学齢期小児のビタミン,ミネラル摂取状況に関する疫学的研究 : Goshiki Health Study
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(2) 学齢期小児のビタミン,ミネラル摂取状況に関する疫学的研究. 一Gosh止i Health Study一 教科・領域教育専攻. 生活・健康系コース. MO4279B 川下裕子 1.背景および目的. 2.調査方法. 現在目本では,生活習慣病の一次予防が重要な課題. 調査の内容は,血圧及び身体計測,臨床・生化学. となっている.学齢期小児についてみると,肥満者や高. 検査,栄養調査,問診及び運動能力・体力診断である.. 血圧者が増加するなど,生活習慣病の予備軍が増加し. ビタミン,ミネラル摂取量は,摂取した全食品の種類. ていることがわかる.生活習慣病の要因として食習慣が. と量の記録をもとに,五色栄養調査システムを使用し. 関与していることは明らかである.したがって,小児期か. て算出した.血圧は,1988年は水銀血圧計を,2003. ら食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけさ. 年は自動血圧計を用い,収縮期血圧と拡張期血圧を測. せることが重要であるといえる.その有効な手段として,. 定した.骨密度は,超音波骨密度測定装置を用い,右. 学校における健康教育の推進がある.しかし,現在,健. 足踵骨で測定した.血液検査は一夜空腹状態で肘静脈. 康教育を行うための科学的根拠にもとづいた基礎資料は. より採血を行い,日立生化学自動分析装置を用い,コ. 十分であるとはいえない.例えば,ビタミンCを大量摂取. レステロール値等を測定した.. すると下痢をするという報告もあるが,詳しいデータがな. 3.分析方法. いため,ビタミンCの上限量は設定されていない.そこで,. 以下の統計的分析には,Stat ViewVbr5(SAS. 学齢期小児の栄養摂取状況を明らかにすることと,栄養. InstituteInc)を使用し,有意水準は5%未満とした.. 摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連を明らかに. (1)栄養摂取状況の現状. することを目的とし,調査,分析を行った.また,近年,ビ. 2003年における1人1日あたりの栄養素等摂取量. タミン,ミネラルと生活習慣病との関連が指摘される. を,日本人の食事摂取基準(2005年版)を用いて評価し. ようになったため,特にビタミン,ミネラルの摂取状. た.また,1988年と2003年の栄養摂取状況を比較し. 況を中心に分析を行った.. た.比較した項目は,身体状況,栄養素等摂取状況(平. H.対象および方法. 均摂取量,食品群別摂取構成比,日本人の食事摂取基. 1.対象. 準による評価),食品群別平均摂取量である.平均値の. 兵庫県津名郡五色町では,生活習慣病の一次予防を. 目的としたGosh∬dHealthStudyを1984年から毎年実 施している.本研究では,GoshfId lHealth Study受診. 比較には,対応のないt検定を行った. (2)栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連. 2003年のデータをもとに,栄養摂取状況と骨密度,. 者のうち,1988年における小学5年生128名(男子69. 栄養摂取状況と肥満度について,それぞれの間で相関. 名,女子59名)と,1988年における小学5年生107名(男. 係数を求めた.また,栄養摂取状況と骨密度との関連. 子45名,女子62名)を対象とした.. には,対応のないt検定を行い,栄養摂取状況と肥満. 度との関連には,Kruskal・Wi曲の検定を行った..
(3) 皿.結果. 関が認められた.. 1.栄養摂取状況の現状. やせすぎ一やせぎみ群,標準群,ふとりぎみ肥満群. (1)目標量が設定されている栄養素. の3群間に有意な関連が認められたものは,女子では. 目標量の範囲外にある者の害ll合(%). 女子. 男子. 2003年. カルシウム. 81.2. 95.6. 96.6. 95.2. トリウム. 5.2. 1988年 6.3. 2003年 1.1. 1988年 2.3. 栄養素名. きのこ,海藻であった.. IV.考察およびまとめ. 1.栄養摂取状況の現状 カルシウムは男子女子ともに約90%の者が不足し. ※ナトリウムの目標量は食塩相当量. ていた.15年前と比べ,男子は増加している. (2)推定平均必要量が設定されている栄養素. 栄養素の不足者害恰 (%) 女子 男子 1988年. 33.3. 44.1. 32.3. 22.2. 10.2. 22.6. 0. 6.5. 5.1. 6.5. 13.3. 6.8. 11.1. 2003年. 6.5. 5.1. 14.5. 2003年. 8.9. 酬. 31.9 13. 2.9. 鉄. 0 1.4. ナイアシン. マグネシウム. 1988年. 3.2. ビタミンA ビタミンC. 4.4. 栄養素名. ナトリウムは男子女子ともに約95%の者が過剰に 摂取していた.15年前と比べ,増加している.. ビタミンCは,男子女子ともに約30%の者が不足し ていた.15年前と比べ,女子は減少している.. ナイアシンは男子女子ともに約20%の者が不足し ていた.15年前と比べ,増加している.. 2.栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連 栄養摂取状況と骨密度との関連では,カルシウムと. (3)目安量が設定されている栄養素. 男子中央値. 女子中央値. 栄養素名. 1988年 2003年. 1988年 2003年. ビタミンE(皿g). 7.3 6.5. 6.3 6。0. リン(皿9). 174 1145. 051 1076. リウム(㎎). 563 2339. 214 2187. 骨密度との間に有意な関連が認められた.このことと,. 大多数の学齢期小児のカルシウム摂取量が不足してい るという実態から,骨粗籟症予防のための対策を要す. る.例えば学校給食におけるカルシウム摂取基準値 を上げるなどの対策が必要である.そのためには,間. 2.栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連. 食時問を設け,牛乳・乳製品を摂取するようにするな. (1)栄養摂取状況と骨密度との関連 どの方法が考えられる.. 男子では,ナトリウム,豆類,海藻と骨密度との問 に有意な正の相関が認められた.. 低骨密度群に比べて高骨密度群の方が有意に高値 を示したものは,男子ではカルシウム,リン,牛乳・. 乳製品,海藻であった.女子ではビタミンA,野菜類 であった.逆に低骨密度群に比べて高骨密度群の方が 有意に低値を示したものは,男子では総エネルギーで. 栄養摂取状況と肥満度との関連では,一価不飽和脂 肪酸と肥満度,コレステロールと肥満度との問に有意 な関連が認められた.また,きのこと肥満度,海藻と. 肥満度との間にも有意な関連が認められた.このこと. と,1988年と2003年を比較して,肥満者が増加して いるという実態から,肥満予防のために脂質摂取量を. 抑える指導や,きのこや海藻などの食物繊維を多く含. あった.. む食品を摂取するよう指導する必要がある.例えば (2)栄養摂取状況と肥満度との関連. 男子では,一価不飽和脂肪酸,コレステロール,油. 脂類,卵と肥満度との間に有意な正の相関が認められ た.女子では,きのこと肥満度との問に有意な負の相. アメリカなどでは,既に行われていることだが,肥満. 者(または全員)に,低脂肪の牛乳を与える等の方法 が考えられる.. 主任指導教官(西岡伸紀).
(4) 〈学位論文〉. 学齢期小児のビタミン,.ミネラル摂取状況に関する疫学的研究 一 Goshiki Health Study一. 兵庫教育大学 学校教育研究科修士課程 教科・領域教育専攻 生活・健康系コース. MO4279B 川下 裕子.
