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企業化している博物館

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資料

企業化している博物館

増 田 辰 良

本稿は,Enterprising Museums, prepared

by Dr. Claire Massey and Kate Lewis, New Zealand Centre for Small and Me-dium Enterprise Research,Massey Univer-sity for National Services of New Zealand Te Papa Tongarewa,2002を邦訳したもの である。このリポートは Exhibiting Enterprise: Generating Income in New Zealand Museums (『紀要』49巻1号参照)の中で最も企業化 していると評価された博物館等へのインタ ビューを通じて,その成功物語をまとめたも のである。インタビューの発言がそのまま話 し言葉(“ ”の部分)として掲載されており, また比喩的な表現部分がそのまま掲載されて いるため,邦訳しにくいところもあった。邦 訳に際しては博物館を企業化する業務に携わ る個人や組織の情熱,苦労話が生き生きと伝 わるよう心がけた。また,マオイ語の文章や 単語は訳者の独学でマオイ語から英語に訳し, さらに邦訳したので適訳ではないかもしれな い。なお,訳者は2007年度からの1年間をカ ンタベリー大学(クライストチャーチ市)に 滞在し,これらの博物館等を訪問し,リポー トの内容等を確認するためのヒアリング調査 もしてみた。時間の経過とともに既に解決し ている問題もあれば,新たな難題を抱えてい る博物館等もあった。これらについては別の 機会に紹介したい。もとより,拙い訳文の域 を出るものではない。

はしがき

わが民族,祖先,同胞の皆様に,ご挨拶申 し上げます。ニュージーランド国立博物館 (テ・パパ)のナショナル・サービスが‘企 業化している博物館’というこの国で最初の リポートを公刊されたことを末永く讃えます。 この計画に賛同された博物館とその関係諸機 関へ感謝申し上げます。この知識や情報は全 ての国民が共有しあうものです(ここまでは マオイ語である!訳者)。 2001/02年から2002/03年にかけてナショナ ル・サービス(National Services)の5つの 活動計画の一つとして博物館の所得獲得方針 (Revenue generation initiatives)が策定さ れた。この計画に関わった部会の意見に基づ き,ナショナル・サービスはニュージーラン ドにおける博物館がどのように所得を獲得し ているのかを調査するリポートを2本作成す ることにした。 2001年のテ・パパ(国立博物館)・ナショ ナル・サービス(Te Papa National Serv-ices:Te Papa はマオイ語で博物館を意味す る!訳者)の1本目のリポー ト(Exhibiting Enterprise: Generating Income in New Zealand Museums)によると,企業化活動は規模が大 きくかつ資金が潤沢である博物館では必ずし も活発ではなかった。この事実関係からニュー ジーランドで博物館に関わる者たちの企業化 キーワード:博物館,企業化活動,テ・パパ,ニュージーランド

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活動に影響を与える要因を調査することになっ た。このリポートはこの側面に焦点を当てた ものである。 このリポートは前掲のリポートにおいて ‘高度に企業化している’と評価された6つ の博物館についてケース・スタディをしたも のである。この6館は博物館の多様性を一瞥 し,萌芽しつつある企業化活動の範囲を確認 するために選ばれた。以下の6館である。( ) は立地都市名である。 ワイヌイ歴史協会(シルバーダール):The Wainui Historical Society(Silverdale), 交通科学博物館(通称はモータット)(オー ク ラ ン ド):Museum of Transport and Technology(Auckland),

アールデコ・トラスト(ネイピア):Art Deco Trust(Napier),

ブロッドグリーン歴史的建築物(ネルソン): Broadgreen Historical House(Nelson), レフト・バンク・アート・ギャラリー(グレ イマウス):Left Bank Art Gallery(Grey-mouth),

サウスランド博物館・アートギャラリー(イ ンバーカーギル):The Southland Museum & Art Gallery(Invercargill)

このリポートの作成に賛同していただいた 上記の関係諸機関に感謝いたします。またリ ポートを作成していただいたマッセイ大学の 研究者であるクレア・マッセイ研究員(Dr. Claire Massey)とカテ・ルイス研究員(Kate Lewis)に感謝申し上げます。 パット・ステュワート(Pat Stuart) 事務次官(Active Chief Executive) テ・タル・ホワイト(Te Taru White)

長官(Kaihauto)

要約

テ・パパ(国立博物館)・ナショナル・サー ビスが以前に公表したリポート(Exhibiting Enterprise: Generating Income in New Zealand Museums)によると,博物館の企業化活動は 規模が大きくかつ資金が潤沢である館では必 ずしも活発ではなかった。この事実関係をきっ かけとして,研究者たちはニュージーランド で博物館に関わる者たちの企業化活動に影響 を与える要因を調査することになった。6つ の博物館を選び,研究者が訪問をし,インタ ビューをしてリポートを完成させることにし た。 ケース・スタディとして選ばれた博物館は 以前のリポートにおいて‘高度に企業化して いる’と評価されたものである。 この6館は博物館の多様性を一瞥し,博物 館の領域が広いこと,つまり地方と都市に立 地し,規模が違い,多様なタイプの博物館が あることを示すために選ばれた。( )は立地 都市名である。 ワイヌイ歴史協会(シルバーダール) 交通科学博物館(オークランド) アールデコ・トラスト(ネイピア) ブロッドグリーン歴史的建築物(ネルソン) レフト・バンク・アート・ギャラリー(グレ イマウス) サウスランド博物館・アートギャラリー(イ ンバーカーギル) 調査を通じて,これらの博物館において企 業化活動を推進する2つの顕著な要因が確認 できた。第一は個人の属性である。第二は企 業化を推進する個人とそれを支える組織との 協力関係である。協力しあう関係は重要であ る。なぜなら企業化を推進する個人はこうし た意識をもつ組織を必要としているからであ る。ただし企業化を推進する組織をもつ博物 館が立派であるというわけではない。全ての 組織は管理業務もうまく遂行しているのであ

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る。しかし資金が逼迫している時代において, また全ての組織や部門において‘効率的運営’ ‘ビジネスライクな行動’と‘比較優位’が 議論されるときにはニュージーランドの博物 館も資金の獲得を目指す活動をとらざるを得 ない。つまり企業化活動は既に進行中であり, 正しく訓練されるならばもっと多くの部門が この活動を推進するであろう。

はじめに

ニュージーランドの多くの博物館は国立博 (注1) 物館(テ・パパ)の所得獲得方針作業部会か らその主要な所得獲得方法を聞かれたとき, 他の組織から補助金やその他の支援を受けて いると答えていた。そうした支援組織には中 央政府機関や地域団体がある。また同じ回答 者たちは自分たち独自の方法で資金を獲得し ているとも答えていた。こうして得た資金は 館の運営において大きな貢献をしていた。こ のこと自体は何も珍しいことではないが,予 想外の回答も寄せられた。例えば,我々研究 者は彼らが自前で獲得した資金は通常の館の 核となる活動以外のより補足的なサービスの ために使われているものと予想していたが, 実はそうではなかった。彼らはその資金を館 の核となっている活動に使っていたのである。 特に作業部会が関心をもったことは,博物 館の企業化活動は規模が大きくかつ資金が潤 沢である館では必ずしも活発ではなかった, という事実である。他方,‘企業化活動’は あらゆる種類の博物館(都市,地方の立地や 規模の大小に関わらず)で進行中であると思 われている。 この事実関係が今回のリポートを作成する 契機になった。研究者たちはニュージーラン ドで博物館に関わる者たちの企業化活動に影 響を与える要因に焦点を当てることにした。 今回の調査は前回のアンケート調査よりもよ り詳細にこの問題を検証することによって前 回の調査結果を補うように策定した。これは 6つのケース・スタディを通じておこなわれ た。研究者たちは選択した博物館を訪問し, 館の中心人物にインタビューを試みた。この ケース・スタディの結果をこのリポートで紹 介する。

