解約﹁告知﹂に関する一考察
園
田
格
一 間 題 の 所 在
二 学説の概叡
≡ 判例の態度
四 卑 見
一 問 題 の 所 在
契約
法に
おい
て︑
学術
上︑
一時
的債
権︵
契約
︶関
係と
継続
的債
権
︵契
約︶
関
係と
を分
類し
︑そ
の消
滅の
原因
であ
る
﹁解除﹂と﹁告知﹂とは用語として異なる概念として規定せられ︑解除が一時的債権︵契約︶関係の遡及的消滅をも
たらすものであり︑告知は継続的債権︵契約︶関係を将来に向ってのみ消滅せしめるものである︑と一般に解されて
いる︒その根拠や理論の構成の仕方は様々に分れるが︑ともかく民法の規定の上でも︑語の使い方において厳密を欠
lくうらみはあるにしても︑機能的に﹁解除﹂と﹁告知﹂とが区別して用いられていることは疑いのないところであか︒
ところで︑この解除と菖知の区別と︑それらが用いられる場としての一時的債権︵契約︶関係と継続的債権︵契約︶
解的﹁告知﹂に躍する勺察
経 営 と 経 済
関係との関連は︑いまだ明らかにされていない点が幾っか残っているようである︒特に︑端的に問題として取り上げ
られているのは︑周知の如く︑債務不履行﹁解除﹂についての規定である民法五四一条ないし五四三条が︑継続的債
権(契約)関係にも適用され得るものか否かに関してである口
本稿は︑告知をめぐる一つの問題として︑右の点に若干の考察を加えんとするものである︒もっとも︑一時的債権
(契約)関係ならびに継続的債権(契約)のすべてについてではなく︑それぞれの典型として受け取られる売買と賃
ヮ
貸借ことに不動産賃貸借を中心にしての考察である︒
ω
民法
は告
知の
場合
にも
解除
と呼
んで
いる
が︑
普通
には
区別
され
てい
る︒
五九
四条
三項
︑六
O七
条︑
六一
O条
等多
数あ
る︒
ま
た︑
六一
入条
︑六
一二
条等
の解
約︑
六一
七条
等の
解約
申入
も同
様で
ある
︒
ω
一時
的債
権関
係と
継続
的債
権闘
係の
語は
︑そ
れぞ
れ一
時的
債権
契約
と継
続的
債権
契約
から
発生
する
債権
関係
を指
すの
が通
常
の用
法で
ある
︒
学 説
の 概 観
学説は︑問題を肯定するものと否定するものとの二つに大きく分れており︑現在のところ肯定説が通説的見解だと
目されるが︑最近においては否定する立場の方が有力になりつつある傾向を示しているように思われる︒以下氏︑学
説を概観してみたい︒
とし︑当事者の一方に債務不履行がある場合に︑相手万は相当の期間を定めて催告した上で︑もしその期間内に履行 肯定説を採る学説は︑民法五四一条の規定を継続的債権(契約)関係に適用すべきであるのは当然である
がなされないときは︑告知し得るものと解している︒
その理由とするところは︑解除の非遡及に関する民法の規定すなわち第六二O条︒第六三O条・第六五二条・第六 で 八 あ 四
る 条。(1)
カ :
﹁解除﹂なる語を広く使用していることと︑これらの規定には発生原因を制限したものがないということ
賃貸借に関して︑右の立論からすれば︑肯定説では︑賃借人が一回たりとも賃料を滞納したときには︑それだ
けで﹁告知﹂をなし得るに至るわけである︒
しかし︑それでは賃貸借乙とに不動産賃貸借にあっては妥当性を欠く結果に陥いることになる︒そこで︑この結果
( 2 )
を避けるために修正された解釈論が示されているのである︒あるいは権利濫用禁止の法理によって﹁告知﹂権の行使
9u
を制限しようとする解汎炉︑または︑形式的な民法第五四一条の適用をした場合には不動産賃借権保護の立法趣旨に
q u
反するから︑実質的な配慮を加えて軽微な賃料の滞納のみでは﹁告知﹂権の発生が認められないと解釈する立場があ
るの
であ
る︒
を 否
三刃向ひ
す(1) る
も の で あ る
否定説に属する学説は︑債務不履行﹁解除﹂に関する規定である民法第五四一条ないし第五四三条の適用
その理由とするところは︑継続的債権(契約)関係には︑一時的債権(契約)関係におけると異なった特有の﹁告
知﹂理論をもって処理すべきであるとし︑民法第六二八条の規定を類推適用して︑
ち継続的債権(契約)関係の基礎をなす﹁信頼関係﹂の破壊がなされた場合に即時の﹁告知﹂権を認めるべきだとい4 うのである︒ ﹁己ムコトヲ得ザル事由﹂すなわ
OG
判断の基準となるのであるから︑賃借入がただ一回だけの賃料を滞納した場合に︑必らずしも﹁告知﹂権が認められ 賃貸借に関しては︑右の立論からして︑﹁告知﹂をなし得るためには当事者聞の﹁信頼関係﹂の破壊の有無が
解約
2口
知﹂
に関
する
一考
察
経 営 と 経 済
四 るとは限らないこととなる︒
ω
たと
えば
柏木
・債
権各
論一
一一
一四
頁以
下︒
間古山・借家法六六頁は︑﹁賃貸借契約は賃貸人︑賃借入相互の信頼関係の基礎の上に成立つものであるから︑賃借入の義務