(5) 目次. 第1章研究の背景・・・・・・・… 09’●。。。。。’”。’。。。●’●O D1 第1節 日本の疾病構造と生活習慣病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 1 第2節学齢期小児と生活習慣病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 2. 第2章目的・・・・… ●・・’o o●。●’’”●’●o●。。。●o。。。。3 第3章対象および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 4. 3. 血圧測定 ・・・・・・・・・・・・・・・・… ’●’●’●●●●’ 4. 骨密度測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 5. 血液検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 第3節 分析方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 5566. 第1節調査対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 4 第2節調査方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 5 1.栄養調査・・・・・・・・… 。.D9..。..。....。。.。。5 2. 身体計測 ・・・・・・・・・・… 9・… ●’o●●●●●。●。’5. 1. 栄養摂取状況の現状・・・・・・・・・… 9・・・・・・・・・… 6 (1)2003年の栄養摂取状況・・・・・・・・・・・・・・・・… 一・6 (2)栄養摂取状況の1988年と2003年の比較 ・・・・・・・・・・… 7 2.2003年の栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連・・・・・・… 7 (1)栄養摂取状況と骨密度との関連 ・ら・・・・・・・・・・・・・… 8 (2)栄養摂取状況と肥満度との関連・・・・・・・・・・・・・・・… 8 第4章結果 ・・… 9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 9. 第1節栄養摂取状況の現状・… 9・… D・・・・・・・・・・・・・… 9. (1)栄養摂取状況と骨密度との相関係数の検討・・・・・・・・・・・… (2)栄養摂取状況と骨密度との群間の比較・・・・・・・・・・・・・…. 2.栄養摂取状況と肥満度との関連・・・・・・・・・・・・・・・・・… (1)栄養摂取状況と肥満度との相関係数の検討・・・・・・・・・・… (2)栄養摂取状況と肥満度との群間の比較・・・・・・・・・・・・・… 第5章考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・… g・・・・・・・・・…. 8 19 19 19 19 10 20 20 22 22 2. 1.2003年の栄養摂取状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 9 (1)身体状況,血液検査値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 9 (2)エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物摂取量・・・・・・・・… 9 (3)ビタミン,ミネラル摂取量・・・・・・・・・・・・・・・・・… 10 2.栄養摂取状況の1988年と2003年の比較・・・・・・・・・・・・・… 11 (1)身体状況の比較・・・・・・・・・・・・・・・・… 99・… 11 (2)栄養素等摂取状況の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 12 (3)食品群別摂取量の比較・戸・・・・・・・・・・・・・・・・・… 第2節2003年の栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連・・・・・・… 1.栄養摂取状況と骨密度との関連・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 第1節栄養摂取状況の現状・・・・・・・・・… 。”●●●o●●●●o● 2003年の栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連・・・・・・… 25 第2節 栄養摂取状況と骨密度との関連・・・・・・・・・・・・・・・・・… 25 1. 栄養摂取状況と肥満度との関連・・・・・・・・・・・・・・・・・… 26 2.. 第6章結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・… 9・・の・・・・・・・・… 28. 引用参考文献・・・・・・・・… 9・・・・・… 9・・・・・・・・・・… 30. 謝辞 資料.
(6) 第1章 研究の背景 第1節 日本の疾病構造と生活習慣病 現在日本では,生活習慣病の一次予防が重要な課題となっている.日本人の死亡. 原因の推移をみると,昭和26年に脳血管疾患が結核に代わって第1位を占めるよ うになり,昭和33年には,脳血管疾患,悪性新生物,心臓病が死亡原因において 上位を占めるようになった・).現在では,脳血管疾患,悪性新生物,心臓病を合わ. せると死亡原因の6割を占めている.厚生労働省が行った平成14年の患者調査1) によると,医療機関で受診している疾患別患者数は,高血圧性疾患が699万人,糖. 尿病228万人,高脂血症139万人,脳血管疾患137万人,悪性新生物128万人と なっている.平成14年度の医療費は,悪性新生物2兆2171億円,高血圧性疾患1. 兆9551億円,脳血管疾患1兆7499億円,糖尿病1兆1250億円,虚血性心疾患 6963億円となっている.これらを合計すると全医療費の32%を占めている.死亡 原因,患者数,医療費の上位を占めているこれらの疾病は,すべて生活習慣病であ る.生活習慣病とは,食習慣,運動習慣,休養,喫煙,飲酒等の生活習慣が,その 発症・進行に関与する疾患群のことである2).主な疾患として,肥満症,糖尿病,. 高脂血症,高尿酸血症,高血圧症,虚血性心疾患,脳血管障害,骨粗霧症,歯周病 がある.生活習慣病は,食生活や身体活動,遺伝素因などが複雑に関与して発症す る.また,発症までに長い時間を要するという特徴がある.これまでに,成人を対. 象とした疫学的研究により,いくつかの生活習慣病の要因(危険因子と呼ぶ)が明 らかにされている3)4).主なものは,肥満,高コレステロール,高血圧,耐糖能異 常,家族歴保有,ストレス,飲酒,喫煙である. 生活習慣病は,疾病の早期発見,. 早期治療をめざす二次予防に重点をおいてきた従来の対策に加え,生活習慣の改善 をめざす一次予防を推進するために導入された概念である.一次予防は,ひとりひ とりが健康的な生活習慣を自分で確立することが基本となる.. 1.
(7) 第2節学齢期小児と生活習慣病 生活習慣病は,小児期から進行していることが報告されている.例えば, 18歳 までの肥満は,脂肪細胞の数が増えることにより起こり,それ以降の肥満は脂肪細 胞の数は変わらず,脂肪細胞自体の肥大により起こる5).つまり,脂肪細胞の数は. 18歳までに決定される.また,動脈硬化症の主たる危険因子といわれている血清総 コレステロール値は,小児期にその年齢層のなかで高値域にある者は,成長後も高 値域にとどまる確率が高いという現象(トラッキング現象)がみられる6).さらに,. 骨量は,10歳代の終わり頃に最大骨量に達するため,成人になってからは,増やす ことができない7).. 学齢期小児の健康状態の実態をみてみると,平成12年度の学校保健統計調査8) より,最近20年間で肥満傾向の者の割合が増加していることが,平成10年度の児 童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書9)より,女子において高血圧者が増加 し,男子女子ともに血清総コレステロール値が増加していることがわかる.つまり,. 生活習慣病予備軍の学齢期小児が,増加しているのである.この原因として,食習 慣が関与していることは明らかである.事実,近年,食習慣は,個々人のライフス タイルの多様化や外食産業の拡大などにより大きく変化し,栄養のアンバランスな 摂取,不適切なダイエット,欠食,孤食といった問題をもたらしている・・).平成14 年度の児童生徒の食事状況調査・・)においても,栄養素では,カルシウム,鉄,食物. 繊維の摂取不足,食品群では肉類など動物性食品の過剰摂取と,豆類,野菜類,果 実類,海草類など植物性食品の摂取不足が指摘されている.. 以上より,小児期から食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけさせる ことが重要であるといえる.. 2.
(8) 第2章 目的 前章において,生活習慣病予備軍の学齢期小児が増加しており,その原因の一つ に食習慣の関与があることを述べた.そして,小児期から食に関する正しい知識と. 望ましい食習慣を身につけさせることが重要であることを述べた.学齢期小児への. 対策としては,学校における健康教育の推進が有効である.しかし,健康教育を行 うための科学的根拠にもとづいた基礎資料は十分であるとはいえない.なぜなら, 「日本の栄養調査は,質問票を用いたものなどの簡易な調査法によるものが多い.」,. 「食事記録法などの精密な調査法によるものであっても,小集団を対象としたもの や,調査日数の短いものが多い.」,「栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連. についての研究は,日本では大学生や成人を対象にしたものが多く,学齢期小児を 対象とした研究は少ない.」といった実状であるからである.例えば,ビタミンCを大 量摂取すると下痢をするという報告もあるが,詳しいデータがないため,ビタミンCの上限量. は設定されていない・2).また,「健康づくりのための食環境整備に関する検討会報告. 書」においても,「栄養・食生活に関して,環境面から広範囲の人々に対して適切な. 対策を行うためには,それぞれの対策内容に関して,出来るだけわが国独自の科学 的根拠となるデータを蓄積していく必要がある.」としている・3).. そこで,以下のことを目的として研究を行った.. 1. 学齢期小児の栄養摂取状況の現状を明らかにすること 2. 学齢期小児の栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連を明らかにす ること. 近年,ビタミン,ミネラルと生活習慣病との関連が指摘されるようになった・4).. 例えば,カルシウムやマグネシウムと骨密度15)・6),ビタミンCやビタミンEと動 脈硬化症・7),カリウムやカルシウムと高血圧・8)などがある.そこで本研究では,特. にビタミン,ミネラルの摂取状況を中心に分析を行った.. 3.
