状 態 犯 と 継 続 犯 に 関 す る 一 考 察
~最 高裁 平成 二四 年七 月九 日第 三小 法廷 決定 を契 機と して
~ 岡
本 昌 子
一 は じ め に (1
) 従来
︑構 成要 件的 結果 の発 生な いし 法益 侵害 の発 生 (犯 罪の 既遂 時期 )と 犯罪 の終 了時 期 (犯 罪成 立時 期) に関 して は︑ 即成 犯︑ 状態 犯︑ 継続 犯に 区別 して 論じ られ
︑こ の中 でも
︑状 態犯 と継 続犯 の区 別が 重要 とさ れて きた
︒な ぜ なら
︑い ずれ に分 類さ れる かに より
︑共 犯の 成否
︑公 訴時 効の 起算 など が異 なる とさ れ︑ 継続 犯で あれ ば共 犯が 成立 し 得る とさ れて きた から であ る()1
︒ しか し︑ どの よう な判 断基 準で 状態 犯と 継続 犯を 区別 すべ きか とい う点 でそ もそ も争 いが ある 上に
︑窃 盗罪 は状 態犯 の︑ 監禁 罪は 継続 犯の 典型 例と され るも のの()2
︑そ の他 の犯 罪に つい ては
︑い ずれ に分 類さ れる のか 必ず しも 明ら かに さ れて はい ない
︒さ らに
︑後 述す るよ うに
︑因 果的 共犯 論 (惹 起説 )の 立場 から は︑ 継続 犯で あれ ば既 遂後 に加 功し た者
1 ( 1 )
につ いて 共犯 が成 立す ると 即断 でき るわ けで はな く︑ 逆に
︑ド イツ の議 論を 参考 に︑ 状態 犯で あっ ても
︑既 遂以 降︑ 共 犯が 成立 する 余地 が全 くな いわ けで はな いの では ない かと の問 題が 提起 され てお り︑ ひい ては
︑犯 罪の 終了 時期 をめ ぐ る状 態犯
・継 続犯 の区 別に そも そも 意味 があ るの かと の疑 問ま で呈 され てい る()3
︒果 たし て︑ 状態 犯︑ 継続 犯と いう 区別 は︑ 意義 のな いも のな のだ ろう か︒ (2 ) これ らの 論点 につ いて 考え る契 機を 与え る判 決が
︑最 高裁 で下 され た︒ わい せつ 画像 が掲 載さ れて いる のA ホー ムペ ージ のU RL を一 部改 変し て自 己の ホー ムペ ージ に掲 載し た被 告人 の行 為に つい て︑ 最決 平成 二四 年七 月九 日()4 (以 下︑ 本最 決と する
︒) は︑ これ を公 然陳 列に 当た ると 判示 した ので ある が︑ 同判 決に は︑
﹁U RL 情報 を単 に情 報と して 示し た行 為も
︑﹃ 公然 と陳 列し た﹄ に含 まれ ると 解す るこ とは
︑刑 罰法 規の 解釈 とし て罪 刑法 定主 義の 原則 をあ まり に も踏 み外 すも ので
︑許 され るも ので はな く看 過で きな い︒ 被告 人の 行為 につ いて は児 童ポ ルノ 公然 陳列 罪を 助長 する も のと して 幇助 犯の 成立 が考 えら れる
﹂と の反 対意 見が 付さ れた
︒本 最決 の意 義は
︑こ れま で判 例の なか った 先の 行為 類 型に つい て公 然陳 列に 当た ると した 点に ある が︑ 学説 にお いて は︑ いわ ゆる ハイ パー リン クに つい て︑ 公然 陳列 に当 た るか 否か 争い があ った 上に
︑ハ イパ ーリ ンク につ いて は公 然陳 列に 当た ると する も︑ それ 以外 のリ ンク を張 る行 為に つ いて は︑ 同時 性︑ 直接 性︑ 密接 性等 の観 点か ら公 然陳 列に 当た らな いと する 主張 がな され てい た︒ 本最 決の 評釈 も︑ 本 最決 の結 論に 賛成 する もの()5 と反 対す るも の()6 に分 かれ てお り︑ 後者 の方 が多 いと いえ る︒ わい せつ 物公 然陳 列罪 は抽 象的 危険 犯で ある から
︑A がハ ード ディ スク にわ いせ つ画 像を 記憶
・蔵 置さ せ︑ つま り︑ わい せつ 画像 をイ ンタ ーネ ット 上に 掲載 し︑ 不特 定又 は多 数人 に認 識可 能な 状態 を設 定す れば
︑既 遂と なる
︒仮 に︑ 反 対意 見が 示唆 した よう に︑ 被告 人X (以 下︑ とX する
︒) に幇 助犯 の成 立を 認め ると する なら ば︑ 従来 の表 現か らは
︑ 本罪 が状 態犯 では なく 継続 犯で ある こと を要 する とい うこ とに なる
︒本 罪も
︑継 続犯 か状 態犯 か争 いの ある 罪の 一つ で
ある が︑ 本最 決の 評釈 の多 くは
︑こ の点 につ いて 触れ ず()7
︑本 件の 場合 は事 後従 犯と なる こと を理 由に 幇助 犯の 成立 を否 定し てい る()8
︒因 果的 共犯 論 (惹 起説 )の 立場 から は︑ にX 幇助 犯が 成立 する には
