ウシミオグロビン特異的抗体を用いた食品中の牛肉
タンパク質の評価法に関する研究
著者
琴浦 聡
内容記述
学位授与大学: Osaka Prefecture University(大阪
府立大学), 学位の種類: 博士(獣医学), 学位記番
号: 論獣第163号, 学位授与年月日: 2012-02-20,
指導教員: 小崎俊司.
大 阪 府 立 大 学 博 士 (獣 医 学 )学 位 論 文
ウシミオグロビン特 異 的 抗 体 を用 いた食 品 中 の
牛 肉 タンパク質 の評 価 法 に関 する研 究
琴 浦 聡
目 次 緒 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 第 1 章 ウシミオグロビンに特 異 的 なポリクローナル抗 体 を用 いたサンドイッチ E L I S A の 構 築 Ⅰ 緒 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 Ⅱ 材 料 及 び方 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 Ⅲ 結 果 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 Ⅳ 考 察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 第 2 章 ウシミオグロビンに特 異 的 なモノクローナル抗 体 を用 いたサンドイッチ E L I S A の 構 築 Ⅰ 緒 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 Ⅱ 材 料 及 び方 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 Ⅲ 結 果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 Ⅳ 考 察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
第 3 章 mAb-ELISA を用 いた市 販 加 工 食 品 からの牛 肉 タンパク質 の検 出 Ⅰ 緒 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・・・26 Ⅱ 材 料 及 び方 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・27 Ⅲ 結 果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・29 Ⅳ 考 察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・・・・・・・・・30 総 合 考 察 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・33 結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・・・・・・・・・37 図 表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・38 謝 辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・57 参 考 文 献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・58
緒 論 食 物 アレ ルギ ー患 者 数 の 増 加 と 共 に 、ア レルギ ー性 のタ ンパ ク 質 (アレルゲン ) を含 む食 品 の 誤 っ た 摂 取 によっ て誘 発 さ れ る健 康 被 害 が、世 界 的 に報 告 されて いる[8, 11, 53, 57]。このような食 品 事 故 を未 然 に防 止 するためには、食 品 中 の アレルゲンの存 在 を 正 し く消 費 者 に伝 え る 適 切 な表 示 が 重 要 である。 2000 年 に は厚 生 労 働 省 は健 康 被 害 を 引 き起 こす恐 れのある食 品 24 品 目 を指 定 し、アレ ルゲンを 含 む加 工 食 品 に係 る表 示 制 度 を 通 知 した 。 24 品 目 の中 で、特 に症 例 数 が 多 く 、 重 篤 度 の 高 い 5 品 目 (卵 、牛 乳 、 小 麦 、そば、落 花 生 )につ いては 、 200 1 年 か ら 特 定 原 材 料 とし て 表 示 を 義 務 付 け た 。 そ れぞ れ のアレ ル ゲン を 食 品 から検 出 する方 法 として 、日 本 ハム㈱およ び㈱森 永 生 科 学 研 究 所 において 特 異
的 抗 体 を 利 用 し た 酵 素 免 疫 測 定 法 ( enz yme-linked immunosorbent assay;
E LIS A ) が 開 発 、 標 準 化 さ れ 、 製 品 化 さ れ た ア レ ル ゲ ン 検 査 キ ッ ト が 公 定 法 と し て通 知 された[37, 55]。残 りの 19 品 目 (あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、か に 、 キ ウ イ フ ル ー ツ 、 牛 肉 、 く る み 、 さ け 、 さ ば 、 大 豆 、 鶏 肉 、 豚 肉 、 ま つ た け 、 も も 、 やま いも 、りん ご 、ゼ ラ チン )は 特 定 原 材 料 に準 ず るもの (表 示 推 奨 品 目 )とし て設 定 され、表 示 は製 品 業 者 の 任 意 とされ た 。現 行 の制 度 は 1999 年 に実 施 された 即 時 型 アレルギー症 例 調 査 (症 例 数 1420 件 )[6]に基 づいているが、その後 の症 例 調 査 の 進 捗 に よ り 必 要 に 応 じ て 制 度 改 正 さ れ 、 そ の 他 の 食 品 が 表 示 推 奨 品 目 に 追 加 (2004 年 バナナが追 加 )されたり、表 示 推 奨 品 目 が表 示 義 務 品 目 に
指 定 された 事 例 も ある(2008 年 えび・かにが特 定 原 材 料 に指 定 )。厚 生 労 働 省 は 、 表 示 推 奨 品 目 を 表 示 義 務 化 す る こ と を 視 野 に 入 れ て 、 そ の 前 提 と し て 対 象 と な る 品 目 に 対 す る ア レ ル ゲ ン 検 査 方 法 を 確 立 、 評 価 お よ び 、 標 準 化 す る た め の プ ロ ジ ェ ク ト を 発 足 さ せ ( 食 品 の 安 心 安 全 確 保 推 進 研 究 事 業 「 食 品 中 に 含 ま れ る ア レ ル ギ ー 物 質 の 検 査 法 開 発 に 関 す る 研 究 」 ) 、 症 例 数 が 多 く 緊 急 性 の 高 い 表 示 推 奨 品 目 か ら 順 に 検 討 を 開 始 し て い る 。 当 該 プ ロ ジ ェ ク ト の 成 果 と し て 、 特 定 原 材 料 表 示 と な っ た え び・か に の アレ ルゲ ン検 査 方 法 が 標 準 化 さ れ た 公 定 法 として通 知 され ている[47, 48]。 牛 肉 や 牛 肉 を 原 料 と し た ソ ー セ ー ジ 、 ハ ン バ ー グ 、 ミ ー ト ソ ー ス な ど の 牛 肉 加 工 食 品 は 世 界 中 で 生 産 ・ 消 費 さ れ て い る 。 牛 肉 ア レ ル ギ ー に 関 す る 研 究 は い く つか報 告 されている が[9, 23, 43, 44, 45]、食 品 アレルギー患 者 全 体 に占 める牛 肉 アレルギー患 者 数 は尐 なく、 Werfel は子 供 のアレルギー患 者 335 名 のうち 11 名 (3.3%)が牛 肉 に対 してアレルギー症 状 を示 した ことを報 告 している[60]。日 本 で の 即 時 型 ア レ ル ギ ー 症 例 調 査 に お い て も [6] 、 調 査 し た 食 物 ア レ ル ギ ー 患 者 の中 で肉 類 を 喫 食 することでアレルギーを 発 症 した 経 験 のある患 者 は 約 2%であ っ た 。 患 者 数 は 尐 な い が 、 患 者 の 安 心 で 安 全 な 食 生 活 を 保 証 す る た め 、 肉 類 ( 牛 肉 、 豚 肉 、 鶏 肉 ) は 表 示 推 奨 品 目 と し て 指 定 さ れ た 。 肉 類 の 中 で 牛 肉 は 豚 肉 、 鶏 肉 、 ウ サ ギ 肉 お よ び 七 面 鳥 肉 よ り 高 い ア レ ル ゲ ン 性 を 有 す る こ と が 報 告 さ れているが[54]、主 要 なアレルゲンとして考 えられている牛 血 清 アルブミン[19, 20,
と 考 え ら れ て い る [38, 60] 。 さ ら に 、 宗 教 的 信 念 や 菜 食 主 義 、 牛 海 綿 状 脳 症 ( Bo vi n e S p on gi fo rm En c eph al op at h y ; B S E ) に 対 す る 忌 避 等 の 理 由 に よ り 、 牛 肉 摂 取 の 回 避 が要 求 される場 合 がある 。 消 費 者 が安 心 し て 食 品 を 選 択 でき、 牛 肉 を 含 む食 品 の品 質 と安 全 性 を 保 証 するためにも 表 示 の適 正 化 は重 要 であり、 そ れ を 担 保 す る た め の 牛 肉 に 特 異 的 で 簡 便 な 検 出 技 術 の 構 築 が 非 常 に 重 要 である。 サンドイッチ E LISA は、加 工 食 品 に含 まれる特 定 のタンパク質 を 特 異 的 に検 出 する手 法 とし て 広 く利 用 されてお り[13, 25, 30, 31, 41, 42, 58]、特 定 原 材 料 のアレルゲン 検 査 方 法 にも 採 用 されている[39, 47]。加 工 食 品 に含 まれる牛 肉 タ ン パ ク 質 の 特 異 的 検 出 を 特 徴 と し て い る 加 工 肉 種 判 別 キ ッ ト (E LISA TEK co ok ed m ea t s pe c i a t i on ki t f or b e ef , E LI S A T e ch no l o gi e s ) [ 7 ] は 、 アメ リカ 農 務 省 食 品 安 全 検 査 局 の 食 肉 検 査 方 法 とし て採 用 されてお り、農 林 水 産 消 費 安 全 技 術 セ ン タ ー で は 家 畜 飼 料 に 含 ま れ る 牛 肉 タ ン パ ク 質 を 検 出 す る 方 法 と し て 利 用 さ れ て い る 。 一 方 、 ア レ ル ゲ ン 検 査 方 法 に は 、 特 異 性 だ け で な く 表 示 の 判 断 基 準 である 10 μg アレルゲン/g 食 品 (0.001%)の検 出 感 度 が必 要 とされている[39, 4 7] 。 加 工 肉 種 判 別 キ ッ ト の 検 出 感 度 は 、 牛 肉 が 1 % 配 合 さ れ て い る 対 象 検 体 か ら 牛 肉 タ ンパ ク 質 の検 出 は 可 能 で ある ことか ら 2 mg 牛 肉 タンパク質 /g 食 品 (0 .2 % ) と 見 積 も ら れ る た め 、 牛 肉 ア レ ル ゲ ン 検 査 方 法 と し て 適 用 す る に は 検 出 感 度 が 低 い 。一 般 的 に ELISA で使 用 する抗 体 を作 製 するための 抗 原 には、抗 原 性 の 高 い アレ ルゲ ン性 タ ンパ ク 質 [12, 26, 57]、あるいは 含 有 量 の 多 いタンパ
