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原子力 の利用に伴 な う環境 の放射能 汚染につい て

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原子力 の利用に伴 な う環境 の放射能 汚染につい て (103)

原 子 力 の 利 用 に伴 な う環 境 の

放 射 能 汚 染 に つ い て

斎 藤

原 子 力 が 人 類 に よ って 大 規 模 に 解 放 さ れ た の は1945年7月16日,ア メ リ カ の ニ ュ ー メ キ シ コ州(ア ラモ ゴ ー ド砂 漠)で 行 な わ れ た 原 爆 実 験 以 来 の こ と で あ るが,現 在 に お い て もな お,そ の 利 用 目的 に は 軍 事 的 な も の と平 和 的 な もの とが 共 存 し て い る た め,人 類 は 幾 分 の 不 安 と希 望 を 抱 い て 原 子 力 時 代 を 迎 え て い る。 しか し,原 子 力 の 利 用 に は,そ の 目的 の 如 何 に 拘 わ らず,必 危 険 な 放 射 能 汚 染 の 現 象 が 伴 な うこ と を 忘 れ て は な らな い 。 汚 染 問 題 の 重 要 性 が 世 界 的 に 認 識 され た の は1954年3月1日,ア メ リ カ の 水 爆 実 験 に よ っ て 起 き た ビキ ニ事 件(福 竜 丸 事 件)以 来 の こ とで,こ の 事 件 はunfortunate

㌦uckyDragon"と も呼 ば れ,世 界 の 人 々 に いわ ゆ る 「死 の 灰 」 の 恐 怖 を 認

識 させ た ので あ る。 一 方,死 の灰 は単 に 原 水爆 実 験 に よって の み生ず るもの で は な く原 子 力 の 平和 利 用 に 伴 な って原 子 炉 か らも多 量 生ず る。

原 子 力 の魅 力は 僅 か の物 質で 強 力 なエ ネル ギ ーが 得 られ る とい う点 に あ る が,世 界 に おけ る現 在 の 主要 エ ネ ル ギ ー資源(石 油,石 炭)の 将 来 に対 す る 供 給可 能 期 限(50〜100年 程 度)よ り考 え,近 き将 来 に は原 子 力 が 有 力 な エ ネ ル ギ ー源 とな り,我 々の 経 済 生活 を 大 き く変 革 す る こ とは 予測 され る。 若 し工 業 用 エ ネル ギ ーの大 部 分 を 原子 エ ネル ギ ーが 供 給す る時 代 が 来 る とす れ

く ラ

ぽ,原 子 炉 か ら の 死 の 灰 の 年 間 推 定 生 成 量 は 最 低5000ト ンに も 達 す る ゆ え, こ の 時 代 が 人 類 に と っ て 真 に 幸 福 な 時 代 とな る か 否 か は 危 険 な 死 の 灰 を 適 切 に 大 量 処 理 し得 る か 否 か に か か っ て い る と もい え る 。

(1)出 力750×106kwの 原子炉 の稼動 で1日1ト ンの死 の灰が生成す ると しての 計算値。

(2)

(104) 第二十六輯

死 の灰 に よる環境 汚染 の問 題 は,そ の 起源 よ り軍事 的 な もの と平和 的 な も の とに 大 別 され るが,現 状 で は前 者 に 比べ 後 者 に よる汚 染 が極 め て小 規模 な 局地 的 な もの で あ る とい え る。 また人 体を 主 体 と して汚 染 源 を 分類 す れ ば 外 部 的 汚 染 源 と内 部 的汚 染 源 とに 分け られ,前 者 は地 球 上に 蓄 積 した死 の灰 を 主 と し,後 者 は飲 食 物 とか人 体 に転 移 した 死 の灰 の成 分 を 主 とす る。 勿 論 外 部 的 汚 染 源 の あ る もの は 内部 的 汚 染源 とな る性 格 を 有 して い る。 これ らの汚 染 源 につ い て は,現 在,国 連 機 構 を 通 じ各 国 が研 究 を 進 め て を り,日 本 で は ビキ ニ事 件 以来 交 部 省 が 特定 総 合研 究 班 を 組 織 し,世 界 に 誇 り得 る数 々 の実 績 を あげ て い る。筆 者 も一一分 担 研究 者 と して 若 干 の 研究 を続 行 して い るが,

こ こでは 本 誌 の性 格 上 専 門 的 な 記述 は さけ,主 と して現 在,全 世界 的環 境 汚 染 の主 因 を な して い る核 実 験 の影 響 に 関す る一一般 的 な研究 成 果 と情 報 を 解説 的 に要 約 し,こ れ を第 一 部 外 部 的 汚染 源,第 二 部 内 部 的 汚染 源 とに 分 け て述 べ る こ とにす る。

核 分裂 反 応 と核 融合 反 応 の性格

一 般 に 質 量 の 大 き い 元 素 の 原 子 核 が 分 裂 し て 二 つ の よ り小 さ い 質 量 の 元 素 の 原 子 核 に 変 換 す る 反 応 を 核 分 裂 反 応(Nuclearfissionreaction)と 称 し,

そ の 際,強 力 な エ ネ ル ギ ー と死 の 灰 の 主 成 分 とな る 核 分 裂 生 成 物 を 生 ず るQ こ の 反 応 を 軍 事 的 に 利 用 した 例 が い わ ゆ る原 爆 で あ り,平 和 的 に 利 用 した 例 に は 発 電 用 原 子 炉 が あ る。 これ に 対 し,二 つ の 質 量 の 小 さ い 元 素 の 原 子 核 が 融 含 し て 別 種 の 元 素 の 原 子 核 に 変 換 す る反 応 を 核 融 合 反 応(Nuc】earfusion reaction)と 称 し,そ の 代 表 的 反 応 は 次 式 で 示 され,太 陽 の 熱 エ ネ ル ギ ー は

こ の 種 の 反 応 に よ る ち の で あ る。

2H+3H→4He+1n(1>

(1)ウ ラ ン や プ ル トニ ウ ム(原 子 量 約240)の 原 子 核 が 分 裂 す る と約200Mev

(1Mev=100万 電 子 ボ ル ト)の エ ネ ル ギ ー を 放 出 す る の に 対 し重 水 素 の 原 子 核5 個(原 子 量 約10)が 核 融 合 し た 場 合 は 約24・2Mevの エ ネ ル ギ ー を 生 ず る 。 従 っ て 同 重 量 の 場 合 は 後 者 が 前 者 の 約3倍 の エ ネ ル ギ ー を放 出 す る こ とに な る。

(3)

原子力 の利用に伴 な う環境 の放射能 汚染 につい て (105)

2H十7Li→24He十1n(2)

く  

か よ うな反応 は核 分 裂 反 応 以上 の エ ネル ギ ーを放 出す るが,現 在 の と ころ そ の エ ネル ギ ー型 態 の平 和 的 利 用 は 殆 ん ど不 可 能 で,専 ら軍 事 的 目的 に使 用 され てい る。 前 式(1)の よ うに 水 素 の 同位 元 素 のみ を用 い た爆 弾 が 水素 爆 弾 で,(2>式 の よ うに リチ ウ ムを用 い た場 合 は リチ ウム爆 弾 と区 別 され るが,一 般 に 水爆 と総 称 され て い る。 と ころで 両 式 の反 応 生成 物 で あ るヘ リウムは既 に 空 気 中 に も存 在 す る非 放射 性 元 素で あ り,ま た重 水 素(呈H)が 融 合 して 生 ず る 塁Heも 安 定 同 位元 素 であ るか ら,一 般 に融 合 反応 の 生成 核 種 は 環境 の 放 射 能 汚 染 を もた らす こ とは殆 ん どな い と考 え て よい 。 しか し水 爆 に利 用 さ れ る 核 融 合反 応 は 熱 核反 応(Thermonuclearreaction)と も称せ られ,そ れ を起す に は 通 常10億 度 以上 の 温 度 を 必 要 と し,こ の超 高 温 を現 在 地 上 で 得

