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行政法学から見た日本学士院

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はじめに

学士院の歴史については、学士院の発行による綿密・詳細な検討 成果が残されてお り ︵ 1 ︶ 、現行の日本学士院法の制定過程及びその概要 については、文部省︵当時︶の職員による紹介と分析がある が ︵ 2 ︶ 、研 究 対 象 領 域 の 近 い 行 政 法 学 か ら の 分 析 は あ ま り な さ れ て こ な か っ た。行政法学を専攻するものとして忸怩たるところがあったので、 二 〇 一 九 年 九 月 に 学 士 院 第 一 部 論 文 報 告 で、 ﹁行 政 法 学 か ら 見 た 日 本学士院﹂と題する報告をする機会をもった。本稿は、その折に配 布したレジュメ及び添付資料を補充整理したものである。 学士院が原告又は被告として裁判に登場する例はこれまで皆無で あるところから、学士院法は行政法学の主要領域である行政救済法 とは無縁の存在で、行政法学の研究対象とならなかった理由の一つ であった。しかし、角度を変えて行政組織法論の見地から見ると、 学士院はそもそも行政組織上いかなる存在で、その活動は行政作用 法上いかに位置づけられるか、学士院という組織を構成する学士院 会員は法律上にいかなる地位を有しているかなど、それぞれ関連し た問題で、未開拓ではあるが行政法学にとっても興味ある材料が横 たわっているといえる。そこで本稿においては、行政機関論からみ た 学 士 院 の 位 置 づ け︵Ⅱ ∼ Ⅴ︶ 、 行 政 作 用 法 論 か ら み た 学 士 院 の 事 業 の 性 格 分 析︵Ⅵ︶ 、 公 務 員 法 制 度 か ら み た 学 士 院 会 員 の 位 置 づ け ︵Ⅶ︶ 、 お わ り に︵Ⅷ︶ 、 と い う 順 序 に よ り、 検 討 を す す め る こ と と する。なお、それぞれの項目においては、制度の概要を記述し、そ のあとに私見を交えたコメントをつけるという方法をとる。

行政法学から見た日本学士院

︵令和元年九月一二日   提出︶

行政法学から見た日本学士院 八 一

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二つの行政機関概念

行政を担当する組織については、立法、行政実務において一般的 に﹁行政機関﹂と呼称されるが、行政組織法論上は、近年これを、 作 用 法 的 行 政 機 関 と 事 務 配 分 的 行 政 機 関 の 二 つ に 分 か つ こ と が あ る ︵ 3 ︶ 。 .作用法的行政機関 作用法的行政機関は、対国民権限行使者︵行政機関︶と人との関 係に着目したものである。私立大学の設置認可を例にとると、学校 教育法四条によれば私立の大学の設置は文部科学大臣の認可を受け な け れ ば な ら な い と さ れ て お り、 こ の 認 可 権 限 を 有 す る 行 政 機 関 ︵ここでは文部科学大臣︶が行政官庁として位置づけられ る ︵ 4 ︶ 。 また、申告納税方式による課税を例にとると、国税通則法一七条 によれば、納税者は納税申告書を税務署長に提出しなければならな いとされ、同法二四条において、税務署長はその調査により税額等 を更正すると定められている。この納税申告更正権限を有する行政 機関︵ここでは税務署長︶が行政官庁として整理される。    コメント   行政法学においては、行政の国民に対する活動を行政作用と いう言葉で表すのが通例で、ここでいう作用法的機関も、これ を前提とした上で、 対象をしぼり、 国民を対象とする意思決定、 つまり個別の行政決定を行う機関としての行政官庁を中心とし て構成されたものである。そこでは、上級、下級行政官庁の関 係、行政官庁を補助する補助機関、諮問機関なども考察の対象 とする。   一方、先に例として挙げた行政官庁としての文部科学大臣、 税 務 署 長 と は 何 か は 学 校 教 育 法、 国 税 通 則 法 で は 触 れ て い な い。言い換えれば、別の法律の定めを前提としており、それが 次に掲げる事務配分的機関である。 なお、 後に紹介するように、 この作用法的機関に関しては、先に具体例として掲げた、文部 科学大臣の対外的作用に関する学校教育法、税務署長の対外的 作用に関する国税通則法に匹敵する個別作用法は学士院に関し ては制定されていない。 .事務配分的行政機関 ── 国家行政組織法における 事務配分的行政機関は国家が担当する事務︵外部に対する行政作 用のみならず、政策立案、調整等あらゆる事務を含む︶をいずれか 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 八 二

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の行政機関に割り当てる作業の結果を指す。要するに、行政機関を 行政事務の配分と担当組織に着目して、整理分類したものである。 文部科学省を例にとると、国家行政組織法に文部科学省の設置が 定 め ら れ︵法 三 条 二 項 別 表 第 一︶ 、 文 部 科 学 省 設 置 法 で 担 当 す る 事 務︵所 掌 事 務︶ が 列 挙 さ れ て い る︵法 四 条︶ 。 ち な み に 文 部 科 学 大 臣 は 文 部 科 学 省 の 長 と さ れ る︵法 二 条 二 項︶ 。 な お、 文 部 科 学 省 に 置 か れ る 局、 課 等 の 内 部 部 局 に つ い て は 文 部 科 学 省 組 織 規 則︵省 令︶で定められている。 また、税務署を例にとると、財務省設置法二四条に、国税局及び 沖縄国税事務所の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に税 務署を置く、とあり、税務署長はその長として特定される。 国家行政組織法を頂点とするこの行政機関︵内閣府については内 閣府設置法がある︶において、それぞれの行政機関に配分された、 も し く は 配 分 さ れ る べ き 事 務 の 内 容 が 論 議 の 対 象 と な る。 そ の さ い、具体の事務の帰属について、積極・消極といった解釈上の争い が生ずることもあるが、むしろ、内閣の機能の在り方に関する検討 をはじめ、省を幾つにするかとか、省間、局間の調整を如何に図る か、別個の省であった郵政省と自治省を現在のように総務省に統合 したのがよかったかどうか、発達するAI関連事務をどの省に配分 するか独立の省を設立するかなど、法解釈学的議論よりは政策論議 がなされることが多い。 ちなみに、学士院については、文部科学省組織規則五四条二項四 号により、研究振興局・振興企画課・学術企画室が日本学士院に関 する事務一般をつかさどるものとしている。 以上を前提として、学士院が事務配分にかかる制定法でどのよう に規律されてきたかを、明治憲法時代にってみることとする。

 

学士院に関する制定法

.明治憲法 すでに明治七年に福澤諭吉、西周、加藤弘之等を構成員とする明 六社が設立されていたが、 それは純然たる民間団体であった。 ただ、 当時の政府の言論統制の故もあって翌年の明治八年には解散となっ た。明六社をもって、学士院の前身とすることはできないが、福澤 をはじめ、後の東京学士会院会員に明六社のメンバーが含まれてい ることに鑑みると、学士院の制度を考察するに際しても明六社の存 在に留意する必要があると思われ る ︵ 5 ︶ 。 このことを前提として、 以下、 現在の学士院につながる制定法を経年的に追うと、以下のごとくで ある。 事務配分にかかる規律として、明治一九年各省官制︵勅令二号︶ 行政法学から見た日本学士院 八 三

