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計算論的関連性理論における日本語条件文の解釈

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Academic year: 2021

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title

計算論的関連性理論における日本語条件文の解釈

Author(s)

松井 理直(Michinao MATSUI)

Citation

Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin,

No.8:53-81

Issue Date

2005

Resource Type

Bulletin Paper / 紀要論文

Resource Version

URL

Right

(2)

計算論 的関連性理論 における日本語条件文の解釈*

松井 理直

Interpretations

of Japanese

Conditionals

on Computational

Relevance

Theory

Michinao F. MATSUI

Abstract

Everyday situations require us to reason. For solving complex problems in our real world, it is important not only to get explicit information from the outside world, but also to seek and identify appropriate information by selecting it from a huge amount of knowledge stored in memory. Therefore, reasoning is fundamen-tal to human intelligence. The most important process of reasoning is to select optimal knowledge which is essential to interpretation of current information, and to ignore inappropriate knowledge which is irrelevant. In Relevance Theory, it is claimed that an optimal relevance gives the most appropriate interpretation by means of deductive inference. This paper provides a way of computational formal-ization of Relevance Theory and proposes a system of an interpretation of some aspects of Japanese conditionals.

1.序 論 推 論 は 人 間 の 思 考 にお け る 最 も重 要 な 特 性 の 一 つ で あ る 。 推 論 に よ っ て 、 我 々 は 直 接 的 な経 験 を経 ず して 、 新 た な 知 識 を 獲 得 す る こ とが で き 、 現 実 に適 切 に対 処 す る こ と が で き、 過 去 の 出 来 事 の 原 因 を 理 解 し、 未 来 の 事 態 を予 測 す る こ とが で き る 。 素 晴 ら しい こ と に、 人 間 は しば しば 適 切 な 推 論 思 考 を行 い 、 様 々 な 問 題 に 対 して う ま く対 応 す る こ とが で き る。 もち ろ ん 、 人 聞 が 常 に正 しい 思 考 ・推 論 を行 う とは 限 ら な い 。 こ れ に は い くつ か の 理 由 が あ る。 まず 、 正 しい推 論 に必 要 と な る 正 確 な 証 拠 を常 に 入 手 で き る わ け で は な い 。 ま '本研究は、日本学術振異会科学研究費補助金 ・基盤研究{A)「 日常的推論の論理 と言語形式:量化表現、条 件文、モーダル表現 を中心 として」(平成15年 度 ∼平成18年 度、研究代表者:郡司 隆男、課題・番号15202009) の援助を受けている。

Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin 8, 53-81, 2005. Q Kobe Shoin Institute for Linguistic Sciences.

(3)

た 、 我 々 の 能 力 そ の もの に も限 界 が あ る 。 人 間 とい う認 知 主 体 を取 り巻 く環 境 は 極 め て 範 囲 が 広 く、 か つ 常 に情 報 が 流 動 的 に 変 化 して い る 世 界 で あ る 。 認 知 主 体 の 持 つ 知 覚 ・ 思 考 ・伝 達 とい っ た情 報 処 理 能 力 は 、 外 界 に存 在 す る 膨 大 な 情 報 の 一 部 分 しか 処 理 す る こ とが で きな い 。 した が っ て 、 完 全 解 を 常 に 求 め る こ とが で き る と は 限 ら な い 。 重 要 な こ と は 、 認 知 主 体 が を少 しで も よ り よ い 解 を得 る た め に 、 部 分 情 報 を 手 が か りに して 可 能 な 限 り安 定 し た体 制 化 と推 論 を行 お う と して い る 点 に あ る 。 認 知 の 本 質 は 、 巨 大 な 認 知 環 境 が 内 包 す る多 様 性 に適 応 して い く能 力 と い っ て も よ い 。 SperberとWilsonに よ っ て 提 案 さ れ て い る 関 連 性 理 論(Sperber&Wilson,】986)は 、認 知 主 体 が 部 分 情 報 か ら い か に 適 切 に情 報 の 体 制 化 を 行 うか と い う 問 題 に対 す る極 め て 興 味 深 い 理 論 で あ る。 現 在 、 この 理 論 は 言 語 ・思 考 ・知 覚 か ら社 会 文 化 に至 る認 知 活 動 の 幅 広 い分 野 に応 用 され て お り、 人 間 の 知 的 活 動 全 般 を支 配 す る 性 質 を 考 え る 上 で 、 大 変 に 重 要 な モ デ ル を提 案 し て い る 。 ま た 、 理 論 の 基 盤 とな る前 提 や 原 理 が 明 示 的 に 規 定 さ れ て い る た め 、 理 論 を形 式 的 に 表 現 で き る 可 能 性 を 持 っ て い る 点 も魅 力 で あ る 。 本 稿 で は 、 こ の 関 連 性 理 論 を定 量 的 に 形 式 化 す る 手 法 の 一 つ を提 案 し 、 そ れ に基 づ い て 、 言 語 に 関 連 す る 推 論 、 特 に条 件 文 の解 釈 過 程 に つ い て 考 察 を 行 う。

二 計算論的関連性理論

2.1関 連 性 理 論 まず 始 め に 、 関 連 性 理 論 の 枠 組 み を 簡 単 に 概 観 して お こ う。 まず 、 こ の 理 論 の 中 心 を な す 関 連 性 の 概 念 は(1)の よ う に 定 義 さ れ る 。 (1)a. b C. d あ る 事 実 や 刺 激 を 持 つ 状 況 が 認 知 主 体 に表 象 され 、 そ の 表 象 を 「真 実 あ る い は 真 実 で あ ろ う」 と して 受 理 可 能 で あ る 時 、 そ の 状 況 を 顕 在 的(㎜ 扉3')で あ る とい う。 本 稿 で は 、 顕 在 的 事 実 の こ と を 想 定(o∬ 翻卯 だoπ)と呼 ぶ 。 あ る認 知 主 体 に お け る 想 定 の 総 体 を 認 知 環 境(CO8η'"Vε εηV∫70η〃28π玄3)と呼 ぶ 。 認 知 環 境 の 改 善 を も た らす 作 用 を 認 知 効 果(co8纏 ∫vε雌c切 とい う。 認 知 効 果 は(i)新 しい 想 定 の 獲 得 、(ii)不確 実 な 想 定 の 確 定 、(iii)誤っ た想 定 の 棄 却 、

に よ っ て もた ら さ れ る。 不 必 要 な コ ス トを払 う こ と な しに 認 知 効 果 を も た らす 情 報 の こ と を 、 関 連 性 (副 εvαηcθ)を持 つ 情 報 とい う。 認 知 主 体 は 、 部 分 情 報 に 一 貫 性 を持 た せ 、 体 制 化 さ れ た も の にす る た め 、 外 界 の 情 報 間 あ る い は 自 ら の 想 定 の 間 に常 に 関 連 性 を 求 め る存 在 で あ る 。Sperber&Wilsonは 、 こ う した 性 質 を 関 連 性 の 認 知 原 理(co8腕 漉 ρア'ηc剃εげ 眉2伽oηcの と 呼 ん で い る 。 (2)関 連 性 の 認 知 原 理: 人 間 の 認 知 系 は 自 ら に と っ て 関 連 の あ る情 報 に 注 意 を 払 う よ う デ ザ イ ン さ れ て い る 。

(4)

計 算 論 的 関連性 理論 にお ける 日本 語条 件文 の解 釈 55 さ ら に 、 情 報 の 受 け 取 りが 動 的 に 行 わ れ る コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン で は 、 関 連 性 の 伝 達 原 理 (co㎜unicativeprincipleofrelevance)が 存 在 し、 情 報 的 意 図 とf云達 的 意 図 が 関 与 す る 。次 節 か ら 、 こ の 関 連 性 理 論 の 諸 定 義 を計 算 論 の立 場 か ら形 式 化 した 計 算 論 的 関 連 性 理 論 に つ い て議 論 を行 う。1 λ2関 連 性 理 論 の 計 算 論 的 見 解 今 、 認 知 主 体 の 作 業 記 憶 に 、 あ る 意 味 論(言 語 の 意 味 部 門)に お い て 、顕 示 的 情 報 の 表 象 で あ る想 定Xが 生 じる とす る 。 この 時 、 語 用 論 の 計 算 と し て 、 想 定Xの 確 信 度(想 定 の強 さ)図.が 設 定 さ れ る。 こ の想 定 確 信 度 囲。は以 下 の よ う な 性 質 を持 ち 、 こ れ が(Dの 計 算 論 的 な 見 方 と な る 。 (3)a.心 的 情 報 は 一1か ら1ま で の 実 数 に よ っ て そ の価 値 が 示 され 、 こ の う ち0∼1 まで の 値 を持 つ 心 的情 報 が 想 定(顕 在 的 事 実)と して の 価 値 を持 つ 。 この 値 を 想 定 確 信 度 と呼 ぶ 。 す な わ ち 、 想 定Xの 確 信 度 詔 。は0∼1ま で の 実 数 値 で 表 さ れ 、 確 信 度 が1に 近 い ほ ど強 く確 信 さ れ て い る 想 定 で あ り、0に 近 づ く 程 、 信 念 の 弱 い想 定 で あ る 。2な お 、情 報 価 値 が0未 満 の 心 的 情 報 は想 定 と し て の 価 値 が な い 。 hO≦ み ≦1な ら ば 、 想 定Xと して 認 知 環 境 の 中 に 組 み 込 ま れ 、 保 持 さ れ る 。 図 。<0と な る 心 的情 報 は想 定 と見 な さ れ ず 、 認 知 環 境 に組 み 込 ま れ な い 。 c.認 知 効 果 は 、(i)o以 上 の想 定 確 信 度 を 持 つ 新 規 想 定 を 認 知 環 境 に 組 み 混 む こ と、(ii)既 存 の 想 定 確 信 度 を よ り1に 近 づ け る こ と、(iii)既存 の想 定 確 信 度 を よ り0に 近 づ け る こ と、 に よ っ て も た ら さ れ る。 d.認 知 効 果 を も た らす 関 連 性 の 高 い 想 定 と は例 え ば 以 下 の よ う な も の で あ る 。 (1)よ り簡 単 に 想 定 確 信 度 を1か0に 近 づ け る こ と が で き る想 定 。 (II)推 論 の 想 定 確 信 度 が1に 近 い 認 知 環 境 。 (3d)の うち 、(1)は(3c)の(ii),(iii)よ り 自明 で あ る 。 ま た 、(3c)の(i)も 間接 的 に(3d6D の効 果 を も た らす が 、 これ は 次 節 で よ り詳 し く述 べ る 。(3d)の(II)は 、 人 間 の 思 考 そ の もの の 性 質 と も い え る 。 認 知 主 体 は 、 外 界 か ら得 られ た 情 報 を蓄 え る だ け の 存 在 で は な い 。 得 ら れ た 情 報 か ら積 極 的 に新 しい 知 識 を生 成 し、 未 知 の 可 能 性 を 追 求 で き る存 在 で あ る。 こ う した 自発 的 に作 られ る知 識 を 生 成 す る 際 、 推 論 思 考 は 最 も重 要 な 心 的 能 力 で あ り、 で きる 限 り正 しい と思 わ れ る推 論 を行 う こ とが 必 要 不 可 欠 で あ る 。 そ の た め 、 推 論 の 確 信 度 が よ り高 くな る よ う な認 知 環 境 を積 極 的 に 選 び 取 っ て い く。3この 推 論 の 想 定 確 信 度 に つ い て は4節 で 議 論 を行 う。 1関連 性理 論 の形 式 化 は、本稿 で提案 す る方 法 以 外 に、Marin(1999),Marin(2003)に よる 意志 決定 理論 に基 づ い たモ デ ル な ど、い くつ かの ア プ ロー チが 可能 で あ る。 2想定確 信 度 は命題 の真 理 値 と密接 な関係 を持 ち 、想定確信度が1に 近いほど 「真」と見 なされてお り、0に 近 い ほ ど 「偽 」 と見 な され て い る命題 と見 なす こ とが で きる。 しか し、想 定確 信 度 は多値 の 真理 値 その もの で はな い。3.1節 を参 照 の こ と。 3(3d)に お い て、(H)の 条件が(1)の 条件 と異なり、確信度が0の 場合 に言及されていない点に特に注意 され たい 。 これ は誤 った推 論 は無 意 味 であ るこ と に由来 す る。