︑幇 助行 為 (リ ンク 設定 行為 )を 行っ た時 点で 正犯 の実 行行 為が 存在 して いる こと
︑つ まり
︑正 犯A の実 行行 為が 既遂 後も 継続 して いた こと を要 する
︒A が︑ 随時
︑わ いせ つ画 像を 更新 し︑ 新た なわ いせ つ画 像を 公然 陳列 し続 けて いた 場合 は︑ 実行 行為 の継 続を 認め るに あた り 争い はな いで あろ う︒ しか し︑ そう でな い場 合︑ つま り︑ 同一 のわ いせ つ画 像を 掲載 した まま 放置 して いた よう な場 合 は︑ にA よる 画像 デー タの 記憶
・蔵 置行 為が 完了 すれ ば︑ その 時点 で実 行行 為は 終了 して いる とも いえ
︑先 の事 後従 犯 とす る評 釈は
︑こ のよ うに 解し てい る︒ この こと から わか るよ うに
︑こ の問 題の 背景 には
︑継 続犯 を如 何に 考え るか
︑ つま り︑ 既遂 後も 実行 行為 が継 続し てい るも のと 捉え るか 否か とい う点 が存 在し てい る︒ 果た して
︑継 続犯 とは 実行 行 為が 継続 して いる 犯罪 なの だろ うか
︒ (3 ) さら に︑ 本最 決の 事案 につ いて 幇助 犯の 成立 を否 定す る見 解は
︑そ もそ もU RL の掲 載は 正犯 のA 実行 行為 を
﹁幇 助し た﹂ とは いえ ない とも 指摘 する
︒果 たし て︑ のX 行為 は﹁ 正犯 を幇 助し た﹂ とい える か︒ そこ には
︑本 件の よ うな ネッ ト犯 罪特 有の 行為 態様 が関 係し てく ると 思わ れる
︒状 態犯 と継 続犯 につ いて は︑
﹁あ る犯 罪が 一般 に継 続犯 で ある とい う表 現は 必ず しも 適切 では なく
︑あ る特 定の 態様 で行 われ た犯 罪が 継続 犯で ある とい う言 い方 が正 確()9
﹂と の指 摘が なさ れて いる
︒後 述す るよ うに
︑状 態犯
・継 続犯 の概 念と 行為 態様 は密 接に 関連 して おり
︑特 に︑ 共犯 の成 否の 問 題に は︑ 当該 具体 的事 案の 行為 態様 が色 濃く 影響 する よう に思 われ
︑こ の点 につ いて
︑同 じく イン ター ネッ トを 用い た 名誉 毀損 行為 につ いて
︑﹁ こ・ の・ よ・ う・ な・ 類・ 型・ の・ 名誉 毀損 罪に おい ては
︑既 遂に 達し た後 も︑ 未だ 犯罪 は終 了せ ず︑ 継続 し てい ると 解さ れる (傍 点︑ 筆者 )﹂ と判 示し た︑ 大阪 高判 平成 一六 年四 月二 二日(10) が参 考に なる と思 われ る︒ (4 ) 以上 のよ うな 問題 意識 から
︑本 稿で は︑ 状態 犯と 継続 犯に 関す るこ れま での 議論 を踏 まえ なが ら︑ 本最 決を 素材
3 ( 3 )
とし て︑ 状態 犯・ 継続 犯と いう 概念 につ いて 検討 を加 えて みた いと 思う
︒ (1 註
) 松原 芳博
﹁継 続犯 と状 態犯
﹂刑 法の 争点 (新
・法 律学 の争 点シ リー ズ2 )( 二〇
〇七 年) 二八 頁︑ 林幹 人﹁ 即成 犯・ 状態 犯・ 継続 犯﹂ 刑法 の争 点 (法 律学 の争 点シ リー ズ1 )( 第三 版) (二
〇〇
〇年 )三
〇頁 等︒ (2 ) 松原
・前 掲註 (1 )二 八頁 等︒ (3 ) 金谷 利廣=
永井 敏雄
﹁迅 速な 裁判 の保 障と の関 係で 公訴 提起 の遅 延が いま だ著 しい とま では 認め られ ない とさ れた 事例 その 他﹂ 昭和 六三 年度 最高 裁判 例解 説刑 事篇 (一 九九 一年 )一 七六 頁は
︑﹁ 継続 犯は
︑⁝
⁝そ れ自 体に 格別 の機 能的 な意 味が ある わけ では な﹂ いと され てい る︒ なお
︑伊 藤渉
﹁犯 罪の 終了 時期 に関 する 若干 の考 察﹂ 東洋 法学 五四 巻二 号 (二
〇一
〇年 ) 六五 頁︒ (4 ) 判時 二一 六六 号一 四〇 頁︑ 判タ 一三 八三 号一 五四 頁︒ (5 ) のX 行為 を公 然陳 列と する もの 又は その 可能 性を 示唆 する もの とし て︑ 深町 晋也
﹁ネ ット ワー ク犯 罪に おけ る刑 法上 の諸 問題
﹂立 教法 務研 究七 号 (二
〇一 四年 )二 一五 頁︑ 瀧本 京太 朗﹁ 刑事 判例 研究
﹂北 大法 学論 集六 五巻 三号 (二
〇一 四年 )一 六七
﹇一 三四
﹈頁 以下
︑高 良良 哉﹁ 刑事 判例 研究 (2 )﹂ 法学 新報 一二
〇巻 五号 (二
〇一 三年 )三 一三 頁︒ (6 ) 渡邊 卓也
﹁児 童ポ ルノ を﹃ 公然 と陳 列﹄ する 行為 に当 たる とさ れた 事例
﹂判 セレ 二〇 一二
︹Ⅰ
︺( 二〇 一三 年) 三九 頁︑ 同
