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M・
コ ヴ ァ レ フ ス キ ー に 於 け る
イ ン ド共 同 体 の 類 型 に つ い て
中
鷺
太 一
1 問 題 の 所 在 , ク レー ダの表 現 を借 りれ ば,そ の伝 統 的 時 期 を通 じて 中 国 と共 に 「政 治 的社 会 」 で あ りえた イ ン ドの社 会 構 成 に於 い て は,公 式 と非 公式 或 は 幻想 的擬 制 と 実 体 は,相 互 に 区分 され 得 た ので あ っ て,M・ コ ヴ ァ レフ ス キ ー に よ っ てな さ れ た イ ン ド共 同 体 把 握 は,少 く と も この意 味 に於 け るア ジ ア社 会 一 決 して そ の 区 分 を 欠 い た 原 始 社 会 で は な く一 の 基 底 に 内在 せ る重 層 性 の論 証 と して一 実 証 で は な く一 象 徴 的 意 味 を 持 ち うる の で あ る。 我 国 で も十年 来,コ ヴ ァ レフ スキ ーの イ ン ド共 同 体 研究 は,ア ジ ア的 生 産様 式 論 争 の 復 活 に件 って特 に最 近 マ ル ク ス の抜 萃 ノ ー トに 関 す る詳 細 な書 誌 的 諸 研 ラ 究 の 出 現 を契 機 とし て広 汎 な 理 論 的 関 心 の対 象 とな って い るに も拘 らず,彼 の イ ン ド共 同 体研 究 の方 法 と分 析 の 全 容 に就 い て は殆 ん ど直 接 的 な形 で は 知 られ て い な い と言 え よ う。 一 連 の イ ン ド共 同 体 の類 型 化,特 に大 家 族 共 同 体 の 概 念 規 定 は,ア ジ ア的 社 会 構 成 に 於 け る所 有 の本 質 ・形 態 規 定 と の関 係 で,彼 の 理 論 の中 で 中 心 的 概 念 で あ り,マ ル クス に よ って もか な り詳 し く検 討 され た 範 疇 で あ る。 即 ち,マ ル'クス は外 国資 本 侵 入 ・殖 民 地 化 以 前 の イ ン ド社 会構 成 を 基1) L.Krader, The asiatic mode of production,1975, assen, p.191
2) K.Marx, fiber Formen vorkapitalistischer Produktion. Vergleichende Studien
zur Geschichte!des Grundeigentums 1879-80.1977. WG, eingeleitet von H. P.
Harstick;マ ル ク ス の 「 コ ヴ ア レ フ ス キ 「 ・ ノ ー ト」 全 文 が 収 録 さ れ て い る 最 も 詳 細
な 書 誌 的 研 究 。L. Krader, The ethnological notebook of Karl Marx,1974, risen,
本 的 に は ア ジ ア 的社 会 と い う西 欧 との 質 的 次 元 で の 断 面 に 見 て い た の に対 し, コ ヴア レ フス キ ーは,回 教 国 の侵 入 を 媒 体 とす る一 種 の 発 展 段 階 の 図 式 に添 っ た:量的 次元 に よ る視 角 に基 い て いた と云 え るが,問 題 は,共 同 体 の解 体 の論 理 の 裡 で か か る二 種 の対 照 的 な視 角 のい わ ぽ 起 点 と も言 うべ きイ ン ド共 同 体 の本 源 的 特 質 は どの よ うに位 置 ず け られ うるか とい うこ とで あ り,よ り具 体 的 に云 え ば,氏 族 共 同 体 を基 底 とし て家 族 共 同 体 の中 核 た る不 分 割 的 な家 族 的所 有 の 概 念 の 幻 想 的擬 制 た る性 格=ア ジ ア的 家 族 賓 本 の原 型 的 本 質 と現実 的実 体 た る 農 村=村 落 共 同 体 の連 関 構 造 特 にそ の 継 起 性 を 厳 密 に 理 解 す る こ とが こ こで の 課 題 な の で あ る。 従 って こ こで は,コ ヴ ァ レフ ス キ ー の 『共 同 体 的 土 地 所 有 …』 第3章 及 び第 ま 4章 の 内容 を可 及的 忠 実 に要 約,紹 介 す る こ とに よ って 彼 の 共 同 体 研究 の方 法 及 び 家族 的所 有 を 中心 とす る彼 の論 理 を 追 跡 し,そ の 後 で 彼 の 後 期 主要 著 作 で の あ る 『家族 ・財 産 の起 源 及 び発 達 概 論 』 で の諸 規 定 と比 較 しつ つ 二 つ の 問題 を 検 討 した い。 こ こで の方 法 は 勿 論 歴 史 学 的 実 証 では な く広 義 の経 済 学一 内 容 的 の に はK・ ポ ラ ニ ー のEconomic Anthropologyの 領 域 内 に 止 ま る も の で あ る 。 豆 コ ヴ ァ レフ ス キ ー に よる イ ン ド共 同 体研 究 の方 法 最 古 の イ ン ド法典 は宗 教 的 且 つ 道 徳 的 規 律 で あ り,そ の 目的 は,慣 習 法 を 法 典 化 す る こ と よ りは僧 侶 を含 め て の特 権 階 級 の要 求 下 に 大 衆 と共 に 上 層 権 力 に よ るそ の 中へ の変 化 の導 入 で あ る。 この よ うな 条件 下 で は 日常 的 な生 活 現 象 は 立 法 者 の注 意 よ り欠 落 し習 俗 も法 典 化 され ず,個 々の 共 同 体,氏 族 及 び 家族 の 内 部 的 秩序 の裡 に 以前 通 りに生 き続 け る。 これ らの 地 方 的 秩 序 は殆 ん どの 場 合 現 在 までそ の 当初 の形 態 を保 持 し てい る し,そ の存 在 は 法 典 の 中 で若 干 の 暗 示
3) 酬.KoBaπeBcKH員,06皿 工HHHoe 3eMπeBπa双eHHe, npHqm{H, XOA ll nociIeAcTBHH
ero pa3Jlo}KeHH∬, qacTb nepBa兄 ・1879.ハ へocKBa, cTp.72-117.
4) m。KoBaπeBclくH員, OqepK npoHcxo》K八eHH∬Hpa3BIITH兄ceMbH H co6cTBeHHocTH・
1890,ハAOCKBa.
5) Primitive, archaic, end modern economies-Essays of Karl Polanyi, edited by G
N・ コヴ ァレフスキーに於け るイ シ ド共同体の類 型について 3 と し て のみ 見 出せ るか ら,社 会 的 発 展 の最 古 の 時期 か ら よ り複 雑 な,よ り高 い 共 同 生 活 の 原 則 へ の 進 化 を示 唆 す る資 料 の こ の よ うな性 格 は,研 究 者 に 対 して 社 会 生 活 の 最 も古 い 形態 を検 討 す る場 合に 遵 守 さ るべ き方 法 自体 を 指示 す る。 非 常 に 多 くの制 度 に基 く古 代 法 典 一 そ の規 制 は 慣 習 法 に提 示 され る一 に含 意 さ れ てい る暗 示 の 解釈 問題 を探 求す る為 に は,第 一 に 当時 に 機 能 し てい た 習 俗 と 儀 礼 の 研 究 が不 可欠 とな る。 この よ うな所 謂 「遺 制 の方 法 」 は,人 民詩,記 述 及 び法 律 の最 古 の記 念 物 の証 拠,他 方 で 揺 籃 期 の 当 該 国文 化 が 形成 され た条 件 の に 矛 盾 しな い場 合 に のみ 正 確 な も の と し て認 識 され るの で あ る。 コ ヴ ァ レフ ス キ ー は こ の よ うな現 代 か らの 溯 及 的 方 法 を 古 代 イ ン ド共 同 体 分 析 に適 用 し,先 ず,マ ヌ法 典 に 始 るす べ て の イ ン ド法 の体 系 に よ り承 認 され て い る現 代 の共 同 体 的 習 慣,秩 序 及 び 拘束 力 を直 接 証 明す る接 近 方 法 を採 り,次 に イ ン ド土 着 王 侯 期 の 土地 関 係 史 分 析 で は イ ン ド法 典 解 釈 の方 法 を 採 用 す る。 コヴ ァ レフ スキ ーの 方法 で最 も特 徴 的 な点 は,英 殖 民 政 策 と回 教 国 家 とい う 外 的 契機 に よ って 弱化 乃 至 破 壊 され た とは い え,19世 紀 イ ン ド社 会構 成 に お け る集 団 的 ・共 同体 的生 活 を古 代 の氏 族 共 同 体 との 理 論 的継 起 性 に於 い て把 え よ ア う とす る点 で あ るが,ク レー ダ の批 判 に よれ ば,か か る原 始 的条 件 は ル ソー の 所 謂 自然 の如 き も ので あ るか ら継 承 性 は な い の で あ り,更 に文 明 と原 始 の非 連 続 性 に 言 及 しな い の は 誤 りで あ る。 マ ル クス に よれ ば,英 国 人 は イ ン ドで そ の カ リ カ チ ュ ア 戯 画 を 創 り出 した が,イ ン ドの発 展 も既 に 内部 的 にそ れ 自身 の 戯 画 を 創 り出 し,原 始 国家 との 如何 な る関 係 か ら もず っ と以 前 に 分 離 した の で あ る。 更 に ク レー ダ に よれ ば,彼 の 方 法 に 於 い て 自然 的 な社 会進 化 の視 角 と人 工 的 な衝 撃(例 えば 殖 民政 策)が 混 在 して い るが,こ れ らは 二 者 択 一 的 に 扱 われ て,絡 み 合 った相 互 的 関 係 と し ては 認 識 され な か った。 要 す る に彼 の溯 及 的 方 法一 後 の 習 俗 に よ って マ ヌ期 の如 き古 代 の問 題 を説 明
6) 八八・KoBaπeBcKH茸 ・06皿 工HHHoe 3eMJIeBπ a双eHHe., cTp.72-73 .
7) L.Krader, The asiatic mode(,f productim, PP.205-206.