(5)

2.3想 定 確 信 度 と認 知 環 境 の 設 定 前 節 で 見 た よ う に、 関 連 性 の計 算 に は 、 認 知 環 境 に お け る想 定 確 信 度 の 変 動 が 極 め て 重 要 に な る 。 本 節 で は 、 この 認 知 環 境 の 性 質 に つ い て考 察 す る 。 ま ず 、 認 知 環 境 の 議 論 に入 る前 に 、2つ の タ イ プ の 想 定 を定 義 して お く。 (4)a.単 独 想 定:「Xで あ る」 と い う単 独 の 命 題 に対 応 す る 想 定 。 た だ し 、 「Xで な い 」 と い う否 定 命 題 に 関 して は 、 そ れ が 語 彙 化 可 能 で あ る場 合(Sp㎝b肌Cam, &Girotto,1995)に 限 り、 単 独 想 定 とな る 。 b.複 合 想 定:単 独 想 定 が 複 数 組 み 合 わ さ っ た想 定 。 計 算 論 的 関 連 性 理 論 で は 、 連 言 で 結 び つ け られ た複 合 想 定 が 最 も基 本 的 な も の で あ る と仮 定 す る 。 選 言 を含 む 複 合 想 定 や 含 意 想 定 、 語 彙 化 さ れ て い な い 否 定 想 定 な ど は 、 各 種 の 連 言 想 定 か ら一 定 の 計 算 を経 て 求 め られ る も の と す る 。 さて 、一 般 に認 知環境 内 にお ける想 定 は単独 想 定 のみ で あ る こ とは少 な く、他 の想 定 や文 脈情 報 ・背 景情 報 な どと相 互作用 を起 こす こ とが 多 い。認 知 環境 にお ける こ う した 想定 の相 互作 用 や 共起 関係 の可 能性 は、表1の よ うに示す よ うな連言 で単 独想 定 を繋 い だ各 種複 合想 定 の確 信度 に よっ て表 現 で きる。 性 能 可 の 問 Y

舗 兄 珊 γ .ハ . 聴 . ﹁ 痢 囲

γ

W

[V ' 11 ' 計 含 X 表1に お い て 、各 想 定 確 信 度 の 値 は相 対 的 な 関係 を表 して い る 点 に注 意 され た い 。 した が っ て 、調η+図 呼+飢 ヵ+図 酉 二1が 成 り立 つ 。ま た 、5張二凋 η+詔 呼,詔 許 詔ヵ+ゐ 勇A=鞠+鞠, 鴎 二5㌔+図 万 も成 立 す る 。 な お 、 絶 対 的 な 関 係 と して 言 え る こ とは 、 図ηニOな ら ば想 定 XAγ は 偽 で あ り、図 η≠0な ら ば 想 定XArは 真 の 可 能 性 が あ る と い う こ と だ け で あ る 。 想 定 確 信 度 と命 題 の 真 理 値 の 関 係 につ い て は 、3.1節 で よ り詳 し く議 論 を行 う。 認 知 環 境 に組 み 込 ま れ て い る 限 り、 各 想 定 値 は0∼1ま で の 範 囲 を取 り((3a)を 参 照)、 ま た 全 想 定 値 の合 計 が1に な る こ とか ら、 表1に お け る 各 想 定 確 信 度 は そ の 命 題 の 主 観 的 生 起 確 率 と見 な す こ と が で き る 。 し たが っ て 、 表1に お け る 否 定 情 報 は 、 具 体 的 な 下 位 情 報 に展 開 して も よい 。 こ の 場 合 、認 知 環 境 は次 の よ う に設 定 さ れ る。 な お 、 この 時 、 詔 。2y+図甥+…+図 耀=班 元y,甜 η2+詔剛3+…+図 勤=詔 炉,例 。2γ2+興刎3+・ ・+凡。コ。鴇,が 成 立 す る 。

(6)

計 算 論 的関連 性理 論 にお け る 日本 語条件 文 の解 釈 57 情 報 X 靭 ほ 詔

… 卜 砺

31葦, 2.4想 定 の 変 動 と関 連 性 の 計 算 (1),(4)の 想 定 値 は相 対 的 な もの な の で 、 あ る想 定 値 が 変 化 す る と 、他 の 想 定 値 に も影 響 を 与 え る 。 こ れ は(1c)に 示 した 認 知 効 果 の 数 量 的 表 現 とな り、 この こ とか ら(1の の 関 連 性 の 計 算 が 可 能 とな る 。 ま ず 、 想 定 値 の 変 動 に伴 う効 果 に つ い て 見 て み よ う。 今 、(5〕 の よ う な認 知 環 境 が 構 成 さ れ て い る状 況 下 で 、想 定XArの 確 信 度 図 η が+δ だ け変 化 し た とす る 。 こ の 時 、 新 た な 認 知 環 境 にお け る各 想 定 の 確 信 度 は 、(6)に 示 す よ う に い くつ か の 可 能 性 が 考 え られ る 。 (5) (6)乱 b C.

A

詔 ヲ

α+δ c一 δ み 4 θ+δ+わ o一 δ+4

σ 十c わ+4 1 d.…

(7)

こ の こ とか ら、 あ る想 定 値 がoで あ る(7-i)と 、 あ る 想 定 が 認 知 環 境 に組 み 込 ま れ て い な い(7-ii)は 計 算 論 的 な 意 味 が 異 な る こ とが 分 か る 。 (7) (i)燭5司[y15{ツ2 図x,α1一 α 図x200 計 1 0

計 「 一 「司1

(ii) タ{γ、 図y,

■ ノ{.」 I l l " 1-6 1 計 α 1一 ロ 1 (7-i)で は、 想 定x2は 偽 と確 信 さ れ て お り、 変 更 が 困 難 で あ る 。 こ う した 認 知 環 境 の 効 果 は 、6節 で 見 る 反 事 実 条 件 文 の 解 釈 な ど に 影 響 を及 ぼ す 。 一 方 、(7一血)で は 、 新 規 の 想 定X2が 得 られ れ ば 、既 知 の 想 定Xlの 確 信 度 研。、も変 化 す る 。 こ れ は 、(lcL(3c)で 見 た 「新 規 情 報 の 獲 得 は 関 連 性 の認 知 効 果 が 高 い 」 こ と に対 応 す る計 算 論 的 な 性 質 で あ る。 新 規 情 報 の 獲 得 と 関 連 性 の 認 知 効 果 に 関 して は 、 認 知 環 境 の 設 定 そ の もの に も影 響 を 与 え る 。(6)か ら分 か る よ う に 、 あ る想 定 の確 信 度 が 変 化 し た 時 、 そ れ が 認 知 環 境 全 体 に ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ す か は 一 意 に は 決 定 で き な い 。 こ う し た 可 能 性 を 絞 り込 む の が 、 (1d),(3d)に 示 す 関 連1生の効 果 で あ る 。(1c-i),(3c-i)の 「新 規 想 定 の 獲 得 が 認 知 効 果 を高 め る」 とい う性 質 は 、 既 に 述 べ た よ う に 、 新 た な 想 定 を認 知 環 境 に 組 み込 む こ とが 、 い く つ か の 既 存 の 想 定 に 関 す る確 信 度 を1あ る い は0に 近 づ け る 作 用 を 果 た す か らな の だ 。 した が っ て 、 複 数 の認 知 環 境 の 候 補 が あ っ た 場 合 に は 、 確 信 度 が1か0に 近 づ く既 存 想 定 が 多 い ほ ど、 よ り良 い 認 知 環 境 で あ る とい っ て よい 。 こ れ に よ っ て 、 認 知 環 境 の 候 補 を一 意 に 絞 り込 む こ とが 可 能 とな る 。 15談 話 領 域 と想 定 確 信 度 の 変 更 可 能 性 既 存 想 定 の 確 信 度 を変 更 す る 効 果 を 持 つ 情 報 は 、 新 規 想 定 の み とは 限 ら な い 。 既 に認 知 環 境 に組 み 込 ま れ て い る想 定 を よ り補 強 す る よ う な 外 界 情 報 、 あ るい は矛 盾 す る よ う な外 界 情 報 も、 既 存 想 定 の 確 信 度 に変 更 を迫 る効 果 を 持 つ 。 ま た 、 新 規 想 定 を認 知 環 境 に組 み 込 ん だ 時 に 、 想 定 確 信 度 を容 易 に変 更 可 能 な既 存 想 定 と、 そ れ が 難 し い 既 存 想 定 が あ る と考 え られ る 。 こ れ は 、(ld),(3d-1)で 述 べ た 認 知 環 境 の 改 善 に掛 か る コ ス トに 関 わ る 問 題 とい っ て よ い 。 この 想 定 確 信 度 の変 更 可 能 性 に有 意 義 な 示 唆 を与 え る枠 組 み と して 、 田 窪 ・金 水(1996), 田 窪(1993)に よ っ て提 案 さ れ て い る 談 話 管 理 理 論(D'3c侃r∫ 召福 α朋8㎝ 刎7肋07y)を 取 り上 げ よ う。 こ の 理 論 は 、 話 者 の 談 話 領 域 に お け る情 報 管 理 の さ れ 方 を 明 確 に 区 別 す る こ とで 、 話 者 と聴 き手 に お け る知 識 参 照 の 無 限 後 退 と い う 問 題 を ク リア して い る理 論 で あ る 。 談 話 管 理 理 論 で は 、 話 者 の 談 話 領 域 と して 次 の2種 類 を設 定 す る 。 (8)a.D・ 領 域:長 期 記 憶 内 の 、 既 に 検 証 さ れ 、 同 化 さ れ た 直 接 経 験 情 報 や 対 話 現 場 に存 在 す る 直 接 情 報 が 格 納 さ れ る領 域 。換 言 す れ ば、 あ る1つ の 談 話 セ ッ シ ョン が 始 ま る以 前 に獲 得 さ れ て い た 情 報 を格 納 す る領 域 。 hI・ 領 域:ま だ検 証 さ れ 終 わ っ て い な い 情 報 、 推 論 ・伝 聞 ・仮 定 な どで 、 間 接 的 ・仮 想 的 に設 定 さ れ る情 報 を格 納 す る 領 域 。

