Kiryu Junior College
NII-Electronic Library Service Kiryu Junior College
短期 大
学
生
の魚
料
理
摂 取 状 況
に
関 す
る
調 査
Research
of
the
lntake
Frequency
ofFish
Dishes
−
How
Often
Do
the
Students
ofKiryu
Junior
College
Eat
Fish
?一
中
島
君 恵
,田 中
景子
,関暗
悦
子
要 約
食生活の欧米 化が進み日本 型 食生活が減 少し てい る とい わ れる現 代,
特に若 年 層は食 物の摂 取におい て魚 介 類 の摂 取が少なく,
肉類,
乳 類 等に偏る傾 向が強い こと が報 告さ れてい る.
今 回 食 物 栄 養コー
ス の1年生 を対 象に魚 料 理 摂 取 状 況調 査を行っ た.
結 果,
夕 食に お い て は肉料 理が 占め る割 合が多 く,
朝 食お よび昼 食を総 合し て も肉 料理に比 べ 魚料理 を食べ る機 会が少ない こと が示 唆さ れ た.
さ らに学 内 実 習の 「肉 料理」と 「魚 料理」の供 食 率 の比 較か らも 「肉料 理 」が高い 値を示した.
しか し, 肉料理中 心の食生活を送 りなが らも 「魚 料 理を食べ る回 数 が少ない 」 と認 識し てい る学生 が約 7割を占め てい た.
キー
ワー
ド日本 型 食生活, 魚 介 類の摂取, 魚 料理, 肉料理 は じ め に
現
在
人 口動態統 計 による と,
日本 人の死 因 は,
悪 性 新生物(
が ん)
,
心疾患,
脳血管 障 害 等が 上 位 を占 めてい る.
厚生労働省の平成17
年 簡易 生命
表に よる と 日本の 平 均 寿 命は男 性78.
53
歳,
女 性85.
4glt
であ り,
世 界で最 も長 寿 国である.
こ の結 果を支えてい る の は,
長い 日本型食生活の た ま もの であ り,
長い 間日 本 人が築 い てきた食 習 慣が適 切であっ たこ と を物 語 っ てい る.
しか し現 在日本 人の 死亡原 因も悪 性 新生 物, 心 疾 患, 脳血管 疾 患が 三 大死 因を占め てい る.
昭和 40 年 代まで多
か っ た脳血管 疾 患が減 少, 食生活 の影 響が 多い と思われ る心 疾 患や悪 性 新 生 物が増 加 を 示 して い る.
わ が 国 で は欧 米 化の食 生 活が進み
,
魚 介 類や緑 黄 色野菜, 豆 製 品等の 日本 型食生 活 が減 少し, 脂 肪の 摂 取が 増 加し, 特に若 年 者は食 物の摂 取に おい て 魚 介類の 摂 取 が少な く, 油 脂 類, 肉類, 乳 類 に偏る傾 向が強い こと が報告さrlLD
1),
若 年 者の魚 離れが叫ば れてい る.
ま た外 食,
特 にフ ァー
ス トフー
ドの2004
年か らの 収 益の増 加 は利用者の 増加 傾 向 に ある こ と も指摘 さ れてい る.
中高 年に 発 症 す る 循 環 器疾 患,
特に虚 血 心 疾 患 に 関 して は魚介類の 摂取に よ る予 防 効 果 が 欧 米諸 国の コ ホー
ト研 究 により報 告さ れて い る こと か ら,
魚 介 類 を日常 的に摂取する食習慣の形 成 が 重 要 な 課 題 で あ る.
そこ で今回若 年 者の 日本 型食生活
,
魚 食 文 化の伝 統と継承 が希 薄に な りつ つ あ る 現 状 を考 え , 若 年 者 へ の 栄養教育の 指針 を図 るこ とを目的と して,
若 年 者の魚 介類 の摂取習慣 調査 や学内実習 に お け る魚 介 類の献立の供 食 率の 分 析を報告 する,
方
法
調査対 象・
調 査期 間2006
年2
月,
本 学生活 科 学 科 食 物 栄 養コー
ス1
年生 53 名に対し て 自記 式 質 問 紙 調査票を配 布, 質 問 紙を 回収 した.
