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管理会計の課題

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(1)

香 川 大 学 経 済 論 叢 第

75

巻 第

2

2002

9

33‑94

わが国多国籍企業のグローカル化と 管理会計の課題

-1992 年と 1997 年の比較において一一—

井 上 信

はじめに一―—問題提起とその限定

わが国企業は,現在企業活動の再絹成の真っ只中にあり,製造活動,販売活 動,研究開発活動を始めとするあらゆる経酋活動の再検討,再構槃が急速なス

ピードで巡展している。そのような経党構造のリストラクチャリングの進展 は,経済イ外兄に苫しんでいる日本国内,金融危機に見まわれたアジア地域

(NIES

諸国,

ASEAN

語国を含めて),

EU

統合による経済のボーダーレス化が進展し ている

IH

西欧諸国,「ヨーロッパの工場」になりつつある

[Fl

東欧諸国を含めた 欧州地域,アメリカ合衆国,カナダ,メキシコを含む北アメリカ地域

(NAFTA)

と ,

tfl:

界的な規校で企業活動の再編成が急激なスピートで進展している。詞時 に中華人民共和国は最近富みに

1ilt

界の工場」としての地位を構築してきてお

り,わが国企業は国内

I

場 の 叫 叱 本

t

へのシフトも加速させている()

このような机界のビジネス環境を取り巻く経済環境の急激な変化の渦中で,

わが国多国籍企業は,これまでアジア,北アメリカ,欧小

M

地域を中心に諸外国 へ事党展間を

i

仕界的な規模で積極的に進展させることにより,これまでにグロー バル企架としての指導的地位を着々と構築してきた。

わが国多国籍企架の海外への

'Ji

業展開の歴史を振り返ってみると,その初期

の段階では,商社,代刑店などを通じた輸出・販元咽の進出,第

2

段階はメー

カーが独目に販尤会社を設立し,その販売会社を通じたメーカーの直接販売

應 第

3

段階としては海外諸

Irr:J

に製造悲地である上場を展開する現地生飴・現

(2)

‑34‑

香川大学経済論叢 2 3 0   地販売型へとグローバル化を進展させてきた。そして現在では,研究開発から

アフターサービス活動までの企業のトータルな経営活動,すなわち研究開発活 動,製造活動,販売活動まで一貰した現地化へと,経営活動(機能)のローカ

ル化を加速,進展させてきている。

とりわけ製造活動のローカル化を示す現地生産活動は,その進出の初期には

SKD

生 産

(semi‑knockdown

生 産 あ る い は

screwdriver

生 産 ) と 呼 ば れ る , 単 に短い最終組立段階のみをローカルで行うという生産活動の海外移転の形態に すぎなかった。第

2

の段階は

CKD

生産

(completeknockdown

生産)と呼ばれ,

単に最終組立段階だけでなく部分組立の段階をも現地進出先国で行うレベルヘ と製造活動のローカル化がより進展してきている。また最近では,製造活動は 具体的な実際のものづくりの段階だけでなく,製品企画,基本設計,詳細設計 という広義の研究開発機能

(R&D

活動)のローカル化をも急速に進展させて いる。同時にわが国多国籍企業のグローバル展開に伴って,北アメリカ,欧小卜

,I

アジアなどの地域に進出した海外子会社(製造,販売,サービス会杜等々)を 統括する地域統括会杜

(regionalheadquarter)

の必要性と重要性も増してきてい る。また海外子会社から日本の親企業(あるいは他の海外子会社)へと,経営 職能の相互移転の重要性もしばしば指摘されている。

以上のようなわが国企業を取り巻く急激な経営環境の変化に伴って,わが国 多国籍企業の月次報告制度,予算管理制度,国際振替価格,海外子会社の業績 評価,海外子会社の資金調達などという管理会計の国際的局面,いわゆるグロ ーバル管理会計に関連する諸問題が提示されている。それらの間題の具現化と その解決は,わが国多国籍企業の管理会計活動に大きな影響を与えている。こ のような認識に立って,わが国企業のグローバル展開に伴う経営活動と管理会 計活動の実態と課題についての諸問題を,わが国多国籍企業本社(親会社

 

headquarter)

サイドヘの郵送調在に基づいて,その概要と課題を取り纏めたの が前稿である)。

本稿では,前稿での問題意識とそこで展開されている研究の意図をそのまま

(1)  井上信一 ( 1 9 9 2 ) を参照のこと。

(3)