る方法 と して は核 分 裂 反 応 を 利用 す る以外 に は ない の で あ る。 従 って 水爆 と い え ど も起 爆 過 程 に原 爆 を 用 い るので 大 量 の核 分 裂 生成 物 を放 出 し,環 境 の 著 しい 放射 能 汚染 を もた らす こ とに な る。 若 し水爆 に お い て核 分 裂 反応 を使 用せ ず に核 融 含反 応 を起 す こ とに 成 功 した とす れ ば,い わ ゆ るきれ い な水 爆 が 実 現 した こ とに な る。 しか し,そ の場 含で も前 式 の よ うに 中性 子(1n)を 放 出 し,こ れ が 反 応 環境 に 存 在す る物 質 に 作 用 して誘 導 放 射 性物 質 を生 ず る か ら絶 対的 に きれ いな 水爆 な どは 存 在 し得 な い と考 え て よい。

放射能汚染を起す物質の種類

核 分 裂 性 物 質:現 在 使 用 さ れ て い る 核 分 裂 性 元 素 の 代 表 的 な も の は235U, 238U及 び239Puで

,広 島 の 原 爆 に は235Uを,ま た 長 崎 の に は239Puが 使 用 さ れ て い る 。235Uは 天 然 の ウ ラ ン 鉱 中 に234Uや238Uと 共 存 し,三 者 の 含 量

ゆ  

比 は 各 々 平 均0.72%,0.006%,99.2%で,含 量 比 の 最 も 高 い238Uは 熱 中 性 子

(1)前 頁(1)参 照 。

(2)熱 中 性 子 と は 常 温 で 熱 運 動 を し て い る 中 性 子 で,平 均 エ ネ ル ギ ー は 僅 か0・025 ev,毎 秒 約2kmの 速 度 で 運 動 し,遅 い 中 性 子 と も呼 ば れ る 。 こ れ に 対 しIMev 程 度 の エ ネ ル ギ ー を 有 す る 中 性 子 の 速 度 は 毎 秒 約30万kmで あ る か ら,か よ うなee

(4)

(106) 第二十六輯

が 作 用 して も核 分裂 反 応 を起 さず。 次 式 の よ うに 中 性 子 を核 内 に吸 収 して

ロ ラ

先 ず239Uと な り,こ れ は24分 の 半 減 期 で β 崩 壊 して239Npに な り,そ れ が 2・3日の 半 減 期 で β 崩 壊 し239Puと な る 。

238U+回 町 謡

岬Np2.3蓋y、‑239Pu(3)

即 ち239Puは 原 子 炉 内 で,か よ うな 反 応 壕 行 な わ せ て 得 られ る 核 分 裂 性 元 素 で あ って,自 然 界 に は 産 しな い もの で あ る。

これ らの 核 分 裂 性 元 素 を 原 料 と して 分 裂 反 応 を 起 す の で あ るが,実 際 の 核 実 験 に お い て は 分 裂 せ ず に 放 出 さ れ る もの もか な りあ る た め 一 部 は 環 境 の 放 射 能 汚 染 源 と な り得 る 。 しか し,235U,es8U及 び239Puの 半 減 期 は 各 々7.1×

108年,4・5×109年,2.4×104年 の よ うに 極 め て な が い た め 放 射 能 は 非 常 に 弱 く,主 と して α 線 を 出 す 。 α 線 は3〜5cmの 空 気 層 で 完 全 に 吸 収 され る の で,た と え 地 表 に これ らが 蓄 積 して もそ の 放 射 線 に よ る 著 しい 外 部 障 害 は 殆 ん ど起 き な い 。 ま た,こ れ らは 生 元 素(生 体 が 生 存 上 必 要 とす る元 素)で な い た め 体 内 に 導 入 され て も,な が く体 組 織 に 吸 収 蓄 積 す る こ と も少 な い 。 しか し長 期 間 連 続 的 に 体 内 に 導 入 さ れ る と有 害 と な る こ とは ウ ラ ソ鉱 の 従 業 員 に 肺 ガ ソ発 生 率 が 高 い とい う事 実 よ り も証 明 さ れ る。

な お,放 射 能 雨 を 分 析 す る と23gNp(半 減 期2.3日)と237U(半 減 期6.7日) が 比 較 的 多 く検 出 さ れ る が,前 者 は(3)式 の 反 応 に お け る 中 間 生 成 物 で,後 は 次 式 の よ うに238Uに 中 性 子 が 作 用 し て 生 じた もの で あ る 。

238U十1n→237U十21n(4)

ア メ リカ の 核 実 験 に よ っ て 放 出 され る死 の 灰 の 中 に は239Npよ り も237Uが 幹 中性子 を速 い 中性 子 と称 してい る。

(1)半 減期 とは 放 射 性 元 素 が 崩壊 して 他 の 元 素 に変 換 す る場 合,も との元 素 の 原 子 数が 最初 の半分 に減 るまでに要す る時間 をい う。 これ をTと すれ ば崩壊定 数 λ

と の 間}こT‑一 デ1・9。2の 関 係 が あ る.こ の 物 理 的 半 鵬 こ対 し生 理(生 物)的 半 減期 と称 す る もの もあ る。 これは体内に侵 入 した特定 の元 素の数が,自 然の生 理学 的な除去過 程の結果 として初 めの値 の半分 にまで減少す るに要す る時 間をい

う。

(5)

原 子力 の利用 に伴 な う環境 の放 射能 汚染につい て (107) 例 外 な く多 い の に 対 し ソ連 の もの で は 前 者 が 多 く,後 者 は 全 く検 出 さ れ な い

こ と も あ る 。 これ は ソ連 で は 核 分 裂 性 元 素 と して238Uを あ ま り 使 用 しな い た め と推 定 され る 。 これ らの 両 元 素 は 核 実 験 直 後 の 死 の 灰 に 多 量 含 有 して い る こ と もあ る が,何 れ も半 減 期 が 極 め て 短 か い た め 環 境 の 汚 染 源 と して は 危 験 性 が 少 な い と い え る 。

核 分 裂 生 成 物 質:235Uと か239Puの 原 子 核 に 熱 中 性 子 が 入 る と核 分 裂 反 応 を 起 す が,そ れ に は 約40種 もの 異 な る反 応 過 程 が 知 られ て い る。 一 般 の 分 裂 反 応 に お い て は,二 つ の 等 しい 質 量 数 の 原 子 核 に 分 裂 す る こ と は 稀 で,質 量 数 140位 と90位 の 核 種 に な る確 率 が 多 い 。 そ の 反 応 例 を 次 に 示 した 。

235U十1n→140Xe十94Sr十21n(5)

こ こに 生 じた キ セ ノ ソとか ス トロ ソチ ウ ム は 非 常 に 不 安 定 で,次 式 の よ うに 直 ち に β崩 壊 を 行 な っ て 他 の 核 種 に 変 換 し,最 後 に は 各 々非 放 射 性 の セ リウ

ム と ジ ル コ ニ ウ ム に な る 。

一岬C・ 孟 調Ba孟

y、岬La耳 。器 一Stabl・ ・4・C・(6) ・94Y2。 皇i正 一St・bl6%Z・(7)

ま た 分 裂 に よ っ て90Brと1371を 生 じた 場 合 に は 次 式 の よ うに β 崩 壊 の 他 に 中 性 子(1n)の 放 出 を 伴 な う。

ぐ:1:;矩瀞 噺Y意

Stable90Zr(8)

期一 く:::こ拶;器酷̲臓 ⑲)

