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Web-GISを用いた都市持続性評価システムの構築 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)Web-GIS を用いた都市持続性評価システムの構築. 李 雨軒 1.はじめに. 価結果を Web-GIS 上で視覚的にわかりやすく表示・公. 1-1 研究の背景. 開する。. 20世紀後半にサステナブル・ディべロップメント. 1-3 研究の方法. の概念が提唱されてから、その定義について世界各地. まずデータベースを構築するためにデータの収集を. で議論が行われている。都市分野においても都市の持. 行う。作業に用いられる大量かつ多様なデータを効率. 続性を評価する手法を開発することは主要なテーマの. 的に管理、処理することが必要とされ、入手したデー. 1つとなっている。しかし、近年急激な都市化が進む. タから都市情報データベースを構築し、一元的に管理. につれて数多くの都市問題が発生する中で、都市を取. する。次に既往の評価ツール・既往研究・法令などを. り巻く情報は多様化・複雑化している。そのため、普. 引用または参考にすることで評価指標項目を選定す. 遍的な都市評価手法を開発することは非常に困難なこ. る。各評価項目に A H P 法による重み付けを行い、都市. ととされている。. 情報評価システムを構築する。最後に福岡市を対象と. 現在、国際機関や国、地方自治体など様々レベルで. して当システムを用いて持続性評価を行い、結果を分. 都市持続性を評価する手法が開発されている。但し、 析した後適用した結果を ArcGIS を用いて 250 メッシュ これまでに開発され、頻繁に使用されている都市持続. でのアウトプットし、ArcGIS Server を用いて WEB で. 性評価システムでは、定性的な評価手法を用いている. 公開する。本研究の流れを図 1 に示す。. ものが一般的で、定量的な評価手法を取り入れている. 2.Web-GIS による都市情報データベースの構築. ものが少ないという問題がある。. 2-1 Web-GIS について. 一方で、近年の情報技術の発展を背景に、都市計. Web-GIS とは、地理情報データを総合的に管理・加工・. 画分野においても地理情報システム(G e o g r a p h i c . 分析・表示する GIS を Web 技術の応用することで、イン. Information System:GIS)が活用されるようになっ. ターネットもしくはイントラネット上で利用できる技術. た。G I S は地図と関連した多様なデータ処理を可能に. である。. し、さらにインターネット上などで G I S を共有し利用. 本研究では、G I S を用いて都市情報データベースの. できる Web-GIS が脚光を浴びている。. 構築を行っていく。G I S でデータベースを構築するメ. 1-2 研究の目的. リットとして、以下の 3 点があげられる。. 本研究は定量的評価による利点及び課題の解決を包. 1)様々なデータ形式で時空間にわたる大量のデータ. 括するシステムの構築を目的とする。そして、構築し. を効率的に一元管理することが可能となる。. たシステムを用いて実都市を評価し、都市持続性の評. 2)継続的にデータを収集・処理・蓄積することが可. データの収集. 能となる。 3)様々な空間解析手法が利用できるため、データを. データベースの作成. より高精度に評価することが可能となる。. 評価指標項目を選定. 2-2 都市情報データベースの構築. 重み付けを行う 評価システムの構築 評価を行う. 本研究において構築する都市情報データベースは データベース(DB)サーバと WEB/GIS サーバで構成さ れる。ユーザー数とシステムの規模を想定した結果各 サーバの負荷分散を行う必要性があったため DB サーバ と WEB/GIS サーバに分けて構成をした。サーバを2つ. ウェブで公開. に分けることから、データを格納するためには ArcSDE. 図 1 研究の流れ. が必要となった。都市情報データベースの全体構成 15-1.

