見る思考 ④ 要因思考 操作可能な思考 ⑤ 直線的思考 ループ思考 出典:文献 10 をもとに著者が作成 システム思考では、アプローチする対象がイベント(現象)、挙動、構造の三層またはさらにメンタルモデル 社会経済的・ 政治的背景 ガバナンス 公共政策 教育、健康、 社会保障 社会政策 労働市場、住宅、 土地 マクロ経済政策 文化的・社会的価値 社会経済的地位 社会階級 ジェンダー 民族(人種差別) 教育 職業 収入 健康格差 への影響 構造的決定要因 (健康格差の社会的決定要因) 中間決定要因 (健康の社会的決定要因) 物的環境 (居住・職場環境、 食品の入手可能性等) 行動と生物学的要因 心理社会的要因 保健医療制度 社会的結束と ソーシャルキャピタル
- 20 - を加えた四層からなると考える。我々が通常観察するのはイベントであるが、そのイベントを生み出す挙動や構 造を考慮したモデルを構築するのがシステム・ダイナミクスの特徴である[9]。 システム・ダイナミクスには、時系列挙動図や因果ループ図を用いる定性モデルとストック・フロー図を用い る定量モデルがある。時系列挙動図は、着目する変数の変化(挙動)を参照モードとして図式化するために重要 であり、因果ループ図やストック・フロー図の基礎となるものである[9]。 4.公衆衛生分野におけるシステム・ダイナミクスの活用 4.1 海外における活用 システム・ダイナミクスの適用領域は広く、毎年開催される国際学会においてもビジネスや経済、環境、行動 科学、公共政策といった様々な分野の研究成果が発表されている。公衆衛生分野においても活用されていたが、 米国公衆衛生学会が 2006 年 3 月にシステム思考に関する特集号を発行したことが、活用を広げる契機となったと 考えられる。特にその号に掲載された論文では公衆衛生分野におけるシステム・ダイナミクス活用の背景や可能 性を解説しており[11]、公衆衛生関係者を大いに啓発したと考えられる。また、2012 年にはシステム科学に関す るレビューが出版され[12]、ネットワーク分析やエージェント・ベース・モデルとともにシステム・ダイナミクス を取り上げることにより、他の方法論との違いへの公衆衛生関係者の理解を助けた。 近年は実際の研究例も多く、2020 年に出版されたレビュー[13]によると、公衆衛生(保健医療)分野でシステ ム・ダイナミクスを用いた論文が 2013 年以降年々増加しており、特に医療現場の労働力や患者数の問題、肥満や HIV/AIDS についての論文が多いとされている。 4.2 日本における活用 日本においても公衆衛生分野においてシステム・ダイナミクスの手法は紹介されており[9]、活用例もいくつか あるが[14, 15]、まだ研究方法としての認知度は低い。 日本における公衆衛生上の課題の一つに少子高齢化がある。人口(総務省統計局人口推計)は図 4 左のような 推移を示しており、65 歳以上の割合は増加傾向にある。また、高齢化の影響を受けて国民医療費(厚生労働省) は図 4 右のような推移を示しており、増加傾向が続いている。システム・ダイナミクスの観点から、これらは重 要な時系列挙動図である。この人口の高齢化と医療費の増加の問題について、最近筆者らが発表した結果[16]の概 要を紹介する。 図 4 日本の年齢 3 区分別人口の推移(左)と国民医療費の年次推移(右) 一般的に高齢者の医療費の増加を抑制するためには、高齢者が健康を維持することが重要と考えられる。ただ、 健康寿命が延伸すると高齢者の割合が増加して人口の年齢構成も変化することから、長期的には医療費が増加す 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 19 65 19 75 19 85 19 95 20 05 20 15 20 25 20 35 20 45 20 55 20 65 人口(千人) 0~14歳 15~64歳 65歳以上 0-14歳 15-64歳 65歳- 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 0 50 000 100 000 150 000 200 000 250 000 300 000 350 000 400 000 450 000 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 対国内総生産( GD P )比率 国民医療費(億円)