こ の よ うに核 分裂 反 応 に は 種 々の 崩壊 反 応 が 伴 な う結 果 と して,35種 の元 素 の 約200種 もの 同位 元 素 を 含 む 複 雑 な核分 裂 生成 物 質 を生 じ,含 有核 種 の大 部 分 は 放 射 性 で,β 線 の他 に γ線 と 少 量 の α 線 を放 出 し,半 減 期 も 一 秒 以

(6)

(108) 第二十六雛

下 の もの か ら10×105年 とい う極 め てな が い もの まで 含 んで い る。 そ の全 放

(1)(2)

射 能 強 度 は 分 裂 エ ネ ル ギ ー1メ ガ ト ソ当 り,1時 間 後 で 約3Q万Mc(約30万

トンの ラ ジ ウ ム に 相 当 す る放 射 能)と い う脅 威 的 値 を 示 す が,核 崩 壊 の 進 行 に 伴 な っ て弱 くな る。 た とえ ぽ爆 発1時 間 後 の全 放 射 能 を100%と す れ ば7 時 間後 に は 約10%,2日 後 で 約1%と い うよ うに分 裂 初 期 に おい て 急速 に減 少 し,以 後 次 第 に 減 少 速 度 が 遅 く な り,10年 後 に は 約400kc,100年 後 で 約

(3)

30kcの 放 射 能 に な る と推 定 され る 。

次 に 核 分 裂 生 成 物 質 の 生 成 量 は 分 裂 エ ネ ル ギ ー1メ ガ トソ当 り約50kgで

1)

るが,そ の主 な る核 種 の生 成 量(%)と 半 減 期 を次 表 に 示 した。

(1)核 爆 発 の エ ネ ル ギ ー 放 出 量 はTNT(Trinitro七 〇1uene)火 薬 が 爆 発 し た 時 に 発 生 す る エ ネ ル ギ ー に 比 較 して 表 現 す る こ とが 多 い 。 従 っ て1メ ガ ト ン の エ ネ ル ギ ー とは100万 トン のTNTが 爆 発 レ た 時 と同 量 の エ ネ ル ギ ー(4 .2×1022エ ル グ)

を 意 味 す る。

(2)lMc(メ ガ キ ュ リー)=100万 キ ュ リ ー 。 核 種 の 如 何 に 拘 わ らず 一 秒 聞 に3,7×

106個 の 核 崩 壊 が 起 こ る 放 射 性 物 質 の 量 を1キ ュ ー リー と称 し,こ れ は ラ ジ ウ ム の 約19に 相 当 す る 量 で あ る。1キ ュ リ ー の100万 分 の1を1μc(マ イ ク ロ キ ュ リ ー),そ の1000分 の1を1mμc(ミ リ マ イ ク ロ キ ュ リー)と し,ま た そ の1000' 分 の1を1μ μc(マ イ ク ロ.マ イ ク ロ キ ュ リー)と 称 す る 。 放 射 能 を 測 定 す る に は 通 常Geiger‑MUIler計 数 器 を 用 い,1分 間 に 計 数 器 が 捕 え た 放 射 線 の 数 を cpm(countperminu七e)と 称 す る 。 し か し,測 定 試 料 か ら 出 る 放 射 線 が す べ 一 てG‑M管 に 突 入 す る わ け で は な く,同 一 試 料 の 場 合 で も測 定 条 件 と かG‑M計

数 器 の 種 類 に よ っ て カ ウ ン トは 異 な る 。 従 っ て,cpmで は 各 国 各 所 に お け る 測 定 結 果 を比 較 す る 時 に 不 都 合 が 生 ず る の で,最 近 は1分 間 に お け る 崩 壊 数dpm

(disintegrationsperminute)既 知 の 標 準 放 射 性 物 質 の カ ウ ン ト を 所 定 条 件 で 求 め,cpmをdpmま た は キ ュ リー に 換 算 して 表 現 す る よ う に な っ た 。

(3)WAY‑WIGNERの 式At=A1・t'1よ り算 出 。 At=核 分 裂 後 の 時 間tに お け る放 射 能 強 度 A・=単 位 時 間1に お け る放 射 能 強 度

n=核 分 裂 生 成 物 が つ く られ て か らの 時 間 に 関 す る変 数(例,1時 間 後 か らh 2年 位 ま で は1.2が 適 用 さ れ る)

(7)

原 子力 の利用 に伴 な う環境 の放 射能汚染につ いて (109)

235U ,238U及 び239Puの 核 分 裂 に よ っ て 生 ず る 主 要 核 種

Y590153651237014889990023333444

半 減 期

10.6年 50.5日 28.0年 58.0日 65 .0日

7.0日 1.0年 2.0年 8.0日 77 .0時 間 20.8日 30.0年 12.8日 33.0日 288.0日

量(%)

235U 238U 239Pu

097000810005500377420301791300045563003466666 410800023020020182676703772765023356203456554 743925725290056042612118318066012256604666543

即 ち,比 較 的 多 く 生 成 す る 核 種 は ア ル カ リ 土 族 の8gSr,90Sr及 び140Ba,チ タ ソ 族 の95Zr,鉄 族 の103Ru及 び106Ru,ハ ロ ゲ ソ 族 の1311及 び1331,酸

族 の132Te及 び ア ル カ リ 族 の137Csな ど で あ る が 生 体 に 対 す る 危 険 度 は 核 種 に よ っ て か な り 異 な る 。 一 般 に 核 分 裂 生 成 物 の 体 内 へ の 吸 収 蓄 積 の 機 構 は 生 物 の 種 類,さ らに 同 一 生 物 で も組 織 とか 器 官 の 種 類 に よ り同 一 で は な い が, 人 体 に 吸 収 蓄 積 さ れ 易 い 核 種 は8gSr,9。Sr,1311,1331及 び137Csで あ る。

89Srと90Srは 生 元 素 と して 重 要 な カ ル シ ウ ム と 同 族 元 素 で

,三 者 は 化 学 的 性 質 の み な らず 体 内 吸 収 後 の 挙 勤 も類 似 し,大 部 分 は 骨 に 沈 着 す る 。 しか し

・sgSr'と9・Srと で は 半 減 期 が 各 々50.5日 と28年 で ,前 者 は 崩 壊 速 度 が 速 い た め 体 内 に 吸 収 さ れ て も比 較 的 危 険 度 は 少 な く,核 分 裂 直 後 の 生 成 物 に お い て の み 注 意 を 要 す る 核 種 とい え る 。 これ に 対 し9。Srは 半 減 期 が な が い の み な

(8)

(110)人 第二十六 輯

く う

ち ず 生 理 的 半 減 期 もな が く,何 年 間 も体 内 に 残 存 し て β線 を 放 出 す るの で 最 も危 険 な 核 種 で あ る。1311及 び1331は 自然 界 に あ る 非 放 射 性 ヨ ウ 素 の 同 位 元 、 素 で 三 者 の 化 学 的 性 質 は 同 一 と考 え て よ い 。 ヨ ウ素 も重 要 な 生 元 素 で,た

え ば 甲状 線 ホ ル モ ンThyroxineの 構 成 元 素 と して 生 存 上 必 要 な も の で あ る・

か ら1311と1町 も容 易 に 体 内 に 吸 収 さ れ 甲状 線 に 蓄 積 す る 。 しか し両 者 の 半 減 期 は

II

HO<=)一 一〇一 く=)CH2・CH・COOHThyroxine IIl

NH2

各 々8.05日 と20。8日 で あ る か ら前 述 の89Srの 場 合 よ り,さ らに 危 険 度 は 少 な い とい え る。1宋に137Csは 生 元 素 と して 重 要 な カ リ ウ ム と 同 族 元 素 で ・ 食 物 循 環 を 経 て 速 や か に 体 内 へ 吸 収 され,主 と して 肉組 織 の よ うな 軟 組 織 に 沈 着 す る 。 そ の 半 減 期 は 非 常 に な が く30年 で あ る が,数 ケ 月 の 生 理 的 半 減 期 で 体 内 に 残 存 し,絶 え 間 な く β線 を 放 出す る ゆ え,90Srと 共 に 最 も危 険 な 内 部 放 射 線 源 とな り得 る核 種 で あ る。