違反が軽徴にして信頼関係に影響なきものと認められる場合においては︑乙れを理由に賃貸借契約を解除することはできない
:::かかる場合には権利濫用の法理が当てはまる﹂︑と︑述べられる︒
(3)
我妻
H有泉・債権法コンメンタールニ入二一良︒ (4)
たとえば︑川島・判民昭和七年度一一九事件評釈は︑﹁継続的契約に関する民法六二人条・六六三条二項・六七八条二項等
の趣
旨を
類推
して
一般
的に
﹃宣
大ナ
ル理
由﹄
に基
く即
時告
知権
(片
岡目
的昨
日︒
自問
位ロ
仏百
ロロ
ぬ)
を認
むべ
く︑
市し
てそ
の﹃
重大
ナル
事
由﹄とは︑継続的契約に於て︑全契約関係の存続を債権者に強要することを不相当ならしむる知き信頼関係の破一段あることを
意味するものと解すべきである︒従って催告を為すも履行を拒絶し或は不履行が頻繁に繰返さるる場合には原則として即時告
知揺を認むべしとする独逸判例の理論:::も︑我民法上右の﹃宣大ナル事由﹄の内容として同一の結呆を認めることを得るで
あろ
う︒
(勿論債務不履行の性質︑程度の如何に依っては催告を要せず叉は頻繁なるζとを要せずとなすべき場合もあり得る
であろう)﹂︑と説かれた︒戒能・債権各論三三頁以下もこれを支持される︒
さらに︑末弘・民法雑記眼下巻四六頁以下﹁継続的契約と民法第五四一条﹂もまた︑これらの主張を支持された︒
なお︑学説および判例については︑森孝三・﹁一時的債権契約と継続的債権﹂
(契
約法
大系
I所収入入頁以下)が詳細で
あり︑本稿もそれによるところが多大である︒
判 例 の態 度
債 務 不 履 行
﹁ 解 除
﹂ の 一 般 規 定 で あ る 民 法 五 四 一 条 の 適 用 に 関 す る 判 例 の 態 度 は
︑ 大 ざ っ ぱ に い え ば
︑ 大 審 院 時 代
と最高裁判所になってからでは︑かなりの変佑を見せているものと考えてよいであろう︒すなわち︑従来は問題を肯
定する判例が多かったのに対し︑近時はこれを否定する判例が増える傾向にあるものとみられる︒以下に幾つかの判
例を眺めてみよう︒
賃貸借に関し︑大審院判例は民法第五四一条が適用されることを当然のこと﹀していた(たとえば大判昭八・
一一・九・新聞三六六四号一四頁)が︑戦後になってからは住宅事情の悪化という社会経済的背景を考慮して︑賃借
人の立場の保護という見地から賃貸人の﹁告知﹂権を︑信義則や権利濫用禁止の法理を用いることによって制限する
ようになったのである︒
ただ問題となるのは︑判例が︑最高裁判所になってから﹁告知﹂についての理論構成を変えたものとみる乙とがで
きるかである︒最高昭二七・四・二五・民集六巻四号四五一頁は︑賃借入が賃借家屋を極めて乱暴に使用した事案に
﹁賃貸借は︑当事者相互の信頼関係告基礎とする継続的契約であるから︑賃貸借の継続中に︑当事者の一方
に︑その信頼関係を裏切って︑賃貸諸関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為のあった場合には︑相手万 つ
いて
︑
は︑賃貸借を将来に向って︑解除することができるものと解しなければならない︒そうして︑乙の場合には法第五四
一条所定の催告は︑これを必要としないものと解すべきである﹂といい︑最高・昭和ゴ二・六・二六・民集一O巻六
号七三O
頁も
︑
乙れを踏襲している︒判例の態度をどうみるかについては︑債務不履行﹁解除﹂の立場だと受けとる
立場もあれば︑信頼関係破壊﹁告知﹂の理論に立つものとみる主張もあり︑見解が分れている︒
継続的供給契約に関しては︑大判大・一四・ニ・一九・民集四巻七O頁は︑﹁商品ノ逓次供給契約ヲ為シタル
場合ニハ:::其ノ契約上定マリタル時期ニ於テ一定数量ノ給付行ハレタルトキハ其ノ部分ニ付テハ契約ノ本旨ニ従ヒ
ーー
タル履行アリシモノト為サザルベカラズ︒従テ其ノ後一一於テ為スベキ履行ヲ遅滞シタルトキハ債権者ハ其ノ遅滞ニ係
解約
﹁告
知﹂
に関
する
一考
察
五
経 蛍 と 経 済
ル部分ハ勿論尚未ダ履行期ノ到来セザル部分ニ付テモ契約ヲ解除シ得ベシ﹂といっている︒乙の判例について︑学説
は一般に契約の一部解除を認めたものと解するが︑継続的債権(契約)の特質よりして﹁告知﹂とみるものもある︒
右に対し最近の下級審判例においては︑東京地昭三六・二一・二一一・判時二八六号こ五頁では︑﹁継続的な取引行
為にあっては契約の存続を著しく困難ならしめる不信行為なき限り︑一方的な解除はなしえない﹂とし︑買主のかか
る行
為は
︑
﹁警告を要しないで一方的に解除をなしうる解除原因とは認めることができない﹂としている口
委任に関しては︑大判大・三・六・四・民録二O輯五五一頁が︑米穀取引所の仲介入に米の売買を委託した事
案に
つい
て︑
﹁委託者ハ何等ノ事由ナクシテ委任契約ヲ解除シ得べキモノナルヲ以テ︑縦令委託者ガ仲買人ニ於テ其