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が あ り、 文 部 省 に 関 し て は、 ﹁文 部 大 臣 ハ 教 育 学 問 ニ 関 ス ル 事 務 ヲ 管 理 ス﹂ ︵一 条︶ と あ り、 同 省 に 置 か れ る 総 務 局 文 書 課 の 所 掌 事 務 につき ﹁学士會院音楽取調係⋮⋮ニ関スル事項﹂ が挙げられている。 さ ら に、 明 治 三 一 年 文 部 省 官 制︵勅 令 二 七 九 号︶ 五 条 は、 ﹁専 門 学 務局ニ於イテハ左ノ事務ヲ掌ル﹂とし、その十号に﹁学士會院ニ関 スル事項﹂を掲げており、明治一九年の勅令では必ずしも明確でな かった学士会院が官制上文部省の所掌事務の範囲に属することが明 らかにされた。 一方、 学士院の具体の組織に関しては、 上記の各省官制ではなく、 明 治 一 二 年・ 東 京 学 士 会 院 規 則︵文 部 大 臣 達︶ 、 明 治 二 三 年・ 東 京 学 士 会 院 規 程︵勅 令 二 六 四 号︶ 、 明 治 三 九 年・ 帝 国 学 士 院 規 程︵勅 令 一 四 九 号︶ が 制 定 さ れ て お り、 そ れ ぞ れ に、 ﹁文 部 大 臣 ノ 管 轄 ニ 属ス﹂ ︵一条︶ 、﹁文部大臣ノ管理ニ属シ﹂ ︵一条︶ の文言がみられる。    コメント   明治憲法一〇条は﹁天皇ハ行政各部ノ官制⋮⋮ヲ定メ⋮⋮﹂ としていた。ここからして、明治憲法の下では、行政機関の定 めは官制大権に属し、議会の制定する法律ではなく、天皇の定 めるところすなわち勅令とされていた。 そして、 ここでいう ﹁官 制﹂ と は、 ﹁国 の 行 政 機 関 の 設 置、 所 掌 事 務 等 に 関 す る 定 め を い う﹂ ︵法 令 用 語 辞 典 第 七 次 改 訂 版︶ と さ れ、 本 報 告 の 事 務 配 分 的 機 関 概 念 に 相 当 す る。 し た が っ て、 文 部 省︵文 部 大 臣︶ 、 学士院はともに行政機関で、この二つの行政機関の関係を律す るのが文部大臣の﹁管理﹂ 、﹁管轄﹂である。もっとも、これだ け で は 学 士 院 が 文 部 省 に 属 す る 行 政 機 関 で あ る か ど う か、 管 理、管轄の具体的範囲はどのようなものであるかは、必ずしも 明確ではない。この点は、明治憲法下での行政法学では、議論 がなされていなかった、あるいはその必要性がなかったとも言 えよう。 .日本国憲法 日本国憲法制定後まもなく昭和二二年・日本学士院規程︵政令二 五四号︶が制定されたが、主たる内容は名称変更にとどまった。 一方、国の行政組織に関する官制制度は現行憲法の認めるところ ではなく、勅令ではなく、法律、政令によって規律されることとな り、 新 た に、 国 家 行 政 組 織 法︵昭 和 二 三 年 法 律 一 二 〇 号︶ 、 各 省 設 置法の体制が整えられるにいたった。本稿との関係で特徴的なこと は、総理府︵現在の内閣府︶に属する機関の一つとして日本学術会 議法︵昭和二三年法律一二一号︶に定められた学術会議が置かれた ことがある。さらに、同法は﹁日本学術会議に、⋮⋮日本学士院を 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 八 四

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置 く﹂ ︵第 六 章 二 四 条︶ と し て、 学 士 院 は 行 政 機 関 の 一 つ と し て 位 置づけられることは従前と同様であるが、内閣総理大臣の所轄︵学 術会議法一条二項︶に属することとなった。 な お、 日 本 学 士 院 規 程 は 廃 止 さ れ た が︵附 則 三 〇 条︶ 、 当 時 の 学 士院会員は引き続き会員となり ︵附則三二条︶ 、 総会、 部会の開催、 論文報告、授賞、紀要の事業は継続的に遂行された。ただ、設立後 の学士院会員選定権は学術会議にあり、その決定過程において学士 院は候補者選考委員会委員に学術会議と同数の委員を推薦するもの とされた︵学術会議会則二五条︶ 。 この体制については、会員の選定、財政運用に関し、学士院とし て異論の存するところから、学術会議からの独立を求める法改正の 要望が学士院から提出され、学術会議もこれを認め、昭和三一年日 本学士院法︵法律二七号︶の制定を見 た ︵ 6 ︶ 。その際、所轄行政機関が 総理府から文部省に変更され、現在に至っている。    コメント   日本国憲法は明治憲法における天皇の官制大権を否定し、官 制の基本は法律によって定められるべきものとされた。その結 果、事務配分的行政機関の法典として   国家行政組織法、これ を具体化する法律として文部省設置法が制定され、学士院法は その具体化法としての性格を持ち、学士院が事務配分上の行政 機関として位置づけられることがより明確になったということ ができる。制定法上の規律順序からすると、国家行政組織法別 表 第 一︵文 部 科 学 省︶ 、 文 部 科 学 省 設 置 法 四 条 四 六 号︵所 掌 事 務。 学 術 の 振 興 に 関 す る こ と︶ 、 九 条︵本 省 に 学 士 院 を 置 く。 特 別 の 機 関︶ 、 一 〇 条︵日 本 学 士 院 に つ い て は 日 本 学 士 院 法 の 定めるところによる︶とある。なお、学士院が独立の法人格を 有していないこと、いわゆる独立行政法人でないことは明治憲 法以来変わっていない。

 

国家行政組織法における学士院の位置づけ

帝国学士院は文部省官制において規定されていたが、学士院のよ うな省の通常の組織に組み込まれない行政機関についての一般的規 律は各省官制には定めはなかっ た ︵ 7 ︶ 。 日本国憲法の下で、局、課等の通常の行政機関とは別の機関に関 する定めが、国家行政組織法に規定されるようになり、昭和五八年 改正前国家行政組織法では附属機関 ︵八条︶ に一般条項が置かれた。 さらに、昭和五八年国家行政組織法改正により、附属機関は、審議 会︵八条の一︶ 、施設等機関︵八条の二︶ 、特別の機関︵八条の三︶ 行政法学から見た日本学士院 八 五

