山間地域の防災関係機関における自然災害発生時の初動・応急期の活動体制
-孤立地域を支える地域内完結型の体制整備に向けた提案-
㻌黒田
梨絵
1) 要旨 山間地域のA 県 B 市は,発災時には各集落が孤立し,外部からの救援の手が届きにくい地域である と指摘されている.そこで,本研究は,発災時の救命活動等の指揮をとる防災関係機関の初動・応急 期の活動体制の課題を明らかにし,孤立地域を支える地域内完結型の体制整備に向けて提案すること を目的とした. B 市の市役所,消防,警察,病院に勤務する職員に調査を実施した.発災時における各機関の初動 と応急期の活動体制の課題等を尋ねた. 初動・応急期の課題には【救援者の具体的な役割活動の不明確】【傷病者受け入れ体制の未整備】等 の10 カテゴリーが挙がり,「住民主体の体制確立」「医療資機材の確保方策」等の 8 つの体制整備に向 けた提案が示された. 地域内完結型の活動を可能にするために,住民主体で各地区の防災計画を立案すること,各機関が 担当役割を遂行するための計画を立案して相互に理解すること等,地域内の人的物的資源で実働可能 な体制を構築する必要があると考える. キーワード:初動・応急期,活動体制,山間地域,防災関係機関,孤立地域Initial and emergency response systems for natural disasters
in emergency management-related organizations in mountainous areas
-
A proposal for the development of a regionally completed system to support isolated areas-Kuroda Rie
1)Abstract
A City in a mountainous area was noted as an area where each village will be isolated in the event of a disaster, making it difficult for outside emergency aid to reach. This study was
conducted with the aim of identifying issues regarding initial and emergency response systems of emergency management-related organizations that will be in charge of directing rescue
operations in the event of a disaster, and to propose the development of a regionally completed system to support isolated areas.
A survey was conducted involving staff of the municipal government, fire department, police department, and hospitals of the city in order to investigate issues regarding initial and
emergency response systems to be operated by each organization in the event of a disaster. Ten categories such as [unclear specific role activities of rescuers], [inadequate system for
accepting injured and sick residents] were reported as issues regarding initial and emergency response systems.In addition, proposals were made for the development of eight systems, such as "establishment of a resident-centered system" and "measures for securing medical equipment." In order to enable emergency response operations to be completed within the community, it is
Seisen Jogakuin College 防災関係機関における発災時の初動・応急期の活動体制の提案
【迅速で正確な災害・避難情報の提供】【避難 所設備・物品の確保と管理】【孤立地区への対 応】【住民の健康の確認】【道路状況の確認に よる交通規制と確保】【医療施設への傷病者の 受け入れと対応】等の対応を求めているとの報 告がある(黒田,2019).そして,災害発生時 には,正確な情報の共有や各組織の役割の明確 化,多職種連携等が重要となるとも報告されて いる(内田ら,2013;六本木ら,2016).さら に,自然災害発生時においては,行政等の災害 対応の指揮をとる施設の初動(発災当日),お よび,応急期(発災2~3 日目)の対応によって 被災者の健康や生命に影響を及ぼすと報告され ている(内閣府,2013). これら先行研究の知見から,外部からの救援 の手が届きにくいA 県 B 市では,自然災害が発 生した際に指揮をとる市役所,消防,警察,病 院といった防災関係機関が,各機関の対応体 制,特に初動と応急期の対応体制を理解し,連 携して事態に対応し,B 市の住民の健康や生命 を守るための活動が必要となると考える.しか し,B 市は,災害への地域的対応の経験がそれ ほどなく,対応体制が十分に整っていない(山 口,2015)と指摘をされている. そこで,本研究は,災害発生時には孤立する という地域特性を持つ山間地域でありながら, 災害への地域的な対応体制が未整備である現状 を鑑み,B 市に合致した初動・応急期における 防災関係機関の活動体制整備に向け,本研究に より抽出された結果を基に自然言語処理による 分析を実施し,孤立地域を支える地域内完結型 の体制整備のための示唆を得,提案したいと考 えた. 以上より,本研究は,山間の孤立地域であるA 県 B 市の防災関係機関における自然災害発生時 の地域内完結型の初動,および,応急期の活動体 制整備に向けた提案をすることを目的とした. Ⅱ.研究方法 本研究は,インタビュー調査(調査Ⅰ),および, 質問紙調査(調査Ⅱ)の2 手法を用いたミックス メソッドにて実施した.ミックスメソッドにて実 施した意図は,質問紙調査によるデータだけでな く,インタビューデータにより,研究課題に関す るより詳細で深い結果が得られること,データと 語りの両方の視点から情報を得ることで,得たい 現象に関して現場での意味を維持しながら客観 化を行うことができることという本手法の強み を生かし,採用した. 【調査Ⅰ】 .対象者 市役所・消防・警察・病院に勤務する職員のう ち,自然災害発生時において各機関で中心となっ て管理責任を担い,指揮をとる管理者を対象とし た. .調査実施時期 平成30 年 7~9 月 .データの収集方法 半構成的面接法にて個人インタビュー法で実 施した.調査日時は,対象者と調整して決め, 調査場所は,対象者が勤務する各施設の個室と した.対象者の承諾を得た上でインタビュー内 容をすべて1 台の IC レコーダーで録音を行っ た.インタビューは原則1 回とし,所要時間は 60 分程度とした.インタビュアーはすべて 1 名 の研究者が務めた. .調査項目 )フェイスシート 基本属性(性別,勤務機関,年代,勤務年 数,災害対応部署経験年数)を尋ねた. )インタビュー内容 ①初動・応急期における自施設の活動体制の課 題,②初動・応急期における活動体制の構築に向 けた今後の希望の2 点とした.
necessary to establish systems that can be operated using the local human and material
resources, such as developing a plan to carry out and mutually understand each organizational role and collaborative planning of an information sharing method, which can be used even in times of disaster.
