460
−JJJ−−−
調 査
木材・木製品・家具製造業の経理組織と その経営成繚・財政状態(1)
浦 和 夫
Ⅰ まえがき
Ⅱ 経理軸腐トー経理制度の近代化−
Ⅲ 経営成紡と財政状態一流動性・安全性・収益性・
生産性一山(次号)
Ⅰま え が き
本調査は香川大学を中心として松山商科大学・徳島大学・高知大学の教官有志が,四国 地方地場産業経営研究会を組織し,文部省「科学研究費交付金(総合研究)一・般」に・より 昭和39年度において調査研究を行なった一座をなすものである。すなわち,昭和38年度に おいては,産兼用機械製造業と紙・パルプ工業の2業種の調査を,また昭和39年度に.おい てほ食料品製造業,木材・木製品・家具製造菜,窯業・土石・鉄鋼・非鉄製造業および金 属・楓械製造業の4業種を調査した。これらの昭和38・39両年度において調査対象となっ た6菜種のうち,窯業・土石・鉄鋼・非鉄製造業甲調査は松山商科大学の諸教官が担当さ れ,その他の5業種の財務・経理部門の調査を筆者が担当した。昭和38年贋における産業 用機械製造業と紙・パルプ工業の2灘種の調査結果については,四国地方地場産業経営研 究会編「四国地方地場産英経営に関する綜合研究」Ⅰ機械製造共 および Ⅱ 紙・
パルプ工業 昭和40年3月刊 として発行されでいる。昭和39年皮において筆者の担当し た食料品製造菜および金属・機械製造芙の「経理組織とその経営成紡・財政状態」も遠か らず刊行されることと思われる。
本調査ほ「四国地方地場産菜経営研究会」が従業員30人以上の「木材・木製品・家具製 造業」に従事する企業に対し,調査票を送付して回収した資料に.もとづいでいる。すなわ
ち,調査対象企業となる207企共に調査票を送付し,このうち回答を得た41企兼(回収率 23..7%)の資料に.よっている。また,こ.の41杜のうち,地場産菜を代表とすると考えられ る企業紅ほ,とくに面接に.よる精密調査を行なったが,との調査結果も本稿に加え.てある。
461 木材・木製品・家具製造業の経理組織とその経営成績・励政状態(1) −−jJβ一 本稿は,木材・木製品・家具製造業についてニ,(1)経理組織一・・・−…経理制度の近代化−・−と
(2)経営成績・財政状態一瀧勤性・安全性・収益性・生産性一一−の2点に焦点を合わせる
調査の基本的態度をとっているが,このうち,(1)経理組級−一経理制度の近代化−を本 号に,(2)経営成績・財政状態についてほ次号に掲載の予定である。
ⅠⅠ経理組織一一経理制度の近代化一
企菓経営の近代化は,管理会討制度の導入にはじまるといっても過言ではない。すなわ ち,企業会計が対外(株主・債権者・政府・消費者等)報告会計の整備を進めつつ,他方 対内(企業経営内の経営者・管理者)報告会計の充実が図られ,またこの対内報嘗会計は
より−一=歩進んで経営管理的意義をもつ経理制度として志向することは,企業経常近代化の ための重要な条件をなすものということができる。したがって,管理会計は「管理のため の会計」というよりも「会斜に.よる管理」という思考にもとづいて考えている。この管理
会計は,内部統制の計界体系と考えられる。ここでいう内部統制の計算体系の特徴である 計算的統制とは,執行活動の計画の樹立,実施の調整および実続の評価を管理会討の計辞 体系に.立脚しで行なうことである。「満足すべき内部統制組徽」としては,(1)槻能的責任 を適当に分離した組織計画をたでること,(2)これらの組織化された各部門が,その責任と 機能とを遂行しうるように.,健全な実務体系をたてること,(3)それぞれの責任を充分に遂 行するにふさわしい各従業員の資格条件を定めること,および,(4)資産および価値,収入 および支出にたし、、して,合理的な会計的統制をなすに適当な制度および記録手続の体系を 確立すること,を充足せしめるこ.とが必要である。すなわち,(1)および(2)ほ組織的条件で あり,(3)は人的条件であり,(41ほ方法的条件であり,これらの整備が必要である。
それゆえ,経理制度の近代化推進のために,われわれは,月次決辞(仮決算),材料・製 品の在庫管乳原価計算制度;予鈴,資金,経営数値の分析・比較を車心に・,以下述べる その他の多くの要素を考慮し,これらがいか程採用実施されているかについて調査したの である。そして,採用実施を拒否している場合に償,その現状を客観的な立場から改めて 認識することが,経理制度の近代化を進める前提条件を形成するものと考え/ている。
