ト ン ネ ル 工 学 論 文 集 第18巻/pp.53-65, 2008.11
施 工 時 荷 重 が セ グ メ ン ト挙動 に与 え る影 響 の
定 量 的評価 方 法 に関 す る検 討
Study on quantitative evaluation method on influence of construction loads on segment behavior
松 本 貴 士1・Auttakit Asanprakit1・ 杉 本 光 隆2・ 粥 川 幸 司3・ 津 坂 治4
Atsushi Matsumoto,
Auttakit Asanprakit,
Mitsukata Sugimoto , Koji Kayukawa,
and Osamu Tsusaka
1学 生 会 員 工 修 長 岡 技 術 科 学 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科(〒940 -2188新 潟 県 長 岡 市 上 富 岡 町1603-1) 2正 会 員 工 博 長 岡 技 術 科 学 大 学 教 授 環 境 ・建 設 系(〒940 -2188新 潟 県 長 岡 市 上 富 岡 町1603-1)
E-mail:[email protected]
3正 会 員 工 修 地 域 地 盤 環 境 研 究 所 東 京 事 務 所(〒113 -0034東 京 都 文 京 区 湯 島1-8-4) 4奥 村 組 技 術 本 部 東 京 土 木 技 術 部 都 市 ト ン ネ ル グ ル ー プ(〒108 -8381東 京 都 港 区 芝5-6-1)
Damage on segment during excavation at sharp curve due to construction loads gives heavy
influence to tunnel durability. But these mechanism have not yet been made clear quantitatively. In this
paper, at first, the contact force between shield tail and segment was calculated by the modified kinematic
shield model with shield-segment interaction in detail. Using the measured jack force and the obtained
contact force, the segment displacement was analyzed by 3D segment model with a ground reaction curve.
Finally, the performance of its model was discussed, comparing the obtained segment displacement with
the measured one.
Key Words: shield tunnelling, construction loads, segment behavior, kinematic shield model , 3D-FEM 1.は じ め に 近 年,都 市 の地 下 空 間 で は,構 造 物 の輻輳 化 や 施 工 可 能 空 間 の 狭〓 化 に よ り,シ ー ル ド トン ネ ル の 大 深 度 化 や 急 曲 線 化 が 進 み,加 え て コ ス ト縮 減 の 流 れ を受 け,シ ー ル ド ト ンネ ル の 急 速 施 工 化, セ グ メ ン トの 薄 肉 化,お よ び,幅 広 化 な どが 進 ん で い る.こ れ らの こ とか ら,施 工 時 に セ グ メ ン ト に 作 用 す る 荷 重 は 以 前 よ り も増 大 す る 傾 向 に あ り, 施 工 中 の トン ネ ル に 発 生 す る 不 具 合 が 顕 在 化 して き て い る.し か し,施 工 時 に セ グ メ ン トに 作 用 す る 荷 重 に つ い て は,定 量 的 な検 討 を 含 め;未 解 明 な 点 が 多 い の が 現 状 で あ る1). 施 工 時 荷 重 に 関 す る研 究 と して は,現 場 計 測 デ ー タ を も と に した 研 究 と 数 値 解 析 に よ る 研 究 が 行 わ れ て い る.前 者 に つ い て は,有 泉 ら2),3),吉 本 ら4),中 村 ら5)が,シ ー ル ドジ ャ ッキ カ,テ ー ル シ ー ル 圧 ,グ リス 圧,裏 込 め注 入圧 や,接 合 セ グメ ン トが,施 工 時 にセ グ メ ン トに作 用 す る 荷 重 に与 え る 影 響 を 明 らか に す る と と も に,設 計 上 の 考 え 方 や,セ グ メ ン ト断 面 力 を 用 い て セ グ メ ン ト外 荷 重 を推 定 す る 手 法 を 提 案 して い る.一 方,後 者 に つ い て は,田 嶋 ら6),7),8),Leendertseら9)が,セ グ メ ン トを ソ リ ッ ド要 素 で,継 手 を ば ね 要 素 で モ デ ル 化 し た3次 元FEM解 析 に よ り,シ ー ル ドジ ャ ツ キ 使 用 状 況 や,セ グ メ ン ト組 立 て 誤 差 等 が,セ グ メ ン ト発 生 応 力 に 与 え る 影 響 を 解 析 し て い る.し か し,前 者 は シ ー ル ド全 体 の 力 の釣 合 い を考 慮 に 入 れ た 検 討 とな っ て い な い こ と,後 者 は セ グ メ ン ト組 立 て 誤 差 が セ グ メ ン ト発 生 応 力 に 与 え る影 響 を 把 握 す る こ と を 主 な 目 的 と して い て,急 曲 線 部 始 点 近 傍 の セ グ メ ン ト挙 動 を数 値 解 析 した 研 究 は