誘 導 放 射 性 物 質:核 分 裂 反 応 の 過 程 で(5)式 に 示 した よ うに 中 性 子Gn)が 出 さ れ る とい う事 実 が 原 子 力 利 用 の カ ギ で あ る 。 即 ち この 中 性 子 で 次 の 核 分 裂 性 元 素 を 分 裂 させ る反 応 が 自動 的 に 進 み,い わ ゆ る連 鎖 反 応 が 起 こ る。 一 方(8)及 び(9)式 の よ うな 崩 壊 過 程 に お い て も中 性 子 を 生 ず る 。 中 性 子 は 約18分

の 寿 命 で あ る が,電 気 を 有 しな い た め元 素 の 電 子 殻 を 通 過 して 容 易 に 原 子 核 に 近 づ き,核 力 に よ っ て核 に 吸 収 さ れ 易 い 特 性 を 有 し て い る。 従 っ て核 分 裂 の 際,連 鎖 反 応 に 関 与 しな か っ た 多 量 の 中性 子(推 定 生 成 量1メ ガ ト ン当 り 500g)が 核 分 裂 装 置(た と え ぽ 爆 弾)の 材 料 とか 爆 発 点 附 近 に 存 在 す る種 々

の物 質 に 吸 収 さ れ る 結 果 誘 導 放 射 性 物 質 を 生 成 す る 。 そ の 種 類 は 分 裂 装 置 の 設 計 とか 構 造 に よ っ て 異 な る も,通 常65Zn,ssFe,5gFe,54Mn5℃o,58Co,60Co

な ど が 検 出 さ れ る。 これ らは 装 置 の 金 属 材 料 中 に 含 まれ る銅,ニ ッケ ル,鉄

(1)106頁 の(1)参 照 。

(9)

原子力 の利用 に伴な う環境 の放 射能汚染 につい て (111) 及 び コバ ル トな どが 中 性 子 を 吸 収 し て 生 じた も の で,特 に60COは 半 減 期 (5.3年)も な が く β 線 の ほ か に 強 力 な γ線 を 放 出す る危 険 な 核 種 で あ るが, 各 国 の 核 実 験 に お い て も,そ の 点 を 考 慮 し60Coを 大 量 に 放 出 す る,い わ ゆ

る コ バ ル ト爆 弾 の 実 験 は さ しひ か え て い る よ うで あ る。

一 方,原 子 炉 内 で59Coに 中 性 子 を 吸 収 さ せ て 得 られ る6。Coは 厳 重 な 管 理

く ク

下 で 医 療 用 とか 食 品 殺 菌 用 の 放 射 線 源 と して 利 用 され て い る 。

次 に 誘 導 放 射 性 物 質 の 種 類 は 核 実 験 を 行 な った 環 境 に よ っ て も異 な る 。 た と え ば 空 中 爆 発 の 場 合 は 放 出 さ れ た 中 性 子 の 大 部 分 は 窒 素 に 作 用 し半 減 期 の 極 め て な が い14Cを 生 ず る 。

14N+1n→14C+iH

また 実 験 が 地 表 とか,爆 発 に よ る 火 の 玉 が 地 表 に 達 す る よ うな 空 中 で 行 な わ れ る と ∫ 中 性 子 の 約50%は 地 上 に 達 し 土 壊 成 分 に 吸 収 され て3iSi,28Alと 24Naな どを 生 ず る

。 さ らに 海 上 また は 海 中 で 実 験 が 行 な わ れ る と 中 性 子 が 水 及 び そ れ に 溶 存 し て い る 塩 類 に 作 用 し て,2H(非 放 射 性)を 多 く 生 ず る が,他 に24Na,38C1,32P,2sMg,n3cdと か115Cdな ど も生 成 す る 。

これ らの うち で 重 要 な 生 元 素 の 同 位 元 素 に 属 す る もの は65Zn(半 減 期250 日),55Fe(:3年),59Fe(:47日),24Na(:14.8時 間),38Cl(:37分),

56Mn(:2 .6時 間),32P(:14日),28Mg(:21時 間)及 び14C(:5568年)

な どで あ る。 しか し5gFe,24Na,38C1,56Mn,32P,,及 び28Mgな どは 半 減 期 が 短 か い た め 生 体 に 対 す る危 険 性 は 少 な く,ま た14Cは 半 減 期 が 極 め て な が い が,比 較 的 低 エ ネ ル ギ ー(0.156Mev)の β 線 しか 放 出 しな い うえ に,そ 生 成 量(2×1026個/メ ガ トソ)は 自然 界 に お け る 既 存 量 に 比 べ 微 量 で あ る か ら生 体 に 対 す る影 響 は 一 応 無 視 し得 る と思 う。 これ らに 対 し6SZn,55Fe及 113Cdは 半 減 期 の 点 か ら も注 意 す べ き核 種 で

,た と え ば 核 実 験 停 止 期 間(19 58年11月 か ら1960年1月)の 後 期 に 日本 近 海 で とれ た カ ジ キ 類 の 肝 臓 で,

(1)拙 著:〃 食 品 工 業 の 分 野 に お け る 放 射 線 利 用 の 問 題 点 〃商 品 研 究,No・47,1〜

7(1961)・ 参 照

(10)

(112) 第二十六輯

90Srと か137Csな ど が 殆 ん ど 検 出 さ れ な い に も 拘 わ ら ず55Fe …O .09μc,,65Zn

…0 .006μc,113Cd…0.09μc(各 組 織100g当 り,μcは108頁(2)参 照)程 度 検

ヨ 

出 され て い る。 この事 実 は これ らの核 種 が外 部 環 境 よ り容 易 に 吸 収 され て比 較 的長 期 間 体 内 に残 留す る ことを示 してい る。特 に,体 内に お け る生理 作 用 の 未 だ 明 らか に され て い な い カ ド ミウムが肝 臓 の よ うな代 謝 の 活発 な器 官 に な が くと どま って い る こ とは 生化 学 的 に も注 意 す べ き現 象 で あ る。

以上 述 べ た よ うに環 境 の放 射 能 汚 染 を 起 こす 物 質 には 残 留核 分 裂 性物 質,

核 分 裂 生 成物 質及 び誘 導 放 射 性 物 質 の 三種 が あ り,こ れ らを 総 称 して死 の灰 とい って い る。

放 射 能 汚染 を起 こす 物 質 の環 境 へ の分 散

原子 炉 外 で核 実 験 が行 なわ れ た 場 合,汚 染 物 質 の分 散 に 大 きな影 響 を与 え る条 件 と して は,先 ず 地 表 面に 対 す る爆 発 点 の位 置 と放 出エ ネルギ ー量 が考

え られ る。 次 に両 要 因に よる各環 境 へ の推 定 分 散量 を 示 した。

核実験の場所による汚染物質の環境別分散量(%)

実験場所

A

起爆点附近 対流圏 成層圏

0 79 20 100

1110 Q1OQ!007

B

起爆点附近 対流圏

0 80 20 100

0000028

A:放 出 エ ネルギーが1メ ガ トン以上 の場合 B:放 出 エ ネルギーがO.5メ ガ トン以 下の場合

勿 論,実 験 に よ っ て は,こ の よ うに 場 所 を 明 確 に 区 別 し得 な い 中 間 的 な 場 合 もあ る。 た と え ば 空 中 爆 発 で も起 爆 点 の 高 さ が 低 くな る と地 表 爆 発 の 性 格 も 加 わ る こ とは 明 らか で,さ らに 分 散 量 は 爆 発 後 の 経 過 日数 とか 地 形,気 象 条 件 に よ っ て も左 右 され る。