Key words:the initial and emergency period,response system,mountainous areas, emergency management-related organizations,isolated areas
Ⅰ.はじめに A 県東部に位置する B 市は,人口が約 30,000 人規模の小都市である.B 市の住民の平均年齢 は43.92 歳,高齢化率は 25.5%(全国の高齢化 率26.6%)である(日本医師会,2020).市の 面積は約160 平方 km で,森林率 84%と豊かな 森に囲まれる市内は,市街地3 地区,山間地 4 地区の計7 地区に分かれている.また,市域の 中心には一級河川が流れ,周囲を1,000m 級の 峰々に囲まれた急峻な箇所の多い山間地であ る.各集落は標高500m 前後の山間の谷沿いに 点在しているため,橋やトンネルを通らなけれ ば隣の集落に行くことができず,各集落間の移 動は容易ではない.また,各集落を結ぶ道路は 概ね片側一車線の国道で,側方への迂回路が乏 しく,軽微なものでも交通の妨げになる事象が 発生すると,しばしば交通渋滞が起こるような 交通手段の確保が困難な地域である.さらに,B 市があるA 県東部には生活用品や食糧,医療に 必要な薬剤や医療資機材等を取り扱う業者が存 在しない.B 市から最も近い業者は 1,000m 級の 山々を超え50km 以上距離のある県庁所在地に 集中している.そのため,道路の寸断や封鎖, トンネルや橋が崩落した場合,生活や医療等に 必要な物資・資機材を運ぶ物流が途絶するよう な物資確保の困難な地域でもある. 近年,地震や豪雨・土砂災害等の自然災害が 日本国内で頻発している.B 市において発生す ると想定されている自然災害は地震災害と土砂 災害等である. B 市における地震災害の発生リスクで警戒す るのは南海トラフ地震,および,首都直下地震 である(都留市,2020).南海トラフ地震発生 時の想定震度,および,首都直下地震発生時の 想定震度は6 弱と報告され,B 市は南海トラフ 地震防災対策推進地域,および,首都直下地震 緊急対策区域に指定されている.地震災害等の 発生により,集落を結ぶトンネルや橋の崩落, 土砂災害等による道路の寸断が併発する.B 市 では約400 ヶ所が土砂災害警戒区域・特別警戒 区域に指定されている.そのため,B 市の集落 は山間の谷沿い等の限られた土地にあるた め,自然災害が発生すると道路の寸断等によっ て交通手段の確保が困難となり,孤立すると想 定されている.特に,南海トラフ地震災害によ る孤立集落に至っては,A 県は 47 都道府県の中 で最も多い55 にも及ぶと想定されている(国土 交通省関東地方整備局,2014).さらに,この 地震発生時の被害においては,A 県よりも他県 の被害が甚大で救援の優先度が高いと想定さ れ,A 県は被災時も外部からの救援の手が届き にくい地域とされている.そのため,災害発生 時においては,孤立が想定され,外部からの救 援救助の支援が届きにくい地域特性を持つB 市 では,防災関係機関の活動体制を各機関が互い に共有し,地域内完結型の対応体制の構築が求 められる. 山間地域における災害時の体制に関する先行 研究を概観すると,中山間地域の過疎高齢化地 区における災害が発生した際の不安や心配ごと には「避難所がわからないこと」「土砂崩れへ の不安」等が挙げられている(棚田ら, 2016).また,山間地域の住民は,自然災害発 生時において市役所や消防組織,病院に対して
【迅速で正確な災害・避難情報の提供】【避難 所設備・物品の確保と管理】【孤立地区への対 応】【住民の健康の確認】【道路状況の確認に よる交通規制と確保】【医療施設への傷病者の 受け入れと対応】等の対応を求めているとの報 告がある(黒田,2019).そして,災害発生時 には,正確な情報の共有や各組織の役割の明確 化,多職種連携等が重要となるとも報告されて いる(内田ら,2013;六本木ら,2016).さら に,自然災害発生時においては,行政等の災害 対応の指揮をとる施設の初動(発災当日),お よび,応急期(発災2~3 日目)の対応によって 被災者の健康や生命に影響を及ぼすと報告され ている(内閣府,2013). これら先行研究の知見から,外部からの救援 の手が届きにくいA 県 B 市では,自然災害が発 生した際に指揮をとる市役所,消防,警察,病 院といった防災関係機関が,各機関の対応体 制,特に初動と応急期の対応体制を理解し,連 携して事態に対応し,B 市の住民の健康や生命 を守るための活動が必要となると考える.しか し,B 市は,災害への地域的対応の経験がそれ ほどなく,対応体制が十分に整っていない(山 口,2015)と指摘をされている. そこで,本研究は,災害発生時には孤立する という地域特性を持つ山間地域でありながら, 災害への地域的な対応体制が未整備である現状 を鑑み,B 市に合致した初動・応急期における 防災関係機関の活動体制整備に向け,本研究に より抽出された結果を基に自然言語処理による 分析を実施し,孤立地域を支える地域内完結型 の体制整備のための示唆を得,提案したいと考 えた. 以上より,本研究は,山間の孤立地域であるA 県 B 市の防災関係機関における自然災害発生時 の地域内完結型の初動,および,応急期の活動体 制整備に向けた提案をすることを目的とした. Ⅱ.研究方法 本研究は,インタビュー調査(調査Ⅰ),および, 質問紙調査(調査Ⅱ)の2 手法を用いたミックス メソッドにて実施した.ミックスメソッドにて実 施した意図は,質問紙調査によるデータだけでな く,インタビューデータにより,研究課題に関す るより詳細で深い結果が得られること,データと 語りの両方の視点から情報を得ることで,得たい 現象に関して現場での意味を維持しながら客観 化を行うことができることという本手法の強み を生かし,採用した. 【調査Ⅰ】 .対象者 市役所・消防・警察・病院に勤務する職員のう ち,自然災害発生時において各機関で中心となっ て管理責任を担い,指揮をとる管理者を対象とし た. .調査実施時期 平成30 年 7~9 月 .データの収集方法 半構成的面接法にて個人インタビュー法で実 施した.調査日時は,対象者と調整して決め, 調査場所は,対象者が勤務する各施設の個室と した.対象者の承諾を得た上でインタビュー内 容をすべて1 台の IC レコーダーで録音を行っ た.インタビューは原則1 回とし,所要時間は 60 分程度とした.インタビュアーはすべて 1 名 の研究者が務めた. .調査項目 )フェイスシート 基本属性(性別,勤務機関,年代,勤務年 数,災害対応部署経験年数)を尋ねた. )インタビュー内容 ①初動・応急期における自施設の活動体制の課 題,②初動・応急期における活動体制の構築に向 けた今後の希望の2 点とした.
Ⅲ.結果 インタビュー調査,および,質問紙調査は,調 査協力の得られた市役所・消防・警察・病院の4 施設で実施した. インタビュー調査は,各施設の管理者18 名を 対象者とした. 質問紙調査は,各施設の管理監督者 57 名に調 査票を配布し,37 名より回収された(回収率 64.9%). .対象者の基本属性 インタビュー対象者は,男性 10 名(55.6%), 女性8 名(44.4%),勤務機関は市役所 4 名(22.2%), 消防2 名(11.1%),警察 2 名(11.1%),病院 10 名(55.6%),年代は 30 代 2 名(12.5%),40 代 3 名(18.7%),50 代以上 11 名(68.8%),平均勤務 年数は 26.44(SD=7.91)年で,災害対応部署経 験年数は7.91(SD=9.29)年であった(表 ). 質問紙調査対象者は,男性21 名(56.8%),女 性16 名(43.2%),勤務機関は市役所 8 名(21.6%), 消防2 名(5.4%),警察 2 名(5.4%),病院 26 名 (67.6%)であった(表 ). 職種は,行政職員15 名(40.6%),救急救命士 2 名(5.4%),警察官 2 名(5.4%),医師 3 名(8.1%), 看護師7 名(18.9%),助産師 1 名(2.7%),薬剤 師2 名(5.4%),臨床放射線技師 2 名(5.4%), 臨床検査技師2 名(5.4%),管理栄養士 1 名(2.7%) であった.平均年齢は 46.76(SD=9.81)歳,平 均勤務年数は 21.19(SD=9.41)年,災害対応部 署経験年数は2.86(SD=4.08)年であった. .自施設および多施設合同での防災訓練の実施 自施設において,防災訓練を実施した 35 名 (94.6%),実施していない 2 名(5.4%),過去 1 年間の防災訓練実施回数 2 回以上は 27 名 (77.1%),1 回は 5 名(14.3%),不明が 3 名(8.6%) であった(表 ). 