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協調学習支援 システム‐ における相互作用支援 と知識統合支援

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静岡大学教育学部研究報告 (人文 。社会科学篇)第 56号 (2006.3)67〜 82 67

協調学習支援 システム

における相互作用支援 と知識統合支援

couaboration and Knowledge htegration Supports on Colaborative barning Suppo■ Systems

HiroyukI MASUKAWA

(平17年 9月 27日受理)

1。 背景と目的

学習科学の研究分野では、テクノロジを用いることで従来の授業では実現できなかったレベルの学習 を達成 させることが主要なテーマのひとつになっている。これまで筆者は、学習科学研究チーム1に所属 し、大学学部授業を対象に、主に認知科学に関する領域の授業での実践評価を行つてきた。学習科学研究 チームでは 1998年 度より、協調的な知識統合型授業を実現するため、複数の協調学習支援システムを開 発・導入 しながら、授業実践 と評価を繰 り返 してきた。そして2004年 度以降は、学習科学研究チームでの 積み重ねを生か し、静岡大学教育学部にて筆者自身が独 自に授業実践評価を続けている。

授業は学習者の活動主体で進めてい く。まず資料を分担 して各自がまとめ、異なった資料の相手と説明 しあい、互いの資料の間の関連性を考え、自らその領域に関する重要な部分を見つけて知識を統合してい く、協調的な知識統合型授業になっている。ここでの「関連付け活動」では、多視点での比較参照吟味活 動が期待 されてお り、複数の資料を客観的に見直して重要な要素を抜 き出して繋げる活動や、特定の資料 の視点からその資料内容 と似ている部分を探 して関連付ける活動などが考えられる。今回は、「互いの資 料の間の関連性を考えて全体を統合 してい く」学習過程のパターンに、協調学習支援システムの機能が関 わつていることを明らかにし、支援環境 と授業デザインのより効果的な組み合わせ方について考察 して い く。

本報告では、異なった協調学習支援 システムを導入 した3つ の授業実践を取 り上げ、支援の違いによる 関連付け活動の差をまとめ、今後発展的な授業デザインを展開する上での指針をまとめていく。協調学習 支援システムには「相互作用支援」と「知識統合支援」の大きく2側面の支援要素があることを示す。そ して、相互作用支援を重視 した支援システムを導入することで、様々な資料を客観的に捉えて関連性を見 出そうとする「俯厳的関連付け活動」が、知識統合支援を重視 した支援システムを導入することで、学習 者が担当した資料を中心に関連性を広げてい く「自己中心型関連付け活動」が、促進されることが分かっ 1学習科学研究チーム:中京大学情報科学部認知科学科において三宅なほみ教授 を研究代表者としたチーム。三宅なほみ教授、白水 始講師をは じめ として、認知科学科の教員、三宅なほみ研究室所属の多数の院生・学部生メンバー、技術サポーターによって構成さ れている。著者は 2003年 度 まで学習科学研究チームに所属 し、ノー ト共有吟味支援 システムReCoNoteの 初期開発 と運用、テイー テ イングアシス ト、並びに同学科助手 として授業実践に携わった。

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た。以上の結果 を元に、2タ イプの関連付け活動 を組み合わせた効果的な授業デザイン̀と支援 システムに ついて考察する。

1‑1.協調的な知識統合型授業の重要性

これまでの認知科学研究の進展により「人はいかに学ぶか」という学習・発達 に関する人の特徴が明 ら かになつてきている。特に、協調的な学習場面では、他人への説明、議論、他人の意見 との比較対照活動が 起 き、結果 自分 自身の知識の吟味、再構成活動が促進 されることが分かつている。このような協調的な知 識統合活動 を全面的に授業カリキユラムに導入 し、学習者の学習プロセスを分析評価 してい くことで、こ れまで明 らかになってきた学習理論の知見が、実場面において役立つ もの として、さらには理論 を洗練 さ せてい くことに繋がると考えられる (稲&波多野,1989,Bransford c′αJ。,1999,三 宅&白,2003)。

