• 検索結果がありません。

女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究

著者 竹内 正雄, 竹ノ谷 文子

雑誌名 星薬科大学一般教育論集

号 18

ページ 21‑33

発行年 2000

URL http://id.nii.ac.jp/1240/00000212/

(2)

21

女子学生の生活習慣と骨密度に

        関する研究 竹 内 正 雄 竹ノ谷 文 子

Relationship between bone mass and life

     style of female students

MASAO TAKEUCHI FUMIKO TAKENOYA

はじめに

 わが国は急速に進む高齢化社会を迎え,高齢者が健康な老後を過ごせるよう に,社会的課題として様々な対策が検討されている。その一つに疾病予防や寝 たきり予防などの予防対策がある。高齢者人口の増加にともない,骨粗髪症に 罹患する高齢者が多く,日常生活時のっまずきや転倒などの事故による骨折に 起因した寝たきり状態が社会問題になっている。骨粗髪症は加齢にともなう生 理的な骨量の減少を基盤に,遺伝要因,閉経,食事や運動,生活様式など生活 要因など多元的要因が加わって発症する1)。中高年を対象に骨粗懸症予防のた めの研究が多く報告されてきている2−6)。しかし,高齢者の骨塩量は中年期まで の骨塩量により決定され,カルシウムなどの摂取により,高齢期の骨塩量の減 少を予防する事は難しいとの報告があるη。骨粗髪症の予防には中高年からで は不十分であり,発育発達の完成期にある女子学生を対象に骨密度を測定し,

日頃の身体活動状況および牛乳摂取状況等から骨密度との関連を検討した。

(3)

22

研究方法

A.対象および調査期間

 調査対象は平均年齢19.8歳±0.8の女子学生である。測定期間は1997年6 月〜1998年7月までに3回実施した。統計処理は3回の測定を全て行った学 生32名を対象とした。

B.調査方法

 骨量の測定に使用した装置は,米国ルナー社製の低周波超音波骨量測定装置 を用いて,右足踵部位の骨密度を測定した。骨密度の指標としてSOS(speed of sound,超音波伝播速度), BUA(broad band ultrasound attenuation,超音 波衰係数),さらにこれらの計測値からstiffness Indexを算出して検討した。

その他,アンケートによる調査を実施し,運動経験,カルシウム,牛乳摂取状 況を調べた。

結   果

1.被験者の身体特性

 被験者の年齢,身長,体重は表1に示す通りである。対象の平均年齢は19.8

±0.8歳であった。「日本人の体力標準値」8}に比べ,身長は全国平均より有意

(P<0.05)に高く,体重は全国平均と等しかった。

表1.被験者の身体特性

     年齢(歳)  身長(cm)  体重(kg)

平均  19.8  1594*  5Lg

S.D.      0.8      5.3      6.1        *:P<0.05

(「日本人の体力標準値第三版」との比較)

(4)

      女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究  23 2.運動実施状況と骨密度

 本学女子学生32名の第1回(97/6)の骨密度の値は93±10.3であった。第 2回(97/12)の値は97±11.7で平均で4の増加であった。第3回(98/7)は平 均で1減少した(図1)。

 運動経験者と非運動経験者に分けてみると(図2)統計的な有意差はみられ ないが,運動経験者の方が非運動経験者よりも骨密度の値は優れている傾向が みられた。さらにこれらの運動経験者を図3のa,b, c, dの4群に分類した。

 運動実施状況にっいては(図3−a,b, c, d)第1回の測定から第3回までの間,

本学の体育会系の運動部に所属していた者を運動群(a),第1回から2回の測 定の間まで運動部に所属していたが,その後は退部してしまった者を運動中止 群(b),第1回から第2回までは運動部に所属していなかったが,第2回から 第3回まで,運動部に所属した者を運動参加群(c)とした。また,最初から第3 回まで運動部に所属しなかった者を非運動群(d)とし4群に分類した。これら をみると運動群(a)の骨密度の変化は第1回から第2回の間に有意(P<0.05)

130

120

110

鄭100

虹 go

80

70

60

       第1回  第2回 第3回

図1.全被験者の第1回測定から第3回測定までの骨密度の変化

(5)

 24

な向上が認められた。第2回と第3回の間には有意な向上は認められなかった が増加傾向がみられた。第1回と第3回の間では1%水準で有意な増加が認あ

られた。

 運動を途中でやめてしまった運動中止群(図3−b)6名の値をみると,第1回

130

120

  110

  100

本蜘

  80

70

60

        運動部非運動部

  図2.第1回測定時の運動部と非運動部の骨密度    運動群(a)      N畦0  140      「一* 一一一一1

 130  120  110 鯉100

 90

 70    一京* 一

60   第1回     第2回     第3回          期 間

     図3−ab.c.d.(っづき)

