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次世代のがん治療:がん多死社会と向き合って

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Academic year: 2021

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次世代のがん治療:がん多死社会と向き合って

群馬大学大学院医学系研究科病態腫瘍薬理学 西 山 正 彦 わが国は,現在,「国民の二人にひとりが生涯のうち一度 はがんに罹り,三人に一人ががんで死亡する」状況にあり ます.人口の高齢化とともに,今後もがんは増加し,2030年 前後にはがん多死社会が到来するとされています. その 2030年には,他の疾患等での死亡も含めると,医療機関,介 護施設,自宅のいずれでも看取ることができない人々が 40 万人に達するとの予測もあります.単なる一つの疾患とし てだけではなく,生活の質を担保・維持するために,国民全 員が一丸となってがんと闘わねばならない時代です.こう した状況の下,がんの医療,腫瘍医学を取り巻く環境は大 きく変わりました.アカデミアに求められるもの,期待さ れる責務も大きく変化し,高い質の日常医療の提供や新規 医療の開発に加え,大きく地域,社会人としての視点,医療 制度を含めた社会との連携が求められるようになっていま す.がん医療に関する患者意識調査では,約 8割が適切な 医療が提供されたと感じているとの結果が示唆されている ようですが,「がんになっても安心して暮らせる社会の構 築」の実現はなお遠く,新たに,患者の尊厳・価値観,ライ フサイクルに応じたがん対策,社会保障・医療介護制度,医 療経済,ICT(情報通信技術),その他 (障害者のがん対策・ 検診)等が,今後のがん対策の項目に加わってくるものと 思われます.病態腫瘍薬理学 野は,文部科学省がんプロ フェッショナル養成基盤推進プランの事業の一環として, 開学以来の薬理学教室を改組して生まれた旧くて新しい教 室です.時代の要請に応え,画期的ながん薬物療法の 生 を目指し,最先端の研究と教育を展開すべく努力を重ねて います.まずは国内外のがん医療・医学の動向・展開につい て概説し,これに対応すべく私どもの 野で展開中のオ ミックス医学,ビッグデータ解析,海外との共同トランス レーショナルリサーチなどの試みについてご紹介いたしま す. ―261―

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