先ず,経理担.当者数を示せば,第1表のごとくである。第1表から知られるごとく,2 つの菜種ともに1−2人が多く,この階層が全体の538%を占めている。ただし家具・装 備品製造共においてほ6人以上が16.7%を占めている。総体的にいって,1−2人が半数 以上を占めており,かつこれらの経理担当者は経理兼務以外に庶務的な業務をも兼任して
第39巻 第4号
岬Jヱ6−
弗1表 木胡・木製品・家具製造業における経理担当省数
製
禾画 家具 兼 種 i木材・木製品 岳家具・装備品
品
空
}叫____一._
\− 調査対象企業数 項 目 、 \−\1− 、、
90
計構成比率
1= 1‥い・
45
項構成比率
29 ∃100‖0
57 総計構成比率
41llOOい0
26 9 24‖4
2..4 2..互
4 9 73 31り7
1 人
2 人
3 人
4 人
5 人
2 3′一
経理担当者数
1
いる場合が多い。このことほ,「返答なし」の317%にも表わされている。すなわち経理 業務のみに従事する人が限定し難く「返答なし.」という形で表わされたごとく数学的に把
握できず,したがって記入できなかったのであろう。経理機能を現金・資産,負偵,資本 の出納・保管などを行なう直接的執行的活動担当の財務機能と計画立案,調峯,某紙評価 などを行なう間接的補佐的(計界統制的)活動担当のコントローラ一機能とに魔窟に.区分
しなければならないとする新らしい経理組織の思考には遠くお墓ばない。限られた少人数 の老が現金・資産などの出納・保管を行ない,またみづからこれを統制管理する制度は,
なるべく早い機会に脱却しなければ合理的な経常の基礎すら築きえない。
つぎに,毎月
から知られるごとくそ毎月決餅を実施している企業は29小3%で3呈腑みたない。企業経営 の立場からいえば,時々刻々に変動する経営環境に対応するために,自らの企業の経常成
家具製造業紅おける毎月決界(仮決界)制度 解2表 木材・木製品
家具・装備品】豪琵壷歪糞品 業 種 l木材・木製品
45
訂1議姦遠
一 表寸「高音
57
、、こ;:・二:こ∴.
.11 ■■1両1、 ̄l
計l構成比率 12】100.0 9」、31′′0
し て い る し て い な い
返 答 な し 2 16」7
463 木材・木製品・家具製造巣の経理組織とその経営成紙・朗政状態(1)・−JJ7岬 第3褒 木材・木製品・家具製造巣における製品別損益計弊制皮 菜 種 豊 水材・木製品ー家具・装備品
▼ ̄ ■−■■ ̄▼▼ ̄ ̄、■▲▲▲、
耳\軒i釘「丈首軒
\、\ 調査対象企業数 項 目 →\ \
90
車]二重垂
12 t lOO.0
45
云丁転義
表「「「1蒜㌃
1381 2
絨・財政状態を把捉することは重要事である。自らの企菜の成紙,状態を迅速に把超する ためには少くとも月毎の決静をしなければならない。
製品別損益計算制度の実施状況を示せば,第3表のどとぐである。こ.の制度を採用して いる企業は,14.6%でやほり少ない。木材・木製品・家具製造業の場合には処遇ロットが 小さいので製品別損益計算ほなかなか手数が繁雑で面倒であろうが,この計静をしなけれ ば製品の実体がつかめない′のでほないかと思われる。特に家具・装備品製造兼の場合ほ 木材・木製品製造巣の場合よりも伺加価値が大きいであろうから,この制度を早急に導入
しなければならない。
つぎに.,材料と製品の在庫管理状況を示せば,第4表のごとぐである。実地棚卸をして 第4表 木材・木製品・家具製造共における材料と製品の在庫管理
締丁禾喪高 菜 種 岳木材。木製品 卜家具・装備品l豪買壷還菜
 ̄ ̄ ̄
「啓1計頑「菓1訂頂「 90
90
∴∴._・
57
...!:・・、、:、_−
\、\ →一
\
討l構成比率
100.O112 j lOO.0 41100.0
い5⊆ 36い6
14ル5≧ 5
51.71 4
41。7
(1)L して. い る
_て ‥−:一二■
し て い な い
4 13.8 26 89 7
1 34 2; 6.9
■一一 −−■−
14l 48.3
材料と製品の管理
航法1 返 答 な し l
9∃ 853
≒ _ミニ こ 二_
し て い る し て い な い 返 答 な し
l l__∵_.−_._.__
(3)l し て い る
;三:…l…