調査の焦点

研究者たちは,なぜある博物館は他と比べ てより企業化活動をとっているのかを検証し てみたかった。この疑問は2001年の調査結果 に由来している。その調査を通じて得た情報 から我々はニュージーランドにおいて企業化 活動をとっている博物館を特定化した。簡単 に言えば,‘企業化活動をとっている博物館’ とは様々な所得獲得方法を実施している館の ことである。特定化するとき,我々は入館料 金による所得はどこの館にも共通する獲得方 法なので企業化活動を定義するときには含め ないことにした。そして,その他の活動を定 義として採用した(表1参照)。例えば,4 つあるいはそれ以上の所得獲得活動をとって いる博物館は‘高度’に企業化している館と して分類した。単純に活動数を数えただけな ので荒っぽい指標であり,別の方法によれば 高度に企業化している館を排除しているかも しれない。例えば,1つか2つの活動(小売 販売など)に特化している博物館のなかには それが館の強みであるものもあった。これら の活動は前回のリポートでも博物館のプロ フィールとしてみたように成功する可能性の 高いものである。

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獲得源泉 回答数 入館料金の徴収と5回以上所得獲得活動をする, 28 あるいは入館料金は徴収しないで4回以上所得獲得活動をする (入館料金を徴収する館のうち18は専門サービス,スペース の貸与,食事のできる施設や小売り販売をおこなっている) 入館料金の徴収と4回以上所得獲得活動をする, 14 あるいは入館料金は徴収しないで3回以上所得獲得活動をする 入館料金の徴収と3回以上所得獲得活動をする, 28 あるいは入館料金は徴収しないで2回以上所得獲得活動をする 入館料金の徴収と1回あるいは2回所得獲得活動をする, 75 あるいは入館料金は徴収しないで1回以上所得獲得活動をする 活動はしないで入館料金の徴収のみおこなう 19 無回答 16 合計 180 活動レベル/予算規模 零細規模 小規模 中規模 大規模 無効 合計 高レベル 2 8 7 10 1 28 中レベル 2 7 1 4 0 14 低レベル 8 10 6 3 1 28 ほとんどなし 36 22 7 2 8 75 なし 14 5 0 0 0 19 無回答 10 3 0 0 3 16 合計 72 55 20 20 13 180 表1.補足的所得の獲得源泉数による回答者の分類 前回のリポートでも説明したように,この 方法にも幾つかメリットはある。活動数を数 え,高度という部門に入る博物館を入念にみ ると予想外の発見があった。例えば,就業者 数や予算規模でみて最小の規模に分類される 博物館がこの部門に入っていた。表2をみる と,高度に企業化している博物館の中には年 間予算規模が5,000ドル以下という‘零細規 模’が2館含まれていた。 表2.所得獲得活動レベルと予算規模による回答者の分類 この分析結果から我々は6館についてさら に詳細に調査することを決めた。これらは全 て上で定義した‘高度に企業化’している博 物館である。さらに我々はニュージーランド において博物館が多様なタイプで構成されて いることから問題が生じていることも知って いる。この点を解明することにも関心をもっ ている。代表的な博物館は歴史協会(histori-cal societies),専門博物館,美術館である。 この多様性も問題としたい。また博物館を運 営する人たちを‘参考人’として登場しても らう。そして以下の6つの博物館をケース・ スタディする。 ワイヌイ歴史協会(シルバーダール) 交通科学博物館(オークランド) アールデコ・トラスト(ネイピア) ブロッドグリーン歴史的建築物(ネル ソン)

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レフト・バンク・アート・ギャラリー (グレイマウス) サウスランド博物館・アートギャラリー (インバーカーギル) 特に,なぜある博物館は他よりもより企業 化活動をとっているのか,ということを解明 することに焦点をおく。また,これまで以上 に企業化活動をとろうとするときの阻害要因 と促進要因をも確認したい。

調査のフレームワーク

前回の調査のみでは,なぜある博物館は他 よりもより企業化活動をとっているのか,と いう疑問に答えることはできない。我々が持っ ている情報からすると,少なくともある博物 館では強力な企業家的性格を持ち組織を引っ 張っていく個人が居るということが明らかに なった。また別の博物館では競争相手や立地 との関係でみた組織自体の強みが重要である ようだ。この調査においてあらゆる可能性に 焦点を当てるために,我々は小規模企業のマ (注2) ネジメントを分析するフレームワークを採用 する。 このフレームワークはどんな組織も競争相 手や供給者のような外部環境からの要因によっ て影響を受けていることを強調している(図 1参照)。また組織を運営するときの方法は 消費者の行動パターンにも影響を受けている。 さらに組織の内部環境は設立者の人的属性や 核となる職員によっても強く影響を受けてい る。このフレームワークはインタビューの最 初の質問項目(補論参照)と大いに関係して いる。ここでの我々の主要な関心は何が組織 に企業化活動をとらせるのかを知るために経 営者の属性を調査することである。 図1.事例研究のフレームワーク

ケース・スタディ

以下で紹介する6つのケース・スタディは 組織が博物館との‘境界’や自分たちと外部 環境(つまり地域社会)との関わり方をどう 理解しているのかという視点に基づいて編成 した。この境界や関わり方は博物館が企業と して活動するときの能力に影響を与えるので あるが,しばしばこれらは博物館が対応でき る範囲を超えていることがある。以下では, この視点からみて,全てを充たしていると思 われる博物館を順番に紹介した。 Ⅰ.レフト・バンク・アート・ギャラリ ー (グレイマウス) Ⅱ.ブロッドグリーン歴史的建築物(ネルソ ン) Ⅲ.ワイヌイ歴史協会(シルバーダール) Ⅳ.交通科学博物館(オークランド)

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博物館名 立地 設立年 正職員数 ボランティア数 入館者数 予算 規模 モータット オークランド 1964 20 100+ 150,000 100万ドル 大規模 サウスランド インバーカーギル 1871 20 10 100,000 100万ドル 大規模 アールデコ・トラスト ネイピア 1985/92 5 100+ 50,000 500,000ドル 中規模 レフトバンク グレイマウス 1980/99 2 5 10,000 200,000ドル 中規模 ワイヌイ シルバーダール 1968 0 10 5,000 19,000ドル 小規模 ブロッドグリーン ネルソン 1967 3 40 5,000 12,000ドル 小規模 Ⅴ.サウスランド博物館・アートギャラリー (インバーカーギル) Ⅵ.アールデコ・トラスト(ネイピア) 6つの博物館はそれぞれ規模,立地,予算 と入館者数において違いがある。こうした属 性の違いは表3にまとめた。どの博物館も快 くインタビューを受けてくれた。彼らは業務 に関する感動的な話と組織についても答えて くれた。そして彼らは自分たちの博物館に大 いなる希望と情熱を注いでいた。以下では, なぜある博物館が他よりもより企業化してい るのかという疑問にお答えするとともに,企 業化へ向けられている情熱もお伝えします。 また以下の多くのところで,我々はインタ ビューに答えてくれた方々自身の言葉を掲載 することにした。この言葉を掲載することを 快諾された方々に感謝します。 表3.ケース・スタディをする博物館の属性

