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社会の高齢化に役立つ情報処理技術の開発を

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Academic year: 2021

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(1)IPSJ Magazine. [巻頭コラム]. 社会の高齢化に役立つ 情報処理技術の開発を ▪山田 肇.  世界規模で高齢化が進行し,それに伴って発生する諸問題にどう対応するかが,先進国・発展途上国を問 わず各国で大きな政策課題となっている.  若い世代は高収入を求めて都会に移る傾向があり,高齢者は一人または夫婦での暮らしを余儀なくされる. 高齢者が居住する地域では過疎化が同時に進行する場合が多く,地域住民による見守りもうまく機能しない 恐れがある.そこで,高齢者の生活を支援する各種サービスの開発が世界各国で始まった.  高齢者の居宅に IoT センサを配置し生活ぶりをモニタする.廊下に倒れ動かないといった状況が検出され たら,ヘルパーが駆け付けるサービスがある.装着したバイタルセンサの情報を病院に常時送信し,AI で分 析して異常を見つけたら医療関係者が介入するサービスもあり得る.社会参加で老化の進行が抑えられると は分かってきたが,社会参加の形態は多様である.その一形態である高齢者の就労には,アクセシビリティ を含め UX に配慮した情報処理機器・サービスが求められる.  IoT・AI・UX……というように,情報処理技術は高齢社会への対応に役立つ.一方で,高齢者が安全に利 用できるようにするためには,情報処理研究者が解決しなければならない技術的課題がある.  ほぼ自立して生活できる段階から要介護まで老化の状態はまちまちだから,確保すべき安全の水準はこの 老化の状態を反映したものでなければならない.高齢者の状態は年月とともに変化するが,それに応じて居 宅内のシステムは柔軟に配置が変更できる必要がある.バイタルセンサが検出するのはまさに要配慮個人情. 1064. 情報処理 Vol.59 No.12 Dec. 2018.

(2) ■ 山田 肇 東洋大学名誉教授 工学博士.NTT を経て 2002 年に東洋大学経 済学部教授,現名誉教授.高齢社会対応標準 化国内委員会委員長(IEC,ISO 対応) .情報 通信政策フォーラム理事長,JST 安全な暮らし をつくる新しい公/私空間の構築研究開発領 域総括.. 報であり,ふさわしい情報セキュリティが求められる.  高齢社会への対応は,情報処理研究者にとって格好の研究開発テーマである.  高齢社会への対応を目的として国際標準化活動がすでに動き出している.IEC は System Committee Ac -. tive Assisted Living(SyC AAL)を 2015 年に組織し,自立生活支援システムの標準化に取り組んでいる.ISO は TC 314 Ageing Societies を 2018 年に組織し,高齢者就労や認知症を受け入れる地域社会に関するフレー ムワーク標準の作成に着手した.そのほか,老化の状態を歩行速度や歩様で検出する技術の標準化も俎上に 上っている.  最も高齢化が進む我が国で高齢者を支援するサービスに最初に成功すれば,世界市場に進出できるかもし れない.一方で,欧米の巨大情報処理企業も着々と乗り出した.黎明期にあるこの市場には将来大きな収益 の可能性があるからだ.  情報処理学会会員が,世界に先駆けて,高齢社会に対応する情報処理技術・サービスの開発に,国際標準 化も視野に入れて取り組むように期待する.また,遠隔バイタルセンサの医療行為としての利用などには現 行規制を緩和しなければならないため,我が国の政府が関連する規制を緩和するように学会からも働きかけ るのがよい.. 情報処理 Vol.59 No.12 Dec. 2018. 1065.

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