す る方 法一 は,具 体 的 ケ ー ス の一 層 の複 雑 化 と理 論 的 範 疇 の 単純 化一 実 際 上 の の 所 与 の領 域 は 排 除 され るか 過 大 評 価 され る一 に 導 く もの と批 判 さ れ る。 しか し,彼 の溯 及 的 視 角 は,イ ン ド社 会 構 成 の アジ ア社 会 と して の特 質 か ら 考 えれ ば,マ ル ク スが 英 領 イ ン ドに 於 け る共 同 体 の 基 本 構 成 を 単 な る遺 制 に止 ま らず イ ン ド社 会 の経 済 的 基 底 と して 抽 出 しえ た 方 法 に 証 明 さ れ る よ うに,共 同体 の各 要 素 ・(制度,慣 習,諸 イ デ オ ロギ ー)の 継 承 は 理 論 的 に も実 体 的 に も メリット 否 定 しえ な い。 彼 の溯 及法=通 時 的 接 近 の長 所 は,比 較 社 会 学 即 ち 共 時 的 分析 グ ロ バル に よ り世 界 史 的 視 角 に非 西 欧 を 導 入 す る こ とに よ って 構 造 主 義 的 方 法 の 原 型 と もい うべ き方 法 を示 唆 した 点 に あ る。 だ か らこそ マル クス も全 体 と して コ ヴ ァ レフ スキ ーの方 法 と視 角 に好 意 的 な積 極 的 評 価 を 与 え るの に 躊 躇 しな か った の で あ り,こ の点 で マ ル クス に よ る フ イ アへ の 辛 辣 な嘲 笑 と否 定 的 批 判 とは 質 的 10) に 異 るの で あ る。 彼 は マ ル クス の著 作 を知 って いた し,そ の 視 角 の枠 組 は 明 か に マ ル クス の 影 響 を 受 け てい た と考 え られ るが,彼 の イ ン ド共 同体 認 識 に は 直 接 的 な 形 で マ ル ク スは 使 用 され て い な い し,勿 論,草 稿 とし て の マ ル クス の 「先 行 諸 形 態 」 に 凝 縮 され た 所 謂 ア ジ ア的 生 産様 式 の視 角 も全 く知 らなか った と言 え よ う。 しか し,彼 は一 方 で 特 に ヘ ン リー ・メー ンの 法 の歴 史 学 派 的認 識 一 夫 は身 分 よ り契 約 へ とい う社 会 発 展 理 論 に 集 約 され る もの と して,マ ル クス の 暗黙 の承 認 を う 11) け た 一 を 媒 介 と して 法 社 会 学 的 な 発 展 段階 論 を資 本 主 義 確 立 迄 の前 近 代 に 亘 っ g) Ibid., p.208. 10) n.ガ マ ユ ノ フ 「マ ル ク ス ・イ ン ド共 同 体 研 究 ノ ー トに つ い て 」 福 冨 正 実 訳,現 代 の 理 論9(1),1972,1.124頁 。
11) L.Krader. The ethnologicel notebook of Karl Marx,1974, assen, PP.36-37. 古 代 東 方 社 会 の 共 同 体 に つ い て の メ ー ン の モ デ ル はRunjeet Singh支 配 下 の シ ク王 国 の 型 で あ る 。 そ れ は,固 定 的 な 市 民 法 ・地 方 慣 習 を 持 ち,村 落 の 伝 統 に 対 す る 国 家 の 不 介 入 の 性 格 を も ち,専 ら専 制 は 徴 税 と司 法 軍 事 に 拘 る も の で あ っ た 。 こ の モ デ ル は 基 本 に お い て マ ル ク ス に 承 認 さ れ た 。 メ ー ン は,彼 の モ デ ル を フ イ ア ー の 総 括 〈西 欧 で は 貢 納 の 代 り に,土 地 に 対 す る 支 配 が 在 り,東 方 で は,村 落 組 織 で 人 々 は 実 質 的 に 自 治 を お こ な う。 貴 族 階 級 間 の 権 力 斗 争 は,村 落 会 計(Kachari tabils)の 地 位 を あ ざ す も の で あ る 〉 の 線 上 に 展 開 し た 。Ibid., p.38.
瓢 ・コヴァ レフスキーに於 けるイン ド共同体の類型について 5 て展 開 し,そ の基 底 にい わ ば 普 遍 的 な 範疇 と して の共 同体 の重 層 的 ・継 起 的 構 造 を位 置 づ け た と言 え よ う。 ラ 皿 古 代 イ ン ド共 同 体 の 基 本 性 格 一 要約 的紹 介一 19世 紀 の イ ン ドに 於 け る土 地 関 係 の 形態,不 動 産 所 有 の形 態 的 多 様 性 は,氏 族 共 同 体 と農 村 共 同 体 の並 存 で あ るが,コ ヴ ァ レフ スキ ーは そ の 最 も古 代 的 な ラ も のを 氏 族 共 同 体 と見做 し,そ の 基本 性 格 に就 い て成 員 の 不 分 割 定 住,共 同 耕 作,共 同 収 入 と消 費 とい う機 構 が 王族 の秘 密 会 議 を通 じて 決 定 ・機 能 す る もの と見 る。 か か る共 同 体 的土 地 所 有 の形 態 は,西 北 イ ン ド及 び 北 方 イ ン ドの 少 数 地 方 で 維 持 され た。 最 も近 い親 族 に よる,不 分 割 家 族 に よ る土 地 の共 同所 有 と 共 同経 営 の形 式 一 初 期 には よ り疎 遠 な 親 族 を もそ の 成 員 に含 む一 を 氏族 共 同体 と呼ぶ の は,H・ メ ー ン の定 義 に 従 った の で あ る。 大 家 族 共 同体 は,か か る氏 族 共 同 体 の解 体 の所 産 と して現 成 す る。 即 ち,征 服 地 域 に最 初 に 移 住 した 氏 族 は,時 の 経過 に つれ て血 族 関 係 の意 識 が 弱 化 し, 夫 々 の小 村 落 に 於 い て財 産 関 係 の 個 別 化 へ の志 向 が必 然 的 に強 化 され,不 分 割 大 家 族 に限 定 され た 共 同 的 土地 所 有 が形 成 され る。 英 国 の殖 民 地 時 代 に は,大 部 分 の 州 で不 分 割 の氏 族 共 同 体 は 存 在 を止 め,そ の 遺 制 だ け を維 持 した にす ぎ な い。 か くて新 た な 共 同 体 は と もか く個 別 的 に分 割 され た 分与 地 を持 つ こと にな るが,そ の 分 与 地 の 大 きさ は不 等 の もの と均 等 の もの とが混 在 す る。 不 等 の分 与 地 は個 別 家 族 に よ って利 用 され るが,そ の大 き さ はそ のつ ど土 地 占有 者 の,現 実 或 は擬 制 の族 長 か らの親 等 度 に よ り,或 は 実 際 の耕 作 空 間 に よ っ て決 定 され る。 又,均 等 を 求 め る場 合 に は,等 しい 土 地 の定 期 的 割 替 が 行 わ れ る。 コ ヴ ァ レ フス キ ー の評 価 で は,こ れ らの 共 同 体 的 土 地 所 有 形 態 の 中 で 家族 的 分与 地 の大 きさが 相 続 的 規 則 に よ って 決 定 され る もの が 最 も古 い もの で あ り,イ ン ドの西 北 の州 或 は 部 分 的 に は ボ ンデ リク ン ドとか パ ンジ ャ ップ な どで も依 然 普 及 し て い る。
12) 湖 ・KoBa3IeBcKH員,06皿 真HHHoe 3eMJIeBπa双eHHe.,06敢HHHoe 3eMJIeBJlaπeHHe B
更 に 彼 が 実例 とし て挙 げ る大 家 族 共 同体 は1849年 一5丁年 の パ ン ジ ャ ップ行 政 クラン 報 告 で 次 の よ うな構 成 を もつ もの とし て画 か れ た 。 夫 は そ の 成 員 が 一 氏 族(正 ロ ッ ド 確 に は 宗 族)に 属す る よ うな土 地 所 有 共 同体 は 全 国 に亘 って 遭 遇 す るが,就 中 ジ ャ ド族 の 下 で 見 出 され る。 共 有 者夫 々は,通 常 個 別 的 に耕 作 す る一 定 の 耕 地 片 を 持 ち,共 同 体 の 配 分 機 関 に よ って割 当 て られ る土 地 税 を支 払 うが,共 通 の 族 長 へ の親 等 度 が 耕 地 の大 き さを 決 定 す る。 そ こに は血 縁 的 氏族 意 識 が機 能 す る。 個 々の利 用 者 夫 々 の親 等 度 に よ り決定 され るか ら耕 地 と して の 分与 地 は生 涯 的 な もの とし て も相 続 的 な もの と し て も承 認 され な い 。 分 与地 は,氏 族 の利 用 か ら一時 的 に遠 ざ け られ た か,新 分 与 地 提 供 の必 然 性 が 共 同 体 的耕 地 の新 し い割 替 の 原 因 とな らな い時 期 にわ た っ て家 族 的 土 地 所 有 と して 保 持 され る。共 同 体 は 屡 々,分 与地 の 大 きさ と親 等 度 の間 の大 きな 一 致 を 設 定 す る為 に 耕 地 と 草 刈 場 の割 替 を 実 行 す る。 しか し,共 同体 は氏 族 共 同体 全 成 員 の 利 用 か ら成 る 共 通 の荒 蕪 地 の 一 定 部 分 を,分 与 地 増 大 を要 求 す る共 有 者 の中 の 一 部 の 者 に 委 任 す る こ とを 通 じて 同 じ 目的 を達 成す る。 個 別 的 分与 地 が事 実 上,生 涯 的 な も の と な り,相 続 的 な も の に さえ な るの は この方 法 に よ って で あ る。 この大 き さ が そ のつ ど土 地 を所 有 し てい る家 族 の 長 と共 同 体 の 全 成 員 の共 通 の族 長 との血 縁 関 係 に よ って決 定 され る よ うな,共 同の 土 地 に お け る特 別 な 分 与地 が相 互 に 血 縁 関 係 の あ る個 々 の家 族 に よ っ て利 用 され る制 度 は,屡 々西 北 州 で み られ る し,1845年 の 報 告 で は,遺 産相 続 へ の 個 々 の親 族 の参 加 の大 き さに つ い て の イ ン ド法 に 従 え ば,第 一 に プ ンチ ャ ッ トが共 同体 成 員 の各 家 族 の氏 族 長 との 親 等 度 を 決 定 し,そ の 後 に,多 少 の 土 地耕 区 の利 用 を各 家 族 に委 任す る ので あ る。 この分 与 地 決 定 方 式 は 氏族 成 員 の 増 大 と分与 地 の 不 均 等 化 に つ れ て 困 難 化 し,遂 に は不 可 能 にな り,分 与 地 決 定 規 準 は 個 別 的 家 族 の実 際耕 作 に よる 占有 とな る。 か くて19世 紀 イ ン ドの 共 同 体 的 土 地 所 有 の 支 配 的 な 型 の 特 徴 と言 え る 分与 地 の地 域 的不 均 等 が形 成 され る。 この よ うな 分与 地 占有 の 不 均 等 に 関 連 し て 当然 割 替 を め ぐ る 問 題 が お こ る が,イ ン ド土 地 関 係 に 於 て は毎 年 の割 替 は比 較 的 遅 い 現 象 で あ り,コ ヴ ァ レフ ス キ ーは1852年 の 北 西 各 州 及 び パ ンジ ャ ップ の ク ンデ の例 を挙 げ て い る。 これ