JSD 学会誌 システム・ダイナミクス No.19 2020 pp.17-24 - 21 - る可能性がある。本研究は、日本人の高齢者における介護の必要性を減少させることによって、医療費がどのよ うに変化するかを検討することを目的としたものである。 研究の方法としては、介護保険法の仕組みにもとづき、要介護度 2 から要介護 5 の該当者を非自立者と定義し た。男女別に 65 歳以上について自立者と非自立者の 2 つの加齢連鎖(aging chain)からなるシミュレーションモ デルを構築した(図 5)。性別年齢階級別の参照データは、国の統計調査報告から入手した。死亡率や自立から非 自立への移行率に関するパラメーターならびに一人当たりの医療費および介護費は、性別年齢階級別に参照デー タにフィットするように最適化を行った。現状維持の 2020 年から 2040 年の変化を次の 2 つの仮想シナリオと比 較した。シナリオ 1 は死亡率の毎年 2%の低下、シナリオ 2 はシナリオ 1 に加えて、65 歳での非自立者の割合お よび 65 歳以上での自立から非自立への移行率の毎年 2%の低下とした。 出典:文献 16 図 5 モデルの基本構造(男性) その結果、現状維持では 2020 年から 2040 年の間に人口は男性で 13.0%、女性で 11.3%それぞれ増加し、非自 立者の割合は男性で 4.6%増加し、女性で 13.4%減少した。男女総数の医療費と介護費の合計は、現状維持、シナ リオ 1、シナリオ 2 でそれぞれ 8.2%、27.4%、16.4%増加した(図 6)。結論として、医療費・介護費は死亡率が 低下すると増加するものの、さらに非自立者の割合が低下すると増加が抑制されることがわかった。 出典:文献 16 をもとに著者が作成 図 6 シナリオ別にみた医療費、介護費、医療費・介護費の合計のシミュレーション結果(男女総数) 本研究では日本人の高齢者のみを対象とし、勤労世代からのフィードバックは考慮していない。高齢者のみな らず勤労世代の経済活動も考慮して、モデルの開発をさらに進める必要がある。 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 金額(兆円)
Mex_S0 Mex_S1 Mex_S2 LCC_S0 LCC_S1 LCC_S2 Sum_S0 Sum_S1 Sum_S2
医療費・介護費の合計 医療費
介護費
現状維持 シナリオ1 シナリオ2
MIND6569 MIND7074 MIND7579 MIND8084 MIND85
MDEP6569 MDEP7074 MDEP7579 MDEP8084 MDEP85
MID6569 MID7074 MID7579 MID8084 MID85
MINDT70 MINDT75 MINDT80 MINDT85
MDEPT70 MDEPT75 MDEPT80 MDEPT85
MI6569D MI7074D MI7579D MI8084D MI85D
MD6569D MD7074D MD7579D MD8084D MD85D
mid6569r mid7074r mid7579r mid8084r mid85r
mi6569dr mi7074dr mi7579dr mi8084dr mi85dr
mindt70r mindt75r mindt80r mindt85r
mdept70r mdept75r mdept80r mdept85r <Time>
MIVI6569 MIVI7074 MIVI7579 MIVI8084 MIVI85
MIVD6569 MIVD7074 MIVD7579 MIVD8084 MIVD85
mi7074dm mi7579dm mi8084dm mi85dm
md6569dr md7074dr md7579dr md8084dr md85dr mid6569d md7074dm md7579dm md8084dm md85dm <mi6569dr> MINDT65 Year1 MT65 MDEPT65 mdep64p
- 22 - 4.3 新型コロナウイルス感染症における活用 現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックとなっている。2020 年 1 月中旬からの 1 日ごと の陽性者数の推移は図 7 に示す通りである。感染は第 3 波にあると考えられ、現時点では減少の兆しは見られな い。 出典:厚生労働省 HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html) 図 7 新型コロナウイルス感染症の陽性者数(各報告日時点の集計値) 感染症の流行について、システム・ダイナミクスでは図8のようなSIRモデルを基本としてモデル化を行う[17]。 