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ASP・SaaSの動向と普及促進の状況(後編)

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(1)ASP・SaaS の動向と 普及促進の状況. 後編. 河合 輝欣 (特定非営利活動法人 ASP・SaaS インダストリ・コンソーシアム). 堤田 敏夫 (特定非営利活動法人 ASP・SaaS インダストリ・コンソーシアム). 解 説. 横山 義和 (特定非営利活動法人 ASP・SaaS インダストリ・コンソーシアム). ンタの売り上げを含めた ASP・SaaS 関連の市場規模の. 前編では,ASP・SaaS の定義など,ASP・SaaS を実. 予測を行っている.2008 年に行った最新の調査結果で. 現する技術,ASP・SaaS の実例について述べたが,後. は,2012 年に至る予測を行い, 「毎年 30%の伸びを示し. 編では,ASP・SaaS の市場動向,官民で推進している. 2012 年に 2 兆円に達する」ものとしている(図 -1 参照).. 普及促進の取り組み,ASP・SaaS の安全・信頼性に係. なお,2005 年の調査では,2010 年に 1.5 兆円としてい. る情報開示指針と認定制度などについて概観し,最後に. たが ,今回の予測では今後も順調に市場が伸びると考 1). 今後の展望を述べる.. えている.. ASP・SaaS の市場動向と普及の状況. ●提供サービスと実現形態の多様化.   (財)マルチメディア振興センターによる ASP・SaaS.  政府が進めた e-Japan 戦略を背景に,ASP・SaaS は社. SaaS インダストリ・コンソーシアム)による ASP・SaaS. げている.ASP・SaaS の需要が拡大していく中において,. 向と普及の状況について概観する.. 様化してきた (図 -2 参照) .. 事 業 者 の 調 査,ASPIC( 特 定 非 営 利 活 動 法 人 ASP・. 会,経済活動に不可欠なサービスインフラへと変貌を遂. 市場規模の調査に基づき,日本の ASP・SaaS の市場動. 提供サービス,実現形態の 2 つの側面において急速に多  提供サービスの面では,グループウェア,フロントオ. ●市場規模. フィス,バックオフィスなどの対象業務や,製造,情報.  日本において,ASP・SaaS の市場規模は,着実に成. 通信,卸売などの分野や利用端末の多様化に加え,認証. 長を続けている.ASPIC では,ASP・SaaS 事業者の調. 基盤やネットワークシステムなど,ICT 基盤サービス. 査,民間の調査会社の予測数値を参考とし,データセ. の提供,また,業務アウトソーシングと融合したビジネ. データセンタ. 20,000. サーバ・ストレージ・ 基盤+ネットワーク 共同利用型アウトソーシング. 18,000 16,000. ASP・SaaSアプリケーション. 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0. 2007. 2008. 2009. 年度. 2010. 2011. 2012 図 -1 ASP・SaaS の市場規模 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 1433.

(2) 解説. 統合・連携型 統合・連携型 ・細かいサービス機能単位でのサービス提供 ・サービスのダイナミックな連携. ビジネスプロセス・サービスへの展開 ・オペレーションとデータ管理の融合 ・人的アウトソーシングサービスとの融合. カスタマイズ型 カスタマイズ型. ・個別顧客向けカスタマイズ. 共同利用アウトソーシング型 ・複数特定顧客による共同利用. IT基盤サービスへの展開 IT基盤サービスへの展開 ・認証基盤 ・ネットワークシステム ・コールセンタシステム. 顧客オンサイト型 顧客オンサイト型. ・顧客サイトへのサーバ設置. ASPシステムの 実現形態の多様化. 様々な業務/分野への展開 さまざまな業務/分野への展開 ・業務横断型サービス(CRM等) ・携帯,電子タグ,デジタル家電への対応. これまでの ASP これまでのASP. ・パッケージ・レンタルベース ・パッケージ・レンタルベース ・標準アプリケーション ・標準アプリケーション. 業務・サービス の提供範囲の多様化. 中心となっている ASP・SaaSのサービス種別. EDI. 23.8 26.6. 営業支援. 23.8. 販売促進管理・CRM. 21.7. 14. 流通支援. 公共サービス 9.1. 購買支援. 47.6. グループウェア サービス基盤. 17.5. システム管理. 19.6. その他. 10.5. 販売支援. 44.8. バックオフィス ECサポート. フロントオフィス業務内訳 [%]. 55.9. フロントオフィス. 図 -2 2 つ の 多様化による ASP・SaaS の 進化. 30.8. 受発注システム コールセンター支援. 8.4 12.6 9.8. N = 143 【出典:ASP・SaaSサービスの事業者実態調査(FMMC )】. 図 -3 ASP・ SaaS の注目市 場 〜サービス 種別ごとの利 用率〜. スプロセス・サービスの提供にまで広がっている.. クオフィス業務では,文書管理,給与,会計などの業務.  一方,実現形態では,個別顧客ごとのカスタマイズ,. で利用されている.グループウェア業務では,情報共有. 地方公共団体などに見られる複数の特定顧客による共同. 支援,メール配信,ワークフロー管理,アドレス帳管理. アウトソーシング型,顧客側にサーバを設置する顧客. などで利用されている (図 -3 参照) .. オンサイト型や ASP・SaaS 事業者間が API(Application.   サ ー ビ ス 種 別 ご と の 導 入 シ ス テ ム に お け る ASP・. ップを行う統合・連携型へと実現形態が変貌を遂げている.. いる事業者が多い.しかし 10 年後は,すべてのサービ. Program Interface)に基づいてサービス連携,マッシュア.  また,利用者は大企業から中小企業のあらゆる民間業 種へ,また地方自治体,中央政府などの公共分野に浸透. SaaS の占める導入率は,現在,40%以下であると見て ス種別について,ASP・SaaS の導入率が圧倒的に高く なるものと想定している (図 -4 参照) .. している.. ● ASP・SaaS の注目市場 ~業種~ ● ASP・SaaS の注目市場 ~サービス種別~.  ASP・SaaS が利用されている業種は,製造業,情報.  ASP・SaaS のサービス種別は,フロントオフィス,バ. 通信業,卸売・小売業で特に大きな実績を上げているが,. ックオフィス,グループウェアの業務で多く使われている.. 建設,金融,保険業などの各業種でも広く利用されてい.   フ ロ ン ト オ フ ィ ス 業 務 で は 販 売 支 援, 営 業 支 援,. る(図 -5 参照).また,大企業においても利用されてい. CRM(顧客管理システム)などで利用されている.バッ. るが,中小企業に対して着実に浸透している (図 -6 参照).. 1434. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008.