m・ コヴァレフスキーに於け るイン ド共同体の類型について 7 らの割 替 は5-7年 ご とに 小村 或 は 個 々の農 民相 互 間 で行 なわ れ る。 共 同 体 に 含 まれ て い る共 同 体 的 土 地 所 有 者 数 に応 じて各 共 同体 の土 地 は 均 等 に 一 定 数 の 分 与 地 に 分 割 され る。 分 与 地 の均 等 性 の維 持 の為 に肥 沃度 と必 要 が 配 慮 され, 土 地 潅 漑 の 等 しい利 用 が各 人 に提 供 され る。 つ ま り,そ の 耕 地 と草 刈 地 が 個 々 の成 員 の 変 更 の な い 財 産 と して存 在 し,附 属 地 が 各 所 有 者 の共 同財 産 と して 残 り続 け る よ うな 共 同 体 の 解 体過 程 に お け る イ ン ドの農 業 共 同体 は,西 欧 中 世 に 支 配 的 で あ った もの(典 型 と して は マ ル ク)と 同 じ段 階 に 達 す る と コ ヴ ァレ フ スキ ーは 評価 す る。 換 言 す れ ば,解 体 過 程 に 於 い て は 大 氏族 共 同体 が よ り小 さな 氏 族 の 数 で 分 化 した 分 枝 に 分割 され るが,こ れ は個 々の分 枝 が 独 立 し て 自 らの 財 産 関 係 を 確 立 し よ うとす る志 向 を 反 映す る。 つ ま り,個 々 の家 父 長 的 単 位 の 氏 族 の 下 層 組 織 に 於 い て 離反 へ の志 向 が現 われ る。 この結 果 発 生 した 相 続 的 権 利 と不 均 等 な 分 与 地 は,戦 争 と殖 民地 化 に よ り更 に人 為 的 に不 均 等 性 を 拡 大 し,耕 作 とい う事 実 上 の 土 地 占 有 に 内 在 す る 以前 の共 同体 的 所 有 の痕 跡 は 共 同 体 の附 属 地 及 び 不 分割 の 家 族所 有 とな って現 われ る。 ユきう 次 に コ ヴ ァ レフス キ ーの イ ン ド法 典 に依 る分 析 を見 よ う。 マ ヌ法 典 は そ の 時 期 に 於 け る共 同 体 的 土 地所 有 の存 在 と私 有 制 発 生 を結 論 させ る可 能 性 を 与 え る ● 'ので あ り ,二 つ の 村 の 間 の境 界 紛 争 と王 に よ るそ の境 界 設 定 の叙 述 は そ の 主 体 の が 農 村 社 会 で あ り,私 人 に よ らな い不 動 産 所 有 の存 在 を 示 唆 す る。 西 暦 前9世 紀 の イ ン ドに 於 い て 氏族 と村 に よる共 同体 的 土 地 所 有 は,個 別 家 族 に よ る不 分 ラ 割 の所 有 と相 並 ん で存 在 した。 家 族 共 同体 で の遺 産 相 続 は 長 子 相 続 で あ り,農 13) NL KoBaJIeBcKH首,Tam)xe, HcTopHπno3eMeπbHblx oTHomeHH員BレIH八HH B gnoxy rocnoAcTBa B He茸Ty3eMHHx paA丞e茸, cTp・88-117.個 々 の 文 節 に つ い て の 註 記 は 省 略 し た 。 14) マ ヌ法 典 の 邦 訳 文 献 と し て 中 野 義 照 訳 『マ ヌ 法 典 』 昭26,大 日本 印 度 学 会 刊 参 照 。 イ ン ド法 の 基 本 邦 文 献 と し て 中 野 『イ ン ド法 の 研 究 』 五,イ ン ド法 概 説1974,日 本 イ ソ ド学 会 干9参照 。 15) 前 掲 書 。 第8章,252,261,265各 条 参 照 。217-218頁 。 16) 前 掲 書 。 第17章 遺 産 相 続 法105条 。253頁 。
8 奴 解 放 前 ロシヤ の 夫 ほ ど強 く組 織 され てい た 。 コ ヴ ァ レフ スキ ーは,マ ヌの 中 で 共 同 事 業 を,各 人 の 労働 に よ って促 進 す る 目的 で 協 働 す る人 々に就 い て の叙 述 を 共 同 団 体 と理 解 す る。 集 団 的共 同 団体 の下 で 最 古 よ りイ ン ドで共 同 体 的 土 地 所 有 原 則 が 普 及 して い た こ とが指 示 され る。 何 故 な らこ の発 生 自体 は 悠 意 的 結 合 が 共 同体 的 土 地所 有 原 則 の連 帯 と協 同 に置 換 え られ る とい う方 法 に よ っ て しか 説 明で きな い か ら。 又,支 配 的 な型 とし て の共 同体 的 土 地 所 有 以 外 に 私 有 も存 在 した し,マ ヌは 他 人 の耕 地 を 侵害 し垣 をつ くる こと に就 い て別 に 言 及 し てい ない が,共 同 体 的 土 地 か らの 個 別 化 され た分 与 地 だけ が 存 在 した とは 考 え られ ない こと,分 与 地 は 既 に時 効 原 則 に よ り私 有 に移 行 しつ つ あ った こ と,卒 不 動 の(割 替 の な い)土 地所 有 が 他 の方 法 一 共 同体 の荒 蕪 地 ・森 林 の 耕 地 化一 で も発 生 した こ と,こ れ らす べ て の証 拠 が マ ヌに見 出 され る。 マ ヌで は 荒 蕪 地 耕 作 に よ る私 有 発 生 秩 序 と個 別 的 分 与地 で族 長 ・近 隣 者 の 同意 の下 に 私 有 が 発 生 す る秩 序 が 指 示 され る。 前 者 の 権 利 が共 同 体 的土 地 所 有 の 巨大 さ,人 口密 度 の稀 薄,地 代 の低 さを そ の根 拠 とす れ ば,後 者一 移 動 な き所 有 を結 果 す る土 地 占有 時 効 の論 拠 は,旧 い分 与 地 所 有 者 の相 続 的権 利 が割 替 の強 制 に よ っ てい わ ば財 産 上 の利 益 侵 害 と い う形 で 新 移 住 者 の 側 か ら脅 か され る こ とへ の予 防 的 防 禦 に求 め られ る。 ラ ユの コ ヴ ァ レフ ス キ ー に よれ ば つ い で ヤ ー ジ ュ ニ ャ ヴ ァル キ ァ と ナ ー ラ ダ 時 期 (西 暦 前9-5世 紀 か ら西 暦5-6世 紀)に は 行政 と裁 判 へ の共 同体 的 連 合 の 適応 過 程 及び そ の解 体 過 程 を通 じて 強 化 され た 族 長 権 力 の 役割 が考 察 で き る。 故 に よ り具 体 的 に は王 侯,僧 侶 及 び 都 市 貴 族 の 三 者 夫 々が 氏族 ・農 村 ・家 族 共 同 体 の解 体 に与 えた 影 響 の解 明 が 課 題 とな る。 この 為 に 農 村共 同 体 へ の警 察 と 裁 判 機能 の委 任=連 帯 保 証 法 令 が 証 明 され な け れ ば な らな い が,そ れ等 の法 令 17)前 掲 書 第10章 身 分 法 。50,80,116,122条 。 ヴ イ シ ュ や 族 と シ ュ ー ドラ 族 の 生 産 の 業 務 ・奴 隷 。 ヤ 法 典 第14章 公 共 団 体 事 務 違 反 に 見 え る く団 体 〉 参 照 。78-79頁 。 18) 中 野 義 照 訳 『ヤ ー ジ ュ ニ ヤ ヴ ア ル キ ア 法 典 』1950,中 野 教 授 還 暦 記 念 会 刊 。 第 二 篇,司 法 法 参 照 。