し て い な い 庸馴 返 答 な し
節39巻 算4号
464
−⊥昆仁一−
いる企発は,全体の85.3%であり,殆んどの企菜で実施しているといえる。しかし,継続 記録法紅よってそれらの管理を行なって言いる企業は,僅かに36.6%にしかすぎない。過大
在庫は,材料・製品の回転率を悪化させる原因となる。不況などに.もとづく売上高の減少 は,これに.さらに.拍車をかけ,回転率を悪化させる。これほ,ひいて資本回転率を低くす る。収益力を表わす指標として資本利益率を考えれば,資本利益率は資本回転率と売上高 利益率とに分解することができる。したがって.,一−・方の要素である資本回転率が低下,恵 化すれは,収益力を維持するためにほ,他力の要素である売上高利益率を一上昇・好転させ ることによってカバ「・しなければならないこととなる。販売競争が激化するこの時代に,
売上高利益率を上昇,好転させることに.は種々の困難な問題を解決しなければならず,こ れを望むことは無理である。資本回転率を低下させないために,在庫統制に.なお一層の努 力が必要であろう。
原価計算制度,作党内容別記録および費用の部門別計算制度の導入状況を示せは,それ ぞれ第5表,第6表,節7表のごとぐである。個別原価計弊制度の導入(17.5%)よりも 綜合原価計節制皮の導入(46.3%)の方が高い数字を示していることは,同一・種類の製品 を反復して連続的に生産するという確場生産(見込生産)の経営形態が採用されているゆ えであろう。ただし,これを家具・装備品製造業に限足していえば,それぞれ33.3%の導 入状況でまノbたく等しい。綜合原価計弾導入の場合,木南・木製品・家具製造業は.単一・の
第5表 木材・木製品・家具製造業における原価計鐸制度
465 木材・木製品・家具製造巣の経理組織とその経営成絞・朗政状態(1)・一工待トー 努6表 木材・木製品・家具製造共に.おける作業管理
−
.。 .・.・ ミ、・さ.∴.i:.1・.‥.こ: 木材・木製品 家具製造業
90
57
平均 従弟員 数\\\ \
45
.・「∵∴l.
:∴.1.∴
総計≦構成比率
項 目 \
411 100,0
、ヽ\ \
し て い る 10 飢∴5 していない 18 62・1
返 答・な し 1 3‖4
第7表 木材・木製品・家具製造共に.おける部門別計節制皮
木材・木製品 家具製造業 菜 種 木材・木製品l家具・装備品
・∴.・ユニ.∴
\−\ 調査対象企業数
項 目
費用の部一
し て い る \\h \し て い な い 返 答 な し
製品を生産するということは少なく,−‖般にいぐつかの製品を生産しているから,それぞ れの殖に製造指図沓を・使用して個別原価計算と同様の働らきをもたせる細別綜合原価討英 側靡を導入することが多い。個別原価計算ないし綜合原価計算を行なってこいる企業ほ全体 の約6割に.しかすぎないことほ,経営者のコスト意識(例えば,原材料歩留り率,あるい は製品単位あたりの原材料などに′ついての意識)が高いと予想していたのと考え合わせて 予想外であった。標準原価計算あるいは直接原価計算を導入している企業は殆んどないと いっでよいほどに少ない。これらの計算制度が,原価管理に・,あるいは販売価格の設定に
重要な機能をはたすことを考えれは,好ましい状態にあるとほいえない。
作共内容別に記録を行なうケ−スもかなり少なく36.6%の割合である。費用の部門別計 鈴を行なう企業は51,2%で約半数である。
予算統制制度,資金管理,損益分析・比較および原価分析・比較の導入状況を示せば,
それぞれ節8表,第9表,第10褒,第11表のごとぐである。予界統制制度を導入している 企兼ほ,家具・装備品製造業において−は50.0%と半数に達しているが,木材・木製品製造 業においてほ31・0%と全体の3分の1に達していない。企業規模,平均従業員数をみると
第39巻 欝4号
郷8表 木材・木製品・家具製造業に・おける予算統制制度
466 ーーJ2♂−
材・木製 木 家具製造業 菜 種 弓 木材・木製品】家具・装備品
9u
項舶比率
〜
i㌻「芯
総計】構成比率 完「「議了 291100.0
項 目
\\\」
6; 500‡15
損益予算
し で い る し て い な い
4…:;i2…
返 答 な し 12
節9表 木材・木製品・家具製造菜紅おける資金管理
巣 種一木材・木製品王家貝・装備品倭 品
45
㌻ ∴・...