(3) ASP・SaaS の動向と普及促進の状況. 後編. 現在のASP・SaaS の導入率の推定 12.0. システム管理. 43.7. 8.5. サービス基盤. 35.9 16.2. グループウェア 公共サービス. ECサポート 3.5. 16.9. 16.9. 12.7 19.0. 22.5. 15.5. 10%. 7.0 8.5. 30%. 40%. 6.3. 15.5. 50%. 60%. 11.3 14.8 16.2. 8.5 3.53.5. 22.5. 20%. 14.8. 5.6. 21.1. 31.0. 0%. 9.2. 13.4. 19.0. 16.2. 4.9 9.9 4.9 4.93.5. 38.0. フロントオフィス 4.2. 7.7. 9.2. 44.4. 8.5. バックオフィス. 10.6. 4.93.5. 70%. 80%. 13.4 14.1 90%. 100%. 10年後のASP・SaaS の導入率の推定 システム管理. 4.9. 12.7. サービス基盤. 6.3. 12.0. グループウェア. 21.8 16.2. 3.5 12.7. 公共サービス. 7.0. ECサポート バックオフィス. 5.6. 11.3. 4.2 5.6. 13.4. 0%程度 60%前後. 10%. 19.0. 10%前後 70%前後. 7.0. 8.5 40%. 20%前後 80%前後. 3.5 6.3 5.63.5. 14.8. 14.1. 9.2. 11.3. 30%. 15.5. 20.4. 19.0. 21.8. 3.54.24.93.5. 9.9. 11.3. 6.3. 20%. 20.4 9.9. 23.9. フロントオフィス 4.9 8.5. 19.0. 9.9. 18.3. 4.2 9.9. 0%. 7.7. 20.4 16.9. 50%. 4.2 60%. 30%前後 90%前後. 6.3 3.5 12.0. 5.6 4.9 11.3. 7.0. 3.5 5.6 3.5 12.7 70%. 40%前後 100%近く. 7.0 80%. 14.1 14.8 12.7 13.4 90%. 100%. 50%前後 分からない. N = 143 (回答者はASP・SaaS事業者) このラインの左側がシェア40%以下と見ている事業者の割合を示す 【出典:ASP・SaaS サービスの事業者実態調査( FMMC )】. 農林・水産・鉱業. [%]. 9.8. 28.7. 建設業. 56.6. 製造業. 12.6. 電気・ガス・水道業. 51.0. 情報通信業. 28.7. 運輸業 卸売・小売業 金融・保険業 不動産業 飲食店・宿泊業. 25.9. 医療・福祉 教育・学習支援業 上記以外のサービス業 経済・文化団体 国家公務 地方公務. 図 -4 現在と 10 年後の ASP・SaaS の 導 入 率 の 推定. 9.1. 35.7 31.5 35.0 30.8 32.9. 55.2. N = 143. 18.2 18.9. 【出典:ASP・SaaS サービスの    事業者実態調査(FMMC )】. 図 -5 ASP・SaaS の 注 目市場 〜業種ごとの利 用率〜. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 1435.

(4) 解説. 事業者から見たユーザ種別(複数選択). 事業者にとっての最多ユーザ規模. [%]. [%]. 12.6. 国・中央官庁. 4.9. 11.2. 10.5 23.1. 地方自治体. 16.8. 独立行政法人  ・外郭団体. 16.1. 民間大企業. 25.2. 55.2. 17.5 民間中小企業. 10人未満. 50人未満. 100人未満. 500人未満. 1,000人未満. 1,000人以上. 78.3. N = 143 【出典:ASP・SaaS サービスの事業者実態調査( FMMC )】. 事業実施年数と事業者規模との関係. ASP・SaaS 参入後の事業年数. [%]. [%] 2年以下 18.9 6年以上 42.0. 2年以下. 3∼5年 3∼5年 39.2. 図 -6 A S P・ SaaS の中小企 業への浸透. 6年以上. 48.1. 37.5. 33.3. 29.6. 32.1. 40.0. 22.2. 30.4. 26.7. 従業員∼30人未満の事業者(N=54) 従業員∼300人未満の事業者(N=50) 従業員300人以上∼の事業者(N=39). N = 143 【出典:ASP・SaaS サービスの事業者実態調査(FMMC)】. ● ASP・SaaS 事業者の市場参入とビジネス連携  ASP・SaaS の事業に新規参入する事業者数は多く, 市場拡大に寄与している.事業者調査では,参入後 3 ∼ 5 年の事業者が約 40%,2 年以下の事業者が約 20%とな. 図 -7 A S P・ SaaS への新規 参入の状況. ASP・SaaS の普及促進の取り組み ● ASPIC の設立と活動内容 【ASPIC の設立】. っている..  ASPIC は,1999 年設立以来,ASP・SaaS 唯一の業界.  また,事業実施年数と事業者規模との関係において,. 団体として多くの ASP・SaaS 事業者,官公庁などの協. 参入後の年数が小さいほど,中小規模の事業者が多いこ. 力を得て,ASP・SaaS の普及啓発,市場創造などの活. とから,中小企業が積極的に新たなビジネスチャンスを. 動を行い,ASP・SaaS を社会のインフラシステムを支. 求めて参入していることが窺える (図 -7 参照) .. える重要なビジネスモデルとして位置づけ,以下の 4 点.  ASP・SaaS 事業者間のビジネス連携はすでに広く実. を中心に活動を行ってきた.. 施されており(44.1%) ,連携をまったく考えていない事. ・ ASP・SaaS に関する情報提供・公開. 業者はほとんどない(4.9%) .事業者連携は,サービスの. ・ ASP・SaaS 事業者に対するビジネス支援. 幅の広がり,他社ノウハウの活用,販路拡大など,事業. ・ 地方自治体などへの ASP・SaaS 導入コンサルティング. 推進上の重要なファクタとなっている (図 -8 参照).. ・ 政策,制度の立案支援や提案. 【ASP・SaaS に関する情報提供・公開】  ASP・SaaS 市場の状況,技術動向などについてとり. 1436. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008.