調 査内 容 魚 料 理に対 する摂 取 状 況に関 する食 習 慣 調 査,
及 び学 内 実 習における魚 料理に対 する供 食 状 況 調査結 果
8%21% 隔肉 料 理の方が多い 日どち らか というと肉 料 理 ■ほぼ 半々 日魚 料理 派 図1 夕食は肉料理 と魚 料理 のどち ら が多い ですか 〜 141 桐 生 短 期 大 学 紀 要
,
第17号.
2006 N工 工一
Eleotronio LibraryKiryu Junior College
NII-Electronic Library Service Kiryu Junior College
(図1)が示 す 中で, 夕 食で肉料理 と魚 料理 を比 較 する と
,
Bの どちら か とい うと肉料 理を肉料 理 派に 含め ると有 意に多かっ た.
鯔 礦 2% ■ほぼ 毎日 □週5〜
6日 ■週3〜
4日 日週1〜
2日 囿ほとん どない 47% 図2 夕食に 魚介類 を 週何日 ぐ らい食べま す か ?夕 食に週に魚 介 類を食べ る回 数につ い ては
,
(図2)
に示 すように1〜2
回が最も多 く,
次い で週に3〜4
回 の項目 が 選択さ れてい た.
回が と もに0
% であっ た.
17% 34% 0% 8% ま た ほ ぼ毎 日 と 週に5〜6
■週8回以上 ロ週5〜
7回 ■週3〜
4回 田週1〜
2回 囲ほ とんど食べない 図3 魚 料 理 を朝 食・
昼 食・
夕食 合 わせて週に何 回 ぐ らい 食べますか? 魚 料理 を週に朝 食・
昼 食・
夕 食 合わせ て食べ る回 数につ い ては,
(図 3)に示 すように週 1〜
2 回が最も 多 く, 次い で週 3〜
4回の項目が多かっ た.
ほとん ど 食べ ない が(
図2)
の結果 と 同様約5分の 1程度の 割 合 を占め てい た.
8% 17% 9% 2% 64% ■塩 焼きなど焼き魚 口煮魚 国て んぷ らな ど揚げ物 日刺 身・
サ ラダ な ど 囲そ の他 図4 よ く食べる魚料 理 は何で す か 〜 (複数 回答 ) よ く食べ る魚 料理につ い て は,
焼き魚が6
割強 を示 し,
次い で 刺身 ・
サラダ な どが 選 択 さ れてい た.
7% 2% 45% ■塩焼きな ど1 焼き魚 □煮 魚 ■て んぷらな ど揚 げ 物 日刺 身・
サ ラダ など 團その他 図5 好 きな 魚料 理は何ですか ? (複 数 回 答 ) 桐生短期大 学 紀要,
第17号,
2006好 き な魚 料理につ い て は, 図4の結 果と同 様 焼 き魚 であっ た が
,
次に選 択さ れ たの は煮 魚であっ た.
68% 4% 28% ■ 多い □ちょうど よい 圃少 ない 図6 1週 間に食べる魚 料 理の回数につ い て ど う思 うか ?1
週間に食べ る魚料理の回数につ いては,
少ない と 感 じてい る と答 える 者 が有 意に多
かっ た.
さ らに多
い と答え た者は わずか4
%であっ た.
表1 学 内 実 習 に お け る 主 菜 の 供食率 の 比 較 魚 肉 鰯の蒲 焼き風 丼 93% 鶏 も も肉のチー
ズ焼き 93% ア ジの エ ス カー
ベー
ジュ 85% 和 風ハ ンバー
グ 94% たらの西京 焼 き 93% 鶏 肉の照 焼 き 96% サバとチンゲン菜の 中 華 風炒 め煮 94% 酢豚 93% カレー
ラ イス 96% 供食率 平均 91.
3% 供食率平均 94.
4% 学 内 実 習で行っ た献立 につ い て,
肉料理 と魚 料理 の主 菜 供 食 率で比 較を行っ た.
肉料 理の供 食 率が魚 料理の供 食 率を 上回 り,
有 意さ が認め ら れ た.
考
察
我が国では欧 米 化が進ん で きた.
食生活も例 外で は ない.