委託ヲ受ケタル取引ヲ契約ノ趣旨ニ基キ為サズトノ事由ニ因リ委任契約解除ノ意思表示ヲ為シげル場合ニ於テモ︑其
ヮ
と判示している︒事由ノ帯否如何ハ之ヲ問フコトヲ要セズシテ其解除ノ意思表示ハ有効ナリ﹂︑
ーところで︑最近の下級審判例では︑東京高昭・三0・四・二二︒下級民集六巻四号七七三頁が︑土地・建物の管理
﹁特約によって民法第六五一条が制
限ないし排除される場合でも︑重大な背信的義務違反を理由とする解除を否定したものではないとし︑委任契約はそ を目的とする委任において受任者が管理状況報告義務に違反した事案について︑
の性質上その存続中に︑当事者の一方に信頼を裏切って委任関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為のあ
った場合には︑相手方は将来に向っパ℃れを解除することができると共に︑乙の場合には民法第五四一条所定の催告
qd
はこれを必要としない﹂といっているD
四
組合に関しては︑民法第五四一条が適用されないことについて︑大判明・四四・一二・二六・民録一七鴇九二ハ
頁以来すでに確立されているものとみられ︑﹁一組合員ノミニ付存スル事由ニ因リ前掲規定(民法第五四一条以下)
ノ適用アルモノトセパ一組合員ノ債務不履行一一因リ組合契約全部ガ解除セラルルノ結果ヲ生ジ組合ノ団体性ニ反スル
ノミナラズ︑民法ガ脱退︑除名︑解散請求等ヲ認メタル注意ヲ没却スル﹂
dせ六頁)︑というのがその理由とするところである︒ (大判昭一四・六・二0・民集一八巻六六
森・前掲九入頁は︑判旨は民法五四一条の適用を明確にしていないが︑信頼関係の破壊を﹁解除﹂の判断基準にしているも
のといえるとし︑下級審判例にみられる如く﹁解除﹂権の発生が信頼関係の破壊の有無または著しい不信行為の有無によって
判断されるならば告知説と具ならないとみ︑しかも下級審判例はこの方向に進みつつあるとい‑われると乙ろから︑判例におい
ても告知説が支持されるようになってきている︑と考えられる︒
o h (1) (3)
森・前掲九九頁は︑乙こで信頼関係の破壊が﹁解除﹂の判断基準とされていることが注目さるべき乙とを指摘される︒
森・前掲九九頁は︑乙の判例においても︑賃貸借に関する前掲の最高裁判例と同様に︑信頼関係の破壊が﹁解除﹂の判断基
準とされていえるものと解されている︒
(4)
組合については両説の対立はみられない︒
四 卑
見
前述のように継続的債権契約なる類型は民法典においては在在しないのであって︑ただ︑個々の契約について
継続的債権契約の特質を考慮した規定を設けているのみである︒しかし一般には︑一時的債権契約と継続的債権契約
とを区別すべきことが承認されている︒
そして︑如何なる契約が継続的債権契約に属するかに関しては︑その用語︑機能︑特質などについて問題とされる と同じく︑明確な基準というものが示されていないと考えられる︒もっとも︑見解は異なるにしても︑売買が一時的
債権契約であり︑不動産賃貸借が継続的債権契約に属することには議論はないであろう︒
解約﹁告知﹂に関する一考察
七
経 営 と 経 済
外、
ところで︑債務不履行﹁解除﹂に関する民法五四一条が継続的債権契約に適用されて然るべきものであるかどうか
について︑以上に学説・判例の簡単な素描をなしたのであるが︑ここで︑それぞれについて若干の疑問を感ぜられ点
を考えてみたい︒まず︑学説・判例を要約しておこう︒肯定説は告知権の発生原因を民法五四一条の解除原因に求め
るが︑乙れに反し︑否定説は民法六二八条などの﹁己ムコトヲ得ザル事由﹂すなわち継続的債権契約の基礎たる信頼
関係の破壊に求める︒判例は︑民法五四一条の規定の適用を否認していないにしても︑信頼関係の破壊を﹁解除﹂の
判断基準とするところからいえば肯定説に類似するものといえる︒
判例は︑不動産賃貸借に関し︑賃借人の保護という要請にもとづいて︑民法五四一条の適用を認めながらも信義則
や権利濫用禁止の法理によって︑賃貸人の﹁解除﹂権の制限をはかり︑さらに信頼関係の破壊を﹁解除﹂の判断基準
として︑賃貸人の﹁解除権﹂を制限しようとする意図を持つものと思われる︒しかしその理論的根拠に関しては︑賃
借人の救済という目的は達成されるにしても︑継続的債権関係と告知の機能との関連を充分に考察した上でのもので
はないように受け取れる︒先に掲げた最高昭ゴ二・六・二六民集一O巻六号六三O頁の判示に対しては︑肯定説に立
やはり理論的に明確なものが示されていないのではないかつようにもみえるル︑否定説によっても是認され得るし︑
噌iとの疑問を感じる︒
肯定説は︑継続的債権関係において債務者の債務不履行があった場合の債権者の契約解消権については︑他に一般
的規定がないから︑発生原因に関する限り︑法定解除権の規定がこれらの契約関係にも妥当するというが︑単なる文
り 臼
言解釈に終り︑継続的債権関係と告知との機能的な連関を充分にとらえていないうらみがあるのではなかろうか︒ま