(5) ASP・SaaS の動向と普及促進の状況 事業者の連携状況. 連携により実感する利点. [%]. 後編. [%]. 4.9 11.1. 開発体制が強化される. 29.4. 44.1. 65.1. 提供できるサービス分野の幅が広がる 数社のノウハウにより提供するサービス の付加価値を高めることができる. 21.7. 41.3 46.0. 販路拡大や営業促進につながる お互いの資源を有効活用することで コストが抑えられる. 現在連携している 現在は連携していないが,具体的に連携 を予定している 現在連携しておらず,まだ具体的な連携 予定もないが,いずれは連携したいと考 えている 現在連携しておらず,今後連携する 意向もない. N = 143. その他 特になし. 39.7 1.6 4.8. 【出典:ASP・SaaSサービスの事業者実態調査(FMMC )】. 1) ,2). まとめた「ASP 白書」の出版(2004 年,2005 年). ,提. 供サービスをとりまとめた「ASP 総覧 2006/2007」(2006. 図 -8 ASP・ SaaS 事業者間 の連携の状況. 研究を推進している. 【政策,制度の立案支援や提案】. 年) ,「ASP・SaaS ソリューションガイド 2008/2009」.  総務省と共同で実施した「ASP・SaaS の普及促進策に. ウム「ASP・SaaS イノベーション・シンポジウム(ASIS). の合同による 「ASP・SaaS 普及促進協議会」 を設立し(2007. 3). (2008 年) の出版,ASP・SaaS 分野の大規模シンポジ 4). ☆1. 2008」 の開催(2008 年 5 月) などを通して,ASP・SaaS. 事業者および利用者への情報提供・公開を行っている.. ☆3. 関する調査研究」 (報告書,2007 年 3 月) ,総務省と. 年 4 月) ,ASP・SaaS の普及促進策の検討を進め,後述 する総務省による「ASP・SaaS 安全・信頼性に係る情報 開示指針」 の策定などにかかわった.. 【ASP・SaaS 事業者に対するビジネス支援】  ASP・SaaS 事業者の情報交換,ビジネス拡大を図る 「ア. ライアンスミーティング」の定期開催,事業者支援につ. ●国としての政策. ながる「ASP・SaaS 構築ガイド」の作成.  IT 活用による生産性向上に資する有力な手段となっ. とセミナの開. 5). 催 (2008 年)を行っている.  また,ASP・SaaS の社会的認知を高め,顕著な成果を あげている優秀な ASP・SaaS 事業者を表彰する「ASP・ SaaS・ICT アウトソーシングアワード」を 2007 年度に創. ☆2. 設し,以降毎年度,第 4 四半期に表彰式を開催している. .. 【地方自治体などへの ASP・SaaS 導入コンサルティング】  2002 年より各方面の自治体向け ASP・SaaS 導入コン サルティング支援を実施するとともに,自治体などにお. た ASP・SaaS について,その普及促進の実現に向け, 国としての政策,施策の展開が進められてきた. 【内閣の取り組み】  経済財政改革の基本方針 2007 ∼「美しい国」へのシナ. リオ∼の中で,ASP・SaaS が政策として採り上げられ た (閣議決定,2007 年 6 月)..  具体的には第 2 章にて,成長力強化につながる IT に よる生産性向上に係る施策として, 「IT 投資の選択と集. ける ASP・SaaS 利活用の普及促進を目指した「公共 IT. 中に向け,業種・製品ごとのソフトの標準化・共同開発,. におけるアウトソーシングに関するガイドライン」の作. ソフト部品産業の競争力強化を行うともに,ASP・SaaS. 成(2002 年度,総務省から受託) ,また「ASP・IDC 活用. の普及促進など中小企業の IT 化の基盤を整備する」こ. による電子自治体アウトソーシング実践の手引き」を出 版し(2006 年) ,全国 35 都道府県の自治体職員への説 6). 明会を実施した.引き続き,さらなる利活用に係る調査. とが示されている.. 【総務省の取り組み】  総務省の「ICT 生産性加速プログラム」 (2007 年 6 月, 総務大臣より発表)の中で ASP・SaaS の普及・促進につ. ☆1 ☆2 ☆3. http://www.aspicjapan.org/event_2008/ http://www.aspicjapan.org/activity/project/ http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/070427_14_bt.pdf. いての施策が示された.その施策内容は,以下の 4 つが 検討課題とされている.. ・ 安全・信頼性指針の策定,事業者認定制度 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 1437.