ク質 が 選 択 される[28, 34]。牛 肉 タンパク質 を特 異 的 に検 出 する ELISA を構 築 するた めには 、牛 肉 タ ンパ ク 質 と 特 異 的 に反 応 する 抗 体 を 使 用 する必 要 がある。 アレルゲン性 タ ンパク 質 である血 清 アルブ ミ ンや免 疫 グロブ リン は牛 乳 にも 含 まれ、 一 方 、 ミ オ シ ン の よ う な 豊 富 な 筋 原 線 維 タ ン パ ク 質 で は アミ ノ 酸 配 列 の 相 同 性 が 家 畜 ・ 家 禽 間 で 95% 以 上 で あ る ことか ら [14] 、こ れら を 抗 原 お よ び 牛 肉 タ ンパ ク 質 検 出 の 指 標 タ ン パ ク 質 と し た 場 合 に は 食 品 中 の 牛 肉 タ ン パ ク 質 の 特 異 的 検 出 が 困 難 と考 えら れ た 。ミオグロ ビン (Mb)は筋 形 質 タンパク質 であり (分 子 量 : 約 17, 000 ) 、 酸 素 受 容 体 とし て 牛 肉 中 に 比 較 的 多 く 存 在 す る (4 ~10 m g/ g) 。 M b は 牛 乳 に は 存 在 せ ず 、 ま た 家 畜 ・ 家 禽 間 と の アミ ノ 酸 配 列 の 相 同 性 が 比 較 的 低 く 、 ウシ Mb[23]とブタ Mb[46]の間 では約 88%、ウシ Mb とトリ Mb[16]の間 では約 7 4% で あ る 。 動 物 間 で ア ミ ノ 酸 配 列 の 相 同 性 が 低 い ミ オ グ ロ ビ ン ( M b ) を 抗 原 と し た抗 体 を利 用 することで、牛 肉 タンパク 質 に特 異 性 の高 い ELISA を構 築 するこ とは 十 分 可 能 であると考 えら れた 。 本 研 究 では Mb を検 出 するために 特 異 抗 体 の作 製 とサンドイッチ E LISA 構 築 を 試 み 、ア レ ル ゲ ン 検 査 方 法 に 求 め ら れ る 特 異 性 と 感 度 を 十 分 に 満 た す 新 た な 評 価 法 であることを 実 証 する ことを 目 的 として 、第 1 章 では、ウシ Mb 特 異 的 ポリ クローナル抗 体 を 作 製 し 、この 抗 体 を 用 いて構 築 した サンドイ ッチ ELISA が牛 肉 タンパク 質 を特 異 的 に検 出 することを確 認 した 。 第 2 章 では、ウシ Mb に対 するモ ノクローナル抗 体 を 作 製 し 、これを 用 いた サンドイッチ ELISA が高 感 度 で牛 肉 タ
ナル抗 体 を用 いた サンドイ ッチ E LISA が加 熱 処 理 の有 無 にかかわらず Mb の検
出 が でき る こ とを 見 出 し 、 市 販 食 品 に 含 ま れる牛 肉 タ ンパ ク 質 の検 出 を 実 施 す る
ととも に 、 従 来 の 加 工 肉 種 判 別 キ ッ ト と 比 較 し た 。 こ れら の成 績 を 基 にし て 、 構 築
第 1 章 ウ シ ミ オ グ ロ ビ ン に 特 異 的 な ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 用 い た サ ン ド イ ッ チ E L I S A の 構 築 Ⅰ. 緒 言 牛 肉 に 特 異 的 なサンドイ ッチ E LISA を構 築 するために、標 的 とする牛 肉 タン パク質 に 特 異 的 反 応 を示 す 抗 体 が必 要 となる。Mb は家 畜 ・家 禽 間 でアミノ酸 配 列 の 相 同 性 が 低 い こ と か ら 、 牛 肉 に 特 異 的 な 抗 体 を 得 る 抗 原 と し て 適 切 と 考 え られた 。しかし 、Cooper らがウシ Mb を抗 原 として調 製 したウサギ抗 血 清 は、ウシ M b に 特 異 的 では な か っ た [ 1 5 ] 。 また Le vi eux ら は 抗 ウシ M b モ ノ ク ロ ーナ ル 抗 体 を作 製 したが、他 の家 畜 の Mb と交 差 反 応 したことを報 告 している[36]。このこと から、ウシ Mb を抗 原 として使 用 した抗 体 はブタとトリの Mb と交 差 反 応 する可 能 性 が 考 えら れたの で、ウシ Mb のアミノ酸 配 列 の中 でブタとトリの Mb のアミノ酸 配 列 と相 同 性 の 低 いペプチド 領 域 を抗 原 として利 用 することとし た 。 本 章 では 、Mb を 抗 原 とした ポリクロー ナル 抗 体 の 作 製 するととも に 、 ブタ とト リ の Mb と交 差 反 応 しない抗 体 を得 るために、ウシ Mb のアミノ酸 配 列 からブタ Mb、 およびトリ Mb と相 同 性 の低 い 12 残 基 のアミノ酸 配 列 を選 択 し、これを抗 原 とし てポリクローナル抗 体 の作 製 を 試 み 、得 ら れた 抗 体 の Mb に対 する特 異 性 の高 い抗 体 を 得 た 。これら の抗 体 を 用 いて構 築 したサンドイ ッチ E LISA の牛 肉 タンパ ク 質 特 異 性 と 検 出 感 度 を 調 べ 、 さら に モ デ ル 食 品 と 市 販 食 品 に 含 ま れ る 牛 肉 タ
Ⅱ. 材 料 および方 法 1 . ミ オ グロ ビン の 調 製 脂 肪 を 除 去 した 牛 モモ肉 、豚 モモ肉 、およ び鶏 ムネ肉 をミンチにし、それぞれ のミンチ肉 50 g に対 して 2 倍 量 の蒸 留 水 を加 えてホモジナイズした後 、 4℃で 30 分 間 攪 拌 した 。 4,500×g、4C 、1 5 分 間 遠 心 後 、 上 清 を No .1 ろ紙 (W h at m a n )で ろ 過 し た 。 牛 モ モ 肉 由 来 の 上 清 に は 90% 飽 和 、豚 モ モ 肉 お よ び 鶏 ム ネ肉 由 来 の上 清 に は 70%飽 和 となるように硫 酸 アンモニウムを添 加 し 、4℃で 60 分 間 攪 拌 した。20,000×g、4C 、1 5 分 間 遠 心 し 、そ れぞ れの 上 清 の p H を 6. 8 5 に 調 整 し た 後 、 95 % 飽 和 と なる よ う に 硫 酸 ア ンモ ニ ウ ム を 添 加 し 、 4 ℃ で 60 分 間 攪 拌 後 に 20, 000 × g 、 4C 、 1 5 分 間 遠 心 し た 。 そ れ ぞれ の沈 殿 物 を 尐 量 の 蒸 留 水 で 溶 解 し 、 20 m M T ri s 緩 衝 液 (p H 8 .3 )に 透 析 後 、 同 緩 衝 液 で 平 衡 化 し た イ オン 交 換 カラ
ム To yoscreen DEAE 650M (Toso)に吸 着 させ、0~0.5 M NaCl の直 線 濃 度 勾
配 に よ っ て Mb を 分 離 し た 。 そ れ ぞ れ の Mb の 純 度 は 、 SDS-PAGE(sodium
dod e c yl s u l f at e pol ya c r yl a m i d e gel e l e ct ro pho r es i s ) を 用 い て 確 認 し た [ 3 5 ] 。
精 製 したそれぞれの Mb 溶 液 に 1%となるようにドデシル硫 酸 ナトリウム (SDS)を加
え、95℃で 10 分 間 加 熱 して変 性 ウシ Mb(Denatured Mb; D-Mb)、ブタ D-Mb、
およびトリ D-Mb(1 mg/ml)を調 製 した。
2. 牛 肉 、 豚 肉 、 およ び鶏 肉 の 標 準 タ ンパ ク 質 の 調 製
に 同 容 量 の蒸 留 水 を 加 え 、ホモジナイ ズ後 凍 結 乾 燥 し た 。 それ ぞれの 凍 結 乾 燥 粉 末 20 mg に 0.5% SDS および 2% 2-メルカプトメタノール (2-ME)を添 加 したリ ン酸 緩 衝 生 理 食 塩 水 (0.02 M リン酸 緩 衝 液 、0.15 M NaCl、 pH 7.2; PBS)を 20 m l 加 え 、 室 温 で 1 2 時 間 振 と う した 。20 , 000 ×g 、 2 0 ℃ 、 1 5 分 間 遠 心 し 、 回 収 し た上 清 をろ過 し 、得 ら れた 溶 液 を 標 準 タ ンパク質 とした 。 3 . モ デル 食 品 と サ ン プ ル溶 液 の 調 製 ミンチにした 豚 モモ肉 もしくは鶏 ムネ肉 を それぞれ 0.01~10%(w/w)となるよう に ミ ン チ に し た 牛 モ モ 肉 を 加 え て よ く 混 合 し た 後 、 澱 粉 と 食 塩 を 加 え て モ デ ル 食 品 の 練 肉 として 調 製 した。 練 肉 を 80℃で 30 分 間 、もしくは 120℃で 30 分 間 加 熱 し 、それぞれを 80℃加 熱 区 および 120℃加 熱 区 のモデル食 品 とし、 同 時 に未 加 熱 区 の モ デ ル 食 品 も 設 け 、 使 用 時 ま で -30 ℃ で 保 管 し た 。 フー ド カ ッタ ー で 細 分 化 し た そ れ ぞ れ の モ デ ル 食 品 2 g に 、 0.5% SDS お よ び 2% 2-ME 含 有 P BS (p H 7 .2 ) を 18 m l 加 え 、 室 温 で 1 2 時 間 振 とう し た 。 3 ,0 0 0× g 、 20 分 間 遠 心 後 、上 清 を ろ過 しそれぞれの サンプル溶 液 を 得 た。 4. ウ サギ ポリ ク ロ ーナ ル抗 体 の 調 製 ウシ Mb のアミノ酸 配 列 からブタ Mb、およびトリ Mb と相 同 性 の低 い 12 残 基 の アミノ 酸 配 列 を選 択 し た(A8 4 -E8 5- V8 6- K8 7-H8 8- L8 9- A9 0-E9 1-S9 2-H9 3- A9 4- N9 5) 。
hem o c ya ni n; K LH ) と 結 合 さ せ るた め に、 N 末 端 に シス テイ ン を 追 加 し た ペプ チド
