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タケ材と布材を用いたやわらかい家具

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Academic year: 2021

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タケ材と布材を用いたやわらかい家具

遠藤 和磨1) 白石 照美2)  阿部 眞理2) 森岡 大輔2)

Kazuma Endo1) Terumi Shiraishi2)  Mari Abe2) Daisuke Morioka2)

1)拓殖大学大学院 2)拓殖大学

Abstract : In response to repeated earthquake disasters, indoor disaster prevention efforts are needed. Therefore, in this report, we examined the structure of furniture that is less damaged when falling, and proposed storage furniture that combines a bamboo frame and basket-shaped storage parts. The double thin bamboo plywood frame reduces the Key Word : bamboo, fabric, indoor disaster prevention

1. 研究の背景と目的  近年の日本では度重なる震災により多くの被害を受けてい る。室内空間においては家具の転倒・移動による負傷者が人的 被害の半数を占めている [ 注 1]。収納家具においては収納物の 落下や飛び出しによる被害もみられる。この被害を軽減する室 内防災の考え方が必要とされている。室内防災に寄与するイン テリアアイテムとして、妹尾らによってタケ材の特性を活かし た収納家具(タケ中空構造シェルフ)が提案されている [ 注 2]。 タケ材を用いることで軽量化、揺れの減衰および重心を下げる ことによる倒れにくさについて一定の効果が示されている。一 方、転倒時の人的ダメージ軽減については今後の課題とされて いる。本研究では、タケ材の弾性に布材の軽さや柔軟性、引張 特性を合わせることで収納家具としての機能を満たし、転倒時 のダメージを軽減する家具の構造を見出し、提案・制作を行う。 2. 構造の検討  先行研究では、室内防災の視点で収納家具に求められる要素 として①低重心、②軽量化、③倒れてもダメージの小さい構造、 ④地震による揺れの減衰の4点があげられている。また、タケ 中空構造シェルフの課題として、左右方向と前後方向で発揮 される弾性に差がある点があげられている。そこで本研究では 転倒時のダメージ軽減に関する要素として①軽量化 , ②構造全 体、特に前後方向(木口面)の弾性 , ③収納物の飛散防止 , を 抽出した。これらの要素を満たす構成として、タケ材の弾性を 活かしたフレームとカゴ状の収納パーツを組み合わせた4段構 成の収納家具を提案し、試作した ( 図1)。幅 450mm、奥行き 450mm、高さ 1354mm の円筒形と角形の2種のシェルフであ る。いずれも垂直方向の支持材として厚さ8mm のタケ集成材、 フレームには薄く軽量なタケ薄板合板、収納パーツには皮付き のタケ材と布材を、土台には比重が重いタケ集成材を使用して いる。円筒形で総重量は約 7.15kg、そのうち土台が約 4.95kg、 フレームと収納パーツが合わせて約 2.20kg で、上部を軽く、 下部を重くしたことで重心を下げている。角形においても同様 である。水平方向のフレーム材には垂直支持材を挟む形でタケ 薄板合板を2重に配し、外周に対して弾性を持たせることで転 倒・衝突時のダメージ軽減を図っている。収納パーツは、皮付 きのタケ材と竹 25%、綿 75% の帆布(バングロ)を組み合わ せてフレームにかけるカゴ状とし、収納物の飛散を抑えている。 収納物の飛散による被害が少ないと考えられる下段には、平面 状の収納パーツを配している。各部材の接合については、フレー ム材と支持材は皮付きのトウとダボによる緊結、支持材は底板 に差し込み接着剤で固定している。収納パーツはフック状に曲 げた皮付きのタケをフレーム材にかける構成としている。 3. タケフレーム構造シェルフの重心計測と振動実験 3. 1 重心計測  重心の位置を確認するために、力の釣り合う位置から重心を 求める簡易的な実験を行った。図2のように、点 A を軸として 家具を回転させ、動きが安定する位置を探す。この場合、重心 が線 AB を超えると家具が転倒するため [ 注 3]、家具が安定し た状態では線 AB 上に重心が存在すると想定される。円筒形と 角形ともにほぼ中心線上に重心があると仮定し、線 AB と中心 線との交点から重心の位置を求めた。その結果、円筒型では底 面から約 220mm、角型では底面から約 320mm の位置に重心 があると予測できる。これは、円筒形でおよそ1段目の中央、 角形では1段目上部の位置である。タケ中空構造シェルフ(図 3)では底面から 507mm の位置であったことと比べ、重心が 低いことを確認できた。 3. 2 振動実験① Flexible Structure Furniture made by Bamboo and Fabric

impact of furniture when it falls. As a result of a vibration test on two prototype shelves, the attenuation of seismic intensity was confirmed for the cylindrical one. Then, the shelves showed an anti-vibration effect in a relatively low frequency range. In addition, it was experimentally confirmed that their center of gravity was low.