防災訓練の内容には,消火訓練,避難訓練,エ 表 インタビュー対象者の基本属性 1 n % 性別 男性 10 55.6 女性 8 44.4 勤務機関 市役所 4 22.2 消防 2 11.1 警察 2 11.1 病院 10 55.6 年代 30 代 2 12.5 40 代 3 18.7 50 代以上 11 68.8 M SD 勤務年数 26.44 7.91 災害対応部署経験年数 7.91 9.29 表 質問紙調査対象者の基本属性 1 n % 性別 男性 21 56.8 女性 16 43.2 勤務 機関 市役所 8 21.6 消防 2 5.4 警察 2 5.4 病院 26 67.6 職種 行政職員 15 40.6 救急救命士 2 5.4 警察官 2 5.4 医師 3 8.1 看護師 7 18.9 助産師 1 2.7 薬剤師 2 5.4 臨床放射線技師 2 5.4 臨床検査技師 2 5.4 管理栄養士 1 2.7 M SD 年齢 46.76 9.81 勤務年数 21.19 9.41 災害対応部署経験年数 2.86 4.08 【調査Ⅱ】 .対象者 市役所・消防・警察・病院に勤務する職員のう ち,自然災害発生時において各機関で中心となっ て指揮をとる管理監督者57 名を対象とした. .調査実施時期 平成30 年 9 月 .データの収集方法 無記名自記式質問紙調査を実施した. 各機関の管理者に研究概要を説明し,対象者を 選定した.対象者へ,調査説明文書,および,調 査票,返信用封筒を配布した.調査票の留置期間 は4 週間とした.調査票は,研究者宛の郵送での 任意提出による回収とした. .調査項目 調査項目は,基本属性(性別,勤務機関,職種, 年齢,勤務年数,災害対応部署経験年数),防災訓 練の実施の有無とその内容,多施設合同防災訓練 の実施の有無とその内容,施設の耐震・免震構造, 災害発生時の連絡ツール,ライフライン確保のた めの備蓄資機材,備蓄品(食糧・飲料水・医薬品・ 衛生用品の備蓄日数)を尋ねた.また,初動・応 急期における活動体制の課題,活動体制構築に向 けた今後の希望について自由記載にて尋ねた. .分析方法 調査Ⅰ,および,調査Ⅱで収集した量的データ は単純集計を行った. また,調査Ⅰ,および,調査Ⅱで収集した質的 データの分析にあたっては,以下のプロセスにて 実施した. ① インタビュー調査で収集した録音データか ら逐語録を作成した. ② 逐語録,および,質問紙調査の自由記述の内 容に対して,「初動・応急期における活動体制 の課題」および「初動・応急期における活動 体制構築に向けた今後の希望」に該当する要 素を明らかにするため,Krippendorff(1980) の内容分析における手順に沿って進めた.な お,分析する際,質的研究,指導に携わって いる専門家に,分析・カテゴリーの信頼性に ついてスーパーバイズを受け,研究者間で合 意が得られるまで分析を繰り返し,検討・修 正を行った. ③ 内容分析により生成された結果は,User Local テキストマイニングを用いて分析を 行った.「初動・応急期における活動体制の課 題」および「初動・応急期における活動体制 構築に向けた今後の希望」について,それぞ れ単語頻度解析を行った後,共起ネットワー ク分析の結果を図式化した. ④ 図の再文脈化により,「孤立地域を支える地 域内完結型の初動・応急期の活動体制整備の 提案」をまとめた. .倫理的配慮 本研究(調査Ⅰ,および,調査Ⅱ)において, 各機関の管理者に対し,本研究の目的,意義,方 法,自由意思,研究に協力しなくても不利益を被 らないこと,プライバシーの保護,データの取り 扱い方法,結果の公表の際には機関名や個人が特 定されないように匿名化することを説明し,同意 書に同意を得た後,研究を実施した. 対象者に対し,本研究の目的,意義,方法,研 究への協力を断ることができ不利益が生じない こと,調査目的以外には使用しないことについて 調査協力の依頼文に明記し,調査Ⅰの対象者へは 口頭と文書にて,調査Ⅱの対象者へは文書にて説 明した.また,調査への同意は,調査Ⅰでは,同 意書に署名を得たこと,同意した場合でも,対象 者が不利益を受けることなく,同意を撤回するこ とができること,調査Ⅱでは,調査票に設けた調 査への協力意思確認欄にチェックが入っている ことで同意を得たと判断した. 本研究は,健康科学大学研究倫理委員会の承認 を受けて実施した(承認番号:第36 号). .利益相反 本研究における利益相反は存在しない.
Ⅲ.結果 インタビュー調査,および,質問紙調査は,調 査協力の得られた市役所・消防・警察・病院の4 施設で実施した. インタビュー調査は,各施設の管理者 18 名を 対象者とした. 質問紙調査は,各施設の管理監督者 57 名に調 査票を配布し,37 名より回収された(回収率 64.9%). .対象者の基本属性 インタビュー対象者は,男性 10 名(55.6%), 女性8 名(44.4%),勤務機関は市役所 4 名(22.2%), 消防2 名(11.1%),警察 2 名(11.1%),病院 10 名(55.6%),年代は 30 代 2 名(12.5%),40 代 3 名(18.7%),50 代以上 11 名(68.8%),平均勤務 年数は 26.44(SD=7.91)年で,災害対応部署経 験年数は7.91(SD=9.29)年であった(表 ). 質問紙調査対象者は,男性21 名(56.8%),女 性16 名(43.2%),勤務機関は市役所 8 名(21.6%), 消防2 名(5.4%),警察 2 名(5.4%),病院 26 名 (67.6%)であった(表 ). 職種は,行政職員15 名(40.6%),救急救命士 2 名(5.4%),警察官 2 名(5.4%),医師 3 名(8.1%), 看護師7 名(18.9%),助産師 1 名(2.7%),薬剤 師2 名(5.4%),臨床放射線技師 2 名(5.4%), 臨床検査技師2 名(5.4%),管理栄養士 1 名(2.7%) であった.平均年齢は 46.76(SD=9.81)歳,平 均勤務年数は 21.19(SD=9.41)年,災害対応部 署経験年数は2.86(SD=4.08)年であった. .自施設および多施設合同での防災訓練の実施 自施設において,防災訓練を実施した 35 名 (94.6%),実施していない 2 名(5.4%),過去 1 年間の防災訓練実施回数 2 回以上は 27 名 (77.1%),1 回は 5 名(14.3%),不明が 3 名(8.6%) であった(表 ). 防災訓練の内容には,消火訓練,避難訓練,エ 表 インタビュー対象者の基本属性 1 n % 性別 男性 10 55.6 女性 8 44.4 勤務機関 市役所 4 22.2 消防 2 11.1 警察 2 11.1 病院 10 55.6 年代 30 代 2 12.5 40 代 3 18.7 50 代以上 11 68.8 M SD 勤務年数 26.44 7.91 災害対応部署経験年数 7.91 9.29 表 質問紙調査対象者の基本属性 1 n % 性別 男性 21 56.8 女性 16 43.2 勤務 機関 市役所 8 21.6 消防 2 5.4 警察 2 5.4 病院 26 67.6 職種 行政職員 15 40.6 救急救命士 2 5.4 警察官 2 5.4 医師 3 8.1 看護師 7 18.9 助産師 1 2.7 薬剤師 2 5.4 臨床放射線技師 2 5.4 臨床検査技師 2 5.4 管理栄養士 1 2.7 M SD 年齢 46.76 9.81 勤務年数 21.19 9.41 災害対応部署経験年数 2.86 4.08