231 

わが国多国籍企業のグローカル化と管理会計の課題

‑35‑

受け継ぎ,日本のバブル経済が崩壊した

1992

年と

1997

年という二つの時点を 比較検討することにより,どのような展開と変容が生じてきているのか,経営 管理実践や管理会計実践の検討を通じて,その実態と問題点を明らかにする。

以上のように,わが国多国籍企業(製造業)の本社サイド(親企業)への郵送 調査をもとに,

1990

年代の時系列的な動向とその特徴,課題を二つの郵送調 査により解明することが本稿の主旨である。

I

I 

多 国 籍 企 業 の グ ロ ー カ ル 化

(2) 

この節では,わが国多国籍企業のグローカル化を,事業組織のグローバル化,

経営人事のグローカル化,経営活動のローカル化,研究開発活動のローカル化 について,その実態と課題を考察する。

21 

事業組織のグローバル化

この項では,日本の親会社と海外子会社の事業組織上の関係を明らかにする ために,日本企業の海外子会社の概要(出資形態,タイプ),国際(海外)事 業本部とその形態,日本の親会社による海外子会社の管理形態,地域統括会社 の実態についてその概要を検討する。

(1) 

海外子会社の概要

出資比率別の海外子会社の内訳は,表

21

に示すとおりである。日本の多国 籍企業

1

社当たりの海外子会社数の平均値は,

1992

年調査では

16.07

社(回答 企 業 数

206

社)であり,

1997

年 に は

16.88

社 ( 回 答 企 業

232

社)と,幾分増 加している。

出資比率別に海外子会社数の構成比をみてみると,

1992

年には,

100%

出資 の 海 外 子 会 社 が

54.2%, 50%

以 上

100%

未 満 は

22.7%, 

そ し て

50%

未 満 は

23.1%

と,日本の多国籍企業は

100%

出資による海外子会社の設立というケー

(2)  こ こ で は , 伊 丹 敬 之 教 授 の 用 語 に 従 い , 「 グ ロ ー バ ル 化 」 と 「 ロ ー カ ル 化 」 の 両 者 を

合わせて「グローカル化」と呼んでいる。なお「グローカル化」については,伊丹

(1989)

及び拙稿

(1992), 140

ページの脚注 (1)を参照のこと

3

(4)

‑36‑

香 川 大 学 経 済 論 叢

232 

スが過半数を占めていることが理解で苔る。

また

5

年 後 の

1997

年時、点でも,

100%

出責の汁『外

f

会社は

53.6%

を占め,

幾 分 減 少 し て い る が , 過 半 数 を 占 め て い る 。 ま た わ が

l

E]

視 会 社 の 出 責 比 率 が

50%

未 満 の 海 外 子 会 社 は

20.9%

と,この

5

年間に

2.2%

減 少 し て い る 。 逆 に

50%

L100%

未 満 を 出 資 の 洵 外

f

会 社 の 比 半 は

25.5%

と ,

2.8%

増 加 し て い

る 。

1.

の よ う に , わ が

[,q

多 国 籍 企 業 が

100%

責 本 出 資 し て い る ケ ー ス も 多 い が ,

lwl

時に

1/4

は過半数出責であり,

50%

以ドのケースも

20%

以卜」こなっ ている。これは進出地域,海外巡出の

Ii

的によっても色々と異なることが,現 地へのインタビュー調介などで明らかになった

n

視会

H:

出賓比牽

l l  

100% 

/ i ' d f  

21

湘 外 [ 会 社 : 出 脊 比 半 別

1992  54.2% 

2)  50%

以 卜

100%

未満

22. 7  3)  50%

未満

23. 1 

*)  =203 (1992),  =232 (EJ97) 

1997  53.6% 

25.5  20.9 

次に日本の親企業

l

:I

平均の海外 r 会社のタイプ別にその構成比をみてみる と ,

1997

年時、

1,¥

では,最も多いのは製造・販尤会社であり,

36.07%

になって いる。次に多いのは販売会社であり,

33.57%

を占めている。また製造機能の み の 海 外

f

会社も

14.46%

を占めている()以

I.