今 まで な か っ た. そ こで 本 研 究 で は,著 者 らが 開 発 して き た シ ー ル ド機 動 力 学 モ デ ル10)を用 い て シー ル ドの 挙 動 を シ ミ ュ レー シ ョ ンす る こ と に よ り施 工 時 荷 重 を推 定 す る と と も に,得 られ た 施 工 時 荷 重 を 外 力 と し た シ ー ル ド ト ン ネ ル の3次 元FEM解 析 を 行 い, FEM解 析 に よ り得 ら れ た セ グ メ ン ト変 位 分 布 と セ グ メ ン ト変 位 計 測 結 果11)を比 較 す る こ と に よ り, 施 工 時 荷 重 が セ グ メ ン ト挙 動 に 与 え る 影 響 の定 量 的 評 価 方 法 を検 討 す る こ と を 目 的 とす る. 2.現 場 計 測 (1)現 場 概 要 検 討 対 象 の トン ネ ル は,図-1の 路 線 平 面 図 に 示 す よ う に,R=17.3m∼50.0mの 急 曲 線 部 を5個 所 含 む,延 長2840m,内 径4000mmの 下 水 道 シ ー ル ド ト ン ネ ル で あ る.シ ー ル ドの 掘 削 管 理 デ ー タ の 計 測 区 間(以 下,計 測 区 間 と 呼 ぶ)は,R=17.3mの 左 曲 線 を 含 む 区 間 で あ っ て,中 折 れ 機 構 を 有 す る 泥 土 圧 式 シ ー ル ド を 用 い て,土 被 り 約13.5m,地 下 水 位G.L.-4.15mで 掘 削 さ れ た.計 測 区 間 の 地 層 構 成 は,砂 層,砂 礫 層 を 主 体 と す る 上 総 層 群 を 基 盤 層 と し て,下 位 よ り 東 京 層,厚 い 層 厚 を 有 す る 沖 積 層 が 分 布 し,図-2の 地 質 縦 断 図 に 示 す よ う に, 計 測 区 間 の ト ン ネ ル 横 断 面 に は,N値 が0∼2で あ る 下 部 有 楽 町 層 粘 性 土 層 上 部Ylcuと,N値 が0∼6 で あ る 下 部 有 楽 町 層 粘 性 土 層 下 部Ylclの 境 界 面 が 現 れ る.表-1,表-2,表-3に 現 場 概 要,セ グ メ ン ト諸 元,地 盤 物 性 値 を,図-3に セ グ メ ン トの 構 造 図 を,そ れ ぞ れ 示 す. (2)シ ー ル ドの 掘 進 管 理 デ ー タ 図-4に,シ ー ル ド の 制 御,挙 動 に 関 す る 計 測 デ ー タ を 示 す.こ こ で,F3r,M3p,M3qは そ れ ぞ れ, 図-1路 線 平 面 図 B:埋 土 層 Yuc:上 部 有 楽 町 層 粘 性 土 層 Yus:上 部 有 楽 町 層 砂 質 土 層 Ylcu:下 部 有 楽 町 層 粘 性 土 層 上 部 Ylcl:下 部 有 楽 町 層 粘 性 土 層 下 部 図-2地 質 縦 断 図
ジ ャ ッ キ 推 力,水 平 ジ ャ ッ キ モ ー メ ン ト(右 向 き 正),鉛 直 ジ ャ ッ キ モ ー メ ン ト(下 向 き 正),CTは カ ッ タ ー トル ク(テ ー ル よ り見 て 反 時 計 回 り 正), φy,φp,φrは そ れ ぞ れ,ヨ ー イ ン グ 角(方 位 角), ピ ッ チ ン グ 角(下 向 き 正),ロ ー リ ン グ 角(テ ー ル よ り見 て 時 計 回 り 正),Vsは 掘 進 速 度,θCHは 中 折 れ 角(左 折 れ 正),CCL,CCは そ れ ぞ れ,コ ピ ー カ ッ タ ー 長 さ,コ ピ ー カ ッ タ ー 使 用 範 囲(イ ン バ ー ト を ゼ ロ と し,テ ー ル よ り 見 て 時 計 回 り 正),σ m,γmは そ れ ぞ れ,切 羽 圧,チ ャ ン バ ー 内 泥 水 密
度,Muck Rateは 取 込 率 で あ る.ま た,Distanceは, シ ー ル ド の エ レ ク タ ー 中 心 点 の 計 画 線 形 上 の 距 離 で あ る. こ の 図 か ら,距 離2652m付 近 で,ジ ャ ッ キ 推 力 F3rが6000kN∼7300kNと 安 定 し て い る に も か か わ ら ず,掘 進 速 度Vsが0.043m/minか ら0.018m/min へ と 急 減 し て い る こ と,テ ー ル 部 が 曲 線 始 点 を 通 過 中 で あ る 距 離2657m付 近 で,掘 進 速 度Vsが 約 0.02m/minと 変 動 し て い な い に も か か わ ら ず,ジ ャ ッ キ 推 力F3rが6100kNか ら8300kNへ と 急 増 し て い る こ と が わ か る.こ れ ら は,取 込 率 が 直 線 部 で 約1.02,曲 線 部 で0.75∼1程 度 と 変 化 し,切 羽 土 圧 が 増 加 し た こ と,曲 線 始 点 部 で テ ー ル ク リ ア ラ ン ス が 減 少 し た こ と の た め で あ る と 考 え ら れ る. (3)セ グ メ ン ト変 位 計 測 デ ー タ11) 図-5に 示 す よ う に,セ グ メ ン ト の 変 形,変 位 が 最 も 発 生 す る と 想 定 さ れ る 曲 線 始 点 か ら2リ ン グ 手 前 の リ ン グ 継 手 面(2664∼2665リ ン グ 継 手 面) で,図-6に 示 す8点 の 変 位 を トー タ ル ス テ ー シ ョ ン 2台 とユ ニ バ ー サ ル 内 空 変 位 計12)で計 測 し た.本 論 文 に 用 い た2671リ ン グ 掘 進 時 の セ グ メ ン ト断 面 変 位 の 実 測 値 を 坑 口側 よ り切 羽 側 を 見 た 状 態 で 図 -7に 示 す .な お,セ グメ ン ト断 面変位 は40倍 に し 表-1現 場 概 要 表-2セ グ メ ン ト諸 元 表-3地 盤 物性 値 (a)組 立 て 図 (b)A型 セ グ メ ン ト 図-3セ グ メ ン トの 構 造 図