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に三分類された。そして、現段階では、学士院については、文部科 学省設置法第三章第三節特別の機関︵設置︶第九条﹁本省に、日本 学士院を置く﹂ 、 第十条 ﹁日本学士院については、 日本学士院法 ︵昭 和三一年法律第二七号︶の定めるところによる﹂とされている。    コメント   明治憲法の下における官制では学士院のような合議体の行政 機関が占める位置づけは必ずしも明確ではなかった。これに対 し て、 国 家 行 政 組 織 法 の 下 で 学 士 院 は 当 初 は 文 部 省 の 附 属 機 関、さらに現行法では文部科学省の﹁特別の機関﹂として明確 に位置づけられたことになる。   ﹁特別の機関﹂は特に必要がある場合に置かれるが、日本学 士院に類似するものに、日本学術会議︵内閣府・内閣府設置法 四 〇 条、 日 本 学 術 会 議 法︶ 、 日 本 芸 術 院︵文 化 庁・ 文 部 科 学 省 設 置 法 三 一 条、 日 本 芸 術 院 令︶ 、 さ ら に 業 務 上 接 触 の 深 い 関 連 機関として日本学術振興会︵独立行政法人日本学術振興会法︶ がある。   他方、検察庁、警察庁、中央選挙管理会、公害対策会議、国 土地理院等、学士院と業務内容に関連性のない機関も﹁特別の 機 関﹂ と し て 置 か れ て お り、 ﹁特 に 必 要 が あ る 場 合﹂ に 内 容 的 共通性があるわけではない。

 

 行政機関としての学士院の特色

──

学術会議、芸

術院との比較において

以 下、 学 士 院 の 性 格︵設 立 目 的︶ 、 組 織 構 造、 事 業、 財 務 会 計、 構 成 員 の 地 位 等 に 関 し、 ﹁特 別 の 機 関﹂ の 中 で 類 似 性 を 持 つ 日 本 学 術会議、日本芸術院と比較しつつ、事務配分上の行政機関としての 学士院の特色を見ておくこととする。 .機関の性格 法 律 上、 学 士 院 は、 科 学 者 の 優 遇 機 関︵日 本 学 士 院 法 一 条︶ 、 学 術 会 議 は、 科 学 者 の 内 外 に 対 す る 代 表 機 関︵学 術 会 議 法 二 条︶ 、 芸 術院は、芸術家の優遇・栄誉機関︵日本芸術院令一条︶とされる。    コメント   明治憲法下の官制の下では、官制上も、年金︵後述︶を巡り 会 員 の 栄 誉 を 表 す る も の と す る 見 解、 ﹁碩 学﹂ を 優 遇 す る 見 解 などが開陳されたが、明示的には学士院官制上は制度目的とは されておらず、帝国学士院規程一条は、学術の発達、教化の裨 補を掲げていた。これに対して、戦後の学術体制を改め、日本 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 八 六

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学術会議法を制定するに当たり、学術会議と学士院の差異化を 図る観点から、学士院を科学者の優遇機関とすることを明記し たと思われる。 .組織の基本構造 学 士 院 は、 日 本 学 士 院 会 員 で 組 織 さ れ る︵学 士 院 法 二 条︶ 。 役 員 として、院長、幹事、部長が置かれ、院長は会員の互選による。庶 務担当については、事務長その他の職員が置かれ、文部科学省に属 す る︵法 一 〇 条︶ 。 職 員 の 任 免 は、 文 部 科 学 大 臣 の 所 掌 と な り、 事 務長以外の職員は院長に委任されている︵人事に関する権限の委任 等に関する規程︵平成一三年文部科学省訓令三号︶ ︶。 学術会議は、日本学術会議会員で組織される︵日本学術会議法七 条︶ 。 役 員 と し て 、 会 長、 副 会 長︿三 名﹀ が 置 か れ、 会 長 は 会 員 の 互 選 に よ る︵法 八 条︶ 。 事 務 局 に、 局 長 そ の 他 所 要 の 職 員 が 置 か れ る︵法 一 六 条︶ 。 職 員 の 任 免 は 会 長 の 申 し 出 を 考 慮 し て 内 閣 総 理 大 臣が行う。 芸 術 院 は 院 長 及 び 会 員 で 組 織 さ れ る︵日 本 芸 術 院 令 二 条︶ 。 院 長 は会員の選挙により過半数を得た者︵部外者を含む︶につき文部科 学 大 臣 が 任 命 す る︵令 五 条︶ 。 会 員 か ら 院 長 に 就 任 し た 場 合 に も、 会員たる地位は保持する。庶務に従事する者として、事務長その他 の 職 員 が 置 か れ る︵令 八 条︶ 。 職 員 の 任 免 は 文 部 科 学 大 臣 の 所 掌 と なる。 .内部組織 学士院は、二部制︵人文科学、自然科学︶及び分科制︵七分科︶ を 採 り︵学 士 院 法 二 条 三 項、 会 則 二 条︶ 、 部 横 断 的 会 議 と し て、 運 営委員会︵学士院運営委員会規則︶をはじめ、各種の委員会を設置 している。 学 術 会 議 は、 三 部 制 で︵人 文 科 学、 生 命 科 学、 理 学・ 工 学︶ ︵学 術 会 議 法 一 〇 条︶ 、 横 断 的 機 関 と し て、 幹 事 会、 委 員 会 等 が 置 か れ ている︵会則一六条︶ 。 芸 術 院 は 三 部 制 で︵美 術、 文 芸、 音 楽・ 演 劇・ 舞 踊︶ ︵芸 術 院 令 二条︶ 、さらにこれを一六分科に分かち︵会則二条︶ 、連合部会︵令 七 条 四 項 ︶、 部 長 会 議 ︵ 日 本 芸 術 院 部 長 会 議 規 則 ︶ 等 が 置 か れ て い る 。    コメント   学士院における二部制、分科制は帝国学士院時代︵大正一四 年︶にる。学士院の意思決定は、実質的には分科会、部会に おいてなされ、部会自治、分科会自治が徹底しており、従前の 国立大学における学部自治、学科自治の伝統に類似するものが 行政法学から見た日本学士院 八 七

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ある。この点からして、規則で定められた運営委員会︵通常年 三回︶の機能が注目される。 .事業 ①   一般条項 学士院は学術の発達に寄与する必要な事業を行うことを目的とす る︵法一条︶ 。すでに、帝国学士院規程一条に、 ﹁学術ノ発達ヲ図リ 教化ヲ裨補スル﹂とあった。 学術会議︵職務・権限︶は、科学の向上発達・科学の反映浸透を 図ることを目的とする︵法二条︶とされている。 芸 術 院 は、 ﹁芸 術 の 発 達 に 寄 与 す る 活 動 を 行﹂ う こ と を も っ て、 その事務の一つとされている︵文部科学省設置法二三条二項二号、 芸術院令にはこの条項なし︶ 。    コメント   昭和三一年に新たに独立の法典としての日本学士院法を制定 するに際して、設置目的として、優遇措置に加えて﹁学術の発 達への寄与﹂ を掲げたのは、 学術会議法施行後にも、 学士院が、 従前と同様に学術の発達に寄与すべく鋭意努力を重ねてきたこ と、それが明治期における帝国学士院の設立のそもそもの目的 であったこと︵前出︶を念頭に置いたものと思われる。   なお、芸術院の事務は、帝国芸術院官制において示されてい たところで、規程の箇所は異なるが、実質的には学士院と平仄 を合わせている。 ②   具体的事業   学 士 院 に お け る 具 体 的 事 業 と し て は、 授 賞︵法 八 条 一 号︶ 、 紀 要 の 編 集・ 発 行︵二 号︶ 、 学 術 の 研 究 を 奨 励 す る た め 必 要 な 事 業︵三 号︶ 、客員称号授与︵法六条︶ 、国際学士院連合︵UAI︶加入︵法 七 条︶ ︵二 〇 一 七 年 東 京 総 会 開 催︶ が 法 律 上 掲 げ ら れ て お り、 そ の 他実務事例としては、公開講演会、学びのススメシリーズ講演会、 外国アカデミーとの交流協定締結、日韓学術フォーラム、学術奨励 賞が事業として行われているところである。なお、紀要の編集に際 し、 そ の 要 件 と し て、 ﹁会 員 が 提 出 し、 又 は 紹 介 し た 学 術 上 の 論 文 を 発 表 す る た め﹂ ︵法 八 条 二 号︶ と あ り、 こ れ は、 総 会 で の 報 告、 紹介を前提していると解される。そして、会員による学術の成果の 報告、公表の制度は、すでに、帝国学士院規程に定められており、 学士院の重要事業の一つとして学士院法制定の際の重要な立法事実 と目されていることがうかがわれ る ︵ 8 ︶ 。 学術会議における具体的事業としては、 政府への勧告 ︵法五条︶ 、 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 八 八