(8)

計 算 論 的関連 性理 論 にお け る 日本語 条件 文 の解釈 59 想 定 確 信 度 と い う観 点 か ら談 話 領 域 を考 え る と、D一領 域 に あ る 単 独 想 定 は 、 そ の 確 信 度 が1か0に 近 く、 ま た 確 信 度 の 変 更 が 行 わ れ に くい もの と見 なす こ とが で き る 。 一 方 、 1一領 域 に あ る単 独 想 定 は、 確 信 度 の 値 は そ の 談 話 セ ッ シ ョ ンで 暫 定 的 に決 め られ 、変 更 が 容 易 な も の と考 え て よ い 。 す な わ ち 、1一領 域 に あ る想 定 を 変 更 す る ほ う が 、レ 領 域 に あ る想 定 を 変 更 す る よ り も コ ス トが 低 い 。 こ の 変 更 に掛 か る コ ス トも認 知 効 果 に 関 わ る条 件 で あ る 。 本 稿 で は 、1一領 域 に 存 在 す る想 定 の 確 信 度 を(∫{κ)のよ う に括 弧 で 囲 ん で 表 示 し、 関 連 性 の 高 い 情 報 を 求 め る 際 にD一 領 域 と1一領 域 の 情 報 を 区 別 す る こ と で、 最 適 な認 知 環 境 の 導 出 を行 う。

3.計

算論 的関 連性理 論 と論理

3.1想 定 確 信 度 ・エ ン トロ ピ ー ・真 理 値 前 節 で見 た よ う に 、 想 定 の確 信 度 と は 、 あ る命 題 表 象 に対 して 与 え ら れ る量 的 な価 値 で あ り、 情 報 間 の 関 連 性 の 計 算 に 重 要 な役 割 を 果 た す 。 本 項 で は 、 こ の想 定確 信 度 の 意 味 を よ り明 確 にす る た め 、 命 題 論 理 に お け る真 理 値 と の 関 係 に つ い て 議 論 を行 う。 真 理 値 の 最 も基 本 的 な 特 徴 は 、 あ る 命 題 に つ い て 何 らか の判 断(区 別)が 行 え る とい う 事 に あ る 。 こ の 判 断 をbinaryに 行 っ た 場 合 、 区 別 さ れ た 一 方 を 「真 」、 も う一 方 を 「偽 」 と見 な す こ とが で きる 。 言 い 換 え る な ら、 あ る命 題 と そ の 否 定 命 題 との 区 別 が 可 能 で あ れ ば 、 少 な くと も 「真 偽 」 の 判 断 を行 え る とい う こ と だ 。 この 真 理 値 の性 質 は 、 「未 知 」 とい う基 準 を 取 り込 ん だ 三 値 論 理 の 真 理 値 を 考 え る と よ り明 確 に な る 。 (9)a.二 値 論 理X「-1X

h三 値論 理X門x

未知

未知

こ の 「あ る命 題 とそ れ 以 外 の 命 題 の 区 別 が 可 能 か 否 か 」 と い う性 質 は 、 情 報 論 で い う エ ン トロ ピ ー の 概 念 で 表 現 で き る 。 そ こで 、 エ ン トロ ピ ー の 計 算 を通 して 、 想 定 確 信 度 と命 題 の真 理 値 を結 び つ け て み よ う。 今 、 想 定Xの 確 信 度 を み と し た 時 、X以 外 の 全 て 想 定 に つ い て 、 そ の 確 信 度 の 和 を 取 る と1一 調 、と な る 。 し た が っ て 、 想 定Xの エ ン ト ロ ピ ー は式(10)で 与 え られ る 。 な お 、Xは 単 一 命 題 に対 応 す る想 定 で あ っ て も 、 複 合 命 題 に対 応 す る想 定 で あ っ て も よ い 。 (10)想 定Xの エ ン ト ロ ピ ー:E、=一 図 κ・1092例.一(1一 図 。)・log2(1一 図 。) エ ン トロ ピ ー は常 に0∼1ま で の 値 を 取 る。 例 え ば 、 詔、が1(想 定Xに 絶 対 な確 信 を 抱 い て お り、 ヨXの 可 能 性 は な い)か0で あ る(ヨXし か 想 定 さ れ て い な い)時 、 エ ン トロ ピー は 最 小 のE.=oと な り、 図 、がo.5(想 定xとwを 同 程 度 に 考 慮)の 時 に は エ ン ト1コ ピー 最 大(E、=1)と な る 。 こ の エ ン トロ ピ ーE.か ら、 多 値 の 判 断 価 値 琢 を定 義 す る 。 (11)想 定Xの 判 断 価 値:聾 二 ノ・(1-Eκ) た だ し ノ は 土 の 符 号 で あ り 、 囲 。≧0.5の 時 ノ=1,訊 。<0.5の 時 」=-1

(9)

こ の 判 断 価 値 琉 は 一1∼1ま で の 値 を 取 り、 詔。=1の 時 琉=1,几=0の 時Z=-1, み=05の 時 琢=0と な る。 こ の 連 続 量 佑 を カ テ ゴ リ カ ル に 区 切 れ ば 、命 題 論 理 の 真 理 値 と見 な す こ とが で き る 。 例 え ば 一 般 的 な 二 値 論 理 で あ る な ら、 琢 ≠4な ら 「真 」、 駿=-1 な ら 「偽 」 と見 な せ ば よい 。 あ る い は 、 陽=1の 時 に 「真 」、 脇 ≠1の 時 に 「偽 」 とす る よ う な 二 値 論 理 を 構 成 す る こ と も 理 論 上 は 可 能 で あ る 。 こ う し た 二 値 論 理 で は 、 包 含 的 選 言 や含 意 の 代 わ りに 、 排 他 的 選 言 や 同値 が 基 本 論 理 と な る 。 三 値 論 理 で あ る な ら 、 監=1 な ら 「真 」、-1<脇 く1な ら 「未 知(Xか ヨXか の 絶 対 判 断 が で き な い)」、Z=-1の 時 に 「偽 」 とす る よ う な 論 理 を構 成 す る 方 法 が 考 え ら れ る 。 も ち ろ ん二 値 論 理 と 同 様 、 こ れ と は 別 の 方 法 で カ テ ゴ リ カ ル な 割 り当 て を行 っ た 異 な る タ イ プ の 三 値 論 理 を構 成 す る こ と もで き る 。 例 え ば 、 澱=0の 時 に 「未 知 」、 駿 が 正 の 実 数 で あ れ ば 「真 」、 負 で あ れ ば 「偽 」 と な る よ うな 三 値 論 理 も理 論 上 は 可 能 で あ る。 な お 、(11)は あ くま で エ ン トロ ピー と真 理 値 の 関 係 を 示 す1つ に 手 段 に 過 ぎず 、 他 の 計 算 法 を設 定 す る こ と も で きる 。 例 え ば 、(1+ノ ・(1-Ex))12の よ う な 式 を 定 義 す れ ば 、 値 が0の 時 に 「偽 」、0以 外 で あ る な ら 「真 」 と見 な せ る よ う な 論 理 を構 成 で き、 二 値 論 理 に お け る プ ー ル 代 数 の 考 え方 に近 づ く。 何 よ り も大 切 な こ と は 、 エ ン トロ ピ ー と真 理 値 が 一 定 の 計 算 式 に よ っ て 関 係 付 け ら れ る とい う 点 、 さ ら に そ の エ ン トロ ピ ー 自体 が 想、 定 確 信 度 を用 い て計 算 可 能 で あ る とい う点 に あ る 。 認 知 環 境 に お け る 想 定 確 信 度 の 状 態 、 す な わ ち 想 定 間 の 関 連 性 は 、 エ ン トロ ピ ー の 計 算 や 命 題 の 真 理 値 の 基 礎 を 成 して い る と 言 っ て も よ い 。 こ の 性 質 は 、 人 間 の 心 的 情 報 処 理 を 考 え る 上 で も重 要 な こ とで あ る。 例 え ば 、 井 上 (2000),Inouea皿dDen(1999)は 、 日本 語 の 文 理 解 過 程 に お け る 曖 昧 性 解 消 に用 い られ る予 測 可 能 性 に 、 エ ン トロ ピ ー の 計 算 が 極 め て 重 要 な役 割 を 果 た す と述 べ て い る 。 彼 らの 研 究 を計 算 論 的 関 連 性 理 論 の 立 場 か ら再 解 釈 を 行 う と、 文 理 解 に お け る 曖 昧 性 解 消 に名 詞 ・ 動 詞 問 に お け る 情 報 の 関 連 性 が 強 く影 響 す る と い う形 で 捉 え 直 す こ とが で き る だ ろ う。 3.2様 相 性 計 算 論 的 関 連 性 理 論 で は 、 想 定 確 信 度 を 用 い て 、 様 相 論 理 に 近 い モ ダ リ テ ィの 計 算 も 可 能 で あ る。 例 え ば 、必 然 性(necessity)・ 可 能 性(possibihty)と 想 定 確 信 度 の 間 に は 、 最 も基 本 的 な 関 係 と して(12)の よ う な対 応 が 存 在 す る と考 え ら れ る 。 (12)a.想 定Xの 必 然 性:図 κ=1(近 似 解 釈 と して 例汐1) b.想 定Xの 可 能 性:図 盆0(近 似 解 釈 と して み>0) 発 話 に お い て は 、(12)を さ ら に発 展 さ せ た 拡 張 解 釈 が 行 わ れ る 。 そ の 拡 張 の 原 因 と な る の は 、 「顕 示 的刺 激 で あ る発 話 は 、 話 者 の 側 か らす れ ば 自 ら の 持 つ 想 定 の 中 で 最 大 の 関 連 性 を持 つ よ う な 情 報 の 反 映 で あ り、 聞 き手 に と っ て は 、処 理 に見 合 う程 度 の 関 連 性 が あ る こ と を保 証 す る よ う な 情 報 で あ る 」 と い う 関 連 性 の 要 請 で あ る 。 この こ とか ら 、 発 話 の 認 識 的(epistemic)な 様 相 性 は お お ま か に 次 の よ う に 捉 え る こ とが で き る 。