(6) 解説 ・ インタフェースの公開の促進,役割分担などの明確 化 ・ ネットワーク利用に係る企業データベースの構築. よびソフトウェアなどの SaaS サービス基盤,API・デ ータ連携などの SaaS プラットフォームソフトが用意さ. れており,多様な参画パターンが許容されている.また,. ・ 国際的連携の推進. 利用者に対しては,低廉な料金設定を目指し取り組まれ.  上記に沿い ASP・SaaS の普及促進策の検討が進めら. ている.. SaaS の安全・信頼性に係る情報開示指針」が策定され. ● ASP・SaaS 普及促進協議会. れ,ASP・SaaS 普及促進協議会の成果に基づき「ASP・ ☆4. た(2007 年 11 月) .また,並行して ASP・SaaS 事業. 者が施すべき情報セキュリティ対策が検討され「ASP・ SaaS における情報セキュリティ対策ガイドライン」が引 ☆5. 【総務省と ASPIC の合同による協議会の設立】  2007 年に,ASPIC は総務省と共同で ASP・SaaS の課. 題と今後の普及促進策について調査研究を行った.この. き続き公表された(2008 年 1 月) .. 研究では,ネットワーク上における革命的変化およびそ. 向上戦略の 1 つとして ASP・SaaS の徹底活用が検討さ. 面,行政面,産業面などから将来を展望し,ASP・SaaS.  また,情報通信審議会においても ICT による生産性. れに伴う我が国の経済社会の変化について,社会・生活. れ,2008 年 6 月に「ICT による生産性向上戦略」の答申. を社会インフラとして普及促進させていくため,以下. 活用の現状とともに,ASP・SaaS の認知度向上に向け,. の「ICT 生産性加速プログラム」の検討課題に係るもの. がなされた. ☆6. .この中では,ASP・SaaS のインパクト,. 上述の情報開示指針の活用,それに基づく認定制度の開 始,ASP・SaaS 白書の作成・公表,成功事例の公表に ついて示された.. 4 点の課題整理を行った.なお,これら課題は,総務省 でもある. (1)安全・信頼性指針の策定と事業者認定制度.   ユーザが ASP・SaaS のサービスや事業者を選択・ 評価する際に必要な安全・信頼性を策定し,指針を満. 【経済産業省の取り組み】  経済産業省では,情報ソフトウェア産業の競争力強化,. たしている事業者を認定する制度を官民で検討する.. 地域・中小企業の生産性向上を目指し, 「SaaS 向け SLA. (2)ASP・SaaS 連携促進のためのインタフェースの公開,. 中小企業の IT 化の促進などの施策が推進されている..   多様な ASP・SaaS を相互に活用可能にし,ユーザ. ガイドライン」の整備, 「SaaS 活用基盤整備事業」による ☆7.   「SaaS 向け SLA ガイドライン」 (2008 年 1 月公表). 標準化などの促進 の利便性を高めるため,ASP・SaaS 相互間のインタ. は,サービスの提供者と利用者の間で合意することが. フェースの公開,標準化,プラットフォームの活用な. 望ましい保証基準の合意事項である SLA(Service Level. どを促進する.. Agreement)を作成するため,利用するサービスおよび提 供事業者の選定の際に参考となるガイドラインを示し. (3)ASP・SaaS のための企業ディレクトリの構築   ASP・SaaS のサービスの信頼性を確保し,高度化. ている.また,アプリケーション運用 (可用性,信頼性,. を促進するため,ネットワーク上のユーザ・事業者双. 性能,拡張性),サポート,データ管理,セキュリティ. 方の企業情報のデータベースなどの在り方を官民で検. の 4 分類に関して,SaaS の測定可能な客観的なサービ スレベル項目が合わせて具体的に例示されている. ☆8.   「中小企業向け SaaS 活用基盤整備事業」. 討する. (4)国際的連携の推進. は 2008 ∼.   安全・信頼性に関する指針・ASP・SaaS の相互利用の. 2009 年度にわたる,財務会計,給与管理などバックオ. 標準化,責任分解点の明確化などのルール整備などに. フィス業務から電子納税など電子申請までを一貫して. ついてアジアを始めとした諸外国との連携を推進する.. 行えるワンストップサービスについて,官民連携によ.  これら調査研究の成果を,具体的な施策として展開す. り中小企業 50 万社への利用を目指した取り組みである.. るため,総務省と ASPIC は合同により,ASP・SaaS 普. リケーション基盤としてデータセンタ,ハードウェアお.  この協議会は学識経験者,総務省などの公的機関,. ASP・SaaS アプリケーション事業者に対しては,アプ. 及促進協議会を設立した (2007 年 4 月) .. ASP・SaaS 事業者などにより 4 つの委員会(安全・信頼 ☆4 ☆5 ☆6 ☆7 ☆8 ☆9. http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/071127_3.html http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080130_3.html http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/ict_imp/ pdf/080703_2.pdf http://www.meti.go.jp/press/20080121004/20080121004.html http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/saas/system.html, http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/saas/apri.html http://www.aspicjapan.org/activity/project/pdf/080507_1.pdf. 1438. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 性委員会,ASP 連携委員会,企業ディレクトリ委員会, 国際連携委員会) により構成された (図 -9 参照). ☆9. 【協議会 「安全・信頼性委員会」 の活動成果. 】.  現在,ASP・SaaS 事業者によるサービスなどに関す る安全・信頼性に係る利用者への情報開示は必ずしも十 分な状況とは言えない.委員会では,その対応策として,.

(7) ASP・SaaS の動向と普及促進の状況. 後編.    ASP・SaaS ASP ・SaaS 普及促進協議会 普及促進協議会         会  会  長: 長: 徳田 徳田 慶應義塾大学教授 慶應義塾大学教授         副会長: 副会長: 中島 中島 国際大学教授 国際大学教授. ア アドバイザリーボード ドバイザリーボード. 安全 ・信頼性 安全・ 信頼性 委員会 委員会 主査:  中島 国際大学グローバル  コミュニケーションセンター教授 副主査:  島田 摂南大学教授. WG 1. ASP ASP 連携 連携 委員会 委員会 主査:  阪田 千葉大学教授. ィレクト 企業デ 企業ディ レクトリ リ 委員会 委員会 主査:  國領 慶應義塾大学教授. WG 2. WG 3. 国際連携 国際連携 委員会 委員会 主査:  土屋 慶應義塾大学准教授 副主査:  津田 ASPIC Japan常務理事,     技術部会長. WG 4. 図 -9 ASP・SaaS 普及促進協 議会の組織 体制. 事業者 サービス. 事業所・情報. 事業者名,設立年,主要事業概要など. 人 材. 代表者,役員,従業員数. 財務状況. 財務データ(売上高,資本金など),財務信頼性(上場有無,監査,決算公告など). 資本関係・取引関係. 株主構成,大口取引先,主要取引先金融機関. コンプライアンス. 組織体制,文書類(情報セキュリティ関係). サービス基本特性. サービス内容(名称,開始時期,基本タイプ,内容・特徴,カスタマイズ) サービスの変更・終了(事前告知,代替措置,問合せ先) 料金体系(課金方法,体系・金額,解約時ペナルティ,解約受付期間) 品質(稼働率,事故歴,サービスパフォーマンス,認証取得,個人情報扱い,バックアップ,受賞・ 表彰歴,SLA) 利用量(利用者数,代理店数). アプリケーション, プラットフォーム, サーバ・ストレージ等. 