CF=BC:カ ッ タ ー フ ェ イ ス が 曲 線 始 点 部 を通 過 中 CE=BC:エ レ ク タ ー 中心 が 曲 線 始 点 部 を通 過 中 TE=BC:テ ー ル エ ン ドが 曲 線 始 点 部 を通 過 中 F3r:ジ ャ ッ キ 推 力 M3p:水 平 ジ ャ ッ キ モ ー メ ン ト(右 向 き 正) M3q:鉛 直 ジ ャ ッ キ モ ー メ ン ト(下 向 き 正) CT:カ ッ タ ー トル ク(テ ー ル よ り 見 て 反 時 計 回 り正) φy:ヨ ー イ ン グ 角(方 位 角) φp:ピ ッ チ ン グ 角(下 向 き 正) φr:ロ ー リ ン グ 角(テ ー ル よ り見 て 時 計 回 り正) Vs:掘 進 速 度 θCH:中 折 れ 角(左 折 れ 正) CCL:コ ピ ー カ ッ タ ー 長 さ CC:コ ピ ー カ ッ タ ー 使 用 範 囲 (イ ン バ ー ト を ゼ ロ と し,テ ー ル よ り見 て 時 計 回 り 正 〉 σm:切 羽 圧 γm:チ ャ ン バ ー 内 泥 水 密 度 Muck Rate:取 込 み 率 図-4シ ー ル ドの 掘 進 管 理 デ ー タ て 表 示 し て い る.ま た,図-7の 計 測 時 は,2671 リ ン グ 掘 進 中 で,ジ ャ ッ キ ス ト ロ ー ク1510mm(急 曲 線 掘 進 の た め,シ ー ル ドジ ャ ッ キ 固 定 端 を 移 設 し た1100mmを 含 む),シ ー ル ドの エ レ ク タ ー 中 心 点 が 計 画 線 形 上 の 距 離 程2656.731mに 位 置 し,テ ー ル エ ン ドが2666リ ン グ(ラ ッ パ 形 状 外 径 調 整 セ グ メ ン ト)を 通 過 中 で あ る.こ の 図 よ り,セ グ メ ン トは 縦 長 に 変 形 し,セ グ メ ン ト全 体 が 曲 線 外 側 に 剛 体 変 位 し て い る こ と が わ か る. 3.シ ー ル ドの 挙 動 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン (1)シ ー ル ドテ ー ル 部 に お け る 作 用 力 の モ デ ル シ ー ル ドか らセ グ メ ン トに 作 用 す る 施 工 時 荷 重 を検 討 す る 場 合 に は,詳 細 な シ ー ル ドテ ー ル 部 に お け る作 用 力(以 下,シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力 と 呼 ぶ)モ デ ル が 必 要 と な る.そ こで,本 研 究 で は, 既 存 の シー ル ドテ ー ル 作 用 力 モ デ ル10)を図-8に 示 す よ う に改 良 し た.す な わ ち,シ ー ル ドテ ー ル 作
用 力 を, f21:シ ー ル ドテ ー ル とセ グ メ ン トの 競 り に よ る 作 用 力 f22:ワ イ ヤ ブ ラ シ に よ る 作 用 力 f23:ワ イ ヤ ブ ラ シ 間 に 充 填 さ れ て い る グ リ ス に よ る 作 用 力 に 分 類 す る と と も に,以 下 の 仮 定 を 用 い た. 1)セ グ メ ン トは 剛 体 で,真 円 で あ る. 2)シ ー ル ドテ ー ル が セ グ メ ン トと 競 っ た 場 合,シ ー ル ドテ ー ル は ガ ー ダ ー 端 部 を支 点 とす る 片 持 ち 梁 と して 挙 動 す る. 3)ワ イ ヤ ブ ラ シ に よ っ て 発 生 す る 力 は,ワ イ ヤ ブ ラ シ が セ グ メ ン トに 接 触 す る 位 置 の テ ー ル ク リ ア ラ ン ス に依 存 し,ワ イ ヤ ブ ラ シ に 沿 っ た 線 荷 重 と して 作 用 す る. 4)ワ イ ヤ ブ ラ シ 間 に 充 填 さ れ た グ リ ス に よ っ て 発 生 す る 力 は,グ リス 注 入 圧 と グ リ ス の 流 動 抵 抗 で,分 布 荷 重 と し て 作 用 す る. シ ー ル ドが 曲 線 部 を 掘 進 し て い る な ど の 理 由 で,テ ー ル ク リア ラ ン ス の 周 方 向 分 布 に 偏 りが あ る 場 合,テ ー ル ク リア ラ ン ス が 大 き い所 で 裏 込 め 注 入 材 が テ ー ル シー ル に 回 り込 ん で 固化 し,有 効 な テ ー ル ク リ ア ラ ン ス が 減 少 し,競 りが 発 生 しや す く な る こ と が あ る13).そ こで,シ ー ル ドテ ー ル と セ グ メ ン トの 競 り に よ る作 用 力f21,ワ イ ヤ ブ ラ シ に よ る作 用 力f22を,図-9に 示 す テ ー ル ク リ ア ラ ン ス と 作 用 力 の 関 係 で 表 現 し た.こ こ で,△tcは, 裏 込 め 注 入 材 が テ ー ル シ ー ル に 回 り込 み 固 化 し た こ と に よ る テ ー ル ク リ ア ラ ン ス 減 少 量 で,指 定 し た ワイ ヤ ブ ラ シ か ら後 方 の ワイ ヤ ブ ラ シ に対 して, 周 方 向 に 分 布 して 設 定 で き る よ う に した. (2)解 析 条 件 グ リス の 流 動 抵 抗 に つ い て は,具 体 的 な 値 が 不 明 で あ る た め,ワ イ ヤ ブ ラ シ問 に充 填 さ れ て い る グ リス に よ る 作 用 力f23のうち,グ リス の 流 動 抵 抗 をゼ ロ と し,解 析 を行 っ た.こ れ は,シ ー ル ドテ ー ル とセ グ メ ン トの競 りに よ る 作 用 力f 21と,ワ イ ヤ ブ ラ シ に よ る作 用 力f22に,グ リス の 流 動 抵 抗 を 含 め た こ と に な る. 掘 削 半 径 と シ ー ル ド半 径 の 差 に よ る 全 周 余 掘 り,お よ び,コ ピー カ ッ タ ー に よ る 余 掘 り に は, 取 込 め な か っ た 掘 削 土 や 泥 水,掘 削 壁 面 か ら剥 落 して く る 土 砂 が 入 り込 む た め,100%有 効 に は な ら な い.そ こで,パ ラ メ ー タ解 析 を 実 施 し,余 掘 り 低 減 率 を 表-4の よ う に 設 定 した. さ ら に,裏 込 め 注 入 材 が 回 り込 み 固 化 した こ と に よ る テ ー ル ク リ ア ラ ン ス 減 少 量 △tcをゼ ロ と し 図-5ト ン ネ ル 覆 工 計 測 位 置 図-6ト ン ネ ル 覆 工 内 空 変 形 計 測 図-7セ グ メ ン ト断 面 変 位(2671Ring掘 進 時)