(10)

計算 論 的 関連 性 理論 におけ る 日本 語 条件文 の解 釈 61 (13)乱Xで あ る:話 者 に と っ て は 認 知 環 境 に確 信 度 が 珊=1で あ る よ う な 想 定 】【 が 存 在 す る こ との 反 映 で あ り、聴 き手 に 取 っ て は想 定Xの 確 信 度 を1に 設 定 せ よ と い う指 令 で あ る 。 な お 、班 元につ い て は 図声0で あ っ て も よ い し(す な わ ち想 定 ヨXが 認 知 環 境 に組 み 込 ま れ て い て も よい し)、想 定 門Xが 認 知 環 境 に 存 在 して い な くて も よ い 。 hXに 違 い な い:話 者 の認 知 環 境 に 確 信 度 が 図汐1で あ る よ う な想 定Xが 存 在 した時 の 反 映 で あ り、聴 き手 に 取 っ て は 想 定Xの 確 信 度 を1に で きる 限 り近 づ け よ とい う指 令 で あ る 。 想 定 ヨXに つ い て は 図 。ニ1の 時 で あ る な ら 、 認 知 環 境 に 組 み 込 ま れ て い て も組 み 込 ま れ て い な くて も よい が 、 図汐1で あ る 場 合 に は 、 確 信 度 み ニ1一図。と な る よ う な形 で認 知 環 境 に 組 み 込 ま れ る 。 c.xで あ ろ う:話 者 の 認 知 環 境 に お け る想 定xの 確 信 度 が 、 認 知 環 境 に 組 み 込 ま れ て い る他 の い ず れ の 想 定 の 確 信 度 よ り も高 い 状 態 の 反 映 で あ り、 聴 き手 に とっ て は 、 想 定Xの 確 信 度 を 認 知 環 境 に お け る他 の 想 定 確 信 度 よ り も大 き くせ よ とい う指 令 で あ る 。 d.Xで あ り う る:話 者 の 認 知 環 境 に お い て 、 想 定Xの 確 信 度 が 珊>0で あ る こ と の 反 映 で あ り、 聴 き手 に と っ て は想 定Xを 認 知 環 境 内 に組 み 込 め とい う指 令 で あ る 。 「Xか も しれ な い 」 も 同 様 の 条 件 で あ る が 、 上 述 の 表 現 との 排 反 性 か ら、 想 定 確 信 度 み の 値 は そ れ ほ ど大 き くな い 状 態 に 設 定 さ れ て い る と考 え ら れ る 。 この こ と は 、X以 外 の想 定 が 認 知 環 境 内 に 存 在 す る こ と を示 唆 す る(想 定 確 信 度 の 和 が1に な る こ と か ら)。 想 定 確 信 度 と い う観 点 か らは 、 認 識 的 態 度 と義 務 的(deontic)態 度 に は 大 きな 違 い は 生 じな い も の と思 わ れ る。 す な わ ち 、 「Xで な け れ ば な らな い 」 と い う表 現 は(13b)の 状 態 と ほ ぼ 同 一 で あ り、 「Xが で き る 」 とい う 表 現 は(13d)の 状 態 と ほ ぼ 同 じで あ る と考 え て よ い 。 この こ と は 、英 語 に お い て 義 務 的 必 然 性(deonticnecessity)と 認 識 的 必 然性(螂 雄mic necessity)が どち ら も同 じ助 動 詞 剛5'で 表 現 さ れ 、 ま た 義 務 的 可 能 性(deon盛cp面b醸y) と認 識 的 可 能 性(epistemicpossibility)が ど ち ら も同 一 のcoπ で 表 さ れ る こ と に通 じ る。 日本 語 で は 、 認 識 的 態 度 と義 務 的 態 度 は 全 て 語 彙 的 に 区 別 さ れ る が 、 これ は命 題 の 心 的 態 度 、 特 に聴 き手 に対 す る 認 知 環 境 の 変 更 指 令 の あ り方 に違 い が あ り、 そ の 違 い が 言 語 表 現 に 反 映 さ れ て い る もの と思 わ れ る(こ の 点 は本 稿 で は 議 論 を 行 わ な い)。 3.3想 定 確 信 度 に 対 す る 論 理 演 算 子 の 機 能 (13)か ら も分 か る通 り、 関 連 性 理 論 で は 、 あ る発 話 内 容 は 話 者 の 認 知 環 境 を反 映 し た も の で あ る と共 に 、 聴 き手 に あ る 特 定 の 認 知 環 境 を 形 成 す る よ う働 き か け る 指 令 で あ る と見 な す こ と が で き る 。 否 定(つ,連 言(A),選 言(v),排 他 的 選 言(e),含 意(→)と い っ た 論 理 結 合 子 も、 複 数 の 想 定 を 持 つ 認 知 環 境 を構 成 す る 指 令 で あ る とい っ て よい 。 例 え ば 、(14)に 示 す よ う な認 知 環 境 を 持 っ て い る話 者 は 、 「Xか つyで あ る」 とい う連 言 を用 い た 発 話 を行 い 、 聴 き手 は この 発 話 を 、 自 らの 認 知 環 境 に お け るXArの 想 定 確 信

(11)

度 図野 を1に 設 定せ よ とい う指令 と して受 け取 る(聴 き手 が どの タ イプの認 知 環境 を構 成す るかは、 この発話 を受 け取 る直前 の状 態 に依存 す る)。 1 0 ニ = r η 殉 調 図

乱 の 口 c.想 定 r 0 0 哩 ザ 炉 渕 夙 ヨy 詔剛=1渕 ザ0 b x d 想 定 x ヨx

想矧

y 図 剛=1 図 動=0 X5㌔=1 連 言 と 同様 に、 否 定 も比 較 的 単 純 な認 知 環 境 の 操 作 指 令 で あ る 。否 定 の 場 合 は、 そ れ に 対 応 す る表 現 が 語 彙 化 可 能 か 否 か に よ って 、認 知 環 境 に お け る あ り方 が 変 化 す る が(表1、 表4の 違 い を参 照 の こ と)、 一 般 に1一 図.が そ の 想 定 確 信 度 と な る 。 比 較 的安 定 した計 算 で ある連言 ・否定 とは異 な り、 「Xかyで あ る」 とい う選言 を用 い た表 現 は少 し複 雑 な計算 過程 となる。選 言 が聴 き手 の認 知 環 境 を変 更す る指令 と して機 能 す る時、(15)の よ うな指令 と して解釈 され る。 いず れ の解 釈 が な され る か は、 連言 の 場合 と同様 、直 前 の聴 き手 の認 知環 境 の状 態 に依 存 す る。 (15)乱1一 甜 元ヲ=l hみ+訊y-(1+〃V隔=1(た だ し0≦ π≦1) (15a),(15b)は 、 ど ち ら も想 定 ヨ.Xwyの 確 信 度 み,を0に 近 づ け る効 果 が あ る と い う共 通 の 計 算 論 的 性 質 を持 つ 。 しか し、 そ の 効 果 が 直 接 的 で あ る か 間 接 的 で あ る か と い う 点 が 異 な る 。(15a)は 、 そ の 計 算 式 か ら も分 か る通 り、想 定 確 信 度 詔 野 を直 接0に 近 づ け る 効 果 を 持 つ 。 す な わ ち 、 ダ イ レ ク トに 変 更 を受 け る想 定 は ヨXバ ア の み で あ り、 こ の こ とか ら、命 題 論 理 で い う包 含 的 選 言 の 解 釈 が 導 き 出 さ れ る 。 こ れ に対 し、(15b)に お い て 想 定 確 信 度 を直 接0に 近 づ け る な変 更 を受 け る も の は 、 想 定XArの 確 信 度 砺 で あ る。 想 定 冒Xべyの 確 信 度 詔 元アも結 果 的 に0に 設 定 され る が 、 こ れ は 想 定 瓦 乳XAy7の 想 定 確 信 度 が 計 算 さ れ た結 果 、 間接 的 に0に な る に 過 ぎ な い 。 こ う した 計 算 過 程 の 影 響 に よ り、(15b)で は包 含 的 選 言 か ら排 他 的 選 言 に 至 る ま で のgradualな 解 釈 が 成 立 す る 。 π=0 で あ る な ら完 全 な 包 含 的 選 言 の 解 釈 、 πニ1の 時 は 完 全 な 排 他 的 選 言 の解 釈 で あ る 。 つ ま り、η の 値 に よ っ て 、 包 含 的 選 言 に近 い 解 釈 か ら排 他 的 選 言 に 近 い 解 釈 ま で の 様 々 な 解 釈 が 成 り立 ち得 る わ け だ 。

生 認知環境にお ける推論確信度の計算

生1推 論 の確信 度 に関 す る一 般 式 関連 性 理論 で は推 論思 考 が 中心 的 な役 割 を果 たす。 推論 は直接 経験 を経 ず に知 識 を増 やす有 効 な手 段 で あ り、(3d)で 見 た よ うに、認 知効 果 を高 め る関連 性情報 を探 り当 て る 上 で も極 め て重 要 な心 的操作 なの で あ る。 したが って、 推論 の確信 度 に関 して、想 定 間

(12)

計算 論 的 関連性 理論 にお ける 日本 語 条件 文 の解 釈 63 の 含 意 関 係 ・依 存 関 係 を直 接 計 算 で き る シ ス テ ム が あ っ た ほ う が 望 ま し い 。 計 算 論 的 関 連 性 理 論 で は、 表1に お け る 想 定 例。の想 定 図ンに対 す る 関 連 性 の 強 度 を 、式(16)に よ り定 義 す る 。 こ れ はX→Yと い う推 論 の 確 信 度 に 関 す る一 般 形 と い っ て も よい 。