あった(表 ). 合同訓練の実施施設は,病院と病院,行政と消 防,行政と行政などであった. 合同訓練の内容には,トリアージ訓練,消火訓 練,避難所派遣訓練,NBC 災害ブロック訓練など が挙がった. .防災関係機関の災害への備え 各機関の施設設備にて,耐震・免震設備がすべ ての建物に設備あり21 名(56.8%),一部の建物 に設備なし9 名(24.3%),わからない 7 名(18.9%) であった(表 ). 災害時の連絡ツールには,広域災害・救急医療 情報システム(EMIS),衛星携帯電話,防災無線, 災害時専用通信回線,衛星電話などが挙がった. ライフライン確保のための備蓄資機材には,自 家発電機,貯水槽,プロパンガス,自家発電の備 蓄燃料などが挙がった. 災害に対する備蓄品では,食糧・飲料水・医薬 品・衛生材料のいずれも「備蓄なし」との回答の 割合が5 割を超えた(表 ). .初動・応急期における活動体制の課題 インタビューデータの逐語録,および,質問紙 調査の自由記述より,261 のコードを得た.261 のコードから,【救援者の具体的な役割活動の不 明確】【災害用資機材確保の不十分さ】【被災傷病 者受け入れと対応体制の未整備】【官民産学連携 による活動体制の未整備】【安否等確認手段の未 整備】【避難所等の運営支援体制の未整備】【住民 主体による共助・互助体制の不十分さ】【災害情報 管理と共有体制の未整備】【救護所の運用管理体 制の未整備】【救援者の健康管理体制の未整備】の 10 カテゴリーと 39 サブカテゴリーが生成された (表 ). .初動・応急期における活動体制構築に向けた今 後の希望 表 災害に対する備蓄品 1 n % 食糧 備蓄なし 17 53.1 1~2 日分 9 28.1 3~4 日分 4 12.5 5 日以上 2 6.3 飲料水 備蓄なし 18 56.2 1~2 日分 8 25.0 3~4 日分 4 12.5 5 日以上 2 6.3 医薬品 備蓄なし 16 50.0 1~2 日分 9 28.1 3~4 日分 3 9.4 5 日以上 4 12.5 衛生用品 備蓄なし 16 50.0 1~2 日分 8 25.0 3~4 日分 5 15.6 5 日以上 3 9.4 インタビューデータの逐語録,および,質問紙 調査の自由記述より,254 のコードを得た.254 のコードから,【被災傷病者受け入れと対応体制 の構築】【官民産学連携可能な活動体制の検討】 【救援者の具体的な役割活動の明確化】【住民主 体による共助・互助体制の確立】【避難所等の運営 支援体制の検討】【概括的な災害情報管理と共有 体制の整備】【災害用資機材確保のための方策の 検討】【安否等確認手段の検討】【救護所の運用管 理体制の確立】【救援者の健康管理体制の検討】 【人員確保方策の検討】の11 カテゴリー,38 サ ブカテゴリーが生成された(表 ). .孤立地域を支える地域内完結型の初動・応急期 の活動体制整備の提案 表7 で抽出された結果から,孤立地域を支える 地域内完結型の初動・応急期の活動体制整備の提 案に向けてテキストデータを作成した.単語頻度 表 自施設における防災訓練の実施 1 n % 防災訓練 実施した 35 94.6 実 施 し て い な い 2 5.4 過去1 年間の 訓練実施回数 (n=35) 2 回以上 27 77.1 1 回 5 14.3 不明 3 8.6 防災訓練の 内容 消火訓練 14 37.8 避難訓練 9 24.3 エ レ ベ ータ ー 訓 練 7 18.9 災害対策本部訓練 2 5.4 避難所派遣訓練 1 2.7 AED 使用訓練 1 2.7 表 多施設合同での防災訓練の実施 1 n % 合同訓練 実施した 12 32.4 実 施 し て い な い 25 67.6 合同訓練 実施時期 (n=12) 1 年以内 9 75.0 1 年以上 2 年以内 2 16.7 不明 1 8.3 合同訓練 実施施設 病院と病院 3 8.1 行政と消防 3 8.1 行政と行政 2 5.4 病院と老人保健施設 2 5.4 行政と避難所となる施設 1 2.7 警察と行政 1 2.7 合同訓練の 内容 トリアージ訓練 3 8.1 消火訓練 2 5.4 避難所派遣訓練 2 5.4 NBC 災害ブロック訓練 2 5.4 救出・救助訓練 2 5.4 情報伝達訓練 2 5.4 避難訓練 1 2.7 エレベーター訓練 1 2.7 AED 使用訓練 1 2.7 レベーター訓練などが挙がった. 多 施 設 合 同 で の 防 災 訓 練 を 実 施 し た 12 名 (32.4%),実施していない 25 名(67.6%),合同 訓練の実施時期が1 年以内 9 名(75.0%),1 年以 上2 年以内 2 名(16.7%),不明 1 名(8.3%)で 表 災害に対する施設設備の備え 1 n % 耐震・ 免震設備 すべての建物に設備あり 21 56.8 一部の建物に設備なし 9 24.3 わからない 7 18.9 災害時の 連絡ツール 広域災害・救急医療 情報システム(EMIS) 13 35.1 衛星携帯電話 12 32.4 防災無線 12 32.4 災害時専用通信回線 8 21.6 衛星電話 6 16.2 緊急時用のLINE グループ 1 2.7 総合防災情報システム 1 2.7 Em-Net (緊急情報ネット ワークシステム) 1 2.7 緊急消防援助隊 動態情報システム 1 2.7 支援情報共有ツール 1 2.7 衛星回線インターネット 0 0.0 不明・わからない 3 8.1 ライフライン 確保のため の備蓄 資機材 自家発電機 31 83.8 貯水槽 18 48.6 プロパンガス 14 37.8 自家発電の備蓄燃料 (1~2 日分) 16 43.2 自家発電の備蓄燃料 (3 日分以上) 4 10.8 給水協定 1 2.7 井戸設備 0 0.0 わからない 1 2.7
あった(表 ). 合同訓練の実施施設は,病院と病院,行政と消 防,行政と行政などであった. 合同訓練の内容には,トリアージ訓練,消火訓 練,避難所派遣訓練,NBC 災害ブロック訓練など が挙がった. .防災関係機関の災害への備え 各機関の施設設備にて,耐震・免震設備がすべ ての建物に設備あり21 名(56.8%),一部の建物 に設備なし9 名(24.3%),わからない 7 名(18.9%) であった(表 ). 災害時の連絡ツールには,広域災害・救急医療 情報システム(EMIS),衛星携帯電話,防災無線, 災害時専用通信回線,衛星電話などが挙がった. ライフライン確保のための備蓄資機材には,自 家発電機,貯水槽,プロパンガス,自家発電の備 蓄燃料などが挙がった. 災害に対する備蓄品では,食糧・飲料水・医薬 品・衛生材料のいずれも「備蓄なし」との回答の 割合が5 割を超えた(表 ). .初動・応急期における活動体制の課題 インタビューデータの逐語録,および,質問紙 調査の自由記述より,261 のコードを得た.261 のコードから,【救援者の具体的な役割活動の不 明確】【災害用資機材確保の不十分さ】【被災傷病 者受け入れと対応体制の未整備】【官民産学連携 による活動体制の未整備】【安否等確認手段の未 整備】【避難所等の運営支援体制の未整備】【住民 主体による共助・互助体制の不十分さ】【災害情報 管理と共有体制の未整備】【救護所の運用管理体 制の未整備】【救援者の健康管理体制の未整備】の 10 カテゴリーと 39 サブカテゴリーが生成された (表 ). .初動・応急期における活動体制構築に向けた今 後の希望 表 災害に対する備蓄品 1 n % 食糧 備蓄なし 17 53.1 1~2 日分 9 28.1 3~4 日分 4 12.5 5 日以上 2 6.3 飲料水 備蓄なし 18 56.2 1~2 日分 8 25.0 3~4 日分 4 12.5 5 日以上 2 6.3 医薬品 備蓄なし 16 50.0 1~2 日分 9 28.1 3~4 日分 3 9.4 5 日以上 4 12.5 衛生用品 備蓄なし 16 50.0 1~2 日分 8 25.0 3~4 日分 5 15.6 5 日以上 3 9.4 インタビューデータの逐語録,および,質問紙 調査の自由記述より,254 のコードを得た.254 のコードから,【被災傷病者受け入れと対応体制 の構築】【官民産学連携可能な活動体制の検討】 【救援者の具体的な役割活動の明確化】【住民主 体による共助・互助体制の確立】【避難所等の運営 支援体制の検討】【概括的な災害情報管理と共有 体制の整備】【災害用資機材確保のための方策の 検討】【安否等確認手段の検討】【救護所の運用管 理体制の確立】【救援者の健康管理体制の検討】 【人員確保方策の検討】の11 カテゴリー,38 サ ブカテゴリーが生成された(表 ). .孤立地域を支える地域内完結型の初動・応急期 の活動体制整備の提案 表7 で抽出された結果から,孤立地域を支える 地域内完結型の初動・応急期の活動体制整備の提 案に向けてテキストデータを作成した.単語頻度
