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日本語版Body Perception Questionnaire-Body Awareness(BPQ-BA)超短縮版の作成─因子構造,および信頼性,妥当性の検討─

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2021年 第28巻 第 2 号 38 48 2021, Vol. 28, No. 2, 38 48

資 料

日本語版Body Perception Questionnaire-Body

Awareness(BPQ-BA)超短縮版の作成

1,2

─因子構造,および信頼性,妥当性の検討─

小林 亮太

広島大学教育学研究科,日本学術振興会

本多 樹

広島大学教育学研究科

町澤 まろ

広島大学脳・こころ・感性科学研究センター

市川 奈穂

広島大学脳・こころ・感性科学研究センター

中尾 敬

広島大学教育学研究科

Factor structure, reliability and validation of the Japanese version of the Body Perception Questionnaire-Body Awareness

Very Short Form (BPQ-BAVSF-J)

Ryota Kobayashi ( )

Tatsuru Honda ( )

Maro Machizawa ( )

Naho Ichikawa ( )

Takashi Nakao ( )

The present study aimed to develop and validate the Japanese version of the Body Perception Questionnaire-Body Awareness Very Short Form (BPQ-BAVSF-J). In Study 1, we conducted a cross-sectional survey of 358 crowdsourced participants and 296 university students. We conducted an exploratory factor analysis and then conducted a confirmatory factor analysis. The results of the factor analysis indicated that the BPQ-BAVSF-J has a unidimensional structure with sufficient reli-ability. Additionally, consistent with the original version, the BPQ-BAVSF-J had a positive correlation with somatosensory amplification and physical stress. Thus, it was shown that the BPQ-BAVSF-J has adequate validity. In Study 2, we conducted a cross-sectional survey of 305 and 295 crowdsourced participants and then compared the BPQ-BAVSF-J and the Japanese version of the Body Percep-tion QuesPercep-tionnaire-Body Awareness Short Form (BPQ-BASF-J). The results of Study 2 showed that both the BPQ-BAVSF-J and the BPQ-BASF-J had the same level of correlation with the validity scale. These results suggest that the BPQ-BAVSF-J can measure interoceptive awareness as well as the BPQ-BASF-J, which has a larger number of items. In study 3, we conducted a two-wave survey with a one-month interval ( =68) and confirmed that the BPQ-BAVSF-J has sufficient test-retest reliability. Key words: Interoception, Interoceptive sensibility, body awareness, autonomic nervous system, emotion

Correspondence concerning this article should be sent to: Ryota Kobayashi, Graduate School of Education, Hiroshima University, Hiroshima 739‒8524, Japan (e-mail: rkoba1993@gmail.com)

1 本研究結果の一部は,日本心理学会第83 回大会 (2019) にて

発表された。

2 本研究は,JSPS科研費JP 19J10931,JP19dm0307008および

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内受容感覚(Interoception)とは,心臓がどきどき する感じや背筋がぞっとする感じのような身体内部の 生理状態の感覚を指す用語である(Connell, Lynott, & Banks, 2018; Craig, 2002)。定義に関しては,心臓 の拍動や胃の締め付けといった臓器感覚のみを内受容 感覚とする立場もある。その一方で,内受容感覚を触 覚,嗅覚,味覚,視覚,聴覚から構成される外受容感 覚と対をなすものと捉え,臓器感覚だけでなく,骨格 筋の緊張,痛みや体温といった身体内部から生ずる感 覚全般を内受容感覚とする立場も存在する(Ceunen, Vlaeyen, & Van Diest, 2016; Connell et al., 2018;寺 澤・梅田,2014)。本研究の目的は内受容感覚の個 人差を測定する尺度の日本語版を作成することであ り,その日本語版の原本となる尺度を作成した研究 (Cabrera et al., 2018)においては後者の定義が採用 されている。そのため本研究においても,内受容感覚 を身体内部環境についての感覚と定義する。 内受容感覚については,古くから感情との結びつき が提唱されている。「泣くから悲しい」という言葉で 有名なJames(1884)の末梢起源説では,内受容感覚 の変化の知覚こそが感情体験に他ならないとされてい る。同様に,Damasio(1994)のソマティック・マー カー仮説では,内受容感覚が意識に上ることにより感 情体験が生ずるとしたうえで,内受容感覚が意思決定 を支えると考えられている。内受容感覚と感情の結び つきは,心理学的構成主義においても想定され,内受 容感覚が感情の基礎的要素であるコア・アフェクトを 構築するとされている(Barrett, 2017)。理論によっ て細部に違いがあり,内受容感覚の役割についてはい まだ議論が続いている点に留意は必要であるものの, 内受容感覚は感情体験の基盤となっていると考えられ る(福島,2018)。また,こうした理論と関連して, 内受容感覚を意識しているときと感情を体験している ときの神経基盤が重複していることが報告されている (e.g., Terasawa, Fukushima, & Umeda, 2013)。

内受容感覚には個人差があることが知られてお り,その測定の方法の違いから大きく2つに区分され る(福島,2018; Garfinkel, Seth, Barrett, Suzuki, & Critchley, 2015)。1つ目は,質問紙により測定され る日々の生活の中で,自身の内受容感覚に気づく程 度(内受容感覚の気づき)や内受容感覚に注意を向け る程度の個人差である。こうした個人差はInterocep-tive Sensibility(IS)と呼ばれることが多い。2つ目 は,心拍追跡課題(Schandry, 1981)などにより測 定される内受容感覚の知覚の精度の個人差であり, Interceptive Accuracy(IAc)と表記される。この2 つの個人差はそれぞれ内受容感覚の異なる側面の個人 差を捉えていると想定されており,実際に先行研究で はISとIAcの間に関連がないことが報告されている (e.g., Garfinkel et al., 2015)。