主要ソフトウェア(名称,概要,提供事業者名) 連携・拡張性(他システム連携 API) セキュリティ(死活監視,障害監視,時刻同期,ウィルス対策,管理者認証,ログ管理,ID・パ スワード管理,セキュリティパッチ). ネットワーク. 回線(推奨回線,推奨帯域,推奨端末) セキュリティ(ファイアウォール ,不正侵入検知,NW 監視,ウィルスチェック,ユーザ認証, なりすまし対策(事業者側),その他対策). ハウジング (サーバ設置場所) サービスサポート. 施設建築物(専用建物,所在地域,耐震構造など),非常用電源(UPS,給電系統数など),消化設備・ 報知システム,避雷対策,空調設備,セキュリティ(入退室,媒体保管など) 窓口(連絡先,受付時間,稼働率,サポート内容等),サービス保証・継続(冗長化,負荷分散など), 通知・報告(メンテナンス事前通知,障害通知,提起報告). 表 -1 ASP・SaaS 安全信頼性に係る情報開示項目. ASP・SaaS 事業者による情報開示を促進するとともに,. 表 -1 の内容から構成されている.なお,セキュリティ. 用できる環境整備の実現を目指した情報開示項目を検. SaaS の情報セキュリティ対策に関する研究会」で並行し. ASP・SaaS サービスの利用者が安心してサービスを利. に関する情報開示項目などは,総務省が推進した 「ASP・. 討した.その成果により「ASP・SaaS の安全・信頼性に. て検討が進められていた「情報セキュリティ対策ガイド. 係る情報開示指針」が策定され,総務省から公表された (2007 年 11 月).. ライン」 の対策内容 (表 -2 参照) が反映されている.  さらに委員会では,この情報開示指針の具体的な活用.  この指針では,ASP・SaaS の安全・信頼性に係る情. 策として,ASP・SaaS 安全・信頼性制度のフレームワー. 報開示を必須の項目と選択の項目に分け,情報開示項. ク (運用体制,運用規程,審査基準) に関する検討を行った.. 目を共通かつ豊富にするとともに,利用者による ASP・.  これら成果は,後述する (財) マルチメディア振興セン. としており,情報開示項目は事業者とサービスに関する. 定制度」 の運用開始に資されている.. SaaS の比較,評価,選択などを容易にすることを目的. ターによる「ASP・SaaS 安全・信頼性に係る情報開示認. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 1439.

(8) 解説 情報セキュリティへの組織的取り組みの基本方針 取り組みに係る基本方針作成,経営陣の役割等 組織・運用. 情報セキュリティのための組織. 内部および外部組織が行うべき規程,マニュアル,契約等. 連携 ASP・SaaS 事業者に関する管理. ASP・SaaS 連携に係るサービスレベルの管理. 情報資産の管理. 各情報資産の責任,情報の分類等. 従業員に係る情報セキュリティ. 従業員との契約等. 情報セキュリティインシデントの管理. 情報セキュリティインシデントおよびぜい弱性の報告. コンプライアンス. 従業員等に対する法令・規則の遵守. ユーザサポートの責任. ユーザサポート組織が果たす役割. 物理的・技術的対策. アプリケーション,プラットフォーム,サーバ・ 稼働監視,障害監視,時刻同期方法の規定・実施,異常検知時の利用者通知 ,ぜ ストレージ,ネットワークに共通する情報セキュ い弱性情報の収集・パッチ更新,運用・管理に関する手順書策定 リティ対策 アプリケーション,プラットフォーム,サーバ・ サービス稼働率・定期保守時間の規定,利用状況等のログ取得・保存,ウィルス ストレージに対する情報セキュリティ対策 対策,定期的なバックアップ アクセス制御方針,アクセス許可・無効化手順の策定,適切な認証方法によるな りすまし対策,不正アクセス防止措置,サーバ証明書によるフィッシング等の防止. ネットワークに対する情報セキュリティ対策. 停電・電力障害対策,火災検知・通報および消火設備,落雷(直撃・誘導雷)対策, 建物,電源(空調等)に対する情報セキュリティ 個人認証による入退室記録・管理,入退室の管理手順書,サーバ室・ラックの鍵 対策 管理 個人情報の取り扱いに関する法令遵守,運用管理端末におけるウィルス対策等, 記録媒体の適切な保管・管理. その他の情報セキュリティ対策. (注)ASP・SaaS の情報セキュリティ対策に関する研究会,「ASP・SaaS における情報セキュリティ対策ガイドライン」(2008/1/30,http:// www.soumu.go.jp/s-news/2008/080130_3.html)より作成 表 -2 ASP・SaaS の情報セキュリティ対策の概略. ☆ 10. 【協議会「ASP 連携委員会」 の活動成果. 】.  これまでの ASP・SaaS は必要な機能ごとに導入され. 務の効率化を図るために,これらの DB を相互にリンク. し,データ連携を可能とする仕組みとしての企業ディレ. ている場合が一般的なものであったが,委員会では利用. クトリが必要とされている (図 -11 参照) .. 者が必要とする機能を持つ ASP・SaaS 連携の実現を目.  また,企業ディレクトリを通して提供できる企業情報. 指し,ASP・SaaS 連携に係る標準化ガイドラインに資. の充足レベルとして,企業に係るメタコード,企業の基. する以下の基本要件を示した.. 本情報(名称,住所など) ,商品の基本情報(名称,型番. (1) 通信プロトコル. など) ,商品の詳細情報 (仕様など) ,企業の詳細情報(信.   XML の採用,メッセージング方式として SOAP か REST(Representational State Transfer) の選択など. (2) データ連携標準項目.   対象業務として最もよく連携が行われる販売/売掛. 用情報など)がある.これら企業情報に基づく利用シー ンの検討を通して,企業情報の充足化が進められていく ことで,さまざまな利用シーンへの展開イメージを具体 化した (図 -12 参照) .. 業務の情報と顧客/取引/支払業務の情報についてデ.  さらに委員会では,企業ディレクトリのインフラ機能. ータ連携に係る標準項目の例示. として,メタコード実現につながる 4 つの既存企業コー. (3) 事業者間認証. ド (会社法人番号,帝国データバンク社企業コード,東京.   連携させる既存環境のセキュリティ要件確認,認 証・権限管理の運用ルール確認など. 商工リサーチ社企業コード,固定電話番号) について比較 検討を行った.それら検討を通して,メタコードとして.  なお,ASP・SaaS 連携においてはデータ連携,サー. 整備するためには, 「永久欠番の実施」 , 「維持運用コスト. ビス連携,ビジネスプロセス連携の 3 つのレベルが想定. の回収モデルの確立」 など,各々に固有の課題をクリアす. できるが,委員会では,複数の ASP・SaaS のサービス. に対し,業務データの 2 重入力を回避できる簡易モデ ルを想定し,データ連携に主眼を置いた検討を行った (図 -10 参照).. る必要があるなどが今後の課題として示された. ☆ 12. 【協議会 「国際連携委員会」 の活動成果. 】.  ASP・SaaS 認定制度を 2006 年より実施している我が 国同様のブロードバンド大国の韓国とのワークショップ. ☆ 11. 【協議会「企業ディレクトリ委員会」 の活動成果. 】.  企業内外において企業 DB が分散しているが,コード. が統一されていないため,任意の 1 企業に係る情報を一. 元的に収集することが困難である.ICT を利用した業. 1440. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. ☆ 10 ☆ 11 ☆ 12. http://www.aspicjapan.org/activity/project/pdf/080507_2.pdf http://www.aspicjapan.org/activity/project/pdf/080507_3.pdf http://www.aspicjapan.org/activity/project/pdf/080507_4.pdf.