表 初 動 ・ 応 急 期 に お け る 活 動 体 制 構 築 に 向 け た 今 後 の 希 望 カ テ ゴ リ ー サ ブ カ テ ゴ リ ー 被 災 傷 病 者 受 け 入 れ と 対 応 体 制 の 構 築 災 害 時 の 傷 病 者 受 け 入 れ 体 制 を 検 討 し た い 病 院 前 救 護 を 行 う 体 制 を 整 備 し た い 地 域 内 の 病 医 院 と 連 携 し て 対 応 で き れ ば よ い 災 害 支 援 病 院 に 医 療 者 が 参 集 し 協 力 す る 体 制 が あ る と よ い 災 害 対 応 専 門 チ ー ム と の 連 携 体 制 を 検 討 し た い 官 民 産 学 連 携 可 能 な 活 動 体 制 の 検 討 日 頃 か ら 住 民 と 救 援 者 と の 顔 の 見 え る 関 係 を 築 い て お き た い 防 災 関 係 機 関 と 企 業 と 大 学 が 連 携 可 能 な 体 制 を 検 討 し た い 行 政 の 情 報 の 下 , 自 主 防 災 会 や 消 防 団 等 の 主 体 に て 各 地 区 と 行 政 と が 情 報 連 携 可 能 な 体 制 づ く り を 進 め た い さ ま ざ ま な 専 門 性 を 持 つ 企 業 と 災 害 協 定 を 締 結 し て お き た い 傷 病 者 の 転 送 対 応 と 手 段 を 考 え て お き た い 救 援 者 の 具 体 的 な 役 割 活 動 の 明 確 化 発 災 直 後 に ま ず 最 初 に と る 行 動 を 明 確 に し た い 災 害 時 の 指 揮 命 令 系 統 が 明 確 に な る と よ い 災 害 時 の 職 員 の 役 割 分 担 を 検 討 し て お き た い 受 援 体 制 を 整 え て お き た い 住 民 主 体 に よ る 共 助 ・ 互 助 体 制 の 確 立 近 隣 住 民 同 士 の 関 係 性 を 構 築 し て 協 力 体 制 を 作 っ て ほ し い 地 域 独 自 に 住 民 主 体 の 災 害 時 の 対 応 体 制 を 作 成 し て ほ し い 全 地 区 で 地 区 防 災 計 画 を 立 案 し て ほ し い 要 配 慮 者 等 を 地 域 内 で 把 握 し , い ざ と い う 時 に 支 援 し て ほ し い 避 難 所 等 の 運 営 支 援 体 制 の 検 討 住 民 主 体 で 運 営 す る 体 制 を 確 立 し た い 救 援 者 の 巡 回 担 当 地 区 を 明 確 に し た い 避 難 者 の 生 活 や 体 調 等 を 把 握 す る 体 制 を 検 討 し た い 事 前 に 感 染 症 対 策 な ど の 衛 生 管 理 を 教 育 で き る と よ い 概 括 的 な 災 害 情 報 管 理 と 共 有 体 制 の 整 備 情 報 を ウ ェ ブ 管 理 し 集 約 で き る シ ス テ ム が あ る と よ い タ イ ム リ ー な 情 報 を 住 民 に 提 供 す る 手 段 を 検 討 し た い 地 域 内 の 医 療 提 供 情 報 を 提 供 で き れ ば よ い 情 報 等 を 各 機 関 が 共 有 す る シ ス テ ム が ほ し い 災 害 用 資 機 材 確 保 の た め の 方 策 の 検 討 緊 急 処 置 等 実 施 の た め の 医 療 資 機 材 の 備 蓄 を 見 直 し た い 物 流 途 絶 の 際 の 医 療 資 機 材 や 消 耗 品 の 確 保 方 策 を 決 め た い 地 域 内 で 薬 剤 や 医 療 資 機 材 等 の 供 給 連 携 体 制 を 検 討 し た い ラ イ フ ラ イ ン 確 保 の た め の 設 備 を 整 え た い 安 否 等 確 認 手 段 の 検 討 住 民 や 要 支 援 者 の 安 否 確 認 の 手 段 を 検 討 し た い 避 難 者 の 体 調 不 良 者 等 を 把 握 す る た め の ツ ー ル が あ れ ば よ い 災 害 時 に 活 用 可 能 な 住 民 情 報 を ま と め て お け る と よ い 救 護 所 の 運 用 管 理 体 制 の 確 立 各 救 護 所 の 担 当 者 を 決 め た い 救 護 所 で 使 用 す る 薬 剤 等 の 備 え を 充 実 さ せ た い 救 援 者 の 健 康 管 理 体 制 の 検 討 各 施 設 に 食 事 や 休 憩 , 仮 眠 可 能 な 設 備 が あ る と よ い 救 援 者 の ス ト レ ス の ス ク リ ー ニ ン グ 体 制 が あ る と よ い 人 員 確 保 方 策 の 検 討 潜 在 医 師 や 看 護 師 に 支 援 依 頼 の 連 絡 シ ス テ ム が あ る と よ い 表 初 動 ・ 応 急 期 に お け る 活 動 体 制 の 課 題 カ テ ゴ リ ー サ ブ カ テ ゴ リ ー 救 援 者 の 具 体 的 な 役 割 活 動 の 不 明 確 発 災 直 後 に ま ず 何 を し た ら よ い の か わ か ら な い 発 災 時 の 担 当 役 割 が 決 ま っ て い な い 受 援 体 制 が 決 ま っ て い な い 指 揮 命 令 系 統 が 明 確 で な い 帰 宅 困 難 者 へ の 対 応 が 決 ま っ て い な い 災 害 用 資 機 材 確 保 の 不 十 分 さ 備 え ら れ て い る 救 急 医 療 資 機 材 の 把 握 が さ れ て い な い 必 要 な 資 機 材 が 備 蓄 さ れ て い な い 物 流 途 絶 時 の 医 療 資 機 材 や 消 耗 品 の 確 保 手 段 が な い 病 院 前 救 護 を 行 う た め の 装 備 の 準 備 が な い 近 隣 病 院 間 の 治 療 ・ 検 査 ・ 薬 剤 等 供 給 連 携 体 制 は な い 被 災 傷 病 者 受 け 入 れ と 対 応 体 制 の 未 整 備 災 害 支 援 病 院 の 傷 病 者 受 け 入 れ 体 制 が 決 ま っ て い な い 病 医 院 間 で の 医 療 応 援 体 制 が 決 ま っ て い な い 災 害 時 の 病 院 前 救 護 を 行 う シ ス テ ム が な い 避 難 所 巡 回 を す る 計 画 が な い 官 民 産 学 連 携 に よ る 活 動 体 制 の 未 整 備 防 災 関 係 機 関 の 連 携 が 明 確 に 決 ま っ て い な い 行 政 と 大 学 , 地 域 の 消 防 団 等 と の 連 携 に 課 題 が あ る 防 災 関 係 機 関 と 災 害 協 定 を 締 結 す る 企 業 が 不 足 し て い る 傷 病 者 の 転 送 や 搬 送 体 制 が 決 ま っ て い な い 安 否 等 確 認 手 段 の 未 整 備 住 民 の 安 否 確 認 シ ス テ ム や 体 制 が な い 在 宅 避 難 者 を 把 握 す る 手 段 が な い 住 民 か ら 提 供 さ れ る 情 報 に 対 応 し き れ な い 要 配 慮 者 の 把 握 が で き な い 避 難 所 等 の 運 営 支 援 体 制 の 未 整 備 感 染 症 対 策 等 の 衛 生 管 理 体 制 が 検 討 さ れ て い な い 避 難 所 救 護 所 の 担 当 者 が 決 ま っ て い な い 地 区 別 の 在 宅 避 難 者 対 応 の 担 当 が 決 ま っ て い な い 避 難 所 避 難 者 を 管 理 す る 個 票 が な い 住 民 主 体 に よ る 共 助 ・ 互 助 体 制 の 不 十 分 さ 各 地 区 が 主 体 で 地 区 防 災 計 画 が 立 案 さ れ て い な い 各 地 区 の 自 主 防 災 会 長 が 1 年 交 代 で あ り 組 織 が 弱 体 化 し て い る 地 域 の つ な が り が 希 薄 に な っ て き て い る 地 区 で 実 施 す る 防 災 訓 練 の 参 加 者 が い つ も 同 じ に な っ て い る 災 害 情 報 管 理 と 共 有 体 制 の 未 整 備 現 場 の 状 況 を 得 る 手 段 が な い 住 民 や 救 援 者 に 正 し い 災 害 情 報 を 提 供 す る ツ ー ル が な い 得 た 情 報 を 各 機 関 の 救 援 者 と 共 有 す る 方 法 が な い 救 護 所 の 運 用 管 理 体 制 の 未 整 備 各 救 護 所 の 担 当 者 が 決 ま っ て い な い 救 護 所 派 遣 の 医 療 従 事 者 の 担 当 が 決 ま っ て い な い 救 護 所 の 運 営 が 明 確 で な い 救 援 者 の 健 康 管 理 体 制 の 未 整 備 職 員 が 職 場 待 機 や 休 憩 可 能 な 設 備 が な い 災 害 時 の 勤 務 を 管 理 す る 体 制 が な い 職 員 の 心 身 の 健 康 を 確 認 す る 体 制 が な い
