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IRUCAA@TDC : 東京歯科大学千葉病院総合診療科における歯科医師臨床研修-大学のメインキャンパス移転に伴う歯科医師臨床研修の変化-

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

東京歯科大学千葉病院総合診療科における歯科医師臨床

研修−大学のメインキャンパス移転に伴う歯科医師臨床

研修の変化−

Author(s)

杉山, 節子; 高橋, 俊之; 杉山, 利子; 亀山, 敦史

Journal

歯科学報, 118(2): 125-128

URL

http://doi.org.org/10.15041/tdcgakuho.118.125

Right

Description

(2)

125

調査報告

東京歯科大学千葉病院総合診療科における歯科医師臨床研修

-大学のメインキャンパス移転に伴う歯科医師臨床研修の変化-

杉山節子

1)

高橋俊之

1)

杉山利子

1)

亀山敦史

2) 抄録:東京歯科大学のメインキャンパスが千葉から 水道橋に移転したことに伴い,東京歯科大学千葉病 院では歯科医師臨床研修について診療体制や総合予 診などのシステム変更を行った。本調査報告では, 水道橋移転前(平成25年度)と移転後の3年間(平成 26年度~28年度)における研修歯科医の診療実績を 比較した。千葉病院総合診療科において研修歯科医 が担当した平均診療日数は,平成25年度から28年度 の4年間で変化を認めなかった(p >0.05)。研修歯 科医1人当たりの平均延べ患者数や1日平均患者 数,および1人当たりの研修歯科医が得た医療収入 は平成25年度に比べ移転後で有意な増加を示した (p <0.05)。2名の研修歯科医がペアを組んで診療 するシステムを廃止したことが研修歯科医の診療実 績向上の一因であると思われた。 緒 言 歯科医師臨床研修制度の法制化がなされた平成18 年度以降,東京歯科大学千葉病院(以下「当院」と いう)では当院のみで1年間の歯科医師臨床研修を 行う単独型プログラム(プログラムA)と,当院を管 理型臨床研修施設とし,協力型歯科医師臨床施設に 一定期間出向する管理型プログラム(プログラムB, プログラムC,プログラムD)の計4プログラムを 運用している。 キーワード:歯科医師臨床研修,キャンパス移転,診療実 績 1)東京歯科大学千葉病院総合診療科 2)東京歯科大学保存修復学講座 (2018年1月11日受付,2018年2月27日受理) http : //doi.org/10 .15041 /tdcgakuho.118 .125 連絡先:〒261 ‐8502 千葉市美浜区真砂1-2-2 東京歯科大学千葉歯科医療センター総合診療科 杉山節子 ― 41 当院では,臨床研修開始時に「初期研修」として 臨床にあたっての基礎的な事項を確認させ,その後 に研修歯科医を「総合診療研修」または「専門研 修」に配置し,各部署での研修に従事させている。 「総合診療研修」は,一口腔単位での歯科臨床を実 践するために必要な能力を修得することが主な目的 であり,「専門研修」は,歯科の専門領域において 必要な基本的診療技能を修得することを主な目的と している。このうち「総合診療研修」では,当院総 合診療科に在籍する指導歯科医の指導のもと,研修 歯科医が初診患者に対して総合予診での医療面接を 実践するとともに,指導歯科医とのディスカッショ ンやチュートリアル,症例検討会を通して一口腔単 位での歯科臨床に基づいた診察・診断技法,および 具体的な診療計画立案手法を修得するとともに,指 導歯科医による管理のもと,立案した診療計画の実 践を総合診療科での歯科臨床を通して行っている1) 。 これら,総合診療研修における診療状況について は,高橋2) ,山倉3) によって報告を行っている。 平成26年度に東京歯科大学のメインキャンパスが 千葉から水道橋に移転したことに伴い,当院総合診 療科での歯科医師臨床研修についても診療体制や総 合予診などのシステム変更を行った。本報告では, 水道橋移転前(平成25年度)と移転後の3年間(平成 26年度~28年度)における研修歯科医の診療実績の 推移に着目し,比較を行ったので報告する。 対象および方法 平成25年度から平成28年度に,東京歯科大学千葉 病院で臨床研修を行った研修歯科医を対象とし,平 成25年度から平成28年度に千葉病院で作成した「医 療収入および患者数実績」と「歯科臨床研修医1年 ―

(3)