(9) ASP・SaaS の動向と普及促進の状況 レベル3. 後編. 当委員会の 検討範囲. レベル2 . ビジネスプロセス制御. レベル1 データ連携基盤. セキュリティ/認証方法. 通信プロトコルの設定. 認証の引継ぎ. データ連携標準項目作成 ・データ連携標準項目 ・メッセージング方式. 業務ワークフロー グリッドコンピューティング 課金方法の制御. 通信に依存しない 独自セキュリティ. 非ASP・SaaS との連携. ASP・SaaS 事業者間認証. ASP・SaaS間の サービス連携. ASP・SaaS間の データ連携 データ連携を優先し,セキュリティ, 暗号化は通信プロトコルやアプリケー ションに依存し,あくまで疎結合を前 提とする.. ビジネスプロセス連携/ ビジネスモデル変革. ASP・SaaS間を接続する効果と して,シングルサインオン等を適 用することで利用者のワンストップ を実現し,利便性を向上する.. 業務ワークフローによるビジネス プロセス間の制御を行うことに より,仮想的に1システムとして 利用可能となる.. 図 -10 ASP・SaaS 連 携 の 技術要件と検討範囲. 企業内DBでもさまざまなコード 本社営業部 本社営業部 コード コード A01112 A01112. 経理部 経理部 コード コード 1234568 1234568. 関西支店 関西支店 コード コード ABC-3336 ABC -3336. 信用調査会社 信用調査会社 DB DB 金融機関の 金融機関の 顧客DB 顧客DB. 業界(JAN等) 企業DB 企業DB. 公的企業DB/コードもさまざま. A社 同じ企業なのに さまざまなコードが存在する. 入札資格 入札資格 DB DB 568-999-789 568-999-789. 納税者 納税者 DB DB 5556887 5556887 会社法人等番号 会社法人等番号 0113-01-01*** 図 -11 企 業 ディ レ ク ト リ の検討における背景要因. で課題提起された日韓の相互認定制度の必要性を含めた. 進協議会で検討された認定制度の枠組みに基づき, (財). 検討を通し,日本からの現在の海外展開状況を踏まえて,. マルチメディア振興センターによる「ASP・SaaS 安全・. 以下の 2 つの観点で課題が整理された.. 信頼性に係る情報開示認定制度」 が 2008 年 4 月にスター.   日本の ASP・SaaS 関連ベンダによる海外事業展開.  この認定制度は,安全・信頼性に係る情報を利用者に. (1)Provided by Japan. を促進していく観点. (2)Provided in Japan.   海外の事業者も含め広く日本での ASP・SaaS 関連サ. ービスの展開を促進していく観点(日本市場のウィン ブルドン化,MLB(Major League Baseball) 化を目指す). ● ASP・SaaS 安全・信頼性に係る情報開示認定 制度  総務省が公表した情報開示指針,ASP・SaaS 普及促. ☆ 13. トした (図 -13 参照). .. 適切に開示している ASP・SaaS のサービスを認定する. ものであり,また,ASP・SaaS の利用者の視点に立っ た制度,発展期にある ASP・SaaS の市場の拡大を促進. する制度であることをその基本的な考え方としている. 【認定制度の全体イメージ】  認定制度の審査体制,事業者の申請手順,利用者など への公表に係る全体イメージを図 -14 に示す. ☆ 13. http://www.fmmc.or.jp/asp-nintei/. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 1441.

