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食品廃棄物飼料化システムの現段階と課題 -リキッドフィードに注目した社会実装の規範分析-

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フードシステム研究第 27 巻4号 2021. 3 − 262 −1 / 6 【報告論文】

食品廃棄物飼料化システムの現段階と課題

-リキッドフィードに注目した社会実装の規範分析-

グローシップ・パートナーズ株式会社(前 筑波大学大学院生命環境科学研究科)

市川 紗矢香

筑波大学生命環境系

松下 秀介

Food Recycling System for Livestock Feed: Significance for Social Implementation

GrowShip Partners Co.,Ltd., Former Student in Graduate School of Life and Environmental Sciences, University of Tsukuba Sayaka ICHIKAWA Faculty of Life and Environmental Sciences, University of Tsukuba Shusuke MATSUSHITA

In order to promote the turning of food waste into livestock feed, it is necessary to develop a mechanism for operating efficient and stable food recycling system. Negative pricing is likely to be one of the crucial issues in promoting this system. In this study, interview surveys with two feed producers located in suburbs of metropolis and local cities were conducted based on the hypothesis, feed producers may be the key players in improving this system. Both feed producers were building up mechanisms that would benefit food waste generators, pig farmers and their local businesses. Results of this study revealed that feed producers could play a crucial role in improving the mechanism, which could promote social implementation of this system.

Keywords: food recycling system, livestock feed, social implementation, negative pricing, local business

1.食品廃棄物飼料化の現段階 食品の生産から流通・消費に至るプロセスでは 大量の食料廃棄が存在しており、これらの削減は、 現代社会において取り組むべき重要課題のひとつ である。平成12 年に制定された「食品循環資源の 再生利用等の促進に関する法律」では、食品廃棄 物削減に向けて、発生抑制と減量化とともに再生 利用を推進しており、平成 19 年の改正では再生 利用の方法として飼料化を優先すべきと定められ た。日本の畜産業は、戦後、流通飼料に依存した 省力化大規模路線を辿ってきたが、配合飼料価格 の高騰や労働生産性上昇の鈍化等に直面しており、 方向転換を迫られている(栗原 2008)。食品廃棄 物の飼料化は、廃棄物削減による環境負担低減に 加え、安価な飼料供給や良質な豚肉の生産等、新 たな価値創造につながる可能性を有する。 飼料化に関する既存研究では、家畜の健康や最 終生産物に及ぼす影響等の生産技術的な議論が多 数ある。具体的に、まず入江(2009a)では、食品 廃棄物の飼料化方法を大きく乾燥(脱水・加圧・ 加熱:減圧・油温脱水・発酵)、湿式(加熱・発酵) とその他(化学処理・爆砕・灰化等)に分類し、 湿式の発酵処理の一形態としてリキッド化が整理 されている。さらに入江(2009b)では、各飼料化 方法についてそれらのコストや安全性、畜産物の 品質への影響等、それぞれの特徴が比較されてお り、リキッドフィードの養豚での利用可能性が提 示されている。他方、鈴木・内田(2004)や淡路・ 市川(2005)では、養豚経営における食品残さの 利用による飼料削減効果が明らかにされている。 以上の研究成果を踏まえたうえで、今後さらな るリサイクル飼料利活用を促進するためには、食 品の生産から流通・消費に至るプロセスにおいて 発生した食品廃棄物を効率的に収集・運搬し、質・ 量ともに安定した飼料を製造する仕組みの整備が 有力な一方策になると考えられる。 そこで本研究では、飼料製造を専門に担う部門 を備えており、相対的に効率的な技術選択と経営