(9) 第3章 対象および方法 第1節 調査対象. 本研究では,GoshikiHealth Study(以下参照)の受診者のうち,2003年におけ. る小学5年生107名(男子45名,女子62名)と,2003年の結果における課題をよ り明確にするため,その15年前の1988年における小学5年生128名(男子69名, 女子59名)を対象とした(表1).. Goshiki Health Study 兵庫県津名郡五色町(図1)では,1984年から学齢期小児を対象とした疫学調査 を毎年実施している.この調査は,日本の学齢期小児を対象とした疫学調査のなか. で,最も長期にわたって継続されているCommunity・basedStudyである.対象地 区の五色町は,淡路島西海岸に位置する人口約11,500人(男約5,500人,女約6,000. 人)の農業と漁業の町である.五色町では1969年から1974年にかけて脳出血,糖 尿病による死亡率が高く,その標準化死亡比は,それぞれ全国平均の約1.5倍,約 2倍であった・9).この対策として,1980年にr健康の町宣言」を行い,以後,行政, 医療機関,および教育機関が一体となった様々な事業が試みられている2・)2・).これ. らの事業の一環として1984年を予備調査,1985年を本調査初年度として始められ た児童生徒の健康実態調査を,GoshikiHealthStudyと呼んでいる。調査の目的は, 生活習慣病の一次予防である.調査の対象は,兵庫県津名郡五色町の都志,鮎原,. 広石,鳥飼,堺の5つの小学校と,五色中学校に通う児童生徒(10∼14歳:年齢. は4月1日現在の満年齢)である.このうち1985年から1995年までは10歳から 14歳までの児童生徒,1996年以降は10歳と13歳の児童生徒を調査対象としてい る.1985年から2005年までの受診者数および受診率を表2に示した.調査の内容 は,血圧および身体計測,血液検査,尿検査,骨密度測定,栄養調査,問診,およ. び運動能力・体力診断である(表3).調査の実施手順は,図2に示したとおりであ. る.はじめに,教育委員会,医師会,学校長,保健担当教諭,五色町健康課および. 兵庫教育大学研究班による合同会議を行い,次いで連合P TA役員会にはかって了 承を得ている.さらに学校ごとに事前説明会を開催し,受診対象者の保護者から調 査実施についての承諾を得ている.その後,栄養調査,健康診断を実施,分析し, 個人と保護者へ結果を報告している.. 4.
(10) 第2節 調査方法. GoshikiHealthStudyは,毎年7月上旬に各学校の体育館もしくは保健室に臨時 設置された検査場で午前8時から10時の間に実施した.項目ごとの調査方法を以 下に示す.. 1。栄養調査. いずれの年も7月上旬の土曜日,日曜日,月曜日の連続3日間に摂取した全食品 の種類と量を記録する方法(食事記録法)をとった.事前に保護者を対象とした説 明会を開き,実施についての了解を得るとともに,食事内容の記録の方法について 説明を行った.小学生の場合は,保護者が食物摂取調査票に記録した(図3).食事記. 録を行った数日以内に栄養士が各地区を訪問して,保護者に対する問診を行い,記 録内容を確認した.問診による確認には,実物大食品モデルおよびカラー写真を用 いた。確認後,栄養士が食事別,調査日別に集計表にまとめた.こうして得られた 記録を五色栄養調査システム22)に入力し,処理分析した. 五色栄養調査システムは,四訂日本食品標準成分表23),日本食品脂溶性成分表24),. 寺岡らによるマグネシウム等の成分表25),五訂日本食品標準成分表26)(亜鉛の食. 品成分値のみ)を用いた栄養価計算・評価システムである.本システムで分析でき. る食品成分の一覧を表4に示す.食品群の分類は表5に示す. 2.身体計測. TANITABODYFATANALYZER TBF−305,TBF・551(タニタ社)を用い,体重,体 脂肪率を測定した。. 3,血圧測定. 2003年は,自動血圧計OMRONHEM−904(オムロン社)を用い,収縮期血圧と拡 張期血圧を座位にて測定した.1988年は水銀血圧計を用い,収縮期血圧と拡張期血 圧を立位にて測定した.マンシェットにっいては,小児用マンシェットを用いた.. 4.骨密度測定 乾式超音波法骨評価装置AOS−100(ALOKA社)を用い,右足踵骨の超音波伝播速 度(mlsec)〔SOS:speed ofsound〕と透過指標〔TI:transmission index〕を測. 定し,音響的骨評価値〔OSI:osteosono・assessment〕を算出した.. 5.
(11) 5.血液検査. 一夜空腹状態で肘静脈より採血を行い,日立生化学自動分析装置736型(日立) を用い,コレステロールオキシダーゼ酵素法で測定した.. 第3節 分析方法. 1.栄養摂取状況の現状 (1)2003年の栄養摂取状況 2003年における1人1日あたりの栄養素等摂取量を,日本人の食事摂取基準(2005 年版)・2)を用いて評価した.検討した栄養素等は,エネルギー,たんぱく質,脂質,. 炭水化物,ビタミンA,ビタミンC,ビタミンE,ナイアシン,カルシウム,リン, 鉄,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,亜鉛である.日本人の食事摂取基準(2005 年版)・2)では,「エネルギー摂取量の評価は,基本的にはB M Iを用いて行う.つま. り,BMIが適切な範囲(18.5以上25.0未満)にあれば,エネルギー摂取量は概ね適. 切であると判断できる.」としている.しかし小児の場合は,BM Iの適切な範囲が. 決められていない.小児の肥満の判定には,カウプ指数,ローレル指数,肥満度,. 成長曲線,体脂肪量を用いる方法があるが,正確に小児の肥満を判定する統一した 基準は確立されていない.岡田,原田27)は,集団を対象として肥満の疑いのあるな. しを判定するには肥満度が適しているとしている.そのため,本研究では,肥満度. を使用した.肥満度は,標準体重に対する体重の実測値の増加分をパーセントで示 したものである.標準体重は,「健康日本21」を参考にし,日比式の標準体重算出. 式を使用した.比率の算出も「健康日本21」を参考にし,一20%未満をrやせす ぎ」,一20%以上一10%未満をrやせぎみ」,一10%以上10%未満をr標準」,10%以. 上20%未満を「ふとりぎみ」,20%以上を「肥満」と捉えることとした.たんぱく. 質エネルギー比率,炭水化物エネルギー比率の10歳児の食事摂取基準は策定され ていないため,「児童福祉施設における食事摂取基準を活用した食事計画について」. 28)の数値(たんぱく質エネルギー比率10%以上20%未満,炭水化物エネルギー比率 50%以上70%未満)を基準値とした.. 6.