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化庁︶からの独立性を図るところにあり、学術会議法で﹁学術 会 議 は 独 立 し て ⋮⋮ 職 務 を 行 う﹂ ︵三 条︶ と あ る が、 そ れ は、 学士院、芸術院にも妥当するものと解される。学士院、芸術院 ともに、文部科学省の関与・監督規定などはない。   なお、学術会議、芸術院には、政府からの諮問、政府への意 見陳述の制度があるのに対し、学士院に関しては、かつて存在 していた文部大臣の諮詢制度︵帝国学士院規程一〇条︶は現行 法上は採用されていないことにおいて政府の政策的決定手続か らの距離がより明確化された。しかし、創立以来、人文科学部 門及び自然科学部門の双方の研究者によって組織されていると いう学士院の特色を生かして、人文・自然の双方にわたる学際 的 問 題 に つ い て 検 討 し、 そ の 結 果 を 紀 要 に 発 表 す る こ と な ど は、学術の発達に寄与するための事業の範囲と解される。     学士院会員が会員としてではなく、個人として、政策的見解 を発表することが妨げられないことは言うまでもない。 .財務会計(予算、決算、検査) 学士院、学術会議、芸術院のいずれについても一般制度としては 特別の法令上の定めはない。ただし、学士院に関しては寄附金につ き、かねて、国の予算措置とは別に学士院が経理することが認めら 意 思 の 表 出︵学 術 会 議 会 則 二 条︶ ︵要 望、 声 明、 提 言、 報 告、 回 答   同別表参照︶ 、国際交流︵六条の二︶ 、その他実務事例︵シンポジウ ムの開催等︶ 。   芸術院における具体的事業としては、文部科学大臣・文化庁長官 へ の 意 見 陳 述︵文 部 科 学 省 設 置 法 二 三 条 二 項 二 号︶ 、 芸 術 の 発 達 に 寄 与 す る 活 動︵同 号︶ 、 実 務 事 例 と し て、 芸 術 院 賞 の 授 賞︵日 本 芸 術 院 授 賞 規 則︶ 、 会 員 に よ る 特 別 講 演 会・ 公 開 講 演 会、 展 覧 会 等 が ある。    コメント    ①   規律密度   芸術院の事業に関する規定に象徴されるように、三つの特別 の機関に関する事業の定めは、個別行政作用法上の規律と比較 して、規律密度が薄い。また、法定の事業も一律でない。これ は、事業が、国民に対する規制作用を含んでいないこと、後述 するようにこれら事業に関する特別の行政作用法が定められて いないことに対応する。   ②   政府との関係   学士院、学術会議、芸術院を国家行政組織法の特別の機関と したことの趣旨としては、所属機関︵文部科学省、内閣府、文 行政法学から見た日本学士院 八 九

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れている。その発端は、帝国学士院賞授賞に際しての皇室下賜金及 び多方面からの寄附による資金の処理の方法にあり、明治四四年に 帝国学士院学術研究奨励金特別会計法 ︵法律三八号、 勅令六九号︶ 、 大正四年に帝国学士院学術研究奨励金委任経理に関する法律︵法律 一三号︶が制定さ れ ︵ 9 ︶ 、今日に至っている︵法律の題名は帝国学士院 から日本学士院に変わったが内容は等しい︶ 。    コメント   かつて、国立学校特別会計法︵一七条︶の下で、国立大学に おける奨学寄附金の委任経理制度があったが、平成一六年に同 法は廃止され、国立大学法人では自己の経理による寄附金の導 入が行われており ︵参照、 東京大学寄附取扱規則︶ 、現行法令上、 委任経理金制度があるのは学士院のみである。東京で行われた UAI総会も会員の寄附を含めてこの学術奨励金によって賄わ れた。今後も、学士院の事業運営に果たす委任経理金の役割は 大きい。

 

行政作用法論からみた学士院

学士院は、科学者の優遇機関であるが、学術の発達に寄与するた めに必要な事業を行うことを目的とし、現に授賞、公開講演等、部 外 者 を 対 象 と す る 各 種 事 業 を 行 っ て い る︵前 出 Ⅴ - 4 ︶。 た だ、 こ れらの事業を遂行するに際しては、学士院規則に若干の例はあるが ︵日本学士院授賞規則、日本学士院学術奨励賞授賞規則︶ 、国の法令 による規律は存在しない。言い換えれば、学士院が行っている事業 遂行を規律する行政作用法令は、個別法令としてであれ、通則的法 令であれ存在しない。例えば、学術奨励賞授賞法、あるいは学術講 演法といった個別法は定められていない。    コメント   行政法学において、行政作用、行政作用法とは、対国民︵外 国人を含む︶に直接効果を及ぼす行政機関の法的決定又は事実 行為、これに適用される法を指す。本報告の冒頭に掲げた学校 教育法、国税通則法がそれで、これら個別行政作用法は、その 法 律 の 具 体 的 執 行 に 当 た る 組 織 に 関 す る 法 律 を 前 提 と し て お り、これが国家行政組織法、各省設置法であることはすでに述 べたとおりである。   ただ個別行政作用法は、すべての個別行政作用について制定 されるのではなく、国民の自由と財産を侵害する作用である場 合には法律の根拠が必要であるので制定されるが、そうでない 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 九 〇