Ⅰ.レフト・バンク・アート・ギャラリー

グレイマウスに立地するレフト・バンク・ アート・ギャラリーは企業化するまでに‘ず いぶん時間のかかった’ギャラリーの一例で ある。このギャラリーは減少していた収益を 反転させ,そして多様な企業化活動を通じて 存続し続けようとしている。しかし,地理的 な条件や地域が取り組んでいる文化活動をみ ていると,その存続が危ぶまれている。つま り地方政府の補助金支援政策が成果を基準と して支給される時代であるということや地域 社会からの金銭的な支援が縮小している時代 であるということである。 背景 このギャラリーは年間予算が200,000ドル (以下,全てニュージーランド・ドル表示で ある!訳者)という小規模な芸術文化施設 (2人のフルタイム職員と5人のボランティ ア)である。地区議会の好意(ある種の支援) により敷地への賃貸料が課せられるのみであ る。今年度は10,000ドルの財政支援が保障さ れているが,議会はギャラリーへの支援は ‘社会費支出項目’の一部であり将来減らす 意向である。これは小売り販売から収益を得 てきたギャラリーにとって,今後の資金確保 については不確実である,ということを意味 する。とりわけ雇用者団体(the Community Employment Group)から支給されていたフ ルタイム管理職への賃金補助も今後継続され る保障はない。 このギャラリーで最初のフルタイムで給与 を受けている管理者はウエイン・ロリマー (Wayne Lorimer)であり,彼は2001年か らここに勤務している。彼は多くの時間を ‘展示物を探索すること,資金や職員を確保 すること’などに費やしている。ウエインは トラストの委員会メンバーで最も企業家的な 8∼9人の助けを借りてこのギャラリーを運 営している。ギャラリーはまた運営委員会 (管理職,社長,秘書,会計係)も持ってお り,委員会は2週間ごとに会合を開き,資金 の管理運営について最終意見を述べることが

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できる。フルタイムの管理職制度ができてか ら収益を確保する手段を考えることは委員会 からその職にある者(つまり,ウエイン本人) へと移された。 ギャラリーは議会との信頼関係を確立し自 分たちを企業として維持していくための戦略 的な計画をもっている。ギャラリーを運営す るに当たってもう一つ重要なことはボランティ ア(7∼8人)の働きである。ボランティア の多くはウエインが着任後に募集した者たち であり,彼らはまた委員会のメンバーでもあ る。 企業化活動 入館料金をめぐる議論がギャラリーの転機 となった(毎年12,000ドルを稼いでいるので, 人気がないというのは信じ難い)。所得を稼 ぐということでは問題はないのであるが,多 くの地域住民や旅行者にとってはそうではな い(例えば,背景にはたぶん入館料金の問題 があるのであろうが,勉強会を開催するとき, ある芸術家は2週間以内に展示物を撤収した ことがある)。しかし,現時点では“入館料 金の徴収を維持することは委員会の方針となっ ている”。ギャラリーはまた寄付金箱も設置 している。ギャラリー協会のメンバーたちは 入館料金を支払わなくもよいが,その代わり に寄付をしてくれている。 この入館料金からの所得だけではギャラリー の運営は十分にできないし,地方政府からの 助成金もやがてなくなることになっていたの で,ギャラリーは自前で所得を稼ぐ方策を考 えざるを得なかった。その一つとして小売り 販売を展開し,さらに他の所得獲得活動を実 行し始めた。 ショップ(売店)は元銀行経営者の事務所 跡に設置されており,ギャラリーの入り口に 隣接しているので訪問者は入館料金を払わな くてもショップへ入ることができる。この ショップは60∼80人の芸術家の作品を陳列し ており,作品を彼らに代わって販売するごと に一品当たり定価の30%の手数料をもらうこ とになっている。このショップがギャラリー の所得の稼ぎ頭になっているので,ウエイン はこの機能から“何かもっといいアイディア (savvy)を得たい”と思っている。彼自身 は小売り販売業務の経験はないが,このショッ プは小奇麗でかつ質の高い地元の芸術家の作 品を陳列している。 ギャラリーはまた協会メンバーからも強い 支持を受けており,会費は営業費や職員の給 与の一部として使われている。 毎年ギャラリーはショップ内で(地元の芸 術家から寄贈された作品の)公開のアートオー クションを開催しており,毎年約3,000ドル の所得を得ている。このオークションは所得 の獲得源であるのみならず地域住民にギャラ リーとしてのレフト・バンクを認識させる役 割もしている。 将来 今年のアートオークションはクリスマス近 くに開催される予定であり,ギャラリーはよ り良い組織運営をするために時間を費やして いる。そして今年もまたこのオークションは 多額の所得をもたらしてくれるであろう。別 の所得獲得方法(入館料金を徴収し展示会ご とに拝観料金を変えるなど)としてアンティー クのロードショウもある。また勉強会を開催 するときには,ギャラリーは連続講演会(ミッ ドウインターレクチャーシリーズ)も開催し ている。出席者は5ドルの参加費を支払う が,2001年の講演会では30∼40人が出席して いた(出席者のほぼ80%は会員である)。 ウエインはギャラリーの運営について幾つ か理想を持っている。建物の正面を広げカフェ と所得獲得を目的とするショップを設置する こと,管理職の給与については議会に関与し て欲しいこと,新しい所得獲得活動について はギャラリーが主導権を持つことを認めて欲