瓢 ・コ ヴ ァ レフ ス キ ーに於 け る イ ン ド共 同体 の類 型 に つ い て 9 おの は や 法典(以 下 略 称)に もナ 法 典 に も見 出 さ れ る。 例 えば 犯 罪 の 行わ れ た 村 と 隣村 地 域 の住 民 は 政 府 へ の 罰 金 の 義 務 が課 せ られ る。 この共 同体 的 連 帯 保 証 は 国庫 へ の租 税 支 払 を 保 証 し,又 共 同 体 成 員 の 負担 配 分 を可 能 にす る。 裁 判 活 動 に関 して は,上 級 裁 判 所 と して 一 方 で は家 族 会 議 が,他 方 で は手 工 業 者 集 会 が そ れ に従 属 させ られ て い た 土 地 共 有 者 の 集 会一 そ の上 に 王 の官 吏 或 は 王 自身 の 裁 判 所 を有 して い る一 に 就 い て ヤ 法 典 もナ法 典 も述 べ て い る。 特 に 法 廷 に よ っ て設 定 され た 機 関 プ ンチ ャ ッ トは 中世 ゲ ル マ ン,ロ シ ヤ の共 同 体 集 会 の本 質 を 持 つ と され る。 又 賠 償 請 求 は 下級 審 級 で行 な われ るが,家 族 法 廷 の裁 判 権 と手工 業 者 の裁 判 所 が 必 然 的 に 持 た ね ば な らな い排 他 的性 格 は,こ の 両 者 に よ る通 例 の訴 訟 の裁 判 を 予 見 す る権 利 を我 々 に 与 え な い と彼 は 云 う。 この 民 事 訴 訟 の 範 疇 の第 一 は,私 人 或 は共 同 体 に よる土 地 所 有 境 界 の 侵 害 賠 償 で あ るが,イ ン ド法 は境 界 の 占有 時 効 を認 め な い。 マ ヌ も ヤ法 典 もナ 法 典 も紛 争 ご とに境 界 指 定 は土 地 所 有 者 の 隣人 一 屡 々長 老 が お こな うし,判 決 の執 行 は共 同体 の集 会 で行 な うと規 お 定 す る。 判 決 の不 十 分 一 証 拠 の虚 偽 が あ る場 合 に王 の裁 判 所 に上 告 され る。 こ の場 合 訴 訟 の解 決 は 王 の 法 廷 の 手 に 委 ね られ る。 境 界 標 識 の 消滅,他 者所 有 の 奪 取 等 の訴 訟 は 共 同 体 の 審 問 に属 す る。 第 二 の範 疇 は 農 村 集 会 に 属 す るが,個 人 或 は共 同体 の財 産 権 の 侵 害 訴 訟 か ら 成 る。 第 三 の範 疇 と して 特権 的 な上 層 相 互 の訴 訟 で 共 同 体裁 判所 の対 象 を構 成 して い た 。 マ ヌ編 纂時 代 に既 に不 動 産 所 有 の売 買 が 隣 人 の 予 め の 同意 を要 求 され た こと か らみ て,4世 紀 以 後 土 地 私 有 原 則 が イ ン ド社 会 で 強 くな り始 め た。 土 地 収 用 の 場 合,公 開的 に農 村 集 会 で そ れ を実 行 す るの が 慣 習 で あ った。 共 同 体 内部 の構 成 と共 同 経 営 に つ い て は,政 府 は共 同体 が 司 法 ・警 察 及 び 行 20) 『ヤ ー ジ ュ ニ ヤ ヴ ア ル キ ア 法 典 』 邦 訳,第22章271,272条 。90頁 。 21)前 掲 書 。 第2篇 司 法 法1,30条 。53頁,56-57頁 。 22) 『マ ヌ 法 典 』218頁 。 『ヤ ー ジ ュ ニ ア ヴ ア ル ア や 法 典 』150-152条 。73頁 。
10 政 組 織 に 含 まれ た 時 か ら農村 行政 機 関 と共 同体 の関 係 に注 意 を 向 け た 。 彼 は イ ン ドの 共 同 体 の二 類型=氏 族 共 同体 と農 村 共 同体 の並 存 を 指 摘 し,前 者 を 共 同 経 営 原 則 に 基 く もの と,相 続権 に よっ て各 家 族 が そ の 分 与 地 を 個 別 に 利 用 す る原 則 に 基 くもの に 区 分 す る。 後 者 は,既 に 相 続権 に よ るの で は な く 事 実 上 の耕 作 占有 に よ って 分割 され た 分与 地 所 有 を伴 う もので あ る。 つ ま りヤ 法 典 と ナ法 典 は 相 互 に 血 縁 で構 成 され た親 族 で は な く,農 村 会 議 の構 成 員 た る 近 隣 者 に 就 い て 記 述 して い る。 つ ま り財産 関 係 の 個別 化過 程 で 耕 作 と結 合 しな い 無 断 の 土 地 所 有 が 立 法 者 か ら拒 否 され,他 方 立 法 者 か ら以 前 の所 有者 よ り放 ま 棄 され た 耕 地 の 所 有 権 を 委 任 され る とい う点 は一 目瞭 然た る意 義 を持 つ 。 マ ヌ 時 代 に この 原 則 は 既 に 存 在 した 。 又,私 有 発 生 の秩 序 一 所 有 者 た る共 同 体 の 許 の 可 の下 の荒 蕪 地 耕 作 占有 一 を マ ヌは 知 って い る。 この 許可 の主 体 は,時 の経 過 に つ れ て共 同体 に 代 って 法 的 な 権 力 増 大 に よ って事 実 上 の上 級 所 有 者 に 転 化 し た 民 族 の首 長 が お こな うこ とに な る。 彼 は この法 的 機 能 を絶 対 主 義 王 権domi-naum eminensと 考 え る。 これ に よ り上 級 権 力 は 荒 蕪 地 の 自由 な処 理 可 能 性= 不 耕 地 分 与 の可 能 性 を 持 つ 。 この よ うな実 例 と して彼 は ブ ラー ミン の アル ヒー プ の一 つ の教 義 と して 有 名 な ガ ン ガ ダ ー ラ ・ラ ータ の 寓話 を紹 介 し てい る。 即 ち,そ の概 要 は 以 下 の よ うな 構 成 を もつ 。村 落 の 首長 で あ る ブ ラ ー ミン の ガ ン ガ ダ ー ラ ・ラー タは 共 同 体 ア ジ ュ タの 地 を新 村 落 樹 立 の為 に死 者 祭 礼 に必 要 な 土 地 と して 贈 与 され る こ とを 王 に 請 願 し,相 続 的 土地 所 有 者 の定 住 を意 図 し彼 の弟 子 に耕 地 を 分 与 す る。 一 は 生 摯 儀 礼 僧 に,他 は礼 拝 僧 に委 任す る。 王 は そ の 所 有 た る荒 蕪 地 の 相 続 的 所 有 権 を ラ 一夕 に譲 渡 す る こ とを村 に要 請 し,ラ ー タ に耕 地 を 贈 与 す る。 か くて そ の 耕 地 は 個 々の相 続 的所 有 者 の 分与 地 に 配 分 さ れ る。 分 与 地 か らは 神 殿 用 土地 を控 除 し,又 若 干 の土 地 を 自身 の独 占的 土 地 と し て保 持 す る ラ ー タは,境 界 標 識 に よ り個 々の 土地 境 界 を表 示 す る。 土 地 は こ カス ト の よ うに そ こへ の 移 民 と他 の 階 層 の 為 に 保持 さ れ る。 村 は8地 域 に分 け られ, そ れ らは 個 別 的 分 与 地 の一 定 数 を 含 ん で い た し,各 首 長 は地 域 毎 に任 命 さ れ 23) 『ヤ 法 典 』158条 。74頁 。 24) 『マ ヌ 法 典 』265条 。218頁 。
M・ コヴ ァ レ フス キ ーに 於 け るイ ン ド共 同 体 の類 型 につ い て 11 ラジヤロ た 。 ラ ー タ は 又 別 に くカ ラバ ン ダ 〉 とい う耕 地 を 王 に 請 願 し,自 身 で 保 有 し カスト た。 この耕 地 か ら分離 させ られ て カ ゼ ジ地 方 に ス ー ドラ と他 の 階 層 が移 殖 され た。 池 と運河 が一 方 で ブ ラー ミン の洗 礼 の為 に,一 方 で 家 畜 供 給 の た め に建 設 され た。 村 の外 で も特 殊 な耕 地(祖 先 祭 祀 の 贈 物 支 弁,ラ ー タ追悼 用,毎 年 の 特別 祭典 支弁)が 維 持 され た 。 コ ヴ ァ レフ ス キ ー は 以上 の物 語 を イ ン ドに 於 け る財 産 関 係 の 個 別 化過 程 とみ る し,又 族長 及 び共 同 体 が不 耕 土 地 の最 初 の開 懇 者 に そ の 所 有 権 を 分与 す る権 利 に就 い て述 べ て い る と考 え る。 共 同 体 的所 有 の 分割 と並 んで 西 暦5-6世 紀 の イ ン ドの 立 法 は 家 族 的所 有 を 知 って い た 。 そ れ は 不 断 の 自発 的 な個 別 化 の過 程 として 現 わ れ た 。 この 過 程 の 個 々 の段 階 は 立 法 の 分 析 か ら明 らか に な る。 マ ヌ時 期 で は 不 分 割 家 族 の 私 的 成 員 は 事 実 上 で も法 律 上 で も大 き くな い親 族 一 彼 の妻 と子 に 限 定 され て い た 。 マ ヌで は 父 の相 続 分 割 は 長 男 が 同意 し た場 合 に のみ 許 され,ナ 法 典 で は 家 族 成 員 の説 得 に 依 存 す る。 父 の 意 志 に よ って分 与 は存 命 中 に お こ り うる。 少 くと も相 ラ 互 利 害 の場 合 は そ うで あ る。 父 の遺 産 分割 の場 合,そ の対 象 は 息 子 で あ り有 夫 の娘 では ない 。 死 亡 の 際 は そ の 子孫 或 は母 存 命 の場 合 は 母 が 自分 の 分 を 受 取 る が,そ の 大 き さは 年 長 順 と カス トへ の帰 属 に よっ て決 め られ る。 母 の遺 産 分 与 に は 一 人 の娘 が 参 加 す る。 法 は相 互 利 害 関 係 を持 つ 者 の同 意 又 は 了 解 の 下 に遺 産 の 分 割 を 許 可す る。 不 分 割 家 族 成 員相 互 の 血 縁 関 係 の 弱 化 は,家 族 の 共 同 財 産 か らの 支 出 以 外 に 自己労 働 に よ って獲 得 され た 財 産 に 対 す る私 人 関 係 を規 制 す る立 法 に反 映す る。 マ ヌの註 釈 者 に よれ ぽ,一 定 の 財 産(不 動 産 と動 産)の 獲 得 に 自己労 働 を 追 加 的 に支 出 した 家 族 成 員 は,そ の 排 他 的所 有者 とな るの で は な く,家 族 の 長 の 死 に際 して彼 が そ の分 与 に 参 加 す る二 重 の(不 動産 と動 産 の)部 分 だ け を受 取 る。 家 族 利 益 一 あ らゆ る支 出な しに 財 産 を 獲 得 した い とい う要 求一 に重 点 を お く考 え に註 釈 老 は 同意 す るが,後 の 法 典 で は 逆 に家 族 の 法 権 利 は 殆 ん どの場 合,私 人 の利 益 を犠 牲 に す る と考 え,ヤ 法 典 は既 に他 人 か ら
25) 1>1.KoBaπeBcKHfi,06皿 エHHHoe 3eM汀eBπa双eHHe., cTp・105-106.