代 表 的 なIS尺 度 の1つ と し て,Body Perception Questionnaire(BPQ: Kolacz, Holmes, & Porges, 2018; Porges, 1993)が挙げられる。BPQは,内受容 感覚の気づきを測定するBody Awareness(BA)尺 度を始め,ストレス反応や自律神経系の反応,スト レスへの対処,既往歴を測定する5つの下位尺度,合 計122項目から構成される尺度である。BPQは複数の 言語に翻訳されているが,日本語版は作成されていな い。ISの測定には45項目のBA尺度が用いられるこ とが多く,Cabrera et al.(2018)が参照した25の研 究のうち20の研究において使用されている。BA尺度 は不安や恐怖のようなネガティブ感情と結びついた内 受容感覚への気づきを測定する尺度であり,その項目 は自律神経系の構造や内受容感覚に関する神経回路 の知見に基づき作成されている(Kolacz et al., 2018; Mehling et al., 2009)。Critchley, Wiens, Rotshtein, Öhman, & Dolan(2004)では,BA尺度得点と内受 容感覚や感情体験に関わる脳領域である右前島皮質の 灰白質の容積の間に正の相関があることが見出されて いる。 BPQ,特にその下位尺度であるBA尺度は内受容 感覚の気づきを測定する尺度として有用であるもの の,項目数が多く,因子分析や信頼性の検証がなされ ていないという問題点が存在していた。また,BA尺 度は自律神経系に関する知見などに基づき作成され ており,内容的妥当性は確認されているものの,他 の尺度や指標との関連は検討されておらず,構成概 念妥当性は確認されていない。こうした問題点を踏 まえ,Cabrera et al.(2018)では,BA尺度のshort form(BPQ-BA短 縮 版 ) が 作 成 さ れ て い る。BPQ-BA短縮版の作成に際して,Cabrera et al.(2018)で は,各項目が内受容感覚のみを正確に反映できてい るかという基準から項目の選定を行っている。たと えば,「人にぶつかってしまう不器用さ(clumsiness of bumping into people)に気づいている」という項 目には内受容感覚以外の要因(e.g., 注意散漫)が関与 すると考えられるため,短縮版からは除外された。こ うした過程を経て選出された26項目について,探索 的,および確認的因子分析を行い,BPQ-BA短縮版が 1因子構造であることが示されている。また,十分な 信頼性があること(ω=.92‒96),内受容感覚の気づ きと関連が仮定される後述の妥当性検討用尺度との関 連を検討することで,構成概念妥当性があることが確 認されている。重要な点として,BPQ-BA短縮版の信 頼性や妥当性が確認されたことを踏まえ,Cabrera et al.(2018)の発表以降,BPQ-BA原版(45項目版)を 測定したとしても,BPQ-BA短縮版に含まれる26項 目のみを解析対象とすることがBPQ-BA原版の作成 者らによって推奨されている(Kolacz et al., 2018)。 なお,BPQ-BA短縮版についても複数の言語に翻訳さ

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れているものの,日本語版は作成されていない。 さらに,Cabrera et al.(2018)は,項目数に制限 のある研究を想定し,BPQ-BA短縮版から因子負荷 の高い項目を選定し,12項目で構成されるBPQ-BA very short form(BPQ-BA超短縮版)を作成した。 このBPQ-BA超短縮版は短縮版と同様に内受容感覚 の気づきを1因子で測定する尺度であり,十分な信 頼性(ω=.83‒91)があることが報告されている。ま た,BPQ-BA短縮版との間に強い正の相関( =.94) が確認されている。加えて,短縮版と同様の妥当性検 討用尺度との関連を検討することで,構成概念妥当性 が確認されている。なお,妥当性検討用尺度と関連が あるとはいえ,BPQ-BA超短縮版の項目が短縮版の測 定内容を代表できているか不明瞭であるという指摘が 想定される。そこで本論文の著者らは,自律神経系の 構造を踏まえ(e.g., Porges, 2007),BPQ-BA超短縮 版と短縮版の項目の分類を行った(Table S1)。分類 の結果,超短縮版には「発汗・体温調節系」,および 「眼・涙腺系」の項目が含まれなかったものの,おお むね短縮版と同等の内容を測定できていることが示唆 された。

BPQ-BA以 外 のIS尺 度 と し て,Body Awareness Questionnaire(BAQ: Shields, Mallory, & Simon, 1989)やMultidimensional Assessment of Interocep-tive Awareness(MAIA: Mehling et al., 2012)が存 在する。BAQは,感情や疾患と関連した内受容感覚 の気づきを測定する尺度しか作成されていないという 先行研究の限界を踏まえ考案された尺度であり,感情 や苦痛と関連しない内受容感覚への気づきを測定する 尺度である。こうした背景もあり,食事や疲労,睡眠 に関する内受容感覚への気づきを問う項目から構成さ れている。MAIAは,多次元的にISを測定すること を目的とした尺度であり,内受容感覚への気づきの程 度だけでなく,自身の内受容感覚を信頼している程度 や内受容感覚への注意を保つことができる程度などを 測定することが可能である。 BPQのBA尺度,MAIAの気づき尺度,BAQはい ずれも内受容感覚の気づきというISを測定する尺度 という点で共通している。しかし,BA尺度が不安 などのネガティブ感情と関連が強い内受容感覚の気 づきに焦点を当てているのに対して,BAQでは,感 情と無関連のニュートラルな内受容感覚に着目し ているという差異がある(Shields et al., 1989)。ま た,MAIAの気づき尺度では,ニュートラルからポ ジティブな感覚に焦点が当てられている(Mehling et al., 2012)。こうした差異を反映して,BPQのBA尺度 (45項目版)とState Trait Anxiety Inventory(STAI:

Spielberger, Gorsuch, & Lushene, 1970)により測定 された特性不安の間には正の相関( =.36: Palser et al., 2018)が認められているものの,BAQとの間には