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場合は、国家行政組織法令上、当該行政機関に配分された事務 に入っていれば、外部に対しても活動、つまり作用できるとい うのが、現在の立法・行政実務である。この見地からすると学 士院会員の論文報告会などは、もともと内部的活動であるので 外部に対する行政作用ではなく、授賞、公開講演、日韓学術フ ォーラムをはじめとする国際交流は、外部に向けられた行政作 用ではあるが、国民の自由、財産の侵害には当たらないし、い ずれも民間、つまり私人でも自由になしうることなので、学士 院法とは別の個別作用法は、必要ではないし、現に存在してい ない。   ということは、国民の自由・財産を侵害しない作用は、事務 配分上の行政機関の所掌事務の範囲内であれば、行政官庁法上 の作用法の規定がなくとも可能であることになる。逆に言えば 当該作用が事務の範囲に入っていなければ、それを行使するこ とはできない。その意味では、事務配分的機関につき定める国 家行政組織法令も一定範囲に限られるが、行政作用の根拠とな ることを意味し、二つの行政機関概念︵前掲Ⅱ︶は概念上明確 に分かれたものではないといえよう。また、民間でも行われる 活動についても、行政作用である以上、行政法の一般原則とし ての平等原則、公正透明性の原則、説明責任の原 則 ︶10 ︵ の適用の問 題があることにも注意する必要がある。   さらに、行政作用の一類型として我が国で広く用いられてい る行政指導︵具体例として、前掲拙稿・紀要第六八巻第二号一 三〇頁︶について行政作用法律は存在しなかったが、内外から の批判に応えるため、行政手続法の中に行政指導の一般原則を はじめとする行政指導に関する手続規定が二〇一四年に制定さ れた。そして、同法では﹁行政機関﹂として事務配分上の行政 機 関 の 概 念 が 用 い ら れ て い る︵行 政 手 続 法 三 二 条 以 下︶ 。 し た がって、二つの行政機関概念は立法実務上必ずしも明確に区分 して用いられているわけではない。   このような事情から、二つの行政機関概念論については、行 政法学上にもなお論議があるが、ここでは問題の指摘にとどめ ておく。

 

公務員法論からみた学士院会員

学 士 院 は、 学 士 院 会 員 に よ っ て 組 織 さ れ る︵学 士 院 法 二 条︶ 。 こ の 点 は、 学 術 会 議︵学 術 会 議 法 七 条︶ 、 芸 術 院︵芸 術 院 令 二 条︶ に も共通するが、学士院会員の地位の特色を明らかにするために、右 記二つの機関の会員に対する規律を含めて考察する。 行政法学から見た日本学士院 九 一

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①   職種 日本学士院会員は、現行法上、特別職の国家公務員で︵国家公務 員法二条一二号・学士院法附則五︶非常勤とされる︵学士院法三条 三項︶ 。かつて、大正三年勅令二五八号において、 ﹁帝国学士院会員 ハ勅任官ヲ以テ待遇ス﹂とされていたが、これは、宮中等における 儀礼上の優遇措置にとどまると解されてい た ︶11 ︵ 。この解釈に従えば、 帝国学士院会員は官吏ではなく、国との雇用関係にも立たないこと になるが、国といかなる法律関係に立つかについては深く論ぜられ てはいない。なお、日本国憲法下の学術会議法における学士院会員 については、一般職の国家公務員の扱いと解されてい た ︶12 ︵ 。 学術会議会員は、国家公務員特別職︵国家公務員法二条一二号の 二︶で非常勤である︵法七条七項、特別職の職員の給与に関する法 律一条七二号︶ 。 芸術院会員は、学士院会員、学術会議会員とは異なり一般職の国 家公務員で、非常勤である。非常勤であることについて、法令上に 特別の定めはないが、会員の業務の運営に関する条項に鑑みると、 会員も院長と等しく非常勤と解される。なお、帝国芸術院官制にお いて学士院会員と同様、院長及び会員は勅任官の待遇を受けるもの とされていた︵令五条二項︶ 。 ②   要件 学 士 院 会 員 と な る 要 件 は 学 術 上 功 績 顕 著 な 科 学 者︵学 士 院 法 三 条︶である。帝国学士院規程では端的に、碩学とされていた︵帝国 学士院規程二条︶ 。 学術会議会員は、優れた研究又は業績がある科学者である︵学術 会議法一七条︶ 。 芸術院会員は、芸術上の功績顕著な芸術家である︵日本芸術院令 三条︶ 。 なお、会員の国籍要件については、三つの機関に関し、肯定、否 定いずれについても規定がなく、実例もないが、最高裁判所判例・ 法制局見解は公権力の行使又は重要な施策に関し決定又は参画する ことを職務とする職には外国人の就任能力はないとしてい る ︶13 ︵ 。 なお、外国人については、学士院に外国人客員の制度︵学士院法 六 条︶ 、 学 術 会 議 に 外 国 人 ア ド バ イ ザ ー の 制 度︵日 本 学 術 会 議 第 一 三三回幹事会決定︶がある。 ③   任命権者 学士院会員については、総会の承認を得た候補者につき、学士院 が 選 定 す る︵学 士 院 法 三 条 一 項︶ 。 帝 国 学 士 院 時 代 に お い て は、 学 士院の推薦、勅旨によっていた︵帝国学士院規程二条︶ 。 学術会議会員については   学術会議の推薦に基づき内閣総理大臣 が 任 命 す る︵学 術 会 議 法 七 条 二 項、 一 七 条︶ 。 当 初 は 法 定 の 資 格 を 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 九 二

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有する科学者の選挙によっていた︵改正前法七条、一七条︶ 。 芸術院会員については、総会の承認を経た候補者につき、院長の 申出により文部科学大臣が任命する︵芸術院令三条一項︶ 。 ④   任期及び退職 学 士 院 会 員 は 終 身 で あ る︵学 士 院 法 三 条 二 項︶ 。 辞 職 に つ い て は 特段の規定はないが、学士院法制定前ではあるが、一身上の都合に よる等の辞職を認めた例がある。なお、学士院会則三条に辞退の申 し出の定めがあるが、これは選定についての規定と解される。 学術会議会員の任期は六年で、七〇歳で定年となる︵学術会議法 七条三項、 六項︶ 。 なお、 辞職の申し出の制度が法定されている ︵学 術会議法二五条︶ 。 芸 術 院 会 員 は 終 身 で︵芸 術 院 令 四 一 条︶ 、 退 任 の 申 し 出 も 法 定 さ れている︵芸術院令四条︶ 。 ⑤   給与 学士院会員は予算の範囲内で年金を支給される ︵学士院法九条︶ 。 年金制度については、東京学士会院規程五条︵満六〇歳以上の者一 〇名以内三〇〇円︶ 、 帝国学士院規程一五条 ︵満六〇歳以上の会員︶ とされていた。現行の学士院会員年金規則においては役員につき別 の金額とされるが、給付対象は会員全員である。 学術会議会員には手当が支給される︵学術会議法七条七項︶ 。 芸術院会員は予算の範囲内で年金を支給される︵文部科学省設置 法二三条四項、予算︶ 。 ⑥   服務 学士院会員の服務について学士院法上規定は存在しない。帝国学 士院規程も同様である。 学術会議   後出⑦参照 芸術院会員は、国家公務員法の一般職にあたるので、国家公務員 法服務規定の適用を受ける。ただし、非常勤の職員であるので、政 治的行為禁止、私企業からの隔離等の規定は適用除外となる︵人事 院規則一四 ─ 七第一項、一四 ─ 八第六項︶ 。 ⑦   分限・懲戒 学士院会員については分限及び懲戒に関する国家公務員法の適用 をみないし、学士院法上、分限及び懲戒に関する規定はない。 学術会議会員についても、国家公務員法との関係では、学士院会 員に等しいが、会員として不適当な行為があるときには、内閣総理 大臣による退職処分がなされる︵学術会議法二六条︶ 。 芸術院会員については、芸術院令において分限・懲戒に関する該 当規定はないが、国家公務員法上の、分限・懲戒の規定は及ぶ。 行政法学から見た日本学士院 九 三