平均 従業員 数
\工\ \調査対象企業数 構成比率 総計」構成比率
 ̄ 完「「芯㌫
291100い0 121100.0 項 目
軒霊
・∴. .ご −−  ̄−.
7 4 1
5 2 3
4 5 0
3 5 1
20 48り8 8、3 呈 4 j 9.7 第10表 木材・木製品・家具製造業における損益分析・比較制度
 ̄ 天蚕扇 木材・木製品l家具・装備品l奈留
菜 種 家具製造菜
57 − 二∴i▲∴こ∴
、
.1i
45
\\\−
項 目 、\ \ 29;1軋0
9】 31.0 33・写【13 巨 31・7
50.0
22 j 53.71
6 7 14..6
21 16.7
算11表 木材・木製品・家具製造業における原価分析・比較制度
木材・木製品
家具製造業 業 種 l木材・木製品l家具・装備品
 ̄鵬岬 ̄ ̄ 頂1軒硬藩頁
45
45
訂l
三;Il.:∴.
57
毒蒜7靂蒜遠
、−−→→・−、
構成比率
、−\\・、調査対象企英数 項目 岬
「
の絞
12 E lOO.0
411100.0 し て− い るし て い な い
返 答 な し 4 138 2 6 14 6
467 木材・木製品・家具製造米の経理組織とその経営成総・財政状態(1)一J2J−
半分であって木材・木製品製造菜のそれほ45人であり,家具・装備品製造業の2分の1で ある。この規模の差が導入状況の差として現われてヤるのであろうか0しかし予界統制制 度は,企業の討画の具体化であり,また執行活動の目標ともなるぺきものであるから,経 営の合理化をほかるために・ほ,より積極的に・導入する必要声ミある○ しかも,予静差異分 析・比較を行なう企業ほ,317%とかなり少数になる。製造原価の分析・比較を行なう企 米は,より減っゼ26り8%となる。ただし,木材・木製品製造業紅あってほ反対に・弘5%と 増加している。水村・木製品製造業にあってほ,家具・装備品製造業に比して二,加工手段
が少なく,′また攣純であるため,分析・比較しやす小ゆえであろう。
資金ぐりに関連する資金運用表ないし現金・預金収支予定表の作成状況は,上述の予算 統制制度,損益分析・比校,原価分析・比較の導入状況を上廻って41・5%を占めている。
企芙がいか紅資金ぐりに底意しているかを物語って−いる。
外部からの指導状況を示せば,第12表のごとくである。第12表にみられるどとく,はと
んどの企菜は,税理士(41巾5%)か公認姦討士(31.7%)の援助を得ている。この指導内 容は.,経理とく把」税務関係の問題であり,企業がいかに税務問題紅考慮を払っているかを
示している。
青色申悪制皮の採用状況を示せば,第13表のごとぐであり,その732%が背色申告をし ている。
棚卸資産の評価方法を示せば,第14表のごとぐである。第14裁から知られるどとく,木 材・木製品製造業においてほ,「その他」がもっとも多く,44・8%を示してい卑。この「そ の他」の内訳内容ほ,個別法あるいは単純平均法が多い。これは今迄の地場産業調査業種
鐸12表 木材・木製品・家具製造業匿おける外部 からの指導
第39巻 欝4号
第13表 木材・木製品・家具製造業における音色申告制度
468
−J22}
碍14表 木材・木製品・家具製造業に.おける棚卸資産の評価方法
木材・木製品 家具製造業 業 種 【木材・木製品l家具・装備品
90
嘉丁義正毒 i㌻T「蒜㌃
平 均従業員 数
57
蒜丁議諒瓦壷
\ \ 調査対象企業数 竺⊥攣些警 29」100.0
\ \−
項 目 \ 41 1 100.0
\ 、
棚卸資産の評価方法
244 2.4
7.3 31 7 34.2
最終仕入原価法 先入先出法 移動平均法 総 平 均 法 そ の 他 返 答 な し
一3 138 仙 .3 8.6 0 4 7 1 4 2