A を 合 成 し た ( C - A8 4~N9 5) (T o ra y R es e a r ch C ent e r) 。 合 成 ペ プ チド A を 、 Inj e ct
M al ei m i d e A ct i va t e d Im m u no ge n C onj u gat i on K i t (Th e rm o F i s h er S ci ent i fi c )
を用 いて KLH に結 合 させ抗 原 として使 用 した (KLH-ペプチド A)。D-Mb および
K LH - ペプ チド A に 対 す るウ サ ギ 抗 血 清 の調 製 は O pe r on B i ot e c hno l o gi e s に 依
頼 した 。得 られた 抗 血 清 から D-Mb 結 合 Hi-trap NHS-activated HP column
(G E H ea l t h c a re ) を 用 い て ア フィ ニ ティ ーク ロ マトを 行 い 、 各 精 製 抗 体 を 得 た ( 抗 D- Mb pA b 、抗 ペプ チド A p Ab ) 。精 製 抗 体 へ の 酵 素 (h o r se r a d i sh p e r o x i d a se ; HR P ) 標 識 は 、P e rox i da s e La b el i n g K i t -S H (D oj i ndo ) を 使 用 し た 。 5 . S DS -P AGE と ウ エスタ ンブ ロ ッ ト ウ シ 、 ブ タ 、 お よ び ト リ の Mb 、 お よ び 各 標 準 タ ン パ ク 質 を 泳 動 サ ン プ ル と し 、 1 5 % 濃 度 ゲ ル を 用 い て S DS -P AG E を 実 施 し た [ 34] 。 ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト は
S DS -P A GE で 分 離 後 の タ ン パ ク 質 を 、 1 mA/cm2 で pol yvin ylidene
di f l uo ri de (P VD F ) 膜 に 転 写 し た [ 5 6 ] 。タ ン パ ク 質 転 写 後 の P V D F 膜 を 十 分 量 の P BS T( 8. 1 m M N a2HP O4· 12 H2O ,1 .5 m M K H2P O4,0.137 M NaCl ,2.7 mM KC l , 0.1 % T w ee n2 0 )に 4 ℃で 12 時 間 浸 漬 し 、 ブ ロ ッキ ン グ を 行 っ た 。P B S T で 5 分 間 3 回 洗 浄 し た 後 、 抗 D- M b pA b (0. 2 μ g/ m l )、 また は 抗 ペ プ チド A pA b (0. 3 μg/ml 濃 度 )を添 加 し、室 温 で 1 時 間 インキュベーションした 。PBST で 5 分 間 3 回 洗 浄 後 、2,000 倍 希 釈 したアルカリホスファターゼ (a l k a l i n e p h o s p h a t a se ; AP )
標 識 抗 ウ サ ギ IgG(Zymed) を 添 加 し 、 室 温 で 1 時 間 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン し た 。
P BS T で 5 分 間 3 回 洗 浄 後 、 0.1 M Tr i s 緩 衝 液 ( pH 9. 5 ) で 1 5 分 間 平 衡 化 後 、
同 緩 衝 液 に BCIP/NBT (5-bromo-4-chloro-3-indol yl phosphate/p -nitroblue
t et r az ol i um c hl o ri de )を 添 加 し た 溶 液 に 、 室 温 で 1 0 分 間 イ ン キ ュベ ーショ ンし た 。 十 分 な発 色 が みられた後 、蒸 留 水 で洗 浄 して発 色 を 停 止 させた 。 6. 競 合 E LIS A 9 6 穴 マイ ク ロ タ イ タ ー プ レート (C or ni n g ) に 、0 .1M リ ン 酸 緩 衝 液 (p H 7 .2 )で 希 釈 した 100 μl の D-Mb(1 μg/ml )を添 加 し、4℃で 12 時 間 静 置 することにより D- M b を 固 相 化 し た 。 洗 浄 用 バ ッ ファ ー ( 1 0 m M リ ン 酸 緩 衝 液 , 0 .15 M N aC l , 0.1 % Tw e en 20 , pH 7. 4 ) で 4 回 洗 浄 後 、 1 0% に 希 釈 し た ブ ロ ッ キ ン グ 溶 液 ( Bl o c ki n g On e , Na c al ai T es qu e ) 2 60 μ l を 添 加 し 、 3 7 ℃ 、2 時 間 処 理 し た 。 9 6 穴 マルチプルウェルプレート (Corning)の各 ウェルに 0.2~200 μg/ml の D-Mb、未 変 性 ウシ Mb(Native Mb; N-Mb)、もしくはペプチド A をあらかじめ 80 μl 添 加 し、 次 に 抗 D-Mb pAb (0.2 μg/ml)あるいは抗 ペプチド A pAb (0.3 μg/ml)を 80 μl 添 加 し 、室 温 で 1 時 間 インキュベーションして競 合 溶 液 を調 製 した。D-Mb 固 相 化 プレートを 洗 浄 用 バッファーで 4 回 洗 浄 後 、各 ウェルに競 合 溶 液 を 100 μl ず つ移 し 替 え 、室 温 で 1 時 間 インキュベーションした 。洗 浄 用 バッファーで 4 回 洗 浄 後 、2,000 倍 希 釈 した HRP 標 識 抗 ウサギ IgG(Z ymed)を 100 μl 添 加 し、室 温 で
3 ', 5, 5 ' - t e t r am et h yl b enz i di n e ) 溶 液 ( S ur e Bl ue , Ki r ke g a ar d & P e r r y
La b o r at o ri es )を 1 00 μ l 添 加 し 、 遮 光 し て 室 温 で 1 0 分 間 イ ンキ ュベ ーショ ンし た 。
1 M 硫 酸 を 5 0 μ l 添 加 し て 反 応 を 停 止 さ せ、 450 n m の 吸 光 度 を マイ ク ロ プ レート
リーダー(Spectra Fluor , Tecan)で測 定 した。
7. サ ンド イ ッ チ E LIS A
9 6 穴 マイ ク ロ タ イ タ ー プ レート (C or ni n g ) に 、0 .1M リ ン 酸 緩 衝 液 (p H 7. 2 )で 5
μg/ml に希 釈 した抗 D-Mb pAb、もしくは抗 ペプチド A pAb を添 加 し、4℃、12
時 間 静 置 した 。洗 浄 用 バ ッファーで 4 回 洗 浄 後 、10%に希 釈 したブロッキング溶
液 (Sea Block Blocking Buffer , Thermo Fisher Scientific )を 260 μl 添 加 し、
3 7 ℃ 2 時 間 ブ ロ ッ キ ン グ を 行 っ た 。 希 釈 用 バ ッ フ ァ ー ( 1% 同 ブ ロ ッ キ ン グ 溶 液 、 0.0 5% S DS およ び 0 .2 % 2 - M E を 含 む 洗 浄 用 バ ッフ ァー )で 希 釈 し た D -M b 、標 準 タンパク質 、 または サンプ ル 溶 液 を 添 加 し、室 温 で 1 時 間 インキュベーションし た。洗 浄 用 バ ッファーで 6 回 洗 浄 後 、HRP 標 識 抗 D-Mb pAb(0.2 μg/ml)を 100 μl 添 加 し、室 温 で 30 分 間 インキュベーションした 。洗 浄 用 バッファーで 6 回 洗 浄 後 、TMB 溶 液 を 100 μl ずつ添 加 して、遮 光 して室 温 、10 分 間 インキュベーショ ン後 、1 M 硫 酸 (50 μl/ウェル)で反 応 を停 止 させ、吸 光 度 を測 定 した。 各 濃 度 の 牛 肉 標 準 タ ンパ ク 質 に 対 し て 得 ら れ る 吸 光 度 よ り 標 準 曲 線 を 作 成 し た 。 牛 肉 タ ン パ ク 質 濃 度 の 検 出 限 界 は 、 「 ア レ ル ギ ー 物 質 を 含 む 食 品 の 検 査 方 法 を 評 価 す る ガ イ ド ラ イ ン 」 [61] に 記 載 の 数 式 (μ±3σ: μ ; ブ ラ ンク 溶 液 の 吸 光
値 の 平 均 値 、σ;ブランク溶 液 吸 光 値 の標 準 偏 差 )より算 出 した吸 光 値 に相 当 す る 値 と し た 。 牛 肉 標 準 タ ン パ ク 質 の 標 準 曲 線 に 基 づ き 、 モ デ ル 食 品 の サ ン プ ル 溶 液 中 に 含 まれる牛 肉 タンパク質 濃 度 を 算 出 した 。 8 . その 他 標 準 タ ン パ ク 質 と サ ン プ ル 溶 液 の タ ン パ ク 質 濃 度 は 、 2-D Quant Protein As s a y K i t ( GE He al t hc a r e) を 用 いて 測 定 し 、 牛 血 清 アルブ ミ ン 相 当 量 とし て 示 し た。 Ⅲ. 結 果 1 . 抗 原 の 調 製 牛 モモ 肉 の 水 抽 出 液 硫 安 分 画 とイ オ ン 交 換 ク ロ マト グラ フ ィ ーで 調 製 し た タ ン パク質 の N 末 端 側 10 残 基 のアミノ酸 を解 析 したところ 8 残 基 まで確 定 でき(N 末 端 -G-L-S-D-G-E-W-Q)、BLAST によるホモロジー 検 索 の結 果 、得 られたタンパ ク質 は ウシミオグロビン(Mb)と同 定 された(Fig. 1)。ブタとトリの Mb も同 様 の方 法 で精 製 することが 可 能 であり 、SDS-PAGE で約 20kDa の位 置 に単 一 バンドとして
泳 動 された (Fig. 2A, lane 5 and 6) 。D-Mb を抗 原 としてポリクローナル抗 体 を調
製 した 場 合 には 、ブタ やトリの Mb と交 差 反 応 する抗 体 が得 られると考 えられ たた
A(C - A8 4~N9 5)を 抗 原 とし て 合 成 し た (ペプ チド A - K LH ) 。 2. ポ リ ク ロ ー ナル 抗 体 変 性 Mb(Denatued Mb; D -Mb)、またはペプチド A-KLH のウサギ抗 血 清 から 得 ら れ た 各 精 製 pAb の 反 応 性 を ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に よ っ て 調 べ た 。 抗 D- Mb pAb は トリ M b や牛 肉 よ り 抽 出 さ れ た 他 のタ ンパ ク 質 と は 反 応 し なか っ た が 、 ブタ Mb と交 差 反 応 を示 した。一 方 、抗 ペプチド A pAb は、ウシ Mb と反 応 した が、その 他 のタ ンパク 質 に 交 差 しないことを 確 認 した(Fig. 2 B, C)。