空 中 実 験:こ の 場 合 の 生 成 物 は分 裂 反 応 に 伴 な う数 百 万 度 と い う高 熱 の た め

(11)

原 子力 の利用に伴 な う環境 の放 射能 汚染につ いて (113) 高 圧 ガス状 の 火の玉 とな り周 囲 の空 気を まき込 み なが ら上 昇す る。 そ の際 空

中 の酸 素,窒 素 及 び水蒸 気 が高 温下 で化 学 反 応 を起 こ して 有 色 の亜 硝 酸 とか 窒 素酸 化 物 を 生 ず るた め 火 の玉 は 赤 褐 色 を 呈す るが,上 昇 に伴 な う温 度 の降 下 に よ って ガス状物 質は 凝 結 を 開 始 し,白 色 の放 射 能 雲 とな る。 この雲 の到 達 す る高 度 は放 出 エ ネル ギ ーの 大 きい ほ ど高 く,こ れ が 気 温 の反 転 層 に 達す る と温 度 勾 配 に よ って幾 分 拡 散す るが,大 部 分 は 同 層 を 通過 し,同 密 度 の 大 気 層 とか成 層 圏 の 底 部に 達 す る と上 昇速 度 を ゆ る めて 水 平 に拡 が りキ ノ コ型 の雲 を形成 す る。 雲 の上端 は メ ガ トソ級 の実 験 で,約50kmに も達 し,汚 染 物 質 は0.Olμ 〜10μ(1μ 一10‑6m)程 度 の微 粒子 とな って殆 ん ど成 層 圏 内 に分 散 す る。従 って,か な り高 い 空 中爆 発 の直 後 で は地 表 が 放 射 能 で 強 く汚 染 さ れ る こ とは極 め て 少 な く,こ の こ とは20キ ロ トソの 原爆 が地 上約600mの さで爆 発 した 広 島 と長崎 に おけ る被 害 が 主 と して熱 線 と爆 風 に よる もので, 汚 染物 質 の降 下 に よる ものが 少 なか った事 実 よ りも諒 解 され る。

地 表 実験:こ の場 合 は爆 発 点附 近 の地 表 が 強 く放 射 能 で 汚染 され る。 一 方, 前 述 の よ うな放 射 能雲 も形 成 され る。 火 の玉 が拡 大 して地 表面 に接 触 す る と

著 しい 量 の 岩 石,土 砂 な ど の 構 成 物 質 が 中 性 子 を 吸 収 し誘 導 放 射 性 物 質 に 変 化 す る と同 時 に 気 化 し て 火 の 玉 に 混 入 す る。 さ らに 火 の 玉 の 上 昇 に 伴 な っ て 爆 風 に よ り地 表 か ら飛 散 した 砂 塵 が 吸 い あ げ られ るた め に,そ の 放 射 能 雲 は 空 中 実 験 の 場 合 よ り遙 か に 雑 多 な 汚 染 物 質 を 含 む 。 土 砂 な ど に 由 来 す る 大 型 の 汚 染 粒 子 は 重 力 の作 用 に よ り間 もな く爆 発 点 附 近 に 落 下 す るが,直 径10μ 以 上 の 粒 子 の 降 下 速 度 はSTOKESの 法 則 よ り近 似 的 に 求 め られ る 。

V=0.35d2ρfeet/hrd=直 径 μ ρ・=粒子 の 密 度9/cm3 い ま,砂 の 密 度 を2.69/cm3と し て 高 度10kmか ら 直 径200μ,100μ,50μ,

10μ の 各 粒 子 が 地 上 に 落 下 す る に 要 す る 時 間 を 求 め る と,各 々,0.9,3.7, (1)1メ ガ トン級 の爆発 エ ネルギ ーの5%が 土砂 の気化作 用に使用 された場合 の気

化物質 の生成 量 は約2万 トンで水 の場合は約10万 トンが水 蒸気に変 る と推定 され る。

(12)

(114) 第二十六輯

14.7,369.9時 間 とな る。 しか し,実 際問 題 と しては 空 気 の渦 流 等 の影 響 を 受 け るた め降 下 時 間 は 多 少変 化 す る場 合 が 多 い 。地 表 実験 に よる汚 染例 と して は,20メ ガ トン級 の爆発 に よ って起 きた1954年 の ビキ ニ事件 が あ り,こ の時 は10時 間 後 に18000km2以 上 の地 域 とか 水面 が 放 射 性降 下 物 に よって 著 し く 汚 染 され た 。

地 下及 び海 中実 験:こ れ らの場 合 は放 出 エ ネル ギ ーの 大部 分 が 地 中 また は 水 中 の 衝撃 波 と してあ らわ れ るが,一 部 は 地 表 また は水 面 に 脱 出 して爆 風 を起 す 。そ の割 合 は爆 発 点が 深 くなれ ば な るほ ど小 さ く,深 度 に よ っては 汚染 物 質 の一 部 は 表 面上 に分 散 す る。 しか し爆 発 点附 近 の周 囲 に あ る大 量 の岩石 や 海 水 が 強 く汚 染 され る こ とは 勿 論 で,特 に海 中 の場 合 は 汚染海 水 が海 流 に よ

っ て広 く分 散 す る可 能性 が あ る。

以上 述 べ た よ うに核 実 験 の 実施 場所 とか 規 模 に よ り汚染 物 質 の分散 様 式 は 異な るが,現 在 まで に 大型 メ ガ トン級 の実 験 は多 く空 中爆 発 の形 式 で行 な わ れ て い るた め汚 染物 質 は一 応 対 流 圏 よ りも成 層 圏 に多 量分 散 し た こ と に な る。代 表 的核 種 に つ い てみ る と1960年 まで の実 験 に よ って90Srは 約6.8Mc,

】4C原 子 は24×1027個 が 成 層 圏 に 運 ば れ た と推 定 され て い る

成 層 圏 と対 流 圏に お け る放 射 能 汚 染 物 質め 移動

爆 発 に よって 成 層 圏 また は 対 流 圏 に 達 した ガ ス状 の 汚 染物 質 の なか に は 85Kr及 び14CO、 の よ うに 本来 気体 の もの も 含 まれ て い るが,そ の大 部分 は 次第1こ凝 結 し,冷 却 が 進む と固体 粒 子 とな り,多 くは 水滴 と共 存 した型 に な る。爆 発 に よる激 しい動 揺 が しず まる と,そ れ らは成 層 圏か ら対 流 圏,次 いで 地 表 。 または 対流 圏か ら地 表 へ と降下 す る。これ が 放 射 性降 下 物(Fall‑out) で あ る。 そ の降 下 速 度 と 量 は 前 述 の よ うに 爆 発 点,放 出エ ネル ギ ー,気 象 及 び地 勢 条件 な どに よ り異 な るが,一 般 に 一 日以 内 で爆 発 点附 近 に 落下 す

る局地 的降 下物 と地 球 の周 囲 を 広 く移 動 す る全 世 界 的降 下 物 とに 分 け られ, 後 者 に よって実 験 実施 国 のみ な らず 全 世 界が 現 に か な り汚 染 され てい る点 に

(13)

原子 力 の利用 に伴 な う環境 の放 射能汚染 につい て (115>

問 題 が あ る。

成 暦 圏:同 圏に 放 出 され た 汚 染物 質 の拡 散 に つ い て の機 構 は 知 り難 い が,そ の 大 部 分 は直 ち に 対 流 圏 へ降 下 す る こ とな く,七 ぼ ら く,そ こに滞 留 してい