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   コメント   学士院会員が日本国憲法のもとで特別職としての国家公務員 と位置づけられ、その選定権者が学士院自体とされたことにお いて、勅旨により任命され、官吏待遇者として扱われていた帝 国学士院法制との質的転換がみられ る ︶14 ︵ 。このような学士院会員 の公務員化にもかかわらず、選定権者を行政機関の長ではなく 学士院としたこと、服務、それに対応する分限・懲戒の規定を まったく欠いている点において、学術会議会員、芸術院会員と 大きな違いがある。   学士院、 学術会議、 芸術院の会員に対する規律の差異化には、 その合理性につきそれぞれの機関の歴史的経緯を含めた設立根 拠から検討する必要があるが、いずれにせよ、学士院会員に対 する制定法の規律密度は、学術会議会員、芸術院会員と比較す ると極めて薄い。このことは、制定法としては、学士院及び会 員 の 自 律 性 に 期 待 す る こ と が 大 き い こ と を 示 し て い る と い え る 。   なお、運用上の解釈問題として、以下の点を指摘しておく。    ①   年金は優遇措置の方法の一つとして定められているも のであるので、病気その他の関係で、学士院の事業に 参 加 で き な い 事 情 が 生 じ た 会 員 に も 年 金 は 交 付 さ れ る ︶15 ︵ 。なお、所得税法上は給与所得とされている。    ②   定年制も同様の趣旨から現行法の枠を超えると解され る。    ③   学士院会員選定の前後に学士院会員にふさわしくない 事情が存在又は生じた場合に、選定権者である学士院 が何らかの措置をとることができるか否かは解釈問題 として残されている。

 

おわりに

日本学士院は、行政組織法論上いかなる存在であるかを分析する のが本稿の出発点であるが、現行法制上は、国家行政組織法に定め る特別の機関の一つであるということに尽きる。しかし、この帰結 に至るまでの学士院自体、その組織を構成する学士院会員の法的位 置づけが、近代日本行政組織法の発展過程の一面を示す格好の素材 であることがこれまでの考察で多少なりとも明らかになったと思わ れる。さらに、行政組織法論上に議論の対象となっている作用法的 機関概念と事務配分的機関概念の二区分論の意義と限界を提供する 素材となったことも指摘しておきたい。 なお、学士院は、通常の国家行政機関とはもとより、類似の﹁特 別の機関﹂と比較してもその自律性において特別の存在となってお 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 九 四

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り、行政法一般に適用することのできるモデルとして位置付けるこ とはできず、それこそ、国家行政組織法に定める﹁特別の機関﹂に ふさわしい組織であるといえよう。 ︵ 1︶ 日 本 学 士 院 八 十 年 史︵ 本 文 編 一 冊・ 資 料 編 四 冊 ︶︵ 昭 和 三 七 年 ︶ 及 び日本学士院小史︵昭和五五年︶ 。本稿では、両書を八十年史、小史と 略す。 ︵ 2︶ 参 照、 中 島 直 忠﹁ 日 本 学 士 院 法 制 定 覚 書 き ﹂ 日 本 学 術 振 興 会・ 学 術 月 報 九 巻 二 号 二 三 頁 以 下。 執 筆 者 は、 当 時、 文 部 省 大 学 学 術 局 学 術 課 勤務。以下、中島﹁覚書き﹂と略す。 ︵ 3︶ 他 に、 二 つ を﹁ 行 政 官 庁 法 上 の 行 政 機 関 ﹂ と﹁ 国 家 行 政 組 織 法 上 の 機 関 ﹂ と 整 理 す る こ と も あ り、 名 称 は 行 政 法 学 上 一 致 し て い な い が、 論点は等しい。 ︵ 4︶ 文 部 科 学 大 臣 決 定 の 実 務 上 の 過 程 を 分 析 し た 論 文 報 告 を 基 に し た 塩 野 宏﹁ 日 本 の 行 政 過 程 の 特 色 ﹂ 日 本 学 士 院 紀 要 第 六 八 巻 第 二 号 一 一 三 頁以下がある。 ︵ 5︶ 明 六 社 か ら 東 京 学 士 会 院 の 創 立 に 至 る 過 程 に つ き、 八 十 年 史 九 頁 以 下、六九頁以下に詳しいが、 ﹁東京学士会院の設立は、民間の明六社が 官設に昇格したともみられる﹂ ︵六九頁︶ともされている。 ︵ 6︶日本学士院法の制定過程については八十年史、 小史に詳細であるが、 中 島﹁ 覚 書 き ﹂ 九 一 頁 に お い て も、 学 士 院 の 学 術 会 議 か ら の 独 立 は、 時 の 政 府 の 意 向 に 先 行 し て、 も っ ぱ ら 学 術 会 議 と 学 士 院 と の 折 衝 の 結 果であることが指摘されている。 ︵ 7︶ 当 時 の 行 政 法 学 で は、 美 濃 部 達 吉・ 日 本 行 政 法︵ 上 ︶ 四 一 五 頁 の よ うに、 ﹁省外部局﹂の存在に触れるところがあるが、学士院はこれに含 まれないと思われる。 ︵ 8︶中島﹁覚書き﹂九二頁。 ︵ 9︶その経緯につき、小史七五頁参照。 ︵ 10︶参照、塩野宏・行政法Ⅰ︵第六版︶九四頁。 ︵ 11︶参照、美濃部・日本行政法︵上︶六九五頁。 ︵ 12︶中島﹁覚書き﹂九二頁。 ︵ 13︶ 参 照、 塩 野 宏・ 行 政 法 Ⅲ︵ 第 四 版 ︶ 二 八 六 頁 以 下。 学 士 院 会 員 も 会 員 の 選 定 等 に 携 わ る 点 か ら、 外 国 人 の 就 任 能 力 は な い も の と し て 運 用 されている。学術会議、芸術院も同様の扱いである。 ︵ 14︶ 学 士 院 会 員 が 特 別 職 の 公 務 員 と さ れ た こ と に つ き、 中 島﹁ 覚 書 き ﹂ 九 二 頁 は、 ﹁ そ の 職 の 特 殊 性 と 制 度 の 主 旨 に か ん が み ﹂ と し て い る が、 特 別 職 の 種 類 は 多 様 で、 統 一 的 な 整 理 は 困 難 で あ る。 筆 者 も そ の 一 員 で あ る 特 別 職 の 国 家 公 務 員 に 関 す る 法 制 研 究 会・ 特 別 職 の 国 家 公 務 員 に 関 す る 法 制 の 現 状 と 問 題 点︵ 昭 和 四 七 年 三 月 ︶ は﹁ 人 事 院 の 権 限 を 及ぼすことが不必要又は不適当である職を指す﹂ ︵一五頁︶ としている。 ︵ 15︶ 中 島﹁ 覚 書 き ﹂ 九 四 頁 は、 ﹁ 会 員 が そ の 職 責 を 果 た す こ と は、 年 金 支給に対する反対給付義務としてではなく徳義的な関係と考えられる﹂ と す る。 年 金 給 付 と 会 員 の 職 務 遂 行 は 直 接 に 結 合 し て い る も の で は な い。 た だ、 会 員 全 体、 つ ま り 学 士 院 と し て み れ ば 単 に﹁ 徳 義 ﹂ で は な く﹁職務の遂行﹂であると解される。 行政法学から見た日本学士院 九 五