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しいなどである。

Ⅱ.ブロッドグリーン歴史的建築物

ブロッドグリーン歴史的建築物はネルソン 市議会(1965年に購入)が所有しているが, 運営についてはブロッドグリーン協会(Broad-green Society 1980年に設立)が責任を負っ ている。この協会はハウス(house:建物, 以下,ハウスと訳す)を一般公開することの みならず保護し修繕することを目的として設 立された。ブロッドグリーンに関して興味深 いことは建物の所有権と所得を稼ぐ責任の帰 属先とが区別されていることである。 背景 ブロッドグリーンは一週間毎日朝10時30分 から夕方4時まで開館している。入館料金は 大人3ドル,子供50セントである。しかし, この入館料金のみでは十分な運営ができない ので他に所得を稼ぐ方策を実行しなければな らない。 3人のフルタイム正規職員がこの施設を運 営している。館長のマーガレット・ポール (Margaret Paul),館長の補佐と教育指導 員である。職員のうち2人の給与は地方政府 が支払い,残りは協会が支払っている(協会 の委員会は当館に対して財政上の責任を負っ ている)。この給与の支払い方が面倒を起こ す要因にもなっている。しかしマーガレット 自身は協会ではなく議会から給与を受けてい るのでより自然に振舞っている。 委員会は投票で選ばれた9人のメンバー (このうち多くはボランティアである)で構 成されており,議長は地域社会と多くの関係 をもつ元ビジネスマンである。選出された議 員は委員会の会合に出席し議会を(議会はハ ウスの館長に給与を支給していることから, しばしば館長も擁護する)擁護する立場にあ る。現状でのこの人的構成は機能的ではある が,長い目で見ると協会と友の会とを分離す ることが,この施設の運営には良い構成にな るであろう(“もう少し完成度を高められる であろう”),とマーガレットは思っている。 マーガレットは1974年以来様々な役割(1974 ∼78年はボランティアとして,1979∼83年は 館長補佐として,1983年からは館長として) を演じてきた。ここへ来る前の彼女の職業は オタゴ市の幼稚園教員であった。彼女にとっ て博物館は心を奪われる魅力的な存在だった のでネルソン市へ来たときブロッドグリーン に関わる仕事を得る機会を探していた。彼女 は博物館での職務経験がなかったので最初は かなりの時間を教育訓練にあてた。そして今 も教育訓練やワークショップに参加し続けて いる(“私は自分の能力をもっと高める必要 があると思う”)。教育訓練について彼女は, ボランティアによって運営されている博物館 とそうでない博物館とを比べてみると,施設 係と入館係との業務内容に幾つか違いがある とみているようである。 しばしば彼女は,自分は館長よりもビジネ スマンとして働いているようで“展示物の保 護よりも意思決定に従事することが多いよう に思う”,と述べている。例えば,彼女は運 営に関わるマニュアルを作成する責任を負っ ているし,またブロッドグリーンに関わる戦 略計画をも作成してきた。1997年に作成され た10年計画は入館者へのサービス,教育と館 の内装などあらゆる領域を含んでいた。この 計画は(計画期間の半ばということから)再 考中であり,協会は目的の多くを達成してき た。そのうち最も顕著なことは建物に隣接し て新しいミーティング・ルームを開設したこ とである。 ハウスの運営はボランティアの貢献に負う ところが大きく(“我々は地域社会のなかで 手助けしてくれる彼らを必要としている”), 彼らを‘確保する’ためにハウスの評判を高 めてきた。例えば,業務期間に応じた報酬制

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度,モーニング・ティがあり,ボランティア たちはブロッドグリーンで働き始めるとき職 務規定(マニュアル)を受け取っている。マー ガレットはボランティアの必要性を最優先し ているがペイ・オフ (has paid off)によっ て解雇される者もいる。彼女はボランティア の‘平均任期’は2年で人材も不足している ということから,特にその人数を確保するこ とを最優先課題としている。ボランティアに 接するとき“重要なことは彼らをギット皮の 手袋で処遇することである”,と彼女は言っ ている。ブロッドグリーンで最も永くボラン ティアとして業務を遂行してくれている者の 勤務年数は31年である(最年少者は39歳,最 高齢者は89歳である)。 企業化活動 ブロッドグリーンは様々な企業化活動に取り 組んでいる。 1.スポンサーシップ 機会あるごとに様々な機関からスポンサー シップを受けている。例えば,宝くじ委員会, 環境・遺跡委員会,地域トラスト,地方トラ スト(例.弁護士事務所)など。スポンサー シップは基本的には物品でなく金銭であり, それを受けるのは当委員会の責任である。ス ポンサーシップは協会がミーティング・ルー ムを開設するときに大いに役立った。 2.ミーティング・ルームの貸し出し 委員会はミーティング・ルームの所有者で あるが,ハウス自体は所有していない。結局, 協会は議会へミーティング・ルームを貸出す ことになっている。毎年の貸出し金額は4,000 ドルにのぼっている。委員会はミーティング・ ルームの貸出しを管理している(つまりこれ もマーガレットの仕事の一つである)。そし てこの所得は委員会ではなくて協会のものに なっている。議会は協会に対して“もっと企 業家的になる”ことを勧めているのでミーティ ング・ルームは所得の源泉にもなっている。 このことはさらに多様なサービスを提供する よう要請されていることを示唆している。委 員会もまたこのルームに関する料金政策を打 ち出しており,使用目的別(例えば,商業目 的や結婚式の披露宴など)の料金体系も持っ ている。 3.展示会 協会はしばしば展示会も開催している。唯 一足りないものは時間であるが,これまで以 上に使えるスペースを確保する必要がある。 とりわけ自分たち個人の関心ある領域につい ては協会のメンバーたちも準備をする責任を 負っている。 4.土産品の販売 訪問者たちは土産品を購入することができ るが,多くは絵葉書を購入している。これは 協会にとって所得獲得の重要な源泉であり, マーガレットは在庫管理面で責任を負ってい る。売上げは着実に増えつつあり,彼女は来 年もっと魅力的な品揃えをすることを計画中 である。郷土史に関するブックレットは4ド ルで販売している。 5.調査料金 多くの学生が訪問をしてくれ,調査や計画 のための助言を受けている。唯一,お金がか かるのは複写代金のみである。学生の団体も 訪問してくれている。教育担当の事務職員は 学校のカリキュラムに密着した企画運営に取 り組んでいる。この場合,料金は学校から支 払われる。 6.ガーデン・フェテ フェテ(祝宴:fete)は議会と売店の持ち 主とが協力して毎年開催される協会の主要な 所得獲得活動である。パーク(The Park)

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で賛美歌のイベントを開催するとき,集まっ てきた人たちは金貨の寄付をする。そしてヴィ クトリア調のクリスマスの展示会ではブロッ ドグリーンがホスト役をしてきた。協会はこ の種の活動には関与しない。というのは協会 が関与していることを人々が知れば,参加意 欲が削がれることを心配しているからである。 7.アフタヌーン・モーニング・ティ 通常,高齢者の方々に対して,協会は入館 料金とモーニング・ティのセットで割引制度 を適用している(ハウスへの入館料金,モー ニング・ティやアフタヌーン・ティの料金を 割引している)。料金は5ドルである。これ は衛生面での規制があり,協会にとって中心 的なビジネスでもないので日常的な活動には なっていない。 将来 所得獲得活動として,協会は割引制度を導 入し,他の地域で遺跡巡りや周遊旅行を扱う 関係業者と連携もしている。 マーガレットはボランティアがブロッドグ リーンに果たしてくれる貢献が大きいことは 十分に認めるが,彼女の後継者については博 物館での業務経験があり十分に教育訓練を積 んだ者になって欲しいと思っている(“平均 的な玄人は展示物の保護に多数の中性紙箱 (fifty acid free boxes)を必要とする,と いうことさえ知らない!”)。