て,シ ー ル ド の 挙 動 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 う と, 「2.現 場 計 測 」 の 「(2)シ ー ル ド の 掘 進 管 理 デ ー タ 」 で 述 べ た 図-4の シ ー ル ド推 力 と 掘 進 速 度 の 関 係 を 再 現 で き な か っ た こ と,シ ー ル ド推 力 が 急 増 す る 直 前 の シ ー ル ド テ ー ル 端 部 に お け る テ ー ル ク リ ア ラ ン ス(以 下,テ ー ル エ ン ド ク リ ア ラ ン ス と 呼 ぶ)分 布 の 解 析 値 は,シ ー ル ド左 側 で 最 大 と な り,約100mmで あ っ た こ と か ら,2670∼2679 リ ン グ に △tcを 表-5の よ う に 設 定 し た.ワ イ ヤ ブ ラ シ の ば ね 値 は,既 往 の 実 験 デ ー タ14)を 基 に,パ ラ メ ー タ 解 析 で 決 定 し た. (3)シ ー ル ドの 挙 動 図-10に,ト ン ネ ル 計 画 線 形 と シ ー ル ド 機 動 力 学 モ デ ル に よ る シ ー ル ド の 挙 動 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 得 ら れ た シ ー ル ド軌 跡 の 縦 断 図,平 面 図 を 示 す.こ れ ら の 図 よ り,平 面 線 形 は,直 線 部 か ら 曲 線 部 へ の シ ー ル ド軌 跡 を 表 現 で き て い る こ と, 縦 断 線 形 は,シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 開 始 時 で 実 測 値 よ り30mm上 方,シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 終 了 時 で 実 測 値 よ り40mm下 方 と な っ て い る こ と が わ か る. 図-11に,ヨ ー イ ン グ 角 φy,ピ ッ チ ン グ 角 φp, 掘 進 速 度Vsの 実 測 値 と 計 算 値 を 示 す.こ れ ら の 図 よ り,ヨ ー イ ン グ 角 の 計 算 値 は 直 線 部,曲 線 部 と も 実 測 値 と ほ ぼ 一 致 し て い る こ と,ピ ッ チ ン グ 角 の 計 算 値 は 実 測 値 よ り20min∼40min下 向 き と な っ て い る が,全 体 的 な 変 化 の 傾 向 は 一 致 し て い る こ と,掘 進 速 度 の 計 算 値 は 実 測 値 と 概 ね0.01m/min の 差 で 一 致 し て い る が,距 離 程2657m付 近 に お い て 実 測 値 よ り0.02m/min程 度 速 く な っ て い る こ と が わ か る.本 解 析 に 使 用 し た モ デ ル で は,解 析 区 間 の 取 込 率 を 一 定 と 想 定 し,掘 進 速 度 が ゼ ロ の 切 羽 土 圧 を 設 定 し て い る が,本 解 析 区 間 で は,図-4 に 示 す よ う に 直 線 部 と 曲 線 部 の 取 込 率 は,約1.02, 表-4余 掘 り低 減 率 (a)シ ー ル ドテ ー ル とセ グ メ ン トの 競 り に よ る作 用 力 (b)ワ イ ヤ ブ ラ シ と グ リー ス に よ る作 用 力 図-8シ ー ル ドテ ー ル に 作 用 す る 力 図-9テ ー ル ク リ ア ラ ンス と 競 り,ワ イ ヤ ブ ラ シ に よ る 作 用 力 の 関 係 表-5テ ー ル ク リア ラ ン ス 減 少 量 △tc
0.75∼1程 度 と変 化 して い る こ と,こ の た め,掘 進 速 度 の 変 化 を表-4に 示 す よ う に 余 掘 り低 減 率 で 調 整 して い る こ と,ピ ッチ ン グ角 の 実 測 値 か ら,解 析 開 始 直 前 の 縦 断 線 形 は や や 上 向 き と な っ て い る と 想 定 さ れ る が,本 解 析 で は 計 画 さ れ た 下 り 0.06%の 縦 断 線 形 を 用 い て い る こ と,実 施 工 で は この 蛇 行 修 正 の た め に 解 析 開 始 近 傍 で 鉛 直 モ ー メ ン トをゼ ロ に し て い る こ とか ら,こ の よ う な 結 果 に な っ た と考 え られ る.ま た,2657m付 近 で は 掘 進 を 断 続 的 に 止 め,線 形 を 確 認 し な が ら低 速 掘 進 して い た こ とか ら,記 録 さ れ て い る 掘 進 速 度 は 実 際 よ り も遅 い 可 能 性 が あ る. (4)シ ー ル ドテ ー ル 部 に お け る 作 用 力 図-12に,シ ー ル ドの 挙 動 シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ り得 られ た,テ ー ル ク リ ア ラ ン ス と テ ー ル エ ン ドク リ ア ラ ンス の 経 時 変 化 を示 す.こ の 図 か ら, 距 離 程2655m直 前 で,テ ー ル ク リア ラ ンス が 増 加 して い る こ と,距 離 程2656m付 近 で,右 ス プ リ ン グ ライ ンの テ ー ル エ ン ドク リ ア ラ ンス が 減 少 しゼ ロ とな り,左 ス プ リ ン グ ライ ン の テ ー ル ク リア ラ ン ス が 増 加 し て 約100mmと な っ て い る こ と が わ か る.こ れ ら は,距 離 程2655m付 近 で,テ ー ル 部 が ラ ッ パ 形 状 外 径 調 整 セ グ メ ン トを 通 過 中 で あ る こ と,距 離 程2656m付 近 で,右 向 き の ジ ャ ッキ モ ー メ ン トを 用 い て い る こ と(図-4)と 対 応 して い る と考 え られ る.