(12) (2)栄養摂取状況の1988年と2003年の比較 1988年と2003年の栄養摂取状況がどのように変化したかについて比較した.比 較した項目は,身体状況(身長,体重,肥満度,収縮期血圧,拡張期血圧),栄養素 等(エネルギー,たんぱく質,脂質,コレステロール,炭水化物,.食物繊維,ビタ. ミンA,ビタミンC,ビタミンE,ナイアシン,カルシウム,リン,マグネシウム, ナトリウム,カリウム,鉄,亜鉛)摂取状況,食品群別(穀類,いも類,砂糖,菓 子類,油脂類,種実類,豆類,魚類,肉類,卵,牛乳・乳製品,野菜類,果実類,. きのこ,海藻,嗜好飲料類,調味料,加工品類)平均摂取量である.栄養素等摂取. 状況は,1人1日あたりの平均摂取量,食品群別摂取構成比,日本人の食事摂取基. 準(2005年版)による評価を比較した.データ解析には,Stat View,Ver5(SAS InstituteInc.)を使用し,対応のないt検定を行った.有意水準は5%未満とした.. 2.2003年の栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連 2003年のデータをもとに,生活習慣病の危険因子と考えられる2項目(骨密度, 肥満度)と栄養摂取状況との間で,それぞれ相関係数を求めた.また,骨密度,肥 満度をそれぞれ区分し,栄養摂取状況について群間比較を行った.栄養摂取状況と. 骨密度との関連には,骨密度を2群に分類したため,対応のないt検定を行った. 栄養摂取状況と肥満度との関連には,肥満度を3群に分類したため,:Kruska1−Wallis の検定を行った.なお,分類方法については,次ページに示す.データ解析には,Stat View,V6r5(SASlnstitutelnc.)を使用し,有意水準は5%未満とした.. 比較した栄養素等は,エネルギー,たんぱく質,脂質,コレステロール,飽和脂. 肪酸,一価不飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸,PIS比,炭水化物,食物繊維,ビタ ミンA,ピタミンC,ビタミンE,ナイアシン,カルシウム,リン,マグネシウム, ナトリウム,カリウム,鉄,亜鉛である.比較した食品群は,穀類,いも類,砂糖, 菓子類,油脂類,種実類,豆類,魚類,肉類,卵,牛乳・乳製品,野菜類,果実類, きのこ,海藻,嗜好飲料類,調味料,加工品類である.比較した身体状況は,身長,. 体重,体脂肪率,肥満度,収縮期血圧,拡張期血圧,骨密度である.比較した血液 検査値は,中性脂肪,総コレステロール,HDL一コレステロール,LDL+VLDL・コレ ステロール,動脈硬化指数である.. 栄養素摂取量と健康事象との関連を検討するための方法として,総エネルギー補 正済み値を用いた29).総エネルギーの補正にはいくつかの方法が提唱されているが. 7.
(13) 今回の解析では,多量栄養素には総エネルギーに占める割合(エネルギー比率:% E)を,その他の栄養素および食品群には総エネルギー1000kcalあたりの摂取量を用 いた。. (1)栄養摂取状況と骨密度との関連. 骨密度は,音響的骨評価値(OSI)の10歳の診断基準が確立されていないため, アロカ株式会社が示す10歳,男女別の音響的骨評価値(OSI)標準値30)(男子2.442. ±0.261,女子2.426±0.186)からZスコアを求め,Zスコア<100%とZスコア≧. 100%の2群に分類し,Zスコア<100%を低骨密度群,Zスコア≧100%を高骨密度. 群とした.本来,アロカ株式会社が示す9歳から18歳用の判定基準では,Zスコ. ア+2SD以上を高値,Zスコアー2SD以上+2SD未満を標準,Zスコアー2SD 未満を低値としている.しかし,本研究の対象者の場合,Zスコア+2SD以上の者 (男子1人,女子0人)とZスコアー2SD未満の者(男子2人,女子2人)の人数が少. なく検定にかけることができなかった。そこで判定基準をZスコア±1SDとし, 同様に分類してみたが,Zスコア+1SD以上の者(男子2人,女子1人)の人数が少 なく検定にかけることができなかった.そのため,Zスコア<100%とZスコア≧ 100%の2群に分類した.. (2)栄養摂取状況と肥満度との関連. 肥満度が一20%未満の者(男子0人,女子2人)と20%以上の者(男子5人,女 子3人)の割合が少なく検定にかけることができなかったため,肥満度一10%未満 (男子7人,女子21人),肥満度一10以上10%未満(男子29人,女子36人),肥. 満度10%以上(男子5人,女子6人)の3群に分類し,肥満度一10%未満をやせす ぎ・やせぎみ群,肥満度一10以上10%未満を標準群,肥満度10%以上をふとりぎみ ・肥満群とした..
(14) 第4章 結果 第1節 栄養摂取状況の現状 1.2003年の栄養摂取状況 身体状況,血液検査値,栄養摂取状況の平均値を表6・1∼6−3に示す.. (1)身体状況,血液検査値 平均身長は男子142.Ocm、(SD5.6,Max154.6,Min130.1),女子140.Ocm(SD 5.8,Max151.7,Min128.4)であった.平均体重は男子35。4kg(SD7.3,Max62.6,. Min24.8),女子32。1kg(SD5.2,Max47.0,Min21。2)であった・平均肥満度は 男子L7%(SD15.6,Max61.0,Min−18.7),女子一5.9%(SD11.2,Max44.1,. Min−24.7)であった.平均収縮期血圧は男子115.4mmHg(SD11.4,Max143。0,. Min84.0),女子112.OmmHg(SD10。6,Max142.0,Min91.0)であった,平均. 拡張期血圧は男子65.OmmHg(SD8.3,Max86。0,Min45.0),女子65.2mmHg (SD8.2,Max82.0,Min44。0)であった.平均骨評価値は男子2.358(SDO.219,. M段x3。071,Min1.870),女子2.308(SD O.136,Max2.672,Min2.008)であっ. た.平均血清総コレステロール値は男子171.5mg/dl(SD25.4,Max210.0,Min 95.0),女子17L2mg/d1(SD26.8,Max254.0,Min119.0)であった,. (2)エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物摂取量 2003年の栄養摂取状況を,日本人の食事摂取基準によって評価した結果を表7−1 に示す.. エネルギーの評価には,肥満度を用いた.肥満度一20%未満「やせすぎ」の者の 割合は男子o%,女子3.2%であった.肥満度一20%以上一10%未満「やせぎみjの 者の割合は男子15.6%,女子30.6%であった.肥満度一10%以上10%未満「標準」. の者の割合は男子64.4%,女子58.1%であった.肥満度10%以上20%未満を「ふと りぎみ」の者の割合は男子8.9%,女子3.2%であった.肥満度20%以上「肥満」の 者の割合は男子11.1%,女子4.8%であった.. 1人1日あたりのたんぱく質摂取量が推定平均必要量以下の者の割合は,男子 2.2%,女子0%であった.たんぱく質エネルギー比率が「児童福祉施設における食. 9.