競 合 ELISA において、抗 D-Mb pAb は D-Mb および未 変 性 Mb (Native Mb;
N- Mb ) と 反 応 し た が 、 ペ プ チ ド A と は 反 応 し な か っ た ( Fi g. 4 A ) 。 抗 ペ プ チ ド A pAb は 、抗 原 とし た ペプ チド A だ け でな く D- M b と N -M b の いず れにも 反 応 した ( Fi g. 4 B ) 。抗 ペプ チ ド A pAb は 抗 原 ペ プ チド 領 域 ( A8 4~N9 5)を 認 識 する こ とに より、Mb と反 応 することが示 唆 された。 3 . サ ンド イ ッ チ E LIS A 抗 D-Mb pAb を固 相 抗 体 および HRP 標 識 抗 体 とした サンドイッチ E LISA は、
ブタ Mb との交 差 反 応 がみられた (Fig. 5A)。抗 ペプチド A pAb を固 相 抗 体 、抗
D- Mb pA b を HR P 標 識 抗 体 とし た サ ンド イ ッチ E LIS A は 、ブ タ と トリ の M b との 交
差 反 応 はみら れず、ウシ Mb と特 異 的 に反 応 した(Fig. 5B, pAb-E LISA)。アレル
質 濃 度 で 評 価 す る [39, 47] 。標 準 溶 液 の 調 製 方 法 に従 い作 製 した 牛 肉 、豚 肉 、 および鶏 肉 標 準 タ ンパク質 を 用 いて pAb-ELISA の交 差 反 応 性 を調 べたところ、 牛 肉 タンパク 質 の 特 異 検 出 が可 能 であり 、その検 出 限 界 は 30 ng 牛 肉 タンパク 質 /ml であり、定 量 可 能 範 囲 は 0.04 μg/ml~20 μg/ml であった(Fig. 6)。 4 . 加 工 食 品 に 含 ま れ る牛 肉 タ ンパ ク 質 の 検 出 pAb - E LIS A を 用 い て豚 肉 、も し く は鶏 肉 に対 する 牛 肉 の 混 合 比 率 と 加 熱 条 件 が 異 な る モ デ ル 食 品 か ら の 牛 肉 タ ン パ ク 質 検 出 を 試 み 、 加 工 食 品 へ の 適 用 性 を 評 価 した 。練 肉 すべ てを 牛 肉 で調 製 したモデル食 品 2 g に、0.5% SDS と 2% 2 -M E 含 有 P BS 18 m l を 添 加 し て タ ン パ ク 質 を 抽 出 し た 。 未 加 熱 区 、 8 0 ℃加 熱 区 、および 120℃加 熱 区 のモデル食 品 より調 製 したサンプル溶 液 中 の タンパク 質 濃 度 は 、それぞれ 8.0、3.0、および 2.2 mg/ml であり、加 熱 条 件 が厳 しくなるに つれ て 抽 出 さ れ る タ ンパ ク 質 量 が 低 下 し た 。 そ れぞ れ のサ ンプ ル溶 液 に 含 まれ る 牛 肉 タンパク 質 を pAb-ELISA で検 出 したところ、10.8、3.9 および 0.6 mg/ml で あり、製 造 時 の 加 熱 条 件 は pAb-E LISA の牛 肉 タンパク質 検 出 に影 響 を及 ぼし たが、練 肉 中 に 0.1~10%の牛 肉 を含 む種 々のモデル食 品 中 の牛 肉 タンパク質 を 検 出 可 能 で あ っ た (Table 1) 。 豚 肉 、鶏 肉 、 卵 、 大 豆 などを 配 合 し て いる 市 販 食 品 に 含 ま れ る 牛 肉 タ ン パ ク 質 を 検 出 し た と こ ろ 、 他 の タ ン パ ク 質 と 交 差 反 応 す ることなく牛 肉 表 示 と整 合 性 のある 結 果 が得 ら れた (Table 2)。
Ⅳ. 考 察 食 品 中 の タ ンパ ク 質 は様 々な 加 工 工 程 を 経 て凝 集 し て い る こと が多 く 、 変 性 し て 抽 出 さ れ に く い 状 態 に な っ て い る こ と が 多 い [29] 。 Watanabe ら は 、 SDS と 2-M E を 抽 出 溶 媒 に 使 用 す る こ と で 食 品 か ら の タ ン パ ク 質 抽 出 効 率 が 改 善 で き る こ と を 報 告 し た [59] 。 この 手 法 は 各 種 ア レル ゲ ン 検 査 方 法 に も 利 用 さ れ てい る た め 、 本 研 究 に お い て も 食 品 か ら のタ ン パ ク 質 抽 出 方 法 と し て 採 用 し た 。 Mb は 食 品 製 造 時 の 加 熱 処 理 だ けでなく、未 変 性 の Mb も抽 出 溶 媒 に SDS と 2-ME に よ る 処 理 で 変 性 を 受 け る こ と か ら 、 ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 作 製 す る 抗 原 と し て D- M b を 用 いた 。 ア レ ル ゲ ン 検 査 方 法 に お い て 検 出 す る 食 品 タ ン パ ク 質 特 異 性 は 、 表 示 の 正 確 性 を 保 証 す る た め に 必 要 で あ る [37, 48, 53] 。 牛 肉 タ ン パ ク 質 を サ ン ド イ ッ チ E LIS A で特 異 的 に 検 出 す るた め には 、 抗 体 を 調 製 す るた め の 抗 原 選 択 が 重 要 であ ると 考 え ら れ る 。 ミオシ ンや アク チン な どの 牛 肉 中 に含 有 量 の 多 いタ ンパ ク 質 や血 清 アルブ ミン や 免 疫 グロ ブ リ ンな どの アレル ゲン 性 タ ンパ ク 質 を 抗 原 とし て 選 択 し た 場 合 、食 肉 と し て利 用 され てい る 家 畜 ・ 家 禽 間 で これ ら の タ ンパ ク 質 の アミ ノ 酸 配 列 は 相 同 性 が 高 い こ と か ら 、 牛 肉 タ ン パ ク 質 特 異 抗 体 を 作 製 す る た め の 抗 原 と し て は 不 適 切 で あ る と 考 え ら れ た [27, 49] 。 本 研 究 で は 、 動 物 間 で ア ミ ノ 酸 配 列 の 類 似 性 が低 く牛 乳 に含 まれないタンパク 質 とし て Mb を選 択 し、さらに M b アミ ノ 酸 配 列 中 で ブ タ M b と 5 残 基 、ト リ M b と 6 残 基 ずつ 異 な る 配 列 を 有 す る領 域 の合 成 ペプチド抗 原 を用 いて 抗 ペプチド A pAb を作 製 した。抗 ペプチド
A p Ab は M b と特 異 的 に 反 応 し 、こ れを サ ンド イ ッチ E LIS A の 固 相 抗 体 とし て使 用 することで、Mb 特 異 的 E LISA(pAb-ELISA)を構 築 することができた。 食 品 か らタンパク 質 抽 出 を 効 率 的 に 行 うため に SDS と 2-ME を添 加 した PBS を抽 出 溶 媒 に 用 い た が 、 加 熱 し た 食 品 で は 、 未 加 熱 と 比 較 し て タ ン パ ク 質 の 抽 出 量 が 減 尐 し 、pAb-E LISA で検 出 される牛 肉 タンパク質 が低 下 した。Mb の抽 出 量 低 下 が牛 肉 タ ンパク質 検 出 に 影 響 を及 ぼし ている 一 因 と考 えら れた が、未 変 性 の Mb に おける ペプ チド A 領 域 は αヘリ ックス構 造 であるため [36]、加 熱 により構 造 が 変 化 した Mb は SDS と 2-ME 含 有 抽 出 溶 媒 を用 いても抗 体 認 識 領 域 を提 示 で きなかった 可 能 性 も 考 えら れた 。 このことから pAb-E LISA が未 加 熱 の食 品 に比 べて加 熱 食 品 の 牛 肉 タ ンパ ク 質 が低 下 した のは、抽 出 さ れ た Mb と使 用 した抗 体 の 反 応 性 が Mb の分 子 構 造 の変 化 により低 下 したことによると推 察 された。 牛 肉 を 配 合 し て い る 一 般 的 な 市 販 食 品 ( 牛 肉 1 % 以 上 )を 検 査 対 象 と す る 場 合 、 本 法 は 他 の タ ン パ ク 質 と 交 差 反 応 せ ず に 表 示 と 適 合 し た 検 出 結 果 を 得 る こ と が 可 能 で あることが わか った 。これら の結 果 は、pAb-E LISA は加 熱 処 理 により検 出 さ れ る 牛 肉 タ ン パ ク 質 が 低 下 す る が 、 表 示 の 整 合 性 を 確 認 す る た め に は 活 用 で きる手 法 であることを 示 し ている。
第 2 章 ウ シ ミ オ グ ロ ビ ン に 特 異 的 な モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 用 い た サ ン ド イ ッ チ E L I S A の 構 築 Ⅰ. 緒 言 前 章 で 構 築 した Mb 特 異 的 ポリクローナル抗 体 を用 いた pAb-ELISA は、食 品 中 の 牛 肉 タ ン パ ク 質 を 特 異 的 に 検 出 で き 、 表 示 の 正 確 さ を 評 価 す る 方 法 と し て 利 用 す ることは 可 能 で あると 考 え ら れた 。 し か し 、 Mb を指 標 とした ウシタンパク質 の 検 出 は 加 熱 条 件 に よ り 影 響 を 受 け た こ と か ら 、 加 工 食 品 を 検 査 対 象 と す る ア レルゲン検 査 方 法 への 適 用 に は不 十 分 であると 考 え ら れた 。食 品 の加 工 工 程 に お い て 、 加 熱 は 食 味 や 食 感 、 微 生 物 の 殺 菌 な ど 食 品 の 品 質 向 上 に 必 要 な 工 程 で あ る 。 加 工 食 品 に 含 ま れ る 牛 肉 タ ン パ ク 質 を 加 熱 処 理 で 影 響 を う け る こ と な く検 出 するた めには、 加 熱 に 対 し て安 定 し た 構 造 部 位 を 認 識 す る抗 体 の 調 製 が 重 要 であると考 えら れ た。Mb の IgE 結 合 部 位 として 5 つの領 域 が報 告 されてお り[1, 2, 3, 4, 5]、その内 C 末 端 側 の 9 残 基 は (Q1 4 5 -Y1 4 6- K1 4 7-V1 4 8- L1 4 9- G1 5 0- F1 5 1- H1 5 2-G1 5 3)は M b 分 子 の 外 側 に 露 出 し [ 4 ] 、ブタや ト リ の M b アミノ 酸 配 列 と 比 較 し て 相 同 性 が 低 い こ と か ら 、 Mb 特 異 的 抗 体 を 作 製 す る た めの ペ プ チド 抗 原 として適 し ている と考 えら れた 。 本 章 では この C 末 端 領 域 のペプチドを抗 原 として作 製 した 抗 体 の Mb に対 す る特 異 性 を 検 討 する とともに 、この抗 体 を 利 用 し た ELISA の特 異 性 と検 出 感 度 を調 べることを 目 的 とした 。