('6)編

=毎 ・

砺 一侮・轟;

乃、は 情 報Xが 成 立 す る 場 合 の 顕 示 的 情 報 を ど の 程 度 考 慮 に す る か 、 履 は 情 報Xが 成 立 しな い 場 合 の 顕 示 的 情 報 を どの 程 度 考 慮 す る か とい うバ イ ア ス を意 味 す る係 数 で あ り、 フ レー ム 問 題 に お け る フ レ ー ム の 大 き さ を決 定 す る もの と も見 な せ る 。 い ず れ の係 数 も、 0≦h、 ≦1,0≦ 撮 ≦1を 満 た し、 値 が1の 時 は 関 連 情 報 を 完 全 に考 慮 す る こ と を 、 値 が 0の 時 は情 報 を参 照 しな い こ と を 意 味 す る 。 4.2推 論 確 信 度 の 確 率 論 的 解 釈 式(16)は 、確 率 論 や 統 計 学 の 観 点 か らそ の 意 味 を解 釈 す る こ とが で きる 。 前 述 した よ う に 、 想 定 確 信 度 は 一 種 の 主 観 的確 率 と見 な せ る 。 今 、aと い う条 件 の 元 でbが 起 こ る 条 件 付 き確 率 をP(∂lo)と 表 す と す る と、 式(16)は

(17)編

一駄

一巖・

轟;

=・ 睦ズP(図 ッ15冤-)一 伝 ・P(こ7{ッ131死) と表現 で きる。す な わ ち係 数 を無視 す るな ら、前件 が 真 に な るこ とを前 提 と した時 に後 件 が真 にな る確 率 か ら、前 件 が偽 で あ る条 件下 で 後件 が成 立 す る確率 を引 いた もの とい う こ とにな り、後 件 の生 起 に関 して前件 の性 質 が どの よう な制 限 を掛 け ている のか を定 量 的 に計算 した もの だ と考 えて よい。 4.3推 論 確 信 度 の 統 計 学 的 解 釈 式(16)は 統 計 学 で 用 い られ る 回 帰 直 線 の 考 え方 か ら も解 釈 す る こ とが で きる 。 回 帰 直 線 と は 、 デ ー タ の ペ ア に対 し、 な る べ く誤 差 の 少 な い 形 でy=α+β κ と い う関 係 式 に 当 て は め た 時 の 直 線 の こ と を い い 、 こ の式 の β を 回 帰 係 数 と呼 ぶ 。 回 帰 係 数 は 回 帰 直 線 の 傾 き を表 す 係 数 で あ り、xがyに ど の程 度 影 響 を 及 ぼ して い る か を 示 す 係 数 で もあ る 。 回 帰 係 数 は 変 数 瓦yの 共 分 散Coソ(瓦y)をXの 分 散V(X)で 割 る こ と に よ り求 め る こ とが で きる 。 この 性 質 を利 用 して 、 表1の 想 定 値 か ら 回 帰 係 数 を計 算 して み よ う。 まず 、 各 変 数 の確 率 は P(X=1)=5㍉+5可 め1,P(X=0)=函 【カ+5態 ア, P(r=1)=5π 兀y+」7{かP(r=0)=5冤 炉+・9【死ア と な り,こ こ か ら 変 数 瓦yの 期 待 値 E(x)=馬+砺,E(x2)=砺+砺, E(y)=馬+鞠,E(r2)=馬+鞠E(xy)=殉

(13)

が 得 られ る 。 し た が っ て,変 数Xの 分 散V(X)お よ び 瓦 γ の 共 分 散COり(X,r)は, V(X)=E(X2)一(E(X))2Cov(瓦y)=E(X}7)-E(X)・E(】 り =(図 η+図 呼)(詔 わ+ゐ ヲ)=囲 剛み,一 図 轟 と な る 。 こ れ ら の 値 を 用 い てxか らyへ の 回 帰 係 数 β は 次 の よ う に な り、 式(1{り に お け る 毎,撮 を1に 設 定 し た 式 に 一 致 す る 。 (18) β= Coy(X,η v(x) 詔 矧 珊 動 図矧+詔 が 図 む+図 厨

式(16)を 回 帰 直 線 の 傾 き と見 な す と、 こ の 式 に お け る 推 論 確 信 度 の 効 果 が よ り よ く分 か る。 す な わ ち 、 図。→y=1の 時 は想 定Xとyの 間 に 強 い 関 係 が あ り、 した が っ て何 らか の 関 連 性 が存 在 す る 可 能 性 が 高 い(絶 対 に 関連 性 が あ る と は言 え な い)。 一 方 、訊帰→y=0の 時 は 想 定Xとyの 問 に何 の 関 連 性 も存 在 しな い 。(3d)の(II)に お い て 、 推 論 の想 定 確 信 度 が1に 近 づ く認 知 環 境 が よ い と さ れ て い る の は 、 こ う し た 理 由 に よ る 。 な お 、 回 帰 係 数 は 要 因XとYの 相 互 作 用 の 強 さ を表 す 相 関 係 数 と も密 接 な 関 わ り を持 つ 。r=図 。→プ 詔 γ→、に よ り相 関 係 数 を計 算 可 能(符 号 は 詔 κ→yに 一 致)で あ り、 ま た い わ ゆ る決 定 係 数 は β に 等 しい 。rを 論 理 演 算 子 と して 見 る な ら 、 同 値 計 算 に相 当 す る 。 た だ し、 「論 理 演 算 子 と し て」 と い う但 し書 き に注 意 され た い 。 認 知 主 体 が 行 う 自然 言 語 の 解 釈 で は 、 この 式 に よ る計 算 は 行 わ れ て い な い と思 わ れ る 。 例 え ば 、 言 語 に お け る`廿 文'の 解 釈 は 、 含 意 ・同 値 ・そ の 中 間 的 な もの とい う様 々 な 論 理 の 形 態 に 対 応 す る が 、 こ れ ら は全 て 同 一 の 式 か ら計 算 さ れ て い る と考 え られ る 。 こ の 点 に つ い て は5節 お よ び6 節 で議 論 を行 う。 4.4ゼ ロ を巡 る演 算 と係 数 式(16)に お け る係 数 飯,撮 は 、 情 報 を 参 照 す る フ レ ー ム の 大 き さ と見 なす こ とが で き る 。 認 知 科 学 に お い て 、 フ レ ー ム 問 題 は長 く議 論 さ れ て き た もの で あ る が 、 推 論 想 定 の 確 信 度 を計 算 す る上 で 代 数 的 に も興 味 深 い 性 質 を 持 っ て い る の で 、 本 項 で は こ の 性 質 を 議 論 して み た い 。 ポ イ ン トと な る の は 、 ゼ ロ の 割 り算 に 関 る代 数 的1生質 で あ る 。 一 般 に8=÷ と い う演 算 にお い て 、cが ゼ ロ で あ る こ とは 避 け られ る。 こ れ は ゼ ロ の 除 算 が い くつ か の不 安 定 な 性 質 を持 つ た め で あ る 。 ま ず 、 α=音 に お い て 、b≠0の 場 合 を 考 え て み よ う。 α=豊 は α・c=わ と等 価 で な け れ ば な らな い が 、b≠0,c=0の 時 、 わ ≠0と α・0=0が 同 時 に成 立 す る こ と に な っ て しま い 、 両 者 は 矛 盾 す る。 し た が っ て 、 割 ら れ る数 が ゼ ロ で ない 場 合 、 ゼ ロ に よ る 除 算 は不 能(演 算 が で き な い)と な る 。 一 方 、 わ=0の 時 は 、c=0で あ っ て も、 わ=0と α・0=0は 同 値 と な り、 成 立 し得 る。 し た が っ て 、0÷0の 演 算 は 、 ど の よ う な 場 合 で も常 に計 算 可 能 で あ り、 そ の 答 え は 無 数 に あ る 、 す な わ ち 演 算 は不 定 で あ る と い う

(14)

計 算論 的 関連性 理論 にお ける 日本 語 条件 文 の解 釈 65 こ とに な る 。 ま た 、 解 が 不 定 で あ っ て も、 そ れ に 再 び ゼ ロ を 掛 け る と 、 ゼ ロ の 積 算 結 果 は 常 に ゼ ロ で あ る た め 、0・ 音=0が 成 立 す る ・ 鞠 _履.鞠 こ こ で(16)式 に つ い て見 て み る と、例 えば 、5η。→yニ 〃、・図 η+タ{琢3防+鴎, お い て 、分 母 が ゼ ロ に な る 時 に は 、常 に分 子 もゼ ロ に な る こ とが 分 か る。 す な わ ち 、(19) 式 の 演 算 は 、 最 悪 の 場 合 に解 が 不 定 に な る こ とは あ っ て も、 演 算 が 不 能 に な る こ と は 決 して な い 。 常 に 演 算 が 実 行 可 能 で あ る とい う点 は 、 言 語 の 意 味 解 釈 を行 う上 で 、 一 つ の 重 要 な性 質 で あ る。 しか し、 意 味 解 釈 と い う場 面 を考 え る な ら、 演 算 結 果 が 不 定 で あ る と い う状 態 は 困 難 を伴 う。 こ れ は エ ン トロ ピー 最 大 の状 態 で あ り、 「非 文 で は な い が 、 そ の 意 味 は 全 く分 か ら な い」 とい う、 認 知 環 境 の 改 善 を も た ら さ な い 事 態 で あ る 。 も し、 認 知 主 体 が こ うい う演 算 結 果 に 遭 遇 した 時 、 な ん らか のcoercionを 働 か せ て で も、 最 適 な 意 味 が 導 出 で き る よ う な 処 理 を行 わ な け れ ば な ら な い 。 こ の 時 、(16)式 の係 数 が 重 要 な役 割 を 果 た す 。 5防 例 え ば(16)式 の 中 で 、詔 の 部 分 が0÷0と な り、 解 が 不 定 に な っ て しま う こ とが め+班 王ア あ っ た と し よ う。 これ は 、詔か 図 野 の い ず れ もが0に な る と い う こ と に等 しい の で 、想 定 ヨXそ の もの が 不 成 立 と な っ て い る状 態 で あ る こ と が 分 か る 。 この ま まで は 、(16)式 全 体 の 解 も不 定 に な っ て し ま う わ け で あ る が 、 こ こで 係 数 侮=0を 設 定 す れ ば 、0・÷=0 の 性 質 に よ り、 解 が 不 定 に な る と い う最 悪 の 結 果 を避 け る こ とが で き る 。 係 数 毎 を0に 設 定 す る とい う こ とは 、 ヨxを 参 照 フ レー ム か ら除外 す る とい う こ とに 他 な らな い 。 換 言 す れ ば 、 想 定 門Xそ の も の が 不 成 立 で あ る 時 、 そ れ を フ レ ー ム か ら除 外 す る こ と で 推 論 行 為 を達 成 可 能 な の だ 。 4.5日 常 的 推 論 の 一 般 式 式(16)に お け る係 数 は 、 統 計 学 上 はXとYに よ り構 成 さ れ る 空 間 に影 響 し、係 数 が1 の 時 は 規 直 交 基 底 の 空 間 と な り、 係 数 が 小 さ くな る に従 っ て 、 空 間 は小 さ くゆ が ん で い く もの と解 釈 す る こ とが で き る 。 確 率 論 的 に は 、 前 述 し た よ う に 、 前 件 の 成 立 ・不 成 立 を どの 程 度 考 慮 す る か とい う フ レ ー ム の 大 き さ に対 応 す る 。 こ こ で 、 自然 言 語 に お け る 「も しXな らY」 と い う 表 現 を考 え た場 合 、 前 件 を全 く考 慮 し な い と い う状 況 は語 用 論 的 に い っ て不 自 然 で あ る 。 しが た っ て 、 毎 ≠0が 成 立 す る 。 こ の た め 、 式(16)に お け る 係 数 は2種 類 設 け る必 要 が な く な り、 毎,壕 の 相 対 的 な 強 さ を表 す 係 数 緑 に よ り表 現 す る こ とが で き る 。4