(15) 事摂取基準を活用した食事計画にっいて」で示されている基準値の範囲外の者の割 合は,男子女子ともに0%であった. 脂肪エネルギー比率が目標量の範囲外の者の割合は,’男子31.1%(20%未満の者 6.7%,30%以上の者24.4%),女子27.4%(20%未満の者4。8%,30%以上の者22.6%) であった。. 炭水化物エネルギー比率が「児童福祉施設における食事摂取基準を活用した食事 計画について」で示されている基準値の範囲外の者の割合は,男子2。2%(50%未満 の者2.2%,70%以上の者0%),女子6.4%(50%未満の者4.8%,70%以上の者1.6%〉 であった.. (3)ピタミン,ミネラル摂取量 2003年の栄養摂取状況を,日本人の食事摂取基準によって評価した結果を表7・2 に示す.. ①目標量が設定されている栄養素(ナトリウム,カルシウム). 1人1日あたりのナトリウム摂取量が目標量を上回っていた者の割合は,男子 91.1%,女子95.2%であった.1人1日あたりのカルシウム摂取量が目標量に達 していなかった者の割合は,男子95.6%,女子95.2%であった.. ②推定平均必要量が設定されている栄養素. (ビタミンA,ビタミンC,ナイアシン,マグネシウム,鉄,亜鉛). 摂取量が推定平均必要量以下の者の割合は,不足者割合を表している.1人1 日あたりのビタミンA摂取量が推定平均必要量に達していなかった者の割合は,. 男子4.4%,女子3.2%であった.1人1日あたりのビタミンC摂取量が推定平均. 必要量に達していなかった者の割合は,男子33.3%,女子32.3%であった.1人 1日あたりのナイアシン摂取量が推定平均必要量に達していなかった者の割合は. 男子22.2%,女子22.6%であった.1人1日あたりのマグネシウム摂取量が推定 平均必要量に達していなかった者の割合は,男子11.1%,女子6.5%であった.1. 人1日あたりの鉄摂取量が推定平均必要量に達していなかった者の割合は,男子 13.3%,女子6.5%であった.1人1日あたりの亜鉛摂取量が推定平均必要量に達 していなかった者の割合は,男子8.9%,女子6.5%であった.. 10.
(16) ③目安量が設定されている栄養素(ビタミンE,リン,カリウム). 目安量が設定されている栄養素は,摂取量の中央値が目安量以上の場合は,不. 足者の割合は少ないと判断できる。1人1日あたりのビタミンE摂取量の中央値 は,男子女子ともに目安量未満であった.1人1日あたりのリン摂取量の中央値 は,女子では目安量以上であったが,男子でわずかに目安量未満であった.1人 1日あたりのカリウム摂取量の中央値は,男子女子ともに目安量以上であった.. ④上限量が設定されている栄養素(ビタミンA,ビタミンE,鉄) 習慣的な摂取量が上限量を上回っている者の割合は,過剰摂取による健康障害. のリスクをもっている者の割合を表している.1人1日あたりのビタミンA摂取 量が上限量を上回っている者の割合は,男子6.7%,女子4。8%であった.1人1 日あたりのビタミンE摂取量が上限量を上回っている者の割合は,男子女子とも に0%であった.1人1日あたりの鉄摂取量が上限量を上回っている者の割合は, 男子女子ともに0%であった.. 2.栄養摂取状況の1988年と2003年の比較 (1)身体状況の比較. 1988年と2003年の身体状況を比較した結果を表8に示す. 平均身長は,男子女子ともに有意に伸びていた(男子136.Ocmから142.Ocm, pく0.0001,女子137.6cmから140.Ocm,p<0.05).平均体重は,男子女子ともに 増加しており,男子では有意差が認められた’ 男子31。7kgから35.4kg,p<0.01,. 女子31.O kgから32.1kg).平均肥満度は,男子女子ともに低下していた(男子 3.1%から1.7%,女子一3.8%から一5。9%).平均収縮期血圧は,男子女子ともにほ. とんど変化がみられなかった(男子115.3mmHgから115.4mmHg,女子113.3 mmH:gから112。OmmH:g).平均拡張期血圧は,男子女子ともに有意に低下してい た(男子73.4mmH:9から65.OmmHg,P<0.0001,女子71。5mmH:9から65.2mmHg, P<0。0001)。. 11.
(17) (2)・栄養素等摂取状況の比較. 1988年と2003年の栄養素等摂取状況を比較した結果を表9−1∼9・6に示す.. ①エネルギー摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに増加しており,女子では有意差 が認められた(男子1991kcalから2102kca1,女子1889kca1から2015kca1,pく0.05). 体重1kgあたりのエネルギー摂取量でみると,男子女子ともに有意差は認められな かった(男子64.4kcal1体重kgから61.1kcal/体重kg,女子62.Okca1/体重kgか ら64。3kcal/体重kg).摂取エネルギーに占めるたんぱく質,脂質,炭水化物の構. 成比でみると,男子女子ともにたんぱく質エネルギー比率が有意に減少し(男子 15。4%から14.3%,pく0.01,女子14.g%から13.8%,pく0.01),炭水化物エネルギ. ー比率は有意に増加していた(男子54.5%から59.1%,p<0.0001,女子57.2%から 59.1%,pく0.05).脂肪エネルギー比率は男子では有意に減少し(28.3%から26.6%, pく0.05),女子では増加していた(26.0%から27.1%).. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに穀類からの摂取が約 40%を占めており,次いで牛乳・乳製品,肉類からの摂取が多かった.男子女子と もに穀類,菓子類,豆類からの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較には,肥満度を用いた.肥満度一20%未満rや せすぎ」の者の割合は,男子では両年ともに0%であった.女子ではほとんど変化 がなかった(3.4%から3.2%).肥満度一20%以上一10%未満「やせぎみ」の者の割 合は,男子女子ともに増加していた(男子2.9%から15.6%,女子28.8%から30.6%).. 肥満度一10%以上10%未満「標準」の者の割合は,男子では減少していた(76.8% から64。4%).女子ではわずかに増加していた(55。9%から58.1%).肥満度10%以. 上20%未満「ふとりぎみ」の者の割合は,男子女子ともに減少していた(男子14.4% から8.9%,女子8.5%から3.2%).肥満度20%以上「肥満」の者の割合は,男子女 子ともに増加していた(男子5.8%から11.1%,女子3.4%から4.8%).. ②たんぱく質摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともにほとんど変化がみられなかった (男子76。7gから74.9g,女子69.8gから69.2g).. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに穀類からの摂取が最も 多かった.次いで肉類,魚類からの摂取が多かった.しかし,男子女子ともに魚類,. 卵からの摂取が減少しており,特に女子では魚類からの摂取の減少が多く,肉類か. 12.
(18) らの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,1人1日あたりのたんぱく質摂取量が推 定平均必要量以下の者の割合(不足者割合)は,男子ではほとんど変化がなかった (1.4%から2.2%).女子では両年ともに0%であった.たんぱく質エネルギー比率. が基準値の範囲外の者の割合は,男子では10%未満の者は両年ともに0%であり, 20%以上の者はほとんど変化がなかった(1。4%から0%).女子では両年とも,10%. 未満の者,20%以上の者ともに0%であった.. ③脂質摂取状況の比較 1人1日あたりの平均摂取量は,男子では変化がなかった(両年ともに62.8g). 女子では有意に増加していた(54.8gから61.2g,pく0.05).PIS比は男子では有 意に増加しており(0.67から0。79,p<0.05),女子ではほとんど変化がなかった (0.75カ、ら0.77).. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに肉類,牛乳・乳製品か らの摂取が多く,次いで油脂類,卵からの摂取が多かった.男子女子ともに卵,牛. 乳・乳製品からの摂取が減少しており,菓子類,豆類,調味料からの摂取が増加し ていた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,脂肪エネルギー比率が目標量の範囲外の 者の割合は,男子では20%未満の者が増加しており(1.4%から6。7%),30%以上の. 者は減少していた(33.3%から24.4%).女子では20%未満の者が減少しており (10.2%から4。8%),30%以上の者は増加していた(16.9%から22.6%).. ④コレステロール摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに有意に減少していた(男子409mg から317mg,Pく0。0001,女子368mgから308mg,P<0.01). 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに卵からの摂取が約60% を占めていた.男子では卵からの摂取が減少し,魚類からの摂取が増加していた.. 女子では魚類と肉類からの摂取が減少し,卵と牛乳・乳製品からの摂取が増加して いた.. コレステロールの10歳児の食事摂取基準は策定されていない.. 13.