﹁児 童ポ ルノ のU RL をウ ェブ ペー ジ上 で明 らか にし た行 為と 児童 ポル ノ公 然陳 列罪 にい う﹃ 公然 と陳 列し た﹄ の意 義﹂ 判例 評論 六五 九号 (判 時二 二〇 二号 )( 二〇 一四 年) 一八 七頁 以下
︑園 田寿
﹁判 例評 釈﹂ 甲南 法務 研究 九号 (二
〇一 三年 )七 三頁
︑ 永井 善之
﹁他 人が ウェ ブサ イト で公 開し た児 童ポ ルノ 画像 のU RL を一 部改 変し た文 字列 を別 サイ トに 掲載 した 行為 が児 童 ポル ノ公 然陳 列罪 の正 犯に 当た ると され た事 例﹂ 新・ 判例 解説 Wa tc h一 二号 (二
〇一 三年 )一 五四 頁︑ 中村 悠人
﹁判 例研 究﹂ 東京 経済 大学 現代 法学 会誌 二五 号 (二
〇一 三年 )一 八二 頁︒ なお
︑天 田悠
﹁特 別刑 法判 例研 究﹂ 法時 八五 巻一 一号 (二
〇一 三年 )一 一五 頁以 下︒ (7 ) この 点に つい て︑ 山口 厚﹁ 情報 通信 ネッ トワ ーク と刑 法﹂
﹃岩 波講 座・ 現代 の法
﹄6 (一 九九 八年 )は
︑﹁ 正犯 者の 行為 を介
して 因果 性を 有す るも ので ない ので (一 一二 頁)
﹂︑
﹁わ いせ つ図 画公 然陳 列罪 は状 態犯 か継 続犯 かの 議論 に関 わり なく
︑共 犯 の成 立は ない と考 えら れる (一 二三 頁註 (27 ))
﹂と 明言 され てい る︒ なお
︑林 幹人
﹁犯 罪の 終了 時期
︱︱ 最高 裁平 成一 八年 一二 月一 三日 決定 を契 機と して
︱︱
﹂刑 ジャ 九号 (二
〇〇 七年 )六 七頁 も参 照︒ (8 ) これ に対 し︑ 豊田 兼彦
﹁最 新判 例演 習室
﹂法 セミ 七〇 一号 (二
〇一 三年 )一 一九 頁は
︑幇 助犯 の成 立可 能性 につ いて 検討 の余 地あ りと し︑ 石井 徹哉=
渡邉 友美
﹁ワ ーク ショ ップ ネ4 ット ワー ク犯 罪﹂ 刑雑 五三 巻三 号 (二
〇一 四年 )一 二一 頁 (深 町晋 也会 員報 告) も︑ 正犯 が不 成立 の場 合に 幇助 犯の 成立 する 可能 性を 示唆 され てい る︒ 本最 決の 判例 評釈 では ない が︑ 林 陽一
﹁わ いせ つ情 報と 刑法 一七 五条
﹂現 刑五 七号 (二
〇〇 四年 )一 六頁 註( 32) も︑ 本件 同様 の行 為に つい て幇 助犯 の成 立す る可 能性 を示 唆さ れて いる
︒な お︑ 佐久 間修
﹁ネ ット ワー ク犯 罪に おけ るわ いせ つ物 の公 然陳 列﹂
﹃西 原春 夫先 生古 稀祝 賀論 文集
﹄第 三巻 (一 九九 八年 )二 二九 頁註 (39 )も
︑﹁ サイ トに 対す るア クセ スを 容易 にす る行 為が
︑公 然陳 列罪 の従 犯に あた る のは もち ろん であ る︒
﹂と され てい る︒ (9 ) 古田 佑紀
﹁犯 罪の 既遂 と終 了﹂ 判タ 五五
〇号 (一 九八 五年 )九 一頁
︒同 旨︑ 林美 月子
﹁状 態犯 と継 続犯
﹂神 奈川 法学 二四 巻二=
三号 (一 九八 九年 )二 九頁
︑林
・前 掲註 (1 )三
〇頁
︒ (10 ) 判タ 一一 六九 号三 一六 頁︒
二 継続 犯・ 状態 犯と 共犯 の成 否 1
UR 掲L 載行 為の 正犯 性の 有無 と幇 助犯 成立 の可 能性 (1 ) まず
︑本 最決 につ いて 概観 して おこ う︒ 事実 の概 要は
︑以 下の 通り であ る︒ はX
︑イ ンタ ーネ ット 上に ホー ム ペー ジを 開設 し︑ 管理 運営 して いた とこ ろ︑ 不特 定多 数の イン ター ネッ ト利 用者 に児 童ポ ルノ 画像 の閲 覧が 可能 な状 態 を設 定し よう と企 て︑ 第三 者A が開 設し たイ ンタ ーネ ット 上の 掲示 板に 児童 ポル ノ画 像デ ータ を記 憶︑ 蔵置 させ てい た
5 ( 5 )
こと を利 用し て︑ 自分 のホ ーム ペー ジ上 に︑ その 識別 番号 (U RL )の 一部 を改 変し て掲 載し た上
︑﹁ 漢字 は英 単語 に︑ カタ カナ はそ のま ま英 語に
︑漢 数字 は普 通の 数字 に直 して くだ さい
︒﹂ と付 記す るこ とに よっ て︑ 同児 童ポ ルノ 画像 デー タの 所在 を特 定す るU RL をホ ーム ペー ジ上 に明 らか にし
︑不 特定 多数 のイ ンタ ーネ ット 利用 者に 同児 童ポ ルノ 画 像の 閲覧 が可 能な 状況 を設 定し
︑も って 児童 ポル ノを 公然 と陳 列し たと いう もの であ った
︒ 周知 のよ うに
︑い わゆ るサ イバ ーポ ルノ とわ いせ つ物 公然 陳列 罪(11) の成 否に つい ては
︑主 に︑ 何を わい せつ 物と 捉え る のか