(6)

      女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究  25 運動中止群(b)       Nニ6

140

        運動参加   運動不参加

 130     「一一「「一一一「

髄12・

 ←一一 \\

80 70

60   第1回    第2回    第3回         期 間

運動参加群(c)      N=2  14①

 130     運動不参加   運動参加

 120    「一一一一一一一「「一「

ii

60

  第1回    第2回    第3回          期 間

非運動群(d)      N司4  140

 130 髄120  110 悼100

虹go

  80   70

  60    第1回    第2回     第3回        期 間

図3−a.b. c. d.運動実施状況と骨密度の個人別変化

(7)

26

表2,運動実施状況と骨密度との増減の関係 1回一3回

N

増  加 不  変 減  少

運 動 群 10 10 0 0

運運動中止群 6 4 0 2

  動

運動参加群 2 2 0 0

非運動群 14 9 3 2

32 25 3 4

y=0511X+69.3 r=0.261(P<0.05)

      N=96 140

130・・

120・

110…一…・

100

90

80

70・−

60

 30  35  40  45  50  55  60  65  70  75  80

       体 重(kg)

      図4.体重と骨密度の相関関係

から第2回の運動部に入っている間は1名を除き,他の5名は増加傾向がみら れた。第2回から第3回の運動を中止してしまった期間の個人の値をみると,

運動部所属期間に減少した1名がわずかな増加傾向を示したのみで,他の5名 は全員減少傾向を示した。途中からの運動参加群(図3−c)は2名のみである

(8)

      女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究  27 が,運動をしない期間(第1回から第2回)は1名が減少,1名が増加した。

運動に参加した第2回から第3回は2名ともわずかな増加傾向がみられた。

 非運動群(図3・d)は第1回から第2回の間に5%水準で有意な増加がみら れた。第2回から第3回では平均値に減少がみられた。

 運動実施状況と骨密度の第1回と第3回の増減関係を表2に示した。運動群 10名の第1回と第3回の値は全員増加した。運動を途中でやめた群6名は4 名が増加,2名が減少した。途中から運動部に入った者2名は2名とも増加が

みられた。

 非運動群は9名が増加,3名は変化せず,2名が減少を示した。

 図4は体重と骨密度の関係をみたものである。両者の間には5%水準で有意 な相関関係が認あられた。

3.牛乳摂取状況と骨密度

 3回の測定の間になんらかの形で牛乳を摂取した群と,まったく摂取しない

130

120

110

100

90

80

70

 60       飲 む 飲まない

図5.第1回測定時の牛乳摂取状況別の骨密度

(9)

 28

群を比較したものが図5である。飲む者の方が飲まない者より1ポイント高 かったが差はほとんどみられなかった。これらを第1回から第3回の測定期間 の間の摂取状況をアンケートから分類した。牛乳を毎日飲む者を毎日摂取群

(a),時々飲んでいる者を時々摂取群(b),飲んでいたが途中から飲まなくなっ た者を摂取中止群(c),途中から牛乳を飲み始めた者を摂取開始群(d),牛乳を 最初から第3回まで飲まない者を非摂取群(e)の5っに分類した。

 毎日摂取群は(図6−a)は第1回と第2回,第3回の間に有意(P<0.05)な増 加が認められた。時々摂取群(図6−b)も第1回と第2回,第3回の間に有意

(P<0.05)な増加が認められた。一方,摂取中止群(図6−c)は統計的な差は認め られないが牛乳摂取を止めたことによる減少傾向がみられた。逆に牛乳の摂取

毎日摂取群(a)      N=9  140

 130  120遡110

舶100

 90廓[80

 70  60

「一一寡一

一寒 ■

第1回    第2回    第3回      期 間

 140  130  120 遡110  100

 90 血80  70  60

々    b      N=10

一 塞 一一一一」

L_京 一

第1回    第2回     第3回       期 間

 図6−a.b.c.d.e(っづき)

(10)

       女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究  29  摂取中止群(c)       N=3

140   130

  120     飲む    飲まない

髄     「一一一一「「一一「

  110

勲100   −

  90   80   70

  60      第1回    第2回    第3回        期 間

   摂取開始群(d)       Nづ

 140

 130     飲まない    飲む

 120   「一一「「一一一「

髄110  100

  90

       一京 __」

本80

  70

  60      第1回    第2回    第3回        期 間

   非摂取群(e)       N巧  140

 130  120  110 舶100

申go

  80   70

  60     第1回     第2回     第3回        期 間

図6−a.b. c. d. e 牛乳摂取状況と骨密度の個人別変化

(11)