(15)

連 言 ・選 言 ・否 定 と同様 、 推 論 表 現(自 然 言 語 で は し ば し ばif文 で 表 現 さ れ る)も 、話 者 の認 知 環 境 の 反 映 で あ り、 同 時 に 聴 き手 に対 す る 認 知 環 境 の 変 更 指 令 と して 機 能 す る。 次 節 で は 、 式(19)に 基 づ い て 、 条 件 文 解 釈 の 心 的 過 程 が が ど の よ う な性 質 を 持 っ て い る の か とい う 点 に つ い て 議 論 して み よ う。

5.条

件 文の計 算過程

5.1論 理 学 に お け る 真 理 値 に つ い て 人 間 の 行 う推 論 が 、 時 に論 理 学 の含 意 計 算 とは 異 な る 性 質 を 持 つ こ と は よ く知 ら れ た 事 実 で あ る 。 こ れ に は い くつ か の 理 由 が あ る が 、 ま ず 根 本 的 な 問 題 と し て 、 二 値 論 理 に お け る 「真 」 とい う判 断 の 価 値 を考 え な け れ ば な ら な い 。 二 値 論 理 に お い て は 、 一 般 的 に 「偽 」 は 絶 対 的 な も の で あ る が 、 「真 」 は 可 能 性 を 表 す もの と し て 解 釈 さ れ る 。 し か し、 論 理 学 に お け る 含 意(implica廿on)と 同 値(equivalence)を 比 較 した場 合 、 含 意 に お け る 「真 」 は(前 件 が 偽 で あ る 時 に は)可 能 性 を意 味 す る もの で あ る が 、 同値 解 釈 にお け る 「真 」 は 絶 対 的 な 完 全 解 釈 が な され る 。(20)に お い て 口 で 囲 ま れ て い る部 分 が 、 完 全 解 釈 で は な く、 可 能 性 解 釈 を 受 け て い る真 理 値 で あ る 。 (20) xy X→yx《 →y

直ノ 、 直ノ 、

1一

し 一

論 理 学 にお い て は 、 可 能 性 解 釈 と完 全 解 釈 の 違 い は 問 題 を起 こ さ な な い が 、 心 的 態 度 と して の 命 題(想 定)を 考 え た 場 合 に は 、3.2節 で 見 た よ う な必 然 性/可 能 性 の 違 い が 生 じ る 。 こ の(12)の 違 い を、 式(19)に 反 映 させ て み よ う。

ま ず 、(12a)に 相 当 す る 礁 →y=1の 場 合 を見 る 。 こ れ は 、X→yの 必 然 性 、 す な わ ち 完 全 解 釈 を 要 求 す る こ と に な る の で 、命 題 論 理 の 観 点 か ら い う と同 値 解 釈 に 相 当 す る。 今 、 式(19)に おい て・・≦ 轟 呼 ≦1・ ・≦ 煮 毒,≦1が 成立 す る嵐 任 意 の 制 二対 し・凡 一・=・が成 立 す るた め には・ 図轟 炉=1・ 煮 齢 ・で なけれ ば な らな 馬 し た が っ て 、図琢二〇,図ヵニ0と な る必 要 が あ り、XぺZヨXAγ が 共 に 偽(す な わ ち(20)に お け る2段 目 と3段 目が 共 に偽)の 解 釈 を 受 け な け れ ば な ら な い こ とが 分 か る 。 す な わ ち 、図 。→ン=1を 満 た す 演 算 は 、 同 値 解 釈 と等 しい 。 次 に 、(12b)に 相 当 す る 訳。→y≧0を 見 て み よ う。 式(19)に お い て 、 任 意 の 態 に 対 し 礁 →・≧・とな る には・論 寿1で あれ ば よい・ したが って ・砺 一・のみ が成 立す れば よ く、(20)の2段 目 に 相 当 す るXバrの み が 偽 と な る こ とが 分 か る。 す な わ ち 、み →ッ≧0 と い う 可 能 性 解 釈 は 、 命 題 論 理 に お け る含 意 解 釈 と等 価 で あ る 。 含 意 解 釈 に 関 して は 、 次 の よ う に考 え る こ と も で き る。 含 意 に お い て 、 絶 対的 な真 理 値 の 判 断 が 成 さ れ て い る の は 、 前 件 が 真 で あ る 場 合 の み で あ る 。 言 い換 え る な ら、 含 意

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計 算論 的関連 性 理論 にお け る 日本語 条件 文 の解釈 67 解 釈 と い う の は 、 前 件 が 真 で あ る よ う な フ レ ー ム を設 定 し、 こ の フ レー ム 内 に お い て の み 完 全 解 釈 を行 う とい う こ とで もあ る 。 こ う した フ レ ー ム 設 定 は 、 式(19)に お け る係 数 態 を 態 二〇 と設 定 す る こ と に等 しい 。 こ の 時 に 、完 全 解 釈 、 す な わ ち 囲。→戸1と な る条 件 を 求 め る と・ や は り 歳=1と な り・備=・ の み 力磁 す れ ば よい こ とが 分 か る ・ 5.2Waso丘 選 択 課 題 前 項 で 、 命 題 論 理 に お け る含 意 と 同値 が 計 算 論 的 関 連 性 理 論 に お い て ど の よ う に導 出 さ れ る か を見 た が 、 実 際 に人 間 が 行 う 推 論 過 程 は 、 含 意 で も 同 値 で も な よ うな 、 中途 半 端 な判 断 が 行 わ れ る こ とが 知 られ て い る。 中 で も、Wason選 択 課 題(四 枚 カ ー ド問 題)は 、 人 間 の 推 論 過 程 を最 も端 的 に 示 す 心 理 実 験 の 一 つ で あ り、 代 表 的 な 実 験 と して 、 例 え ば 次 の よ う な もの が 挙 げ ら れ る 。 (21)あ る工 場 で は 、 次 の 規 則 に従 っ て 、 表 に 文 字 、 裏 に 数 字 を印 刷 した ラベ ル を製 造 して い ま す 。 ・ ラベ ル製造 規則 「も し表 が 斑 な ら、裏1こは ワ'が 印扁 され て下 司 今 、 こ の工 場 で 作 られ た 次 の よ う な4枚 の ラ ベ ル が あ り ま す 。 ラベ ル1,2は 表 が 見 え て お り、 ラベ ル3,4は 裏 が 見 え て い ま す 。 こ の4枚 の ラ ベ ル に つ い て 、 上 の 規 則 が 守 られ て い る か ど うか 確 か め る 時 、 最 低 限 ど の カ ー ドを ひ っ く り返 し て 調 べ る必 要 が あ りま す か 。

圓 團 團 團

規則 を含 意解 釈 と して捉 え るな ら、囚 と 回 の カ ー ドを選 択 す る と正解 にな り、 同値 解 釈 と して 捉 え る な ら全 て の カ ー ドを選 択 す る必 要 が あ る 。 しか し、 実 際 に は こ の タ イ プ のWason選 択 課 題 で は 、 か な り の被 験 者 が 囚 と 回 の カ ー ドを選 択 す る こ と が 知 ら れ て い る(大 学 生 で もほ ぼ20%前 後 の 正 答 率 しか 得 られ な い こ と が 多 い)。 そ の 判 断 の偏 りを 生 じ させ る認 知 的 バ イ アス と して 、 確 証 バ イ ア ス(Wason,1966)や マ ッチ ン グ バ イ ア ス(Evans&Lynch,1973)、 主 題 化 効 果 な どが 提 案 さ れ て き た 。 最 近 で は 、Sp曲eretaL (1995)が 関 連 性 理 論 に よ り、様 々 な タ イ プ のWason選 択 課 題 が 包 括 的 に 説 明 で き る と主 張 して い る。 例 え ば 上 記 の タ イ プ の 実 験 で は 、 規 則 に 明 示 さ れ た 関 連 性 の 高 い 情 報 に 引 きず ら れ た 結 果 と して 判 断 錯 誤 が 引 き起 こ さ れ る の だ とSperberは 考 え る 。 こ こ で 、 彼 の 議 論 を 式(19)に よ り形 式 的 に 捉 え て み よ う。 ま ず 初 め に、 判 断 錯 誤 の 特 徴 を よ り明 確 に す る た め 、Wason課 題 の 正 しい解 法 を見 て お く。5.1節 で 見 た よ う に 、 規 則 を 含 意 と し て 捉 え る な ら 、 甜厨 が0で あ る こ と を確 認 す れ ば よ い 。 す な わ ち 、 想 定Xぺyが 棄 却 で き る か を確 認 す れ ば よ い 。 した が っ て 、x の 想 定 に 関 わ る事 実 と ヨγ に 関 わ る 事 実 を 「共 に」 調 べ る必 要 が あ り、 そ の た め に 、囚 と 回 の カ ー ドを 選 択 し な け れ ば な ら な い 。 一一方 、 規 則 を 同 値 と して 解 釈 す る の で あ れ