︑イ ンタ ーネ ット のホ ーム ペー ジに わい せつ な画 像を 掲載 する 行為 は公 然陳 列と いい うる かと いう 点に 焦点 をお い て議 論が なさ れて きた が︑ 平成 一三 年に 最高 裁(12) が︑
﹁画 像デ ータ を記 録・ 蔵置 させ たハ ード ディ スク
﹂が (平 成二 三年 改正 前の )一 七五 条の わい せつ 物に あた ると し︑ さら に︑ 公然 陳列 とは
﹁不 特定 又は 多数 の者 が認 識で きる 状態 に置 く こと
﹂と 定義 し︑ その 後︑ これ を明 文化 する 形で
︑一 七五 条の 改正 がな され た︒ これ によ り︑ 先の 問題 は解 消さ れる こ とと なっ たが
︑サ イバ ーポ ルノ のど のよ うな 行為 まで 公然 陳列 で捕 捉し うる のか
︑具 体的 には
︑自 己蔵 置以 外の 類型
︑ つま り︑ わい せつ 画像 を掲 載し た第 三者 のA ホー ムペ ージ にハ イパ ーリ ンク を張 る行 為や 自分 のホ ーム ペー ジに のA ホー ムペ ージ のU RL を記 載す る行 為な どに つい ては
︑依 然と して 見解 が分 かれ てい た︒ 本件 は︑ さら に進 んで
︑U R のL 一部 を改 変し てホ ーム ペー ジに 記載 した とい うも ので あっ たが
︑第 一審(13) も第 二審(14) も︑ その 根拠 は異 なる もの の︑ 公 然陳 列に 当た ると 判断 し︑ 最高 裁も 上告 棄却 とし
︑公 然陳 列に あた ると した
︒ (2 ) これ まで のサ イバ ーポ ルノ に関 する 判例 を見 てみ ると
︑法 改正 前を 含め ると 自己 蔵置 に対 する 判例 の集 積は ある もの の︑ リン ク設 定行 為に 関す るも のは
︑大 阪地 判平 成一 二年 三月 三〇 日(15) が存 在す るぐ らい であ り︑ 本件 のよ うな UR 掲L 載事 案に 対す る判 例は 存在 しな かっ た︒ そし て︑ 同大 阪地 判は
︑被 告人 を︑ 本罪 の正 犯と はせ ず︑ 幇助 犯と して い た︒
一方
︑学 説に おい ては
︑リ ンク 設定 行為 を公 然陳 列に 当た ると 解す るか
︑見 解が 分か れて いた
︒リ ンク 設定 行為 は︑ 直接 性・ 密接 性・ 自動 性の 観点 から
︑大 きく
︑ハ イパ ーリ ンク 型︑ リン ク型
︑本 件の よう なU RL 掲載 型に 分け られ る が︑ ハイ パー リン クに つい て公 然陳 列に 当た ると する 見解 は︑
﹁自 らわ いせ つ情 報を 蔵置 する こと が不 可欠 の要 件だ と はい いが たく
︑⁝
⁝リ ンク を張 るこ とに よっ て﹃ わい せつ 情報 への 認識 可能 性﹄ を設 定し た以 上﹃ 公然 陳列
﹄に 当た る と十 分い いう る(16)
﹂と 主張 し︑ ただ し︑ 公然 陳列 とい える ため には
︑﹁ 自ら がわ いせ つ画 像デ ータ を記 憶・ 蔵置 した のと 同視 し︑
﹃不 特定 又は 多数 の者 が認 識可 能な 状態 を設 定す るこ と﹄ と評 価で きる こと こそ が重 要(17)
﹂で ある とし
︑直 接︑ 自動 的に 閲覧 可能 であ るこ と(18)
︑自 己蔵 置と
﹁同 視し 得る ほど
︑他 人の アッ プロ ード した わい せつ 画像 への アク セス を容 易に した(19)
﹂こ と等 を要 する とす る︒ 一方
︑否 定す る見 解は
︑わ いせ つ画 像へ の道 筋︑ 手が かり を設 定し たに すぎ ず︑
﹁わ いせ つ情 報自 体の 陳列
﹂と
﹁わ いせ つ情 報の 情報 の陳 列﹂ は異 なる と主 張し たり(20)
︑A によ るア ップ ロー ドに より
︑ 既に 誰で も当 該わ いせ つ画 像に アク セス 可能 とな って おり
︑認 識可 能性 を拡 大す るも のと はい えて も︑ 新た な認 識可 能 性を
﹁設 定す る﹂ 行為 とは いえ ない(21)
︑陳 列行 為と は創 設的 な行 為で あり
︑他 の者 が認 識可 能性 を設 定し た画 像に 新た に 認識 可能 性を 設定 する こと はで きな い(22)
︑初 めて わい せつ 画像 をネ ット 上に 掲載 する 行為 と当 罰性 が同 等と はい えな い(23)
︑
﹁公 然陳 列罪 の成 立に は行 為者 自身 によ る性 的内 容の 発現 が必 須の 要件 とな る︑ 即ち
︑性 的内 容が 認識 され るた めに 受 け手 の特 段の 行為 を要 する こと があ って はな らな い︑ と解 され る(24)
﹂が
︑リ ンク では