(10) 解説 情報(コンテンツ) の充足化. ⑤. ④. ⑥. 電子調達に係る ビジネス 証明書類の 企業情報提供 マッチング 提供サービス. 企業の 詳細情報. メタコードのみ の提供でサー ビス可能な利 用シーン. ③. 商品の 詳細情報. サービス マッチング. 商品の 基本情報. ⑦. ASP・SaaS. アプリ連携. CRM への展開. ニーズ,実現 難易度,期待 効果の観点か ら総合的な評 価ランクが高 いサービス. 企業の 基本情報. ①. メタコード. ②. 企業内 コード統一 短期. ASP・SaaS. データ連携 中期. 長期. 図 -12 企業ディレクトリの 利用シーンの展開イメージ. 2008 年度. 2007 年度 ASP・SaaS ASP ・SaaS 普及促進協議会の推進 普及促進協議会の推進 ・信頼性委員会 安全 信頼性委員会 安全・. 安全・信頼性に係る 認定制度の 情報開示指針(1版) 仕組み (2007.11.27 ). 時間の 推移. 総務省とASPIC が共同 でASP・SaaS の具体的 施策を検討,推進. (2008.3.31). 情報セキュリティ対策 ガイドライン (2007.1.30) ASP・ SaaS ィ対策研究会 ASP ・ SaaS 情報セキュリ 情報セキュリテ ティ 対策研究会. 2008.4.1 2008.4.1 ∼ ∼ (財) マルチメディア振興セン ターによる認定制度 ターによる認定制度.  認定機関である(財)マルチメディア振興センターは, 事業者から ASP・SaaS のサービスにかかわる申請(申請. 書と申請内容の疎明資料)を受け付けた後,認定の審査 を実施する.審査にあたっては,学識経験者および有識 者などにより構成される 「認定審査員会」 を開催し,専門 的および技術的事項にかかわる意見を聞くことができる.  認定されたサービスには認定証と認定マークを発行. 図 -13 認定制度の運用開始 に至る経緯. 定制度の Web サイトから公開されている. ☆ 14. ..  審査対象項目は, 「必須開示項目」 (情報開示が不可欠 な 26 項目) と「選択開示項目」 (情報の開示は任意である. 67 項目)に分かれており,以下の基準により審査される. なお, 「選択開示項目」 については,それらの開示の有無 により認定もしくは非認定とするものではない. (ⅰ) 「必須開示項目」 のすべてについて適切な情報開示を. するとともに,認定サイトから申請内容が公表される.. 行っており,かつ「必須開示項目」の中で特にユーザに. ASP・SaaS 利用者は,それらの認定サービスのかかわ. とって重要な「一定の要件を考慮すべき項目」のすべて. る情報を把握することで,最適なサービスの選択に資す. について一定の要件を満たす場合 (対策・措置などを行. ることが可能となる.. っている場合,最低水準数値以上の場合) は認定する..  なお,ASPIC はこれら制度運用へ協力するとともに,. (ⅱ) 前項の基準に適合しない場合は非認定とする.. 審査に係る事務を受託している.. 【認定サービスとそれらのサービス種別】. 【審査対象項目と審査基準】  認定の審査対象項目は,総務省から公表された 「ASP・ SaaS の安全・信頼性に係る情報開示指針」で示されてい る情報開示項目に基づくもので,全 93 項目の詳細が認. 1442. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008.  2008 年 4 月に制度運用が開始されて以降,同年 10 月. までに 4 回の審査がなされ,34 サービス(28 事業者)が ☆ 14. http://www.fmmc.or.jp/asp-nintei/data/shinsa.pdf.

(11) ASP・SaaS の動向と普及促進の状況   認   認定 定機 機関 関.           (財) マルチメデ ィア振興センター 財)          ( マルチメディ ア振興センター. 協力. 認定審査委員会. 認定 事務局. 委員: 学識経験者,      民間有識者等. 申請. 事務の受託. ・認定日および認定の有効期間. ASP ・SaaSサービス ASP・ SaaSサービス(認定) ( 認定). ASP・SaaS ASP ・SaaS 事業者 事業者. ASPIC ASPIC. 認定サービスの ・必須開示項目の記述内容  申請内容の公表 ・選択開示項目の記載の有無. 認定証と 認定マークを発行. ASP ・SaaSサービス ASP・ SaaSサービス(認定) ( 認定). 後編. ASP ・SaaS利用者 SaaS利用者 ASP・ 最適なサービス 選択が可能になる. ASP ・SaaS利用者 SaaS利用者 ASP・ 図 -14 認定制度の全体イメ ージ. 認定され,認定制度の Web サイトから認定サービス一. IT イノベーション産業,および社会情報システムへの.  認定された 34 サービスのサービス種別はおよそ以下. それらについて展望し,本稿のまとめとさせていただく..  ・グループウェア・メール関連 9(26%). ● ASP・SaaS の普及促進.  ・分野特化型(建築,介護,校務など)  7(21%).  ASP・SaaS ユーザが必要なサービスを安心して利用.  ・人事・給与関連 5(15%). できる健全な市場の育成を図ることが重要である..  ・CRM(顧客管理) 関連 3(9%).  まず,ASP・SaaS の意義,効果,および提供サービス.  ・調達・契約関連 3(9%). の現状などの情報提供を通し,ユーザへの ASP・SaaS. 覧とそれぞれの申請内容が公表されている. ☆ 15. .. 展開の視点からの取り組みが重要と考えられる.以下,. のように分類された..  ・e ラーニング 2(6%). を普及促進する必要がある.次に, 「ASP・SaaS の安全・.  ・セキュリティ 2(6%). 信頼性に係る情報開示認定制度」の推進を通し,健全な.  ・その他(ASP 基盤,データ配信)  3(9%). ASP・SaaS 市場の形成に努め,ユーザの利用拡大を図.  申請を行った事業者は大手の IT 企業,中小の ASP 専. っていくことが望まれる.. 業の企業および IT を利用していたユーザ企業(非 IT 系.  また,個別的な提供形態であったこれまでの ASP・. が積極的に申請を行っている.. 携が多様なユーザニーズに応える上での重要なキーとな. 企業)が実施している ASP・SaaS 事業等,多様な事業者. SaaS について,今後は,事業者の連携,サービスの連.  今後の制度運用を通し,ASP・SaaS の普及促進がな. ってきた.よって,ASP・SaaS 連携を普及促進させる. される中,さらなるサービス種別の多様化が進むものと. 施策についても考えていく必要がある.. 想定される.. ●ソフトウェア業界. 今後の展望  IT の高度化,安価な高速ネットワークが広がりを見 せる中,ASP・SaaS は IT リソースをアウトソースでき.  中小のソフトウェアベンダにとって,これまでは大手 SI 事業者からの請負業務が主体であったが,自社のコ. アコンピタンス業務を基に ASP・SaaS 事業を行うことで, 自らの新たな事業を大きく展開できるビジネスチャンス. るなどにより経営の効率化や生産性向上に資するビジ. が出てきた.また,大手ベンダなどから提供されるプラ. ネスモデルとしての期待が高まっている.また,ASP・. ットフォームの利用,自社にないコアコンピタンスを. SaaS 事業者による提供サービスが,ASP・SaaS ユーザ. 持つ他の事業者とのビジネス連携を行うことで,ASP・. 土壌が整備されてきたものと言える.. すことができる.. の多種多様なビジネスシーンに対し応え,浸透していく. SaaS のサービス範囲が広がり新たな企業価値を作り出.  今後,ASP・SaaS がさらなる実質的な成長,拡大を.  また,ソフトウェアをパッケージ販売しているベンダ. 目指す上で,その普及促進,ソフトウェア業界,標準化,. にとって,ASP・SaaS が普及していく流れに対し,ど のように舵取りをしていくかについて大きな経営判断の. ☆ 15. http://www.fmmc.or.jp/asp-nintei/service.html. 段階でもある.ASP・SaaS によってパッケージ販売か 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 1443.