(19) ⑤炭水化物摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子とも,男子女子ともに有意に増加して いた(男子270.7gから29g.8g,p<0.05,女子270.2gから28g.Og,p<0.05)。. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに穀類からの摂取が約 60%を占めていた.男子女子ともにいも類,果実類からの摂取が減少しており,穀 類,菓子類からの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,炭水化物エネルギー比率が基準値の範囲 外の者の割合は,男子では50%未満の者が減少しており(14.5%から2。2%),70% 以上の者は両年ともに0%であった.女子では50%未満の者(5.1%から4。8%),70%. 以上の者(1.7%から1.6%)ともにほとんど変化がみられなかった.. ⑥食物繊維摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともにほとんど変化がみられなかった (男子10.Ogから9.7g,女子9.Ogから9.2g).. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに穀類と野菜類からの摂. 取がそれぞれ約30%を占めていた.2003年は男子女子ともに豆類からの摂取が増 加していた.. 食物繊維の10歳児の食事摂取基準は策定されていない.. ⑦ビタミンA摂取状況の比較 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに有意に減少していた(男子1307 μgREから749μgRE,Pく0.01,女子1458μgREから797μgRE,P<0.01). 食品群別摂取構成比でみると,1988年は男子女子ともに肉類からの摂取が約40%. を占めており,次いで野菜からの摂取が約30%を占めていた.2003年は男子女子 ともに野菜からの摂取が約60%を占めており,次いで牛乳・乳製品、卵からの摂取 が多かった.肉類からの摂取は男子女子ともに大きく減少していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,摂取量が推定平均必要量以下の者の割合 (不足者割合)は,男子女子ともに増加していた(男子0%から4.4%,女子0%か ら3.2%).摂取量が上限量を上回っている者の割合(過剰摂取者割合)は,男子女 子ともに減少していた(男子10.1%から6.7%,女子18.6%から4.8%).. 14.
(20) ⑧ビタミンC摂取状況の比較 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに有意に増加していた(男子90mg から115mg,p<0.05,女子83mgから111mg,p<0.01).. 食品群別摂取構成比でみると,1988年は男子女子ともに野菜類からの摂取が約 55%を占めており,次いで果実類からの摂取が約20%を占めていた.2003年は男 子女子ともに野菜類,果実類からの摂取が減少し,嗜好飲料類からの摂取が大きく 増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,摂取量が推定平均必要量以下の者の割合 (不足者割合)は,男子ではわずかに増加していた(31.9%から33.3%).女子では 減少していた(44.1%から32.3%).. ⑨ビタミンE摂取状況の比較 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに減少していた(男子7.5mgから 6.8mg,女子6。9mgから6.3mg).. 食品群別摂取構成比でみると,男子女子ともに穀類,牛乳・乳製品,野菜類,果 実類からの摂取が減少し,豆類,調味料からの摂取が増加していた.男子では魚類 からの摂取も増加していた.女子では油脂類からの摂取も増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,両年とも,男子女子ともに摂取量の中央 値が目安量未満であった(男子1988年7.3mg,2003年6.5mg,女子1988年6.3mg, 2003年6.Omg)。摂取量が上限量を上回っている者の割合(過剰摂取者割合)は,. 両年とも,男子女子ともに0%であった.. ⑩ナイアシン摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに減少しており,女子では有意差 が認められた(男子14。8mgから13.9mg,女子13.7mgから12.6mg,Pく0.05).. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに魚類と肉類からの摂取 がそれぞれ約30%を占めていた.次いで穀類からの摂取が多かった.男子女子とも に魚類からの摂取が減少しており,肉類からの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による評価の比較では,摂取量が推定平均必要量以下の者 の割合(不足者割合)は,男子女子ともに増加していた(男子13.0%から22.2%, 女子10.2%から22.6%).. 15.
(21) ⑪カルシウム摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子では減少し(636mgから590mg),女子で は増加していた(532mgから558mg). 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに牛乳・乳製品からの摂 取が約45%を占めていた.男子女子ともに牛乳・乳製品,野菜類からの摂取が減少 しており,豆類,海藻からの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,目標量に達していない者の割合(不足者 割合)は,男子で増加しており(81.2%から95.6%)、女子ではほとんど変化がなか った(96.6%から95.2%).. ⑫リン摂取状況の比較 1人1日あたりの平均摂取量は,男子ではわずかに減少し(1175mgから1140mg),. 女子ではわずかに増加していた(1060mgから1066mg). 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに牛乳・乳製品,穀類か らの摂取がそれぞれ約20%ずつ占めていた.次いで魚類,肉類からの摂取が多かっ. た.男子では卵,牛乳・乳製品からの摂取が減少し,穀類,菓子類,豆類からの摂. 取が増加していた.女子では魚類,卵からの摂取が減少し,菓子類,豆類,調味料 からの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,1988年は男子女子ともに摂取量の中央値 が目安量以上であったが,2003年は男子で摂取量の中央値が,わずかに目安量未満. であった(男子1988年1174mg,2003年1145mg,女子1988年1051mg,2003 年1076mg).. ⑬マグネシウム摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに有意に減少していた(男子343mg から268mg,pく0.01,女子294mgから260mg,p<0.01). 食品群別摂取構成比でみると,1988年は穀類からの摂取割合が,男子8。3%,女 子23。2%と性差がみられた.2003年は男子女子ともに穀類からの摂取が増加し,約. 30%を占めていた.次いで野菜類,牛乳・乳製品からの摂取が多かった.しかし男 子女子ともに,野菜類からの摂取が減少していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,摂取量が推定平均必要量以下の者の割合 (不足者割合)は,男子女子ともに増加していた(男子1。4%から11.1%,女子5.1% カ、ら6.5%).. 16.
(22) ⑭ナトリウム摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに有意に増加していた(男子3974mg から4560mg,Pく0.05,女子3703mgから4370mg,P<0.01)。. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに調味料からの摂取が約 50%を占めていた。. 日本人の食事摂取基準による比較では,目標量を上回っている者の割合(過剰摂 取者割合)は,男子女子ともに増加していた(男子62.3%から91.1%,女子76.3% カ、ら 95。2%).. ⑮カリウム摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに減少していた(男子2568mgから. 2385mg,女子2292mgから2256mg)。 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに野菜類からの摂取が約 20%を占めていた.次いで牛乳・乳製品,穀類からの摂取が多かった.女子では野 菜類,魚類からの摂取が減少し,穀類,菓子類からの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,両年とも,男子女子ともに摂取量の中央. 値が目安量以上であった(男子1988年2563mg,2003年2339mg,女子1988年 2214mg,2003年2187mg). ⑯鉄摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子女子ともに増加しており,女子では有意差 が認められた(男子9.5mgから10。Omg,女子8.8mgから9.6mg,pく0.05).. 食品群別摂取構成比でみると,1988年は男子女子ともに肉類,野菜類からの摂取. がそれぞれ約15%を占めており最も多かった.2003年は男子女子ともに肉類から の摂取が減少し,穀類,豆類からの摂取が増加していた.女子では海藻からの摂取 も増加していた.. 日本人の食事摂取基準による評価の比較では,摂取量が推定平均必要量以下の者 の割合(不足者割合)が,男子女子ともに減少していた(男子14.5%から13.3%, 女子6.8%から6。5%).摂取量が上限量を上回っている者の割合(過剰摂取者割合). は,両年とも,男子女子ともに0%であった.. 17.