︑閲 覧者 がア クセ スす るこ とに よっ てデ ータ がダ ウン ロー ドさ れ︑ それ によ り再 生・ 閲覧 され ると いう 点か ら公 然陳 列と すべ きで はな い等 と主 張す る︒ こ の最 後の 主張 に表 れて いる よう に︑ リン クの 技術 面と 現象 面の いず れに 重き を置 くか とい う点 もこ の議 論に 影響 を与 え てい ると いえ
︑技 術面 を重 視す る見 解は 公然 陳列 に当 たら ない とす る傾 向に あっ たと いえ よう
︒ 否定 説を 主張 する 背景 には
︑( わい せつ な有 体物 を公 然と 陳列 する こと を想 定し てい た) わい せつ 物公 然陳 列罪 の射
7 ( 7 )
程範 囲が 広が りす ぎる こと への 懸念 があ った とい える
︒そ こで
︑先 の肯 定説 は︑ 例え ば︑ 雑誌 にU RL を掲 載す る行 為 は︑ 直接 性・ 密接 性・ 自動 性の 観点 から 公然 陳列 に当 たら ない とし たり(25)
︑ハ イパ ーリ ンク 以外 のリ ンク 設定 行為 につ い ては
︑自 己蔵 置と 同視 でき ない ので 公然 陳列 に当 たら ない とし て一 線を 画し たり(26)
︑自 己蔵 置と の行 為態 様の 類似 性と い う観 点か ら︑
﹁陳 列す る﹃ 場﹄ の同 一性(27)
﹂と
﹁実 質的 に見 て︑ アク セス が容 易で ある(28)
﹂こ と︑ さら に︑ 認識 可能 な状 態 を新 たな 認識 可能 性の 設定 と評 価で きる 程﹁ 質的 に高 めた(29)
﹂と 評価 でき る場 合に 限定 して 公然 陳列 に当 たる とす る見 解 も主 張さ れて いる
︒こ のよ うに
︑肯 定説 にお いて は︑ どの よう な行 為ま でを 公然 陳列 に当 たる とす るか が問 題と なる の であ るが
︑ハ イパ ーリ ンク 型に つい ては 肯定 説に 立つ 見解 の多 くが
︑リ ンク 型や UR 掲L 載型 につ いて は︑ 直接 性︑ 自 動性 が欠 ける
︑つ まり
︑自 ら蔵 置す る行 為と 同視 でき ない とし て︑ 消極 的に 解し てき たと 評さ れて いる(30)
︒ (3 ) 以上 のよ うな 学説 の流 れか らは
︑本 件被 告人 のX 行為 は公 然陳 列に は当 たら ず︑ はX わい せつ 物公 然陳 列罪 の正 犯と はな りえ ない とい うこ とに なろ う︒ それ では
︑反 対意 見が 示唆 した よう に︑ にX 幇助 犯が 成立 する 余地 はあ るだ ろ うか
︒冒 頭で 述べ たよ うに
︑X に幇 助犯 の成 立を 認め るに は︑ 本罪 が状 態犯 では なく 継続 犯で ある こと が前 提と なる が︑ 本罪 が継 続犯 であ るか 状態 犯で ある かと いう 点は
︑必 ずし も明 らか では なく(31)
︑幇 助犯 成立 の可 能性 を示 唆し た本 最決 の 反対 意見 も︑ 本罪 が継 続犯 か状 態犯 かと いう 点に つい ては 特に 触れ てい ない
︒も っと も︑ 仮に 本罪 を継 続犯 と解 した と して も︑ リン ク設 定行 為に つい て幇 助犯 の成 立を 認め るに あた って は︑ 以下 に述 べる よう に︑ 実は 多く の論 点を 含ん で いる ので ある
︒ 2
「継 続犯 であ れば 共犯 が成 立す る﹂ とい うこ との 内実 (1 ) 即成 犯・ 状態 犯・ 継続 犯の 区別 にお いて 後者 二つ の区 別が 特に 意味 があ ると され てき た理 由の 一つ は︑ 既遂 後に
関与 した 場合
︑当 該罪 が状 態犯 であ れば 共犯 は成 立し ない が︑ 継続 犯で あれ ば共 犯が 成立 する 余地 があ ると され てき た 点で ある
︒し かし
︑﹁ 継続 犯で あれ ば既 遂後 に関 与し た者 に共 犯が 成立 する
﹂と 杓子 定規 には いか ない
︒ そも そも の出 発点 であ る︑ 当該 罪が 継続 犯か 状態 犯か とい う点 にお いて
︑学 説上
︑わ いせ つ物 公然 陳列 罪を 初め
︑い ずれ に分 類す べき か争 いの ある もの が多 く︑ 自明 では ない
︒さ らに
︑三 で詳 述す るよ うに
︑同 一の 罪で も︑ 行為 態様 に よっ ては
︑状 態犯 とな る場 合も あれ ば︑ 継続 犯と なる 場合 もあ ると 指摘 され てい る︒ 当該 罪が 継続 犯か 状態 犯か とい う判 断に おい て慎 重な 態度 が採 られ る背 景に は︑ 当該 罪を 継続 犯と する と公 訴時 効の 起算 点が 犯罪 終了 時と なり
︑そ れが 実際 上の 不都 合を 生じ る場 合が ある こと への 懸念 があ る(32)
︒例 えば
︑名 誉毀 損罪 も︑ 継続 犯か 状態 犯か 争い のあ る罪 の一 つで ある が︑ 同罪 を状 態犯 と解 する 論者 は︑ その 論拠 とし て︑ 同罪 を継 続犯 とす る と﹁ 出版 物に よる 名誉 毀損 の場 合︑ どこ かの 古本 屋で 当該 出版 物が 売ら れて いる 限り