の こ と か ら , 最 も 多 い の は 製 造 機能を受け持つ涌外

f

会社であり,次に販元機能を行う海外 r 会社が多くなっ

ている

u lj

』以外には,阪尤危融機能を呆たしている洵外(会社は

2.38%

で あり,またアフターサービス機能を行う海外子会杜は

1.19%

にすぎない。

5

年 前 の

1992

年時、

i

仄 と 比 較 し て み る と , 製 造 販 売 会 社 は こ の

5

年 間

に ,

32.8%

から

36.07%

へと増加傾向にあり,逆に製造機能,!!及ヽ尤機能単独の

湘外[会社は,幾分減少傾

j11J

にあることが月

.1

鮒で苔る。

(5)

233 

わが

i"l

多 国 籍 介 業 の グ ロ ー カ ル 化 と 秤 理 会

ll1

の課題

タイプ別

1)

製造・販尤会

H

2 ) 製 造 会

rf

;3)  l

阪 ヽ , じ 会

H

4 ) 販 尤 金 峨 会

H

22

海外[会社の分類

1992  32.8% 

16. 1j 

35.4  3.3  5)

アフターサービス会

H 0.6 

6)

その他

11. 5 

*)  =203 (1992),  n°=232  (1997)

視 会

Hrl

ヽド均

( 2 )  

親 会 社 と 海 外f会 社 の 連 携

1997  36. 07% 

14.46  33.57  2.38  1.  19  12.32 

‑37‑

この瑣では, 11本の視企業サイドに海:外f会社を1脊 理 す る 組 織 と し て 国 際

(海外) Ji業 本 部 を も っ て い る か ど う か , ま た 「 あ る 」 場 合 に は ど の よ う な 形 態の糾織になってしヽるかを検討する。それに続いて,北アメリカ,欧朴[, アジ ア の そ れ ぞ れ の 地 域 に お け る 洵 外f会 社 ( 製 造 会 社 , 販 尤 会 社 な ど ) を 統 括 す る 組 織 と し て 地 域 統 括 本 社 (regionalheadquarter) を , 日 本 の 多1叶 籍 企 叢 は ど の程度もっているかを検壮する。

a) 

I玉H嘉J~

業 本 部

I本の多

[ i { j

藉 企 業 の 本 社 組 織 の 中 に , 海 外f会社の1り業活動を竹理する[玉

J

(海外) •jf 業本 rm のある企業がどの程度あるか,表 2-3 により苔察する。

日 本 の 視 会 社 の 組 織 に 国 際

' j i

業 本 部 の あ る Il本の多国節企菜は, 1992年 時 }

,

 忙では, 55.94%と 過 ド 数 を 占 め て い る 。 し か し 1997年 に は , そ の 比 牽 が 54. 94%と,ちょうど 1 %減 少 し て い る が ほ ぽIr,Jじ水準にある。!け本的に検討

してみると, 1叶 際rF業本部があるのは研究開発聞(製品企訓,研究開発(狭義),

晶;

1を 含 む ) で は 49.06%と 少 な く , 逆 に 製 造 販 売 刑 ( 以IR & D

機能が・

つ も な い ) の 場 合 に は 59.84%と,その比率が 10%以,‑.翡 く な っ て い る 。 全 休 的 に は , 製 造 販 尤 刑 の 場 合 が1叶際t/f業 本 部 を 保 持 し て い る 比 半 が 10%

.t 翡くなってしヽる。

(3 

M 究 I)廿発 I利と製造販尤}~'! の品 l リj は,付録の中の付 1) を参照のこと~,

(6)

‑38‑

香川大学経済論叢

234 

23

国際事業本部

有無

1992  1997  1)

ある

113  (55. 94%)  128  (54. 94%)  2)

ない

77  (38. 12 

) 

90  (38.63 

) 

3)

その他

12  (5.94  15  (6.43 

) 

*)  =202 (1992),  =233 (1997)

b) 国際事業本部の形態

それでは,国際事業本部のあるわが日多国籍企業は,どのような組織形態の 事業本部(地域別か,製品別か,あるいは地域別十製品別のいずれか)をす俎っ

ているのか,表

2‑4

により検討する。

1992

年時点では,最も多い国際事党本部の形態は,アジア,欧朴

,I米什1

と いう地域別の事業本部制であり,その比率は

41.79%

を占めていた。次に多い のは製品別事業本部であり

13.43%

を占め,そして地域別十製品別の事菜本部 制というマトリック組織は

7.46%

と,最も少なくなっている。(ただし「その 他」が

37.31 

%を占めているが,ここでは除外した。)

1997

年には,最も多いのは地域別+製品別のマトリックス組織であり,そ れは全体の

32.94%

を占めている。

2H

に多いのは,地域別であり

17.65% 

を占め,製品別事業部は

15.29%

という比率になっている。(なお「その他

J

34.12%

を占めているが,除外した。)またタイプ別には,

R & D

型 の 場 合 が製造販売型の場合よりも,地域別十製品別のタイプの国際事業本部が,

10%

程度多くなっていることが理解できる。

表24

国際事粟本部の組織形態

組織形態

1992  1997  1)

地域別事業本部

28  (,11. 79 %)  15  (17.65%)  2)

製品別事業本部

9 (13. 43 

) 