有意な相関が認められていない( =−.12: Ginzburg, Tsur, Barak-Nahum, & Defrin, 2014)。そしてMAIA の気づき尺度については,特性不安との間に負の相関 ( =−.33: Mehling et al., 2012)が認められている。 本研究の目的 BPQ-BA超短縮版はネガティブ感情と結びついた内 受容感覚の気づきというISを少ない項目数により短 時間で測定できる尺度であり,本邦の内受容感覚研究 においても有用だと考えられるものの,日本語版の作 成はなされていない。BPQ-BAには短縮版も存在する が,参加者の負担や時間的制約を考慮すると,超短縮 版の方が利便性が高いと期待される。そこで本研究で は,日本語版BPQ-BA超短縮版を作成することを目 的とする。そのために研究1では,BPQ-BA超短縮版 を日本語に翻訳し,その因子構造や信頼性,妥当性を 検討する。研究2では,日本語版BPQ-BA短縮版を作 成し,日本語超短縮版と比較することで,項目数の少 ない日本語超短縮版でも内受容感覚の気づきを適切に 測定できているか検討する。研究3では,大学生を対 象に1カ月の追跡調査を行い,日本語版BPQ-BA超短 縮版の再検査信頼性を検討する。 研 究 1 目 的 研究1では,日本語版BPQ-BA超短縮版を作成し, 因子構造,および信頼性,妥当性について検討するこ とを目的とする。妥当性の検討には,以下の尺度を 用いる。1つ目は,Cabrera et al.(2018)でも用いら れていたSomatosensory Amplification Scale(SSAS: Barsky, Wyshak, & Klerman, 1990; Nakao & Bar-sky, 2007)である。Cabrera et al.(2018)は身体感 覚増幅,すなわち身体感覚に対する過剰な注意や脅威 評価の傾向が強い者は,内受容感覚の気づきの程度も 高いと想定し(Bleichhardt, Timmer, & Rief, 2005), SSASとBPQ-BA超短縮版の関連を検討している。そ して,両者の間に =.48の相関が確認されている。そ のため,日本語版BPQ-BA超短縮版においても先行 研究と同様に正の相関が予測される(仮説1)。 2つ目は,身体的ストレス反応の尺度である。Ca-brera et al.(2018)では内受容感覚の気づきと身体 的なストレス反応の間には正の関連があると想定し, Stress Reactivity Index(SRI: de Rivera, De las Cue-vas, Monterrey, Rodriguez-Pulido, & Gracia, 1993) を用いて検討が行われている。結果として,BPQ-BA超 短 縮 版 とSRIの 間 に は 予 測 ど お り 正 の 相 関 ( =.55)が認められており,日本語版BPQ-BA超短 縮版においても同様の関係性が予測される。しかし, SRIについては日本語版が存在しないため,本研究で

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は身体的ストレス反応を測定する尺度である職業性 ストレス簡易調査票の身体愁訴下位尺度(下光・原 谷,2000)を用い,日本語版BPQ-BA超短縮版と身 体愁訴下位尺度の間にも正の関連があるという予測に ついて検討を行うこととする(仮説2)。 日本語版BPQ-BA超短縮版の妥当性を示すには, BPQ以外のISを測定する尺度との関連を検討する ことも重要である。そこで,代表的なIS尺度であ るMAIA(Mehling et al., 2012) に 焦 点 を 当 て る。 MAIAの気づき尺度と日本語版BPQ-BA超短縮版は いずれも内受容感覚の気づきの程度を測定していると 想定されているため,MAIAの気づき尺度と日本語 版BPQ-BA超短縮版は正の相関関係を有していると 予測される(仮説3)。 その一方で,先にも述べたように両者には差異も 想定されている。日本語版BPQ-BA超短縮版は不 安のようなネガティブ感情と関連が強い内受容感覚 の気づきを測定するのに対して,MAIAの気づき尺 度はニュートラルからポジティブな内受容感覚を測 定 す る(Mehling et al., 2009)。 実 際,STAI(Spiel-berger et al., 1970)により測定された特性不安とBA 尺度の間には正の相関( =.36: Palser et al., 2018), MAIAの 気 づ き 尺 度 の 間 に は 負 の 相 関( = −.33: Mehling et al., 2012)が確認されている。ただし,日 本語版MAIA(Shoji, Mehling, Hautzinger, & Her-bert, 2018)に関しては,原版と異なる因子構造が見 出されており,そうした過程で,気づき尺度からポ ジティブな内受容感覚に関する項目が除外されてい る。そのため,日本語版MAIAの場合には気づき尺 度とSTAIとの間に有意な関連が認められていない ( =.02)点に留意が必要である。これらを踏まえる と,日本語版BPQ-BA超短縮版はSTAIと正の相関関 係を有するものの,日本語版MAIAの気づき尺度は STAIと関連しないと予測される(仮説4)。 方 法 参加者  研究1では一般成人(サンプル1),およ び大学生(サンプル2)を対象に調査を実施した。ま ず,サンプル1については,クラウドソーシングサイ トであるクラウドワークス上で募集を行い,454名か ら回答を受け取った。努力の最小限化(Satisfice)が 生じることを考慮し,先行研究(三浦・小林,2015) で用いられている2つの検出法を用いた。1つ目は, 長い教示文の終わりに「以下の設問へは回答しないこ と」と表記し(e.g., 三浦・小林,2015,図2),回答 をしてしまった参加者をSatisfice者として検出する手 法であった。2つ目は,リッカート尺度の項目の中に 「1:あてはまらないを選択してください」という項目 を追加し,1以外の数字を回答した場合にSatisficeが 生じているとみなす手法であった。そうした結果,96 名が不誠実な回答をしていると判断されたため,解析 から除外することにした。Satisfice回答をしなかった 参加者については,欠損値や回答の不備が認められな かったため,最終的に358名(女性186名,平均年齢 38.84歳, =9.64, 20歳から70歳)をサンプル1の解 析対象とした。サンプル2については,心理学関連の 授業を受講していた学生,および大学院生を対象に質 問紙を配布し,313名から回答を受け取った。回答の 不備や欠損値が認められた17名については解析から 除外し,最終的にサンプル2については,296名(女 性158名, 平 均 年 齢20.48歳, =1.63, 18歳 か ら26 歳)を解析対象とした。 手続き  サンプル1に対してはGoogleフォーム上 で,以下の1から5の尺度への回答を求めた。サンプ ル2に対しては,質問紙により1から4の尺度への回 答を求めた。サンプル2において測定尺度が1つ少な いのは,時間的制約のためであった。Googleフォー ムの回答ページの初め,あるいは質問紙の表紙の部分 に,調査への回答や無回答により不利益を被ることが ないこと,個人情報が公表されることはないこと,質 問紙への回答は自由であることを記し,同意できる場 合のみ質問紙調査に協力を求めた。なお,研究1の調 査実施手続きについては,広島大学の倫理審査委員会 の承認を受けた。サンプル1への調査は2019年11月 に実施した。サンプル2への調査は2019年2月から5 月に実施した。 1. 日本語版BPQ-BA超短縮版 原著者ら(Porges and Kolacz) の 許 可 を 得 た う え で,Cabrera et al. (2018)が作成したBPQ-BA超短縮版12項目を日本語 に翻訳した。日本語と英語のバイリンガルである研究 者1名が日本語に順翻訳したうえで,同等のバイリン ガル研究者1名が逆翻訳を行い,英語版と項目内容が 等しいか確認を行った。同義でないと判断された項目 については修正を行い,最終的に上記2名で各項目の 翻訳が適切であるか確認し,日本語版BPQ-BA超短 縮版を作成した。 参加者には,「あなたがどれだけ身体の状態に気づ いているか想像してください。下記のそれぞれの表現 のうち,一番あなたの気づきを正確に表わしているも のを選んでください。」と教示したうえで,「様々な場 面において,私は●●●に気づいています」という文 章を提示し,●●●に各項目を当てはめ,それぞれ回 答するように求めた(Appendix 1)。回答は英語版同 様に,(1)全くない,(2)たまに,(3)時々,(4)た いていは,(5)いつもの5件法で求めた。得点が高い ほど,内受容感覚への気づきが高いことを意味する。 2. 日本語版SSAS(Barsky et al., 1990:村松・宮 岡・上島・村松・櫻井,2001)妥当性指標の1つとし て,身体感覚増幅の程度を測定した。全10項目につ いて,参加者には普段の自分にあてはまる程度を(1)