︑名 誉毀 損罪 は終 了し ない こと に なり
︑告 訴期 間︑ さら には
︑公 訴時 効の 趣旨 が没 却さ れて しま う(33)
﹂と いう 点を 挙げ てい る︒ (2 ) そし て︑ 継続 犯の 概念 その もの につ いて 争い があ るこ とか ら(34)
︑継 続犯 を如 何に 解す るか によ って
︑因 果的 共犯 論 (惹 起説 )の 立場 から は︑ 共犯 を認 め得 るか
︑結 論が 分か れる こと にな る︒ 継続 犯と 状態 犯は
︑既 遂に 達し た後 も法 益 侵害 とい う違 法状 態が 継続 して いる とい う点 では 共通 する が︑ 状態 犯で は︑ その 違法 状態 は新 たな 犯罪 とし て評 価さ れ ず︑ 既遂 と同 時に 犯罪 は終 了す るの に対 して
︑継 続犯 では
︑既 遂に 至っ ても 犯罪 は終 了し ない
︒そ の理 由と して
︑継 続 犯は 実行 行為 が継 続し てい るか らで ある とす る見 解(35) (以 下︑ 説A とす る︒ )と 実行 行為 の作 用︑ 構成 要件 に該 当す る結 果が 継続 して いる から であ ると する 見解(36) (以 下︑ 説B とす る︒ )が 主張 され てい る︒ 説A に立 つと
︑﹁ 継続 犯で あれ ば共 犯が 成立 する
﹂と いえ るが
︑実 行行 為自 体が 継続 して いる わけ では ない とす るB 説に 立つ と︑ 因果 的共 犯論 (惹 起説 ) の立 場か らは 事後 従犯 とな り共 犯は 成立 しな いと 解す る余 地が 出て くる こと にな る︒
9 ( 9 )
既遂 後も 実行 行為 が継 続し てい ると 解す るA 説は
︑そ の構 成に おい て︑
﹁全 体を 作為 によ る実 行行 為の 継続 とみ る見 解 (以 下︑ A− 説1 とす る︒ )﹂ と﹁ 作為 と不 作為 の統 合体 とみ る見 解 (以 下︑ A− 説2 とす る︒ )﹂ に分 かれ る︒ 継続 犯 の典 型例 とさ れる 監禁 罪を 例に 挙げ ると
︑前 者は
︑監 禁し た後
︑壁 とい う物 理的 手段 を用 いて 監禁 行為 を続 けて いる と し︑
﹁最 初の 作為 を含 めて 全体 を作 為に よる 監禁 の実 行行 為(37)
﹂の 継続 と捉 える
︒後 者は
︑身 柄を 拘束 する 監禁 行為 とい う作 為の 後︑ 解放 しな いと いう 不作 為が 継続 して いる とす る(38)
︒ 以上 のA 説に 対し
︑B 説は
︑﹁ 行為 の継 続は 擬制 にす ぎな い(39)
﹂︑ 例え ば︑ 先の 監禁 罪に つい て︑
﹁行 為者 が現 場を 立ち 去っ た後 にも 行為 者の 実行 行為 が継 続す ると いう のは フィ クシ ョン では ない だろ うか(40)
﹂と 批判 し︑
﹁壁 の利 用に よっ て 継続 して いる のは
︑意 思発 動と して の行 為自 体で はな く行 為の 効果 にす ぎ(41)
﹂ず
︑よ って
︑実 行行 為が 継続 して いる と捉 える より
︑行 為の 作用
︑構 成要 件に 該当 する 結果 が継 続し てい ると 捉え るべ きで ある と主 張す る︒ しか し︑ 状態 犯も 継 続犯 も︑ 既遂 成立 後も 法益 侵害 状態 が継 続し てい ると いう 点で は共 通し てい るこ とか ら︑ 同説 で両 者を 区別 する こと は でき ない ので はな いか との 疑問 が生 じる
︒学 説の 中に は︑ 法益 の性 質や 侵害 の程 度に 着目 して 状態 犯と 継続 犯を 区別 す る見 解(42) もみ られ
︑同 見解 は︑ 例え ば︑ 状態 犯と され る窃 盗罪 につ いて
︑窃 取さ れた 後︑ 当該 物を 使用 でき ない とい う状 態は 侵害 性が 少な いの で状 態犯 であ ると 説明 され るが
︑被 害者 にと って 当該 物を 使用 でき ない とい うこ とは 法益 侵害 が 継続 して いる とも いえ
︑こ のよ うな
﹁法 益侵 害の 程度 だけ で継 続犯 と状 態犯 を区 別で きる かは 疑問 があ るよ うに 思わ れ る(43)
﹂と 指摘 され てい る︒ 法益 侵害 の程 度は 事案 によ って 流動 的で ある 点(44) から も︑ 状態 犯と 継続 犯を 区別 する 判断 基準 に は適 さな いよ うに 思わ れる
︒ この 点に おい て︑ 状態 犯の 構成 要件 に該 当す る結 果と 継続 犯の それ との 違い に着 目し
︑﹁ 継続 犯と は︑ 当初 の事 実状 態の
﹃変 化﹄ ない し﹃ 転化
﹄の みな らず