た︑賃借人の一回だけの賃料滞納の場合に賃貸人の﹁解除﹂権を制限するため︑権利濫用禁止の法理や信義則を持ち
だす
のは
︑
いささか無理な感じがするのである︒
否定説について考えてみよう︒継続的債権関係に特有な解約告知の理論をもって解決すべきであるとするのは誠に
向 ︒
正しいといわねばならない︒我妻教授も︑﹁賃貸借のような継続的信頼関係については︑効果の点で遡及的な解除を
認むべきでないのみならず︑要件においても︑解除の一般原則によらずに︑契約関係の存続を債権者に強いることが
不当とみられるような不履行(信頼関係の基礎の破壊)があったときに限り︑そして即時告知(解除)だけを認むべ
きだという説がある︒理論として至当な見解と思う口・::::ことに︑催告を要件とするにしても︑一回の賃料の不払
があっても解除し得るというのは当を得ない︒﹂とされる︒ただ︑﹁然し︑解釈論としては判例を支持すべきものと思
う︒即時告知しか認めないとすると︑賃料不払をどう取り扱うか標準が不明になる﹂と説かれる︒
Aせ
右について広中教授は︑賃借人の一回の賃料滞納では︑かかる場合に﹁解除﹂権そのものが発生しないとされ︑ま
た︑信頼関係の破壊を﹁解除﹂の判断基準として明確にするものとして︑﹁信頼関係の破壊にあたるといいうるため
その義務違反がある程度以上のもの(たとえば二期分以上の借賃滞納︑停止さ︐れなければ賃貸借の継続を期待
しえないような用方違反ないし保管義務違反)で︑しかも賃貸人から相当の期間を定めて借賃の支払なり違反行為の
停止なりを催告しKにもかかわらず賃借入がこれに従わなかったという事実がなければならないのを原則とすべきで
戸huある﹂︑とされる︒そうなると︑否定説にあっても催告を必要とする点では肯定説と同様である︒
否定説(告知説)については︑当事者聞の信頼関係の破壊という点を問題とする点で重視されるべきものとは考え 乙ま︑
られるが︑ただ︑それが契約関係の解消に結びつくか否かという︑いわば現象面にのみ限を注いでいるような感じを
与えるように思われる︒やはりその背景にある継続的債権関係と告知との構造的な︑そしてまた機能的な連関性につ
いて︑さらに深く掘り下げるべき点がありはしないかと考えるのである︒卑見も結局は否定説の立場に賛したいが︑
その点あきたりないものを感じるわけである︒
解約﹁告知﹂に関する一考察
九
経 営 と 経 済
O
そこ
で︑
一時的債権関係としての売買とその解消手段としての解除との機能的な︑また構造的な連関と︑
継続的債権関係としての賃貸借とその解消手段としての告知とのそれについて考察せねばならない︒そのためにはい
売買および賃貸借が契約として有する双務契約および有償契約についての法規範原理を明らかにしなければならない︒
そして︑解除および告知について︑それぞれの機能と法的構成について考察を加え︑その上で売買と解除との︑ま
た賃貸借と告知との連関について述べるのが順序になると思われる︒したがって︑以下に右の順序で筆を進めてみた
いと
思う
l双務契約とは︑給付債権と反対給付債権を発生せしめる契約をいう︒双務契約と片務契約の分類はロ ︒
マ法
以
来のものであるが︑近代法における双務契約とは︑契約にもとづく債権と反対債権の聞に対価的牽連関係のあるもの
( 2 )
と解すべきであり︑双務契約における両債務の対価的牽連性は︑両債務の目的たる給付と反対給付の対価的牽連関係
にもと︒ついて生ずるものというべきである︒
売買という双務・諾成契約にもとづく債権関係の成立が認められたのは︑商品交換経済の高度の発展にもとづく法
技術の発展した歴史的時代においてであり︑それ以前には︑売買は︑目的物と代金についてそれぞれ別個の二個の債
権関係が発生し︑経済的には一個の商品交換であるものが法的には全然別個独立の二個の法律行為によってなされた
のである︒しかし︑その後の発展過程において︑商品取引が商品交換社会を成立せしめる程度に一般に盛んに行なわ
れるようになると︑経済的には売る意味の法律行為と買う意味の法律行為が一個の売買契約という法律行為に合成さ
れるのである︒さらには︑契約自由の原則を媒介としてすべての商品交換にこれが認められるとき︑乙乙に︑経済的
には一個の商品交換だが︑法的には全然別個独立の二個の法律行為として構成される段階をこえて︑すべて商品交換
行為はそのままの一個の商品交換契約として認められる段階に到達する︒この契約が双務契約として把握される︒
とこ
ろで
︑
一且︑成立上の牽連関係の要件をみたして成立した双務契約も︑成立してしまえば︑また債権と反対債
権とは別個独立かつ相互に無関係のものとして取扱われる︒そこで︑履行上の牽連関係にもとづく同時履行の抗弁関
係︑容続上の牽連関係にもとづく危険負担における債務者主義の法理︑債務不履行上の空連関係にもとづく債務不履
行解除等が︑双務契約に固有の法規範原理として認められねばならないわけである︒