Ⅲ.ワイヌイ歴史協会

1968年に郷土史に興味をもつ人々が集まっ てワイヌイ歴史協会を設立した。これは現在 シルバーダールのビレッジ(Pioneer Village 開拓者村,以下,ビレッジと訳す)として知 られており建築物博物館として運営されてい る。立地場所はオークランドの少し北側であ る。協会を構成しているボランティアとその 委員会(彼らのうちの多くは他のボランティ ア組織のメンバーでもある)は地域社会に重 要な貢献をしている。そして地域の歴史を守っ ている自分たちの役割と可能性について強い 信念をもっている。 背景 協会の設立とともにすぐに建物の取得にと りかかった。それが現在の‘ビレッジ’(最 初はメソジスト教会であった)を構成してい る。今では教区牧師館(the Parsonage:開 拓者村となる前は干草小屋として使われてい た)と校舎(the School House 1909年)を含 む場所に多くの建物がある。これはビレッジ の構築において重要な第一歩であった。しか し,委員会のメンバーのなかには次のような 意見を持つ者もいる。“海外からの訪問者に 感動をしてもらえるのは,実際にここへ建物 を移したからである”。一連の建物はロ ン ディ・地区自治体の保留地にあり,建物自体 は協会の所有物となっている。この所有形態 のおかげで協会は所得の源泉である入館料金 を徴収していない。特別な展示会のときのみ 入館料金を課している。しかし寄付金箱が置 いてあり,メンバーたちはしばしば寄付をし ている(これも特別なプロジェクト時のみで ある)。 協会は完全にボランティアの働きに依存し ており,これらのうち10人はマネジメント委 員会のメンバーたちである。協会は若い人た ちの参加を募っているが(例えば,家系図を 参考にして,“君の髪の色が灰色であれば参 加できるよ”),ボランティアの人数は減って いる。ワイヌイ(Wainui)という名称もま た興味を削ぐ要因である(なぜなら名前が確 認できない者には‘所有権’がないからであ る)。とりわけシルバーダール自体が辺鄙な 場所である。しばしば既存のボランティアの 友人や親戚が協会と関わっている(“君が何 か興味を持っているならば,家族や友人を仲

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介者として参加できますよ”)。別の目的で (例えば,結婚式のため)このビレッジを訪 問し,ここがどんな場所であるのかを理解し た後に参加した者たちもいる。 ある委員会メンバーが要約しているように (“働きたいのであれば,ここに留まりなさ い”)ボランティアのビレッジへの関わりは 強くなりつつある。 企業化活動 委員会にとって何がいいことなのかが十分 に理解されており,また究極のところ協会は 営利団体ではないという信念が強く,所得を 獲得する活動はそれほど活発ではない。“こ こで我々は人を集めるために金が必要なので あって,金を集めるために人を集める気持ち はない。我々の関心は地域,所有権と所属の みである”。 協会は多様な活動をしているが,それらは 断片的であり協会のメンバー自身が持ってい る技能や才能に強く依存しているものばかり である(例えば,アンティーク・フェア)。 “自分たちが何者であるのかを知りたい人に は適切な場所である”。学校へ通う子供たち に‘100年前の’モーニング・ティというイ ベントを開催する。“サンドウィッチに何を はさむかを考えることは面白いぞ!”我々は “教えないし説教もしない―我々は楽しみを 伝えるだけです”。 定期的な活動は委員会主催のイベントの一 部として週末に売店を開くことである。これ は博物館の領域を超えない活動であり,電気 代と電話代を賄うのに十分な収入を稼いでい る。調査料金については費用をカバーするた めに複写代金のみを課している(“少し寄付 をしていただくだけであり,金を稼ぐためで はなく費用を補うためです”)。こうしたおおっ ぴらでない所得の獲得方法として,協会は建 物の利用,食堂,写真の増刷,複写と学校の 団体客には料金を課している。 食堂については地方政府の条例に沿うよう 台所の質や設備を改善しなければ法を犯すこ とになるということから,委員会メンバーに おいて多くの時間と議論を費やした。このと きまで食事を提供できる施設はなかった。食 事は持ち込みのみ許されていた。台所をアッ プグレードし標準的な基準を充たすようにす ることは出費のかさむことであった。そして 適切な調理技能をもつボランティアを探すに も時間がかかるであろう。またボランティア には調理に関わる必要最小限の正規の登録を 済ませることも求められていた。施設を拡張 (台所を設置する)すれば,食事も提供でき るし広告案内もできるようになる。しかし, この議論は協会の‘核となる業務’はいった い何なのかという問題を提起することになっ た。そして別の議論も出てきた。一つは協会 が食堂を設置すれば,それは地域のなかで既 に食堂を経営している者の商売を侵害するの ではないかという意見であり,そもそも食堂 経 営 に よ っ て 所 得 を 稼 ぐ 必 要 が あ る の か (“我々は商売をしているわけじゃない”), というものであった。 協会の組織は階層的ではないので企業化活 動をとるときのアイデアを事前に承認しても らうようなマネジメント構造にはなっていな い。次のストーブに関する事例をみるとこの 点はよく理解できる。“たぶん我々はもっと 多くティを飲めるであろう。面倒な問題を探 し出して,それを委員会へ突きつけてやれ (Nutting it out and then taking it back to the community)。例えば,ストーブの件が ある。私はその必要性をよく承知していたし, 購入資金も用意していた。そこで数人に相談 し提案することに決めた。購入については次 回の会議で承認された。もし私が提案してい なければ,月1回だけの会議ではうまくいか なかったであろう。” 結果として協会は‘腰を上げアイデアを活 用する’ことになった。またこれによって協

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会はその自発的な性格を発揮するための政策 や手続きを考案することを厭わなくなった。 “資金を獲得する補助金計画もない,いつも 行き当たりばったりである。我々は前進する のみである。組織化され硬直的であるという ことは,特にあまり自信のない人たちのやる 気を削ぐものである。たとえ協会に新しいア イデアをもつ人が現れても,我々は彼に対し てそれは“既に1972年に試みた!と言わなけ ればならないときがある。”しかし,また人 は諦めないものでもある。誰も僅かしか偏見 をもっていないし,暗黙の了解もある”。 委員会の委員長は長年マネジメント計画に 携わってきたが,実行することは予想した以 上に困難であることも知っている。“私は5 年先を見ようとは思わない・・・人々は計画 を求めないが,何かをしたがる!”これは見 当違いである,と彼は思っている。“分別を 持つべきであるが,実際には迷惑な批判ばか りをするだけである。”この種の組織ではマ ニュアルのようなものは役に立たない。“ど の人もガーデンや植物について誰に教えても らえばいいのかを知っている―そして教えて もらいたいと思っている人などいない。人々 はここへ来て,誰かに監督されることなく, 自由に(雑草取りを)していたいだけであ る!” 将来 協会のメンバーのなかにはビレッジを地域 住民のための施設にしてもらって,もっと利 用しやすくしたいという者もいる(例えば, クラブや協会が会合を開き,お茶を飲めるよ うな環境整備をする)。しかし,こうした斬 新なアイデアも歴史協会,博物館とイベント・ センターという選択肢の間でバランスを考慮 すると必ずしも受け入れられないようである。 協会が存続していくためには博物館とアーカ イブの機能を強調すべきである,と思われる。