く  

る こ とは 確 か で あ る 。 即 ち 成 層 圏 に 達 した 汚 染 粒 子 の 多 くは0.01μ 〜10μ 位 で,大 型 の もの は 前 述 の よ うに 重 力 の 作 用 で 降 下 す るが,5μ 以 下 の 粒 子 は 空 気 分 子 と衝 突 して 起 る ブ ラ ウ ン運 動 の 影 響 を 多 く受 け る の で 降 下 し難 くな る 。 一 方 成 層 圏 で は 風 速 約100〜150km/hrの 帯 状 流 が 非 常 に 発 達 して い る の で,汚 染 物 質 は 爆 発 後3〜6週 間 で 地 球 周 囲 の 同 圏 内 に 広 く分 散 し,空 気 の

ら 

下 降 流 な どに伴 な って徐 々に降 下 す る と考 えち れ る。 そ の 半 減 滞 留 期 間 は 熱 帯 地 方 の 低 成 層 圏(高 度20〜30km)で20ケ 月,高 成 層 圏(30〜40km)

で30ケ 月,極 地 方 の 低 成 層 圏 で5ケ 月,高 成 層 圏 で12ケ 月,さ らに 電 離 層 (45km以 上)で は60ケ 月 と推 定 され て い る こ とか ら も 汚 染 物 質 の 成 層 圏 か ら 対 流 圏 へ の 降 下 は 極 め て 緩 慢 で あ る こ とが 諒 解 され る 。1958年 に ア メ リカ が 西 経80度 線 に そ っ て 北 半 球 の 三 ケ所,南 半 球 のiケ 所 に お い て 集 塵 装 置 を つ け た 気 球 を あ げ,成 層 圏 内 に お け る90Srの 分 布 を 調 査 した 結 果 に よ る と, 放 射 能 強 度 は2〜195dpm/1000ft3(108頁(・)参 照)で,核 実 験 は 主 と して 低 緯 度 と中 緯 度 で 行 な わ れ た に も拘 わ らず,90Sr量 の 多 い と こ ろ は 極 地 方 の 上

空 に な って い る。 これ は 成 層 圏 内 に極 地 方 に 向 う子 午 面 に沿 った 空 気 の 流 れ が あ る こ とに起 因 し,ま た高 度30km以 上 で は9。Sr量 が 非 常 に 少 ない が,

この程 度 の 高 空 で は 空 気 密 度 が 低 い ので 重 力 に よる粒子 の降 下作 用が 強 く な るた め の現 象 と解 され る。 な お14Cに つ い て も同様 な 分 布 の 傾 向が 認 め ら

れ て い る こ と よ り,成 層 圏 内 に 放 出 され た 汚 染 物 質 は,一 般 に か よ うな 挙 動 を と る と 考 え て よ い 。

(1)1μ=10‑6m即 ち1000分 の1mm・

肉 眼 可 視 限 度 … … … 約20μ 顕 微 鏡:… … … 約0.2μ 電 子 顕 微 鏡:… … … 約5×10‑3μ

油 の 煙 中 の 粒 子 は0.02〜1μ 程 度

(14)

(116) 第二十六輯

対 流 圏:成 層圏に分散 した汚染物 質は成 層圏降下物 とな って対流圏へ移動す

  

る が,両 圏 の 圏 界 面 の 切 れ 目 の 附 近 で は9DSrの 濃 度 傾 斜 が 第1図 の よ 第1図 大 気 中9DSr量 の高度に よる変化(1957〜1958年)う に 非 常 に 大 き くな っ

02

ΦOdO)

Φ5N

♪23。N

CL51.01.52.O

Srg。d/min/m3air

ア大 陸 に さ しか か る附 近 で 北 に 向 き を 変 え,西 風 に 乗 っ て 中 緯 度 に 達 す る こ と が 多 い 。 こ の よ うな 上 層 気 流 に よ っ て 対 流 圏 降 下 物 が 中 緯 度 上 空 に 多 く集 'まり

,移 動 しな が ら降 下 す る こ とは 第2図,に 示 し た 地 表 面 近 くの 空 気 中 に お け る 汚 染 物 質 の 分 布 に つ い て 検 討 した 結 果 か ら も諒 解 され る。 即 ち 全 核 分 裂 生 成 物(Grossfissionproduct),137Cs及 び90Srの 各 量 は 低 緯 度 よ りも 中 緯 度 に 多 く,ま た 南 半 球 よ り北 半 球 に 多 い 理 由 と して は,北 半 球 で 核 実 験 て い る こ とは 興味 深 い 現象 で あ る。成 層 圏降 下物 は 中緯 度上 層 に あ る この切 れ 目を経 て対 流 圏 内 に流 れ 込 み ジエ ッ ト気流 に 乗 って 中緯 度線 に沿 って西 か ら東 へ移 動 す る こ とは 確iか で あ る。 また ア メ リカ 及 び ソ連 圏 内 の ジエ ッ

ト気 流附 近 で行 なわ れ る核 実 験 の対 流 圏降 下 物 の場 合は 直接 この 気 流 に混 入 す る。一 方熱 帯 地 方 で行 なわれ た核 実 験 の場 合 は,先 づ 赤 道 附 近 の東 風 に混 入 し

て西 方 に移 動 し,ア ジ

(15)

原子 力 の利用に 伴な う環境 の放 射能汚染にっ いて (117ン 第2図 空気 中に おけ る放 射性物質 の緯度別分布(1958年)

oo

ユOOσ

100

10

1.0

o.1

『…!\ 〜ノ呈

0.∩1‑

f)i、e.4F・ 。‑20。oo20040060噛 NORTHLATITUDESOUTH

が 多 く行 な わ れ た こ と と両 半 球 間 に お け る 大 気 の 交 換 が 余 り活 発 で な い こ と な どが 考 え られ る。 対 流 圏 降 下 物 は 成 層 圏 降 下 物 に 比 べ て 半 減 滞 留 期 間 は 短 か く2〜4週 問 で あ るが,前 述 の よ うな 上 層 気 流 に 混 入 す る と2〜3週 間 で 地 球 を 一 周 す る。1960年2月13日,フ ラ ンス が サ ワ ラ砂 漠(27。N)で 行fs・,,・

た 原 爆 実 験 の 対 流 圏 降 下 物 は14日 ガ ー ナ(5。N),15日 カ イ ロ(30。N),16日 ボ ソベ イ(20。N),17日 日本(35。N),28日 イ ギ リス(52。N),3月1日 ス エ

一 デ ソ(60。N)の 各地 で 検 出 され てい る事 実 は ,た とえ小 規 模 な実 験(70ギ ロ トソ級)と い え ども生成 物 は 文 字 通 り全 世 界 的 降下 物 とな る ことを示 して い る。

対 流 圏の 中 層 以下 に おけ る降 下物 の移 動 は高 気圧,低 気 圧,大 気 環流 及 び 不 連 続 線 等 の気 象 現 象 に よ り一 層 複 雑 に な るが,我 国 の場 合 は多 く移 動 性高 気 圧 即 ち大陸 か らの下 降 気流 に伴 な っ て下 方 へ 移 動 し,地 表 へ の落 下 に は 降 雨 また は降 雪 現 象 が 大 きな役割 を な して い る。

(16)

〈118) 第二十六輯

地 表 へ の 落 下:雨 及 び 雪 は 天 然 の 放 射 性 物 質,た とえ ば214Pb(半 減 期26.8 分),213Pb(:10.6時 間),210Pb(:22年),222Rn(:3.8日),226Ra(:1622