126 杉山,他:大学移転後の千葉病院総合診療科の臨床研修 次診療実績一覧表」をもとに分析を行った。集計で 得られたⅠ期(4月~7月),Ⅱ期(8月~11月),Ⅲ 期(12月~3月)の年度平均から,一元配置分散分析 を用いて統計学的な有意性を検討した(p <0.05)。 分散分析で有意性を認めた場合,Tukey’s HSD test で各年度間の多重比較を行った。統計学的解析には SPSS version 18 for windows(日本 IBM,東京)を 用いた。 結 果 1.総合診療科配属の研修歯科医数および指導歯科 医数の推移 平成25年度から28年度の4年間で千葉病院総合診 療科に配属された研修歯科医数を表1に,各年度の 総合診療科担当指導歯科医数を表2に示す。平成25 年度で平均34.7名であったのに対し,平成26年度は 平 均19.7名,27年 度 は 平 均23.0名,28年 度 は 平 均 16.7名であり,水道橋への拠点移転後の3年間は移 転前年に比べて研修歯科医数の大幅な減少がみられ た(p <0.05)。総合診療科の専任指導歯科医数は平 成25年度から27年度まで6名であったが,退職に伴 い28年度で1名減少した。総合診療科との兼務を 表1 千葉病院総合診療科配属の研修歯科医数(名) Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 年度平均 (標準偏差) 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 34 20 21 16 33 21 21 18 37 18 27 18 34.7(2.1)a 19.7(1.5)b 23.0(3.5)b 17.3(1.2)b 年度平均の右肩のアルファベットが同じ場合,統計学的有意 差がないことを示す (p >0.05,Tukey’s HSD test) 表2 千葉病院総合診療科の指導歯科医数の変遷(名) 専任 兼任 非常勤** 合計 平成25年度* 8 1 0 9 平成26年度 6 0 0 6 平成27年度 6 0 0 6 平成28年度 5 0 2 7 * 平成25年8月から専任指導歯科医2名が水道橋病院総合 歯科に転属 ** 臨床教授,臨床准教授を指す 行っていた指導歯科医は平成25年度に3名在籍して いたが,いずれも移転に伴う配置替のため,平成26 年度以降は不在となった。平成28年度から,千葉病 院に週1~2日出勤し,総合診療科での研修指導を 行うことのできる非常勤指導歯科医が2名(臨床教 授1名,臨床准教授1名)在籍している。 2.臨床研修歯科医1人当たりの診療日数 平成25年度から28年度の4年間で,千葉病院総合 診療科において研修歯科医が担当した各期での平均 診療日数の平均値の推移を表3に示す。平成25年度 ~平成28年度の4年間における年度平均はそれぞれ 55.5日,65.6日,55.2日,64.3日で,一元配置分散 分析による有意差を認めなかった(p =0.234)。 3.研修歯科医1人当たりの延べ患者数 平成25年度から28年度の4年間で,千葉病院総合 診療科において研修歯科医が診療を担当した各期で の1人あたり延べ患者数の平均値を表4に示す。研 修歯科医1人あたりの平成25年度における平均延べ 患者数は90.3名であったが,平成26年度以降は有意 な増加を示した(p <0.05)。平成26年度~28年度の 間に統計学的有意差は認めなかった(p >0.05)。 表3 千葉病院総合診療科配属の研修歯科医1人当たりの平 均診療日数(日) Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 年度平均 (標準偏差) 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 57.1 69.1 53.4 66.9 56.0 62.0 65.6 68.7 53.4 65.6 46.7 57.2 55.5(1.9) 65.6(3.6) 55.2(9.6) 64.3(6.2) 各年度間に統計学的有意差を認めない (p >0.05,1-way ANOVA) 表4 千葉病院総合診療科配属の研修歯科医1人あたりの平 均延べ患者数(名) Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 年度平均 (標準偏差) 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 94 161 161 202 93 172 172 206 84 221 131 177 90.3( 5.5)b 184.7(31.9)a 154.7(21.2)a 195.0(15.7)a 年度平均の右肩のアルファベットが同じ場合,統計学的有意 差がないことを示す (p >0.05,Tukey’s HSD test) ― 42 ―