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− 263 −2 / 6 意思決定が行われていると期待できる企業に注目 する。特に、養豚部門において原料の汎用性が広 くコスト削減に有効とされるリキッドフィードに 注目し、これを製造する2つの企業を対象として、 概念モデル(図2、3)を用いた規範分析を通じ、 リサイクル飼料利活用の現段階と課題について考 察することを課題とする。 2.概念モデル まず、食品廃棄物に関する議論の範囲を明確に するため、生産段階から流通・工業用加工段階、 食品加工・消費段階に至る食品廃棄物発生のフロ ーを図1に示す。 まず、生産段階では、例えば圃場で収穫された 農産物のうち、輸出も含む出荷に仕向けられなか った部分が食品廃棄物と区分される。具体的には、 圃場に残された収穫残渣、選果過程で発生した規 格外品(選果ロス)などである。ただし、生産主 体による自家消費分も出荷仕向けではないが食品 廃棄物には含まれず、その量も相対的に少ないと 考えられる。 次に、流通・工業用加工段階では、国内におけ る生産分に加え、輸入された食品を加えた総仕向 量が計測される。そして、粗食料として消費され る部分と加工・飼料・種子等に仕向けられる分を 除き、加工残渣や流通過程での調整による減耗分 (減耗=時間の経過や保存による劣化・腐敗・損 失等)が食品廃棄物として区分される。 食品加工・消費段階では、流通・工業用加工段 階において粗食料として仕向けられたもののうち、 未利用部分が廃棄物として区分される。さらに、 最終消費段階における売れ残り・食べ残しなどが 発生するが、食べ残しについては、衛生上の問題、 異物混入のリスク、消費者心理等の理由から、飼 料原料としての利用対象から外している(註 1)。 すなわち、本研究で議論の対象とする食品廃棄 物には、生産段階における収穫残渣、選果ロス、 流通・工業用加工段階における減耗分、食品加工・ 消費段階における未利用部分および売れ残りが該 当する。そして、本研究では、これらの市場化方 策を検討することを課題としている。 1)各主体の技術構造と飼料の需給状況 本研究で提案する概念モデルを図2に示す。こ こでは、事業系廃棄物を排出する食品企業、その 廃棄物を処理する自治体と飼料化企業、そして、 畜産農家(本研究の事例では養豚農家)というこ の地域に立地する主体の行動が表現されている。 まず、ある地域の全ての食品企業が排出する食 図1 産業段階における食品廃棄物発生のフロー ? ? 粗食料 売れ残り 食べ残し 輸出 輸入 工業用加工 飼料・種子等 減耗 出荷量 国内消費 仕向量 栽培量 収穫残渣 選果ロス 自家消費 食品加工・消費段階 生産段階 流通・工業用加工段階 未利用部分 摂取量 純食料

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− 264 −3 / 6 料品由来の事業系廃棄物(選果・加工プロセスに おける裾物・残渣、売れ残りなど)の総量を 𝑄𝑄̅ = 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐. とする。図2において、この総量は𝑂𝑂𝑂𝑂′間 の距離で示される。 次に、自治体は、地域の食料品由来の事業系廃 棄物全体を処理可能な技術を有し、この技術の費 用関数を 𝐶𝐶𝑆𝑆= 𝐶𝐶𝑆𝑆(𝑄𝑄𝑆𝑆) とする。ここで、通常の費 用関数における技術条件により、𝐶𝐶𝑆𝑆> 0 𝐶𝐶 𝑆𝑆′′> 0 なる関係が定義される。また、この自治体が、全 食品企業からの排出量( 𝑄𝑄̅ )の処理に要する総費 用を補償可能な事業系廃棄物の処理価格を設定し ていると仮定すると、その処理価格は 𝑃𝑃𝑆𝑆 となる。 図2において 𝐶𝐶𝑆𝑆′ は 𝑂𝑂′ を原点として下方向に描 かれており、以上の仮定により∆𝑎𝑎𝑎𝑎𝑐𝑐 = ∆𝑑𝑑𝑎𝑎𝑑𝑑 の条 件下において処理価格 𝑃𝑃𝑆𝑆 が定まる。 また、飼料化企業は、当該地域の食品企業が排 出する事業系廃棄物を原料として畜産農家(養豚 農家)に供給する飼料を製造しており、この処理 技術の費用関数を 𝐶𝐶𝑉𝑉= 𝐶𝐶𝑉𝑉(𝑄𝑄𝑉𝑉) と設定する。ここ でも、通常の費用関数の技術条件により𝐶𝐶𝑉𝑉> 0 𝐶𝐶𝑉𝑉′′> 0 なる関係が定義される。また、飼料の生産 関数を 𝑞𝑞𝐹𝐹= 𝑞𝑞𝐹𝐹(𝑄𝑄𝑉𝑉) = 𝛽𝛽 ∙ 𝑄𝑄𝑉𝑉(0 < 𝛽𝛽 < 1) と定義 する。よって、図2において 𝑂𝑂 を原点として上方 向に描かれている限界費用関数:𝐶𝐶𝑉𝑉 は、飼料供給 関数 𝐶𝐶𝑉𝑉(𝑞𝑞 𝐹𝐹⁄ ) となる。 𝛽𝛽 他方、事業系廃棄物由来の飼料を利用する畜産 農家の行動については、前出の飼料化企業により 供給される飼料を需要する価格需要者であり、こ の飼料は、畜産農家が従来から利用している濃厚 飼料と完全代替的な財であると仮定する。結果、 畜産農家の飼料需要曲線は 𝑙𝑙𝑐𝑐 となり、事業系廃 棄 物換 算の 取引 価格 は濃 厚飼 料価 格に 依存し 𝑝𝑝𝐹𝐹∗⁄ となる。 𝛽𝛽 結果、図2に示される市場では、飼料供給関数 図2 食品廃棄物飼料化に関わる各主体の技術構造と飼料の需給状況