(2) を図 2 に示す。D B サーバ内のデータは同サーバ内の. クライアント PC. ArcSDE を通じて WEB/GIS サーバ内の ArcInfo 上で表示 ルーター. される。尚、DB サーバにおいて GIS データを格納・使. ファイヤーウォール. 用・管理する際、Microsoft SQL Serve を用いた。. ArcInfo. スイッチングハブ. 入手したデータでデータベースを作成する時では、 ArcSDE. GIS データが異なる座標系で作られていることが多く、 そのデータの座標系を補正する必要がある。作成した. WEB/GIS. DB Server. Server. データベースを GIS 上で表示した結果を図 3 に示す。. database. 2-3 Web での公開について 都市情報データベースの構築後、ArcGIS Server に よって、G I S サービスを作成、公開及び管理すること. PC:PowerEdge T410 タワーサーバー OS:Microsoft Windows Server 2008 R2 Standard Arc GIS Server Standerd Enterprise. DBMS: SQL Server 2008 R2 Standard. ができる。. ArcGIS Desktop:ArcInfo 10. Arc SDE 10 Enterprise. 図 2 都市情報データベースの構造. まず、A r c I n f o を用いて都市情報データベースか らシェープファイルを読み込み、マップドキュメン トを作成する。そのマップドキュメントから A r c G I S Server Manager を使ってマップサービスを作成した 後、G I S サービスを公開する。インターネットができ る環境であれば、外部からアクセスが可能である。図 4 に公開した GIS サービスの画面を示す。 3. 都市持続性評価システムの構築 3-1 評価システムの構成 本研究において構築するシステムは「評価指標項目」. と「各項目間の相対的な重要度から算出される重み」 図 3 GIS を用いた都市情報データベース. の2つの要素から構成される(図 5) 。評価項目に応じ た指標を得点化した後、各項目に設定された重みを加 味した上で合算した結果都市の総合評価が得られる。 これにより導出された都市の持続性評価結果を分析す ると都市の改善点や特徴を局所的に把握することが可 能となる。 3-2 評価指標項目について. 持続性評価システムを構築するために、具体的な評 価対象となるの持続性評価指標項目を選定する。都市 の評価はこの指標により具体的な得点を与えられるこ とで決定する。評価項目及び評価指標の選定は既往の 評価ツール・既往研究・法令などを引用もしくはは参 考とすることで決定する。選定の条件を以下にまとめ 図 4 Web での GIS サービス公開. る。 1)中立を保つために、トリプルボトム・ラインに基. 都市持続性評価システム AHP 法による重み付け. 評価指標項目による得点化. づいた選定を行う。 用を目的とするために、公開頻度が一定であり、入手・ 更新が容易である政府機関統計もしくは行政公表資料 を用いる。 3)詳細な評価を可能とするために、選定候補になり うる指標が複数存在した場合、そのデータが収集され 15-2. 環境. 評価項目. 2)対象都市・対象年代に制約されないシステムの適. 評価指標Ⅰ. 得点Ⅰ. 評価指標Ⅱ. 得点Ⅱ. 評価指標Ⅲ. 得点Ⅲ. 重みⅠ. ×. 得点Ⅰ. = 得点Ⅱ. 重みⅡ 重みⅢ. 得点Ⅲ. 総合値 社会. 評価指標. 得点. ×. 重み. =. 得点. 経済. 評価指標. 得点. ×. 重み. =. 得点. 図 5 評価システム構成図. 値に応じて 総合値の段階 評価を行う。.

(3) たスケール(町丁目等)が最も小さいものを選定する。. 表 1 評価項目の概要. 以上の条件を踏まえて選定した項目は環境・社会・. 大. 中. 経済の3つの項目をトリプルボトム・ラインとして大. 項. 項. 目.  . たりに一つもしくは複数の指標が与えられる。選定し. 都 市. た項目及び指標の具体的評価方法について整理し、表. 環 環. 水. 4 項目(SO₂,NO₂,Ox,SPM)のうち 測定時点において環境基準以上を 達成した項目すの比率. 境. 各項目の得点は以下の式(1)~(4)によって導か れる。 An = an × α n …(1). 水消費量. 一人当たり年間生活用水使用量. 水質. 地下水の水質. 自然被覆地. 自治体面積に占める自然的土地面 積の比率. 土壌の品質. 対象におけるダイオキシン類濃度. 廃棄物の排出量. 一人一日当たりゴミ排出量. 資源再利用効率. 一般廃棄物のリサイクル率. 自然的土地保全率. 保全率=保全数 / 農地+森林+た め池・湖 + 河川・水路 + 用排水路 総数. 人口自然増減率. 