有償契約とは︑契約の目的たる給付と反対給付とが対価的牽連関係にあるものをいう︒ロlマ法では︑有償・無償
という言葉は云々されても︑契約の分類としては双務契約と片務契約の分類のみを知って︑有償契約と無償契約の分
類をもたなかったものと思われる︒まに︑双務契約に一般的な法規範原理として︑同時履行の抗弁関係とか危険負担
というようなことが論議されたが︑しかし有償契約に一般的な法規範原理として論議されたものは何もなかったよう
である︒そしてまた︑民法第五五九条︑ドイツ民法第四四五条・第四九三条のように売買の法規範原理を他の有償契
約に準用するというような考え方もまたその訴権制度の故に成立しなかった︑といわれる︒
有償契約には︑有償契約一般に妥当する法規範原理││例えば双務契約のそれとしての同時履行の抗弁権・危険負
担・債務不履行解除の如しーーについて立法上みいだしえない︒しかし︑それは有償契約に固有の法規範原理が存在
しないことを意味するのではない︒たとえば︑民法の売買や賃貸借等個々の有償契約の規定をみてみると︑その規定
の大部分はその有償性にもとづく法規範原理である︒このことは特に売買において著るしい︒
有償契約に一般的に妥当する法規範原理を規定した法条がないのは︑給付と反対給付との間の対価的牽連関係にも
とづく等価的均衡の法理は給付の目的物が具体的に何であるかによって千差万別であって︑有償契約に一般的な法規
範原理という形でこれを定立することが不可能であるからである︒例えば︑担保責任の法理は有償契約に普遍的な法
原理であるが︑しかしその具体的な内容は売主のそれ︑請負人のそれ︑貸主のそれ等では異なら︑ざるを得ない︒
解約
﹁告
知﹂
に関
する
一考
察
経 蛍 と 経 済
有償契約とは給付と反対給付が商品交換される契約であるが︑資本制社会では経済的な意味での商品交換は商品交
換契約として行なわれるのである︒商品交換には経済学上等価交換の法則が行なわれているといわれるが︑商品交換
契約には両給付聞に個々の問題について等価的均衡を維持するための法規範原理が行なわれているのであり︑法は商
品交換を出来るだけ実現したいと考えているのであり︑物と代金の決定を当事者の契約自由にゆだねているのは︑価
格を国家で法定することは決して商品の等価交換の実現を保障する所以でなく︑むしろこの点は契約自由に放任して
おくことの万が一層よく商品の等価交換の実現の保障となると考えたからにほかならない︒法は︑当事者が給付と反
対給付の関係を設定したものについて︑その履行︑不履行︑目的物の暇庇︑目的物の追奪等の場合に︑両給付面に等
価的均衡を維持しようとする︒それが有償契約に固有の規範原理である︒ただそれは︑すべての有償契約に一般的に
妥当する法規範原理という形では定立できないのである︒
資本制社会では︑資本の再生産運動も商品交換によって行なわれる関係で︑如伺なる商品を如何なるものと交換す
るかということ︑すなわち有償契約の種類も内容もすべて契約自由の原則に委ねられる︒しかし︑契約自由といって
も︑商品交換契約の種類も内容もすべてあらかじめ資本制社会における資本の再生産運動の社会的構造によって規制
され
てい
る︒
民法は︑ドイツ民法にならって︑売主の規定はすべてこれを有償契約に準用するというととを規定した︒有償契約
なる法範障を認める実益は法典上はわずかにこのことだけである︒売買の規定が他の有償契約に準用されるのは︑売
買が最も典型的な有償契約であり︑両給付の等価的均衡の法理を最も豊富かつ完全な姿で展開しているからである︒
双務契約とは給付債権と反対給付債権との聞に対価的牽連関係のあるものをいう︒債権と反対債権との聞に︑対価
的牽連関係がある以上は︑右債権の目的たる給付と反対給付との問にも︑対価的牽連性があることは当然である︒だ
から双務契約は必らず有償契約である︒給付と反対給付が︑契約によって︑対価的牽連関係におかれている故に︑債
権と反対債権の対価的牽連関係も成立するのだと考え︑双務契約と有償契約とは本質を同じくするものであり︑双務
契約に固有の法規範原理は︑有償契約における債権と反対債権が︑まピ履行されぬときの状態における法規範原理に
すぎず︑すなわち︑双務契約の法規範原理︑すなわち︑同時履行の関係法理も危険負担の債務者主義の法理も︑債務
不履行による解除の法理も︑すべて給付と反対給付の間の等価的均衡を実現するための法理として︑すなわち︑有償
契約の法理として理解されるべきものと思われる︒
しかるに︑民法上は双務契約は必らず同時に有償契約であるが︑有償契約は必らずしも双務契約ではない︒有償契
約も︑給付と反対給付が目的とする債権と反対債権の履行として実現されるのである限り︑すなわち諾成の債権契約
である限り︑当然︑双務契約とならねばならぬはずであるが︑民法上は︑利息附消費貸借と有償寄託は要物契約とさ
れる