Ⅳ.交通科学博物館

交通科学博物館(MoTAT:通称,モータッ ト!訳者)は現在の館長であるジョン・シム (John Syme)のもとで幾多の統合の歴史 をたどってきた。当館自身を対象とする議会 法(Act of Parliament)の支援により近年 獲得した補助金は最高額に達している。財政 基盤が保障されているので(地域の地区政府 との長年にわたる調整の成果である),この 財源を使ってモータットは多様な収蔵品を確 保する活動に力を注いでいる。 背景 ビジネスの世界でのマネジメント経験のあ るジョン・シムはモータットの‘マスター・ プラン’を統括する重要な立場にいる。“将 来の展望は既に計画済みである,この実行資 金を獲得するのに2∼3年はかかると思う が・・・”,とジョン・シムは言う。この博 物館には特別にガバナンスに焦点を当てる委 員会とマネジメント・チームとがある。何か 新しい所得獲得方法を採用するときの原則は それが戦略プランに適合しているか否かであ る。“資金がある限り,何でもできる。しか し,それは核となる事業活動を侵害してはい けない。” 地域の地区政府からの補助金制度(法律に 基づく)がスタートしたばかりであるが,モー タットは100%増の補助金(法律で決められ た上限をわずかに下回るが)を獲得した。法 律は上下限の範囲内での補助金を保障してい るが,モータットは戦略的なプランによって 上限に近い金額を保障されている。他の機関 (例えば,個人や政府機関)からも資金補助 (capital funding)を受けている。民間から の借り入れも考えられるが,ジョンはこの方 式は当館にはなじまないと思っている。“現 金を獲得するには良好な事業活動を展開する 必要がある。しかし,博物館が長期にわたっ

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て資金を確保できるような環境はそう多くな い。” モータットは270人のボランティアの活動 に依存している。彼らは毎週500時間以上活 動してくれている。当館でボランティアをす ると予想もつかないような愉快な体験ができ, また復元や収蔵品の保護のために使える資金 (昨年の100,000ドルに対して今年は700,000 ドル)が増えたことからボランティアの数は 昨年よりも25%ほど増加した。“モータット では予想外の楽しいことが起こり,それを事 業に取り込む必要がある”,とジョンは言う。 ボランティアの平均年齢は次第に若くなって いる。当館は定期的にボランティアを募る広 告も出している。 その人数が増えるとボランティアはしばし ば“創造的な無政府状態(constructive anar-chy)”に陥ることがあるが,それは“ボラ ンティアが発する文化”であることを意味し ている。新しい戦略プランではボランティア の意義を再確認した。そしてジョンは彼らの 多くと1対1の対話を心がけてきた。“毎週, 私は彼らが何を必要としているのかを知るた めに各ボランティア部門のリーダーを訪ねて いる。以前にはなかった試みである。彼らは 古臭い組織図の中にはいない者たちであった。 彼らの立場を良くすることによって彼らの組 織への関わり方も変わってきた。” 企業化活動 その他の活動から獲得している所得(中央 政府機関や地域の地区政府からの補助金以外) は当館の総所得の3分の1を占めている: ! コロニアル・アームズ(The Colonial Arms)屋敷はコンファレンス・センター や結婚式場として使われている。路面電 車や教会を貸出すことからも現金収入が ある。屋敷のリースからは年間40,000ド ルの収入があり,今後数年間の契約が入っ ている。 ! モ ー タ ッ ト は パ ラ パ ラ ウ ム(Para-paraumu)にあるマクドナルドへ列車 と馬車を貸出している。契約はある一定 期間ごとにマクドナルドの主導により結 ばれており,年間数千ドルの収益を生み 出している。 ! 博物館は入館者係が運営する2つのショッ プからの売上げに対してマージンを受け 取っている。ショップを拡張し,もっと 洗練されたものにするために計画を作成 する期日が迫っている。他のショップは 特別展示室(例.レゴ展)の中にある。 ここでも博物館は売上げに対してマージ ンを徴収している。 ! 料金制度は教会,列車,いくつかの芸術 作品の貸出しにも適用されている。また モータットを映画のロケ地として利用す るときにも料金を課している(“料金を 引き上げ,どうなるかをみてみる―2.5 日当たり5,500ドルを基準とする”)。た まに博物館は販売促進の努力を促し‘功 績を認める’ために投票をしている(例. “我々はジム・ヒッキー:Jim Hickey には料金を課さなかった”)。 ! ‘体験型’のアトラクションには料金を 課している(例えば,体感ドームへの入 館には1ドルを課している)。モータッ トはマッセイ大学と協力して模擬飛行用 の施設を建設中である。この施設の利用 からも料金を徴収することになっている。 ! モータットはクリスマスごとに‘大型爆 弾’のイベントを開催している。ジョン は“海外の芸術作品に頼ることよりも収 蔵活動へ回帰することを考えている。我々 は収蔵品をもっと多く収集する必要があ る。これは我々の使命であり,そして我々 ができることである。” ! “週末や1週間を通して”より多くの芸 術作品を提供するサービスの一環として, 職員は学校の休日にあわせたプログラム

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も企画運営している。 ! モータットは調査活動からも所得を稼い でいるが,これはフルタイムの司書がい ることからすると容易なことである。 将来 モータット法(MoTAT Act)のおかげで 補助金の受給は保障されてきた。そしてジョ ンによると,この金額はモータットが独自に 稼ぎ出した所得があろうとも減額されること はない。彼の考えによると,これは活動を進 めるにあたっていい触媒役を果たしてくれて いる(“ゲーム,イニシャティブとアイデア の水準を高揚させてくれている”)。例えば, 当館が宝くじ委員会(the Lottery Environ-ment and Heritage)へ補助金申請をした回 数は過去3カ年よりもここ6カ月の件数が上 回っている。また当館は‘やりたい事’と ‘その話題性’の両面を表現する方法として 他の博物館の模範にもなっている。これまで やってきたコンサルタント業務もそのプロセ ス(例えば,いまや各ボランティア部門は自 分たちの意見・考えを持っており,一連のワー クショップは戦略的なプランに結実している) が重要なので,これからも続けていく。ジョ ンにとってコンサルタント業務のプロセスは 博物館の“歪みとなる要因”を理解する手段 でもある。企業家精神は博物館において最前 線にある。所得を獲得することが全てではな い―博物館活動を促進すること,そしてその ために知恵を出すことである。 将来にわたって“立派な博物館市民”であ り続けることはモータットの重要なビジョン の一つである。例えば,地区政府から補助金 を受けたとき,ジョンは地区内に立地する他 の博物館を訪問し,モータットと他館がいか に協力しあえるかということを議論する機会 をつくった(“彼らは議論に夢中であった”)。 この成果は次のようなところに現れている。 地区内の他館を訪れる訪問者たちにモータッ トへ行けば入館料金は25%割引かれます,と 伝えてくれれば,モータットはこうした博物 館にいくらかの広告料を払うことにした。