Ⅱ. 材 料 および方 法 1 . ミ オ グロ ビン の 調 製 ウシ、ブタ 、およびトリ の Mb は第 1 章 と同 様 の方 法 で調 製 した。 2. 牛 肉 、 豚 肉 、 およ ぼ 鶏 肉 の 標 準 タ ンパ ク 質 溶 液 の 調 製 牛 肉 、豚 肉 、およ び 鶏 肉 の 標 準 タンパク 質 溶 液 は第 1 章 と同 様 の方 法 で調 製 し 、各 標 準 タ ンパク 質 溶 液 を 得 た 。 3. モノ ク ロ ーナ ル 抗 体 の 調 製 ウシ Mb のアミノ酸 配 列 からブタ Mb と 3 残 基 、トリ Mb と 5 残 基 が異 なる 142 番 目 の メ チ オ チ ン か ら 153 番 目 の グ リ シ ン ま で の 12 残 基 を 選 択 し (M1 4 2- A1 4 3-A1 4 4- Q1 4 5-Y1 4 6- K1 4 7-V1 4 8- L1 4 9-G1 5 0- F1 5 1-H1 5 2- G1 5 3) 、 マ レ イ ミ ド 法 による KLH との結 合 のために 143 番 目 のアラニンをシステインに置 換 した ペプチ ド B を合 成 した (M1 4 2 -C -A1 4 4~N1 5 3) (T o ra y R es e a rc h C e nt er ) 。 ペプ チド A、 も し くは ペプチド B を KLH に結 合 させた 2 種 類 の複 合 体 を抗 原 として使 用 した(ペ プチド A-KLH、ペプチド B-KLH)。KLH が 50 μg となるように調 製 した複 合 体 お
よび 50 μg の D-Mb を Freund’s complete adjuvant (Difco)と混 合 して BALB/C
マウス(8 週 齢 、メス)に腹 腔 内 投 与 し、2 週 間 隔 で各 抗 原 50 μg と Freund’s
測 定 し た 。 96 穴 マ イ ク ロ タ イ タ ー プ レ ー ト (Corning) に 、 0.1M リ ン 酸 緩 衝 液 (pH
7.2 ) で 希 釈 し た 1 0 0 μ l の D -M b (1 μ g/ m l ) 、 In j e ct M al ei m i d e Ac t i v at ed
Im m uno ge n C o nj u g at i on Ki t (T he rm o F i sh er S ci e nt i fi c) を 用 いて オボ ア ルブ ミ
ン(OVA)にペプチド A、もしくはペプチド B を結 合 させた複 合 体 (ペプチド A-OVA、
ペプチド B-OVA、1 μg/ml )を添 加 し、4℃で 12 時 間 静 置 した。洗 浄 用 バッファー (1 0 m M リ ン 酸 緩 衝 液 , 0. 15 M N aC l ,0 . 1% T we e n20 , pH 7. 4 ) で 4 回 洗 浄 後 、 10 % ブ ロ ッキ ング 溶 液 ( Bl o ck i n g O n e , N a ca l a i Te s qu e )を 26 0 μ l 添 加 し 、3 7℃ 2 時 間 ブ ロ ッ キ ン グ し た 。 希 釈 バ ッ フ ァ ー (1% ブ ロ ッキ ン グ 溶 液 を 含 む 洗 浄 用 バ ッ ファー)で希 釈 したマウス血 清 を 100 μl 添 加 し、室 温 1 時 間 インキュベーションし た 。 洗 浄 用 バ ッ フ ァ ー で 4 回 洗 浄 後 、 2,000 倍 希 釈 し た HRP 標 識 抗 マ ウ ス IgG ( Z ym e d )を 100 μ l 添 加 し 、室 温 で 1 時 間 イ ンキ ュ ベー ショ ン し た 。 洗 浄 用 バ ッ ファーで 4 回 洗 浄 後 、TMB 溶 液 を 100 μl 添 加 し、室 温 で 10 分 間 インキュベー シ ョ ン 後 の 吸 光 度 を マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー で 測 定 し た 。 十 分 に 抗 体 価 が 上 昇 したマウスの 尾 静 脈 に 、滅 菌 PBS(pH7.2)で希 釈 した D-Mb、ペプチド A-KLH、 もしくはペプ チド B-KLH を各 50 μg 投 与 した。3 日 後 、各 マウスの 脾 臓 細 胞 とミ
エローマ細 胞 (P3X63.AG80, DS Phaema Biomedical) を常 法 に従 って 50%ポリ
エチレングリコール (分 子 量 1300-1600, Sigma)を用 いて細 胞 融 合 を行 った[33]。
1 0 日 後 に 培 養 上 清 を 直 接 E LIS A を 用 い て そ れ ぞれ の 抗 原 と の反 応 性 を 調 べ 、
抗 体 産 生 が確 認 できたハイブリドーマ を 2 回 の限 界 希 釈 法 により単 一 化 し 、モノ
処 理 しておいた BALB/C マウス(15 週 齢 、メス)の腹 腔 内 に無 血 清 培 地 に懸 濁 したハイブリドーマ(1~2×107個 /匹 )を接 種 した。10~14 日 後 に腹 水 を採 取 し 、 同 量 の 飽 和 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 溶 液 と を 混 和 し て 4 ℃ で 1 時 間 攪 拌 し た 。 10, 000 × g 、 4 ℃で 3 0 分 間 遠 心 後 に 得 ら れ た 沈 澱 を 尐 量 の P BS (p H7 .2 ) に 溶 解 し 、 同 量 の 飽 和 硫 酸 アンモニウム溶 液 を混 和 して、 4℃で 1 時 間 攪 拌 し 10,000×g、 4℃ で 30 分 間 遠 心 し た 。 沈 殿 物 を 尐 量 の P BS (p H7 .2 ) に 溶 解 し 、10 0 倍 量 の P BS (p H7 .2 ) で 十 分 に 透 析 を 行 っ た 後 、 1 0,0 00 ×g 、4 ℃で 3 0 分 間 遠 心 し て 得 ら れた 上 清 を モノクローナル抗 体 画 分 とした 。モノクローナル抗 体 画 分 から Protein G- s e ph a ros e カ ラ ム (G E H e al t h c a r e) を 用 い て モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 精 製 し た ( 抗 D -M b m Ab 、 抗 ペプ チ ド A m A b 、抗 ペプ チ ド B m Ab ) 。 各 抗 体 のク ラ ス は マウ
ス モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ア イ ソ タ イ ピ ン グ キ ッ ト (IsoStrip Mouse Monoclonal
Ant i bo d y Is ot yp i n g K i t , R oc h e) を 使 用 し 判 別 し た 。抗 体 へ の 酵 素 (HR P ) 標 識
には Peroxidase Labeling Kit -SH (Dojindo )、ビオチン標 識 に は EZ-Link Sulfo
NHS Bi o t i n yl a t i o n Ki t ( Th e rm o Fi s h e r S ci ent i f i c ) を 使 用 し た 。
4. 競 合 E LIS A
9 6 穴 マイ ク ロ タ イ タ ー プ レート (C or ni n g) に 、0 .1M リ ン 酸 緩 衝 液 (p H 7 .2 ) で 希
釈 した D-Mb(1 μg/ml)を 100 μl 添 加 し、4℃で 12 時 間 静 置 した。洗 浄 用 バッフ
3 7℃ 、 2 時 間 ブ ロ ッキ ング し た ( D -M b 固 相 化 プ レ ート ) 。0. 2 ~ 20 0 μg/ m l の D- M b 、 N- M b 、ペプ チド A 、 も し く は ペプ チド B に 、 同 量 の 抗 D -M b m Ab (5 n g/ m l ) 、抗 ペプチド A mAb (0.1 μg/ml)、または抗 ペプチド B pAb (4 ng/ml)を添 加 してあら か じ め 室 温 で 1 時 間 イ ン キ ュ ベ ー シ ョ ン し た お い た 競 合 溶 液 を 、 100 μl ず つ D- M b 固 相 化 プ レー ト の 各 ウ ェル に添 加 し て室 温 で 1 時 間 イ ン キ ュベ ーショ ンし た 。 洗 浄 用 バッファーで 4 回 洗 浄 した D-Mb 固 相 化 プレートに、競 合 溶 液 を 100 μl ずつ各 ウェルに 移 し 替 え て室 温 で 1 時 間 インキュベーション後 、洗 浄 用 バッファ ーで 4 回 洗 浄 して 2,000 倍 希 釈 した HRP 標 識 抗 マウス IgG(Zymed )を 100 μl 添 加 し 、室 温 で 1 時 間 インキュベーションした。洗 浄 用 バッファーで 4 回 洗 浄 後 、 TM B 溶 液 を 1 00 μ l 添 加 し た 。1 0 分 後 に 1 M 硫 酸 を 50 μ l 添 加 し て 反 応 停 止 後 、吸 光 度 を 測 定 し た。 5 . ウ エスタ ンブ ロ ッ ト 精 製 し た 各 Mb と 標 準 タ ン パ ク 質 を 、 SDS-PAGE ( 15 % ゲ ル ) で 分 離 し 、 P VD F 膜 に 転 写 し た 。 転 写 後 の P VD F 膜 を P BS T で 4 ℃ 、1 2 時 間 ブ ロ ッキ ン グ 処 理 し た 後 、 抗 D-Mb mAb(0.08 μg/ml) 、 あ る い は 抗 ペ プ チ ド B mAb(0.03 μg/ml)を添 加 して室 温 で 1 時 間 インキュベーションした 。PBST で 5 分 間 3 回 洗 浄 後 、2,000 倍 希 釈 した AP 標 識 抗 マウス IgG(Zymed)を添 加 し て室 温 で 1 時 間 イ ンキュベーショ ンした 。PBST で 5 分 間 3 回 洗 浄 後 、0.1M Tris 緩 衝 液 (pH 9.5 ) で 1 5 分 間 平 衡 化 し 、 BC IP / N B T 溶 液 に 浸 漬 し て 室 温 で 10 分 間 イ ン キ ュ ベ