ま た,距 離 程2656m付 近 に お け る 左 ス プ リ ン グ ライ ンの テ ー ル エ ン ドク リ ア ラ ン ス 増 加 時 に,ワ イ ヤ ブ ラ シ に裏 込 め 注 入 材 が 回 り 込 み,そ の 後,距 離 程2657m付 近 で,ジ ャ ッキ モ ー メ ン トが 左 向 き へ 変 化 す る と と も に ,左 ス プ リ ン グ ラ イ ン の テ ー ル エ ン ドク リア ラ ン ス が 減 少 し, こ れ ら の た め に シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力 が 増 加 し, そ れ に と も な い掘 進 抵 抗 が 増 加 し,距 離 程2657m 付 近 で ジ ャ ッキ 推 力 が 増 加(図-4)し た と考 え る こ とが で き る. 図-13に,シ ー ル ドの 挙 動 の シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ り 得 ら れ た2671リ ン グ 掘 進 時(距 離 程 2656.270m)の テ ー ル ク リ ア ラ ン ス の 分 布,裏 込 め 注 入 材 が ワ イ ヤ ブ ラ シ に 回 り込 み 固 化 した 影 響 を考 慮 した テ ー ル ク リア ラ ンス(有 効 テ ー ル ク リ ア ラ ン ス)の 分 布 を 坑 口側 か らテ ー ル を見 た 状 態 で 示 す.図 よ り,テ ー ル ク リ ア ラ ン ス は 曲 線 内 側 で 小 さ くな っ て い る こ と,曲 線 内 側 の テ ー ル ク リ ア ラ ン ス は 切 羽 側 よ りテ ー ル エ ン ド側 で 小 さ くな って い る こ と,裏 込 め 注 入 材 が ワ イ ヤ ブ ラ シ に 回 り込 み 固化 した 影 響 に よ り,曲 線 内 側 で テ ー ル エ ン ド部 が セ グ メ ン トと 競 っ て い る こ とが わ か る. こ れ ら は 「2.現 場 計 測 」 の 「(3)セ グ メ ン ト変 位 計 測 デ ー タ 」 で 述 べ た セ グ メ ン ト変 位 計 測 結 果 と 定 性 的 に 整 合 し て い る. 図-14に,シ ー ル ド の 挙 動 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 図-10シ ー ル ド軌 跡 図-11シ ー ル ド 挙 動
図-12テ ー ル ク リ ア ラ ン ス の 経 時 変 化 に よ り 得 ら れ た2671リ ン グ 掘 進 時(距 離 程 2656.270m)の シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力f21とf22の分 布 を 坑 口 側 か らテ ー ル を 見 た 状 態 で 示 す.な お,こ の 作 用 力 は,周 方 向 単 位 長 さ あ た り の作 用 力 で あ る.図 よ り,1段 目,2段 目の ワ イ ヤ ブ ラ シ に よ る 作 用 力 は 小 さ い こ と,裏 込 め 注 入 材 が ワ イ ヤ ブ ラ シ に 回 り込 み 固 化 し た影 響 に よ る テ ー ル ク リア ラ ン ス 減 少 量 △tcを設 定 した3段 目 の ワ イ ヤ ブ ラ シで 約530kN/mの 力 が 作 用 して い る こ とが わ か る.シ ー ル ド ス プ リ ン グ ラ イ ン 位 置 の 鉛 直 土 圧 は 約 265kN/m2な の で,こ の 作 用 力 は トン ネ ル 軸 方 向1m 当た り に か か る 鉛 直 土 圧 よ り大 き い 線 荷 重 と な っ て い る. 4.セ グ メ ン ト変 位 解 析 シ ー ル ド機 動 力 学 モ デ ル を 用 い て 得 ら れ た 施 工 時 荷 重 を 用 い て,3次 元FEM解 析 に よ りセ グ メ ン ト変 位 を 求 め,計 測 さ れ た セ グ メ ン トの 断 面 変 位 と の 比 較 を行 っ た. (1)地 盤 とセ グ メ ン トの 相 互 作 用 モ デ ル 本 解 析 で は,地 盤 とセ グ メ ン トの 相 互 作 用 モ デ ル と して,図-15に 示 す 地 盤 反 力 曲 線 の 特 性 を 有 す る 全 周 ばね モ デ ル を 用 い た.図 中 の δnは初 期 掘 削 面 か ら セ グ メ ン ト外 周 面 へ の 距 離(外 向 き 正), σnはセ グ メ ン トに作 用 す る土 圧 で,セ グ メ ン トの 変 位 に 関 係 無 く定 ま る 設 計 土 圧 σn0と,セ グ メ ン トの 変 位 よ っ て 生 じ る 土 圧 変 化 △σnと の和 で 表 さ れ る.こ こ で,σn0は 地 盤 ば ね に プ レ ス トレ ス ト カ を 導 入 す る こ と に よ り,△ σnは非 線 形 地 盤 ば ね で 表 現 で き る.し た が っ て,こ の モ デ ル で は,地 盤 が 受 働 側 と な る 場 合 の み だ け で な く,地 盤 が 主 働 側 と な る 場 合 に も地 盤 反 力 が 変 化 す る.な お, 地 盤 を土 水 一 体 と して 扱 う場 合 に は,全 土 圧 を 土 圧 σnと し,土 水 分 離 と して 扱 う 場 合 に は,有 効 土 圧 を 土 圧 σnと し,水 圧 を ト ンネ ル に 直 接 載 荷 す れ ば よ い.ま た,こ の 地 盤 ばね モ デ ル を 用 い れ ば, 初 期 応 力解 析 が 不 要 に な る と と も に,ト ンネ ル 全 体 の トン ネ ル 横 断 方 向 の 剛 体 変 位 を表 現 で き る. さ ら に,シ ー ル ド覆 工 背 面 の 裏 込 め 注 入 は,圧 密 に よ り体 積 収 縮 す る15)(以 下,体 積 収 縮 に伴 う トン ネ ル 半 径 方 向 の 相 対 変 位 を ゆ る み 量 と 呼 ぶ). こ う した 場 合 に は,セ グ メ ン トに作 用 す る 土 圧 は 静 止 土 圧 よ り小 さ くな る こ と が あ る た め,ゆ る み 量 を考 慮 した 土 圧 を 用 い る 必 要 が あ る.こ れ を表 現 す る に は,ゆ る み 量 δ0を地 盤 ばね に初 期 変 位 と して 導 入 す る か,図-15(a)に 示 す δn-σnの 関 係 を ゆ る み 量 δ0だ け 水 平 方 向 に シ フ トす る 方 法 が あ る が,本 解 析 で は,後 者 の 方 法 を採 用 した.す な わ ち,図-16に 示 す よ う に,δn=0の 時 に 作 用 す る 土 圧 σn0'を地 盤 ば ね に プ レ ス ト レス トカ と して 導 入 す る と と も に,図-15(c)に 示 す δn-△ σnを ゆ る み 量 δ0だけ シ フ ト し た 非 線 形 特 性 を 地 盤 ば ね に 設 定 し た.こ うす る こ と に よ り,地 盤 が ゆ る み 量