12 の贈 与 に対 す る排 他的 所 有 に つ い て 知 って い る。 マ ヌ編 纂 時 代 か らヤ法 典 と ナ 法典 の現 われ る迄 の期 間 を通 じ ての 財 産 関 係 の 個 別 化 増大 の証 拠 に な る の は, 二 つ の 大 法典 が個 人 に属 す る財 産 の 当事 者 自身 に よ る管理 の 自由 を承 認 して い の る点 で あ る。 マ ヌに よれ ば 土 地 移 動 は隣 人 の 自発 的 同 意 とい う条 件下 で しか お こ りえ な い が,も し前 記 の不 動 産 所 有 が 自 由 な管 理 の 対 象 とな る とす れ ば,マ ヌの ケ ー スは全 て で は な くな る。 ナ法 典 はそ れ を 共 有 財 産 と呼 ん で い る。 後 の 註 釈 者 は 規 則 を 公 式化 し,財 産 上 の等 価 物 を提 供 され た 場 合 と この 情 況 が 欠 け てい る場 合 に も同 じ く共 有財 産 の不 移動 性(非 譲 渡 性)を 承 認 す る。 共 有 財 産 の 下 で は,問 題 は,氏 族 所 有 制 とそ れ 自体 で 不 分 割 の家 族所 有 財 産 と理 解 す べ きだ とい う点 に あ る。 家 族Q扶 養 に不 可 欠 の費 用 を 支 弁 す るた め だ け に 家 族 財 産 か らの 収 入 を 管理 す る こ とが父 に許 され る。 イ ン ド法 註 釈 者 の 段 階 は モ ガ ール統 治時 代 で あ るが,最 古 の共 同 体 的 生 活 慣 習 の残 滓 と財 産 関 係 個 別 化 の 証 明 は 容 易 で あ る。 コ ヴ ァ レフ ス キ ー は地 方 慣 習 に よる共 同体 的 土 地 所 有 者 の 関 係 の 規 制 を考 え,ピ タ ・マ ガは直 接 農 民 の係 争 を地 方 生 活 慣 習 に 基 い て 決 定 す る よ う要 求す る。 慣 習 法 の強 制 力 はす べ て の後 世 の イ ン ド法 の遺 物 に よ って 承 認 され る。具 体 的 に は共 同 体的 土 地 所 有 者 の財 産 関 係 の規 制 は共 同体 的 裁 判 に 適 用 され る地 方 の 生 活 慣 習 に よ って十 分 に提 示 され る。 コヴ ァ レフ ス キ ーに よれ ば,古 代 イ ン ドの 土地 関 係 の主 要 な型 は家 族 の不 分 割 所 有 で あ り続 け た 。 そ の証 拠 ζ し て裁 判 に 於 い て 不 分割 の 性 格 は利 害 関 係 当 事 者 に よ り反 対 され な い 時 期 迄 係争 地 域 の為 に承 認 され る。 所 有 の不 分 割 性 に つ い て後 の イ ン ド法 論 は言 及 して い る。 こ こで 如 何 な る条 件 の 下 で 家族 的所 有 財 産 の移 動 或 は 分 割 は 可 能 か とい う問 題 が 出 る。 家族 的所 有 の 最古 の形 態 と不 動 産 所 有 の個 別 化 の事 実 は,家 族 に よ る財 産 分割 の 容 易 さ に,又 正 当 に獲 得 し た 財 産 のみ な らず 氏 族 的 財 産(特 に 財産 的利 益 の 僧侶=ブ ラー ミンへ の委 任 の 際)管 理 の大 きな 自 由に 反 映 され る。彼 は家 族 所 有 の個 別 化 過 程 で 僧 侶 階 級 の 27) 『ヤ 法 典 』 第 二 篇118,119条 。69頁 。
赫 ・コヴァレフスキ ーに於けるイン ド共同体の類型 について 13 役 割 を指 摘 す る。 即 ち,非 移 動 性(非 譲 渡性)は 不 分割 家 族 財 産 の特 別 な 標 識 とな る し,又 特 権 化 され た カス ト=就 中 僧侶 の個 別 的 土 地 所 有 の拡 大 に 対 す る 障 害 と な る。 非 移 動 性 原 則 を 動 揺 させ る こ とは,立 法 が どの よ うに そ れ を 実 現 し て い くか とい う課 題 で あ るが,こ れ は 勿論 一度 に遂 行 され ず 漸 次 的 に 多 くの 時 代 を通 じ て遂 行 され た 。 マ ヌ法 典 は 家 族 の 不 分 割 財 産 の 移 動 を 知 らな か っ た。 僧 侶 の為 に す る増 与 的 移 動(譲 渡)の 可 能性 は必 然的 に家 族 全 員 の 同 意 を ブラ ミン 必 要 とす るが,こ れ に は 重 大 な 障害 が現 われ るか ら僧 侶 階 級 は家 族 へ の 分 与 を 強 化 又 は 緩 和 し よ うとす る。 そ れ は 不 動産 所 有 の 自由 な移 動 へ の移 行 とい う結 果 を もた らす 。 他 方 そ れ は 僧 侶 の 為 に 贈 与す る場 合,家 族 に よる財 産 の 管 理 を 緩 和 す る特 殊 な 規 則 立 法 化 を実 現 し よ うとす る。 既 に マ ヌは家 族 的 祭 祀 を 実 行 す る地 域 数 を増 加 す る形 で 家 族 的 分 割 の 可能 性 を許 可 して い る。 後 の註 釈 者 の 一 人 は,こ の分割 を可能であ るのみな らず,賞 讃 すべ きと考 え る。又,新 しい 法典 は一 致 し て こ の分 割 を承 認 す る。 カロスト 家族 財 産 の分 割 は,家 族 所 有 制 の 非 移 動(譲 渡)原 則 が ブ ラー ミン階 級 の土 地所 有 の 拡大 へ の障 害 で あ る限 りそ れ を 除 去 す る手 段 の一 つ に他 な らな い 。 別 の 手 段 が 同 じ 目的 追 求 の為 に と られ る。 即 ち,家 族 財 産 の非 移 動 性 原則 の例 外 と して 法 に よ り家 族 の父 に僧 侶 の為 の 自由 な 贈 与 の権 利 が 委任 され る。 イ ン ド 西部 全域 に亘 っ て最 も普 及 して い る註 釈 で あ る ミン タ ク シア ー ル で は,家 族 の 父 の み な らず 家 族 の誰 もが 不 動 産 財 産 の 贈 与 を許 され る。 即 ち,新 しい 所 有 者 の 手 中 へ の事 実 上 の土 地 所 有 の 移 行 の後 に は じめ て移 動 の現 実 性 を承 認 す る イ ン ド法 の 一般 原 則 よ り後 退 して 新 註 釈 者 は 僧 侶 の 為 に 死 の床 に在 る人 物 に よ っ て実 行 され た贈 与 の現 実 性 を 承 認 す る。 生存 中 で あ れ,死 亡 の際 で あれ,僧 侶 の為 の贈 与 は家 族 財 産 の最 古 の 管 理 形 態 で あ る とい うこ とは,僧 侶 カー ス トと 同 等 な 法 律 的 保証 を獲 得 す るた め に 財 産 管理 の贈 与形 式 を採 る とい う事 実 を 証 明 す る良 い証 拠 で あ り,不 動 産 収 用 形 式 は イ ン ド法 の 特 質 で は な く,ゲ ル マ ン ・ロー マ法 のそ れ の延 長 線 上 に あ る と彼 は 言 う。 コ ヴ ァ レフ ス キ ーは 次 の よ うに 総 括 す る。 「イ ン ドに於 け る共 同体 的 土 地 所 有 は あ らゆ る と こ ろで 氏 族 的 土 地 所 有 と交 替 して 存 在 した 。今 度 は共 同体 的 土
14 地所 有 は 時 を異 に して不 分割 の家 族 的所 有 に そ の地 位 を 譲 った 。 結 局,ゲ ル マ ン ・ロー マ世 界 にお た って 我 々 に と り著 名 で あ る よ うな 形 態 の 私 的 土 地所 有 ラ が,共 同体 的 土 地 所 有 の解 体 の 結 果 と して 比 較 的 遅 くイ ン ドで 発 生 した 。」 IV 家 族 共 同体 と農 村 共 同 体 の 関 係 に お け る 二 つ の 問 題 家 族(家 産)共 同体 が 氏 族 共 同 体 解 体 の 第 一 段 階 で あ る と言 うのが コ ヴ ァ レ フ ス キ ー の視 角 で あ るが,問 題 が 二 つ あ る。 一 は彼 の所 謂 家族 共 同体 に お け る 土 地 所 有 の基 本 形 態 は そ の 土 地 利 用 形 態 との 関 係 で どの よ うな もの と し て考 え れ ば よい か とい う点 で あ り,他 は 家族 共 同 体 と近 隣 共 同 体 との継 起 性 の内 部 構 補注2) 造 を どの よ うに 理 解 す べ きか とい うこ とで あ る。 第 一一の 問 題 接 近 に 於 い て我 々 に 最 も示 唆 的 な方 法 的 標 識 とは,家 族 共 同 体 と ディメンション い う概 念 が 彼 の 方 法 で は 過 渡 的 な 次 元 で 用 い られ てお り,従 っ てそ れ は 重 層 的 な 構 造 を 持 つ 概 念 で あ る とい う点 で あ る。 と い うのは 彼 は 家 族 共 同 体 を 氏族 共 同 体 の 二 類型 の 一 つ とし て発 生 論 の次 元 で は 考 え てお り,従 って相 続 的 持 分 地 を利 用 形 式 と して 含 む 土 地 共 有 とい う範 域 が 通 時 的 に は 措定 され て く る一 方,近 隣 的 な共 同 体 の 構 成 要 素 と し て の 大 家族 乃 至 小 家 族 集 団 の 不 分割 所 有 ディメンション を共 時 的形 態 とし て 考 え て い るか らで あ る。 つ ま り発 生論 的 次 元 か らす れ ば,氏 族 共 同 体 は 氏 族 分 枝 の 数 に 応 じ て 〔im sadslav. Sinn〕 に 表 象 さ れ る家 族 共 同 体(地 縁 共 同 体 に も)に 分 解 す る が,こ の 分 解 過 程 で マ ル ク ス が 行 った 30) 批 判 は必 ず し も彼 に致 命 的 な もの で は な い 。 とい うの は 彼 は 分与 地 の不 均 等性 の拡 大 と い う生 産 力 的 な 物 的 基 盤 を 無 視 した わ け で は な く,上 部 構造 と して の 集 団性 或 は均 等 原 則 とい う社 会 意 識 に 反 映 され た 生 産 関 係 的反 作 川 の機 能 を極
28) 赫 。1くoBaJleBcKH貢 ・06ロ エHHHoe 3eMπeBπa双eHHe・ ・CTP・117・
29) Marx, fiber Formen vorkapitalistischer Produktion., s.47.