ーショ ンした 。十 分 な発 色 がみら れた 後 、蒸 留 水 で洗 浄 して発 色 を 停 止 させた。 6. サ ンド イ ッ チ E LIS A 0.1 M リ ン 酸 緩 衝 液 ( pH 7. 2) で 5 μ g/ m l に 希 釈 し た 抗 ペプ チド B m Ab を 1 00 μl ずつ添 加 した 96 穴 マイクロタイタープレート(Corning)を 4℃で 12 時 間 静 置 し た 。 洗 浄 用 バ ッ フ ァ ー で 4 回 洗 浄 後 、 10% に 希 釈 し た ブ ロ ッ キ ン グ 溶 液 (Sea Bl o ck Bl o c ki n g B uf f e r , Th e rm o Fi sh e r S ci ent i f i c ) を 26 0 μl ずつ 添 加 し 、 3 7 ℃ 2 時 間 ブ ロ ッ キ ン グ を 行 っ た 。 希 釈 バ ッ ファ ー ( 1 %ブ ロ ッキ ン グ 溶 液 、0 .0 5% S DS および 0.2% 2-ME を含 む洗 浄 用 バッファー)で希 釈 した D-Mb、標 準 タンパク質 、 あるいは サンプル溶 液 を 各 ウエルに 100 μl ずつ添 加 し、室 温 で 1 時 間 インキュ ベ ー シ ョ ン し た 。 各 溶 液 を 捨 て 洗 浄 用 バ ッ フ ァ ー で 6 回 洗 浄 後 、 HRP 標 識 抗 D- Mb m A b) ( 2. 2 μ g/ m l )を 各 ウ エル に 10 0 μl 添 加 し 、 室 温 で 3 0 分 間 イ ンキ ュベ ーショ ンした 。2 次 抗 体 にビオチン標 識 抗 D-Mb mAb (6.4 μg/ml)を用 いた場 合 には、10,000 倍 希 釈 した HRP 標 識 ストレプトアビジン(GE Healthcare)を使 用 し た。洗 浄 用 バ ッファーで 6 回 洗 浄 後 、1 ウェルあたり TMB 溶 液 を 100 μl ずつ添 加 し 、室 温 、遮 光 条 件 下 で 10 分 間 静 置 した。静 置 後 、1 ウェルあたり 1 M 硫 酸 を 50 μl を添 加 して反 応 を停 止 させ、450 nm の吸 光 度 をマイクロプレートリーダ ーで測 定 した。
Ⅲ. 結 果 1 . モノ ク ロ ー ナル 抗 体 の 性 状 D- M b 、ペプ チド A - K LH 、 およ び ペプ チド B -K LH を そ れぞ れ 抗 原 とし て 複 数 のハイブリドーマを確 立 した 。抗 ペプ チド A では 3 種 類 の mAb(B5、C9、H9)が得 られ、いずれもサブタ イプは IgG1 であった 。これらの mAb は固 相 した D-Mb と反 応 したが 、競 合 ELIS A においては、D-Mb と N-Mb に反 応 しなかった(Fig. 7)。 抗 ペプ チド B では 3 種 類 の mAb(1D、10B、11H)が得 られ、1D のサブタイプは
IgG2 a、10B と 11H は IgG1であった 。これらの mAb と Mb との反 応 性 をウエスタ
ンブロット解 析 した ところ、1D と 10B はブタ Mb と交 差 反 応 し、11H のみがウシ
M b と 特 異 的 に 反 応 する こ とが 確 認 で きた ( Fi g. 8 ) 。 さら に 抗 ペ プ チド B m Ab
1 1H は 競 合 E LIS A に おい て 、 ペプ チド B だ けで な く D -M b と N -M b の い ずれ と
も反 応 することが確 認 でき た (Fig. 9A)。抗 D-Mb mAb は 5 種 類 得 られ(1E、2C、
2 G 、3 B 、 1 1 E ) 、1 E 、2 C 、1 1E は IgG1、2G と 3B は IgM であった。11E は競 合
E LIS A に お いて 、 N- M b よ りも 抗 原 と し た D- M b に 強 く 反 応 し た が ( Fi g. 9 B )、ブタ M b と 交 差 反 応 する こ とが ウ エスタ ンブ ロ ッ ト解 析 によ り わか っ た ( Fi g. 1 0 ) 。 2 . m Ab -E LIS A の 構 築 固 相 抗 体 に Mb 特 異 的 な抗 ペプチド B mAb 11H を用 い、得 られた 5 種 類 の抗 D-Mb mAb を HRP 標 識 抗 体 としてサンドイッチ ELISA の組 み合 わせを検 討 した 。抗 D-Mb mAb 11E を HRP 標 識 抗 体 に利 用 した組 み合 わせは可 能 であ
ったが、HRP 標 識 抗 D-Mb mAb 1E、2C、2G、3B を用 いた場 合 にはサンドイッチ E LIS A の 構 築 が でき なか っ た 。 抗 D -M b m Ab 11E を HR P 標 識 抗 体 、 も し くは ビ オチン標 識 抗 体 とし たサンドイッチ E LISA の検 出 感 度 を比 較 した。その結 果 、ビ オチン標 識 抗 D-Mb mAb 11E を用 いた方 が高 い検 出 感 度 を得 ることがわかった ( Fi g. 1 1 、m Ab -E LIS A ) 。ブタ とトリ の M b を 用 いて m Ab -E LIS A の 交 差 反 応 性 を 調 べた ところ 、ウシ Mb 特 異 性 があることが確 認 できた (Fig. 12)。牛 肉 標 準 タンパ ク質 の 標 準 曲 線 を 作 成 し 検 出 感 度 を 調 べたところ、 その 検 出 限 界 は 9.5 ng 牛 肉 タンパク質 /ml となり、pAb-ELISA の検 出 限 界 29.4 ng/ml よりも検 出 感 度 が 高 か っ た (Fig. 13)。 本 法 は 豚 肉 と鶏 肉 、および 特 定 原 材 料 で ある 卵 、乳 、小 麦 、 そば、落 花 生 、エビ、 カニから調 製 した 標 準 タンパク 質 とも 交 差 反 応 を示 さなかっ た。 Ⅳ. 考 察 アレルゲン検 査 方 法 で使 用 し ている抽 出 溶 媒 には、加 熱 処 理 などで凝 集 や 変 性 して不 溶 性 に なったタンパク質 を 抽 出 するた めに SDS と 2-ME を添 加 してお り[59]、本 研 究 においても同 様 の抽 出 溶 媒 を使 用 した。 未 加 熱 と比 較 して加 熱 処 理 した 食 品 から のタンパク 質 の抽 出 量 の低 下 と同 時 に Mb の抽 出 量 の低 下 も 考 えら れたが 、Mb は加 熱 耐 性 がありジスルフィド結 合 がないことから [22]、他 のタ ンパク 質 よりも 抽 出 されやすいことが 考 えら れる。加 熱 処 理 によ る変 性 や凝 集 に
とで、加 熱 に 対 して安 定 的 なサンドイッチ E LISA を構 築 できると考 えられた。 ブタとトリの Mb のアミノ酸 配 列 と相 同 性 の低 いペプチド B を抗 原 として作 製 したモノクローナル抗 体 (抗 ペプチド B mAb 11H)はウシ Mb に特 異 的 であった。 ペプチド B は未 変 性 状 態 で分 子 の外 側 に露 出 していることから、 加 熱 後 の変 性 状 態 に なっても 分 子 表 面 に提 示 されている安 定 した 構 造 部 位 である可 能 性 が 考 えら れた 。この ことから、この 領 域 を 認 識 する 抗 ペプ チド B mAb 11H は加 熱 工 程 を 経 た Mb との反 応 性 が低 下 しないことが示 唆 された 。抗 D-Mb mAb は 5 種
類 得 られた が 、抗 D-Mb mAb 11E を標 識 抗 体 に使 用 したサンドイッチ E LISA の
構 築 が 可 能 であった 。抗 D-Mb mAb 11E は N-Mb よりも D-Mb との反 応 性 が高 いことから 、 変 性 状 態 となっ ている 食 品 中 の Mb と反 応 するために有 利 な性 状 を 有 し ていると考 えられた 。HRP、もしくはビオチンを標 識 した抗 D-Mb mAb 11E を 用 いてサンドイ ッチ ELISA の感 度 を比 較 した結 果 、ビオチン標 識 抗 D-Mb mAb 1 1E を 用 いた 方 が 高 い 検 出 感 度 を 得 る こ とが わか っ た (m Ab - E LIS A ) 。 m Ab -E LIS A は 豚 肉 と 鶏 肉 だ け で なく 特 定 原 材 料 7 品 目 と の 交 差 反 応 する ことなく牛 肉 に特 異 性 が 高 いことが 示 された 。 これら の結 果 か ら、mAb-E LISA は 高 い検 出 感 度 で Mb を特 異 的 に検 出 することが可 能 であると考 えられた。さらに 加 熱 処 理 に安 定 的 と考 えら れるペプ チド 領 域 を 認 識 する 抗 ペプ チド B mAb 1 1H と D -M b との 反 応 性 が 高 い 抗 D- Mb m A b 1 1E の 組 み合 わせ で構 築 し た サ ンドイ ッチ E LISA は、加 工 食 品 への適 用 性 が高 い方 法 であることが考 えられた 。
第 3 章 mAb-ELIS A を用 いた市 販 加 工 食 品 からの牛 肉 タンパク質 の検 出
Ⅰ. 緒 言
アレルゲン検 査 方 法 としては、対 象 検 体 中 に 0.001%のアレルゲンを検 出 可
能 な能 力 が 要 求 されている[39, 47]。現 在 、食 肉 製 品 の表 示 適 正 の 確 認 には、
加 工 肉 種 判 別 キ ット (ELISA TEK cooked meat speciation kit for beef, ELISA
Te c hno l o gi e s ) [ 7 ] が 、 加 工 食 品 中 の 牛 肉 を 検 出 す る方 法 とし て利 用 さ れて い る [ 32 ] 。 同 キ ットは 変 性 抗 原 に 反 応 す る抗 体 を 使 用 す るこ と で、 加 熱 な ど の 加 工 を 経 た 食 品 から 牛 肉 を 検 出 できることを 特 徴 とし ているが、 その 検 出 感 度 は低 く対 象 検 体 に 1%の牛 肉 (0.2%牛 肉 タンパク質 )が含 まれているか を定 性 的 に判 定 するだ けである。 本 研 究 で構 築 した サンドイ ッチ ELISA(mAb-ELISA)の固 相 抗 体 である抗 ペプ チド B mAb 11H は、加 熱 処 理 後 も分 子 表 面 に提 示 されている と 考 えら れる領 域 を 認 識 することで、加 熱 処 理 によ る反 応 性 低 下 がおこらない と考 えられ、さらに 標 識 抗 体 である抗 D-Mb mAb 11E は D-Mb に強 く反 応 する。これ らの抗 体 を 利 用 した mAb-E LISA は異 なる加 熱 履 歴 を持 つ市 販 加 工 食 品 への 適 用 性 が 高 いことが 期 待 される。 本 章 では mAb-E LISA を用 いてモデル食 品 か らの牛 肉 タ ンパク質 の検 出 を 試 み、加 熱 処 理 が検 出 に及 ぼす影 響 を調 査 した 。 さらに 加 工 肉 種 判 別 キット と検 出 感 度 を 比 較 し ながら 、mAb-E LISA の加 工 食 品 への 適 用 性 を 評 価 す ることを 目 的 とした。