(12) 解説 ら新たなアウトソーシングモデルへの転換が求められる.. イノベーション産業を創造するための重要なビジネスモ. 大手ベンダにおいては,データセンタ,プラットフォー. デルと期待されている.. ムを提供し,多くの ASP・SaaS 事業者と連携すべくパ. ートナー戦略が進行している.今後,プラットフォーム・. ●社会情報システムへの展開. ベンダ間が連携すること,また,海外企業のプラットフ.  IT システムが社会,企業活動の重要なインフラにな. ォーム戦略に対する日本企業の位置付けを整理すること. っていることは,まぎれもない事実である.しかしなが. などが検討課題になるものと考えられる.. ら,社会全般を見ると,各々のシステムは個別バラバラ に導入されてきたが,今後,社会インフラとしての全体. ●標準化. 最適を指向して,対象業務,業界ごとのサービスを実現.  各種の ASP・SaaS の連携,マッシュアップによりユ. していく必要がある.. ーザのニーズに適ったサービス提供が進展していく中で,.  医療,保健福祉などの社会サービス,電子申請などの. ASP・SaaS にかかわるアプリケーション間,アプリケ. 行政サービス,EDI,物流などの各種サービス等々につ. ム間の 3 つの視点からの連携が進むものと考えられる.. 築されることになれば,国,地方自治体,企業の情報サ. ーションとプラットフォーム間,およびプラットフォー. いて,分野ごとに業務インフラが ASP・SaaS によって構. これらの ASP・SaaS の連携について,連携インタフェ. ービスが相互に連携して 1 つの大きなバリューチェーン. ていく必要がある.. 現するツールがまさに ASP・SaaS モデルであり,きたる. ースに関する各種要件の標準化等の施策についても考え  ASP・SaaS を実現するために, 「公共 IT のアウトソ ☆ 16. ーシングのガイドライン」 (総務省,2003 年 3 月). ,. 先述した「ASP・SaaS の安全・信頼性に係る情報開示指針」. (総務省),「ASP・SaaS における情報セキュリティ対策. ガイドライン」 (総務省) 「SaaS 向け SLA ガイドライン」 ,. (経済産業省)などが国によりガイドラインとして策定さ れてきた.ASP・SaaS に関する設計,構築,サービス 提供などについて,これらを参照し ASP・SaaS のサー. ビスを実現することが期待されている.それらガイドラ インは各々,重なる部分,固有の部分があるが,ASP・. が形成されることを期待できる.社会情報システムを実 べきユビキタスネットワーク社会において ASP・SaaS は 社会インフラを支える重要なビジネスモデルといえる.. 参考文献 1)特定非営利活動法人 ASPIC ジャパン:ASP 白書(2004). 2)特定非営利活動法人 ASPIC ジャパン,(財)マルチメディア振興セン ター:ASP 白書 2005(2005). 3)特定非営利活動法人 ASPIC ジャパン:ASP 総覧 2006/2007(2006) . 4)特 定 非 営 利 活 動 法 人 ASPIC: ASP・SaaS ソ リ ュ ー シ ョ ン ガ イ ド 2008/2009(2008). 5)特定非営利活動法人 ASPIC:ASP・SaaS 構築ガイド(2008). 6)特定非営利活動法人 ASPIC ジャパン: ASP・IDC 活用による電子自 治体アウトソーシング実践の手引き(2006). (平成 20 年 11 月 7 日受付). SaaS 事業者がそれらを参照してシステム構築,サービ. ス実現することは,1 つの標準化の流れを形成するもの といえる.また,ユーザに対しても,それらを参照して 利用するサービスを評価することは,適用判断などに資 する標準につながるものと考えられる.. ● IT イノベーション産業  IT 業界だけでなく IT を利用していたユーザ企業など が,新たなビジネスモデルを求めて,自社業務によるコ アコンピタンスを活かし,事業者として ASP・SaaS ビ ジネスで成功を収める事例が数多く生み出されている.  経済同友会では,30 年後を見通し,IT をプラットフ ォームとして戦略的に活用することで新たな価値創造を 行うイノベーション企業群について,21 世紀の成長産 業である IT イノベーション産業と位置付けている.ま た,すべての産業が,IT イノベーション産業への転換. の可能性があると提言している.ASP・SaaS はこの IT. ☆ 16. http://www.soumu.go.jp/denshijiti/pdf/060213_03.pdf. 1444. 情報処理 Vol.49 No.12 Dec. 2008. 河合 輝欣 (正会員). [email protected] 慶應義塾大学大学院工学研究科修士課程修了.日本電信電話公社に 入社,NTT,(株)NTT データ代表取締役副社長,TDC ソフト(株)代 表取締役社長を経て,現在(株)ユー・エス・イー取締役会長.一貫 して,大規模情報システムの設計,建設に従事.1999 年 ASP・SaaS インダストリ・コンソーシアム設立時より会長.ASP・SaaS の普及 促進に従事. 堤田 敏夫(正会員). [email protected] 大阪府立大学工学部電気工学科卒業,日本電信電話公社に入社,NTT, (株)NTT データを経て,現在(株)NTT データアイ担当部長.1973 年から 1997 年の間,文字認識,OCR の研究開発,実用化に従事.以降, 公共分野の電子図書館,ディジタルアーカイブの企画開発に従事. 現在,ASP・SaaS インダストリ・コンソーシアムにて ASP・SaaS の 普及促進に従事. 横山 義和. [email protected] 九州工業大学工学部情報工学科卒業,日本電信電話公社に入社,NTT, (株)NTT データを経て,現在(株)NTT データアイ推進部長.共同 利用型システムのユーザシステム開発,G4FAX 通信プロトコル研究 開発,官庁システムの開発,中国国家経済情報システムのコンサル などに従事.現在,ASP・SaaS インダストリ・コンソーシアムにて ASP・SaaS の普及促進に従事..

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参照

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