13  (15.29 

) 

3)

地域別+製品別

5 (7.46)  28  (32.94 

) 

4)

その他

25  (37.31 

) 

29  (34. 12 

*) 

=67 (1992), 

=85 (1997) 

(7)

235 

わが国多国籍介業のグローカル化と管理会計の課題

‑39‑

C)

日本の親会杜による海外子会社の管理形態

日本の親会社

(headquarter)

による海外子会社との管理形態は,表

2‑5

のと おりである。

まず最初に,

1992

年 時 点 で の 実 態 を , 表

2‑5

により検討する。最も多いの は,製品別事業本部がすべてを管理する場合で,

27.93%

になっている。第

2

位は

1)+2)

のマトリックス組織で管理する形態で,

21.62%, 

3

位 は 国 際 事 業 本 部 が す べ て を 行 理 す る 形 態 で

17.57%, 

国 際 営 業 本 部 が 管 理 す る 形 態 で

16. 62%, 

そしてその他

16.67%

と , わ が 国 親 会 社 に よ る 海 外 子 会 社 の 管 理 形 態は多様である。

1997

年時、点で,最も多い管理形態は,製品別事業本部がすべてを管理する 形態であり,

30.17%

を占めている。次に多い糾織形態は,国際事業本部+製 品別事粟本部のマトリックスで管理する形態であり,その比率は

29.74%

と , 最初の形態 ( 1 ) ) にほぼ拮抗する数値になっている。これは製造機能について は,製品別事業本部が日本の親

L

(motherfactory)

の役割を果たしており,

開発,製品,技術を始めとする面で,種々指導,援助をしているためと思われ る。また販売会社などは,国際事業本部が一括管理するというケースが含まれ ているためと思われる。第

3

に多いのは,国際営業本部が海外子会社を管理し ているケースであり,これは販売会社(販売機能)は,国際 営業本部がグロー バルに統括しているためと思われる。同時に国際事業本部がー元的にすべてを 管理している企業も

12.50%

を占めている。

タイプ別の特徴は, R & D型の場合には, 3 ) ( 1 )  

+2)

のマトリックス型)の タイプが

35%

を超えて おり ,最 も多 くな って いる が, 逆に 製造 販売 型の 場合 には,経営規模の間題もあり,製品別事業本部がすべてを管理しているケース が多い。いずれにしろ,海外子会社を管理する形態は,マトリックス形態 ( 1 )

+2))

でマネジメントするか,製品別事業本部が一元的にすべてを管理する形

(4) 

また

1992

年時点で,「その他」が

37.31

%も占めており,また

1997

年にも, 上記

3

に分類出来ない組織形態をとっている企業が

34.12%

を占めており,その比率が高くま

た内容が不明なケースが多い。面接調壺などにより,その内容を検討する必要がある。

(8)

.~40-

香 川 大 学 紆 済 論 叢

態のいずれかという企業が多くなる傾向にある。

表2

5 11

本 の 視 会 社 に よ る 洵 外 [ 会 社 の 特 即 形 態 料

j

用形態

1992  1997:  1)  I

囁祭

'Ji:

業 本 部 か す べ て 秤

j

39  (17. 57%)  29  02. 50%)  2)

製品別

1

り業本部かすべて竹雌

62  (27.93 

) 

70  (:30. 17  3)  1) +2)

のマトリソクス竹手

11 48  (21. 62  69  (29.711  4) 

[ 1 i J I 祭 , , ; 玲業本部が↑匂用

36  (16. 62  39  (16. 81  5)

そ の 他

37  (16. 67  44 (18. 97 

*) 

=222 (1992), 

=232 (1997L 

•「)

1997

年 の 閾 介 で は , 恨 放

111j

笞の命菜かあるため,

j1f?

和令菜総数

232H

で ・ ,

l

っ て , そ れ そ

iL

の比年を符.出した

0

( 3 )   地域統括本杜

) 

236 

最近では

l"I

本の多くの多国籍企業は,北米,欧州,アジアのそれぞれの地域 に , 地 域 統 括 本 札

(regionalheadquarter)

を 設 置 し て , そ の 地 域 令 休 の 湘 外

r‑

会杜のマネジメントの権限・責任をそれら地域統括本社に委譲する傾

[11]

がみら れ る 。 そ の こ と に よ り , 地 域 統 括 本 社 の 経

i'

料料用の権限・責任を大輻に強化

し,現地での怠志決定のスピードを早め,

Ir,J

時によりローカルに密着し的雁で タイムリィーなな志決定をめざす傾 1 川かみられる,〗ここでは日本の多国籍食業 における地域統括本社のイ刊冊とその動阿について検吋するぃ

a)