︑同 一の 事実 状態 が時 間的 に延 長さ れて いく こと も構 成要 件的 結果 の内 容に 包摂
して いる 犯罪 類型 にほ かな らな い︒
⁝⁝ 状態 犯は
︑⁝
⁝法 益状 態の
﹃変 化﹄ ない し﹃ 転化
﹄の みを 構成 要件 的結 果と する 点で 継続 犯と は区 別さ れる(45)
﹂と の見 解や
︑﹁ 窃盗 罪の 場合 状態 犯と され るの は︑ 窃取 され たと きの 法益 侵害 のみ が窃 盗 罪の 不法 内容 とし ての 結果 と理 解さ れる から であ り︑ その 後の 盗ま れた 状態 自体 を窃 盗罪 の構 成要 件に 該当 する 結果 と する こと はで きな いか ら(46)
﹂で ある との 見解 は傾 聴に 値す るが
︑前 者に つい ては
︑﹁ かり に監 禁罪 の成 立に は︑ なに ほど かの 拘束 の継 続が 必要 だと して も︑ その こと から ただ ちに その 後の 拘束 の継 続中 犯罪 がつ づく
︑と はい えな い(47)
︒﹂ との 批判 がな され てお り︑ 後者 につ いて も︑ この よう な判 断基 準で 全て の罪 につ いて 区別 する こと が可 能な のか 疑問 が残 る︒ さら に︑ 説B は︑ 監禁 した 者が その 場を 離れ たり 寝込 んだ りし たよ うな 場合
︑行 為者 は作 為可 能性 を喪 失し てお り不 作為 と観 念す るこ とは でき ない であ ろう と指 摘す る(48)
︒A−
説2 は︑ 監禁 行為 後を 不作 為の 継続 と構 成す るこ とか らこ の よう な問 題が 指摘 され るの であ るが
︑果 たし て一 般人 の感 覚に おい て︑ 監禁 した 後に 拘束 を解 かず (被 監禁 者を 解放 せ ず) 立ち 去っ た場 合︑ 監禁 した 者が その 場に いな いの で被 監禁 者を 解放 する こと がで きな い︑ ゆえ に︑ もう 同人 を監 禁 して いる わけ では ない (つ まり
︑監 禁行 為は 継続 して おら ず︑ 終了 して いる )と 考え るだ ろう か︒ そも そも
︑A 説に 立つ とし ても
︑A−
説2 のよ うに 実行 行為 を作 為と 不作 為に 分断 して 評価 すべ きな のか は一 考の 余 地が ある よう に思 われ る︒ 不作 為が 継続 して いる と構 成す るこ とに より
︑行 為者 が作 為義 務を 履行 した とい える 行為 を 行え ば︑ その 時点 で実 行行 為は 終了 し︑ 犯罪 は終 了す るこ とに なる から
︑同 説は
︑イ ンタ ーネ ット 事犯 にお いて 特に 懸 念さ れて いる 公訴 時効 の問 題を 解消 でき るで あろ うと いう 点に おい ては 利点 があ るよ うに 思わ れる(49)
︒し かし
︑( 監禁 し たま ま) 拘束 を解 かな い︑ (わ いせ つ画 像デ ータ をア ップ した まま )デ ータ を削 除し ない とい う不 作為 が (監 禁行 為︑ アッ プロ ード 行為 とい う) 作為 と同 価値 であ ると いえ るか らこ そ︑ その 実行 行為 性が 認め られ
︑実 行行 為が 継続 して い ると 解す るこ とが でき るの であ り︑ そし て︑ 監禁 罪の 構成 要件 該当 性の 判断 にお いて 一つ の実 行行 為と して 評価 され る
11 ( 11 )
点に 鑑み ても
︑あ えて 当初 の作 為と 分断 して 不作 為の 継続 と構 成せ ず︑ 当初 の作 為が 継続 して いる と捉 える 方が 素直 な 解釈 であ るよ うに 思わ れる
︒ (3 ) 説A に対 して は︑ 継続 犯と 状態 犯の 区別 が犯 罪終 了時 期を 画す る概 念で あり
︑結 果が 発生 する まで は犯 罪は 終了 しな いと いう 点か ら︑
﹁結 果を 考慮 する こと なく 実行 行為 の継 続性 のみ によ って 継続 犯を 概念 規定 する こと は困 難で あ る︒
⁝⁝ 実際
︑行 為継 続説 の論 者も
︑各 論に おい ては
︑実 行行 為の 性質 によ って では なく 法益 の性 質に よっ て継 続犯 と 状態 犯を 区別 して いる よう に思 われ る(50)
︒﹂ との 指摘 もな され てい る︒ 後に 詳述 する よう に︑ 説A に立 つの であ れば
︑実 行行 為の 継続 性の 判断 にお いて
︑実 行行 為の 性質 に関 わる 行為 態様 を考 慮し て判 断す べき と考 える が︑ この 実行 行為 の 継続 を認 める にあ たり
︑A 説が 結果 を全 く考 慮し てい ない とは 言い 切れ ない であ ろう
︒い うま でも なく
︑各 罪の 実行 行 為は
︑当 該罪 の保 護法 益を 侵害 する もの とし て規 定さ れて いる
︒し たが って
︑A 説も