30)A.a。0. s.40[Warum spielt d. Bewusstsein hier d, Rolle d. causa efflciens u.
night d. faktische Raumtrennung, die mit d. Spaltung d. Geschlechtsin,, Zweige"
schon voraus gesetzt ist∼]〔es tritt vielmehr faktische Nothwendigkeit d. Aufb・
瓢 ・コヴ ァ レフス キ ー に於 け る イ ン ド共 同 体 の類 型 に つ い て 15 め て 重 視 した に す ぎ な い か ら で あ る。K・ ポ ラ ニ ー の 指 摘 す る 如 く古 代 社 会 に 於 い て は相 互 利 益 と再 配 分 は 交 換 よ り本質 的 な規 制 力 とな り うる。 故 に 氏 族 共 同 体 の解 体 過 程 よ りみ れ ば,家 族 共 同 体 とは第 一次 構 成 体 の擬 制 され た 形 態 の 存 続 で あ り,家 族 集 団 とい う小 分 割 され た 氏族 的血 縁 の擬 制 され た 社 会 意 識 が 種 姓制 度 と結び つ い て イ ン ド共 同 体 を 保 持 せ しめ,第 二次 構 成 体 の形 成 を 阻 止 ヨわ す る上 で本 質 的 な役 割 を果 した の で あ る。 コ ヴ ァ レ フス キ ー に よれ ば,氏 族 的 所 有 に お い て 動 産 の 分割 化 と土 地 の不 分 ヨヨ 割 的 共有 の 段階 に対 応 し て家 父 長 的 家 族 が 形成 され る。 古 代 イ ン ドに於 い ては,古 代 ギ リシ ャと同 じ よ うに二 種 類 の 氏族 群が 存 在 し た が,一 つ はSapindasで 氏 族 の 主 な 群 で あ る曽祖 父,祖 父,父,子,孫,曽 孫 が 家 族 共 同 体 を構 成 し,最 年 長 者 に 指 導 され,動 産,不 動 産 等 を不 分 割 に所 有 して い た 。 つ ま りイ ン ドに於 い て も家 父 長 的 家 族 は,そ の 社 会 的 進化 の第 二 段 階 と して,一 人 の 父 の 子孫 で あ り,一 つ の血 族 と して 生 活 し且 つ そ の財 産 を 共 同で 所 有 す る,相 互 に 血縁 関 係 に あ る人 々か ら構 成 され る家 族 共 同 体 の形 を とった ので あ る。 そ れ は イ ン ドに お い て も,他 の場 合 と 同様 に 社 会 的 組 織 と し て共 通 の祖 先 の 祭 祀 を 行 な う若 干 の人 々 よ り成 る宗 教 的 団 体 と,自 身 の財 産 の おの 管 理 を共 同 で行 な う協 同 集 団 とい う二 種 の社 会 的組 織 と し て存 在 した 。 次 に家 族 共 同 体 は 所 有 の 組 織 に どの て い どに 影 響 を 与 え た だ ろ うか 。 家 父 長 的 家 族 は 不 分 割 的 所 有 者 で あ った。 土 地 売 買,贈 与,相 続 者 へ の 分割 は許 さ きの れ なか った し,そ こか らの収 入 は全 家族 成 員維 持 の為 に 使 用 され た 。 カ フ カズ
31) Primitive, archaic and modern economies, p. xliv.
32) 島 田 正 郎 教 授 は,や は り イ ン ドに お け る 社 会 構 造 は 二 つ の 基 礎 的 な 制 度,カ ー ス ト と 非 分 割 家 族 を 中 心 に 展 開 し,身 分 的 構 成 な い し 規 範 意 識 が イ ン ドの 生 産 関 係 を 保 持 し,発 展 を 抑 え た と 述 べ て い る 。 『東 洋 法 史 』 昭49.299-300頁 。
33) ハ∼.KoBaπeBcKH萱, OqepK rIpoHexo》K江eHH∬Hpa3BHTH兄ceMbH H co6cTBeHHocTH・ CTP.62-63.
34) Tam we. cTp.68-69, 35) Tam we. CTP.85.
う の 大 家 族 共 同 体 の 家族 成 員 の不 分 割 所 有 しか 知 らな か った 。 イ ン ドの パ ンジ ャ ッ プ と西 北地 方 の土 地 関係 も家 族 共 有 で あ る。 土 地 割 替 を 伴 う土地 共 同体 は比 較 的遅 い 現象 で あ り,ロ シ アで は16-17世 紀 に は 家族 共 同 体 の 分割 が お こ り, 家族 に属 さ な い人 々へ の持 分 地 の変 更 が 許 され た 。 イ ン ドで は最 古 の ブ ラー ミ ン教 義 書 であ る ウシ ャナ スは所 有 は 親 族相 互 間 で は全 く不 分割 で あ った と規 定 う して い る。 一 般 的 に 家 族 的 共 有 が 不 動産 所 有 の最 古 の形 態 であ る と コヴ ァ レフ ス キ ーは 結 論 す る。 イ ン ドに於 い て も共 同土 地 の共 同労 働 ,共 同消費が原則で るの あ った 。 コ ヴ ァ レ フス キ ー は次 の よ うに 述 べ る。 「即 ち,家 父 長 的 家 族 は,共 同 の 勢 力 と して行 な う限 り土 地 の唯 一 の所 有 者 で あ った 。 土 地 の 不 分 割 は 規 則 で あ った し,諸 分割 は 法 律 で禁 止 され てい た か ら不 動 産 に 対 す る私 有 は知 られ て い な か っ た 。」 そ の解 体 は家 族 自体 の裡 か ら,殆 ん ど排 他 的 に 家 族 の 不和 ・争 いか ら起 る。 婦 人 が大 きな役 割 を果 す 。 とい うの は 彼 女 等 は 共 同 体 内 部 で非 常 に軽 んぜ られ 卑 め られ て いた か ら,主 人 と独 立 した 家庭 に 分離 す る こ とを望 む 。 この熱 望 が 不 分 割 経 済 制 度 の 利 益 を 主 張 す るす べ て の考 え に勝 った 証 拠 は,自 らす す ん で 住 も うと い う増 大 す る熱 望 を,父 の存 命 中 に分 割 を 行 な う必 然 性 が 反 映 し てい る こ とで あ る。 この よ うに して個 人 主 義 本 能 が 制 度 と し て の家 族 共 同 体 を 侵 蝕 し分 解 させ,こ れ が 増 加 す る家族 成 員 に 自己 で 獲 得 した もの の 自 由な 管理 を要 る ラ 求 せ しめ 且 つ父 の生 存 中 の相 続 的 分 割 の首 唱 者 とな ら しめ る。 この過 程 は 大 家 族 の 中 に 保 持 され て い た 原始 的 集 団主 義 の 遺 制 を 解 体 し,そ こか ら独 白の経 済 的 単位 とな った 個 別 家 族 の分 化 を もた らす 。 36) Tam}Ke. CTP.85. 37) Tam we. CTP.85. 38) TaM》Re. CTP.87. 39) TaM⊃Re・cTp・87・ . 40) Tam}Ke. CTP.88. 41) TaM》Ke. CTP。88. 42) TaM⊃Ke. cTp.115-116.
瓢 ・コヴ ァレフスキーに於け るイ ン ド共 同体の類型 につ いて 17 大 家 族 集 団 を 自足 的経 済単 位 と して強 制 す る内 在 的 必 然 性 は,こ こで は 当然, 農 耕 社 会 の 技術 的 低 位 に よる低 生 産 力 水 準 に 原 因 す る血族 的 自閉 的 な集 団労 働 の 代位 性 に 求め ざ る を え ない 。 故 に 大 家 族 集 団 の土 地利 用 形 式 と して の略 々均 等 な持 分地 へ の分 割 も,そ の 不 均 等 的 独 立 性 が 拡 大す る 以前 迄 の段 階 は,広 い 理 論 的 な意 味 で は 家 族 共 同 体 の 構 造 に 含 まれ るべ きで あ ろ う。 何 故 な らこの 利 用 形 態 は形 態 的 に は 質 的 飛躍 の如 くみ え るが,実 は農 業 生 産 力 の上 昇 起 点=家 族 共 同 体 の 解 体 契 機 を 象 徴す る もの と して家 族 共 同体 の構 造 内部 に 措 定 で き る か らで あ る。 即 ち,前 述 した よ うに,大 家 族 集 団 の基 本 性 格 は,コ ヴ ァ レ フス キ ーの 認 識 に 於 い て は 氏 族共 同 体 の分 枝 に よる持 分 地 の 相 続 的 利 用 とい う形 に 於 い て 恣 意 的 な 血 族 的 連 合 に替 って,共 同的 規 範 が 意 識 と し て も制 度 と して も 形 成 され た 所産 な の で あ り,正 にそ の意 味 で 共 同体 的 土 地所 有 の 最 も古 い形 態 に 外 な らな い の で あ る と言 え よ う。 44) 例 え ば コ ヴ ァ レ フス キ ーが 引用 して い る ロシ アの 例 を とれ ば,殖 民者 は 家族 共 同 体 の 形 を と り共 同 労働 す るが,不 分 割 原 則 が ゆ ら ぐ時(団 結 ・連 帯 の意 識 に 個 体 主 義HH双HB甑yaπH3Mが 優 越 す る時)耕 地 分割 が求 め られ る よ うに な り, 各 個 別 経 済(XO3∬HCTBO)は 自己 の持 分 を受 取 るが,そ れ は如 何 な る現 実 的 な土 地 片 で もな く,耕 地 ・牧 草 地 の観 念 的 持 分 な の で あ る。70の 村 が 一共 同体 を構 成 し,耕 地 と牧 草 地 は 不 分 割所 有 で あ り,荒 蕪 地 の 耕 作 占有 が 各 経 済 単 位 に 許 可 され,15年 で割 替 が 行 な わ れ るが,最 初 は 村毎 に,直 接 税 配 分 表 に よ って そ の経 済単 位 数 に応 じて行 な わ れ,そ の際,各 家族 に均 等 の土 地 と牧 草 地 が 分 与 され るの であ る。 各 家 族 は3年 一17年 とい う異 った期 間 を経 て個 々の 村 で 行 わ れ る新 し い割 替 まで そ の持 分地 の耕 作者 と見 倣 され る。 こ こで コ ヴ ァ レフ ス キ ーが 述 べ て い る割 替 を伴 う家族 は 明 らか に小 家 族 か ら 成 る近 隣 共 同体 の構 成 分 子 で あ る。従 って 家族 共 同体 とは 幻 想 的 ・擬 制 的 持 分 地 の共 同体 的 な 均 質 性 に よ る再 評 価=割 替 が各 単 位=小 家 族 に よ って 認 識 され 要 求 され る迄 の 土 地 占有=実 質 上 は既 に各 自持 分 地 に分 割 され て い て も擬 制 と 44) Tam ace, cTp.148-149.