30

表3.牛乳摂取状況と骨密度との増減の関係 1回一3回

N

増  加 不  変 減  少

毎日摂取群 9 6 3 0

時々摂取群 10 8 0 2

牛   乳

摂取中止群 3 2 0 1

摂取開始群 5 5 0 0

非摂取群 5 4 0 1

32 25 3 4

を途中から始めた摂取開始群(図6・d)は第1回と第3回の間に有意(P<0.05)

な増加が認められた。非運動群は第2回,第3回とも変化はみられなかった。

 表3は牛乳摂取状況と骨密度にっいて第1回と第3回の増減の関係を示し

た。

 毎日摂取群9名の内,6名が増加し,3名が不変であった。時々摂取群は8 名が増加し,2名が減少した。途中から牛乳を飲むのをやめた摂取中止群は3 名中2名が増加,1名が減少であった。牛乳を途中から摂取し始めた摂取開始 群5名は5名全員が増加した。非摂取群5名は4名が増加し,1名が減少し

た。

考   察

 骨粗髪症予防のための一手段として運動療法の研究が多く報告されてい る与12)。これらの報告から運動療法は少なくとも適切に施行されるならば,骨 量の増加あるいは減少防止に有効的であることが,現在のほぼ一致した見解で ある。本研究の対象者は薬学を学ぶ学生であり,身体活動状況をみると,新入 学生の運動部所属状況の割り合いは46%であった13)。従って本学における体 育実技が必修から選択に変わり,身体完成期にあたる大学生時代に運動部にも 籍を置かず,さらに週1回の体育実技の選択も受講しない学生は約3割に当た

(12)

      女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究  31 る14)。今日の社会生活の中では,これらの身体活動の機会を失った学生にとっ て,定期的に身体を動かすチャンスはほとんど皆無に等しい。これらの学生と 薬系大学という,総合大学などに比べて実習等に追われ,スポーッ活動の時間 を捻出するのが大変である特殊な環境の中で運動を続ける学生と,ほとんど身 体活動を行わない学生を対象に,骨密度について調べた。

 骨密度の測定方法にっいては,これまで厚生省診断基準1θとの関連あるいは 従来からの二重エネルギーX線吸収法(DXA)あるいは単エネルギーX線吸 収法(SXA)が主であった。しかし,これらの診断機器はX線管理区域の設定 やレントゲン技師あるいは医師の配置等は人的資源,コスト面で大きな問題が ある16)。これらの問題の多くをクリアできる超音波法による骨密度測定は今 後,スクリーニングとして簡単に使用されるようになると思われる。

 超音波法を用いた今回の結果では,被検者全体の骨密度は6月の第1回測定 値よりも第2回の測定値は4増加した。しかし,第3回は平均で1減少した。

第2回の骨密度の増加傾向は体育受講期間による増加と思われる。山口ら1ηは 大学正課体育実技が学生の体力に及ぼす影響を調べた結果,体育実技を行った 期間と行わない期間では体力に増減のあることを報告している。第1回から第 2回の間は前期期間で夏休みをはさんでいるが,後期授業が行われた期間であ るので,山口ら17)の報告と同じように,体育実技の影響によるものと考えられ

る。

 運動と骨量の関係については,近年多くの研究が行われてきている。澤田18)

は骨も丈夫にするたあの運動にはスポーッ種目によって差があると述べてい る。思春期の学生を対象として,運動が骨量に有効であるとの報告は,久保田 ら1・19)の他,多くの研究が報告されている1与22)。本研究においても運動をして いる者としていない者との間には,有意な差はないが,運動経験者の方が非経 験者よりも骨密度は高い傾向にあった。

 食生活と骨密度に関しては,毎日の食事による栄養バランス,カルシウム,

ビタミンD,リン,蛋白質など同時に摂取する内容によって大きく骨密度に影 響を受ける23)ことからも,単にカルシウム摂取が,骨量と有意に相関を示さな

いことが推測されることから,ただ,単に牛乳を飲む,飲まないだけでは有意

(13)

32

な向上は期待されないものと思われる。しかし細川ら24)は若い頃から牛乳摂取 を習慣化していくことが骨粗霧症の発症予防にっながると思われると述べてい

る。

 体重と骨密度の関係については正の相関が高いことが報告されている11)。本 研究においても体重と骨密度の間には相関関係が認あられた。

ま と め

 32名の女子学生を対象に,超音波骨密度装置を用いて,踵骨骨密度を測定 し,運動習慣あるいは牛乳摂取との関連にっいて検討した。

次のような結果が得られた。

1)運動状況と骨密度にっいては,運動部で活動している学生は,そうでない   学生よりも骨密度が高い傾向がみられた。また途中からの運動参加,不参   加によって骨密度に増減の変動傾向がみられた。

2)牛乳摂取と骨密度に関しては,相関関係はみられなかった。

3)体重と骨密度の間には有意な相関関係が認められた。

文   献

1)久保田 恵:思春期の骨量に影響を与える因子について〔II〕,第12回「健康医科  学」研究助成論文集,40〜50,1997.