︑﹁ 当該 罪の 実行 行為 は当 該保 護 法益 を侵 害す るも ので ある
﹂と いう 点を 念頭 にお いて いる から こそ
︑当 該罪 では 既遂 後も 実行 行為 が継 続し てい ると 捉 えて いる とも いえ
︑さ らに
︑刑 法の 一般 原則 とし て︑ 発生 した 結果 につ いて 刑責 を負 わせ るに は法 益侵 害結 果と 因果 関 係の ある 実行 行為 を行 って いた こと を要 する ので ある から
︑実 行行 為の 継続 を認 める とい うこ とは
︑咀 嚼す ると
︑侵 害 結果 と因 果関 係の ある 実行 行為 が継 続し てい ると 捉え てい るこ とを 意味 する はず だか らで ある
︒平 野博 士が
︑継 続犯 と 状態 犯の 概念 につ いて
﹁法 益の 性質(51)
﹂に 着目 し︑
﹁拘 束の 開始 とい う行 為が 行わ れた のち も︑
﹃釈 放し ない
﹄と いう これ と同 価値 の不 作為 が継 続し てい る(52)
﹂と しつ つ︑
﹁監 禁罪 の法 益で ある 自由 は︑ その 拘束 の継 続の 一刻 一刻 が︑ 拘束 の開 始と 同じ ほど に苦 痛(53)
﹂で ある こと から 監禁 罪は 継続 犯と なる が︑ 窃盗 罪の 場合 は︑
﹁平 穏に 占有 して いる のを 奪う のは 重大 な侵 害で ある が︑ その 後そ の物 を使 用で きな いと いう 状態 は︑ これ に比 べる と侵 害性 が少 ない(54)
﹂の で状 態犯 とな る と述 べて おら れる のは
︑ま さに この 点を 表し てい ると いえ よう(55)
︒
3 状態 犯と 共犯 成立 の可 能性
~犯 罪の 終了 時期 と共 犯の 成否 との 関係
~ (1 )
「継 続犯 であ れば 共犯 が成 立す る﹂ とい う表 現と 対に
︑﹁ 状態 犯の 場合 は︑ (既 遂と 同時 に犯 罪が 終了 する ため
︑ 既遂 後関 与し た者 につ いて )共 犯は 成立 しな い﹂ とさ れて きた
︒し かし
︑こ の点 につ いて も︑ 状態 犯で も︑ 既遂 と犯 罪 の終 了と の間 に時 間的 隔た りが ある 場合 があ るの では ない か︑ その 間に 関与 した 者に つい ては 共犯 の成 立が 認め られ る ので はな いか との 議論 があ る︒ 具体 例を 挙げ ると
︑次 のよ うな 場合 であ る︒ 状態 犯の 典型 例と され る窃 盗罪 では
︑占 有 者の 意思 に反 して 財物 に対 する 占有 者の 占有 を排 除し
︑自 己ま たは 第三 者の 占有 に移 せば 既遂 とな るが
︑こ れは
︑財 物 の性 質︑ 形状
︑大 小︑ 財物 に対 する それ まで の他 人の 占有 状況
︑窃 取行 為の 態様 など を考 慮し て具 体的 に判 断さ れる
︒ した がっ て︑ 当該 財物 を自 己の 支配 内に 移し たと いえ れば
︑事 案に よっ ては
︑屋 外に 搬出 する 前に 既遂 に至 った と判 断 され うる(56)
︒そ こで
︑例 えば
︑深 夜︑ がX のA 留守 宅で 物色 し︑ 財物 を勝 手口 まで 運び 出し
︑後 は自 宅ま で運 ぶだ けで あ ると いう 時点 で︑ つま り︑ 占有 を取 得し た時 点で
︑Y が通 りが かり
︑一 緒に 当該 物を 宅X まで 運ぶ のを 手伝 った とい う よう な場 合︑ にY 共犯 が成 立す る余 地が ある ので はな いか とい う問 題で ある
︒ (2 ) 状態 犯で も事 案に よっ ては 共犯 が成 立す る余 地が ある と解 すべ きか
︒い いか える と︑ 犯罪 の終 了時 期と 共犯 の成 否と の関 係は どの よう に解 すべ きな のだ ろう か︒ この 問題 につ いて は︑ 先の 窃盗 の事 例の よう な場 合に 幇助 の成 立を 認 める ドイ ツの 見解 や正 犯者 が詐 取し てき た小 切手 を換 金す る行 為を 詐欺 幇助 とし たド イツ の判 例等 を参 考に 議論 がな さ れて きた(57)
︒我 が国 では
︑因 果的 共犯 論 (惹 起説 )の 立場 から
︑正 犯の 実行 行為 が終 了し てい る以 上︑ 共犯 は成 立せ ず︑ 正犯 が成 立し うる 余地 があ るに すぎ ない
︑し たが って
︑犯 罪の 終了 時期 と共 犯の 成否 は関 係し ない とす る見 解(58) が主 張さ れて いる 一方
︑﹁ 正犯 行為 の終 了後 に共 犯成 立の 可能 性は 否定 され るべ きで はあ るが
︑犯 罪の 終了 時期 と共 犯の 成否 が 完全 に切 り離 され るわ けで もな い(59)
﹂と の主 張も 見ら れる
︒
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