(23) ⑰亜鉛摂取状況の比較. 1人1日あたりの平均摂取量は,男子ではわずかに減少しており(9.2mgから 9.1mg),女子ではわずかに増加していた(8.3mgから8.6mg).. 食品群別摂取構成比でみると,両年とも,男子女子ともに穀類からの摂取が最も 多く,次いで肉類,牛乳・乳製品からの摂取が多かった.男子女子ともに豆類,卵,. 野菜類からの摂取が減少し,穀類からの摂取が増加していた.. 日本人の食事摂取基準による比較では,摂取量が推定平均必要量以下の者の割合 (不足者割合)が,男子女子ともに増加していた(男子2.9%から8.9%,女子5.1% カ、ら6。5%).. (3)食品群別摂取量の比較 1988年と2003年の食品群別摂取量を比較した結果を表10・1と10・2に示す. 一人一日あたりの平均摂取量が増加していたものは,男子女子ともに穀類(男子 373gから448g,p<0.05,女子349gから411g,pく0.05),菓子類(男子33gから67g, p<0.01,女子12gから10g,p<0.01),豆類(男子40gから50g,女子43gから46g), きのこ(男子3gから9g,pく0.01,女子1gから6g,pく0.01),海藻(男子5gから10g,. pく0.01,女子5gから13g,p<0。01),嗜好飲料類(男子47gから195g,pく0.01,. 女子53gから203g,p<0.01),調味料(男子43gから53g,pく0.01,女子40gから 52g,p<0.01),加工品類(男子9gから23g,pく0。01,女子8gから14g),男子の 種実類(1.1gから1.4g),女子の油脂類(8.8gから9.4g)肉類(70gから80g),. 牛乳・乳製品(256gから269g)であった.このうち有意差が認められたものは, 男子女子ともに穀類,菓子類,きのこ,海藻,嗜好飲料類,調味料,男子の加工品 類であった.. 逆に一人一日あたりの平均摂取量が減少していたものは,男子女子ともにいも類. (男子53gから42g,女子45gから41g),砂糖(男子9。9gから8.9g,女子12.Og から10.Og,p<0.01),魚類(男子67gから65g,女子71gから46g,pく0。01),. 卵(男子56gから41g,p<0.01女子49gから39g,p<0.05),野菜類(男子226gか. ら194g,女子231gから182g,pく0.01),果実類(男子139gから103g,女子138g から82g,pく0.01),男子の油脂類(10.6gから9.Og),肉類(86gから79g),牛乳・. 乳製品(343gから267g,pく0.01),女子の種実類(1.4gから1.3g)であった.こ. のうち有意差が認められたものは,男子女子ともに卵,男子の牛乳・乳製品,女子 の砂糖,魚類,野菜類,果実類であった.. 18.
(24) 第2節 2003年の栄養摂取状況と生活習慣病の危険因子との関連 1. 栄養摂取状況と骨密度との関連 (1)栄養摂取状況と骨密度との相関係数の検討 栄養摂取状況と骨密度との間の相関係数を表11,相関図を図4−1∼4−2に示す. 男子では,ナトリウム(p<0.05),豆類(pく0.05),海藻(p<0.05)と骨密度との 問に有意な正の相関が認められた.女子では,身長(p<0.01),,体重(p<0。01),体. 脂肪率(p<0.01),肥満度(pく0.05),収縮期血圧(pく0.05)と骨密度との間に有意. な正の相関が認められた.. (2)栄養摂取状況と骨密度との群間比較 骨密度により区分した2群比較の結果を表12−1∼12−6に示す. 対象の骨評価値の平均値は,男子2.358±0.219,女子2.308±0.136であった. 各群の平均値は,男子低骨密度群2.253±0.152,男子高骨密度群2.589±0.161,女. 子低骨密度群2.255±0。095,女子高骨密度群2.507±0.066であった.骨密度と身. 体状況,血液検査値との間に,男子女子ともに有意な関連は認められなかった.有 意な関連は認められなかったが,男子では身長,体重,体脂肪率,肥満度が,低骨 密度群に比べて高骨密度群の方が低い値を示した.女子では男子とは逆に身長,体 重,体脂肪率,肥満度が,低骨密度群に比べて高骨密度群の方が高い値を示した.. ①栄養素等摂取状況と骨密度との関連 低骨密度群に比べて高骨密度群の方が有意に高い値を示したものは,男子ではカ ルシウム(Pく0.01),リン(P<0.05)であった.女子ではビタミンA(Pく0.05)で. あった.有意な関連は認められなかったが,男子ではビタミンC,マグネシウム, 食物繊維が,女子ではカルシウム,カリウム,マグネシウム,鉄,コレステロール が,低骨密度群に比べて高骨密度群の方が高い値を示した.逆に低骨密度群に比べ て高骨密度群の方が有意に低い値を示したものは,男子では総エネルギー(p<0.05). であった.有意な関連は認められなかったが,男子では脂質,一価不飽和脂肪酸が,. 女子では脂質が,低骨密度群に比べて高骨密度群の方が低い値を示した.. 19.
(25) ②食品群別摂取状況と骨密度との関連. 低骨密度群に比べて高骨密度群の方が有意に高い値を示したものは,男子では牛 乳・乳製品(pく0.05),海藻(p<0。05)であった・女子では野菜類(pく0.05)であ. った.有意な関連は認められなかったが,男子では豆類,果実類が,女子では豆類,. 牛乳・乳製品が,低骨密度群に比べて高骨密度群の方が高い値を示した.逆に男子 では加工品類が,女子では果実類,嗜好飲料類が,低骨密度群に比べて高骨密度群 の方が低い値を示した.. 2.栄養摂取状況と肥満度との関連. (1)栄養摂取状況と肥満度との相関係数の検討. 栄養摂取状況と肥満度との間の相関係数を表11,相関図を図5−1∼5−4に示す. 男子では,一価不飽和脂肪酸(pく0.05〉,コレステロール(p<0.01),油脂類(p<0.05),. 卵(p<0.01),体重(pく0.0001),体脂肪率(p<0.0001),動脈硬化指数(p<0.05). と肥満度との間に有意な正の相関が認められ,HDL一コレステロール(p<0.05)と. 肥満度との間に有意な負の相関が認められた.女子では,体重(pく0.0001),体脂 肪率(pく0.0001),収縮期血圧(p<0.01),中性脂肪(p<0.01)と肥満度との間に有. 意な正の相関が認められ,きのこ(pく0.05),HDL・コレステロール(pく0.0001)と. 肥満度との間に有意な負の相関が認められた.. (2)栄養摂取状況と肥満度との群間比較 肥満度により区分した3群比較の結果を表13−1∼13−6に示す. 対象の肥満度の平均値は,男子1.7±15.6,女子一5.9±11.2であった.各群の平 均値は,男子やせすぎ一やせぎみ群一14.1±3.7,標準群一2.2±4.8,ふとりぎみ・肥 満群26。6±16。8,女子やせすぎ・やせぎみ群一15.2±3。8,標準群一4。4±4.8,ふと. りぎみ一肥満群22。2±13.6であった.肥満度と身体状況,血液検査値との関連をみ. ると,3群間で有意な関連が認められたものは,男子では身長(p<0.05),体重 (P<0。01),体脂肪率(P<0.01),HDL一コレステロール(P<0.05)であった。女子 では体重(p<0.01),体脂肪率(pく0.0001),中性脂肪(pく0.05)であった.. 20.
(26) ①栄養素等摂取量と肥満度との関連 やせすぎ・やせぎみ群,標準群,ふとりぎみ一肥満群の3群間に有意な関連が認め られたものは,男子女子ともになかった.. ②食品群別摂取量と肥満度との関連 やせすぎ・やせぎみ群,標準群,ふとりぎみ・肥満群の3群間に有意な関連が認め られたものは,女子ではきのこ(pく0.05),海藻(pく0.05)であった。. 21.