に.は見られなかった点である。いずれの菜種に・もおおく採用されて−いる方法は,家具・装 備品製造業にも見られる最終仕入原価法である。この場合紅も41.7%を示し,もっとも多
い。この方法は,期末棚卸資産の価値を貸借対照表上表示するために・ほ,先入先出法に比
して劣るであろうが,最近購入した分から先に払い出す方式であるから,客観的な原価主 義に立倒しながら,現在の収益紅最近の原価を対応せしめ実体資本維持をほかるためには 有利な方法であり,特にインフレ・−ジョン時に.おいては企業にとって有利であろうと思わ れる。
現在の貸倒準備金制度に.満足しているか否かに.ついての状態を示せば,算15表のごとく である。木材・木製品製造業および家具・装備品製造業ともに満足していない企業の方が 多い。
減価償却制度の実施状況を示せば,第16表のごとぐである。方法としては,定率法が多 く採用され,683%を占めている。基準としてほ,「−・定のよ準」が829%の多数の企共で
469 木材・木製品・家具製造兼の経理総裁とその経営成績・財政状態(1)」−Jゑヲー 採用され,「税法上認められる限度額まで」償却している企業が78・0%で圧倒的把・多い。と れらのことは,減価償却による内部留保をより高め,また固定資産に.投下されたという忠 味での固定資金の流動化をより進めることとなる。換言すれば,企業の流動性と安全性を
より確固たらしめ,消極的紅は,企業の資金繰りを援助する要因(減価償却費は資金計画 における資金源泉となる)となり,また積極的にほ,企米の資本コストを低下させる要因 となる(この内部留保部分は,企業内に新規の資本需要がある場合,これを充足する源泉 を形成するから,それだけ他からの源泉に期待する必要がなく,資本コストを軽減せしめ ることが可能である。また新規の資本需要がない場合,投資・出資を行なったり,あるい
木製品・家具製造兼における減価償却制度
第16表 木材
木材・木製品 業 種 【木材・木製品 家具・装備品l豪笑壷迄菜 平均 従弟員数
\\\\\ 調査対象企業数 構成比率 計l構成比率 総計l構成比率
\・−・、
項 目
\ \ 29】 100.0
121 100.0 定 率 法定 額 法 そ の 他 ー・定 の 基 準 多い年度には多く少 い年度紅は少く 少いか欠損の時は償 却しない
そ の 他
償 却
し て い る し て い な い 答 な し
欝39巻 第4号 470
ーーJごイ一一
は借入の返済庭あてこることが可能となるから資本コストを軽減せしめることが可能であ る)のであるから,定率性が採用され,税法上認められる限度額まで脱却していることは 好ましいといえよう。
租税特別措置法紅もとづく価格変動準備金ないし特別償却・割増償却などの税法上の特 典な企業がどれはど利用しているかの状況を示せば,節17表のどとくである。価格変動準 金制度を利用しでいる企業ほ63.4%で,していない企業よりも多いが,特別償却・割増償 却制度についてこは,利用していない方が43ひ9%と多く予想外であった。たゞし,これを各
業種別でみると,木材・木製品製造業では51.8%と利用していない企業の方が多いが,家 具・装備品製造巣でほ,利用して言いる企業の方が多い。
特色ある計餅統制面での方策を採用してこいれほ記入されたい旨の調査項目に闇,全企業 とも「■なし」と答えられた。筋18表の示すごとくである。企巣はそれぞれ特殊性を有して いるのであるから,その個性に適応した何等かの方策が望まれる。たゞし,「なし」と答え られた企業のなかのいくつかに・は,遠慮されて答えられた何もあろう。
箪17表 木材・木製品・家具製造共における租税特別措置法
罪18表 木材・木製品・家具製造共における特色ある計算統制面での方策
選 種‡木材・木製品1家具・装備品き 品
∴_.:・二、こ..●・:
\−・
