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はしがき

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Academic year: 2021

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

はしがき

著者 永田 陸郎

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

5

発行年 1969‑02‑28

URL http://hdl.handle.net/10105/6155

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は しがき

 まず.ここに第5号を送ることができることを研究所員の一人として喜びたい。

 ところで第4号では,本紀要の特色・性格を,4号までの足跡を辿る中で,若 千景描しょうζ試みた。少くとも次のことはい之よう。第一に,本教育研究所紀 要は.いわゆる大学紀要に比べて.いわば もうひとつの紀要 さらに,当否は 別として 二流の紀要 扱いされかねない傾向すらあることを率直に認めざるを 得ないこと,第二に,それにも拘らず本研究所紀要が,全国の教員養成学部・大 学の中で.ともかく存在を認められ発刊されつつあることには,全学の教官の皆 様の並々ならぬ関心と重視のたまものといえるし,現状の中でどう機能を発揮す るかについて,戦後の都道府県立市町村,民間立などの研究所設立ブーム,移し い研究所活動の中で,当面大学における研究・自由研究,とりわけ個人研究の強 味をどう発揮するか,その上に立って,共同研究・課題研究・組織的研究の方向 へ漸次移行する必要があるのではないか,という把之方をしてきた。

 しかしこの一年間を頼みるとき,時流は急だんの如く転化移行しつつある感が ある。現にあり,過去に根ざした性格の脱皮そのものが容易でないが.あるべき 時代の展望の中で本研究所の性格づけを孝之ねはならはい段階に立ちいたってい るかに見える。われわれは.われわれの足元まで迫ってきた大学問題・大学紛争 に眼を奪われがちであるが,小・中・高校段階の諸問題も質的に大きな問題を孕 んでいることをみのがすことはでき匁い。教育の専門大学として,そしてその附 属研究所として.より基本的問題にとりくむ必要に迫られているし,そのような 立場で,新しい性格づくりを課題とする必要があると思う。

 例之はアメリカのブルーナー (J,B.Bmner)等の研究.わが国の教科教 育研究のめざましい進展をみても,われらの歩みの中にとりいれねばならない面

が多い。

 敬育学は教科の研究によって具体化されねばならないこと,教科の研究は,自

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らの本質的役割を貫くためには逆に,教育学や教育心理学によって具体化されね はならないのではないか。教科教育法・教材研究は,その基底をなす専門科学・

技術・芸術の専門研究者と,教育学者・教育心理学者と協力する必要があるし,

教育学者・教育的諸心理学者はまた,教科以前の諸問題に忙殺されるという事情 はあったにしても.教育実践の中核的部分に手を、三・れないで,どうして自らの課 題を具体化し,現率化することができようか。

 現代一流の科学・技術などの文化遺産を,その基礎において,正しく伝達しな がらその過程において,同時に文化を獲得し,創造する能力を発達させることを 任務とする,教育学・教育的心理学が,自己の任務を貫ぬくためには,教科・教 材研究・授業研究に参加することを不可避とする。既にそれぞれのセクト主義は 脱却されねばなら検い段階に来ているとみられる。この意味も含めて 大学と附 属校の関連と統一 は緊急の課題となるであろう。

 一言,所感をのべて,第5号を送ることばにかえさせていただきたい。大方の 御批正と御鞭撞をお願いする次第である。

  昭和44年2月22日

教育研究所長永田陸郎

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