全イ本的な概要

わが

Ir,J

多 国 籍 企 業 に お け る 地 域 統 括 本 朴 の 設 附 状 況 に つ い て , 表

26

によ り,北米,欧州,アジア地域におけるそれぞれの動 l 川と特徴を概観する。

まず北米地域では,

1992

年時、

1,¥

に お い て , ア メ リ カ 介 衆 国 を 中 心 に 北 米 地

域に統括本社のあるわが

[1

、:]食業は

(39

ネ I : ,

20. 86%)

を占めており,

i什vt1i

中の

企 業 が

(38H, 20. 32%)

あ り , 「 地 域 統 括 会 社 な し 」 と い う 介 梨 は

(110

社 ,

58.82%)

としヽう構成比になっていた。それに対して,

1997

年には,地域

統 括 本 社 の [ あ る

J

合 業 が

(48H, 24. 05%)

に増加しており,[叶圃

I

ド」は

(32

杜 ,

11.04%)

に減少,そして「なし]も

(118

杜 ,

64.91 ?lci)

に培)

Jll

して

しヽる。このことは,

1992

年時、((で叶

jlllj

中であった食業は,

SI

は 地 域 統 括 会

(9)

237  わが国多国籍企粟のグローカル化と

1

脊罪会

i

寸の課題

‑4/‑

杜を設償し,詞時に残りの一部の企業は地域統括会社の設岡社[制を断念してい ることが窺える。それでは具体的に,地域統括本社の実態を検討する。

地 域 統 括 本 社 の あ る 具1本的な国 (1997年時、点)は,北米地域では,大部分 はアメリカ合衆国にあり, (45 97.83%) を占めている()その理由は,ア メリカ合衆国はflt:界経済・金融の中心地であり,とりわけ東海岸のニューヨー ク , ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー , あ る い は H本から最も近い西海;ドのサンフランシス コ,ロスアンジェルスに地域統括本社を集中させる傾向があることが理解でき る。アメリカ合衆日以外では,カナダ (l,rt,2.17%) に地域統括本社が 1 あるのみである。ほぼすべてが米国に集中しているといえるc

次に欧ヽ}卜1地 域 に つ い て レ ビ ュ ー す る 。 欧 ヽHIに お い て は , 地 域 統 括 本 杜 1992年には (35H:,  18. 92%)であった。また「川両中J(37H, 20%), 

「なし」は (113ti:,  61. 08 %)となっている。それに対して, 1997年には,

地域統括会社が「ある」企党は (39 17.18%), lrllBi (33 14.54%), そして「なし」は (155rl:,  68. 28%) 5年前と比べて,「あり」の企菜数は 1. 74%減少している()

欧州における地域統括本社がある具イ本的な国名は, 1997

n

ーふ点で,英国 (12 40%), オランダ (12ti:,  10%) , ドイツ (8 26.67%),ベルギー (5 16.67%),  フランス,スイス(各 1H, 3. 33%) という It.i々に地域統括会 杜が設けられている。

欧州地域の場合には,北アメリカの場合に比べて,地域統括会社のロケーショ ンはより多様であることが窺える。そのうちでも,地域統括会社の多い[玉lはイ ギリス,オランダ, ドイツ,ベルギーである()イギリスは,これまでも fl本と の歴史的な視近Yt また英語のf出国であり,オランダは物流拠、点としてのロケ ーション,税制と英語がよく通じるということがいわれてきたいまたドイツは 技 術 拠 点 、 , ベ ル ギ ー も 物 流 拠 点 と い う こ と が い わ れ て き た 1990年 代 の EU

(5)  なお北米地域における地域統括会社の総数は, 1 9 9 7 年時],忙で 48 社である(衣 2‑6参 照)か,そのうち

2

杜は地域統枯会札のある'"'名が心人されてしヽなかったので,   ・ I 訊]の

ような衣現になっている

0

(10)

‑42‑

香川大学経済論叢 2 3 8   統合の進展につれて,コミュニケーション手段としての英語の重要性がより加 速され,オランダだけでなく,他の大陸諸国(ドイツ,ベルギー,フランス,

スイスなど)でも積極的に英語が使われるようになってきた。とりわけ経営者

(managers)

として雇用される人材は,英語で会議などのコミュニケーション が行われるケースが多くなってきたので,これまではイギリス(ロンドン)か オランダ(アムステルダム)に地域統括本社を設けるケースが多かったが, EU  の拡大につれてドイツ(ベルリン),ベルギー(ブラッセル)など他のヨーロッ パ諸国(都市)に拡大する傾向がみられる。