ので
︑
この場合にだけ︑片務契約が有償契約だという例外があるわけである︒
民法にあっては︑債務不履行解除が双務契約に固有の法規範原理であることの認識が充分になされていないと考え
これを明文をもって肯定したドイツ民法やフランス民法のような規定はなく︑むしろ通説・判例
はこれを否定する︒さらに︑解除による原状回復の債権関係の発生という効果についてのドイツやフランスおよびわ
が国の学説や判例は︑まず債務と反対債務の聞の対価的牽連関係にもとづくものであるところの認識が不充分である られるのであって︑
とさ
れる
︒
商品交換契約としては︑財貨を客体とするものが典型的であるばかりでなく︑また財貨の商品交換契約のなかでは︑
使用価値だけのまたは交換価値にけの利用を商品とするものよりも︑両者の統一である財貨の所有を商品交換する売
買が他の何よりも最も典型的な有償契約だといいうる︒のみならず︑売買においては︑真に典型的に等価交換の法則
解約
﹁ι
口知
﹂に
関す
る一
考察
経 営 と 経 済
四 が行なわれるが︑賃貸借や利息附消費貸借では反対給付がいくらであるかについては価値法則が行なわれないので︑
売買において両給付間の等価的均衡を実現するための法理は最も完全に展開されるのである︒
山中教授は︑商品交換契約の基本的類型として幾つかのものをあげられ︑売買を物の使用価値と交換価値の統一と
ウ '
しての所有と金銭の交換︑賃貸借を物の使用価値の利用と賃料の交換︑として把握されている︒
れ
る )3(
問題は︑売買にあっては解除が使われ︑賃貸借においては告知が用いられる︑
その根拠や理由にあると考えら 解除の意義については︑次のように理解される︒市民社会においては︑商品交換の法的保障としての契約自由の原 則が有償双務契約の構造の上に形成される︒契約は締結されると︑その内容に適応する双務的債権債務関係を生じて 当事者にその履行を強制し︑促進し︑その目的を達成すると消滅する︒しかし当事者聞に特別の事情があってその契 約関係を中止し︑締結以前の状態に還す万が契約関係の等価的関係にとって有利だと考える場合に︑どこまでも契約 の履行を強すると云うのでは︑当事者の契約締結の目的を充分保障し︑市民社会的契約の秩序を維持することができ ないから︑契約を初めに遡って消滅させてその拘束からの離脱の自由を認める方が妥当であり︑客観的に契約の等価 運動の法則に適応すると考えられる︒解除は契約上の履行強制からの事実上の不便を緩和するための手段方法として 規定されている︒したがって解除は︑当事者の約款または法の規定により︑
一定の事由が発生した場合に︑当事者の
一方の意思表示で契約を消滅させて︑契約のなかった初めの状態に還すことであると考えられている︒民法の解除の 規定は︑第五四
O深ないし第五四八条に契約解除の総則的規定が設けられており︑約定解除と法定解除の場合を一括
QU して規定している︒
解除は契約がはじめからなされなかったのと同じ効呆を生ぜしめる︒すなわち契約締結以前の状態に当事者の関係
を復帰せしめることであると一般に解されている︑が︑このことは︑契約が債権関係を発生させる原因llすなわち法
伴要件ーーーとして有していた法律上の価値を法律上遡及的に失わしめるというのであって︑一旦成立した契約という
現象およびそれに伴って生じた財産上の変動などを一挙に抹消し去るというのではない︒したがって解除によって更
に当事者間に色々の法律関係が発生して来る︒民法第五四五条一項は﹁当事者ノ一方カ解除権を行使シタルトキハ各
当事者ハ相手方ヲ原状ニ復セシムル義務ヲ負フ﹂と規定する︒これが如何なる意味であるかについて三つの説がある
ことはいうまでもない︒
直接効果説は︑
F右の条文は契約の遡及的消滅として率直に理解すべきであるとする︒つまり︑解除というのは当事
者の一万の意思表示によって契約の効力をはじめから失わせ︑それが全くなかったのと同じ効果を生ぜしめる︒未履
行の債務を免れるのも︑既履行の債務の返還請求権が生ずるのも(不当利得によるものとなる)契約がなかったなら
現在こうなっているであろう状態を意思表示によって直接に生ぜしめた結果であると考えるのである︒
つぎのように考える︒解除の遡及効はその理由がない︑解除の効果は解除権行使のときこれに対し間接効果説は︑
から将来に向つてのみ発生する︒既履行債務はしたがって有効なのにが︑法律がとくにこれに対して新たに返還請求
権が発生することを認め︑また未履行債務については履行拒絶の抗弁権を与えたものが解除なのであると主張する︒
さらに折衷説は︑右の二つの立場を折衷してつぎのようにいう︒解除は将来に向つてのみその効果を有する︒既履
行債務については新たに返還請求粧を発生させるのである︒この点は間接効果説と同様だが︑将来効についてはそれ
よりも強く考えて︑抗弁権を発生せしめるのではなく債務そのものを消滅させるのであると説く︒そして解除の意思
