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論文の内容の要旨 氏名:髙

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:髙

専攻分野の名称:博士(医学)

論文題名:

Frequent isolation of extended-spectrum beta-lactamase-producing bacteria from fecal samples of individuals with severe motor and intellectual disabilities

(

重症心身障害児者の糞便では

ESBL

産生菌の頻度が高い

)

【背景】

医療の進歩は多様な基礎疾患を持つ重症心身障害児者(重症児者)の長期生存を可能とした。重症児者は 易感染性から抗菌薬、特に広域抗菌薬を投与されることが多く、多剤耐性菌の出現が危惧される。そのひ とつである基質特異性拡張型βラクタマーゼ(

extended-spectrum beta-lactamase: ESBL

)産生菌の検出 は近年増加傾向にある。しかし重症児者における多剤耐性菌の研究はない。本研究では、重症児者の糞便 における

ESBL

産生菌の検出状況や臨床的、分子生物学的背景を解析した。

【方法】

対象は、単一の重症心身障害者施設に入所する患者

146

名である。倫理委員会承認と書面の同意を得て、

無症候時の糞便を採取した。

ESBL

産生菌は

CLSI

の基準に基づき、スクリーニング試験および確認試験 で同定した。遺伝子型(

TEM

型、

SHV

型、

CTX-M-1 group

CTX-M-2 group

CTX-M-9 group

)を、既 報のプライマーを用いた

PCR

法により同定し、

Direct DNA sequence

で確認した。臨床的背景は年齢、性 別、入院期間、大島分類のスコア、経管栄養の有無、

3

か月以内の抗菌薬使用歴、気管切開の有無、整腸 剤使用歴について後方視的に調査した。また、経口摂取群、経管栄養群からそれぞれ無作為に患者を選び、

腸内常在細菌叢を解析した。

【結果】

ESBL

産生菌は全糞便検体の

31

%から検出された。

83

%の菌種は

Escherichia coli

であった。ほとんどの

菌株は

PIPC/TAZ

および

CMZ

に感受性があり、カルバペネム耐性株は検出されなかった。しかし

LVFX

耐性株は

82

%に達した。遺伝子型は

CTX-M-9 group

80

%を占めた。

ESBL

保菌のリスク因子は、低年 齢、短期入院、重症例であった(

Mann-Whitney

検定)。また

ESBL

保菌は

3

か月以内の抗菌薬使用歴、

気管切開のある患者に多く、特に経管栄養と強い関連が認められた(

p<0.001

、χ2検定)。腸内常在細菌叢 解析では、経管栄養群および

ESBL

産生菌陽性群において、有意に菌叢の多様性が低かった。

【考察】

JANIS

の報告や一次施設のサーベイランスと比較すると、重症児者における

ESBL

産生菌の検出頻度は高

かった。一般的に

ESBL

産生菌に対する治療はカルバペネム系抗菌薬が第一選択となるが、当該施設の

ESBL

産生菌は

PIPC/TAZ

CMZ

に感受性であるため、重症度に応じた薬剤選択が可能である。また、

LVFX

など内服抗菌薬の選択圧を受けている可能性が示唆された。遺伝子型は

CTX-M-9 group

が最も多く、

本邦の他施設と一致した。重症例や抗菌薬使用歴のある患者、特に経管栄養の患者は

ESBL

保菌の可能性 が高いため、急性期の治療における抗菌薬選択が重要である。また、経管栄養は腸内細菌叢の多様性低下 と耐性菌保菌に関与する可能性がある。

【結論】

本研究は、重症児者において

ESBL

産生菌の検出頻度が高いことを示した初めての報告である。

ESBL

菌状況を把握し、抗菌薬の適正使用と感染予防対策が重要である。今後は多施設研究が望まれる。

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