アジア地域については,

1992

年 に は , 地 域 統 括 会 社 の あ る 多 国 籍 企 業 は

15

(8.93%),

「計画中」が

37

(22.02%), 

そして「なし」が

116

(70.92%) 

で あ っ た 。

1997

年 に は , 「 あ り 」 は

28

(12.33%), 

「 計 画 中 」 は

38

(15.74%), 

そして「なし」は

161

(70.92%)

という比率になっている。

1992

年に比べて,「あり」の比率が増加していることが窺える。ただそれでも,

アジア地域の地域統括会社の数は,北米,欧朴

1

と比べると少なくなっている。

その理由としては,日本本社との関係で地理的な近接性のため,日本本社が直 接管理する傾向が高いことが最も大きい理由と思われる。

ア ジ ア 地 域 に お け る 地 域 統 括 本 社 の あ る 具 体 的 な 国

(1997

年 時 点 : 無 記 人 を 除 く ) は , シ ン ガ ポ ー ル

(18

杜 ,

72.00%), 香 湛 (4t±.  16. 00%), 

台 湾

(2

社 ,

8.00%), 

タイ

(1

杜 ,

4.00%)

と い う 構 成 に な っ て い る 。 ア ジ ア で は,シンガポールに地域統括本社を設ける比率が圧倒的に高くなっている。そ れはシンガポール政府の物流,税制等における優遇措置,地理的ロケーション,

英語が公用語であることなどの利便性,西欧と東洋のミックスされた文化等々 が相まって,地域統括本社を設けている企業が目立って多い。

地域統括会社は,概括的には,北米地域で最も多く,欧朴

,I

アジアとなるに つれて,少なくなっている。ただこの

5

年間の動向としては,北米地域,欧朴

I

地域,アジア地域のいずれにおいても,地域統括会社の数はある程度増加傾向

にあり, とりわけ北米とアジア地域での増加率が著しい。このことは,世界の

経済のスピード化が著しい中で,グローバル経済の変化に機敏,迅速に対応す

(11)

239  わが国多国籍企業のグローカル化と管理会計の課題 ‑43‑

るためには,それぞれの地域に地域統括本社を設け,経営組織をよりフラット にし,より迅速に経党意志決定をするためには,地域統括本社に経営管理の意 志決定権限を委譲する必要性が高いことを,わが国多国籍企業のトップ経営者 が認識していることを示している。

表 2‑6 地域統括本社

1992  1997 

有無 北 米 欧 、

HI

アジア 北 米 欧 小

I'l

アジア 1 ) あり 39 ( 2 0 .  86%)  35 ( 1 8 .  92%)  1 5  (8. 93%)  48 ( 2 4 .  05%)  39 ( 1 7 .  18%)  28 ( 1 2 .  33%)  2 ) 計画中 38(20.32)  37(20.00)  37(22.02)  32(14.04)  33(14.54)  38(15.74)  3 ) なし 110(58.82) 113(61.08) 116(69.05)  148(64.91) 155(68.28)  161(70.92) 

22 

経営人事のグローカル化

この項では,わが国多国籍企業はどの程度経営人事のグローカル化を行って いるか検討する。そのため, 日本の親会社サイドからみれば,日本の本社機構 のトップ・マネジメントにどのくらい外国人トップ経営者がいるか(グローバ ル化の視点),また海外

f

会社サイドからみれば,現地法人(海外子会社)に おけるトップ人事(社長,経坪部長,人事部長,工場長など)の現地化(ロー カル化の視点)の実態を明らかにする。

1 )   日本本社(親会社)人事のグローバル化

まず最初に,日本の多国籍企業の本社サイドにおける経営人事の多国籍化(グ ローバル化),すなわち「内なる国際化」の実態を,表

2‑7

により検討する。

H

本企業の「内なるグローバル化」,すなわち経営人事の国際化の指標とし て , 日本本社のトップの人事(収締役,部長職)をどの程度外国人が占めてい るかの面より検討する。表

2‑7

から理解できるように,外国人取締役(あるい は部長)がいる企業数は,

1992

年時点で

17

(8.42%)

であり,

1997

年には

24

(10.26%)

と,この

5

年間に

2 %

近く増加している。ただそれでも外国人が

日本本社のトップ人事にいる企業は

10%

程度にすぎない。

(12)

‑‑44‑

香 川 大 学 経 済 論 叢

240 

27 11

本本社人事のグローバル化

1992  1997 

ヽ~

る し い な

︶   1 2  

17

8.4~%) 185  (91. 58) 

24  (10. 26%)  210  (89. 74) 

*) 

=202 (1992), 

=234  (1997) 

それでは

H

本の視会社に外国人トップ経営者(取締役あるいは部長袴)が[い る」場合,その数字はどの利度であるか。衣

28

によると,

tl:Y

均取締役以

1

. 