(a)テ ー ル ク リ ア ラ ン ス (b)裏 込 め 注 入 材 の 回 り込 み 固 化 を 考 慮 した テ ー ル ク リ ア ラ ン ス 図-13テ ー ル ク リ ア ラ ン ス の 分 布(m) (2671Ring掘 進 時,距 離 程2656.270m) δ0だけ 変 位 した と き に 設 計 土 圧 σn0が作 用 す る よ う に な る16). こ う した 地 盤 ば ね の特 性 は,シ ー ル ド機 動 力 学 モ デ ル の 地 盤 ば ね の 特 性 と 同 じ で あ る. (2)解 析 モ デ ル 図-17に,解 析 モ デ ル を 示 す.解 析 範 囲 は2670 リ ン グ か ら後 方30mと し,シ ー ル ド トン ネ ル(37 リ ン グ)は,周 方 向,軸 方 向 と も に 一 様 剛 性 の シ ェ ル 要 素 で モ デ ル 化 し,地 盤 中 に あ る部 分 を 地 盤 ば ね で 支 え た.ま た,ト ンネ ル 坑 口側 節 点 を 鉛 直 ロ ー ラ ー,地 盤 ば ね の 地 盤 ばね 外 側 節 点 を剛 結 と した.ま た,セ グ メ ン ト周 面 の 周 方 向,軸 方 向 摩 擦 を 表 現 す る た め に,シ ェ ル 要 素 と 地 盤 ば ね の 間 図-14シ ー ル ド テ ー ル 作 用 力 分 布(kN/m) (2671Ring掘 進 時,距 離 程2656.270m) (a) (b) (c) 図-15地 盤 と セ グ メ ン トの 相 互 作 用 の 評 価
に イ ン タ ー フ ェ イ ス 要 素 を設 定 した.こ の イ ン タ ー フ ェ イ ス 要 素 は ,垂 直,せ ん 断 方 向 と も に,相 対 変 位 と応 力 が 線 形 関 係 に あ る が,せ ん 断 応 力 の 上 下 限 は,Mohr-Coulomb型 の 摩 擦 則 で 規 定 さ れ る. こ の イ ン タ ー フ ェ イ ス 要 素 の せ ん 断 相 対 変 位 崎 と せ ん 断 応 力ttの関 係 を 図-18に 示 す.な お,本 解 析 の 対 象 地 盤 は 粘 性 土 層 な の で,法 線 方 向 応 力 と し て 全 応 力 を用 い て い る. 外 力 と し て は,土 水 圧,セ グ メ ン ト 自重 と,施 工 時 荷 重 と して,2671リ ング 掘 進 時 の シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力 の 作 用 位 置(セ グ メ ン ト切 羽 側 端 部 か ら1.2m坑 口側)の セ グ メ ン ト半 径 方 向 に挙 動 の シ ミ ュ レー シ ョ ン よ り得 られ た シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力(図-14参 照)を,セ グ メ ン トの 切 羽 側 端 部 に2 671リ ン グ 掘 進 時 に 計 測 され た ジ ャ ッ キ 力(図-19 参 照)を,作 用 させ た. ま た,入 力 物 性値 を表-6に 示 す.シ ー ル ド トン ネ ル に つ い て は,セ グ メ ン トリ ン グ の 周 方 向 曲 げ 剛 性 有 効 率17),18),トン ネ ル 全 体 の軸 方 向 曲 げ 剛 性 有 効 率19),20),トンネ ル 全 体 の 軸 方 向 剛 性 有 効 率19), 20)より等 価 剛 性 を検 討 した が ,セ グ メ ン ト リ ン グ の 周 方 向 曲 げ 剛 性 の等 価 剛 性 は,ト ン ネ ル 全 体 の 軸 方 向 曲 げ 剛 性,軸 方 向 剛 性 の 等 価 剛 性 よ り剛 に な る こ と,本 解 析 の 対 象 が トン ネ ル 全 体 の 軸 直 角 方 向 の 剛 体 変 位 を含 む こ とか ら,ト ン ネ ル 全 体 の 軸 直 角 方 向 変 形 性 能 に 着 目 して,ト ン ネ ル 全 体 の 軸 方 向 曲 げ 剛 性 と等 価 な 剛 性 を 設 定 した.文 献20) に従 う と,図-3に 示 す 鋼 製 箱 型 セ グ メ ン トに よ る トン ネ ル 全 体 の 軸 方 向 曲 げ 剛 性 有 効 率 は,ト ンネ ル 軸 方 向 力 が ゼ ロ の 条 件 で0.24と な る こ と,本 解 析 で は,シ ー ル ドジ ャ ッキ 推 力 が 作 用 し て い る の で トンネ ル 全 体 の軸 方 向 曲 げ 剛 性 有 効 率 は 増 加 す る こ とか ら,ト ン ネ ル 全 体 の 軸 方 向 曲 げ 剛 性 有 効 図-16 ゆ る み 量 の 評 価 図-18 イ ン タ ー フ ェ イ ス 要 素 の せ ん 断 方 向 の 特 性 図-17 解 析 モ デ ル