年)な ど を 含 む た め 若 干 の 放 射 能 を 示 す が,こ れ らの 核 種 は 生 元 素 で は な く,そ の放 射 能 が 殆 ん ど 無 害 で あ る こ と は 人 類 が 有 史 以 前 よ り今 日 ま で 生 存 して い る こ とか ら も証 明 され る 。 問 題 は 雨 また は 雪 が 対 流 圏 に 分 散 して い る 人 工 放 射 性 物 質 を 含 ん で 降 下 し,地 球 上 に 著 しい 放 射 能 汚 染 を も た らす と い

  ラ

うこ とで,現 在地 上 に蓄 積 され た 半 減 期 の な が い 汚 染 物 質 の90%は また は雪 と共 に 降 下 した もの と推 定 され て い る。即 ち汚 染 粒子 が 地 上約3〜

6kmの 成 雨 層 また は 成 雪 層 に 達す る と,粒 子 は 水 蒸 気 の 濃 縮核 とな る場 合 もあ る し,ま た蒸 気圧 勾配 とか 降下 に伴 な う圧 着 な どに よ って雨 や雪 に 吸着 され る場 合 もあ る。 この際,雪 は 雨 よ りも粒 子 を 表 面 に吸 着 す る作 用 が か な り強 い事 実 を 降雪 地 方 の場 合 は一 応 考 慮 す る必要 が あ る。1960年,鹿 児 島, 東 京,新 潟,札 幌 の各市 場 よ り同時 期 に 求 めた 同種 標 準 食 品(一 人,一

量)中 の9。Sr量 が 各 々,平 均7,8,12及 び10μ μcで,降 雪 地 方 に 多 い と い う実 験 結 果は雪 の粒 子 吸着 作 用 と関 係 あ る よ うに も思 え る。

一 般 に 雨 または 雪 の単 位 量 当 りの放 射 能 は ふ り始 め に 強 く,降 水 量 の増加 に 従 って減 少す るが,降 水 量 の多 い ほ ど対 流 圏 に あ る汚染 物 質 の 除 去作 用 が 強 くな るのは 当 然 で あ る。 次 に 降 雨量 と9DSrの 地 上 蓄 積 量 との 関 係 を第3

ユ ラ

図 に示 した 。

即 ち降 雨 量 が 多 けれ ば90Sr蓄 積 量 も多 くな る 傾 向は あ るが,そ の関 係は 必ず し も比 例 的 で は な く,同 一 雨 量 の場 合 で も温 帯 地 方 が 熱帯 地 方 よ り遙 か に 蓄積 量 が多 くな って い る。 これ は前 述(第2図 参 照)の 温 帯地 方 の空 中に 汚 染 粒子 が多 く分 散 して い る とい う事 実 と も関 係 のあ る現象 で,現 に地 上 に お け る90Sr蓄 積 量 は 低 緯 度 よ りも中緯 度 に,ま た南 半 球 よ りも 北 半 球 に 多 く,なって い る。 しか し1960年 以降 で は 両 半 球間 の差 異 が 小 さ くな る傾 向を 示

ユヨ 

す よ うに な っ た 。 日 本 の よ う に 温 帯 地 方 に あ っ て,比 較 的 雨 量 の 多 い 国 は ・

(17)

8

10

原子力 の利用 に伴 な う環境 の放 射能汚染 につい て 第3図9DSr地 上 蓄 積 量 と 降 雨 量 と の 関 係

1:温 帯 地 方ll:熱 帯 地 方

触 艶 も

iζx!

1

(119)

2{〕{,40{}!00010000

mmprecipita七ion(1953〜1959)

地 上 汚 染 の 度 合 が 高 く,現 に ア メ リカ と ソ連 の 両 陣 営 か ら放 射 能 雨 の 洗 礼 を 受 け て い る 。 こ の こ とは ソ連 が 行 な う核 実 験 で は3〜7日 後 に,ビ キ ニに お け る実 験 で は7〜10日 後 に,ま た ネ バ ァ ダに お け る実 験 で は2〜3週 間 後 に 日本 各 地 で 強 い 放 射 能 雨 が 検 出 され る こ とか ら も諒 解 され る。 勿 論,対 流 圏 に 分 散 した 汚 染 物 質 の 全 部 が 雨 や 雪 と共 に 降 下 す る わ け で な く,粒 子 自 身 の 重 力 とか ブ ラ ウ ン運 動 ま た は 下 降 気 流 な どに よ っ て 直 接 地 球 上 に 到 達 す る

くユラ

場 合 も あ る 。 そ の 量 は 灰 取 紙 法 あ る い は 水 盤 法 に よ り 測 定 さ れ る が.次 に ソ

(1)灰 取 紙 法:セ ロ ア ン紙 に ワ セ リ ン な ど の 粘 着 性 物 質 を 塗 っ た 粘 着 紙(gummed PaPer)lft2を 高 さ 約lmの ス ダ ン ドに の せ 屋 外 に24時 間 放 置 し て 降 下 物 を と ら

え る方 法 。 曽

(18)

(120) 第二十六輯

連 が 北 極 海 の ノ ー バ ヤ ゼ ム リア 地 方 で 行 な った 核 実 験(1961年9月 〜10月) の 影 響 を 鹿 児 島 で 検 討 した 結 果 の 一 例 を第4図 に 示 した 。

第4図 放射 性降下物量 の時期 的変化(鹿 児 島,1961'CF後 期)

oooo"04.

(o) O

PO 0.αO

血[9O([<

C

/

JO2030102ゆ3」)1020δ 【11c}

1961Sept.Oc七.Nov.Dec.

ソ連 は,こ の 期 間 内 に31回(総 計 約170メ ガ トン)の 実 験 を した と推 定 され る が,大 型 実 験 は10月4日 と5日(10メ ガ トソ級),23日(30メ ガ トソ級), 30日(50メ ガ ト ン級)及 び31日(20〜30メ ガ ト ソ級)に 行 な い,特 に10月30日 の は 史 上 最 大 の 実 験 で あ った 。 これ らの 影 響 は 図 に お け るA,B,Cの 放 射 性 降 下 物 質 量 の ピ ー ク と して 明 瞭 に あ らわ れ て い る 。 即 ち 大 型 実 験 に よ っ て 放 出 され た 汚 染 物 質 は ノ ー バ ヤ ゼ ム リア地 上 の 上 空 で高 度 約5kmの 偏 西 風 ま た は高 度9〜10krnに あ る ジエ ッ ト気 流 に 混 入 して,4〜6日 で 我 国 上 空 に 達

し,大 陸 性 高 気 圧(下 降 気 流)な ど に よ っ て 地 上 に 落 下 した も の と推 定 され る 。 この 降 下 物 の 主 成 分 は239Np(約40%)で,ア メ リカ の 核 実 験 降 下 物 に 多 い237Uは 殆 ん ど検 出 され な か っ た 事 実 は 典 型 的 な ソ連 型 水 爆 に よ る降 下 物 で あ る こ とを 示 して い る 。

N水 盤 法:深 さ5cm ,面 積 お よ そ1000cm2の ポ ー ロ引 ぎ パ ッ トに 冬 季 に は300ml, 夏 季 に は500mlの 蒸 溜 水 を 入 れ て 屋 外 に24時 間 放 置 し て 降 下 物 を と ら え る方 法 。

(19)

原子力 の利用に伴 な う環境 の放射能汚 染につ いて (121) 地 表 へ の蓄 積:以 上 述 べ た よ うな 過 程 を 経 て 成 層 圏 降 下 物 とか 対 流 圏 降 下 物