のトップ経 院者の人数は,

1992

年には

3.43

人であったが,

1997

年には

1.25 

人と急速に減少している。また部長職についても,

1992

年には

2.36

人であっ たが,

1997

年には

0.55

人と,こちらもその数字は忽激に減少している。

以上のように,企業数では,

II

本本社での外[

1q

人トップの登}廿企業の割合は 漸増傾向にあるが,

1

杜 りたりの数字は減少傾向にある。この理由は付録でも 指摘しているように調査対象の屏集団が増大したため,調_在対象企業の経党規 模 が 小 さ く な っ た こ と も そ の 埋 由 の 音

)I

として衿えられるが,面接調介などに よりフォロアップが必要である。ただわが国多国籍企業本社の人事のグローバ ル化は, ^筋縄には行かず必ずしもスムーズに進展していないことをぷ唆している。

1 ) 収締役以 I ・ . 2 ) 部長

*) 

992) , 

28 l1il

人トソプ経党者

1992  1997 

J i

 

均 値 標 準 偏 沿 N  平均

1

直 標準偏;

f: 

3.43  3.  16  14  1.  25  1. 55  20  2.36  1. 78  11  0.55  1.  15  20  =20 (1997

い 衣 中 の 数 字 は ,

r! 

あたり平均仙:人である。

2) 

湘外f 会社人'~ のローカル化

次に,わが日多[叶藉企菜の湘外

r‑

会社の経党人事職能のローカル化が具体的

にどの程度困難であるか,衣

2‑9

により検吋する。湘外

f

会社のトップ経党陣

のうち,ローカルに権限を委成することが最も困難な人事は,やはり湘外

f

杜の最終責任者である社長職

(president, managing  director)

である 0

1992

(13)

241 

わが[

Ji]

多 国 籍 企 槃 の グ ロ ー カ ル 化 と

11'.f

刑会叶の課題

‑45‑

6.48

(l位)であり, 1997年 に は 6.86, (l位)と,しヽずれの時、I訊で も そ の ス コ ア は 最 も 高 く , ま た こ の 5年間に 0.38、点増加している。次にロー カル化が困難な職能は, H本 か ら 現 地f会 杜 へ の 技 術 移 転 に お い て 中 心 的 な 役 割 を 果 た す エ ン ジ ニ ア リ ン グ の 長 で あ る 技 術 部 長 で あ り , 5.45,.1:((2位 : 1992年)と 4.95

(21立:1997年)となっている()技術のローカル化の進展 につれてそのスコアは幾分減少しているが,困難度はいずれの年度とも 2位と 技術移転の要である技術部長をローカルに委譲することは難しいようである。

技 術 部 長 の ロ ー カ ル 化 の 困 難 度 に 近 い の は , 製 造 計 [IEjか ら 始 ま り 牛 産 現 場 全 体 を統括するL場長の場合であり, 4.39、【

‑ 1 ! :

(4位 :1992 4.24 (3  

1997年 ) に な っ て い る 。 経 理 菜 務 ( 財 務 を 含 む ) の 要 で あ る 経 理 部 長 の ロ ー カル化のレベルは, 4.60

(3位 :1992 4.081,¥(4位:: 1997年)と,

ここでもローカル化の進展につれて現地にその権限を委譲する困難性も低下し ており,経理部長職のローカル化は着実に進展しているといえる。

I

. trじ以外には,副社長(いずれの年度も 5位),人'it部 長 , 背 業 部 長 と そ の ローカル化の難易度は低くなっていることが理解できる。

以上のことは, トップ・マネジメントの長(社長),技術の要(技術部長,

」:場長)と財務の要である経則i部長が,海外f会社にマネジメント,技術の国 際移転をする場合に,難しい課題であり,とりわけ社長ポストのローカル化は,

日本の多国籍企業のグローバル化とローカル化の「ねじれの関係」を調整する ポ ス ト で あ り , わ が 国 多 国 籍 企 業 の 海 外f会杜人'ドを象徴する減少であり,今 なおローカル化の最も困難なポストである。

(14)

‑46‑

香川大学経済論叢

表2

9

経営人事ローカル化の困難度

困難度

1992  1997  1)

社 長

6. 48(1)  6. 86 (1)  4)

技 術 部 長

5. 45(2)  4.95(2)  3)

工場長

4.39(4)  4.24(3)  7)

経 理 部 長

4.60(3)  4.08(4)  2)

晶 j社 長 l

3.65(5)  3.60(5)  5)

1i

部長

2. 79(7)  2.64(6)  6)

常業(販売)部長

2.92(6)  3.00(7)  8)

その他

0. 31 (8)  0.35(8) 

*) 

170  (1992), 

=201  (1997L

経党人,‑

F

の現地化の困難度

(困難度の最も高し叫)を

8/

ょ,以卜順次

8

位 .