Ⅱ. 材 料 及 び方 法 1 . モ デル 食 品 と サ ン プ ル溶 液 の 調 製 モデル食 品 とサンプ ル溶 液 の 調 製 は第 1 章 と同 様 の方 法 で実 施 した 。 2 . 加 工 食 品 とサ ン プ ル溶 液 の 調 製 加 工 食 品 は量 販 店 で購 入 し 、 6 種 類 の牛 肉 エキス(ペースト状 ; 5 種 類 、粉 末 状 ; 1 種 類 )は 業 務 用 品 を購 入 した 。フードカ ッターで 細 分 化 した それぞ れの 加 工 食 品 2 g に、0.5% SDS および 2% 2-ME 含 有 PBS(pH 7.2)を 18 ml 加 え、 室 温 で 12 時 間 振 とうした。3,000×g、20 分 間 遠 心 後 、上 清 をろ過 しそれぞれの サンプ ル溶 液 を 得 た 。 3 . m A b -E LIS A 9 6 穴 マ イ ク ロ タ イ タ ー プ レ ー ト ( C o rni n g) の 各 ウ ェ ル に 、 0. 1M リ ン 酸 緩 衝 液 (p H 7. 2 ) で 5 μ g/ m l に 希 釈 し た 抗 ペプ チ ド B m Ab 1 1H を 1 0 0 μ l 添 加 し 、4 ℃ で 1 2 時 間 静 置 し た 。 洗 浄 用 バ ッ フ ァー で 4 回 洗 浄 後 、 10 %ブ ロ ッ キ ング 溶 液 (S e a
Bl o ck Bl o cki n g B uf f er , T h erm o Fi s h er S ci ent i f i c ) を 26 0 μ l 添 加 し 、3 7 ℃ 2 時
間 ブロッキングした 。ブロッキング溶 液 を捨 て 4 回 洗 浄 後 、希 釈 バッファー(1% ブ
ロッキ ング溶 液 、0.05% SDS および 0.2% 2-ME を含 む洗 浄 用 バッファー)で希 釈
した 7.8~500 ng/ml の牛 肉 標 準 タンパク質 、あるいは各 サンプル溶 液 を 100 μl
ビオチン標 識 抗 D-Mb mAb 11E(6.4 μg/ml)を 100 μl添 加 し、室 温 で 1 時 間 イ ンキ ュベーショ ンした 。洗 浄 用 バ ッファーで 6 回 洗 浄 後 、10,000 倍 希 釈 した HRP 標 識 ス ト レプ ト ア ビジ ン (GE Healthcare) を 添 加 し た 。未 反 応 の スト レプト ア ビジン を洗 浄 、除 去 後 、TMB 溶 液 を 100 μl ずつウェルに添 加 し、室 温 、遮 光 条 件 下 で 10 分 間 インキュベーションした 。1 M 硫 酸 で反 応 を停 止 させた後 、450nm の 吸 光 度 を 測 定 し た 。 各 濃 度 の 牛 肉 標 準 タ ン パ ク 質 に 対 し て 得 ら れ る 吸 光 度 よ り 作 成 し た 標 準 曲 線 に 基 づき、各 サンプ ル溶 液 中 に含 まれる 牛 肉 タ ンパ ク 質 濃 度 を算 出 した。 3 . 加 工 肉 種 判 別 キ ット の 測 定 サンプ ル調 製 およ び 牛 肉 タ ンパ ク 質 の 検 出
加 工 肉 種 判 別 キ ット (ELISA TEK cooked meat speciation kit for beef ,
E LIS A T e ch nol o gi es ) は 、 加 工 食 品 か ら の 牛 肉 タ ンパ ク 質 検 出 を 特 徴 とし て いる ことから、mAb-ELIS A と感 度 を比 較 する方 法 として適 切 であると考 え使 用 した。 フード カッタ ーで細 分 化 した 加 工 食 品 5 g に、PBS(pH 7.2)を 10 ml 加 え、60 秒 間 ホモジナイ ズ後 室 温 で 60 分 間 静 置 した。10,000×g、10 分 間 遠 心 後 、上 清 をろ過 し各 加 工 食 品 のサンプル溶 液 を得 た。キ ット付 随 の牛 肉 陽 性 1%コントロ ール溶 液 、牛 肉 陰 性 コントロール溶 液 なら びに各 サンプル溶 液 を 100 μlずつ加 え、軽 く振 とうした 後 室 温 で 1 時 間 インキュベーションした 。洗 浄 後 、ビオチン標 識 抗 ウシタンパク 質 抗 体 溶 液 (キ ット付 随 )を 25 μlずつ加 え、室 温 で 1 時 間 イン
付 随 )を 25 μlずつ加 え、室 温 で 1 時 間 インキュベーションした 。酵 素 基 質 溶 液 (キット付 随 )を 25 μlずつ加 え、室 温 、遮 光 条 件 下 で 10 分 間 静 置 し、キット付 随 の反 応 停 止 液 で 反 応 停 止 後 、吸 光 度 を 測 定 した 。各 サンプ ル溶 液 で得 ら れる 吸 光 度 が 牛 肉 陽 性 コントロール溶 液 と同 じ 、もし くは 高 い吸 光 度 を 示 した場 合 に 牛 肉 陽 性 (1%)と判 定 した 。 Ⅲ. 結 果 1 . モデル 加 工 食 品 か ら の 牛 肉 タ ンパ ク 質 の 検 出 サンドイッチ ELISA(mAb -E LISA)を用 いて、豚 肉 と鶏 肉 に対 する混 合 比 率 と加 熱 処 理 が 異 なる モデル食 品 からの牛 肉 タンパク質 の検 出 を試 みた 。練 り肉 を牛 肉 のみで調 製 し 、未 加 熱 処 理 、 80℃30 分 処 理 、もしくは 120℃30 分 加 熱 処 理 したモデル食 品 か ら抽 出 したそれぞれのサンプル溶 液 に含 まれる牛 肉 タ ンパク 質 濃 度 を mAb-E LIS A で測 定 したところ、8.4、7.5、および 6.4 mg/ml であった。 2- D Qu an t P rot ei n A s s a y K i t を 用 い て サ ンプ ル 溶 液 の タ ンパ ク 質 濃 度 を 測 定 し
た結 果 、8.0、3.0、および 2.2 mg/ml であった(Table 3)。また mAb-E LISA は、異
なる加 熱 処 理 で調 製 した牛 肉 混 合 比 率 0.01%の種 々のモデル食 品 に含 まれる
牛 肉 タンパク 質 を 検 出 することができた (Table 4)。
2. 加 工 肉 種 判 別 キ ッ ト との 比 較
からの牛 肉 タンパク 質 の 検 出 を市 販 の 加 工 肉 種 判 別 キ ット と比 較 した 。牛 肉 エ キスから 0.5% SDS と 2-ME 含 有 PBS(pH 7.2) 、もしくは PBS(pH 7.2) で抽 出 し たサンプ ル溶 液 に含 まれるタ ンパク 質 濃 度 を測 定 した ところ、タ ンパク 質 の抽 出 効 率 は SDS と 2-ME を添 加 することで改 善 する傾 向 がみられ[61]、mAb-ELISA で検 出 された 牛 肉 タ ンパク 質 の濃 度 は、SDS と 2-ME 含 有 PBS(pH 7.2) で抽 出 したサンプル溶 液 で高 かった(Table 5)。加 工 肉 種 判 別 キット は、牛 肉 を配 合 し ている市 販 食 品 から は牛 肉 タ ンパク質 を 検 出 できたが、牛 肉 エキスを 使 用 してい る市 販 食 品 からは 検 出 できなかった 。mAb-E LISA は供 試 した全 ての市 販 食 品 より他 のタンパク 質 と交 差 反 応 することなく 牛 肉 タンパク 質 を 特 異 的 に 検 出 でき たことから、同 キ ットよ りも 高 い検 出 感 度 を 有 することが確 認 できた (Table 6)。 Ta bl e 6 の R oux 、 H a m bu r ge r s t e a k 2 、M e at b al l 2 、D r y s au s a ge 、 Ha m 、 Ha m bu r ge r s t e a k 3 、 およ び C hi c ke n m e at b al l は m Ab - E LIS A の交 差 性 を 調 査 する目 的 で選 択 した 食 品 であり、いずれも 牛 肉 や牛 肉 加 工 品 の表 示 は記 載 され
ていなかった 。mAb-ELISA により牛 肉 タンパク質 が検 出 された Hamburger steak
2 に 含 ま れ る 牛 肉 タ ン パ ク 質 濃 度 を 算 出 し た と ころ 、0 .0 1 m g 牛 肉 タ ン パ ク 質 / g
食 品 であった 。
Ⅳ. 考 察
抗 ペプ チド B mAb 11H が認 識 し、さらに D-Mb との反 応 性 が高 い標 識 抗 体 の 抗 D-Mb mAb 11E が結 合 することで、加 熱 処 理 に対 して安 定 的 なサンドイッチ E LIS A が 構 築 で きた と 考 え ら れる 。 抽 出 溶 媒 への SDS と 2-ME の添 加 はタンパク質 の抽 出 効 率 を向 上 させたが、 加 熱 処 理 により抽 出 されるタ ンパク 質 量 は低 下 した 。一 方 、 mAb-ELISA で検 出 される牛 肉 タ ンパク質 は、SDS と 2-ME を添 加 した PBS で抽 出 することで高 い値 を示 した 。標 識 抗 体 である抗 D-Mb mAb 11E は N-Mb との反 応 性 が低 いことか
ら(Fig. 10B)、mAb-ELISA で高 い検 出 感 度 を得 るためには、 Mb を SDS と 2-ME