V.サウスランド博物館・アートギャラリー

サウスランドは人口が100,000人の地方都 市であり,この博物館は(サウスランド地区 政府による調査)レクリエーションとして地 域住民の利用が2番目に多い施設である。こ の博物館は地域の象徴となっており,地域住 民の多くが博物館あるいはアートギャラリー とともに生活を営んでいる場所ともなってい る。そのような博物館あるいはアートギャラ リーはどのようにして芸術と文化に関する根 源的な興味を生き生きと保っているのであろ うか。それは所得を生み出す一連の活動を通 じてである。 背景 (訳者注) パークランドの景観からイメージした白色 の6階建てのピラミッド(a white six!sto-reyed pyramid)はサウスランド博物館がホー ム(home)と呼んでいるものである。驚く ほ ど 現 代 的 な 建 築 様 式 を も つ ピ ラ ミ ッ ド は,1940年に建設され,1990年に既存の建物 を増改築したものである。博物館は作品の目 録とその説明文とを付けて展示物や陳列物を 収蔵している―伝統的な部分と現代的な部分 の良いところのみを表現することに努めてい る。 博物館は16人の職員と10人のボランティア (週当たり50時間)で運営されている。毎年 約100,000人の入館者がある。法人トラスト である博物館の年間予算は約100万ドルであ り,1名の館長(デビッド・ウッディング: David Woodings)によって運営され評議会 によって管理されている。評議会委員の定員 枠は23人であり,このメンバーたちが博物館 の主要な管理にあたっている。彼らの役割は

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今も拡大しつつあり,将来評議会はその構成 を変えるかもしれない(例えば,経営委員会 を設置するかもしれない)。評議会は毎月開 催され,館長との良好な関係を維持している。 在職期間の長かった前館長の後を受けて, デビッド・ウッディングは博物館の将来を支 え博物館にこびり付いていた古臭い伝統を活 性化させるべく館長として迎えられた。この 古臭い伝統の一部は前館長の在職期間があま りにも長かったことによる。また多くの職員 はほとんど‘組織に依存的な体質’になって しまっていたからである(彼らは教育機関を 卒業後,この博物館にのみ勤務しており他の 職場での勤務経験がなかった)。着任後,デ ビッドは博物館の戦略的方針を提示し,ビジ ネス的な洞察力を高めることに焦点をあてた。 ファイン・アートの学位をもち,ワイカト博 物館でテ・アムワツ・ミュージアム・コレク ション長(the Te Awamutu Museum and Collections Manager)としての勤務経験を もつ彼はその地位にふさわしくかつ(彼が言 う)‘計画に基づく’戦略をとるための経験 を豊富にもっていた。 補助金の使途についてはいつも同意を得る のに困難をともなうが,博物館は営業活動に ついて地域の地区政府(the Local Territorial Authority LTA)から補助金を受けている。 使途は必ずしも固定資産税とは関係していな い(例えば,地区政府は石油税を支払ってく れた年度もある)。しかしデビッドの交渉に より,長期的な戦略を展開するために必要な 資金を今後3年間に渡って支給されることに なっている。これは将来補助金を確かに支給 されることの先例(“我々は減額されたくな い”)になったが,デビッド自身,当館は地 区政府からの補助金支給優先順位でみると依 然として低く位置づけられたままである,と 思っている。入館料金を徴収していないので, 当館は様々な方法を通じて所得を確保しなけ ればならない。 企業化活動 ショップ 博物館はつねに商業活動を展開しているが, それは‘流動的’である(ショップは蔑ろに され,機能は分解されていた)。現在,ショッ プも開設され,過去2年間にわたってかなり の所得を稼いでいる(2002/03年の概算予算 を既に22,000ドル上回っている)。ショップ を‘開設する’費用は地元のトラスト(the Southland Community Trust and Invercar-gill Licensing Trust)からの補助金で賄っ た。小売り販売を促進し,インバーカーギル に特徴的(“誰かが他でやっていることでは なく,我々は何か違ったことをやりたい”) な手工芸品の質を高めるという決定もされて いる。 施設の貸与 当館は様々な活動に使われる施設として貸 し出すことからも所得を稼ごうとしている (例えば,書籍の出版,企業広告を付けたイ ベント,悪天候を避けるための結婚式場)。 これまで料金についてはデビッド(評議会と 連携して)が設定してきた。施設としてみる と立地,規模と社会的地位(建築として意義 深い)からみて博物館の評判は高い。一方, 博物館は地域住民にも注目している―デビッ ドによると住民は博物館と何かで関係を持ち たいと思っているからである。 調査料金 この料金は所得額としてみると大きくはな い。しかし当館は系図,歴史書や収蔵品を多 く持っている。職員は調査活動をし,前館長 の在職中に決められた料金を徴収している。 長期にわたり,当館は地域のアーカイブ施設 (地区政府や図書館と提携して)を設置する ことを戦略事項として考えてきた。その調査 はサウスランド博物館によっておこなわれる ことになっている。所得を獲得する活動に加

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えて,当館は保管の困難な由緒ある古物の面 倒をみるサービスもしている。しかし,アー カイブ戦略は多くの点において‘当館の問題’ というよりもむしろ‘地域の問題’である。 そして当館と地域のニーズとを総合して評価 されるべきである。 マネジメント料金 当館はロビーに設置されている訪問者用の インフォメーションセンターから毎年リース 代金を受け取っている。これが設置されるま では当館の職員が営業時間,スタッフの手配, 維持管理などを担当していた。 フランチャイズ料金 同じくロビーに設置され,民間人が経営し ているカフェから毎年使用料金を徴収してい る。カフェはサウスランドが達成目標として いる‘博物館モール’構想の重要な一部を成 している。当館を訪問する人たちにとって実 際に博物館やアートギャラリーへ入館する前 にショップを楽しみかつカフェでお茶を飲む 機会があるということは重要なサービスであ る,とデビッドは考えている。よってカフェ は‘公的な顔’であるとともに所得源でもあ る。カフェに隣接して誰でも使えるインター ネットサービスがあり,訪問者は世界中どこ へでもアクセスすることができる。ターミナ ルを開設している根拠は入館者数を増やすと いうことと‘ワンストップ ショップ’を目 指しているからである。インフォメーション センターは既に訪問者のニーズを充たすよう な活動に着手している。 特別展示会 これまで当館は3つの特別展示会にのみ料 金を課してきた。入館料金については,地域 の社会・経済的な特徴からして無料にすべき であるという地域住民の意見が多い。デビッ ドは,入館料金は課すべきではないが評価の 高い展示会については課すべきである,とい う個人的な考えをもっている。こうした料金 については地域住民からの反対が強いが入館 者からは支持も受けつつある―“料金につい て説明をすると不平を言う者はいなかった”。 展示会 収蔵品を他館で展示することはほとんど実 施していない。なぜなら収蔵品の移動を管理 できる職員がいないからである。当館はこの 活動の強化を目指している。現在,そうした 展示会を任せられるよう職員を時間とお金を かけて育成中である。デビッドは,こうした 活動から博物館が信頼を築けば,巡回展示会 は将来所得―わずかな鑑賞料金であっても― を獲得するのに重要な役割をするものと信じ ている。こうした活動もサウスランド芸術協 会(The Southland Art Foundation)と連 携することにより促進できるであろう。 スポンサーシップ これからの所得は限られている。多くのス ポンサーシップは‘心遣いの一部であり,あ りがたいもの’として受け入れている。そう は言ってもこのスポンサーシップのおかげで 1990年には新しい施設を建設できた。この制 度についてはデビッドが責任を負っており, 彼は当館が信用のおけるビジネスであるとい う信認を受ければ,地域社会との間でもっと 多くのスポンサーシップが得られると考えて いる。 将来 企業化することを抑制するような文化(博 物館を企業としてみなさない強固な姿勢)と 活発に企業化を進めている現館長のもとで, 当館は‘企業家精神の緊迫状態’と呼ばれる ような時代を経験してきた。当館に長年勤務 している職員たちは当館を‘発展’させるの に必要な技能や現代的な問題を処理する能力