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参考資料 日本学士院法(昭和三一年・法律第二七号) ︵目的︶ 第 一 条   日 本 学 士 院 は、 学 術 上 功 績 顕 著 な 科 学 者 を 優 遇 す る た め の 機 関 と し、 こ の 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り、 学 術 の 発 達 に 寄 与 す る た め 必 要な事業を行うことを目的とする。 ︵組織︶ 第 二 条   日 本 学 士 院 は、 日 本 学 士 院 会 員︵ 以 下﹁ 会 員 ﹂ と い う。 ︶ で 組 織 する。 2   会員の定員は、一五〇人とする。 3   日 本 学 士 院 に、 次 の 二 部 を 置 き、 会 員 は、 そ の 専 攻 す る 部 門 に よ り、 いずれかの部に分属する。    第一部   人文科学部門    第二部   自然科学部門 ︵会員︶ 第 三 条   会 員 は、 学 術 上 功 績 顕 著 な 科 学 者 の う ち か ら、 日 本 学 士 院 の 定 めるところにより、日本学士院において選定する。 2   会員は、終身とする。 3   会員は、非常勤とする。 4   会 員 は、 総 会 に お い て、 学 術 上 の 論 文 を 提 出 し、 又 は 紹 介 す る こ と ができる。 ︵役員︶ 第四条   省略 ︵会議︶ 第五条   省略 ︵客員︶ 第 六 条   日 本 学 士 院 は、 わ が 国 に お け る 学 術 の 発 達 に 関 し 特 別 に 功 労 の あった外国人に、日本学士院客員の称号を与えることができる。 ︵国際学士院連合への加入︶ 第七条   日本学士院は、国際学士院連合に加入することができる。 ︵事業︶ 第八条   日本学士院は、次の事業を行う。   一   学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対する授賞   二   会 員 が 提 出 し、 又 は 紹 介 し た 学 術 上 の 論 文 を 発 表 す る た め の 紀 要 の編集及び発行   三   そ の 他 学 術 の 研 究 を 奨 励 す る た め 必 要 な 事 業 で、 日 本 学 士 院 が 行 うことを適当とするもの ︵年金︶ 第九条   会員には、 予算の範囲内で、 文部科学大臣の定めるところにより、 年金を支給することができる。 ︵職員︶ 第十条   日本学士院に、事務長その他所要の職員を置く。 2   事 務 長 は、 院 長 の 指 揮 を 受 け、 日 本 学 士 院 に 関 す る 庶 務 を 整 理 し、 その他の職員は、上司の指揮を受け、庶務に従事する。 ︵雑則︶ 第 十 一 条   こ の 法 律 に 定 め る も の の ほ か、 日 本 学 士 院 の 内 部 組 織 そ の 他 その運営について必要な事項は、院長が、総会の議を経て、定める。 各省官制(明治一九年・勅令第二号) 文部省 第 三 条   文 部 省 総 務 局 ニ 書 記 官 七 人 ヲ 置 キ 通 則 ニ 掲 グ ル モ ノ、 外 文 書 課 ニ於テ左ノ事務ヲ掌ラシム 二   学 士 会 院 音 楽 取 調 掛 図 書 取 調 掛 訓 盲 唖 院 教 育 博 覧 会 及 海 外 留 学 生 ニ 関スル事項 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 九 六

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文部省官制(明治三一年・勅令第二七九号) 第五条   専門学務局ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル 十   学士会院ニ関スル事項 東京学士会院規程(明治二三年・勅令第二六四号) 第 一 条   東 京 学 士 会 院 ハ 学 芸 ノ 品 位 ヲ 高 ク シ 以 テ 教 化 ノ 裨 補 ヲ 謀 ラ ン カ 為ニ設クル所ニシテ文部大臣ノ管轄ニ属ス 第 二 条   東 京 学 士 会 院 ハ 耆 徳 碩 学 ノ 中 ヨ リ 選 出 セ ラ レ タ ル 会 員 ヲ 以 テ 組 織ス其選出ノ方法及人員左ノ如シ    一   帝室ノ特選ニ依ル会員十五名    一   会員ノ推選ニ依ル会員二十五名   会員ノ推選ニ依ルモノハ文部大臣ノ認可ヲ経ルヲ要ス   会員ハ終身トス 第 五 条   東 京 学 士 会 院 会 員 満 六 十 歳 以 上 ノ 者 十 名 以 内 ヲ 限 リ 特 ニ 各 年 金 三百円ヲ賜フコトアルヘシ 帝国学士院規程(明治三九年・勅令第一四九号) 第 一 条   帝 国 学 士 院 ハ 文 部 大 臣 ノ 管 理 ニ 属 シ 学 術 ノ 発 達 ヲ 図 リ 教 化 ヲ 補スルヲ以テ目的トス 第 二 条   帝 国 学 士 院 会 員 ハ 帝 国 学 士 院 ニ 於 テ 碩 学 中 ヨ リ 推 選 シ 勅 旨 ヲ 以 テ之ヲ命ス 第 三 条   外 国 人 ニ シ テ 帝 国 ニ 於 ケ ル 学 術 ノ 発 達 ニ 関 シ 特 別 ノ 功 労 ア ル 者 ハ帝国学士院ニ於テ之ヲ客員ト為スコトヲ得 第 九 条   帝 国 学 士 院 ハ 文 部 大 臣 ノ 認 可 ヲ 受 ケ 外 国 ニ 於 ケ ル 学 術 上 ノ 団 体 ト共同シテ研究ヲ為シ又ハ其ノ会員トナルコトヲ得 第 十 条   文 部 大 臣 ハ 学 術 及 教 化 ニ 関 ス ル 事 項 ニ 付 帝 国 学 士 院 ニ 諮 詢 ス ル コトヲ得 学術会議法(昭和二三年・法律一二一号) 第 一 条   こ の 法 律 に よ り 日 本 学 術 会 議 を 設 立 し、 こ の 法 律 を 日 本 学 術 会 議法と称する。 2   日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。 3   ︵略︶ 第 二 条   日 本 学 術 会 議 は、 わ が 国 の 科 学 者 の 内 外 に 対 す る 代 表 機 関 と し て、 科 学 の 向 上 発 達 を 図 り、 行 政、 産 業 及 び 国 民 生 活 に 科 学 を 反 映 浸 透させることを目的とする。 第六章   日本学士院 第 二 十 四 条   日 本 学 術 会 議 は、 学 術 上 の 功 績 顕 著 な 科 学 者 を 優 遇 す る た めに、日本学士院を置く。 2   日 本 学 士 院 は、 学 術 の 研 究 を 奨 励 す る た め、 特 に す ぐ れ た 論 文、 著 書その他特定の研究業績に対して授賞することができる。 3   日本学士院は、日本学士院会員をもつてこれを組織する。 4   日 本 学 士 院 会 員 の 数 は、 百 五 十 人 と し、 日 本 学 術 会 議 が こ れ を 選 定 する。 5   日本学士院会員は、終身とする。 6   日 本 学 士 院 会 員 に は、 予 算 の 範 囲 内 で、 内 閣 総 理 大 臣 の 定 め る と こ ろにより、年金を支給することができる。 附則 第 三 十 二 条   第 二 十 四 条 及 び 第 三 十 条 の 規 定 施 行 の 際、 日 本 学 士 院 規 程 に よ つ て 任 命 さ れ た 日 本 学 士 院 会 員 は、 引 き 続 き こ の 法 律 に よ る 日 本 学士院会員になつ たものとする。 文部科学省設置法(平成一一年・法律第九六号) 第三章   第三節   特別の機関 第九条   本省に、日本学士院を置く。 ︵日本学士院︶ 行政法学から見た日本学士院 九 七