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− 265 −4 / 6 𝐶𝐶𝑉𝑉′:ℎ𝑖𝑖 と飼料需要曲線 𝑙𝑙𝑙𝑙 の間には交点がなく、 飼料化企業と畜産農家間の取引は成立していない。 つまり、この市場で供給される食品廃棄物由来の 飼料については、財の品質は従来給餌されている 濃厚飼料と完全代替の関係にあるが、供給される 価格水準がこの濃厚飼料を大きく上回っているた めに飼料化企業と畜産農家間の取引が不成立とな ることが理解できる。 2)逆有償による構造変化 そこで、飼料化企業は、食品企業からの事業系 廃棄物の受け取りに際し費用(処理価格=𝑃𝑃𝑉𝑉)を 課し、逆有償による取引を行うと仮定する。この とき、飼料化企業には、事業系廃棄物取引に関す る自治体との競争関係により、𝑃𝑃𝑉𝑉< 𝑃𝑃𝑆𝑆(図3)な る価格条件が課されることとなる。 このとき、逆有償を考慮した飼料化企業の新し い飼料供給関数は 𝐶𝐶𝑉𝑉− 𝑃𝑃𝑉𝑉𝑗𝑗𝑗𝑗 となり、飼料需要 曲線 𝑙𝑙𝑙𝑙 の間には交点 𝑚𝑚 が成立し、事業系廃棄 物取引の均衡点 𝑃𝑃𝑉𝑉(𝑝𝑝𝐹𝐹⁄ , 𝑄𝑄𝛽𝛽 𝑉𝑉∗) が求められる。 3)事業系廃棄物市場の余剰分析:飼料化企業が 存在しない場合 図2での議論の通り、全ての食品企業と自治体 間の取引において廃棄物が処理されており、全て の食品企業から自治体への支払額(=𝑂𝑂𝑂𝑂𝑐𝑐𝑐𝑐)、 自治体の廃棄物処理コスト(=𝑂𝑂𝑂𝑂𝑎𝑎𝑎𝑎)が計測 される。結果、∆𝑎𝑎𝑎𝑎𝑐𝑐 = ∆𝑎𝑎𝑎𝑎𝑐𝑐 の条件により両者は 等しく、社会的余剰はゼロとなる。 4)事業系廃棄物市場の余剰分析:飼料化企業が 存在(稼働)している場合 全ての食品企業と自治体間の取引において、全 ての食品企業から自治体への支払額(=𝑡𝑡𝑂𝑂𝑐𝑐𝑐𝑐)、 図3 食品廃棄物飼料化に関わる各主体の技術・需給構造と逆有償による構造変化