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そのようなことはないから,(5)その通りの5件法で 回答を求めた。得点が高いほど,身体感覚増幅傾向が 強いことを意味する。 3. 職業性ストレス簡易調査票身体愁訴下位尺度 (下光・原谷,2000)身体的ストレス反応の程度を 職業性ストレス簡易調査票に含まれる身体愁訴下尺 度(11項目)を用いて測定した。最近1カ月の自分の 状態にあてはまる程度を(1)ほとんどなかったから (4)ほとんどいつもあったの4件法で求めた。得点が 高いほど,身体的なストレス反応が強いことを意味す る。なお,この尺度は職場におけるストレス反応の測 定を目的に作成されたものだが,大学生を対象とした 複数の先行研究(e.g., 栗田・池田,2011)でも使用さ れていることを踏まえ,サンプル2の調査でも利用し た。 4. 日本語版STAI(清水・今栄,1981; Spielberger et al., 1970)妥当性の検討のために,特性不安の程度 をSTAI(20項目)により測定した。ふだんの自分に あてはまる程度について(1)決してそうでないから, (4)いつもそうであるの4件法で回答を求めた。得点 が高いほど,特性不安が強いことを意味する。 5. 日本語版MAIA(Mehling et al., 2012; Shoji et al., 2018)日本語版MAIAの6下位尺度(気づき,注 意制御,身体を聴く,感情の気づき,信頼する,気が 散らない)合計25項目について,(0)全くないから (5)いつもあるの6件法で回答を求めた。得点が高い ほど,下位尺度で測定されるISが高いことを意味す る。 解析  記述統計値や相関係数の算出や因子分析には HAD(清水,2016)を用いた。適合度指標としては,

Hooper, Coughlan, & Mullen(2008)に基づき,CFI, SRMR, RMSEAを用いた。 結果と考察 日本語版BPQ-BA超短縮版の因子分析  はじめ に,日本語版BPQ-BA超短縮版の因子構造を検討す るために,サンプル1のデータを解析対象とし,12 項目について探索的因子分析(最尤法)を実施し た。因子数については,固有値の減衰状況(1因子 の場合から降順で5.18, 0.96, 0.85, 0.81, . . .),平行分 析の結果(Figure S1)から1因子構造が示唆され た。そのうえで,MAP基準(1因子の場合から降順 で.017,.026,.043,.057, . . .),や因子の解釈可能性も 踏まえ,1因子構造が妥当であると判断した。因子数 を1とし,探索的因子分析を行ったところ(Table 1), モ デ ル の 適 合 度 は,χ(54)=174.035, <.001, CFI2 =.914, RMSEA=.080, SRMR=.049と許容できる値で あった。また,各項目の因子負荷量が.71から.45で あったことも考慮し,項目の削除は行わないこととし た。 続 い て, 日 本 語 版BPQ-BA超 短 縮 版 の1因 子 構 造が適切であるかを検討するために,サンプル2の データを解析対象とし,確認的因子分析を実施した (Table 1)。その結果,1因子構造で一定水準の適合度 が確認された(χ(54)= 136.006, <.001, CFI=.932, 2 RMSEA=.072, SRMR=.047)。こうした結果を踏ま え,以下の分析では,日本語版BPQ-BA超短縮版を 12項目1因子構造の尺度として取り扱うこととした。 なお,日本語版BPQ-BA超短縮版のヒストグラムを Figure S2に示した。 Table 1 日本語版BPQ-BA超短縮版の因子分析の結果(研究1) サンプル1 (EFA, =358) サンプル2 (CFA, =296) 負荷量 共通性 負荷量 共通性 No.3 口のなかが乾いているか .63 .39 2.81 1.06 .49 .24 2.86 1.06 No.4 どれだけ早く呼吸をしているか .70 .49 2.03 0.96 .50 .25 2.48 0.99 No.7 体や身体の一部の腫れ .57 .33 2.16 1.06 .76 .57 2.54 1.20 No.9 腕や足の筋肉の緊張 .57 .32 2.27 0.92 .62 .39 2.88 1.15 No.10 水の摂取によるむくみ感 .45 .20 1.83 1.05 .42 .17 1.97 1.05 No.12 鳥肌 .68 .46 2.51 1.04 .73 .53 3.16 1.23 No.13 胃や腸の痛み .71 .50 2.56 1.14 .69 .48 3.15 1.33 No.14 胃の膨満感や満腹感 .59 .34 3.08 1.08 .68 .47 3.55 1.05 No.17 くちびるの震え .61 .37 1.48 0.84 .67 .45 2.01 1.21 No.22 “背筋がぞっとして”髪の毛が逆立つ 感覚 .62 .39 1.86 0.94 .67 .45 2.51 1.33 No.24 つばを飲み込む衝動 .58 .33 2.20 0.96 .57 .33 2.57 1.14 No.25 どれだけ強く心臓が鼓動しているか .67 .44 2.41 1.01 .54 .29 2.63 1.04 累積寄与率(%) 38.15 38.38

BPQ-BA: Body Perception Questionnaire-Body Awareness, EFA: Exploratory Factor Analysis, CFA: Confirmatory Factor Analysis.