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127 歯科学報 Vol.118,No.2(2018) 表5 千葉病院総合診療科配属の研修歯科医が1日に担当す る平均患者数(名) Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 年度平均 (標準偏差) 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 1.6 2.3 3.0 3.0 1.7 2.3 2.6 3.0 1.6 3.4 2.8 3.1 1.6(0.1)b 2.7(0.6)a 2.8(0.2)a 3.0(0.1)a 年度平均の右肩のアルファベットが同じ場合,統計学的有意 差がないことを示す (p >0.05,Tukey’s HSD test) 4.研修歯科医が1日当たりで診療する平均患者数 平成25年度から28年度の4年間で,千葉病院総合 診療科において1人の研修歯科医が1日あたりで担 当した平均診療患者数を表5に示す。平成25年度で は1日平均1.6名であったのに対し,平成26年度, 27年度,28年度はいずれも1日平均患者数が有意に 増加した(p <0.05)。平成26年度~28年度の間に統 計学的有意差は認めなかった(p >0.05)。 5.研修歯科医1人当たりの期間中の合計医療収入 平成25年度から28年度の4年間の各期で,1人当 たりの千葉病院総合診療科配属研修歯科医が各期で 得た医療収入の平均値を表6に示す。平成25年度で は各期とも平均37万1千円であった。平成26年度以 降は増加傾向を示し,特に平成28年度では平成25年 度と比較し約2.5倍の医療収入であった(p <0.05)。 考 察 東京歯科大学が創立120周年記念事業の1つとし て行ってきた水道橋移転は,平成24年度の教養課程 のさいかち坂校舎への移転,平成25年度の第3・4 学年の水道橋校舎新館への移転,平成26年度(第121 期生)の水道橋を拠点とした卒前臨床実習の開始な どを経て,現在ではすべての移転事業が完結した。 この間,水道橋病院での診療体制の拡充や学部教育 への充実を図る目的で,多数の教職員が水道橋校舎 に配置替となった。また,千葉病院の診療スペース 縮小・整理に伴い,平成26年度からは総合診療科の 診療スペースが変更となり,研修歯科医が診療に使 用できるユニット台数も減少した。 平成25年度と平成26年度以降とを比較すると,研 修歯科医1人当たりの平均延べ診療日数には大きな 表6 千葉病院総合診療科配属の研修歯科医1人あたりの期 間中平均医療収入(千円) Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 年度平均 (標準偏差) 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 384 657 669 877 370 667 695 965 359 959 418 906 371( 12.5)d 761(171.5)ab 594(153.0)bc 916( 44.8)a 年度平均の右肩のアルファベットが同じ場合,統計学的有意 差がないことを示す (p >0.05,Tukey’s HSD test) 変化を認めなかった。一方で,平成26年度以降は平 均延べ患者数が増加し,同時に1人の研修歯科医が 1日当たりで担当する担当患者数も増加した。これ は,保存科・補綴科の受診を希望した初診・再初診 患者の中で,従来は希望科に依頼していた専門的な 技術を必要としない,いわゆる高頻度治療レベルの 診療で対応可能な患者について,各科の医局員の減 少によって研修歯科医が担当するようになったため である。 また,千葉病院総合診療科では研修歯科医が2名 1組でのペアを組み,診療時は必ずこの2名で診療 行為を行うよう義務付けていたが,平成26年度以降 は診療環境の変化に伴い,この方式を採用し続ける ことは効果的でないと考えられため廃止した。その 結果,研修歯科医1人あたりの患者数,診療日数, 医療収入の増加につながったと思われる。 歯科医師国家試験に合格するために勉学に励み, その目標を達成した研修歯科医は,その後の長い歯 科医師人生に対して様々な目標を掲げる。そのス タートラインに立つ研修歯科医の行動に価値ある変 化を促し,歯科医師として,社会人として備えるべ き十分な能力を身につけるとともに,各々の研修歯 科医が立てた大きな目標の達成を応援し,その手助 けを行うことが,我々指導歯科医の使命である。 現在,総合診療科における研修歯科医の患者数は 多くなり,以前よりもより充実した臨床経験を積む ことができるようになった。今後は,臨床研修の質 と,内容の充実を図るための方略と評価方法につい てさらに検討していく必要がある。 著者の利益相反:開示すべき利益相反はない。 ― 43 ―

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128 杉山,他:大学移転後の千葉病院総合診療科の臨床研修

文 献 3)Yamakura D, Takahashi T, Kameyama A, Noro A, 1)研修歯科医手帳 第17期生(平成25年4月~平成26年3 Sugiyama T, Kondo Y, Sugiyama S, Haruyama A, Takeda 月).東京歯科大学千葉病院,千葉,2013. T, Nakajima K : Analysis of dental treatment performed 2)高橋俊之,角田正健,山倉大紀,杉山利子,宮下有恒, by dental residents at General Dentistry Department of

安達 亮,森永一喜,伊藤明代,春山親弘,武田友孝,中 Tokyo Dental College Chiba Hospital over 6years fol-島一憲:千葉病院総合診療科における臨床研修歯科医の診 lowing introduction of mandatory dental clinical training 療状況について.歯科学報,107:519-527,2007. system. Bull Tokyo Dent Coll, 54:177-186,2013.

Post-graduate dental clinical training at Division of General Dentistry, Tokyo Dental College Chiba Hospital : Changes after relocation of the

college’s main campus

Setsuko SUGIYAMA1),Toshiyuki T AKAHASHI1),Toshiko S UGIYAMA1),Atsushi K AMEYAMA2) 1)Division of General Dentistry, Tokyo Dental College Chiba Hospital

2)Department of Operative Dentistry, Cariology and Pulp Biology, Tokyo Dental College

Key words : post-graduate dental clinical training, relocation of the college’s main campus, practical achievements

Tokyo Dental College Chiba Hospital changed its systems for dental practice and general preliminary examination in dental clinical training after relocation of the college’s main campus from Chiba to Suidobashi, Tokyo. This study compared the results of surveys on dental practice by post-graduate dental trainees at Division of General Dentistry,Tokyo Dental College Chiba Hospital before the relocation(2013)and after the relocation(2014-2016). Mean number of days of dental practice by dental trainees did not change over the 4-year period(2013-2016)(p>0.05). Mean total number of patients,mean daily number of patients,and mean medical revenue generated,all of which were on a per trainee basis,were significantly higher after the relocation than before the relocation(p<0.05). Ending the system of dental practice in which dental trainees worked in pairs was a likely reason for these improvements.

The Shikwa Gakuho,118:125-128,2018)

参照

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