魚 介 類を 中心とし た 日本 型 食生活は姿を消 し始め, 欧 米同様 肉 類をメイ ンとした食 卓になっ て きた.
この 現状を踏ま えて 「肉 料理」と 「魚 料理」 につ い て調 査 を実 施し た.
生 活の変 化が食 生 活に与 える影 響は多
大 で, 夕 食に お け る肉 料理 が占め る割 合が多
い だ けで はな く,
朝 食・
昼食 を 総 合 して も魚 料 理 を食べ る 機 会 が少ない傾向に あ るこ とが 明 ら か に なっ た.
その 原 因 を
考
えてみ る.
ア ンケー
トの 結果 か らよ く食べ る 「魚料理」は 「焼 き 魚・
煮魚・
刺身 ・
サ ラ ダ」と品 目数が少ない こ とが わ か る.
肉 料理 に 比べ て 「焼 き魚 」 「煮魚」は調理 に時間と手間が か か る こ と か ら 献 立の 中 に盛り込 ま れ に くい とい う事 情があ る.
ま た学内実 習に おい て 「魚 料理」と 「肉料 理」
の 喫食率
を 比 較 してみ た.
その 結 果,
圧倒的に 「肉 料理」をメイン と し たメニ ュー
の喫食率が 高 かっ た,
こ れ は 男 子学生の ほと ん どが 「肉料理」 を好んで い ること と,
「魚料理」に は イメー
ジ す るのが 困 難 なメ ニ ュー
が存 在 するこ とが要 因だ と考え ら れる.
この 142 N工 工一
Eleotronio LibraryKiryu Junior College
NII-Electronic Library Service Kiryu Junior College
よ うなこ とか ら魚 料理は食 卓に並ぶ機 会が少 な くな っ た のだ と考 えら れる
.
だがその
一
方で, 「魚 料理 を食べ る回数 」が少ない こ とをおよそ7
割の 学生は意識 してい るとい う調査 結 果が出て い る.
つ ま りそこ に は食べ な ければい け な い が,
食べ てい ない とい う状 況が存 在してい るの で ある.
「肉 料理」同様 「魚 料 理」 も簡 単で 手 軽 に調 理 で きると 認 識で きれ ば,
この 問 題を解 決できるの で はない か と推 測さ れる.
「魚料理」と 「肉 料理」をバ ラ ン ス よ く取れ る よう
に な れ ば,
食生 活の改善が な さ れ,
さ らに 日常生活の安 定を図ること がで き る は ずである.
ま と
め 近年,
食生活の欧 米 化に より,
脂 肪の摂 取が 増加 し,
特に若 年 者は食 物の摂 取におい て魚 介類の摂 取 が少な く,
油 脂,
肉類,
乳類に偏る傾 向が強い こ と が報 告さ れ てい る1) 2).
な かで も魚 類の摂 取は年々 減 少の傾 向にあ り,
若 年 者の魚 離れ が叫ば れてい る.
生活 習 慣 病の予 防のため に は,
魚 介 類,
野 菜 類,
豆 類, 芋 類 等い ろい ろ な食 品を取 り混ぜ てバ ラ ン ス良 く摂 取 する適 切な食 習 慣が望ま れてい る,
特に魚 介 類の摂 取は 中性 脂 肪の減 少やn−
3系多価不飽 和 脂 肪 酸 の増 加 を もた らす ことd)や エ イ コサペ ン タ エ ン酸(
EPA
), ドコ サヘ キ サエ ン酸 (DHA ) 補 給の 食 事に よ る血小 板 機 能5}や 血中脂 質 濃 度に及 ぼす 影 響 が報 告さ れて い る.
また, 生活習慣 病の 予防には, 食生 活, 休 養, 運 動の実 施が大 切であ り, 食生活と適 切 な休 養の 実 践 が 将来の 生活習慣 病へ の大切 な 課題と な る.
さ らに運動の 実 施によ り,
骨量の 蓄 積,
骨 粗 しょ う症 の予 防 に貢 献できる.
魚 介類 は 骨ご と摂取 する こ と に よ り日本人の 不 足 して い るカル シ ウ ム (Ca )
の摂 取にもつ な が る.