1

、点)として,

阿答介業の合叶を出し,それを匝答企菜数で内l jって

lH

あたり の平均値とした。

3)  海外子会社のローカル経営者

242 

海外子会社人事のローカル化のレベルを,海外子会社のトップ・マネジメン ト(杜長,副社長,経理部長,人事部長)のポストをローカルの経常者がどの 程 度 占 め て い る か , 表2‑10に よ り , 具 体 的 に 海 外f会社数(現地法人の数)

から検討する。

まず社長ポストは, 1992年には 30.81 % , 1997年には 27.82%と,この 5 間に社長ポストをローカルの経党者が古めている比来は幾分減少している。た だそれでも 70%の 日 系 企 業 で は 日 本 人 が 社 長 ポ ス ト を 占 め て お り , ロ ー カ ル のマネジメントに社長ポストを委譲しているのは 27.82%の現地法人にすぎな いことが理解できる。

次に社長との 23脚が非常に屯要な経罪部長であるが,経坪部長ポストを ロ ー カ ル の 経 背 者 が 占 め て い る の は , 1992年 に は 30.94 % , 1997年 に は 30.12%と杓干減少しているが,経則部長をローカル舒 貨者が占めているのは

いずれの時点でも 30%程 度 の 現 地 法 人 に す ぎ な い

人 事 部 長 ポ ス ト に つ い て は , 1992年 に は 35.60%,  1997年 に は 30.59% 

5 %減少しているが,いずれの11寺入忙でも最もローカル経 爵者がポストを占

(15)

243 

わ が

IK)

多国籍企業のグローカル化と管・理会計の課題

‑47‑

めている割合が高い。これは人事管理の問題を内包しており,とりわけローカ ル経 常者の人事は,現地採用のローカルのワーカーを中心的に取り纏めるマネ ジメント・ポストであり,現地の社会,風

L,

文化との関係が緊密であり,ロ ーカルの経党者に担'½ させる必要性が最も高いポストである。副社長ポストに ついては,ほかのポスト(社長)などとの連携関係で決まる可能性もあるが,

ローカル経常者がそのポストを占めているのは,

1992

年と

1997

年のいずれの 時、点においても

20%

未満である。

210

海 外

f

会社のローカルの卜、

J

プ経営者

H

l)

社 長 2 ) 副 社 長 3 ) 経 坪 部 長

1992  1997  4. 93 (30. 81 %)  4. 73 (27. 82%)  3. 11 (19. 44)  3. 08 (18. 12)  4. 95 (30. 94)  5.  12 (30. 12  4J  A'1i

部艮

5. 36 (35. 60  )  5. 20 (30. 59  ) 

*)表中の数字は,

11

本 の 視 会 社

1

杜あたりのそれぞれのロ・ーカ ル の ト ノ プ 経 党 者 が い る 海 外

T

会 付 数 ( 平 均 値 ) で あ る 。 な お 括弧の中は,海外[会社総数に対する,ローカルのトップ経 腐 者がし、る企業の構成比をぷしている。なお視会社

lU'¾

たりの

海 外

r

会付数は,

t:f

平 均 で

1992

年 に は

16

社 ,

1997

年には

17

杜 であるぃ

4) 

海外子会社の従業員の研修・訓練

日本国内の親会社の巾業所(事業所・じ場)などで,海外

f

会社の従業員(技 術者を含む)の教脊,研修,訓辣を制度的に行っているかどうかも経営管理や 生産技術というソフトウエア・ハードウエアをローカルに国際移転する上で非 常に盾要な課題である。その実態を表

211

により検討する。

1992

年 に は , 海 外

f

会 社 の 従 業 員 の 研 修 ・ 訓 練 を , 日 本 国 内 で 「 定 期 的 に 行っている」のは,

13.50%

を 占 め て い る 。 「 必 要 に 応 じ て 行 っ て い る 」 の は ,

81.50%

と,大部分の企業ば必要に応じて行っているレベルにある。また

「行っていない」企業は

5.00%

にすぎない。

1997

年には,「定期的に行っている」企業は

14.29%

と幾分増えたにすぎな

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