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信頼性の検討  日本語版BPQ-BA超短縮版の信頼 性を検討するために,ω係数を算出した。サンプル1, サンプル2のいずれにおいても,ω係数は.88であり, 十分な内的整合性が認められた。 妥当性の検討  日本語版BPQ-BA超短縮版の構 成概念妥当性について検討するために,各尺度の 平均値,および標準偏差,信頼性係数を算出した (Table 2)。そのうえで,日本語版BPQ-BA超短縮 版と各妥当性検討用尺度の関連について検討を行っ た(Table 3)。相関分析の結果,日本語版BPQ-BA 超短縮版と身体感覚増幅傾向(サンプル1: =.40, <.001;サンプル2: =.35, <.001),および身体的 ストレス反応(サンプル1: =.42, <.001;サンプル 2: =.38, <.001)の間に正の相関関係が認められ, 仮説1,および仮説2が支持された。 続いて,仮説3と仮説4について検討を試みた。な Table 2 各変数の記述統計値 研究1 研究2 サンプル1 ( =358) サンプル2 ( =296) サンプル3 ( =305) サンプル4 ( =295) ω係数 ω係数 ω係数 ω係数 1. BPQ-BA 1-1.超短縮版 2.27 0.66 .88 2.69 0.76 .88 2.28 0.68 .87 2.29 0.75 .88 1-2.短縮版 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2.38 0.66 .93 2.41 0.71 .94 2.身体感覚増幅 3.12 0.56 .66 3.06 0.53 .64 ̶ ̶ ̶ 3.19 0.54 .60 3.身体的ストレス 1.94 0.53 .82 1.98 0.52 .80 ̶ ̶ ̶ 1.99 0.57 .84 4.特性不安 2.63 0.52 .90 2.49 0.48 .87 ̶ ̶ ̶ 2.51 0.36 .93 5. MAIA 5-1.気づき 2.72 0.80 .67 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2.82 0.80 .65 5-2.注意制御 2.35 0.81 .84 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2.57 0.78 .80 5-3.身体を聴く 2.12 0.93 .75 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2.37 0.94 .77 5-4.感情の気づき 2.43 1.08 .77 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2.64 1.05 .70 5-5.信頼する 2.48 0.97 .72 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2.72 1.04 .78 5-6.気が散らない 2.35 0.85 .54 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2.67 0.92 .60 各研究にて測定されていない尺度は空欄(̶)としている。BPQ-BA: Body Perception Questionnaire-Body Aware-ness, MAIA: Multidimensional Assessment of Interoceptive Awareness.

Table 3 日本語版BPQ-BA超短縮版と妥当性検討尺度の相関係数(研究1) 1. 2. 3. 4. 5-1. 5-2. 5-3. 5-4. 5-5. 1. BPQ-BA超短縮版 ̶ .35** .38** .28** [.24, .44] [.27, .47] [.17, .28] 2.身体感覚増幅 .40** ̶ .31** .22** [.31, .48] [20, .41] [.11, .33] 3.身体的ストレス .42** .45** ̶ .47** [.33, .50] [.37, .53] [.37, .55] 4.特性不安 .25** .43** .52** ̶ [.15, .34] [.34, .51] [.44, .59] 5-1.気づき .40** .32** .23** .07 ̶ [.31, .48] [.23, .42] [.13, .33] [−.03, .17] 5-2.注意制御 .18** −.02 −.12* −.34** .53** ̶ [.07, .28] [−.13, .08] [−.22, −.01][−.43, −.24] [.46, .60] 5-3.身体を聴く .16** .16** .05 −.19** .58** .67** ̶ [.05, .26] [.06, .26] [−.05, .15] [−.29, −.09] [.50, .64] [.61, .72] 5-4.感情の気づき .27** .22** .13* −.07 .61** .52** .63** ̶ [.17, .36] [.12, .32] [.02, .22] [−.17, .04] [.55, .68] [.44, .59] [.56, .69] 5-5.信頼する .06 −.14** −.27** −.47** .38** .67** .54** .48** ̶ [−.04, .17] [−.24, −.04] [.37, −.18] [−.55, −.38] [.29, .46] [.61, .72] [.46, .61] [.39, .55] 5-6.気が散らない −.15** −.09 −.22** −.26** −.26** −.08 −.12* −.21** .00 [−.25, −.05] [−.20, .01] [−.32, −.12][−.35, −.16][−.35, −.16] [−.18, .02] [−.22, −.02][−.31, −.11] [−.10, .11] 左下三角部にはサンプル1の相関係数を,右上三角部にはサンプル2の相関係数を示した。[ ]内は95%信頼区間を示す。なお,5-1から5-6はMAIAの 下位尺度であり,サンプル2ではMAIAを測定していないため,空欄としている。BPQ-BA: Body Perception Questionnaire-Body Awareness, MAIA: Multidimensional Assessment of Interoceptive Awareness. ** <.01, * <.05.