が 地 表 へ 蓄 積 し,我 々 の 生 活 環 境 を 広 く汚 染 す る の で あ るが,そ の場 合,降 下 物 中 の γ線 放 出核 種 は 危 険 な 外 部 照 射 源 と な り得 る 。 しか し現 在 ま で の 降 下 量 で は 直 ち に 人 体 に 大 き な 影 響 を 与 え る とは 考 え られ な い 。 問 題 は 我 々 の 呼 吸 作 用 とか 飲 食 物 循 環 を 経 て 体 内 に 沈 着 し,内 部 照 射 源 と な り易 い 核 種,た

と え ぽ90Srと か137Csな ど地 上 蓄 積 量 で あ る 。 前 述 の よ うに10メ ガ ト ソ級 の核 分 裂 反 応 に よ っ て90Srは 約1.07Mc(137Csは1.70Mc)放 出 す る と推 定 され る が,こ れ が10年 間 に 地 球 上 に 一 様 に 降 下 す る と仮 定 す れ ば1年 間 の 地 上 蓄 積 量 はO.2mc/km2と な る 。 勿 論10年 間 に は 核 種 の 半 減 期 に 応 じ.て核 崩 壊 が 進 む とは い え,現 在 迄 に 推 計400メ ガ ト ソ以 上 の 核 実 験 が 行 な わ れ て い る こ と や 降 下 量 は 前 述 の 仮 定 と 異 な り人 類 が 密 集 す る 中 緯 度 地 帯 に 多 い こ と な ど を 考 え れ ば 環 境 汚 染 の 問 題 は 現 在 で も楽 観 出 来 な い 事 態 と な っ て い る こ と に 注 意 す べ きで あ る 。 一 般 人 に 対 す る90Srの 許 容 地 上 蓄 積 量 は22mc/

km2(職 業 人 に 対 して は220mc/km2)と され て い るが,次 に 世 界 の 主 要 都 市

ユの リ ユの

に お け る1960年 ま で の90Sr蓄 積 量 を 第5図 に 示 した,ニ ユ ー ヨ ー ク は 当 時 既 に 許 容 量 以 上 に 達 し,東 京 は1961年8月 で90Sr量27mc/km2(137Csは

70mc/km2)に な っ て い る 。 さ らにMAC且TA.Lは1963年6月3日,ア ー リカ 上 下 両 院 原 子 力 委 員 会 の 証 言 で 「1963年 に は1962年 の ア メ リカ

及 び ソ連 の 核 実 験 に よ っ て90Sr蓄 積 量 が 倍 増 す る と推 定 した 」 旨を 外 電(ワ シ ソ トンAP発 朝 日新 聞1963年6月5日 号)は 伝 え て い る 。 か よ うな事 態 は 人 類 の 環 境 衛 生 上 無 視 出 来 な い こ とで,全 面 核 実 験 停 止 が 強 く要 望 され る理 由 も主 と して こ こ に あ る 。 な お,許 容 量 と ぱ 決 して 無 害 な 量 を 意 味 す る も の で は な い 。 放 射 能 は 人 体 に 対 し少 量 で もそ れ な りに 有 害 で,長 期 間 照 明 され る と 白 血 病 とか 骨 ガ ン,特 に 遺 伝 的 な 障 害 を 起 す 確 率 が 高 く な る こ と は 確 か で あ る 。

(20)

(122) 第二十六輯

第5図 主要 都市に おけ る90Sr蓄 積量 の年変 化

8

ドEwv6「Rに

YEARS

放 射 能 汚染 物 質 の海 洋 へ の移 行

海 洋 の 放射 能 汚 染 の主 な る原 因 と して は,(1)海 中 また は海 表 面近 くで の 核実 験 の実 施,② 放 射 能 汚 染 物 質 の 対流 圏 か らの 自然降 下,(3)放 射 能 汚 染物 質 の地 上か らの雨 水 また は 河 川 に よ る運搬,(4)放 射 能 染物 質 の海 中投 棄,な どが 考 え られ る。 この うち(1)の 場 合 に 最 も 大 規 模 な 直接 汚染 が お こ

(21)

原子力 の利用に伴 な う環境 の放射能汚染 につい て (123) る 。 た と え ば,ア メ リカ が1954年3月 〜5月 に か け て ビキ ニ海 域 で 行 な った

水 爆 実 験 の 結 果,海 洋 の 汚 染 が そ の 近 海 の み な らず 日本 近 海 まで お よ ん だ 事 実 は この 例 で あ る 。 当 時 ア メ リカ 側 の 報 導 に よれ ぽ,ビ キ ニ,エ ニ ウエ ト ッ

ク環 礁 附 近 の 海 水 放 射 能 は 無 視 出 来 る 程 度 に 弱 い とい うこ とで あ っ た が,同 年5月 か ら6月 に か け て 実 際 測 定 して み る と,エ ニ ウエ ト ヅ ク の 西 方 約180 1kmの と こ ろ で,最 高7025cpm〃(41mpt/1)と い う脅 威 的 値 が 観 測 され,

さ らに6月 下 旬 に は ビ キ ニ西 方 約2500kmの 九 州 南 方 海 域 で も5〜10cpm/1 の 人 工 放 射 能 が 検 出 さ れ た の で あ る 。 この 場 合 は 汚 染 海 水 の 一 部 が ビ キ ニ海

域 か ら西 へ 北 赤 道 海 流 と共 に フ イ リ ッ ピ ソ沖 に 達 し,こ の 附 近 か ら北 上 して 黒 潮 に 混 入 し,台 湾,琉 球 列 島 を 経 て 日本 近 海 に 達 した と推 定 され る 。 そ の 間,5月 に 台 湾 東 方 海 域 とか 小 笠 原 近 海 で 放 射 能 汚 染 を 受 け た シ イ ラが 獲 れ,続 い て7月 に は 九 州 沿 岸,8月 に は 四 国,伊 豆 七 島 沿 岸 で も 汚 染 魚 が 検 出 さ れ,な か に は 体 表 放 射 能70360cpm(410mμ)を 示 す も の も あ った 。 こ

くユラ

れ らの 汚染 魚は 厚 生省 の指 示 に よ り廃棄 処分 とな り,日 本 の漁 業 に 当時 の価 格 で30億 円 以上 の損 害 を 与 えた こ とは ご承 知 の通 りで あ る。

ビキ ニ事 件 後,大 規 模 は核 実 験 は 多 く空 中 で行 なわ れ る よ うに な った が, そ の 実施 後 は例 外 な く日本 近 海 の海 水 放射 能 が 増加 して い る。 この事 実 は 最 近 ② の原 因 に 由来 す る海 洋 汚 染 の ケ ースが 多 くな った こ とを 示 して い る。 た とえ ぽ九 州 近海 で1958年 の後 半 に対 流 圏 降 下物 の落 下 に よる汚染 と思 わ れ る

・39dpm/1と い う値 が 検 出 され た 。 この時 期 は ア メ リカが ビキ ニの 水 爆 実 験 場 で 空 中実 験 を続 行 した 直後 にあ た り,以 後 次第 に海 水 放射 能は 減 少 し,天 然 の レベ ル近 くに な った が,1961年 後 半 に至 って再 び 上昇 し7〜10dpm/1の 値 を 示す よ うに な った 。 これ は ソ連 の ノーバ ヤ ゼ ム リア地 方 に お け る核 実 験

1(1)ビ キニ事 件 当初 は放 射能 汚染 の問題が全 く新 しい体験 で検 査 の基準 を決定す る 明確な根拠 は 殆ん どなか ったが1954年3月 厚 生省は一応 「魚の放射能がG‑M計 数 器を 魚体 よ り10cm離 して100cpm以 上 ある 場合 には 廃棄処分 に す る」 と決 定 した。 この基準 は試料 の放 射能が天然 の放射能 の2〜3倍 以上 の カウ ン トが あ

れば人工 放射能が あ る とみ て よい とい う根拠 に基づ くものであ る。

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