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ば 、 頂呼 が0で あ り、 か つ 詔靭 が0で あ る こ と を確 認 す る こ と に な る・ つ ま り・XAlr と ヨXAyの い ず れ の想 定 を も棄 却 で き る事 を調 べ る必 要 が あ る 。 した が っ て 、XAlrの 棄 却 可 能 性 を 調 べ る た め 、Xと ヨyの 想 定 に 関 わ る 事 実 を 「共 に 」 調 べ る 必 要 が あ る と 同 時 に 、 ヨXAyの 棄 却 可 能 性 も検 証 す る た め 、 想 定 ヨxに 関 わ る 事 実 と想 定rに 関 わ る 事 実 を 「共 に 」 調 べ る必 要 に 迫 られ る 。 この 結 果 、 全 て の カ ー ドが 選 択 さ れ る。 しか し、 判 断 錯 誤 を起 こす 被 験 者 は 、 規 則 か ら得 られ る 論 理 に対 応 した 事 実 を 「共 に」 調 べ る とい う演 繹 推 論 の 作 業 が を行 え な い 。 逆 に 、 彼 ら は 目 の 前 の 「事 実 」 か ら構 成 可 能 な 認 知 環 境 を 設 定 し(す な わ ち事 実 か ら得 られ る可 能 な 限 りの 想 定 を行 い)、 そ の 認 知 環 境 か ら規 則 の 想 定 確 信 度 を得 る た め に 、 式(19)に 則 っ た 計 算 を行 っ て 、 事 実 と規 則 が ど の 程 度 の 「関連 性 」 を持 っ て い る の か 調 べ よ う とす る 。 し か も、 そ の計 算 を各 事 実 ご と に 「独 立 に」 検 証 し よ う と試 み る。 これ こ そ がWason課 題 が 持 つ 難 し さの ポ イ ン トで あ る 。Wason課 題 に失 敗 す る 原 因 は 、 正 に こ の 「独 立 に」 検 証 す る と い う作 業 に あ る の だ(本 当 は 、 前 述 した よ う に 、 演 繹 的 に 、 か つ 「共 に 」 検 証 し な け れ ば な ら な い)。 そ の 失 敗 す る過 程 を順 に見 て み よ う。 まず、被験 者 は規則 を読 む。 この規 則 か ら被験 者 が直接 に得 る想定 は、 まず 囚 に関す る想 定Xと 回 に関す る想 定rで あ り、 その確 信 度各 々1で あ る。 また、 この規 則 は直 接 経 験 で 確 認 さ れ て い る わ け で は な く、 今 の 時 点 で 初 め て 得 ら れ る知 識 で あ る た め 、 こ れ ら の想 定 は1一領 域 に置 か れ る 。 した が っ て 、(22)の よ う な 認 知 環 境 が設 定 さ れ る 。 (22> y:囮

x:囚1 (図1y=1) (み=1)

(図yニ1)1 さ ら に進 ん で 、 規 則 を読 み 終 え た被 験 者 は 、 想 定Xとrが 条 件 文 の 関 係 で 結 ば れ る こ と、 す な わ ち想 定X→yを 得 て 、 そ の想 定 確 信 度 を設 定 す る 。 こ こ で 、今 まで の 過 程 と 異 な る の は 、 こ の 条 件 文 の 想 定 確 信 度 が 直 接 外 界 の 事 実 か ら得 られ る も の で は な く、 式 (19)に よ る計 算 が 必 要 な 点 で あ る 。今 、規 則 に書 か れ て い る の は 、`if'条件 の み で 、`dse' 条 件 は 明 示 さ れ て い な い た め 、 式(19)に お け る 係 数 は 島二〇 と設 定 さ れ る 。 そ こ で 、 被 験 者 は想 定確 信脇 一・=鳶 .を 計 算 しよ う として 澗 題 に気付 く・す なわ ち・(22) の 認 知 環 境 に は 、図 。→ンの計 算 に必 要 な想 定Xべyの 確 信 度 囲ゆ が 存 在 しな い の で あ る 。 そ こ で 、被 験 者 は 間 接 的 に も う一 つ の 想 定 ヨア が 必 要 で あ る こ と を 知 り、 こ れ を認 知 環 境 に組 み 込 む 。 さ ら に こ の段 階 で は 、 被 験 者 はX→ γ を受 理 し よ う とす る た め5、 確 信 度 例がニ0(同 時 に 偽 二〇)を暫 定 的 に 設 定 し(規 則 を そ の よ うや 指 令 と して受 け取 る と い う こ と だ)、 推 論 の確 信 度 を 詔。→y=1と す る ・ し た が っ て 、 認 知 環 境 は(23)の よ う に 変 化 す る 。 例琢 に括 弧 が 二 重 につ い て い る の は 、L領 域 に あ る情 報 で あ り、 か つ そ れ が 間 接 的 に 得 られ た もの で あ る た め 、 想 定 の 変 更 が 極 め て 容 易 で あ る こ と を示 す 。 5こ れが 仮説 の 確証 バ イ アス の 間接 的 な原 因 とな る。 しか し、確 証バ イア ス とい う方略 そ の もの が存 在 す る ので は な く、結 果 的 にそ れ とほ ぼ 同等 の効 果 が現 れ る とい うに過 ぎ ない。

(18)

計 算論 的関連 性理 論 にお け る 日本語 条件 文 の解 釈 69 (23) x:囚 y:[コ 門y:囮 以 外 計 (詔 矧=1)((詔 厨=0))(図 κ=1) 計 、(図y=1)((詔 ラ=0))!1 さ て 、 被 験 者 は い よ い よ カ ー ドを調 べ に 掛 か る 。 選 択 す るべ き カ ー ドは な るべ く関 連 性 の 高 い 顕 示 的 事 実 、 す な わ ち 推 論 の 想 定 確 信 度 詔 。→yを1か0に 確 定 して くれ る よ う な カ ー ドだ。 そ こで 、 被 験 者 は各 カ ー ドの 関 連 性 が どの 程 度 で あ る か 、 各 々 の タ イ プ ご と に 「独 立 に」 検 証 して い く(前 述 した よ う に 、 この 「独 立 」 の 検 証 が 落 と し穴 で あ る)。 ま引 被 験者 は 囚 の カー ド 「だけ」 を調べ1こかか る。 この か ドを見 た襯 賭 は、顕 示 的情報(す な わちD一領 域 に格 納 され る想 定)と して 、囚 の裏 側 が 未知(す なわ ち想 定 rか ヨyか が 不 明)で あ る こ と を知 る 。 そ こ で 、(23)の 詔 η,夙炉 は 、D一領 域 の想 定 確 信 度 と して 図剛二詔呼二〇.5に書 き換 え られ る。1一領 域 の 確 信 度 をD一 領 域 の 確 信 度 と して書 き換 え る た め 、(24)へ の 変 更 は コ ス トが 掛 か らず 、 即 時 に 行 わ れ る 。 こ の 認 知 環 境 に お け る 推 論 の確 信 度 は 、 各 想 定 値 を式(19)に 代 入 して 得 ら れ る値 で あ る5璽。→y=05へ と一 時 的 に減 少 し て し ま う。 (24)y:[コ ー1y:図 以 外1計 X:囚 ご編 二〇5ご ㌃=0.5み=1 計 図y=05飢 ア=0.51 (24)の 推 論 の 確 信 度 は 関 連 性 が 低 い た め 、 被 験 者 は裏 側 の 数 字 が 明 確 に な っ た 場 合 を 仮 定 し、 図η,5㌃ の 値 を再 び変 更 し た 時 に 、 認 知 環 境 の 改 善 が 図 れ る か を計 算 す る 。 こ れ はD領 域 の 想 定 をL領 域 の 想 定 と して 扱 う こ と に な る た め 、 即 時 の 更 新 は行 わ れ ず 、 認 知効 果 が高 か っ た時 のみ想 定 値 が変 更 され る。裏 の数 字 は 回 か そ うで ない か のいず れ か で あ る か ら、 認 知 環 境 と して は(25)の よ う な 可 能 性 が あ る 。

(25)a. y:[コ 門y:図 以 外1計

X:囚1(詔 η=1)(図 ザ0)i(凡=1) b 言十(ご ア{〉,ニ1) x:囚 計 (ン{ヲ=0)1 ア:[刀 ヨy:囮 以 外

(詔バ0)姻 盲昌1〕 (み=1) (図,ニo)(殉=1)11 こ の(25)の 想 定 を 式(19)に 代 入 す る 。 な お 、Xの 否 定 想 定 で あ る ヨXは 認 知 環 境 に組 み 込 ま れ て い な い た め 、 態 二〇で あ る 。 そ の 結 果 、(25a)の 想 定 か ら は 規 則 の 想 定 確 信 度 と して 図.→戸1が 得 られ 、(25b)の 想 定 か ら は 詔.→y=0が 得 られ る 。 す な わ ち、 裏 面 が ど の よ う な もの で あ れ 、囚 の か ドは 、 最 も 関 連 性 の 高 い 情 報 で あ る こ と が 分 か る ・ こ の こ とか ら、 被 験 者 は 喜 ん で 囚 の カ ー ドを選 択 す る 。 次 に 、 被 験 者 は 回 の カ ー ドに意 識 を 集 中 させ る 。 新 し い カ ー ドに取 り込 む の で 、 認 知 環 境 は 規 則 か ら得 ら れ る 初 期 状 態(23)に リ セ ッ トさ れ る 。 こ の回 の カ ー ドか ら得 ら

(19)

