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民俗学的観点からみた韓国文化の展示

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Academic year: 2021

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民俗学的観点からみた韓国文化の展示

著者 金 時徳

雑誌名 国立民族学博物館調査報告

巻 14

ページ 50‑55

発行年 2000‑07‑24

URL http://doi.org/10.15021/00002220

(2)

民俗学的観点からみた韓国文化の展示

鄭鍾秀(韓国国立民俗博物館)

1.はじめに

 今回、国立民族学博物館(以下、民博)朝鮮半島の文化展示の交替・拡張は1983 年11月韓国展示を開いて以来17年ぶりのことである。一度展示をすると新たな変更 や拡張は容易なことでない。さらに、展示室を開館してからこれを主題に国際シンポ

ジウムを開くことは非常に意味深いことだといえるだろう。事実、展示後、これに対 する批判と問題点を論ずることはあまり行われてこなかった。我が国でも、このよう な前例はなかった。しかしながら、民博がこのような場を準備したことは、民博の勇 気であり、自信の表出であると思われる。国立民族学博物館が、世界的な博物館とい う名声を得ているのも当然であるかもしれない。したがって、日本における韓国文化 の表象という題目の今回の国際学術シンポジウムは、そのような面で目立つだけでは なく、一つの模範事例になると信じている。

 民俗は自国の魂と思想をもつ具体的な生活様式であり、基層文化として生活基盤を 構えてから長い歴史を経て、その基礎を作ってきたのである。すなわち、民俗文化は 時代の与件と環境に適応し、変化しながら世代から世代へ伝承する生活文化であるた め、 「生」の文化であるといえる。そのため、環境の変化によって新たな要素が生成

・追加されたり、ある部分は消滅するが、民俗の構造的な枠は大きくは変わらないと いう特徴を持つ。とくに、民俗文化は上層知識層の文化とは違う保守性が強く、原初 的な要素を豊かに内包し、現代社会に残る現代文化の一部分になることもある。

 筆者は、このような観点から、今回の民族学博物館の韓国文化館の展示に関する特 徴および改善点について考察する。

2.民博の展示概要および特徴

 民博の韓国展示は、空間構成において室内と室外に分けることができる。室内には 壁面と床上を利用して展示を行い、室外は酒幕を立て、観覧客が観覧しながら休憩で

きるよう仕立てられている。

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鄭鍾秀(云為國立民俗博物館)

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2.民博到展示概要喫特徴

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 まず、室内の展示を考えてみよう。檀君肖像画、朝鮮半島の衣食住、農機具のよう な生産用具、日常生活で使われる日用雑貨、人生儀礼、信仰(民間信仰、巫俗信仰、

仏教信仰、キリスト教、カトリック教)、芸能娯楽、民俗工芸、野球用品のような大 衆スポーツ用品、民間医療、家屋(済州島の民家)などである。これをもっと具体的 に考えてみよう。

 第一に、韓国文化の展示館に入るとまず目にとまるのは済州島の民家の模型である。

この模型は比較的精巧に作られ、済州島の伝統的な家屋を理解するのに非常に役立つ と思われる。

 第二に、入口の左壁面に檀君肖像画がかけてあるが、もしこれを韓国の博物館で展 示すると宗教間の葛藤を引き起こし、相当な論争になると思われる。だが、これを果 敢に展示した展示企画者の意図もわかる。一言でいえば、朝鮮半島の文化のルーツを 檀弓においているのだろう。

 第三に、檀君肖像画の隣には、台所用品とや子供用品のような民俗工芸品を展示し ている。とくに、台所用品の中で関心を引くのが、現在韓国で人気のキムチ冷蔵庫と 浄水器である。もちろん、床上の展示場には木で作られたキムチ瓶もあるが、このよ

うな現代的な浄水器やキムチ冷蔵庫を韓国の民俗博物館で展示できるかといえば、絶 対に無理である。考えることさえ不可能である。それでは、何のために民博ではこれ

を展示したのであろうか。韓国の国立民俗博物館にもキムチの展示コーナーがあるが、

単純にキムチを作る過程が説明されているだけで貯蔵用具などは展示されていない。

今回の民博の韓国文化展示館のキムチ冷蔵庫、浄水器展示は単なる遺物を見せるだけ ではなく、一つの展示物を通じて一国の民俗文化をいかに見せるかという根本的な問 題点を提起したと思われる。序文で述べたように民俗が長い歴史をかけて作られたか らこそ、民俗博物館の展示は過去だけではなく、現在の民俗にも関心をおくべきだと いうメッセージを読むことができた。一方、このような過去と現代の展示物を通じて 博物館の遺物収集の限界をどこまでにするのかを考えさせてくれた。一言でいうと、

歴史民俗的性格の展示方法であるといえる。

 第四に、野球ユニフォームのような展示物を通じて韓国の大衆スポーツ文化の理解 を助けた点である。これもキムチ冷蔵庫の展示のように破格であった。

 第五に、キリスト教、仏教、巫俗、儒教などの韓国の多様な宗教遺物を集め、比較 できるようにしたことである。なかには、展示物自体は粗雑なものもあるが、比較で きるようにした点は、肯定的に思われる。一つ気になる点は、全体展示の面積の中で

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宗教がしめる部分が大きかった点と、祭礼檀に祭物がないため、韓国の祭礼文化を正 しく理解できるのかという点である。韓国の祭礼文化は相当複雑なため、実際に展示 しないと混同する恐れがあることを念頭に置くべきである。

 第六に、床上に展示されている葬礼と婚礼に関するものも問題である。韓国人の死 に対する意識を一目で見られるようにした喪興と喪主のマネキンの展示は非常に適切 であると思われる。とくに、喪興はそのなかでも圧巻であった。しかし、気になる点 は、喪主の喪杖(竹の杖)が喪主の手に握られていなかったため、喪杖の用途がわか りにくいことである。そして、婚礼コーナーでは紗丁令帯(礼帽と官服)を身につけ た新郎と圓杉(礼服)と冠をした新婦だけで、婚礼檀がないため、韓国人の結婚式を 一目で見られないのが残念であった。

 最後に、室外に展示した酒幕とチャンドクテに関する問題である。もちろん、展示 企画者が明らかにしたように雪幕の屋根を銅板で作ったため、文化の歪曲が生じる恐 れがある。もちろん、民博の展示の性格上、藁葺きにすると管理が難しいということ は理解できる。しかし、これに対する十分な説明がなければ、文化の歪曲を防ぐこと ができないだろう。そして、チャンドクテも鉄板で作られているが、これも小石や人 工石などを敷いた上に瓶を展示したら韓国の住居文化と食文化を理解するのに役立つ のではないか。

3.おわりに

 以上において、国立民族学博物館の韓国文化展示の性格あるいは問題を私なりに考 えてみた。これを整理すると次のようになる。

 はじめに、狭く、限定された空間で一国の文化を総合的に見せることは容易なこと ではないにもかかわらず、比較的適切な展示テーマの構成と適切な資料配置を通じて 韓国文化を一貫性をもって理解しやすく展示した点を高く評価する。

 つぎに、大部分の博物館が過去の遺品だけを展示する慣行から果敢に脱皮し、現在 の生活用品を適切に配置することで、民俗文化が単に過去の文化(死んだ文化)では なく、現在生きている文化であることを見せてくれた点である。これは今後、博物館 の展示にとって一つのエポックメイキングになると思われる。

 最後に、閉鎖展示から解放展示を実現し、説明文の果敢な省略を通じた展示物との 直接対話をするようにした点が非常に特徴的である。

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