当該自治体の人口自然増減率 - 全 国の人口自然増減率.   土地. 境. 指標の総得点:An 指標の得点:an . 具体的評価方法. 大気汚染物質排出量 空気 (SO₂,NO₂,Ox,SPM).  . 1 にまとめる。. 具体的評価指標. 項目 目 (小項目). 項目に大別した。さらに大項目内で中項目に分別した。 中項目内には具体的な小項目が存在し、小項目一つあ.   . 評価. 資 源. 廃棄物. 自然 環境. 環境 保全. 人口 動態. 人口.          . 指標の重み値:α n Bn = Σ nk=1 Ak × β n …(2) 小項目の総得点:Bn 小項目の得点:Σ nk=1 Ak 小項目の重み値:β n. 住 環 境.     社 会. Cn = Σ nk=1 Bk × γ n …(3) 中項目の総得点:Cn 中項目の得点:Σ nk=1 Bk 中項目の重み値:γ n. 都 市 基 盤. Dn = Σ nk=1 Ck × δ n …(4) 大項目の総得点:Dn 大項目の得点:Σ nk=1 Ck . 権 利. 点から5点までの得点を与えられることとなる。.       経 済. 3-3 重み付けについて AHP(Analytic Hierarchy Process) 法はトーマス・. 人口千人当たり刑法犯認知件数. 住宅. 住宅整備水準(量). 誘導居住面積水準以上の主世帯の 割合. OS. オープンスペース整備水準 一人当たり公園面積. 都市 防災. 地盤形状(地震). 地震による揺れやすさ度合. 都市. 歩行者空間の安全性. 人口 10 万人中の交通事故による 負傷者数. 障害者サービス充実度. 障害者施設定員数/総人口. 情報システム. インターネット世帯別普及率. マネージメントシステム. 行政評価システムの導入. 交通. 公共交通利便性. 公共交通機関利用率. 権利. 権利の多様性. 市民・住民への情報公開度. 地方自治体財政力. 財政力指数. 財政安定度. 将来負担比率. 地場産業. 実質経済成長率. 雇用率、失業率. 完全失業率. 財政 地 方 経 済. L・サーティによって提唱された意思決定手法であり、. 産業 雇用. 計量心理学や市場調査の分野において発展を遂げてき た。A H P 法の特徴は人間の主観的側面を客観的に捉え. (転入者数 - 転出者数)/ 総人口. 防犯. 社会 基盤. 大項目の重み値:δ n 具体的評価指標は5段階評価による結果によって1. 人口社会増減率. 安全. 雇用の多様性. 有効求人倍率. 収入 支出. 所得. 一人当たり県民所得増加率. 企業. 企業数. 事業所増加率. なおすことを可能としている部分にある。また、マト リクス化を行い同様の計算を繰り返すために表計算ソ. 左 の 項 目 が 絶 対 的 に 良 い. フトウェアによって実行することが可能であり、操作 性が高い点も特徴である。本研究における重み値の算 出には「Microsoft Excel」を使用した。この手法は既往. 中 間. 左 の 項 目 が 非 常 に 良 い. 左 の 項 目 が よ い. 中 間. 中 間. 左 の 項 目 が 若 干 良 い. 中 間. 左 右 同 じ く ら い よ い. 中 間. 右 の 項 目 が 若 干 良 い. 中 間. 右 の 項 目 が よ い. 中 間. 右 の 項 目 が 非 常 に 良 い. 中 間. 右 の 項 目 が 絶 対 的 に 良 い. 項目Ⅰ 項目Ⅱ 項目Ⅲ. 項目Ⅱ 項目Ⅲ 項目Ⅰ. の研究や様々な持続性評価ツールにおいて重み付けを行 一対比較による相対的な重要度の設定. うことを目的としてよく用いられている。 AHP 法はそれぞれの項目を多階層に分類し、各階層毎に. 重み 項目Ⅰ 項目Ⅱ 項目Ⅲ. 一対比較法を行うことで階層内での重要度を決定するこ. 項目Ⅰ 1 1/a 1/b. 項目Ⅱ a 1 1/c. 項目Ⅲ b c 1. ×. 項目Ⅰ α 項目Ⅱ β 項目Ⅲ γ. =. 項目Ⅰ 項目Ⅱ 項目Ⅲ. α 1/a ・ β 1/b ・ γ. aα β 1/c ・ γ. とを可能とする。それらの重みを掛け合わせた得点を合 算することで総合結果が得られる。. 一対比較表の作成. 一対比較による相対評価は全ての項目間において行 う。一対比較は項目数が多いほど項目間の比較が困難 となるために、比較を行う回答者の簡潔な回答を得る ことを目的として当評価システムにおける一対比較は. (. 1. a. b. 1/a 1. c. 1/b 1/c 1. ). 固有値法:2 つが同じになるような重み. 重み. 固有値 項目Ⅰ α(1+a+b) 項目Ⅱ β(1/a+1+c) 項目Ⅲ γ(1/b+1/c+1). ÷. =. 項目Ⅰ α 項目Ⅱ β 項目Ⅲ γ. 合計. マトリクス化 / 固有値の算出. 主に用いられる 17 段階評価ではなく 7 段階による相 15-3. 図 6 固有値法の過程と一対比較の例. bα cβ γ.