、、 調査対象企業数
項 目 ごミ・
.j↑Lト■ 竺⁝
\ _、
轡学研で策 あ る
富熟思芸j な い 29 12 lOO.O L 41 lOO.0
471 木材・木製品・家具製造業の経理組織とその経営成績・朗政状儲(1) −−−J25−
以上われわれは,四国地方の木材・木製品・家具製造業における経理制度の近代化に ついで概観したが,−一般的にいって大規模企業はどそ・の近代化が進んでいるといえる。
こ.の調査から知り得たものを要約すれば,つぎゐ5点を手旨摘することができる。
第一一川ほ,経理担当者が予恩外に少なく(平均従業員数57人に対して.1人ないし2人),そ の上他の業務と兼任し七いる例が多いことである。この程度の担当者では管理会計制度の 導入が雅しい。この意味では,経理意識が−−一腰常低いと思われる。
第二ほ,経理担当者が得難いことから少いゆえ.と税務問題のゆえに,企菜経理庭・は税理
士(41.5%)・公認会計士(31い7%)が関与している。税務の煩雑さなどのため把,税理
ニト公認会計士に.依存し,またそれだけ企業内部の経理担当者を少なくするというケt−・ス もある。また有能な経頚髄.当者を得難いために,企党外部の税理士・公認会計士妃財務会
封領域の諸問題とともに管理会計領域の諸問題についてこの指導せ仰ぐというクー・スもあ る。大規模金策になれぼ経理問題もそれだけ・複雑化するが他方宥能な人材を確保・簡成で きるから,企米内部の経理問題庭ついて経理担当者が処理しうるが,中小企業(中小企業 というよりも従業員数57人で小企業)でほ企兼内部の経理問題をも外部者に任せるのほ己 むを得ないことであろう。
第三ほ,資金ぐりに.は非常に強い関心を持っており他の計各制度の導入がさはと進捗し
ていないのにもか」わらず,多くの企兼(41い5%)で資金運用表を作成し,現金収支予定 表を作成している。企業の財務支払能力を把握するためには,流動比率などの静態分析と
ともに.,この資金運用表を基幹とする動態分析が必要なことはいうまでもない。
節四ほ,コストに対する意識は,かなり高いと思われるにか」わらず,制度的取価計餅 あるいは非制度的特殊原価調鷹の採用が少ない。第一点で指摘した有能な経理担当者が少 ないから己むを得ないことなのであろうが,この意味でも有能な人材を育成し企業内部の 計界体系を,確固たらしめねばならない。そうでなければ企業のコスト憩故は常に浮いて
しまうこと把なる。
第五は,企業規模の大きいはど経理制度の近代化は進んでいると一応言えようが,しか しそれにしても,予界統制制度や標準風価計節制度のごとき高度の管理会討制度を導入し ている企業が少ない。設備投資の経済性計算などの特殊原価調査はなおさら少ない。
企業凝営活動の計数的把握は,企業経営の封圃を樹立し,統制管理を行なう前提条件と なるものであり,これなくしては企兼経営の近代化はあり得ない。経営者が従来からの
「拗」と「経験」を・頼りに企業を経営する時代は遠く過ぎた。企業がその社会的茸任を自
第39巻 第4号
472 wJ26−−
覚しつつ維持繁翠して行くために・は,適正な計画をたて・,自己の活動をきびしく評価する ′ ことこそ重要である。この観点から経営者は経理の機能を改めて認識する必要がある。−
例をあげれば,設備投資を行なう際にも,∵前もってこその経済性計算を行なうことを忘れて はならない。これなくしてほ過剰投資を招き,そして過大在庫を招来する。とれはひいて 生産性を低下させ収益力を落すばかりではなく現在の中小企業がもっとも恐れて−いる資金
ぐりを圧迫することに.なる。わが国においても,近時ゐ管理会討の進歩は自覚しいものが あるのであり,企業はこ.の利用に無関心であってほならない。企業ほその特殊性に.適応し た管理会討制度を充分に.導入し活用することが蛋要であろう。