(27) 第5章 考察 第1節 栄養摂取状況の現状 2003年の栄養摂取状況と,栄養摂取状況の1988年と2003年の比較をあわせて 考察する.. エネルギー平均摂取量は,男子女子ともに増加していたが,身長,体重も増加し. ているため,体重1kgあたりのエネルギー摂取量は,男子女子ともにほとんど変化 がなかった.日本人の食事摂取基準による評価では,2003年の肥満度一20%以上一 10%未満「やせぎみ」の者の割合は,男子では約15%,女子では約30%であった.. 15年前と比べると,男子女子ともに増加していた.また,2003年の肥満度20%以. 上「肥満」の者の割合は,男子では約10%,女子では約5%であった.15年前と比 べると,男子女子ともに増加していた.このことから,やせと肥満の二極化が進ん でいるのぞはないかと考えられる.そのため,適正体重を維持する指導が必要であ る.. たんぱく質の2003年の不足者割合は,男子では約2%,女子では0%であった. このことから,不足の心配はないといえる.. 脂質の2003年の目標値の上限を超えている者の割合は,男子女子ともに約25% であった.15年前と比べると,男子は減少しているものの,依然,割合は高い.女 子では増加していた.このことから,脂質摂取量を控える指導が必要である. 炭水化物の2003年の基準値の下限を下まわっている者の割合は,男子では約2%,. 女子では約5%であった.15年前と比べると,男子では減少しているため,望まし い傾向にあるといえる.. ビタミンAは,日間変動が大きい栄養素であるため,3日間の食事調査では習慣 的な摂取量を把握することが難しいといわれている3・).ビタミンAの過剰摂取者割. 合が,1988年では男子約10%,女子約20%と多いが,これは1988年の学校給食に レバーが使用されていることが影響していると考えられる.そのため,考察は行わ ない.. ビタミンCの2003年の不足者割合は,男子女子ともに約30%であった.15年前 と比べると,女子『. は減少しているものの,依然,不足者割合は高い.平均摂取量. は,男子女子ともに増加していたが,不足者割合も,男子では増加していた.この ことから,男子では摂取量が多い者と,少ない者の差が大きくなっているのではな. 22.
(28) いかと考えられる.また,食品群別摂取構成比をみると,男子女子ともに嗜好飲料 類からの摂取が大幅に増加しており,野菜類や果実類からの摂取が減少していた.. 嗜好飲料類には砂糖が多く含まれている.一方,野菜類と果実類にはビタミンC以 外のビタミン,ミネラルが多く含まれている.男子女子ともに,野菜類と果実類の 平均摂取量は減少していることから,野菜類と果実類の摂取量を増やす指導が必要 だと考えられる.. ビタミンEは,両年ともに中央値が目安量未満であり,さらに平均摂取量は男子 女子ともに減少していた.そのため,中央値が目安量になるよう,摂取量を増やす. 必要がある.ビタミンEは,コレステロール低下作用,抗酸化作用,抗血栓作用, 免疫増強作用がある.ビタミンEは種実類,野菜類,植物油に多く含まれている. 脂肪エネルギー比率をみると,目標量の上限を超えている者の割合が,男子女子と もに20%以上いるため,油脂類の摂取は増やさず,種実類,野菜類の摂取量を増や す必要があると考えられる.. ナイアシンの2003年の不足者割合は,男子女子ともに約20%であった.15年前 と比べると,男子女子ともに増加していた.これは,摂取源となっている魚類の摂. 取量が減少しているためだと考えられる.このことから,魚類の摂取量を増やす必 要があると考えられる.. カルシウムの2003年の不足者割合は,男子女子ともに約95%であった.15年前 と比べると,男子では増加していた.これは男子の牛乳・乳製品摂取量が有意に減 少しているためだと考えられる。カルシウムは骨密度と関連炉あるとされており,. 本研究においても,カルシウムと骨密度との関連が認められた.従来,骨密度は20 ∼30歳代で最大骨量に達すると言われている32)が,最近ではもっと早い10歳代の 終わり頃に獲得するという意見が主流を占めている33).広田7)は,5年間にわたる. 骨量測定の結果,骨量の上昇は女子では10∼14歳まで観察され,14,15歳で最高 値を示し,男子ではもう少し後に最高値を示す.そのため,特に女子では思春期の 早い時期に骨量を高めておくことが,骨粗霧症予防には重要だと報告している.こ のことから,なるべく早い時期から,カルシウム摂取量を増やす指導を強調してい く必要があると考えられる.男子と女子を比較すると,日本人の食事摂取基準の目 標値は男子女子ともに同量であるが,女子の方が平均摂取量が少なかった.また,. カルシウム摂取量の分布を見てみると,男子では600∼700mg摂取している者が 37.8%と最も多く,女子では400∼500mg摂取している者が25.8%で最も多かった.. 以上のことから,特に女子の摂取量を増やす手立てを考えていく必要があると考え られる.. 23.
(29) マグネシウムの2003年の不足者割合は,男子では約10%,女子では約7%であっ た.15年前と比べると,男子では増加していた.これは,摂取源となっている牛乳・. 乳製品や野菜類の摂取量が減少しているためだと考えられる.マグネシウムの約50 ∼60%は骨に貯蔵されている.本研究では,マグネシウムと骨密度の関連について は,明らかにすることはできなかったが,マグネシウムと骨密度に関連があるとい う報告がある・5).. ナトリウムの2003年あ過剰摂取者割合は,男子女子ともに約90%であった.15 年前と比べると,男子女子ともに増加していた.成人を対象とした多くの疫学調査 で,ナトリウムと血圧の関係が指摘されている34).過剰摂取者割合が,大幅に増加. していたにもかかわらず,身体状況を比較した結果では,拡張期血圧が男子女子と. もに有意に低下していた.これは1988年と2003年では,血圧の測定方法が異なっ ているためではないかと考えられる.ナトリウムの食品群別摂取構成比をみると,. 男子女子ともに5割以上が調味料からであった.このことから,調味料摂取量を減 らす指導が必要だと考えられる.. カリウムは,両年ともに摂取量の中央値が目安量以上であったため,不足の心配 は少ないといえる.本研究では,カリウムと骨密度との関連については,明らかに することができなかったが,カリウムは骨密度に関連があるといわれている・5)・6).. また,カリウムには,ナトリウムを体外に排泄する働きがある.男子女子ともにナ トリウムの過剰摂取者割合が高いため,カリウム摂取量を増やす必要があると考え. られる.カリウムの食品群別摂取構成比をみると,男子女子ともに野菜類からの摂. 取が最も多かった.野菜類の摂取量は,男子女子ともに減少していた.このことか ら,野菜摂取量を増やす指導が必要であるといえる.. 亜鉛の2003年の不足者割合は,男子では約9%,女子では約7%であった.15年 前と比べると,男子では増加していた.亜鉛は,1999年の第六次改定日本人の栄養 所要量で所要量が策定され,2000年の五訂食品成分表で調理加工食品を除く全ての 食品で成分値が公表された.そのため,学齢期小児の摂取状況に関する研究は少な い.また,欠乏症として,成長障害,味覚障害免疫低下が明らかになっており,学. 齢期小児からその摂取に配慮する必要があるとして,2003年5月改訂の学校給食 実施基準に目標値として位置づけられた栄養素である.今回の結果より,不足者割 合は少ないといえる.しかし,男子では不足者割合が増加していることから,注意 が必要であるといえる.亜鉛は,魚介類や肉類に多く含まれる栄養素である.しか し,食品群別摂取構成比をみると,男子女子ともに穀類からの摂取が最も多かった.. 成人を対象とした研究でも,穀類である米からの摂取が最多であったと報告されて. 24.
図
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