表 初 動 ・ 応 急 期 に お け る 活 動 体 制 構 築 に 向 け た 今 後 の 希 望 カ テ ゴ リ ー サ ブ カ テ ゴ リ ー 被 災 傷 病 者 受 け 入 れ と 対 応 体 制 の 構 築 災 害 時 の 傷 病 者 受 け 入 れ 体 制 を 検 討 し た い 病 院 前 救 護 を 行 う 体 制 を 整 備 し た い 地 域 内 の 病 医 院 と 連 携 し て 対 応 で き れ ば よ い 災 害 支 援 病 院 に 医 療 者 が 参 集 し 協 力 す る 体 制 が あ る と よ い 災 害 対 応 専 門 チ ー ム と の 連 携 体 制 を 検 討 し た い 官 民 産 学 連 携 可 能 な 活 動 体 制 の 検 討 日 頃 か ら 住 民 と 救 援 者 と の 顔 の 見 え る 関 係 を 築 い て お き た い 防 災 関 係 機 関 と 企 業 と 大 学 が 連 携 可 能 な 体 制 を 検 討 し た い 行 政 の 情 報 の 下 , 自 主 防 災 会 や 消 防 団 等 の 主 体 に て 各 地 区 と 行 政 と が 情 報 連 携 可 能 な 体 制 づ く り を 進 め た い さ ま ざ ま な 専 門 性 を 持 つ 企 業 と 災 害 協 定 を 締 結 し て お き た い 傷 病 者 の 転 送 対 応 と 手 段 を 考 え て お き た い 救 援 者 の 具 体 的 な 役 割 活 動 の 明 確 化 発 災 直 後 に ま ず 最 初 に と る 行 動 を 明 確 に し た い 災 害 時 の 指 揮 命 令 系 統 が 明 確 に な る と よ い 災 害 時 の 職 員 の 役 割 分 担 を 検 討 し て お き た い 受 援 体 制 を 整 え て お き た い 住 民 主 体 に よ る 共 助 ・ 互 助 体 制 の 確 立 近 隣 住 民 同 士 の 関 係 性 を 構 築 し て 協 力 体 制 を 作 っ て ほ し い 地 域 独 自 に 住 民 主 体 の 災 害 時 の 対 応 体 制 を 作 成 し て ほ し い 全 地 区 で 地 区 防 災 計 画 を 立 案 し て ほ し い 要 配 慮 者 等 を 地 域 内 で 把 握 し , い ざ と い う 時 に 支 援 し て ほ し い 避 難 所 等 の 運 営 支 援 体 制 の 検 討 住 民 主 体 で 運 営 す る 体 制 を 確 立 し た い 救 援 者 の 巡 回 担 当 地 区 を 明 確 に し た い 避 難 者 の 生 活 や 体 調 等 を 把 握 す る 体 制 を 検 討 し た い 事 前 に 感 染 症 対 策 な ど の 衛 生 管 理 を 教 育 で き る と よ い 概 括 的 な 災 害 情 報 管 理 と 共 有 体 制 の 整 備 情 報 を ウ ェ ブ 管 理 し 集 約 で き る シ ス テ ム が あ る と よ い タ イ ム リ ー な 情 報 を 住 民 に 提 供 す る 手 段 を 検 討 し た い 地 域 内 の 医 療 提 供 情 報 を 提 供 で き れ ば よ い 情 報 等 を 各 機 関 が 共 有 す る シ ス テ ム が ほ し い 災 害 用 資 機 材 確 保 の た め の 方 策 の 検 討 緊 急 処 置 等 実 施 の た め の 医 療 資 機 材 の 備 蓄 を 見 直 し た い 物 流 途 絶 の 際 の 医 療 資 機 材 や 消 耗 品 の 確 保 方 策 を 決 め た い 地 域 内 で 薬 剤 や 医 療 資 機 材 等 の 供 給 連 携 体 制 を 検 討 し た い ラ イ フ ラ イ ン 確 保 の た め の 設 備 を 整 え た い 安 否 等 確 認 手 段 の 検 討 住 民 や 要 支 援 者 の 安 否 確 認 の 手 段 を 検 討 し た い 避 難 者 の 体 調 不 良 者 等 を 把 握 す る た め の ツ ー ル が あ れ ば よ い 災 害 時 に 活 用 可 能 な 住 民 情 報 を ま と め て お け る と よ い 救 護 所 の 運 用 管 理 体 制 の 確 立 各 救 護 所 の 担 当 者 を 決 め た い 救 護 所 で 使 用 す る 薬 剤 等 の 備 え を 充 実 さ せ た い 救 援 者 の 健 康 管 理 体 制 の 検 討 各 施 設 に 食 事 や 休 憩 , 仮 眠 可 能 な 設 備 が あ る と よ い 救 援 者 の ス ト レ ス の ス ク リ ー ニ ン グ 体 制 が あ る と よ い 人 員 確 保 方 策 の 検 討 潜 在 医 師 や 看 護 師 に 支 援 依 頼 の 連 絡 シ ス テ ム が あ る と よ い
解析にて頻出する単語上位5 位には,〈体制〉〈決 まる〉〈救護〉〈整備〉〈災害〉が挙がった. 表8 で抽出した結果にてテキストデータを作成 した.単語頻度解析にて頻出する単語上位5 位に は,〈体制〉〈検討〉〈住民〉〈情報〉〈医療〉が挙が った. 初動・応急期における活動体制の課題,および, 今後の希望にて,それぞれ共起ネットワーク分析 を行い,語と語の関係をネットワーク図に示した.
初動・応急期における活動体制の課題では,7 つのコミュニティが形成された(図 ). 左中段の一番大きな「資機材」の第1 コミュニ ティには,「資機材」の「把握」「できる」「備える」 が,「地区」「主体」で「不十分」であることが挙 げられた. また,左上段の「救護」の第2 コミュニティで は,「災害時」に「病院前」「救護」を「行う」「担 当者」に課題があることが挙げられた. 上段中央の「決まる」の第3 コミュニティでは, 「管理体制」の「整備」と「体制」の「担当」が 「決まる」課題が挙がった. 右中段の「救援」の第4 コミュニティでは,「住 民」への「正しい」「情報」や「きれる」ことのな い「情報」,「救援」「情報」の課題が挙がった. 2 語のコミュニティでは,右上段の「機関」を 「得る」,右下段の「傷病」者の「受け入れ」,左 下段の「在宅」「避難」に課題があることが挙がっ た. 孤立地域を支える地域内完結型の初動・応急期 の活動体制整備の提案では,8 つのコミュニティ が形成された(図 ). 右上段の一番大きな「体制」の第1 コミュニテ ィには,「住民」「主体」で「検討」された「体制」 を「作る」ことと「確立」することをして「ほし い」との提案が挙げられた. また,上段中央の「医療」の第2 コミュニティ では,「医療」「資機材」「確保」「方策」を「見直 す」という体制整備の提案が挙げられた. 図中央の「連携」の第3 コミュニティでは,「連 携」「可能」な「防災」を「地区」で「進める」と いう体制整備の提案が挙げられた. 左中段の「対応」の第4 コミュニティでは,「安 否」確認「手段」や「傷病」者「対応」を「考え る」という体制整備の提案が挙がった. 左上段の「救援」の第5 コミュニティでは,「救 援」者が「とる」役割を「明確」にする整備の提 案が挙がった. 右下段の「情報」の第6 コミュニティでは,「情 報」「提供」と「システム」の体制整備の提案が挙 がった. 2 語のコミュニティでは,左下段の「管理体制」 を「決める」,右中段の「救護」を「行う」体制整 備の提案が挙がった. Ⅳ.考察 .防災関係機関における備え 防災関係機関にて防災訓練を実施していない との回答があった.消防訓練は定期的な実施が義 務付けられており(総務省,2020),確実に防災 訓練を意識し実施できるよう,各機関内での訓練 実施計画の確実性が急がれる.また,防災訓練の 内容では消火訓練・避難訓練などが挙がった.国 吉ら(2019)は,訓練とわかるとやる気をなくす 参加者がいることから,訓練へのモチベーション の維持が今後の課題であると述べている.今後は, 実施する防災訓練の内容がマンネリ化しないよ う,施設の建物損壊や人的被害・ライフライン被 害の発生,感染症対応,CBRNE 災害対応等とい った災害想定の工夫や,未予告訓練等といったリ アルな実際を想定した訓練計画の工夫が求めら れると考える. 多施設合同訓練を実施している施設は約3 割で あった.行政や住民,企業・団体等との協働連携 による防災活動は,地域の防災コミュニティの絆 を築き,地域の防災力の向上につながると報告さ れている(髙野,2019).今後は,まずは地域の防 図 初 動 ・ 応 急 期 に お け る 活 動 体 制 の 課 題 図 孤 立 地 域 を 支 え る 地 域 内 完 結 型 の 初 動 ・ 応 急 期 の 活 動 体 制 整 備 の 提 案 共 起 の 程 度 が 高 い ほ ど 太 く 濃 い 線 で 示 さ れ て い る 共 起 の 程 度 が 高 い ほ ど 太 く 濃 い 線 で 示 さ れ て い る解析にて頻出する単語上位5 位には,〈体制〉〈決 まる〉〈救護〉〈整備〉〈災害〉が挙がった. 表8 で抽出した結果にてテキストデータを作成 した.単語頻度解析にて頻出する単語上位5 位に は,〈体制〉〈検討〉〈住民〉〈情報〉〈医療〉が挙が った. 初動・応急期における活動体制の課題,および, 今後の希望にて,それぞれ共起ネットワーク分析 を行い,語と語の関係をネットワーク図に示した.