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− 266 −5 / 6 = 𝑡𝑡𝑡𝑡𝑎𝑎𝑎𝑎)が計測さ れる。結果、この取引によって発生する社会的余 剰は □𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎 となり正値となる。 他方、飼料化企業と全ての食品企業・畜産農家 間の取引において、全ての食品企業から飼料化企 業への支払額(=𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡𝑡 =ℎ𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠)、飼料化企業 の廃棄物処理コスト(=𝑡𝑡𝑡𝑡𝑠𝑠ℎ)が計測され、畜 産農家の便益は飼料化企業への支払額と同値(=𝑡𝑡𝑡𝑡𝑠𝑠𝑂𝑂)となる。 結果、 社会的余剰は △ 𝑡𝑡𝑂𝑂𝑠𝑠 − △ trm であり、飼料化企業が合理的である(△ 𝑡𝑡𝑂𝑂𝑠𝑠 >△ trm)限り、正値となる。 最終的に、廃棄物の飼料化利用を考慮した場合 の総経済余剰は △ 𝑡𝑡𝑂𝑂𝑠𝑠 −△ trm +𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎であり、 正値となる。しかし、以上は短期的な市場均衡に ついての考察であり、長期的には、輸入に依存し た濃厚飼料市場の動向、飼料化企業の存在を前提 とした自治体の事業系廃棄物処理政策等を考慮し た動学的な分析が求められることは当然である。 3.事例分析 以上の規範分析に続き,本節では,食品廃棄物 処理に関する原料供給、産出物としての飼料需要 に注目し、それらの市場が対照的な特徴を備える 都市近郊と郊外の企業を選定した事例分析を行う。 1)都市近郊における飼料化の事例 株式会社Fは、神奈川県相模原市に位置する企 業である。2005 年に創業した、リキッドフィード 製造者の先駆け的な存在である。食品工場・百貨 店等から運搬業者を介して食品廃棄物を収集し、 製品を関東近郊の中小規模養豚農家約 15 戸に販 売している。 食品企業との契約の際に受け入れる原料を選別 しており、塩分・脂質の多いものは収集容器に入 れないように指導している。具体的に、食料品製 造工場からは、ご飯類、パン類、そば・うどん類 が、百貨店やスーパーからは、惣菜類、野菜くず が搬入されている。飼料製造工場内には2つのラ インがあり、炭水化物が主原料のベースミックス と、惣菜や野菜くずが主原料のサブミックスを各 農家の希望の割合で配合し農場まで配送している。 ため、養豚農家と連携して豚肉ブランドを立ち上 げるなど、飼料化システム全体としての基盤強化 に努めている。 今後の課題は、さらなる原料の確保にある。原 料確保の妨げとなっている原因のひとつとして、 自治体での廃棄物処理費用の安さが指摘される。 具体的に、東京都 23 区では廃棄物処理費用単価 15.5 円/kg、三多摩地区では 30~42 円/kg であり、 例えば同一の会社でも、三多摩地区の店舗から排 出されるものはすべて搬入されるが、23 区内から は搬入されないことがあるという。また、原料確 保のためには、食べ残しや塩分・脂質の多いもの なども一括して受け入れることができるようバイ オガス発電の併設も対策のひとつとして検討され ている。 2)郊外に立地する飼料化の事例 H株式会社は、長崎県長崎市に位置する廃棄物 処理業者である。食品廃棄物は、以前は全て堆肥 化していたが、堆肥の需要が限られることや、環 境への配慮から、平成 27 年からリサイクル飼料 製造事業を開始した。県内で調達可能な食品廃棄 物は多様であり、原料は社員食堂工場や病院・自 衛隊、コンビニエンスストアの売れ残りなど広範 囲にわたっている。春と秋には、馬鈴薯選果場か ら規格外馬鈴薯を引き受けている。 長崎県の廃止物処理費用単価は7円/kg 程度で あり、東京都と比べてさらに安い。そのためH株 式会社は、処理費用による差別化で食品廃棄物を 収集することが難しく、扱う食品廃棄物が多様に なっている。これらの多様な食品廃棄物を引き受 けるため、H株式会社ではたい肥化施設を併設し ており、収集物に卵の殻や魚のアラなど飼料化で きないものが混合していた場合は、その袋や容器 に同梱されている食品廃棄物を全て堆肥化に仕分 けている。 H株式会社の飼料製造ラインは1つであり、そ の日に収集したご飯の量に合わせて野菜くずやそ の他の原料の投入割合を調整すること、またタン パク質を補うために購入した大豆粕を投入するこ とで飼料の栄養素を一定に保っている。飼料の供