18 し て は不 分 割 所 有=共 同労 働 の 形 態 まで の 段 階 を示 唆 す る と考 え られ よ う。 彼 は又 バ ン ダ及 び ア フ ガ ン の土 地 所 有 の 例 を 挙 げ て地 域 的 単 位 と して 一 村 落 の全 家 族 に共 通 に 所 属 す る土 地 所 有 形 態 を ロ シア の 農業 共 産 体 の 最 も一 般 的 な るの 形 式 と同 じもの とみ て 初 期 の ゲル マ ンの マ ル クに 照 応す る もの と して い る が, エ ン ゲル スは この 視 角 に 明確 に は 反 対 しな か った と され る。 しか し,こ の場 合,コ ヴ ァ レフス キ ーの 視 点 或 は用 語 に一 つ の 混乱 が見 出 せ る。 とい うの は右 の如 き土 地 所 有 形 態 を 彼 は 農 村 共 同 体 と よん で い るの に対 し,他 の場 所 で は初 期 マ ル ク は家 族 共 同 体 と見 て い るの で あ る。 エ ン ゲル ス に よ って 言及 され た の は,彼 の後 の 用 法 で あ るか ら,彼 が実 際,家 族 共 同 体 の概 念 或 は構 成 を どの よ うな 範 囲 乃 至 段 階 の もの と考 え て い たか は 極 め て 措 定 困 難 に な らざ るを え な いo 第 二 の 問 題 と し て,彼 の イ ン ド共 同 体 図 式 は 氏 族 共 同 体 を 起 点 と し て 家 族 → 農 村 共 同 体 と い う継 起 性 で 把 え ら れ る よ うに 思 わ れ る し,普 通 そ の よ う に 理 解 さ れ て い る が,果 し て 問 題 は な い で あ ろ うか 。 文 章 と い う修 辞 か ら の み 判 断 し て 彼 は 第4章 の 総 括 で 共 同 体 的 土 地 所 有06ulHHHoe B朋 双eHHe 3e棚emの 段 階 を 不 分 割 の 家 族 財 産(所 有)段 階HePa3八e肪Ho曲ceMe直Ho茸co6cTBeHHocTKの 前 に 位 置 ず け,又 氏 族 → 農 村 → 家 族 共 同 体 と 云 う 順 序 で 共 同 体 の 類 型 を 並 べ て い る。 これ は 単 に 彼 の 修 辞上 の悠 意 的表 現 と い うこ と に よ って 説 明 で き る もの で は な く,明 らか に 彼 が論 理 的 に この よ うな 共 同体 の類 型 乃 至 所 有 の継 起 性 を 考 慮 して い た こ とを示 唆 して い る。 彼 の 家 族 共 同 体 と農 業 共 同 体 の 関係 につ い て コス ヴ ェンは 次 の よ うに 述 べ て る う い る。 コ ヴ ァ レ フス キ ーは近 隣共 同体 の発 生 を家 族 共 同体 に よ る土 地 の 分 割 と 移 動 の 結 果 と して,こ の よ うに し て もた らされ た こ の家 族 共 同体 の小 個 別 家 族 45) TaM》Ke. cTp.150. 46) Tam we・cTp・12-13・ 47) m・KoBaπeBcKH曲,061翼HH}loe 3eMJleBJIa八eHHe・, cTp.91.
48) 0・{epK npoHcxo】K八eH㎎Hpa3B}ITH兄ceMbH H co6cTBeHHocTH・cTp.157-159. CM.
踊 ・コヴァレフスキーに於け るイ ン ド共同体の類型につ いて 19 へ の 分解 の結 果 と し て描 写 し てい る。 つ ま り近 隣 共 同 体 は大 家族 共 同体 の小 家 族 へ の 分解 の結 果 発 生 す るの み な らず,こ の 現 象 は そ の 後従 って近 隣 共 同体 が 既 に小 家族 だけ か ら構 成 され てい る こ とに な る。 そ れ に も拘 らず コ ヴ ァ レフ ス キ ー は別 の場 所 で は近 隣 共 同 体 構 成 の 中 に 大 家 族 の 存 在 を語 って い る。 即 ち, 近 隣 共 同体 は大 家 族 共 同 体 よ りも遅 く形成 され た もの で あ り比 較 的近 時 の もの で あ る と言 う。 彼 の後 の見 解 の誤 りは,近 隣 共 同 体 を 氏族 共 同体 と関係 づ け な か った 点 に あ る と コス ヴ ェ ンは 批 判 して い る。 コ ヴ ァ レ フス キ ー は この誤 りを 後 の著 書 『氏族 生 活 』 で 訂 正 し,次 の よ うに 述 べ た 。 「農 村 共 同体 は氏 族 共 同 体 の継 承 者 で,家 族 共 同体 の 最 も 遠 い 存 在 の 必 然 性 をそ れ に よ って 除 去 しな う い。」 氏族 体 制 の分 解 の 問 題 を よ り深 く研 究 し た彼 は,不 分 割 の大 家 族 共 同体 の為 に 場 所 を残 しな が ら近 隣 共 同 体 発 生 の起 源 につ い て別 の結 論 に達 す る。 簡 単 に言 えば,氏 族 共 同 体 は 母 権 制 下 で は母 系 共 同体 か らな る し,父 権 制 下 で は 大 家 父 長 的 家 族 或 は 家 産 共 同 体 か ら成 って い る。 氏族 共 同体 の一 般 的 特 徴 は, そ の全 成 員 が 一 氏 族 に属 し,従 って 他方 この共 同体 に こ の氏 族 の 全 成 員 が 集 中 し てい る こ と,即 ち 氏族 が場 所 を局 部 的 に限 定 され てい る こ とで あ る。一 氏族 成 員 の 血 族 関 係 の 解 体 に 伴 って,一 つ の同 じ氏 族 に 属 す る個 々の 大 家 族 は そ の 局 部 的 関 係 を失 い,他 の種 族 のそ の よ うな 家 族 と合 併 され る。 この よ うに して 近 隣 共 同 体 が発 生 す る。 一 つ の氏 族 の大 家 族 は 異 った 近 隣 共 同 体 に属 す る こ と に な り,こ の よ うな近 隣 共 同 体 が 今 度 は 種 々の 諸 氏 族 に 属 す る大 家 族 か ら構 成 され る。 近 隣共 同体 は この よ うに し て既 に 氏 族 的 関 係 に よ って で は な く,そ れ に交 替 した 地 縁 的 関 係 に よっ て結 合 され る。 同 時 に これ とは別 に他 の原 因 に よ って家 父長 的 大 家 族 の個 別 的 小 家 族 へ の 分 解過 程 が 進む 。 結 果 と して近 隣 共 同 体 は後 に は依 然 とし て不 分 割 家 族 よ りも成 り,又 は小 家 族 か らも成 る もの と し て現 成 す る。 しか し,新 しい 場所 へ の殖 民 の下 で は,近 隣 共 同体 が 新 た に 一 連 の小 家 族 か ら構 成 され る とい う,新 しい近 隣 共 同体 の形 成 形 式 が 在 るの は,疑 い えな い 。 近 隣 共 同 体 の この形 成 形 式 は第 二 次 的 な もの と して,氏 族 共 同 体 の 49) Tam}Ke. cTp.158
20 直 接 解 体 か らの 比 較 的 古 い 形成 よ り遅 い もの とし て考 えな け れ ば な らな い 。 結 局,既 に 解 体 して い る大家 族 共 同体 と農 村 共 同体 の次 な る過 程 で,農 村 共 同 体 は 主 と して小 家族 よ り成 る もの とし て現 成 す る。 又 彼 の他 の誤 りは 土 地 利用 史 と近 隣 共 同体 に お け る土地 分配 秩 序 に就 い て の見 解 で あ る。 彼 に よれ ば,近 隣 共 同 体 が 形成 され る と家族 へ の土 地 分 与 は 不 均 等 とな り,従 って そ の 後,土 地 利 用 の 均 等化 一 分与 地 の均 等 化 の時 期 一 く新 しい 時 期 〉 が 始 ま る と云 う。 これ は コ ス ヴ ェ ンに よれ ば 全 く誤 りで あ り,農 村 共 同 体 を コ ヴ ァ レフス キ ー が観 念 化 した所 産 で あ る。 氏族 及 び 当初 に は大 家 族 よ り成 る近 隣 共 同 体 は,氏 族 共 同 体 か ら土 地利 用 の均 等 原則 を受 け つ ぎ又,氏 族 の 土 地 の 定 期 的 割 替 の秩 序 の 核 心 を うけ つ ぐ。 更 に近 隣 共 同体 で は 社 会 的 不 均 等 と個 々の 家 族 の 不均 等 発展 の 為 に 自由 な土 地 不 足 が増 大 す る条 件 下 に 分 与 地 の 不 均 等 が 創 出 され,す べ て の 時期 に わ た って,古 い均 等 原 則 と新 しい 発 展 しつ つ あ る私 有 原 則 の 闘 い が 行 な わ れ る。割 替 は益 々困難 化 し,均 等 化 は ます ます 少 し しか 達 成 され な くな り, 近 隣 共 同 体 に お け る諸 階 層 の闘 争 は 強 くな り,均 等 化 は 消 滅 す る。 最終 的土 地 の 分割 は既 に分 解 しつ つ あ る近 隣 共 同 体 の 小 家 族 の 間 で お こ る。 故 に イ ン ドの場 合,『 概 論 』 の 中 で述 べ られ て い る農 村 共 同 体 の 区 分一 家 父 長 的 家 族 の 解 体 の 下 に そ の家 族 か ら直 接 発 生 す る本 来 の 農 村 共 同 体 と,そ の あ と比 較 的 遅 い 時期 に は じめ て現 わ れ る定 期 的 割 替 を 伴 った 農 村 共 同 体 とい う継 起 性 に就 い て の 図式 及 び コ ヴ ァ レフ ス キ ーが 『共 同 体 的 土 地所 有』 の第 三章 に 於 い て広 く触 れ た イ ン ドに於 け る共 同体 的 土 地 所 有 の 諸 形 態=農 村 共 同 体 と家 族 共 同 体 の 例 示 を前 提 とす れ ば,彼 が 同 書第4章 の終 りで 総 括 し て い る,イ ン ド に 於 け る氏族 的土 地 所 有 → 共 同体 的 土 地 所 有 → 不 分 割 の家 族 的 所 有 とい う図 式 は どの よ うに理 解 すれ ば よい の で あ ろ うか 。 こ の共 同 体 的 土 地 所 有 の意 味 に つ い て コス ヴ ェ ンが整 理 した視 角 の第1型 を適 用 す れ ば,近 隣 共 同 体 は 既 に 主 と して 個 別 的 小 家族 で あ る以上 妥 当 し ない 。 従 っ て第2型 で あ る氏 族 が 分 枝 に 分 割 され た 場 合 の 大 家 族 集 団 を 主 体 とす る 共 同 所 有 が こ こで は 妥 当 す るで あ ろ 50) この文 節 は 主 と してKOCBeH教 授 の説 明 を 要 約 した もので あ る。