(18)

第 十 条   日 本 学 士 院 に つ い て は、 日 本 学 士 院 法︵ 昭 和 三 十 一 年 法 律 第 二 十七号︶の定めるところによる。 第四章   外局   第三節   文化庁    第三款   特別の機関 ︵日本芸術院︶ 第二十三条   文化庁に、日本芸術院を置く。 2   日本芸術院は、次に掲げる事務をつかさどる。   一   芸術上の功績顕著な芸術家の優遇に関すること。   二   芸 術 の 発 達 に 寄 与 す る 活 動 を 行 い、 並 び に 芸 術 に 関 す る 重 要 事 項 を 審 議 し、 及 び こ れ に 関 し、 文 部 科 学 大 臣 又 は 文 化 庁 長 官 に 意 見 を述べること。 3   日 本 芸 術 院 の 長 及 び 会 員 は、 政 令 で 定 め る と こ ろ に よ り、 文 部 科 学 大臣が任命する。 4   日 本 芸 術 院 の 会 員 に は、 予 算 の 範 囲 内 で、 文 部 科 学 大 臣 の 定 め る と ころにより、年金を支給することができる。 5   日 本 芸 術 院 の 組 織、 会 員 そ の 他 の 職 員 及 び 運 営 に つ い て は、 政 令 で 定める。 日本芸術院令(昭和二四年七月二三日政令第二八一号) 第 一 条   日 本 芸 術 院 は、 芸 術 上 の 功 績 顕 著 な 芸 術 家 を 優 遇 す る た め の 栄 誉機関とする。 第 三 条   会 員 は、 部 会 が 推 薦 し、 総 会 の 承 認 を 経 た 候 補 者 に つ き、 院 長 の申出により、文部科学大臣が任命する。 第 四 条   会 員 は、 終 身 と す る。 た だ し、 会 員 が 退 任 を 申 し 出 た 場 合 に は、 総会の承認を経て、これを認めることができる。 日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 九 八

(19)

other words, it is a preferential institution, while at the same time it is a special

autonomous organization that is required to contribute to the development of

science, and in Japan’s National Government Organization Act, it can be seen as a

truly special institution.

行政法学から見た日本学士院

(20)

points, the Academy receives different treatment compared to other more usual

administrative institutions.

 Firstly, the Academy is organized through the Academy members. As a preferential

institution towards especially accomplished scientists, it pays annual expenses

within the range of the budget to the members. The selection of the members is

carried out by the Academy, and the government does not intervene with this

process. Moreover, the government does not have – in terms of the law – the

supervisory authority of human affairs towards members, such as the power to

dismiss members. Everything is left to the members’ and the Academy’s autonomy.

 Regarding the work carried out by the Academy, the Academy Act has the

Academy’s administrative work as presenting awards for scientific achievements,

and editing and issuing transactions for presenting scientific papers of members and

other researchers (Transactions of the Japan Academy and Proceedings of the Japan

Academy Ser. A, B). Furthermore, it also upholds work as a member of the UAI and

selects foreign scholars who have made particularly important contributions to

science and academics in Japan as an honorary member. In addition to this, the

Academy Act places the general term that states, “Other work that is necessary for

encouraging scientific research and is deemed suitable for the Japan Academy to

carry out.” Through this, the Academy holds public lectures (twice a year) and

lectures especially for the students, etc. The conclusion of exchange agreements

with academies of other countries, the Japan-Korea Science Forum and the Japan

Academy Medal can also be included here.

 In regard to the Academy’s work, the government has no right of supervision

apart from deciding the Academy’s budget and the right to inspect the Academy’s

expenses under the Accounting Act. On the other hand, the Academy – in relation to

science – does not have the power to make proposals to the government or to submit

reports to the government’s questions. These are left to the Science Council.

Moreover, the Academy is not permitted to exercise regulatory authority to either

the private sector or the public sector in relation to scientific research.

 As written above, the Japan Academy is an administrative institution of the

country, and its members are national public servants, but there is no government

intervention towards the appointment of members and the Academy’s work. In

日本学士院紀要   第七十五巻   第二号 一 〇 〇

(21)

 The history of the Japan Academy goes back to the Tokyo Academy that was

founded in 1879, up to ten years before the establishment of the Meiji Constitution

(1889). When it was founded, it had Western academies as its model. After that it

became the Imperial Academy in 1906 through its reorganization under the Meiji

Constitution, and carried out activities within the country as an academy, and it also

joined the Internationale Assoziation der Akademien (International Association of

Academies) in the same year. Under the Constitution of Japan established after

World War II (1946), the Science Council of Japan was set up as an institution

representing Japan’s scientists in and out of the country. With this, the Imperial

Academy was renamed as the Japan Academy and placed within the Science Council

of Japan. After that the Japan Academy Act was established, and the Japan Academy

drew away from the Science Council and became an independent institution for the

preferential treatment of especially accomplished scientists, and it has carried on

like this until today. According to the Japan Academy Act, the Academy aims to not

only give privileges to scientists, but to also carry out work that is necessary for

contributing to the development of science. As part of the international exchange of

science, they have joined the Union Académique Internationale (which will

henceforth be shortened to “UAI”) and have held the UAI General Assembly in

Tokyo in 2017.

 The current organization known as the Japan Academy is, in terms of Japan’s

legal system, one of the administrative institutions of the country. To put it in more

detail, the Japan Academy is a type of institution affiliated to the Ministry of

Education, Culture, Sports, Science and Technology, and is one of the “special

institutions” set up when there is a special necessity.

 As mentioned above, the Japan Academy is an administrative institution, and its

members are national public servants with special positions. However, on many

The Special Characteristics of the Japan Academy Seen from

Administrative Law

Hiroshi S

HIONO, M. J. A. 行政法学から見た日本学士院 一 〇 一

参照

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