(4) 対評価とする。また項目の階層化については、各階層 別結果の導出を目的として大項目・中項目・小項目・ 評価指標の4階層に分類した。 具体的な重み値の算出は固有値法を用いる。固有値 法は一対比較結果をマトリクス化し固有値と固有ベク トルを求め、固有ベクトルを重み値とする方法である。 この固有値法の過程と一対比較の例を図 6 に示す。 評価システムを適用する対象都市・年代を考慮し A H P 法による重み付けを行うことで、各都市・年代に. 環境. 社会. 適した重みを設定することが可能となる。システムを 適用する対象都市の特性を把握したうえでの重み値の 設定ができるためより汎用性の高いシステムの構築が 可能となる。 4. 実都市への適用 4-1 福岡市への適用 福岡市を対象として当システムを用いて持続性評価. を行った後、適用した結果を ArcGIS を用いて 250 メッ 経済. シュでアウトプットを行い、ArcGIS Server を用いて. 総合評価. WEB で公開した。今回は 250 メッシュとしたが、 500 メッ. > 1.50 Std.De. -0.50 - 0.50 Std.vDe. シュ等他のスケールでも表示することが可能である。. 0.50 - 1.50 Std.vDe. -1.50 - -0.50 Std.vDe < -1.50 Std.De. 今回用いた福岡市のデータは主に政府機関統計・福. 図 7 各大項目の評価結果と総合評価結果. 岡市統計情報・ふくおかデータウェブから収集した。 データは項目中最もスケールが小さい町丁目別で整理 したのちメッシュデータへと変換を行った。尚、町丁 目毎の数値情報が存在しない項目については、町丁目 が属する行政区毎もしくは福岡市の数値情報を与え. は社会及び経済で比較的高い評価を得たものの環境評 価が低いために総合結果も低いものとなった。また博 多区では福岡空港周辺において低い評価がなされてい るが、定住不可能であることや滑走路や緩衝帯といっ た空港施設化しているために環境項目の評価が低かっ. た。 町丁目毎の数値情報を Arc GIS を用いて福岡市町丁 目ポリゴンに結合し、インターセクト機能を用いて メッシュデータ化を行った。メッシュ内に複数の町丁 目がまたがる場合、ポリゴン内の各町丁目ごとの面積 割合を各数値情報に掛け合わせ、合計することでメッ シュ内の数値とした。アウトプットは福岡市内におけ る各項目の標準偏差によって 5 段階評価を行っている。. たことが影響していると考えられる。 5. 総括 (1)当システムは①対象都市に応じて評価指標項目の 重要度が設定できる。②様々なスケールで評価結果を アウトプットできる。③階層毎に評価結果を見ること で、改善すべきエリアを局所的に把握できる。この 3 点から汎用性のある都市持続性評価手法を提示できた と言える。. 4-2 適用結果及び分析 福岡市における当システムを適用させた都市持続性. 評価の各大項目の評価結果と総合結果を図 7 に示す。 総合結果は環境、社会、経済の大項目にそれぞれの重. (2)都市情報データベースを構築することでデータの 一元的な管理が可能となった。また、W e b - G I S を用い たことでデータベース化された情報や持続評価手法の 評価結果を視覚的に表示することができた。. みを掛け合わせたうえで合算したものである。 そ れ ぞ れ の 重 み 値 は 環 境 が「0.460228」 社 会 が 「0.257662」経済が「0.28211」で設定されており、こ れはアンケート対象者が福岡市の持続性に関して環境 項目を重視したためである。 行政区毎に分析を行うと環境項目で高評価を得た早 良区は総合的にも高い評価を得た。その一方で中央区. これからは研究の精度を高めるために、案例分析を 増加し、選定した指標の有効性を証明することが課題 となる。 参考文献 1) 高橋美保子 鵜木千里 出口敦 :「サステナブル・ディベロップ メントの概念と都市のサステナビリティ評価手法に関する基礎研 究」、九州大学大学院人間環境学研究院紀要 第 11 号 2007 年 1 月. 15-4.

(5)

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