瓢 ・コヴァレフスキーに於 けるイン ド共同薯 の類型について 21 う。 しか し,コ ヴ ァ レフ スキ ーの用 語 法 に よれ ば,共 同体 的 土 地 所 有 とは,一 方 で農 村 ・近 隣 共 同 体 に 照 応 して い る概念 で あ るか ら,大 家 族 集 団 に よ る不 分 割 的所 有 の形 態 と,一 方 で 地 縁 的 共 同 体 とい う形 態 が重 層 化 した 構 造 を 有 す る も の とし て考 え ざ るを え な い 。従 って この場 合,共 同体 的 土 地 所 有 とは 通 時 的 に は氏 族 共 同体 と連 が る大 家 族 共 同 体=不 分割 所 有 を,共 時 的 に は大 家 族 集 団 が 地 域 的局 部 性 よ り脱 し一 定 の 新 しい 地 縁 的 結 合 の形 態 を採 った もの と して 一 即 ち前 述 した本 来 の農 村 共 同 体 と して の 性 格 と二重 化 せ る共 有 の段 階 と し て理 解 され る の であ る。 つ ま り,コ ヴ ァ レ フス キ ー に よれ ば 父 権 制 下 に現 成 す る氏 族 共 同体 を本 来 構 成 して い る,同 じ氏 族 に属 す る個 々の家 父 長 的 大 家 族 が,分 解=分 離 し て不 分 割 の大 家 族 的所 有 が 形成 され る場 合 は必 ず し も生 産 力 は 質 的 に高 ま った わ け で は な い か ら,か か る分離 は純 然 た る地 域 的再 編 成 の途 を と る わ け で もな く,又 そ れ は不 可 能 で あ る と言 え る こ。れ は古 代 イ γ ドに 於 い て は, 氏族 と村 に よる共 同体 的 土 地 所 有 が,個 別 的 家 族(大 家族 を示 唆 す る)に よる 不 分割 的所 有 と 並存 した と 述 べ て い る コ ヴ ァ レ フス キ ー の 説 明 と照 応 し て い る。何 故 な らば,こ こで は氏 族 共 同体 と農 村 共 同 体 の並 存 一 即 ち前 者 の解 体 過 程 に在 る一 つ の 段階 に照 応 す る所 有 形 態 と して の不 分割 の大 家族 的所 有 が こ こ で は 正 に血 縁 的大 単 位 と純 然 た る地 縁 的 単 位 の 重 層 構 造 の媒 体=基 底 と して意 識 され た の で あ る と言 え よ う。 この 場 合,先 の 図 式 に お い て 共 同 体 的 土 地 所 有 に 続 く不 分 割 な 家族 的 所 有 (財 産)と は どの よ うに理 解 す べ きで あ ろ うか 。 コ ヴァ レフ スキ ーの主 要 な著 作 で 確 認 され る よ うに不 均 等 な持 分 地 は均 等 性 原 則 に よ って定 期 的割 替 を不 可 欠 とす る段 階=一 定 の生 産 力 の質 的 発 展 段 階=既 に 大 家 族共 同体 に よ って解 決 で き:ない 生 産 力 の質 的飛 躍 の時 期 の共 同体 に 属 す る。換 言 す れ ば,厳 密 な意 味 に お け る農 村共 同体=共 同所 有 の地 縁 的再 編 成 は,一 定 の 生 産 力 の発 展 に よ っ ては じめ て 可 能 に な る と云 え よ う。 コス ヴ ェン の第3型 で あ る,氏 族 共 同 体→ 近 隣 共 同 体(=小 家 族 共 同体)の 図式 が こ の段 階 で 導 入 され うる。 この大 家族 共 同体 が 小 家 族 所 有 に 分解 す る構 造 は,基 本 的 には 前 述 の よ うに 二つ 在 る。 一 は ブ ラ ー ミン上 級所 有 を媒 介 とす る一 上 級 所 有 へ の 贈 与 可 能 性 を 創 出す る形 で
22 の共 有 的 家族 財 産 の不 移 動 性 の 変 更,二 は殖 民 地 域 で の荒 蕪 地 開墾 の耕 作 占有 時 効 で あ る。 後 者 は特 に比 較 的 遅 れ て,小 家 族 的 所 有 の 形 成 とい う形 で 現 わ れ る。 つ ま り,共 同 体 的 土 地所 有→ 不 分割 の家 族 的所 有(財 産)と い う コー スに は 極 め て多 様 な 物 質 的 変 動 の 過 程 が対 応す るの で あ って,今 そ れ を図 式 的 に 単 純 化 す れ ば,先 の二 つ の途 に 添 った 大 家 族 分枝 の相 続 的持 分 地 の不 均 等 の拡 大 → 土 地 の規 模及 び肥 沃 ・水 利 等 の質 を め ぐって の相 互 の 闘争 激 化 → 上 級 権 力 に よ る持 分地 均等 化 政 策 とし て の定 期 的 割 替2持 て る家 族 の 自己財 産 防衛 の諸 方 策 (例 え ば,よ り強 大 な近 隣 共 同体 へ の加 入,上 級 所 有 者 へ の 贈 与 的 占有 等)→ 割 替 の 実 施 困難 → 小 家 族 に よる 所 有(不 分割 的 家 族所 有)と い う継起 に な ろ う。 即 ち コ ヴ ァ レフス キ ー の所 謂不 分割 の家 族 的 所 有(財 産)の 段 階 に 照 応 す る共 同 体 の範 躊 は 麗 な く厳 密 な 意 味 で の 農村 ・近 隣 共 同体 で あ り,主 と し て小 家 族 的 土 地 占有(耕 作 占有)か ら成 って い る秩 序 で あ る。 そ こで の不 分 割 の家 族 的所 有 とは,一 面 で は 文 字 通 り小 家 族 に よ る土 地 使用=共 同 体 的 に は附 属 地 を の こ して個 別 的 に小 分 割 され た 持 分 地 を 意 味 す る し,他 面 で は 大 家族 共 同 体 が 小 家 族 に分 解 した 共 同体 的 遺 産 とし て附 属 地(以 前 の 家 族 共 同 体 の もの一 そ れ は既 に地 縁 的 に新 共 同体 に 編 成 され た 旧 大 家 族 成 員 に も使 用 権 が あ る もの) 共 有 及 び 以前 の 大 家族 共 同体 に お け る分 割 不 可 能 な 共 有 財 産 の 現 実 的 利 用 及 び 擬 制 と して の そ の理 念 の継 承 を意 味 し てい る と考 え られ うる。 換 言 す れ ば,こ 51) マ ル ク ス は コ ヴ ア レ フ ス キ ー の 分 与 地 割 替 の 秩 序 に つ い て そ の 発 展 の 継 起 性 を 厳 密
に 補 充 し て 以 下 の よ う に か い て い る 。System der mehr od. minder Periodischen
Vertheilung d. Gememdelands etc Erst gehn darin ein gleichmassig
Wohnungs- boden(mit Zubehδr), Acker-u. Heuschlagland. Im folgenden Process als
Privat- eigenthum erst ausgeschieden d. Wohnungsboden(nebst dein zur Wohnung
geh6rigen Feld etc);spater ditto Acker-u. Heuschlagland. Vom atten Gemeinei・
genthumsystem bleiben als beaux restes:D。 Gemeindeland[i. e. dies im Sinne d.
Gegensatzes/zu dem in Privateigenthum Ubergegangenコ[od. was fruher nur
Appertinenzien waren]u. andrerseits d. gemeinsame Familieneigenthum, aber auch
these Familie ist durch den historischen Process mehr u. mehr reducirt auf d
瓢 。コヴァレフスキ ーに於け るイ ン ド共 同体の類型につ いて 23 の 最 後 の 段 階 に於 い て家 族 共 同体 の重 層 的 構 造 に 象 徴 さ れ うる擬 制=幻 想 共 同 体 と実 体=現 実 的 所 有 形 態 の 相 互 関 係 は,土 地 を含 む財 産 所 有 関 係 の個 別 化 過 程 の 中 で,共 同体 的 不 変 更=不 分 割 ・等 価 性 原 則 の 防衛 志 向 と実 体 とし て の個 人 主 義 的本 能 に基 く個 別 化 志 向 の相 克 矛 盾 に まで 高 ま った と言 え るの で は な い だ ろ うか 。 総 括 す れ ば,こ の 最 後 の 段 階 に お け る小 家族 に よる不 分 割 所 有 とい う基 本 形 態 は,一 面 で は 異 氏 族 出 自の 小 家族 が 自閉 的 にそ れ 自体 で家 族 共 同 体 を構 成 しつ つ,全 体 と して は 新 しい 生 産 力 に対 応 す る近 隣 共 同 体 に再 編 成 され て い る 段階 で あ る。 この よ うな コ ヴ ァ レラ ス キ ーの イ ン ド共 同 体 に対 す る 基本 的 視 角 は,所 謂 ア ジ ア的 生 産 様 式 の 基 底,と くに ア ジ ア的 共 有 と どの よ うに 関 連 す る と 考 えれ ば よい の で あ ろ うか 。 一 般 的 に 言 って マ ル クス の イ ン ド共 同 体 に就 い ての 基 本 的 な三 つ の標 識 であ る,土 地 共 同 占有,農 業 と手工 業 の直 接 的結 合,固 定 的 な 社 会 的 分 業 とい う構 造 を 更 に 所 有 の 形 態 とい う次 元 か ら総 括 す れ ば,非 分 割 的 家 族 に よ る共 有=大 家 族 の 共 産,即 ち家 族(家 産)共 同体 の存 在 に そ の 衰 微 を 見 出 さな け れ ば な らな い。 マ ル クス が フ オ ル メ ンで 分 析 した 所 謂 ア ジ ア 的 共 有 とは イ ン ド社 会 に 私有 契 機 を具 体 的 に包 含 す る点 で 重 層 的 な 古 典 古 代 的(ロ ーマ 的)共 有 と も,地 縁 的 マ ル クに表 徴 され る ゲル マ ン的 共 有 と も質 的 に異 る 大 家族 に よ る家 族 共 産 を共 同 体 的 土 地 所 有 の 中 核 と して 措 定 され な けれ ぽ な ら な い 。 従 って この場 合,極 め て本 質 的 な 意 義 を 持 つ もの は,大 家族 共 産(共 同 所 有財 産)に 於 け る平 等 性 乃 至 均 等 性 原 則 が,ブ ラ ー ミンを 中 心 とす る上 位 共 同 体 の上 級 所 有 権 形 成 を媒 介 とし て,ラ ジ ャ ーの 語 義 が共 同体 首 長 か らイ ン ド 法 典 中 の専 制 君 主 に 移 行 転 化 して い く過 程 に 反 映 さ れ る よ うな イ ン ド社 会 の ア ジ ア的 構 成 の枠 を保 障 す るエ トス とな った こ とで あ り,他 は周 知 の如 く水 利 事 業 を含 む 古 代 政 府 の 公 共 事 業 の 不 可 避性=換 言 す れ ば 農 業 生 産 力 の飛 躍 的 増 大 が 窮 極 的 に 家 族 共 同 体 を 現 実 的 ・擬 制 的 中核 とす る共 同体 的 土 地 所 有 の 基 本 的 な 枠 組 の破 砕 を もた らしえ な い よ うな 自然 的 ・社 会 的 諸 条 件 の 固定 的 存 在 な の で あ る。 従 っ て コ ヴ ァ レフ ス キ ーが イ ン ド共 同 体=土 地 所 有 の形 態 規 定 に際 し て共 同