(7)

お,サンプル2に対してはMAIAを測定しなかった ため,サンプル1のみを解析対象としている。解析 の 結 果, 日 本 語 版BPQ-BA超 短 縮 版 とMAIAの 気 づき尺度の間に正の相関( =.40, <.001)が認め られ,仮説3が支持された。仮説4に関して,日本 語版BPQ-BA超短縮版と特性不安の間には正の相関 ( =.25, <.001)が認められたものの,気づき尺度と 特性不安の間には有意な相関関係は確認されなかった ( =.07, =.19)。相関の差の検定を行ったところ,日 本語版BPQ-BA超短縮版と特性不安の相関係数が気 づき尺度と特性不安の相関係数より大きいことが示さ れたことから( =2.47, <.001),仮説4についても 支持された。こうした結果を踏まえると,日本語版 BPQ-BA超短縮版については,一定の構成概念妥当性 が認められたと考えられる。 年齢,性別との関連  BPQ-BA超短縮版の英語版に ついては,年齢との間に負の相関が認められていた。 同様の結果が再現されるか確認するため,日本語版 BPQ-BA超短縮版と年齢の相関の検討を行った。その 結果,サンプル1においてのみ有意な負の相関が認め られた(サンプル1: =−.20, <.001;サンプル2: =.09, =.12)。なお,サンプル1においてのみ相関が 認められたのは,多様な年齢層を含むデータであった ためだと考えられる。また,性別(男性=1,女性=2) との関連についても,順位相関分析により検討した ところ,有意な相関は示されなかった(サンプル1: ρ=.09, =.08;サンプル2: ρ=.08, =.18)。 研 究 2 目 的 研究1の結果,日本語版BPQ-BA超短縮版が英語版 と同様に1因子構造であり,一定の信頼性・妥当性を 有することが確認された。しかし,研究1では超短縮 版しか取り扱っていないため,日本語版BPQ-BA超 短縮版が項目数の多いBPQ-BA原版(45項目版),お よびBPQ-BA短縮版と同等に内受容感覚の気づきを 測定できているか疑問が残る。そこで研究2では,日 本語版BPQ-BA短縮版も作成し,日本語版BPQ-BA 超短縮版,および短縮版と研究1の妥当性検討用尺度 との相関を比較する。もし日本語版BPQ-BA超短縮 版が十分な測定精度を有しているのであれば,妥当性 検討用尺度は日本語版BPQ-BA超短縮版,短縮版と もに同程度の相関関係を有すると予測される。なお, BPQ-BA超短縮版を原版ではなく,短縮版と比較する のは,BPQ-BA原版の信頼性や妥当性が未検討であ り,原版を測定したとしても,短縮版に含まれる26 項目のみを解析対象とすることが推奨されているため である(Kolacz et al., 2018)。 方 法 参加者  クラウドソーシングサイトであるクラウド ワークスを利用し,一般成人411名(サンプル3),お よび406名(サンプル4)を対象とした調査を実施し た。研究1と同様の手法でSatisfice回答者の検出を行 い,サンプル3では103名,サンプル4では101名を解 析から除外した。そのうえで,欠損値や回答の不備の 認められた3名(サンプル3),および10名(サンプ ル4)を解析から除外した。最終的な解析対象はサン プル3が305名(女性181名,平均年齢37.68歳, = 9.82, 20歳から65歳)であり,サンプル4が295名(女 性176名,平均年齢37.99歳, =10.56, 21歳から65 歳)であった。 手続き  サンプル3, 4にはGoogleフォーム上でア ンケートに回答するように求めた。サンプル3には日 本語版BPQ-BA超短縮版に加え,日本語版BPQ-BA 短縮版への回答を求めた。日本語版BPQ-BA短縮版 については,超短縮版に含まれない14項目を研究1と 同様の手順で翻訳し,作成した。教示文,および回答 形式については超短縮版と短縮版で同じものを用いた (Appendix 2)。サンプル4には日本語版BPQ-BA超 短縮版,および短縮版に加え,研究1で妥当性検討に 用いたSSAS,身体愁訴下位尺度,STAI, MAIAへの 回答を求めた。なお,研究2については研究1と同様 の倫理的配慮を行った上で調査を実施し,調査終了後 に広島大学の倫理審査委員会の承認を受けた。調査は 2020年6月に実施した。 解析  研究1と同様の手法を用いた。 結果と考察 日本語版BPQ-BA短縮版の作成  まず研究2で新た に作成した日本語版BPQ-BA短縮版の因子構造,およ び信頼性,妥当性の確認を行った。因子構造に関して は,サンプル3を解析対象とし,26項目について探索 的因子分析(最尤法)を実施した。固有値の減衰状況 (1因子の場合から降順で9.48, 1.34, 1.12, 1.04)や平行 分析の結果(Figure S1),MAP基準(1因子の場合 から降順で.010, .011, .013, .014, . . .)を踏まえ,1因子 構造が妥当であると判断した。因子数1の探索的因子 分析を行ったところ(Table S2),モデルの適合度は, χ(299)=695.576, <.001, CFI=.863, RMSEA=.068, 2 SRMR=.054と許容できる値であった。各項目の因子 負荷量を確認したところ,「水の摂取によるむくみ感」 「歯ぎしり」の因子負荷量が.26,.20と低かったため, 2項目を除外し,再度探索的因子分析を実施した。し かし,項目を除外しても適合度が改善しなかったため (χ(252)=614.942, <.001, CFI=.872, RMSEA=.071, 2 SRMR=.053),英語版(Cabrera et al., 2018)と同様 の26項目1因子モデルを採用した。