で変 性 状 態 にする ことが 重 要 で あると考 え られる。 加 工 肉 種 判 別 キ ット は、検 査 対 象 とする検 体 に牛 肉 が 1%含 有 しているか 否 かを判 定 するキ ットであり、牛 肉 タ ンパク 質 の 検 出 限 界 濃 度 は約 0.2%と見 積 もられる。mAb-ELIS A は牛 肉 が 0.01%(牛 肉 タンパク質 として約 0.002%)配 合 さ れている加 工 食 品 か ら牛 肉 タンパク 質 を 検 出 することが可 能 であり、市 販 E LISA キットよ りも 検 出 感 度 が高 いことが確 認 できた 。実 際 に市 販 E LISA キットでは牛 肉 タンパク質 を 検 出 できなかった市 販 食 品 からも 検 出 可 能 であ った。 m Ab -E LIS A が Ha m bu r ger st e ak 2 で 検 出 し た 牛 肉 タ ンパ ク 質 (0. 01 m g 牛 肉 タンパク質 /g)は非 常 に値 が低 く、製 造 中 の牛 肉 の意 図 せぬ混 入 、もしくは製 造 ライ ンの 洗 浄 不 足 が原 因 と考 えられ [58]、mAb-ELISA は製 造 工 程 中 に混 入 する微 量 な牛 肉 タ ンパク質 の検 出 も 可 能 である と考 えられる 。これらの結 果 から、 m Ab -E LIS A は 加 熱 処 理 に 対 し て 安 定 的 であ り 、 他 のタ ンパ ク 質 と交 差 せずに
牛 肉 タンパク 質 を 特 異 的 に 検 出 することができ、市 販 E LISA キットよりも高 い検
総 合 考 察 現 在 、特 定 原 材 料 として指 定 されている 卵 、牛 乳 、小 麦 、そば、落 花 生 、エ ビ・カ ニ(甲 殻 類 )については、アレルゲン検 査 方 法 が標 準 化 され表 示 の整 合 性 を調 査 するために測 定 キ ットが 販 売 されている [6, 21]。表 示 推 奨 品 目 の中 の食 品 に ついても 検 査 方 法 の 確 立 が進 められており [17, 18, 40]、表 示 義 務 化 に備 えた準 備 が 整 えら れている。 一 方 で厚 生 労 働 省 が通 知 した アレルゲン測 定 方 法 の序 文 に おいて、標 準 化 されている検 査 方 法 は全 ての食 品 に適 用 されないこと が記 載 されている。 食 品 に 含 まれるアレルゲンを検 出 する最 初 の段 階 として、測 定 するサンプ ル溶 液 に 食 品 からタンパク 質 を 抽 出 する必 要 があるが 、食 品 は 様 々な原 材 料 の使 用 や加 熱 などの加 工 工 程 によって 異 なるマトリク ス構 造 となっ ているた め、あら ゆる食 品 に 適 用 できる抽 出 方 法 は 存 在 し ない と考 えら れている ためである。Watanabe らは抽 出 溶 媒 に SDS と 2ME を添 加 することで食 品 からの タンパク 質 抽 出 効 率 を向 上 で きることを 見 出 し た[59]。この手 法 を用 いても食 品 によってアレルゲン回 収 率 は異 なっ ているが、タ ンパク 質 抽 出 に関 し てはこの手 法 で統 一 することとなり 現 行 の アレルゲン検 査 方 法 の全 てに適 用 されている [39, 4 7] 。 現 在 厚 生 労 働 省 で は 新 た な 抽 出 方 法 を 検 討 中 であ る 。 本 研 究 の 牛 肉 タ ン パク質 の 検 出 方 法 は アレルゲン検 査 方 法 に準 拠 し て実 施 した ため、 SDS と 2-M E を 添 加 し た 抽 出 溶 媒 を 用 いて 食 品 か ら タ ンパ ク 質 を 抽 出 し た 。 加 熱 処 理 の異 なるモデル食 品 からの抽 出 タンパク 質 量 を測 定 した ところ、 さらに 未 加 熱 の
モデル食 品 でも約 20%のタンパク質 しか抽 出 されないことが明 らかとなった。しか し SDS と 2-ME を添 加 しない PBS を用 いた場 合 には抽 出 されるタンパク質 量 が 尐 なかった ことから、 Watanabe ら[59]が報 告 したように、これらの試 薬 はタンパク 質 抽 出 効 率 を 向 上 させていることが確 認 できた 。牛 肉 タ ンパク 質 の検 出 は食 肉 製 品 が 主 な検 査 対 象 に なる と考 えら れるので 、食 肉 製 品 に適 した抽 出 方 法 の開 発 が 今 後 の課 題 であると思 われる[50]。 本 研 究 では抗 体 作 製 の 抗 原 の選 択 を重 要 視 し 、牛 肉 タ ンパク 質 に特 異 的 なサンドイ ッチ E LISA を構 築 するための抗 原 として、牛 乳 に存 在 せず比 較 的 家 畜 ・家 禽 間 でアミノ 酸 配 列 の相 同 性 の低 い Mb を選 択 した。さらにブタとトリの Mb のアミノ 酸 配 列 と比 較 し 、 相 同 性 の低 い配 列 を 2 種 類 選 択 してペプチド抗 原 (ペ プチド A、ペプチド B)とし、ウシ Mb 特 異 的 ポリクローナル抗 体 (抗 ペプチド A pAb ) およ びモ ノ ク ロ ー ナル 抗 体 ( 抗 ペプ チ ド B m A b 1 1H ) を 作 製 で きた 。 抗 ペプ チド A pAb を固 相 抗 体 としたサンドイッチ ELISA(pAb-ELISA)はウシ Mb に特 異 性 が あり、加 工 食 品 に含 まれる他 のタンパク質 と交 差 反 応 することなく、 表 示 に 適 合 した 牛 肉 タ ンパ ク質 の 検 出 が 可 能 であった が 、食 品 の加 熱 処 理 に影 響 をう けて検 出 される牛 肉 タンパク 質 量 が低 下 した 。検 査 対 象 となる加 工 食 品 は、条 件 は 異 なるが加 熱 処 理 が なされていることが考 えら れたた め、加 熱 処 理 に影 響 を 受 けないことが 検 査 方 法 の 条 件 とし て 必 要 となる。ペプ チド B は 142 番 目 のメチ オニンから C 末 端 153 番 目 のグリシンの領 域 で合 成 されており、未 変 性 状 態 で
タンブロット解 析 で 100℃で加 熱 処 理 した Mb と牛 肉 アレルギー患 者 血 清 との反
応 が みられた ことを 報 告 し て おり、ペプチド B 領 域 は加 熱 処 理 後 も抗 体 と反 応 で
きる可 能 性 が考 えら れたた め、 抗 ペプチド B mAb 11H を固 相 抗 体 としたサンドイ
ッチ ELISA を構 築 した(mAb-E LISA)。mAb-E LISA は他 のタンパク質 と交 差 反
応 することなくウシ Mb を特 異 的 に検 出 できる だけでなく、食 品 の加 熱 処 理 に影 響 をう けずに牛 肉 タ ンパク質 を 検 出 すること が可 能 であった 。これらの特 徴 は 、加 熱 処 理 に 対 して安 定 なペプ チド B 領 域 を認 識 する抗 ペプチド B mAb 11H と D- M b と 強 く 反 応 す る 抗 D- M b m A b 11 E を 利 用 す るこ と で実 現 で きた と 考 え ら れ た。今 後 はこれら の抗 体 の エピトープ 解 析 を 実 施 し、認 識 部 位 を明 らかにする必 要 が あると思 われる 。 加 工 食 品 か ら の牛 肉 タ ンパ ク 質 検 出 を 特 徴 とし てい る 加 工 肉 種 判 別 キ ット と、 m Ab -E LIS A の 検 出 感 度 を 市 販 食 品 を 用 いて 比 較 し た と ころ 、 m Ab -E LIS A は 市 販 ELISA キットよりも優 れて いた。アレルゲン検 査 方 法 には、表 示 の判 断 基 準 となる 10 μg 牛 肉 タンパク質 / g 食 品 を検 出 できる感 度 が必 要 となる。サンプル溶 液 の 最 小 希 釈 10 倍 に含 まれる食 品 濃 度 10 mg 食 品 /ml と、mAb-E LISA の検 出 限 界 である 9.5 ng 牛 肉 タンパク質 /ml から算 出 される検 出 感 度 は 、0.95 μg 牛 肉 タンパク質 / g 食 品 であり、アレルゲン検 査 方 法 に必 要 な検 出 感 度 を十 分 に 満 たす方 法 であることが明 らか となった 。 高 い検 出 感 度 を 有 する mAb-E LISA は、 製 造 中 の 意 図 せぬ牛 肉 の混 入 やライ ンの洗 浄 不 足 により残 存 する微 量 な牛 肉 タンパク 質 を検 出 でき、アレルゲン混 入 を 検 出 する方 法 とし て利 用 することが可
能 であること が示 唆 された 。 これらの成 績 により、 mAb-E LISA はアレルゲン検 査 方 法 の検 出 感 度 を十 分 に満 たし 、加 熱 安 定 的 に様 々な加 熱 履 歴 を 経 た食 品 から 牛 肉 タンパク質 を 検 出 できる方 法 であることが 明 らかとなった ことから 、牛 肉 アレルギー患 者 の 健 康 被 害 防 止 に 有 用 な検 出 技 術 とし て利 用 されることが期 待 される。 近 年 、食 品 の 表 示 違 反 や再 利 用 など の食 品 の 違 法 行 為 が明 らか となっ ており 、食 の安 全 安 心 に対 する消 費 者 の 関 心 は よ り強 くなってきている 。食 肉 製 品 についても 食 肉 偽 装 事 件 の 発 生 により不 安 感 が 全 国 的 に広 まっている。本 研 究 で構 築 した m Ab -E LIS A はア レ ルゲ ン 検 査 方 法 とし てだ けで な く 、食 肉 製 品 の 検 査 方 法 の よ り一 層 の 充 実 にも貢 献 できると考 えら れた 。
結 論 1 . ポリ ク ロ ー ナル 抗 体 を 用 いた サ ンド イ ッ チ E LIS A は 、 ウシ M b の 特 異 的 な 検 出 が可 能 であったが 、検 査 対 象 となる食 品 の加 熱 処 理 条 件 に 影 響 を受 けること と考 えら れる 。 2 . モノ ク ロ ー ナル 抗 体 を 用 いた サ ンド イ ッ チ E LIS A は 、加 熱 条 件 に影 響 を 受 け ずに 牛 肉 タ ンパク 質 を特 異 的 に検 出 できた。固 相 抗 体 として使 用 した mAb 1 1H の 認 識 部 位 で あ るペプ チド B 領 域 は 加 熱 処 理 に対 し て 安 定 的 で あ るこ とが 示 唆 された 。 3 . m Ab -E LIS A の 検 出 感 度 はア レル ゲ ン 検 査 方 法 に 必 要 と さ れ る 感 度 を 十 分 に満 たし 、市 販 の 牛 肉 検 出 キットより優 れていることから実 用 性 に富 んだ方 法 である。
M 1 2 3 4 (kDa) 97.2 66.4 29.0 20.1 14.3 44.3 M 1 2 3 4 (kDa) 97.2 66.4 29.0 20.1 14.3 44.3
Fig. 1. SDS-PAGE profile of purified beef myoglobin (Mb). 0.5μg of
Mb was applied to a 15% polyacrylamide gel.
(kDa) 97- 66- 44- 29- 20- 14-