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に欠けてしまっている。デビッドは,これは 時間(訓練)とコストをかければ改善できる と信じている。最近,デビッドは何も助言を くれない地域住民の姿勢に打ち勝ち,ある重 要なポストにいた職員を更迭した。これによっ て職員たちの姿勢に変化が見られるようになっ た。 所得を獲得するためのアイデアは当館が目 指している‘サウスランド博物館モール’と いう考えを補っている。これらのアイデアに は年中無休(24時間・7日間営業)のカフェ, パーク風の景観をもっと活用すること,劇場 施設を持つことやインフォメーションセンター の機能を拡張すること(年中無休の営業)な どが含まれている。これは博物館を‘活動の 拠点’として位置づけ,博物館とその他の施 設に類似の役割をさせようとしているからで ある。 当館の館長としてまた企業化活動のリーダー として,デビッドはつねに新しい機会を探し ている(“脳みその活動を止めないで常に働 かせよう”)。彼はまた博物館がどこにでもあ る革新的な新しいアイデアに遭遇するために は‘自分たちの外側にある世界’をみる必要 があるとも言っている。

Ⅵ.アールデコ・トラスト

‘街それ自体がコレクション(収蔵品:建 物や街並み−訳者)’と呼ばれるような博物 館はそれほど多くない。しかし,アールデコ・ トラストについてはそうではない。トラスト と訪問者数はそれぞれ設立以来急速に成長し 増加してきた。この成長はネイピア市議会か らの補助金と連携して多くの政府系機関から の補助金によるところが大きい。最初の補助 金によって1992年にトラストは自分たちが入 居する建物を建設することができた。さらに 観光施設を充実するための補助金(the Tour-ism Facilities Grant Scheme)によって2000

年には増築することができた。これによって 訪問者数が増え,所得も増えたので訪問者用 (60%以上は海外からの旅行者)の宿泊施設 のスペースや不十分な営業予算(2000年には 健全な500,000ドル)を切り詰める必要がな くなった。他の補助金はネイピアの中心街を 史跡として認定したときや広報資料を出版す るときに役立った。政府からの補助金(クリ エーティブ・ニュージーランド)は毎年開催 されるアールデコ・ウィークエンドの開催期 間中のイベントや活動の範囲を広げる―入館 者数の増加により―のに役立った。これは結 果としてトラストが運営する売店や散策ガイ ドツアーからの売上げを増やすことにもつな がった。この収入はトラストの所得をさらに 増やし,地域社会を超えて,その存在感を誇 (注3) 示するための出版物の刊行にも使われた”。 我々は以前のリポート(注3の文献)で示 したように,アールデコ・トラストの特徴は そのコレクションにある。これはこの‘コレ クション’について‘語ること’それ自体が 所得を獲得する源泉になってきたということ である。結果として特別な活動というよりも ‘コレクション’全体が企業化できる要素に なっている。 背景 5人の有給職員と100人のボランティアが フルタイムで運営しているアールデコ・トラ ストは1992年の開設以来ネイピアのアールデ コ・アトラクションを守り,かつ呼び物とし てきた。その前の1985年からボランティア制 度は始められたが,そのときにはボランティ アはパートタイムで勤務していた。法人形態 (この形態であれば組織は基盤としてメンバー シップを持つことができる)をとるトラスト は館長(ロバート・マックレガー:Robert McGregor)と10∼12人のメンバーで構成さ れる評議会によって運営されている。当初, 評議会メンバーはトラストのボランティアを

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基準としており,何名かのビジネスマンもい た。しかし,ロバートによるとこうしたビジ ネスマンたちは真剣な関わり方をしてくれな い。なぜなら“彼らは会合の場所を念頭にお いていないし,彼らにとって会合は重要では あるがそれからは何も得られないからである。” ボランティアの情熱に比べれば,能力や経験 は必ずしも必要でない,とロバートはみてい る。 ロバートは1992年にトラストの館長に就任 したが(“それはトラストがプロフェッショ ナルな組織になった年でもある”),ネイピア 博物館の館長をしながら既に1985年からトラ ストと関わってきた。“我々は他館のモデル を見ることによってどうすれば良いかが理解 できる。世界の他の街には強力な伝統文化の 支持者(チャールストン:Charleston, サッ バナ:Savannah, サン・アントニオ:San Antonio のような)がいる。”これらの街は ネイピアの先例となりうるものばかりであり, 自分たちの企業化し易い特徴を活かして観光 市場を拡大してきた。 ロバートは自分自身を常識のある人間であ り,“博物館の人間としてよりももっと市場 志向的”である,と言っている。この市場志 向的というのは博物館の枠組みの中で甘やか されているだけではだめだ,ということであ る。“博物館の館長たちは資金を稼ぐための アイデアを持っているであろうが,彼らは旧 態依然とした商売っ気のない職員たちの強固 な反対にあっている。”ロバートは,このト ラストに関しては,そうした職員はほとんど おらず,‘活力のある’組織であると思って いる。ロバートは資金を稼ぐ可能性に興味も もっている(“恥じることはない”)。“なぜ非 営利団体が資金を稼ぐといけないのか,私に は理解できない。心を開くことが大切だ。そ れを考えるのに気取る必要はない。”彼はト ラストの設立に関係した人たちは全てこの姿 勢をもっており,この地域が高い評価を受け ることは観光客の呼び水にもなる,と考えて いる。“史跡そのものは自分に値札を付けな い。そこで我々がそこに値札をつけるのであ る。”トラストは‘ビジネス志向’になりつ つあるので,その発想に合わないようなボラ ンティアのガイドが辞職したこともあるが, 大抵の職員たちはロバートのリーダーシップ に賛同し,支援してくれている。我々はチラ シ広告“そのものにも価値があると判断して (つまり,これは製作費用が理由ではなくて 市場がそれを欲したからである)”1ドルか ら2.50ドルまでの価格帯で販売してきた。そ して散策ガイドについても料金を4ドルから 10ドルまで引上げた。 トラストはアールデコ関連産業ともっと提 携をするための戦略プランも持っている。所 得の獲得は戦略プランの一部である。戦略プ ランはその獲得に役立ってきた。例えば,プ ランの一部として認められた新しい物件には 高めの料金を設定し,それはさらなる所得を 生み出してくれている。 トラストの基盤であるボランティアも高齢 者や退職者が増えてきた。わずかに男性より も女性が多い。ロバートによると学校の教員 もまたかなり参加してくれている。ボランティ アを募ることは大変ではなかった。“人々は ボランティアになりたいと思っている。彼ら は訪問者を街へ追いやることがあるが―アー ルデコから追い出す必要はない”。今年20名 の新しいボランティアがトラストに加入して きた。この数は彼らがしてくれる貢献と彼ら を教育訓練(“かなり教育訓練することが必 要だ”)する両面からみて重要な人数である。 企業化活動 トラストの企業化を刺激するものはそのコ レクションの特徴と‘作品(建物−訳者)’ から得る感動である。作品は“偉大なものば かりである。それはユニークで感動を与えて くれるものばかりである。”ロバートは,人

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