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システム工学群 山本研究室

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Academic year: 2021

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参考文献:W.G.Stroud et al., J. Geophys. Res., 65, 2307-2323, 1960.; Tsuda et al., J. Atmos. Oceanic Technol., 11, 50-62, 1994.

;Sutherland., J. Acoust. Soc. Am., 115(3), 1012-1032, 2004.

S-310-41 号ロケット搭載 PDI の開発と中層・高層大気中における音波伝搬特性の直接計測

システム工学群 山本研究室

1130056

木原大城

1.

背景

高層大気中における音波伝搬路は基本的に温度場と風速場 に依存しており、主な大気モデルにより導出可能であるが、この 実測が比較的難しく過去の実験例も極めて限られている。1960 年代には、観測ロケットに搭載した火薬を爆発させ地上の複数地 点での音波伝搬特性から温度と風速の計測を行ったグレネード 法(Stroud et al., 1960)が実施され、1990年代には、低周波音波 発生装置により高層大気に向けて音波を送り、大気疎密を発生さ せMUレーダー(Middle and Upper Atmosphere Rader; 中層・高 層 大 気 観 測 レ ー ダ ー ) で 観 測 を 行 う RASS(Radio Acoustic Sounding System)による計測が実施された(Tsuda et al.,1994)が、

飛翔体を用いた直接的な高層大気の音波計測は実施されてい ない。

2.

目的

本研究では、ロケット搭載音波伝搬特性計測装置PDI(Propaga -tion Diagnostics in upper atmosphere by Infrasonic/Acoustic waves)を開発、搭載することで、中間圏・下部熱圏の音波伝搬特 性を世界で初めて直接計測し、高度プロファイルを取得するととも に、地上設置センサにてインフラサウンド(周波数20 Hz以下の可 聴下音)と可聴音(同20 Hzから20 kHz)の同時観測を行うことで インフラサウンドと可聴音の3次元長距離音波伝搬路の解明を目 的とする。さらに、地上設置MUレーダー・RASS用低周波発生装 置から音波を上空に送出し、飛翔中のロケットでの観測を試みる とともに、ロケット燃焼時の燃焼音、ノーズコーン開頭およびメイン ペイロード分離時の火薬爆発音を音波源として搭載用マイクによ り計測することで音速、大気温度の算出を行うことを目的とする。

3.

搭載機器

PDI

の開発、打上げに伴う準備

ロケット搭載音波伝搬特性計測装置PDI(図1)は、音波源とな るスピーカー、検出器であるマイク3 台、音波制御などを行うエレ キ部、圧力センサにより構成されている。PDI は、先行研究により 搭載機器を選定、本学の小型真空チャンバとJAXA宇宙科学研 究所の大型スペースサイエンスチャンバを用いた較正実験により PDI スピーカーからの出力音波強度、周波数、PDI マイクのアン プゲインなどが決定された。PDIのロケット搭載に伴い、個別環境 試験(真空試験、熱試験、振動・衝撃試験)、頭胴部環境試験(噛 合せ試験、振動・衝撃試験、スピンタイマ試験)を実施した。

また、打上げに伴う準備としてロケットより受信したデータをリア ルタイムで確認するためのQuick Look(QL)ソフトを開発した。

1 S-310-41号搭載PDI

4. S-310-41

号ロケット実験概要

20128716:30(JST)、JAXA内之浦宇宙空間観測所 より観測ロケットS-310-41号機が打ち上げられた。本ロケットのメイ ンペイロードは、エアロシェル展開を行う工学実験であり、本研究 で開発したPDIはサブペイロードの1つとして搭載を行った。

本実験では、PDIスピーカーより出力電力1 W、周波数10 Hz から1 kHzまでの7周波および無音を0.2秒ずつ計1.6秒の音波 を繰り返し出力しPDIマイクにより計測、ならびにロケット燃焼音、

ノーズコーン開頭およびメインペイロード分離時の火薬爆発音を 音源として観測を実施した。また、地上からはロケット打上げ前よ り地上設置RASS 用低周波音発生装置から周波数 50 Hz、100 Hz の音波(120 dB)を一定間隔で送出し、ロケット飛翔中に PDI マイクで観測を試みた。

5.

飛翔実験結果

S-310-41号搭載PDIは、予定通り動作し、打上げから約34

(高度約35 km)までロケット燃焼音が計測された。その後、搭載ス

ピーカー出力音の計測が開始され、最高高度 150 km 到達後も 出力音を確認することができた(図 2)。飛翔中に実施された火薬 点火時の爆発音の計測にも成功したが、地上より送出した音波は PDIマイクで取得した音波からは確認できなかった。また、地上設 置センサにてロケット打上げに伴うインフラサウンド、可聴音の観 測にもついては、射点から13 km以内の6地点で27秒後までの 音波を観測した。

2 PDIマイクより計測された音波伝搬特性

6.

考察および結論

本研究により開発されたロケット搭載機器 PDI は、最高高度

150 km到達後も正常に動作し、世界で初めて中間圏・下部熱圏

での音波伝搬特性の直接計測を行った。取得した高度プロファイ ルから高度(気圧)の変化に伴って信号強度が減衰していること が明瞭に確認できた。ロケット飛翔中の火薬爆発音による取得波 形の変動を確認できた。これらから音速、大気温度の算出を行っ たが、サブペイロード用に確保できたテレメトリ通信容量が不足し ており理論値とは大きな誤差が生まれる結果となった。音波伝搬 特性の高度プロファイルはSutherland et al, (2004)による理論計 算によく一致する世界初の実測結果を得た。

参照

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