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続いて,日本語版BPQ-BA短縮版の26項目1因子 構造が適切であるかを検討するために,サンプル4 のデータを解析対象とし,確認的因子分析を実施し た(Table S2)。その結果,1因子構造で一定水準の 適合度が確認された(χ(299)=692.563, <.001, CFI2 =.873, RMSEA=.067, SRMR=.053)。1因子構造とし たときに十分な内的整合性(サンプル3: ω=.87;サ ンプル4: ω=.94)が認められたことも踏まえ,日本 語版BPQ-BA短縮版を26項目1因子構造の尺度とし て取り扱うこととした。 日本語版BPQ-BA短縮版の構成概念妥当性を検討 するために,サンプル4のデータを利用し,研究1 と同様の妥当性検討用尺度との相関分析を実施した (Table 4)。なお,各尺度の記述統計値をTable 2,日 本語版BPQ-BA超短縮版と短縮版のヒストグラムを Figure S2に示した。相関分析の結果,英語版(Ca-brera et al., 2018)と同様に,日本語版BPQ-BA短縮 版は身体感覚増幅( =.44, <.001)や身体的ストレ ス反応( =.36, <.001)と関連が認められ,MAIA の気づき尺度( =.36, <.001)とも正の相関が確認 された。また,相関の差の検定の結果,特性不安と 日本語版BPQ-BA短縮版の関連( =.26, <.001)が MAIAの気づき尺度との関連( =−.019, =.75)よ り大きいことが示された( =4.06, <.001)。こうし た結果から,日本語版BPQ-BA短縮版が一定の構成 概念妥当性を有することも確認された。 超短縮版と短縮版の比較  日本語版BPQ-BA超短 縮版が短縮版と同等の精度で内受容感覚の気づきを測 定できているか検討を行った。まず,日本語版BPQ-BA超短縮版と短縮版の関連を検討したところ,英語 版(Cabrera et al., 2018: =.94)と同程度の相関係 数が確認された(サンプル3: =.96;サンプル4: =.97)。そして,サンプル4のデータを用い,日本語 版BPQ-BA超短縮版,および短縮版と各妥当性検討 用尺度(SSAS, STAI,身体愁訴尺度,MAIA)の相 関係数を算出した。その結果,日本語版BPQ-BA超 短縮版,および短縮版と各妥当性検討用尺度の相関係 数が類似した値であることが示された(Table 4: e.g., SSASとの相関:超短縮版 =.44;短縮版 =.44)。日 本語版BPQ-BA超短縮版,および短縮版と各妥当性 検討用尺度の相関係数について差の検定を行ったもの の,有意差は確認されなかった( s<0.69, s>.25)。 こうした結果から,日本語版BPQ-BA超短縮版は内 受容感覚の気づきを短縮版と同等に測定できていると 考えられる。 研 究 3 目 的 研究3の目的は日本語版BPQ-BA超短縮版の再検査 信頼性を検討することであった。 方 法 参加者  心理学関連の授業を受講していた大学生を 対象に質問紙を配布した。1回目の測定(Time 1)に おいては,87名から,2回目の測定(Time 2)では Table 4 日本語版BPQ-BA超短縮版,および短縮版と妥当性検討尺度の相関係数(研究2) 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5-1. 5-2. 5-3. 5-4. 5-5. 1-1. BPQ-BA超短縮版 ̶ 1-2. BPQ-BA短縮版 .97** ̶ [.96, .97] 2.身体感覚増幅 .44** .44** ̶ [.34, .53] [.34, .52] 3.身体的ストレス .36** .36** .40** ̶ [.26, .46] [.26, .45] [.30,.49] 4.特性不安 .24** .26** .28** .49** ̶ [.13, .34] [.15, .36] [.17, .38] [.40, .57] 5-1.気づき .38** .36** .35** .21** −.02 ̶ [.28, .48] [.26, .46] [.24, .44] [.10, .31] [−.13, .10] 5-2.注意制御 .15** .12* .09 −.14* −.42** .54** ̶ [.04, .26] [.01, .23] [−.03, .20][−.25, -.03][−.51, -.32] [.45, .61] 5-3.身体を聴く .18** .16** .10+ .03 −.31** .47** .65** ̶ [.07, .29] [.04, .27] [−.01, .22] [−.08, .15][−.41, −.21] [.38, .55] [.57, .71] 5-4.感情の気づき .22** .20** .15** −.05 −.25** .48** .50** .55** ̶ [.11, .33] [.09, .31] [.04, .26] [−.16, .07][−.36, −.14] [.39, .56] [.41, .58] [.47, .63] 5-5.信頼する .06 .00 .04 −.19** −.46** .35** .65** .57** .48** ̶ [−.06, .17] [−.12, .11] [−.07, .15][−.30, −.08][−.55, −.38] [.25, .45] [.57, .71] [.48, .64] [.39, .57] 5-6.気が散らない −.12* −.14* −.12* −.26** −.27** −.19** −.04 −.03 −.12* −.03 [−.23, −.01][−.25, −.02][−.23, .00][−.36, −.15][−.37, −.16][−.30, −.08][−.15, .08] [−.14, .09][−.23, −.01][−.14, .09] 相関係数の算出にはサンプル4のデータを用いた。[ ]内は95%信頼区間を示す。なお,5-1から5-6はMAIAの下位尺度である。BPQ-BA: Body Percep-tion QuesPercep-tionnaire-Body Awareness, MAIA: Multidimensional Assessment of Interoceptive Awareness. ** <.01, * <.05.

(9)