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− 267 −6 / 6 給先としては、県内の2戸の養豚農家との取引関 係がある。1戸の農家には自社のタンクローリー で配送し、もう1戸の農家には引き取りに来ても らうことで製品の供給を行っている。 今後の課題は、先の事例と同様、さらなる原料 の確保にあるという。しかし、その具体的な課題 は、同質的な食品廃棄物の一定量継続した調達を 可能とするような県内における食品製造業との取 引が期待できない、すなわち安定した原料の確保 が難しいという市場の大きさに起因している。つ まり、市場での競争を課題としていた株式会社F の場合とは本質的に異なる。 4.事例にみる食品廃棄物飼料化システムの課題 リサイクル飼料の製造方法や給与方法は、その ノウハウが確立され、各種セミナーや勉強会等を 通して普及されつつある。本研究においては、食 品関連事業者が集中する大都市近郊だけでなく、 地方都市においても飼料原料となる食品廃棄物が 相当量収集可能な事例が存在することが指摘でき た。また従来では収集が困難とされてきた規格外 農産物も、選果場を利用することでまとまった量 が確保でき、特に馬鈴薯は飼料原料として有効で あることがわかった。また、飼料製造主体が担う 役割の範囲は、リサイクル飼料の利用者である養 豚農家の規模によって異なることが推測された。 例えば、株式会社Fが農家に合わせた飼料の調整、 畜産物の販路確保までを担うことで、養豚農家は 最小限の設備投資でリキッドフィードを利用でき る。一方で、大規模養豚農家が原料の収集から畜 産物の販売まですべてを行う事例も存在する。こ れらの役割分担からは、地域における食品廃棄物 量の賦存状況、飼料製造主体・養豚農家の備える 規模・技術水準等に応じて、食品関連事業者と飼 料製造主体、飼料製造主体と養豚農家の取引関係 が規定されると考えられた。 また、今回の事例では、原料の確保が共通の課 題であった。対策としては、食品企業から徴収す る食品廃棄物処理価格を一般的な廃棄物処理価格 より相対的に安くすること、食品企業の分別の手 間を軽減するため、メタン化等の施設を併設し飼 料原料としての適性に関わらず食品廃棄物を受け 入れること、食品企業のオンサイト処理施設の整 備等により利用できる原料を拡大することなどが 考えられる。 食品廃棄物飼料化の社会実装へ向けた取り組み は始まったばかりである。そして産業として萌芽 期にあることは分析上の課題とも関連している。 つまり、市場の競争状態や技術的な平準化が発展 途上にあるため、個々の企業間の取引関係に依存 する価格等の数値情報が、統計的にも、聞き取り 調査の結果としても、分析作業への利用が困難な ことに議論の限界があった。様々な地域における 事例の収集と蓄積による規範分析から実証分析へ の発展を今後の研究上の課題としたい。 (註1)この意味で、本研究で議論の対象とする食品 廃棄物は「食品ロス」とは異なる。具体的に、 農林水産省(2020)では、「食品ロス」を「国民 に供給された食料のうち本来食べられるにも かかわらず廃棄されている食品」と定義してお り、その定義は事業系・家庭系の廃棄物を包含 する広義のものである。たとえば、売れ残り、 規格外品、返品、食べ残し、直接廃棄が具体例 として挙げられている。 参考文献 淡路和則・市川隆久(2006)「食品残さ飼料化の経済 的意義と展開プロセス」『農業経営研究』 43(1):169-173. 入江正和(2009a)「エコフィードの現状と可能性に ついて」『日本草地学会九州支部会報』38(2):4-8. 入江正和(2009b)「エコフィードの製造・利用技術 と展望」『日本暖地畜産学会報』52(2):1-9. 栗原幸一(2008)「日本畜産の展開と畜産・草地研究 の課題」『日本草地学会誌』54(2):162-167. 農林水産省(2020)「食品ロス及びリサイクルをめぐ る情勢(令和2年5月時点版)」https://www.maff.g o.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_ 4-149.pdf(2020 年 10 月閲覧). 鈴木一好・内田賢一(2004)「リキッドフィーディン グの経営経済的評価Ⅱ飼料費削減効果」『千葉県畜 産総合研究センター研究報告』4:65-66.

参照

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