表示までの関係は有効であるのだから︑既履行債務の返還請求権は法律がとくに解除に付与したものであって︑直接
効果説のように不当利得返還と解せられるものではないという口
解約﹁告知Lに関する一考察
五
経 営 と 経 済
一六
判例および多数の学説が︑細かい点では議論が分れるにしても︑直接効果説をとっていることは周知の通りである︒
解除の本質的な効果と考えられる原状回復義務に関しては︑
の性質に関する立場によって多少異なるものがある︒ それが如何にして承認されるかについて︑前述の解除
直接効果説では︑解除により実際にも契約がはじめから締結せられなかったことになり︑遡及的に失効するが故に
当事者間に契約締結以前の状態に復帰させる原状回復の債権関係が発生するのだと主張する︒その根拠として︑当事
者が契約にもとやついてなした給付は解除の結果法律上の原因を失うことになるから不当利得返還の原則にしたがって
受領者は乙れを返還せねばならない︒ただ不当利得返還の制度は受益者の不当な利益を返還させることを目的として
一般に受益者の財産状態を標準として返還の範囲を決定しているが︑解除は契約の効果を遡及的に消滅させるもので
あるから︑給付がなされた当時の状態を基準としてその当時の状態に給付者の財産関係を復帰させねばならない︒す
なわち給付をなさなかったと同一の状態に帰すという意味で受益者に原状回復を約す義務(債権的効果説)を認める︒
このことは民法五四五条が規定している︒したがって契約の解除は︑当事者聞に原状回復の義務を発生させるだけで
当然に
l l
物権的に
l !
原状回復が行なわれ︑給付行為も同様に効力を失うというのではなくして︑給付を受けてい
た者はその給付を返還して相手を原状に復帰せしめる義務を負うという意味である︒
ζれに対し︑間接効果説と折衷説の論者は︑実際は解除により契約が遡及して失効するのではないのだから︑あた
かも契約締結のはじめに週って失効したとしたならばあったであろうような原状に回復せしめる債権関係が当事者間
に発生するのだと主張する口乙の説をとられる論者(末弘説)は︑
消滅を説いて︑その性質は債権的効果であるとし︑債権的効果が遡及的に消滅する結果として︑ ﹁直接効果説は︑解除の効果として契約の遡及的
それまでになされた
行為が法律上原因なきものとなり︑したがって不当利得の原理によって返還せられると考えられるが︑これはドイツ
民法の解除の規定が︑同法の物権行為について無因説を取っていることからそれに関連して不当利得論が構成される
点を指摘して︑わが民法の解釈としては︑物権行為がなくても売買その他の債権行為から直接に所有権移転のような
物権的効果が発生するという考え方が判例多数によって承認されている﹂として︑わが国の直接効果説の理論的根拠
この通説に対する反対説の立場においては何故に原状回復の債
権関係が発生するのであるかについては充分な説明がなされていない︒山中教授は︑解除による契約の遡及的消滅を
説く直接効果説を否認されて︑ が薄弱であることを批判されている︒しかしながら︑
﹁原契約上の債権関係と解除による原状回復の債権関係とは同一物の発展延長である
とし︑解除によって原契約は原状回復の債権関係に変形し︑その履行をまってはじめて消滅する﹂と述べられ︑さら
に︑原状回復の債権関係の発生を契約の等価交換的均衡の理論から説明される︒
直接効果説を取る通説では︑この点について次のように解する︒解除によって契約は遡及的に消滅することとなる
そしてこの場合の原状回復の効力は債権
的効力であって物権的効力ではない︒すなわち民法五四一条一項の規定によって︑解除による当事者間原状回復義務
を生手するとあるのからしても︑解除はただ将来に向つてのみ返還請求権を生ぜしめるものでもなければ︑又抗弁権を
生ぜしめるに止まるものでもないといわねばならない︒すなわち解除権は全債権関係の発生原因たる契約が当初から からその結果として当事者は相手方は原状に回復せしめなければならない︑
存在しなかったと同様な効果を生ぜしめるものと解するのが妥当である︑という︒
右のように解除の遡及効に関しては様々の説がたてられているが︑筆者は相対的遡及の理論にもとやついて直接効果
n u
説と同様の結論を得ているものである吋
それでは最後に︑以上述べたところを纏めておこう︒一時的債権契約したがって売買の目的とすると乙ろは商品の
全面的価値支配の移転であり︑継続的債権契約したがって賃貸借のねらいとするところは商品の部分的価値支配の移
解約
﹁告
知﹂
に関
する
一考
察
七
経 営 と 経 済
J¥、
転にあるものといえる︒
契約関係の解消に関しては︑既に発生した法律関係(権利義務)をどのように処理するのが賢明であるかという見
一つは原状に回復せしめるのが適当であり︑他は既存の法律関係はそのままにして︑爾後においてのみ消滅