97名から回答を受け取った。参加者に誕生日の下2桁 と電話番号の下2桁を組み合わせた4桁のIDの回答を 求め,1回目,2回目の回答の照合を行った。2回の調 査に参加した68名(平均年齢19.21歳, =0.87, 18 歳から22歳)において,回答の不備や欠損値が認め られなかったため,全員を最終的な解析対象とした。 手続き  研究1と同様の手続きで実施した。参加者 には,研究1で作成した日本語版BPQ-BA超短縮版へ の回答を求めた。教示や回答方法は研究1のサンプル 1と同様とした。再検査の期間に関して,超短縮版を 作成した研究(Cabrera et al., 2018)では,Time 1の 測定から1週間後にTime 2の測定を行い,級内相関 係数を算出することで,再検査信頼性を検討してい る。本研究でも同様の測定間隔を採用することを考え たものの,Cabrera et al.(2018)における級内相関 係数が.97とかなり高い値であったことを踏まえ,よ り厳しい条件で再検査信頼性を検討するために,本 研究ではTime 1とTime 2の間に1か月の期間を設け た。なお,研究3の調査実施手続きについては,広島 大学の倫理審査委員会の承認を受けた。調査は2019 年12月から2020年1月にかけて実施した。 解析  研究1と同様の手法を用いた。 結果と考察 日本語版BPQ-BA超短縮版の平均値はTime 1で は2.86( =0.70),Time 2で は2.94( =0.72) で あった。各時点におけるヒストグラムをFigure S2に 示した。ω係数は,.84(Time 1),.86(Time 2)で あった。日本語版BPQ-BA超短縮版の再検査信頼 性を検討するために,級内相関係数を算出したとこ ろ,.75(95%信頼区間:.62‒.83, <.001)であった。 こうした結果から,日本語版BPQ-BA超短縮版に再 検査信頼性があることが示された。なお,日本語版 BPQ-BA超短縮版の級内相関係数が英語版(Cabrera et al., 2018)の値(.97)と比較して小さかった理由と して測定間隔の違いが想定される(安藤他,1999)。 内受容感覚の気づきは時間的に安定した特性であるも のの,回答時点の身体内部環境の状態にも多少の影響 を受けると考えられる。本研究では1カ月という先行 研究の1週間より長い調査間隔を設けたため,そうし た身体内部環境の状態の変動が大きく,結果として級 内相関係数が比較的小さくなったと推察される。 全 体 考 察 本研究の目的は,内受容感覚への気づきの程度を測 定するBPQ-BA超短縮版(Cabrera et al., 2018)の日 本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討すること であった。日本語版BPQ-BA超短縮版の因子分析の 結果,英語版(Cabrera et al., 2018)と同様に,12項 目1因子構造であることが確認された。また,ω係数, および研究3における級内相関係数を踏まえると,日 本語版BPQ-BA超短縮版には一定の信頼性があると いえるだろう。妥当性に関しては,超短縮版の英語版 を作成した際の手続きを参考に,身体感覚増幅傾向, および身体的ストレス反応との関連を検討した。その 結果,英語版と同様に,正の相関が示された。また, 内受容感覚の気づきの程度を測定するMAIAの気づ き尺度との間にも正の関連が認められた。こうした結 果から,日本語版BPQ-BA超短縮版に一定の構成概 念妥当性があることが確認された。加えて,日本語版 BPQ-BA超短縮版と短縮版の間に強い正の相関が認め られたこと,日本語超短縮版,および短縮版と妥当性 検討用尺度の相関係数が近しい値であったことから, 日本語版BPQ-BA超短縮版が内受容感覚の気づきを 短縮版と同等に測定できていると考えられる。 日本語版BPQ-BA超短縮版とMAIAの気づき尺度 はいずれも内受容感覚の気づきを測定する尺度である ものの,BPQ-BA超短縮版が不安などのネガティブ感 情と結びついた内受容感覚に焦点を当てているという 点で異なっている(Mehling et al., 2009, 2012)。この 点に関して,日本語版BPQ-BA超短縮版については, 特性不安との間に正の相関が示されたものの,MAIA の気づき尺度と特性不安は有意な相関を示さなかっ た。 こ う し た 結 果 は 先 行 研 究(Palser et al., 2018; Shoji et al., 2018)とも一致しており,日本語版BPQ-BA超短縮版の妥当性を支持している。加えて,日本 語版BPQ-BA超短縮版がネガティブ感情と結びつい た内受容感覚への気づきの測定に適しているといえ る。 内受容感覚の気づきについては,その気づきの程 度や尺度の因子構造が文化や国により異なることが報 告されている(e.g., Ma-Kellams, 2014)。因子構造に 関して,日本語版BPQ-BA超短縮版については,先 行研究(Cabrera et al., 2018)と同様に1因子である ことが確認された。他方で,日本語版MAIAに関し ては,英語版と因子構造が異なることが報告されてお り,気づき尺度からはポジティブな内受容感覚の気づ きに関する項目が削除されている。この理由をShoji et al.(2018)は,日本人が西洋人と比較して,内受容 感覚をよりネガティブに捉えがちなためと説明してい る。これらを踏まえると,日本人の場合,西洋人と比 較するとネガティブな内受容感覚の気づきが高く,ポ ジティブな内受容感覚の気づきが低いと予測される。 前者のネガティブな内受容感覚の気づきの文化差につ いては,日本語版BPQ-BA超短縮版を用い,今後検討 していく必要があるだろう。一方で,後者の文化差に ついては,日本語でポジティブな内受容感覚の気づき を測定できる尺度は存在しない。そのため,今後新た にポジティブな感情と結びついた内受容感覚の気づき を測定できる尺度を作成し,検討する必要がある。

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日本語版BPQ-BA超短縮版は臨床研究においても 有用だと考えられる。内受容感覚の気づきは精神的 健康とも密接に結びついている。たとえば,抑うつ 者や自閉症者などにおける症状の程度と内受容感覚 の気づきに関連があることが報告されている(Ewing et al., 2017; Garfinkel et al., 2016)。近年では,そうし た症状の改善過程において,内受容感覚の変容が重 要である可能性が示唆されている(e.g., Bornemann, Herbert, Mehling, & Singer, 2015)。この改善過程の 検討や介入の効果をアセスメントする際に,日本語版 BPQ-BA超短縮版は項目数も少なく,回答者への負担 を低減できるため,選択肢の1つになるだろう。また, 超短縮版は項目数に制限のある調査においても有用で あるといえる。 本研究の限界として以下の2点が挙げられる。1つ 目は,研究1における妥当性検討用尺度の一部のω係 数が低かったことである。そのため,日本語版BPQ-BA超短縮版の妥当性について考える際には,この限 界点を考慮しておく必要があると思われる。2つ目 は,外在指標との検討がなされていないことである。 日常生活の中で内受容感覚が変化することが多い者 は,内受容感覚の気づきも高いと考えられる。また先 行研究では,BPQ-BA45項目版により測定された内受 容感覚の気づきと右前島皮質の灰白質の容積の間に 正の関連があることが報告されている(Critchley et al., 2004)。今後,実際の内受容感覚の変化の頻度や灰 白質容積のような外在指標と日本語版BPQ-BA超短 縮版の関連を検討することで,尺度の妥当性をさらに 示すことができると考えられる。 *この論文はJ-stageでSupplementary Materialを公 開中 引 用 文 献 安藤 明人・曽我 祥子・山崎 勝之・島井 哲志・嶋 田 洋徳・宇津木 成介…坂井 明子(1999).日本 版Buss-Perry攻撃性質問紙(BAQ)の作成と妥 当性,信頼性の検討心理学研究, , 384‒392. Barrett, L. F. (2017).

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