れ る顕 示 的情報 は、囚 以外 の か ドが あ り(想惣 腿 設 定す る必 要 があ り)、かっ裏 の 情 報 は未 知 で あ る と い う もの だ 。 した が っ て 、D一領 域 の 想 定 確 信 度 で あ る 錫 鵬 ア=0.5 を 、(23)に 組 み 込 む 。 した が っ て 、 認 知 環 境 は(26)の よ う に 変 化 す る 。 (26)

r:図 (みy=0) 甜 め=0・5 (図戸05) ヨy:図 以 外 「 計 偽 二φ 「(み 二〇) 尻野iO・5L鴎 弓 (訊ラ=05)11 こ の 認 知 環 境 に お け る推 論 の 想 定 度 詔。→ンは 、0÷0の 演 算 を含 む た め 不 定 と な っ て し ま う。 しか も、 そ の 不 定 を消 去 す る た め の 係 数 が 式(19)に は 存 在 し ない た め6、 推 論 の 想 定 度 を 決 定 で き な い 。 こ れ は 関 連 性 の な い 状 態 とは 言 え な い が 、 非 常 に不 安 定 な 状 態 で あ る こ と に代 わ りは な い 。 そ こ で 、囚 の カ ー ド同 様 、 裏 面 が 分 か っ た 時 に 、 推 論 の 想 定 値 が ど の よ うに 変 更 さ れ る の か を計 算 す る こ と に な る の だ が 、 裏 面 の 情 報 が 分 か っ た と こ ろ で ・ 図 η=図 ザ0の 部 分 に 影 響 を与 え な い た め 、 や は り推 論 の 想 定 度 み り の 値 は不 定 の ま まで あ る 。 そ こ で 、 カ ー ド 回 は 認 知 環 境 の 改 善 に は役 立 た な い 情 報 と見 な さ れ 、 選 択 され る こ と は な い(実 際 にWason課 題 で 最 も選 択 され に くい カ ー ドが これ で あ る)。 次 は裏 面 の カ ー ドで あ る 。 こ れ ま で の 過 程 と 同 様 に 、 被 験 者 は 回 の カ ー ドか ら、D一 領 域 の 想 定 値 囲η二飢靭二〇.5を得 て 、 こ れ を(23)に 組 み 込 む 。 こ の 時 の 認 知 環 境 は(27a) と な り、 凋元,=1-(副 η+詔 厨+詔 ヵ)よ り、 間 接 的 に 頂酉 二〇が 得 ら れ 、 認 知 環 境(27b)を 構 成 す る。 こ の 認 知 環 境 に お け る 推 論 の 想 定 確 信 度 は 、 式(19)よ り 例。→y=α5で あ る。 (27)a. r:[コ ーly:[コ 以 外1 一 x:囚 ヨXl囚 以 外 詔 η=0・5(飢 厨=0) 図 靭=0・5 計 (珂1=0) 詔 売=0.5 b

xT囚 醒:囚 以外 十 善 ロ 図y=1(図 ラ=0)1

ヒ 國

ヨr:図 以夕LL孟

_

図 測=0.5(図 厨=0) 囲 靭 二〇・5((5{死y=0)) タ{y=1 ((調,=0)) (み=0) (図 死二〇5) 1 この推論 確 信 度 は関 連性 が極 め て低 い ため 、被 験者 は 「表 の ア ル フ ァベ ッ ト」 が仮 に 分 か った場合 の 認知 環境 を設 定 し、推論 の想定 値 が 関連性 の ある もの に変化 す るか を検 証 す る。回 の表 側 が 囚 で あ った 時の認 知 環境 は(28a),囚 以外 で あ った時 の認知 環境 は(28b)の よ う に な る 。 6式(16)に は ぬ 、が 存 在 す る た め 、Xの 情 報 を フ レー ム 外 に 出 せ る が 、4.5節 で 述 べ た よ う に 、 日常 的 推 誇 で は 顕 示 的 情 報xを フ レ ー ム 外 に 出 す こ と は 基 本 的 に で き な い 。

(20)

計 算論 的関連性 理論 にお け る 日本語 条件 文 の解 釈 71 (28)a. b γ1回 コy:囮 以外 一 一 x:囚 (詔 剛=1) (5【炉0) 門x:囚 以 外 (飢動=0) ({み,=0)) 一 一

(殉=1) ((図 ヲ=0)) r:口]ヨr:[コ 以 外 x:囚 ヨx:囚 以 外 (訊η ニ0) (副ヵ=1) (図呼 二〇) ((澱 アニ0))

(∬ ッ=1) ((訊 ヲ=0))

(囲 涯=1) ((み=0)) 1 計 (図。=0) (詔死=1) 1 (28)の 数 値 よ り、 や は り 式(19)を 用 い て 各 認 知 環 境 に お け る 推 論 の 確 信 度 を計 算 す る 。 ヨXが 完 全 に考 慮 さ れ て い る の で 、 ㎏ニ1と した 上 で 、 推 論 想 定 値 を 求 め る と、(28a) で は 図 。→y=1と な り、(28b)で は 値 が 不 定 と な る 。(28a)の 状 況 に お い て ・ 最 高 の 関 連 性 を得 る こ とがで きるため 、 この 回 の か ドは選 ばれやす い ・た だ し、囚 が いず れの認 知 環境 にお い て も最高 の 関連 性 が得 られてい たの に対 し、回 の カー ドは一方 の認知 環 境 か らは最 高の 関連性 が 得 られ るが 、 もう一方 の情 報 は認 知環境 の改 善 を もた らさない情 報 とな っ て し ま う た め 、回 の カ ー ドの 選 択 率 は 、 囚 に 比 べ て 減 少 す る(実 際 に そ の通 りで あ る)。 最 後 に 本 来 な ら正 解 で あ る はず の 回 の カ ー ドに つ い て 見 て み よ う。 こ の カ ー ドか ら は、D一領 域 の 想 定 値 図靭=詔 卿 二〇.5が得 ら れ る た め 、 こ れ を(23)に 組 み 込 む と(29a)が 得 ら れ 、 さ ら に 間 接 的 に 詔 ヵニ0を 導 出 で きる た め 、 認 知 環 境 は(29b)の よ う に設 定 さ れ る 。 (29)a. b r二 図 哩:回

x:囚 門x:囚 以 外1 (馬=0)砺=0・5 図 冤ヲ=05 (図 涯=0.5) 班 売=05 計1(図 γ=0)殉=l ly:[刀 ヨy:回 1 計 x:囚 1x:囚 以 外 (殉=0)詔 炉0・5 ((砺=0))み ヲ=0・5 (み=0.5) (み=05)

((例ッ=0))鴎=111 (29b)の 推 論 確 信 度 を計 算 す る と、例 。→y=0で あ る。 事 実 が 確 定 して い な い 段 階 に お い て 推 論 の 確 信 度 が0に な っ て い る の で 、 こ れ は 認 知 効 果 の 低 い 環 境 と い え る((3d』)に 関係 す る議 論 を参照 の こ と)。そ こで 、回 の表面 が 分 か った 時 の認 知環 境 を設定 し、 ど の程 度 の関連 性 が得 られ るの か を計 算 す る。 表 面が 囚 で あ る時 と 囚 以 外 の時 に おけ る 認 知 環 境 は 、 各 々(30)の よ う に な る 。 (30)a. r:回 勺y:回

x:囚 門X:囚 以 外 (例剛=0) ((訊殉=0)) (訊炉1) (尻元,=0) (図 蒐=1) ((詔 死=0))

1((5可y=0)) (∫ 【ヲ=1) 111

(21)

b

十 二 = 口 r:[コ]門 γ:回 (訊、y=0)(図 呼=0) ((瀦軸=0))(み ヲ=1) ((図 ッ=0))(詔 ヲ=1)

(み=0) ((み=1)) 1 (30)の 値 を式(19)に 代 入 す る と、 い ず れ の 場 合 も解 は 不 定 と な り、 推 論 確 信 度 を決 定 す る こ とが で き な い 。 こ の 不 安 定 な 状 態 か ら逃 れ る た め 、(30a)に 関 して は 、1Xに 関 す る 情 報 を認 知 環 境 か ら排 除 し、 式(19)の 係 数 島 を0に す る こ と で 、礁 →ッ=0を 得 る こ と が で き る 。 しか し、 こ の推 論 確 信 度 は か え っ て 関 連 性 の 低 い 情 報 で あ る こ と を 示 し て し ま う。 し た が っ て 、 本 来 な ら正 解 で あ る 回 の カ ー ドは残 念 な が ら選 択 され な い 。 以 上 がWason課 題 に お け る 選 択 錯 誤 の 心 理 的 過 程 で あ る 。 和 田(2004)は 、 こ う したWason選 択 課 題 を さ ら に 拡 張 し、20枚 の カ ー ドを 用 い る こ とで 前 件 ・後 件 の 生 起 確 率 を変 え、 そ れ が カ ー ド選 択 に どの よ う な 影 響 を 受 け る か を実 験 的 に検 証 して い る 。 そ の 結 果 、 主 に後 件 に 関 わ る カ ー ドの 生 起 確 率 が カ ー ド選 択 に 影 響 し、 低 確 率 の 場 合 ほ ど カ ー ドの 選 択 率 が 高 くな る こ と が 示 さ れ た 。 こ の結 果 も式(19)か ら理 解 で き る。 今 、 カ ー ドの生 起 確 率 が 想 定 確 信 度 と ほ ぼ イ コ ー ル で あ る とす る と、一 枚 の カ ー ドを め く る こ と に よ っ て もた ら さ れ る想 定 確 信 度 の 改 善(生 起 確 率 の 変 動)は 、 も と も との 想 定 確 信 度 が 小 さい ほ ど、 す な わ ち生 起 確 率 が 小 さ な も の ほ ど大 き くな る 。 係 数 島 に つ い て も、 枚 数 の 少 な い 条 件 で あ る ほ ど、 カ ー ドー 枚 当 た りに お け る係 数 の 設 定 値 は 大 き な も の に で き る。 した が っ て 、 認 知 環 境 を改 善 す る 関 連 性 の 高 い 情 報 は 、 想 定 確 信 度 の 低 い もの 、 す な わ ち 生 起 確 率 の 小 さ な もの に 引 きず ら れ や す い こ とが 分 か る 。 5.3マ ッチ ン グ選 択 課 題 Wason選 択 課 題 と似 て非 な る 問題 と して 、 マ ッチ ン グ 課 題 とい わ れ る 以 下 の よ う な 実 験 課 題 が あ る 。 この マ ッチ ン グ課 題 で は 、Wason課 題 に 比 べ 、 正 解 率 が劇 的 に 上 昇 す る こ とが 知 ら れ て い る 。 しか し、 確 証 バ イ ア ス や マ ッ チ ン グバ イ ア ス で は 、正 答 率が 劇 的 に 上 昇 す る こ とが 説 明 で き な い 。 (31)あ る 工 場 で は 、 次 の 規 則 に従 っ て 、 上 に 文 字 、 下 に 数 字 を 印 刷 した ラ ベ ル を製 造 して い ま す 。 ・ ラ ベ ル 製 造 規 則 .1も し文 字 が`實'な ら、 数 字 は"7"が 印 刷 され て い る 今 、 こ の 工 場 で 作 ら れ た 次 の よ う な4枚 の ラ ベ ル が あ りま す 。 こ の4枚 の ラ ベ ル に つ い て 、 上 の 規 則 が 守 ら れ て い る か ど うか 確 か め る 時 、 最 低 限 ど の カ ー ド を調 べ る 必 要 が あ りま す か 。

囹 図 図 國

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