初動・応急期における活動体制の課題では,7 つのコミュニティが形成された(図 ). 左中段の一番大きな「資機材」の第1 コミュニ ティには,「資機材」の「把握」「できる」「備える」 が,「地区」「主体」で「不十分」であることが挙 げられた. また,左上段の「救護」の第2 コミュニティで は,「災害時」に「病院前」「救護」を「行う」「担 当者」に課題があることが挙げられた. 上段中央の「決まる」の第3 コミュニティでは, 「管理体制」の「整備」と「体制」の「担当」が 「決まる」課題が挙がった. 右中段の「救援」の第4 コミュニティでは,「住 民」への「正しい」「情報」や「きれる」ことのな い「情報」,「救援」「情報」の課題が挙がった. 2 語のコミュニティでは,右上段の「機関」を 「得る」,右下段の「傷病」者の「受け入れ」,左 下段の「在宅」「避難」に課題があることが挙がっ た. 孤立地域を支える地域内完結型の初動・応急期 の活動体制整備の提案では,8 つのコミュニティ が形成された(図 ). 右上段の一番大きな「体制」の第1 コミュニテ ィには,「住民」「主体」で「検討」された「体制」 を「作る」ことと「確立」することをして「ほし い」との提案が挙げられた. また,上段中央の「医療」の第2 コミュニティ では,「医療」「資機材」「確保」「方策」を「見直 す」という体制整備の提案が挙げられた. 図中央の「連携」の第3 コミュニティでは,「連 携」「可能」な「防災」を「地区」で「進める」と いう体制整備の提案が挙げられた. 左中段の「対応」の第4 コミュニティでは,「安 否」確認「手段」や「傷病」者「対応」を「考え る」という体制整備の提案が挙がった. 左上段の「救援」の第5 コミュニティでは,「救 援」者が「とる」役割を「明確」にする整備の提 案が挙がった. 右下段の「情報」の第6 コミュニティでは,「情 報」「提供」と「システム」の体制整備の提案が挙 がった. 2 語のコミュニティでは,左下段の「管理体制」 を「決める」,右中段の「救護」を「行う」体制整 備の提案が挙がった. Ⅳ.考察 .防災関係機関における備え 防災関係機関にて防災訓練を実施していない との回答があった.消防訓練は定期的な実施が義 務付けられており(総務省,2020),確実に防災 訓練を意識し実施できるよう,各機関内での訓練 実施計画の確実性が急がれる.また,防災訓練の 内容では消火訓練・避難訓練などが挙がった.国 吉ら(2019)は,訓練とわかるとやる気をなくす 参加者がいることから,訓練へのモチベーション の維持が今後の課題であると述べている.今後は, 実施する防災訓練の内容がマンネリ化しないよ う,施設の建物損壊や人的被害・ライフライン被 害の発生,感染症対応,CBRNE 災害対応等とい った災害想定の工夫や,未予告訓練等といったリ アルな実際を想定した訓練計画の工夫が求めら れると考える. 多施設合同訓練を実施している施設は約3 割で あった.行政や住民,企業・団体等との協働連携 による防災活動は,地域の防災コミュニティの絆 を築き,地域の防災力の向上につながると報告さ れている(髙野,2019).今後は,まずは地域の防療資機材等を取り扱う管理業者がない.中山間地 域は,都市部と比較すると社会資源などが脆弱で あると指摘されている(池本ら,2020).そのた め,発災時に必要な医療資機材や消耗品の自施設 内備蓄の品目と備蓄日数の見直しだけではなく, 地域内の近隣病院間での治療・検査・薬剤の供給 連携体制の検討をし,災害時の資機材確保と補給 のための多施設連携も見直し,検討する方策が必 要となると考えた. また,提案の第3 コミュニティには,地区での 連携可能な防災の進めが挙がった.課題にて官民 産学連携による活動体制が挙がり,孤立地域だか らこそ,市内にある行政や各地区の自主防災会や 消防団,企業や大学が担当する役割を明確化し, 災害協定を締結するなどの連携可能となるよう な体制づくりの検討の必要性の提案ができると 考える.重川(2017)は,日頃から交流を持つ自 治体相互のつながりは大事で,災害時の相互応援 協定や姉妹都市からの応援活動を行うための計 画や制度を検討しておくことが大切と報告して いる.B 市が被災により孤立し応援活動を得られ なくても,地域内で解決できない事案が発生した 時など,相互応援協定や姉妹都市に難事例に対す る対応方策を相談し,地域内での解決につながる ような情報交換や知恵を得る方策の検討も重要 となると考えた. 提案の第4 コミュニティには,傷病者対応と安 否等の確認手段の検討が挙がった.課題には傷病 者の受け入れと対応体制と救護所の運用管理体 制が挙がった.災害時は病院の災害対応能力の強 化,病院機能を継続させるための体制整備に課題 があると報告されている(岬ら,2017).B 市に は災害拠点病院はなく災害支援病院が1 施設とい くつかのクリニックがあるのみである.災害支援 病院と B 市の医師会を中心に傷病者の受け入れ 体制や応援体制を検討する必要性を提案したい と考えた.また,病院内の体制だけでなく,災害 時における病院前救護や避難所や救護所等の巡 回体制など病院の外における災害医療・災害看護 活動の体制構築の検討も重要となると考える.さ らに,災害医療の対応のためには,人員確保方策 を検討しておくことも重要となる.潜在医師や看 護師といった地域内にある人材を活用する方策 も検討しておくことは地域内完結型の対応体制 を検討するための一助となると考えた.また,安 否等の確認手段の課題が挙がった.B 市には白色 タオル運動といった住民同士が安否を確認し合 う方法がある.そのため,各地区の住民の共助を 生かして近隣住民で安否確認をし合い,行政等で 住民の安否情報を集約可能なシステムツールを 検討するという情報管理の方策の提案ができる と考えた. 提案の第5 コミュニティには,救援者がとる役 割の明確化が挙がった.国吉ら(2019)は,避難 訓練を実施し,役割が明確でなく何をすればいい のかわからないという課題が挙がったことを受 け,災害時を想定した係活動の事前分担を提案し ている.B 市で作成された地域防災計画を基に, 各機関の各部署に勤務する救援者の具体的な役 割や行動を明確にする行動マニュアルやアクシ ョンカードの作成を検討することも重要となる と考える.しかし,具体的な役割や行動を作成し ても,担当者変更に伴う調整の齟齬や連携困難が 起こるとの課題も報告されている(髙野,2019). 防災関係機関においても部署異動が起こるため, 部署異動の際,災害時の具体的な役割や行動に関 する引継ぎも行われることが望ましいと考えた. 提案の第6 コミュニティには,情報提供とシス テムの整備が挙がった.災害時は「災害に関する 最新の情報提供」を住民は望むと報告されている (馬場ら,2017).また,大規模災害発生後は通 信手段の確保が困難であるとの報告もある(髙野, 2019).災害時には各機関や住民がタイムリーに 正確で最新の情報を取得と発信・受信できる方策 が必要となる.そのため,災害時の概括的な情報 管理と共有・周知の方法,通信手段の確保を検討 災力向上に向けた多施設合同での防災訓練の計 画立案から始め,実践可能な地域内完結型の体制 整備に向けて前進する必要があると考える. また,耐震・免震設備がすべての建物にある防 災関係機関は約5 割であり,機関の建物の耐震・ 免震設備の充実が不十分であることも明らかに なった.