BULLETIN OF JSSD 2020 日本デザイン学会 デザイン学研究

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日本デザイン学会 デザイン学研究 BULLETIN OF JSSD 2020 5  震度減衰と揺れに対する挙動確認を目的として、試作した シェルフで台車を用いた簡易起震装置による振動実験を行っ た。 iPhone に搭載された加速度センサーを利用したアプリ「i 地震」[ 注4] を用いた震度計測の結果、円筒形タケフレーム構 造シェルフでは、10kg の荷重をかけた場合、与えた震度6強 (6.4)に対して、最上段で震度6弱(5.5)を示し、震度減衰 効果が確認できた。また、揺れに対する挙動について、フレー ムの変形・移動の軌跡を確認したところ、荷重無の場合は回転 を伴って大きく移動したが、荷重をかけた状態では、移動が少 なく、特に上部が安定していることが確認できた。角形に対し ても同様に振動実験を行った。その結果、荷重の有無にかかわ らず減衰効果を確認することができなかった。揺れに対する挙 動については、荷重無の場合は円筒形と同様に回転を伴って大 きく移動した。荷重をかけた状態では、円筒形と同様に移動は 少なく、軌跡上では安定していたが、動画からは上部がねじれ て回転するように揺れることが確認できた。 3. 3 振動実験②  振動試験機を用いて周波数の計測と挙動の観察を行い、タケ フレーム構造シェルフの振動特性を確認した。振動実験の結果 を図5に示す。どちらのシェルフも一定の防振効果を確認する ことができた。円筒形では加速度が与えた振動を大きく下回る ことはないが一定の範囲で安定し、挙動も比較的安定している 様子が確認できた。角形では円筒形よりも早い段階で防振効果 を確認できたが、周波数が高くなると段ごとに加速度の違いが 表れ、全体では防振範囲は比較的狭いことが確認できた。また、 XY 方向で多少の差異が確認できたが、段ごとの揺れの違いや 収納パーツの掛かり方の違いが影響していると考える。先行研 究の実験結果(タケ中空構造シェルフ)と比較すると、防振効 果を発揮する範囲は狭くなったが、より低い周波数帯での防振 効果があること、X 方向と Y 方向の差が小さいことを確認する ことができた。 4. まとめと今後の課題  実物制作による検証により、重心が低い構造であることを確 認できた。また、円筒形については揺れを減衰する効果が確認 できた。振動試験機を用いた実験では角形にも一定の防振効果 を確認できた。円筒形と角形で生じた差は、支柱の間隔と向き が原因の一つと考えている。収納パーツをカゴ状にすることで、 収納物の飛散も抑えることが可能となった。また、水平のフレー ム材を薄板合板の2重構造にすることで転倒時のダメージを軽 減することができると考える。しかし、その効果については、 今後実験的に明らかにする必要がある。耐荷重についても検証 を行い、収納家具としての基本性能を確認する必要がある。 注及び参考文献 1) 東京消防庁:家具類の転倒・落下・移動防止 対策ハンドブック P1-34 2019 2) 妹尾涼:室内防災に寄与するタケ中空構造シェルフの開発 ,   拓殖大学修士論文 ,2018 3) 総務省消防庁:地震による家具の転倒を防ぐには https://www.fdma.go.jp/ 4) 白山工業株式会社:i 地震 ,http://hakusan.cp.jp 図5 振動試験装置による振動実験の結果  ①円筒形荷重なし ②円筒形荷重あり ③角形荷重なし ④角形荷重あり 図4 荷重の有無による揺れの挙動  図2 重心計測の方法  B 重心が線 AB を超え ると家具は転倒する 力が釣り合った場合、 線 AB 上に重心がある A G 図3 タケ中空構造シェルフの構成 

参照

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