率 を0.3と 設 定 した.な お,こ の 値 は,セ グ メ ン ト 組 立 て 条 件 や,地 盤 条 件 に も依 存 す る の で,今 後 検 討 す る必 要 が あ る.ま た,イ ン タ ー フ ェ イ ス 要 素 につ い て は,セ グ メ ン トと地 盤 ば ね が セ グ メ ン ト法 線 方 向 に 剛 結 に 近 くな る よ う に大 き な 垂 直 剛 性 を,せ ん 断 方 向 に は 地 盤 反 力 係 数 の3分 の1の せ ん 断 剛 性 を 設 定 し た.ま た,摩 擦 特 性 に は,シ ー ル ドの 設 計 に用 い られ る 静 止 時 摩 擦 係 数(経 験 値) を用 い た. (3) 解 析 手 順 本 解 析 で は,シ ー ル ドジ ャ ッ キ 推 力 が 最 大 とな っ た 曲 線 始 点 近 傍 の2671リ ン グ掘 進 時 を解 析 対 象 と し た.ま た,セ グ メ ン トの 断 面 変 位 計 側 は,2 666リ ン グ 組 立 て 後,シ ー ル ド停 止 中 か ら開 始 され て い る の で,計 測 さ れ た セ グ メ ン トの 断 面 変 位 は, 施 工 時 荷 重 載 荷 前 を初 期 値(変 位 ゼ ロ)と した 施 工 時 荷 重 載 荷 後 の 変 位 で あ る.そ こで,以 下 の 手 順 で 解 析 を行 っ た. 1) 施 工 時 荷 重 を 載 荷 せ ず,解 析 を 行 う. 2) 施 工 時 荷 重 を載 荷 し,解 析 を行 う. 3) 2)で 求 め た 計 測 断 面 位 置(セ グ メ ン ト切 羽 端 部 か ら1.8m坑 口側)の セ グ メ ン ト変 位 か ら,1)で 求 め た 計 測 開 始 時 点 の 計 測 断 面 位 置(セ グ メ ン ト切 羽 端 部 か ら0.6m坑 口側)の セ グ メ ン ト変 位 を 減 じ て,2671リ ン グ 掘 進 時 の セ グ メ ン ト変 位 を 算 出 す る. (4) セ グ メ ン ト変 位 図-20に,計 測 断 面 に お け る セ グ メ ン ト断 面 変 位 の解 析 値 と実 測 値 を,坑 口側 よ り切 羽 側 を見 た 状 態 で 示 す.な お,変 位 は40倍 に し て 表 示 し て い る.こ の 図 よ り,解 析 値 は,セ グ メ ン トが 右 下 側 に 剛 体 変 位 し,縦 長 に 変 形 す る挙 動 を 再 現 で き て い る こ と,縦 長 の 変 形 量(鉛 直 内 空-水 平 内 空) は,実 測 値 で21,7mm,解 析 値 で8.8mmで,解 析 で は セ グ メ ン トの 変 形 を 十 分 に表 現 で き て い な い こ とが わ か る.前 者 に つ い て は,自 由 端 で あ る セ グ メ ン ト切 羽 側 端 部 に 図-19に 示 す シ ー ル ドジ ャ ッ キ 力 が 作 用 し,セ グ メ ン ト切 羽 側 端 部 に 曲 線 外 向 き 水 平 力 と下 向 き モ ー メ ン トが 作 用 して い る こ と, 図-14に 示 す よ う に シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力 が 左 曲 線 内 側 に 作 用 し て い る こ と,ト ンネ ル 全 体 の 軸 直 角 方 向 変 形 性 能 に 着 目 し て,軸 方 向 曲 げ 剛 性 と等 価 な 剛 性 を シ ェル 要 素 に設 定 した こ とか ら,ジ ャ ッ キ 推 力 に よ る トン ネ ル 全 体 の 剛 体 変 位 を 表 現 で き た と考 え られ る.一 方,後 者 につ い て は,セ グ メ ン ト周 方 向 曲 げ 剛 性 が 等 価 とな っ て い な い こ と, 図-19 ジ ャ ッ キ パ タ ー ン(テ ー ル よ り 見 た)と ジ ャ ッ キ 推 力 図-20 セ グ メ ン ト 断 面 変 位(2671 Ring掘 進 時) トン ネ ル 全 体 を 一 様 剛 性 と した こ とか ら,横 断 面 内 の セ グ メ ン ト変 形 を十 分 表 現 で き な か っ た と考 え られ る. 図-21に,セ グ メ ン ト法 線 方 向 変 位 分 布 を,イ ンバ ー ト部 で 切 断 した ス キ ン プ レー ト展 開 図 上 に 示 す.横 軸0,360degは セ グ メ ン トイ ン バ ー ト部 で, 坑 口 側 よ り見 て 時 計 回 り に展 開 して い る.ま た, 図 の 上 端 は セ グ メ ン ト切 羽 側 端 部,下 端 は 解 析 範 囲 の セ グ メ ン ト坑 口側 端 部 で,ト ン ネ ル 外 側 へ の 変 位(受 働 側 の 変 位)が 正 で あ る.こ の 図 よ り, 以 下 の こ とが 分 か る. 1) シー ル ドテ ー ル 作 用 力 を 作 用 させ た 位 置(セ グ メ ン ト切 羽 端 部 よ り1.2m坑 口側)の,左 ス プ リ ン グ ラ イ ン 付 近 で トンネ ル 内 側 へ の 最 大 変 位 が 発 生 し,そ の 反 対 側 の 右 ス プ リ ン グ ライ ン付 近 で トン ネ ル 外 側 へ の 最 大 変 位 が 発 生 し て い る. 2) シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力 の 作 用 位 置 か らセ グ メ ン ト切 羽 側 端 部 に か け て,左 側 で は トン ネ ル 内 側
図-21 セ グ メ ン ト法 線 方 向 変 位 分 布 へ の 変 位 が,右 側 で は トン ネ ル 外 側 へ の 変 位 が 徐 々 に増 加 して い る. 3) 施 工 時 荷 重 に よ る セ グ メ ン トの 変 位(1mm以 上)は,セ グ メ ン ト切 羽 側 か ら坑 口 側 へ13mに 及 び,セ グ メ ン ト切 羽 側 か ら6∼13mで は,天 端 側 で トン ネ ル 外 側 へ の わ ず か な 変 位 が 発 生 し て い る. これ ら は,図-20の セ グ メ ン ト変 位 で 述 べ た こ と の 他 に,シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力 の 作 用 位 置 か らセ グ メ ン ト切 羽 側 端 部 の 範 囲 で は セ グ メ ン トが シー ル ドテ ー ル 内 に あ り,土 水 圧 が 作 用 し て い な い 自 由 端 で あ る こ と の た め で あ る と考 え ら れ る. 5. ま と め 本 論 文 で は,よ り詳 細 な シー ル ドテ ー ル 作 用 力 を 表 現 で き る よ う に 改 良 した シ ー ル ド機 動 力 学 モ デ ル を 用 い て,シ ー ル ドの 挙 動 を シ ミ ュ レー シ ョ ンす る こ と に よ り施 工 時 荷 重 を 推 定 した.