い わ しや サ ンマ等を 圧力 調理する こ とにより小 骨や,
中骨を摂 取 するこ と が で きカル シ ウム を多
量に摂取するこ と も 可能である.
n−3
系を多 く含むい わ しやサバ,
サン マ 等も含めて魚 介 類の摂 取 に心 がける こ と が 重 要で ある.
さ らに魚 介 類の調理 の 工夫し,
骨も摂取 することにより,
n−3
系 多 価 不 飽 和 脂 肪 酸は もちろ ん,
タン パ ク質,
カル シ ウ ム,
ビタ ミンD
の 供 給 源と して も有 効で あ る.
今 回の調 査か ら,
若 年 者は食 物の摂 取におい て魚 介 類の 摂 取が少な く,
肉類の摂 取が多い 現 状が 改善 さ れてい ない 傾 向が認めら れ た.
食 習 慣,
ライフス タ イ ル の 積み 重 ねは 血 液 成分に反映 し, さ ら には各
自の健 康や 生活 習 慣 病の発 症に関 与 する こと を認 識 させ, 毎日の食 事にい かに魚 介 類を取 り込む か が今 後 も若 年 者の栄 養 指 導の検 討 課題である.
さらに は 生活 習 慣 病 予 防とい う観 点の み な らず日本の魚 食 文 化 を継 承 の た め に, もっ と魚 介 類の摂 取を増 加させ る よう な食 習 慣の 構 築が望まれ る.
イワ シ やサン マ,
サバの ような 背の青い 魚を含め て,
色々な種 類の魚 を継 続 的に摂取する な ど, 日本の 食 文 化を 中 心 とし た和 食の伝 統を継 承したい もの である.
引用
文
献
1)
梅 村詩 子 ら:女子学 生の 健 康実態とその 意識 調査
.
東 京 文 化 短期 大 学 紀要,7
:1−9,
1987.
2
)梅 村詩 子 ら:女子 大生の食 習 慣 と血 清 脂 肪 酸構成
一
食 事 指 導に よる食習 慣,
血清 脂 質,
血 清 脂肪 酸 構成 へ の
影
響.
日本公 衆衛生 雑 誌,40
(12
) :1139−1154,
1993.
3)
梅 村詩子 :魚介 類の摂取と 生 活 習 慣 病の 予 防.
New
Food
industry
,44
(7
):工
7−
24,
2002.
4
)
梅 村 詩 子ら :n−3
系多
価不飽和脂 肪 酸の多
い 魚の 摂 取が 血清 脂 質,
血清 脂 肪 酸,
凝固 線 溶 系 因 子 に 及 ぼ す 影 響.
日本 栄 養食 糧 学会 誌, 53
(15
) :1−9,
2000.
5)平 山愛山 1 日本人におけるエ イコ サペ ン タエ ン 酸 (EPA )の食 事による摂 取と血 小板 機 能に関 する疫 学 的研 究.
日本 内 科 学 会 雑 誌,
74 :13−20,
1985.
6)小 畠義樹 :必 須 脂 肪 酸をめ ぐる最 近の話 題 EPA,
DHA 補 給の 血中脂 質 濃 度に及ぼす 影 響.
栄 養一
評 価と治 療, 9 :35
−
41, 1gg1.
143 桐生短 期 大 学 紀 要.
第17号.
2006 N工 工一
Eleotronio LibraryKiryu Junior College
NII-Electronic Library Service KiryuJunior College
Research
of
the
Intake
Frequency
of
Fish
Dishes
-How
Often
Do
the
Students
of
Kiryu
Junior
College
Eat
Fish
?-Kimie
Nakajima,
Keiko
[[lanaka,
Etsuko
Sekizaki
Abstract
The
popularityof theJapanese
mealis
currentlydeclining
while thewestern meal isgaining
unprecedented attention especially amongthe
younger generation.Theintake
frequency
offish
dishes
is
decreasing
while theconsumption of meat and dairyproducts
show a strong increasingtendency. The results of a survey conducted on the firstyear food and nutrition students showed that the majority of the students eat meat dishesat dinnerEven with breakfastand lunchconsidered, meat dishesare stillpopularcompared to seafbod dishes,althoughseventy percentof the students are aware of thedecline
in
theintakefrequencyof seafood dishesinJapan.