2)竹内正雄,他:中高年女性の生活習慣と骨密度の関係,運動とスポーッの科学,1  (1),11−15,1996.

3)竹内正雄,他:中高年女性の生活習慣と骨密度の関係(その2),運動とスポーツの  科学,2(1),21−25,1997.

4)Yamagata Z.:Vitamin D receptor gene polymorphism and bone mineraI  density in healthy Japanese women, Lancet..,344,1027,1994.

5)山村俊昭:中高年女性の骨塩量と運動,臨床スポーッ医学,(II)11,1265−1269,

  1994.

6)辻季一,他:閉経女性における骨粗髪症予防を目的とした運動療法の多角的検  討,臨床スポーッ医学,(14)9,105HO55,1997.

7)Slemenda C. W.:Genetic determinants of bone mass in adult women:arevo−

 lution of the twin model and potential importance of gene interaction on  hereditary estimates, J. Bone Miner Res.,6,561−567,1991.

(14)

女子学生の生活習慣と骨密度に関する研究  33 8)東京都立大学身体適性学研究室:日本人の体力標準値第三版,1985.

9)町田 晃,他:運動療法による骨粗霧症の治療,医学のあゆみ,165(9),641−644,

  1993.

10)百武衆一,他:骨粗懸症の予防としての運動効果の縦断的研究,臨床スポーツ医   学,11(ll)1271−1277,1994.

11)辻秀一,他:若手スポーツ選手の骨密度に関する多角的検討,臨床スポーッ医   学,12,1421−1424,1995.

12)町田 晃,他:高齢者の骨組織に対する運動の影響一筋肉との関係を中心に一,J.

  J.Sports. sc.10(10),734−739,1994.

13)竹内正雄,他:正課体育時の運動強度にっいて(第1報)一ハンドボール受講女子   学生一,星薬科大学紀要,第20号,39−44,1978.

14)竹内正雄,他:スポーツ実技選択学生の意識について,星薬科大学一般教育論集,

  第17輯, 23−32,1999.

15)厚生省.老人保健法による骨粗嘉症検診マニュアル.東京:日本医事新報社,20−

  25,1995.

16)秋坂真史,他:女子高校生のライフスタイルと踵骨骨密度に関する研究,日衛誌   (∫pn. J. Hyg.)52,481−489,1997.

17)山口 晃,他:大学正課体育実技が学生の体力におよぼす影響について,千葉大学   教養部研究報告B−13,161−168,1980.

18)澤田芳男:骨を丈夫にするための運動,保健の科学,第36巻,第4号,225−232,

  1994.

19)中村朋子,他:青年期女性における最大骨量に及ぼす遺伝的要因と環境因子の影   響,第12回「健康医科学」,研究助成論文集,106−114,1997.

20)秋坂真史,他:スポーツ関連因子から見た女子高校生の骨密度に関する研究,体力   科学,46,375−382,1997.

21)土田 満,他:大学生における骨密度との関連要因の検討,日衛誌(Jpn. J. Hyg)第   52巻,第1号,261,1997.

22)西村正子:骨密度にみられる運動継続の効果,幼少児健康教育研究,第7巻,第1   号,65−68,1998.

23)上西一弘:食品および食品群別のカルシウム吸収率,CLINICAL CALCIUM,10   1235−1238,1996.

24)細川美和,他:骨粗霧症と食生活に関する研究一若い頃の食生活との関連を中心   に一,日本公衛誌,第43巻,第8号,606−614,1996.

参照

関連したドキュメント

地区住民の健康増進のための運動施設 地区の集会施設 高齢者による生きがい活動のための施設 防災避難施設

海に携わる事業者の高齢化と一般家庭の核家族化の進行により、子育て世代との

Q7 

健康維持・増進ひいては生活習慣病を減らすため

購読層を 50以上に依存するようになった。「演説会参加」は,参加層自体 を 30.3%から

c マルチ レスポンス(多項目選択質問)集計 勤労者本人が自分の定年退職にそなえて行うべきも

 今日のセミナーは、人生の最終ステージまで芸術の力 でイキイキと生き抜くことができる社会をどのようにつ

視覚障がいの総数は 2007 年に 164 万人、高齢化社会を反映して 2030 年には 200