ただ、新型コロナウイルスは発症前の感染力や PCR 検査の実施件数等の問題から正確な実態がつかみにくく、本 モデルでの感染者数等の推定が困難である。 出典:文献 17 をもとに著者が作成 図 8 SIR モデルの構造 さらに、新型コロナウイルス感染症は社会への影響も大きい。一例として、外食産業における売上高の推移を 図 9 に示す。緊急事態宣言が出された 2020 年 4 月から 5 月の落ち込みが大きいものの、11 月になっても前年同 月比までの回復が見られない。 したがって、新型コロナウイルス感染症では感染拡大の防止と社会経済活動の維持を両立させる必要があり、 この両者を対象とすると、その境界をどのように設定するかも含めてモデルの作成は容易ではない。 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 人 Susceptible Population S Infectious Population I Recovered Population R Infection Rate IR Recovery Rate RR Contact Rate c Total Population N Infectivity i Average Duration of Infectivity d + + -+ + + -B R B
JSD 学会誌 システム・ダイナミクス No.19 2020 pp.17-24 - 23 - 出典:一般社団法人日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査 図 9 外食産業業態別売上高前年同月比 新型コロナウイルス感染症に関するシステム・ダイナミクスを用いた研究も、感染者数が過小評価されている ことを因果ループ図[18]あるいはストック・フロー図[19]を用いて指摘した論文が早期に公開されているものの、 感染者数と病床数・医療従事者数、経済活動等の関連を一体としてモデル化した研究は少なくとも日本では公表 されていない。新型コロナウイルス感染症については、今後、公衆衛生分野の研究者のみならず、社会科学系の 研究者も含めた学際的なチームでモデル化を進める必要がある。 5. 結 語
2015 年 9 月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」では 17 の分野別のゴールと 169 のターゲットを定め、2030 年までに持続可能でよりよい世界を目指すこととしている。 公衆衛生の課題は、ゴール 3 の「すべての人に健康と福祉を」にとどまらず、ほぼすべてのゴールと少なからず 関連している。 本論文では、公衆衛生分野の課題の解明には疫学の考え方だけでなく、システム・ダイナミクスの考え方を取 り込む必要があることを述べた。また、新型コロナウイルス感染症の対策において感染拡大の防止と社会経済活 動の維持を両立させることが求められることから、モデルの作成においても学際的な取り組みが必要なように、 今後、持続可能な社会の達成に向けて、公衆衛生分野において学際的観点からシステム・ダイナミクスの活用が さらに進むことが望まれる。 謝辞 本論文は令和 2 年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「栄養 政策等の社会保障費抑制効果の評価に向けた医療経済学的な基礎研究」(19FA1004)(研究代表者:西 信雄) の助成を受けた。 本論文は JSD カンファレンス 2020(2020 年 12 月 4 日、zoom によるオンライン双方向形式で開催)の基調講演 の内容に加筆したものである。 参考文献 [1] 日 本 疫 学 会 広 報 委 員 会 監 修 . 疫 学 用 語 の 基 礎 知 識 . 一 般 社 団 法 人 日 本 疫 学 会 , 2015. https://jeaweb.jp/glossary/glossary001.html. (2021 年 1 月 15 日アクセス可能) [2] 名郷直樹. EBM キーワード. 中山書店, 2005. [3] 土金達男. シミュレーションによるシステムダイナミックス入門. 東京電機大学出版局, 2005. [4] 日本疫学会訳. 疫学辞典第 5 版. 日本公衆衛生協会, 2010. 0% 20% 40% 60% 80% 100% 120% ファーストフード ファミリーレストラン パブレストラン/居酒屋 ディナーレストラン 喫茶 その他
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