さ らに, 得 られ た 施 工 時 荷 重 を外 力 と し,シ ー ル ド機 動 力 学 モ デ ル の 地 盤 ば ね と 同 じ特 性 を 有 す る 地 盤 ば ね で 支 え られ た シー ル ド ト ンネ ル の3次 元 モ デ ル を 用 い て,3次 元FEM解 析 を 行 い,得 られ た セ グ メ ン ト変 位 分 布 とセ グ メ ン ト変 位 計 測 結 果 を 比 較 す る こ と に よ り,施 工 時 荷 重 が セ グ メ ン ト挙 動 に 与 え る影 響 の 定 量 的 評 価 方 法 を検 討 し た.以 上 よ り 得 られ た 結 論 を 以 下 に記 す. 1) シ ー ル ド機 動 力 学 モ デ ル を 用 い た シ ー ル ドの 挙 動 の シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ り,水 平 面 内 の シ ー ル ドの 挙 動 は 表 現 で き た が,縦 断 面 内 の 挙 動 につ い て は,実 測 値 よ り解 析 値 で シ ー ル ドが20∼ 40min下 向 き と な り,十 分 に は 表 現 で き な か っ た. こ れ は,取 込 率 が 変 化 し,切 羽 土 圧 が 変 化 した た め と考 え られ る. 2) シ ー ル ドの 挙 動 の シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ り得 られ た 裏 込 め 注 入 材 が 回 り込 み 固 化 した 影 響 を 考 慮 した テ ー ル ク リア ラ ンス(有 効 テ ー ル ク リア ラ ンス)の 分 布 は,計 測 さ れ た セ グ メ ン ト断 面 変 位 の 変 形 形 状,お よ び,曲 線 外 側 へ の 剛 体 変 位 と 定 性 的 に 整 合 して い る.ま た,シ ー ル ドの 挙 動 の シ ミ ュ レー シ ョ ン に よ り推 定 さ れ た シ ー ル ドテ ー ル 作 用 力 は,ス プ リ ン グ ラ イ ン位 置 の トンネ ル 軸 方 向1m当 た りの 鉛 直 土 圧 よ り大 き く な っ た. 3) 本 研 究 で 提 案 し た 地 盤 ば ね モ デ ル で 支 え られ た シー ル ド トン ネ ル の3次 元 モ デ ル は,ジ ャ ッキ 推 力 と シ ー ル ド作 用 力 に よ る トン ネ ル 全 体 の 曲線 外 側 へ の 剛 体 変 位 は 表 現 で き た が,セ グ メ ン トの 縦 長 の 変 形 は 十 分 に 表 現 で き な か った.こ れ は,一 様 剛 性 の トン ネ ル モ デ ル で は,横 断 面 内 の セ グ メ ン ト変 形 挙 動 を 十 分 に表 現 で き な い た め と考 え ら れ る. 今 後,セ グ メ ン トの 詳 細 な モ デ ル 化 を行 う と と も に,シ ー ル ドが 曲 線 を 掘 進 中 の セ グ メ ン ト変 位 に つ い て も検 討 す る 予 定 で あ る. 謝 辞: 本 研 究 を 遂 行 す る に あ た り,貴 重 な 現 場 デ ー タ等 を提 供 して 下 さ っ た 東 京 都 下 水 道 局 と,解 析 の 一 部 を 行 っ た 元 長 岡 技 術 科 学 大 学 大 学 院 生 の 松 岡 直 樹 氏 に感 謝 の 意 を 表 す る. 参 考 文 献 1) 土 木 学 会 ト ン ネ ル 工 学 委 員 会 技 術 小 委 員 会 シ ー ル ド ト ンネ ル 施 工 時 荷 重 検 討 部 会: トン ネ ル ・ライ ブ ラ リー17シ ー ル ド トン ネ ル の 施 工 時 荷 重, 土 木 学 会, 2006. 2) 有 泉 毅, 岡 留 孝 一, 五 十 嵐 寛 昌, 長 屋 淳 一: シ ー ル ド洞 道 に働 く 施 工 時 荷 重 に 関 す る 分 析, トン ネ ル 工 学 研 究 論 文 ・報 告 集, Vol.9, 報 告36, 1999. 3) 有 泉 毅, 岡 留 孝 一, 長 屋 淳 一: シ ー ル ド洞 道 に 働 く 荷 重 計 測 結 果 とそ の 分 析(そ の2), ト ンネ ル 工 学 研
究 論 文 ・報 告 集, Vol.9, 報 告37, 1999. 4) 吉 本 正 治, 阿 南 健 一, 大 塚 正 博: シ ー ル ド ト ン ネ ル の 施 工 時 荷 重 の 照 査 方 法 に 関 す る 一 提 案, 土 木 学 会 論 文 集, No.756, 6-62, pp.131-144, 2004. 5) 中 村 益 美, 足 立 一 郎, 大 迫 健 一, 松 浦 將 行: 大 深 度 急 曲 線 シ ー ル ド 工 事 に お け る 施 工 時 荷 重 の 実 態 と 分 析, 下 水 道 協 会 誌, Vol.41, No.495, pp.127-139, 2004. 6) 田 嶋 仁 志, 岸 田 政 彦, 団 昭 博, 斉 藤 正 幸: 現 場 施 工 デ ー タ に 基 づ く 大 断 面 シ ー ル ド機 の 挙 動 解 析, 土 木 学 会 ト ン ネ ル 工 学 研 究 論 文 ・報 告 集, Vol.14, 報 告 51, 2004. 7) 田 嶋 仁 志, 岸 田 政 彦, 深 井 直 光, 斉 藤 正 幸: 三 次 元 FEMモ デ ル を 用 い た シ ー ル ド ト ン ネ ル の 施 工 時 荷 重 に 関 す る 検 討, ト ン ネ ル 工 学 研 究 論 文 ・報 告 集, Vol.14, 報 告52, 2004. 8) 田 嶋 仁 志, 春 日 清 志, 深 井 直 光, 団 昭 博, 斉 藤 正 幸: セ グ メ ン ト挙 動 計 測 に 基 づ い た 大 断 面 シ ー ル ド ト ン ネ ル に お け る 施 工 時 荷 重 の 影 響 検 討, ト ン ネ ル 工 学 報 告 集, Vol.15, pp.293-300, 2005.
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