発災時の指揮をとる機関の建物に重大な 被害が及ぶと,指揮をとることも危ぶまれる可能 性がある.そのため,各機関の耐震・免震設備の 補強と充実が必要であることが示唆された. 災害時の連絡ツールやライフライン確保のた めの準備資機材が不明・わからないとの回答が挙 がり,災害時の連絡ツールの周知からの実施が必 要であることが明らかになった.訓練等でトラン シーバーなどの資機材の使用方法の理解や使用 担当者を明らかにすることは重要となる(髙田ら, 2017).災害発生時等の緊急事態で対応するには 平時の際に連絡ツールや資機材の使用方法を身 につけておく必要がある.まずは自施設の準備資 機材を職員に周知し,使用方法を習得することが 大切となると考える. 食糧や飲料水等の備蓄品も備蓄なしとの回答 が5 割を超えている結果であった.災害備蓄品は 基本3 日以上分,特に孤立する可能性がある地域 は5 日以上の備蓄が推奨されているが,5 日以上 分の備蓄をしていると回答したのは1 割程度であ った.孤立し,かつ,物流が途絶する可能性のあ るB 市であるからこそ,自施設における備蓄を充 実させ,いざという時に使用可能で自施設完結可 能な備蓄品の検討が必要である. .防災関係機関における初動・応急期の活動体制 の課題と孤立地域を支える地域内完結型の体制 整備に向けた提案 表7 と表 8 の結果より,対象者は,具体的な役 割活動の不明確,官民産学連携などといった「発 災時の防災関係機関の地域的な対応体制の課題」, 「資機材確保」,安否確認や災害情報管理といっ た「概括的な災害情報管理の課題」,「住民主体の 共助・互助体制の課題」,「救援者の健康管理」と いった課題が挙がり,これらの体制の構築が今後 の希望として示された.体制がない,設備がない, 決まっていないといった課題に対し,今後,体制 整備の優先順位と実現可能性を考慮に入れ,1 つ 1 つ体制構築に向けて検討していく必要がある. まずは,各防災関係機関内にて整備を行い,次い で防災関係機関が連携できるような体制整備に 進めるとよいと考える. 共起ネットワーク分析を行った結果,孤立地域 を支える地域内完結型の初動・応急期の活動体制 の課題は 7 つ(図 1),体制整備の提案は 8 つの 提案(図 2)が挙げられた.これらを表 7 と表 8 の結果と合わせて考察する. 提案の第1 コミュニティには,住民主体による 体制の検討と確立が挙がった.また,課題として, 地区防災計画が立案させていないことが挙がり, さらに,本計画作成の中心となる地区のリーダー が1 年交代であることによる組織の弱体化や住民 のつながりの希薄化も挙がった.2013 年の災害 対策基本法改定にて,地域住民が自発的に防災計 画を作成する「地区防災計画制度」が示され,地 区防災計画ガイドライン(内閣府,2014)を参考 に,市町村が作成する地域防災計画よりもさらに 小地区での地区防災計画づくりが求められてい る.そのため,まずは地域内の統率が取れるリー ダーとなる自主防災会長の任期や近隣住民のつ ながりのあり方の検討から始めることが大切と なると考える.静穏期である今,組織の弱体化を 防止できるようなリーダーや自主防災組織を確 立し,住民主体でB 市の 7 地区がそれぞれ地区防 災計画を作成し,1 地区で孤立しても地区内で対 応可能な体制を検討することから始めることが 地域防災・減災につながる大切な基盤となると考 えた. 提案の第2 コミュニティには,医療資機材確保 方策の見直しが挙がった.B 市には生活用品や医
療資機材等を取り扱う管理業者がない.中山間地 域は,都市部と比較すると社会資源などが脆弱で あると指摘されている(池本ら,2020).そのた め,発災時に必要な医療資機材や消耗品の自施設 内備蓄の品目と備蓄日数の見直しだけではなく, 地域内の近隣病院間での治療・検査・薬剤の供給 連携体制の検討をし,災害時の資機材確保と補給 のための多施設連携も見直し,検討する方策が必 要となると考えた. また,提案の第3 コミュニティには,地区での 連携可能な防災の進めが挙がった.課題にて官民 産学連携による活動体制が挙がり,孤立地域だか らこそ,市内にある行政や各地区の自主防災会や 消防団,企業や大学が担当する役割を明確化し, 災害協定を締結するなどの連携可能となるよう な体制づくりの検討の必要性の提案ができると 考える.重川(2017)は,日頃から交流を持つ自 治体相互のつながりは大事で,災害時の相互応援 協定や姉妹都市からの応援活動を行うための計 画や制度を検討しておくことが大切と報告して いる.B 市が被災により孤立し応援活動を得られ なくても,地域内で解決できない事案が発生した 時など,相互応援協定や姉妹都市に難事例に対す る対応方策を相談し,地域内での解決につながる ような情報交換や知恵を得る方策の検討も重要 となると考えた. 提案の第4 コミュニティには,傷病者対応と安 否等の確認手段の検討が挙がった.課題には傷病 者の受け入れと対応体制と救護所の運用管理体 制が挙がった.災害時は病院の災害対応能力の強 化,病院機能を継続させるための体制整備に課題 があると報告されている(岬ら,2017).B 市に は災害拠点病院はなく災害支援病院が1 施設とい くつかのクリニックがあるのみである.災害支援 病院と B 市の医師会を中心に傷病者の受け入れ 体制や応援体制を検討する必要性を提案したい と考えた.また,病院内の体制だけでなく,災害 時における病院前救護や避難所や救護所等の巡 回体制など病院の外における災害医療・災害看護 活動の体制構築の検討も重要となると考える.さ らに,災害医療の対応のためには,人員確保方策 を検討しておくことも重要となる.潜在医師や看 護師といった地域内にある人材を活用する方策 も検討しておくことは地域内完結型の対応体制 を検討するための一助となると考えた.また,安 否等の確認手段の課題が挙がった.B 市には白色 タオル運動といった住民同士が安否を確認し合 う方法がある.そのため,各地区の住民の共助を 生かして近隣住民で安否確認をし合い,行政等で 住民の安否情報を集約可能なシステムツールを 検討するという情報管理の方策の提案ができる と考えた. 提案の第5 コミュニティには,救援者がとる役 割の明確化が挙がった.国吉ら(2019)は,避難 訓練を実施し,役割が明確でなく何をすればいい のかわからないという課題が挙がったことを受 け,災害時を想定した係活動の事前分担を提案し ている.B 市で作成された地域防災計画を基に, 各機関の各部署に勤務する救援者の具体的な役 割や行動を明確にする行動マニュアルやアクシ ョンカードの作成を検討することも重要となる と考える.しかし,具体的な役割や行動を作成し ても,担当者変更に伴う調整の齟齬や連携困難が 起こるとの課題も報告されている(髙野,2019). 防災関係機関においても部署異動が起こるため, 部署異動の際,災害時の具体的な役割や行動に関 する引継ぎも行われることが望ましいと考えた. 提案の第6 コミュニティには,情報提供とシス テムの整備が挙がった.災害時は「災害に関する 最新の情報提供」を住民は望むと報告されている (馬場ら,2017).また,大規模災害発生後は通 信手段の確保が困難であるとの報告もある(髙野, 2019).災害時には各機関や住民がタイムリーに 正確で最新の情報を取得と発信・受信できる方策 が必要となる.そのため,災害時の概括的な情報 管理と共有・周知の方法,通信手段の確保を検討