せしめるのが妥当と思料されたものと考えられる︒しからば︑何故に継続的債権契約については既存の法律関係を覆
滅せしめないような処理がなされるべきなのであろうか︒賃貸借は物の使用価値を移転し利用せしむべき債権関係と
して把握される︒賃貸料は使用価値に対する対価である︒ところで︑使用価値は観念的なものではなく︑何らかの具 地
から
︑
体的価値に転佑きれない限り事実的には時々刻々に喪失されてゆく︒したがって︑貸借した物そのものを返還すべき
賃貸借においては︑原状に復するといっても具体的にはその方法が考えられないのではないかと思うものである︒
売買にあっては物の全面的価値の支配を移転すべき債権関係の発生がその本質をなすものであり︑そ乙で具体的事
実的には︑契約の解消に際して顕在的な価値の返還が行なわれれば︑あたかも契約関係は当初から在在しなかったと
同様のものとして受け取ることができるわけである︒
それでは︑売買や賃貸において既に給付された金銭の処理はどうなっているかといえば︑民法は利息を附して返還
すべき旨を規定しているが︑それは金銭なる特殊の物の価値に着服した結果にほかならないと考えられる︒すなわち
金銭は個性をもたず︑具体的価値を示す手段たるにすぎないものであるから︑具体化された価値は当然に価値を具体
的に生んだはずのものとして考慮するのが妥当だからである︒この点︑消費貸借の内容と比較した場合さらに明瞭と
なるであろう︒
唱‑ a '
除し
得る
場合
もあ
る︑
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協七
二巻
六号
一二
三頁
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一般
には
五四
一条
の適
用は
ある
のだ
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不信
行為
があ
まり
ひど
いと
きは
催告
なく
して
解
民法起草者も民法五四一条以下の適用があるものと考えていたように推測されている︒森・前掲一O一頁註(四)︒民法修
正案理白書六二七条︑同六一五条︒
︒ ﹄
我妻・債権各論中巻一(民法講義
V2
)
四五
一頁
︒ (3) (4)
広中・債権各論第二分冊一四九頁︒
(5)
広中・右掲入一頁以下︒
則一時的債権契約と継続的債権契約の分類について深い研究をなしたのはギ1ルケの﹁債権関係論﹂であり︑それは﹁債権法
の全構造に新らしい光をもたらした﹂ものとして高く評価されるとともに︑わが国にも強い影響を及ぼしたのである︒わが国
では︑平野氏がギ1ルケの所論を紹介され︑一時的債権関係と継続的債権関係を区別すべき乙とが急務であると説かれた︒そ
れは実生活と密接に結びつく不動産賃貸借および雇備に注目されたからにほかならないQそしてその特質を多岐にわたって論 述されているが︑そこで﹁物に対する支国﹂と﹁人に対する支国﹂にも言及されている︒石田博士は︑ギ1ルケの分類を採用
しえないとしながらも︑﹁交換的機能の債権契約﹂と﹁支図的機能の債権契約﹂の分類を提されて︑後者を﹁物を支配する債
権契約'一と﹁人を支配する債権契約﹂に分けられ︑この限りにおいてギ1ルケの機能に関する所論を支持されている︒
ところで︑継続的債権契約が﹁状態的関係﹂を作り出すかどうかによって継続的債権契約を特徴*つける見解がある︒まず︑
戒能博士が﹁継続的契約関係は契約当事者聞に本質上一個の状態的関係を形成するものである﹂とされたことにはじまるが︑
﹁状態的関係﹂の内容を明確に示されたわけではない︒ついで田中教授は︑一時的債権関係と継続的債権関係を時間の要素に
﹁当事者聞の法律関係がたんに債務医行という一時的なものによって外面的に結びつけられているよって区別すべきでなく︑
か︑それとも︑財産または労務の利用関係の維持・保全という一種の状態的(継続的)なものによって成り立っており︑その
ため当事者聞にとくに密接・強固な法律関係が形成されているか﹂によって区別すべきであるとされる︒また︑後藤教授は︑
﹁状態的関係﹂とは﹁人の生活国の体制的基底を形成し︑人の生活の正常な維持をはかる上において重要な比重を占めている
解約﹁告知﹂に関する一考察
九
経 営 と 経 済
二O
法律関係﹂を指すものとされる︒そして︑平和的状態関係︑支図的状態関係︑共同体関係および供給的状態関係を設定する諸
契約をあげておられる︒││森・前掲入入頁以下による││
司4
o o
o d
山中・双務契約・片務契約と有償契約・無償契約(契約法大一糸I所収)六八頁以下︒同・契約総論一O
頁以
下︒
伊藤律男・解除の効力
ll
i遡及効・原状回復・損害賠償li(契約法大系
I)
一一
一三
五頁
以下
︒
園田格・民法にいわゆる遡及効について(金沢大学法文学部論集法経篇第三巻所収)三七頁以下︑とくに四八頁以下︒