人は、何かについて学習する、あるいは得意になるときには、時間を掛けて様 々な経験 を重ねている。特 に興味 を持 っていることであれば、自ら情報 を収集 し、他人、道具 も上手 く利用 しなが らその人の生活 し ている社会、文化の相互作用の中で知識 を獲得 している。そのような日常的な学習場面 を考えると、従来 の学校の授業環境 は逆に特殊であるとも言える。そうなのであれば、学校の授業で も、学習者が協調的な 学習場面で自ら調べてまとめ、知識を深めてい くことを支援する道具を利用 しなが ら、使える知識 として 学 んでい く活動 を考えてい くことが大事 となつて くる。この ように協調的な知識構成の過程 を経 ること が理解深化を促 し、将来実社会において「使える知識」として役に立つ と考えられている。

従来の授業カリキュラムは旧来の心理学の学習理論 を基礎 としている為、短期の記憶 には有利である が、将来社会において実践的に使 うことがで きる知識 として獲得可能な形 になるか どうかは学習者 自身 に任 されてお り、授業カリキユラムに組み込 まれてない形がほとんどである。そのため、本報告の実践授 業では「熟達化による知識統合過程」と、「協調学習 を通 した理解深化」の 2点 を主に考慮 に入れた授業デ ザインとなつている。また、その2点を強力にサポー トするために、協調学習支援 システムを設計、導入 し ている。

熟達化による知識統合

特定領域 における熟達者は、領域 について構造化 された使いやすい知識 を持 つていることが明 らかに されている(波多野 ら,2002)。Chiの 研究では、恐竜について詳 しい小学生の方が一般の大学生 よりも、恐 竜の特徴 を挙げるときに関連 した知識 を多く引 き出す ことが示 されている。これにより、ある領域に関 し ての熟達者は年齢 には関係な く、領域知識に関 して相互に関連付けられ、統合化 された知識 を持 っている ことがわかる。また人は、い くつ もの経験か ら自ら統合 して理論化することによつて知識を構成すること が カミロフス ミスのバ ランス棒の研究で示 されている。この ように、は じめは様 々な経験 を通 しなが ら 徐 々にその人な りの「理論」を形成 し、さらなる経験 を関連付けてその理論 を精級化 してい く過程が学習、

発達の本質にあることが分かる。

人が構造的な知識 を構成 してい くには、この ような複数の経験 を関連付けて理論化 してい く過程が重 要であるが、その過程 を実現するには、自分の学習状態 を管理で きる「メタ認知能力」が重要である。波 多野 らは、熟達者には適応的熟達者 とルーチ ン熟達者の2種類があると言つている6ル ーチ ン熟達者は単 に一定の手順 をスムーズにこなすことがで きる熟達者であるが、適応的な熟達者であれば、新規の状況に 遭遇 したときに持 っている知識を応用 して適応的に対応することがで きる。そのために、常 に自分の知識 を再構成、精級化 して磨 き上げている活動が起 きている。このように、常に自分の学習状態 を把握 して管 理す るいわゆる自己学習管理能力 を持 つているのが適応的熟達者の特徴である。その ような能力の獲得

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協調学習支援 システムにおける相互作用支援 と知識統合支援

を目標 とした授業実践 も行 われている。文章の読解能力 を獲得するためのRecipЮcal Teaching手法や CPalhcsar and Brown,1984b、 1文 章 作 成 能 力 を獲 得 す る た め のProcedural Facilitationプ ロ グ ラ ム

6CardaIIldia et al。 ,1984)が その代表例で、は じめはグループで手法 を学びなが ら、徐 々に自らがその手法 を行 ってい くことで、次第にメタ認知的な活動ができるようになるなど、一定の成果が得 られている。

以上のように、複数の経験か ら自分な りの理論 を作 り上げ、またその理論を必要に応 じて再構成する活 動 は非常 に重要であ り、授業内において もこのようなプロセスを踏まえたデザインや、そのような活動を 寒 証 させるための支援 システムによる足場掛けは重要である。

協調的活動を通 した理解深化

人は、状況を上手 く利用 しなが ら知識 を構成 しているが、その過程における重要な要素 として道具や他 人 とのインタラクションを通 した理解深化が挙げられる。集団での学習活動のプロセスの中ではt他 人と のや り方を比較参照吟味する機会が生 まれる。知識獲得や理解深化についての認知研究の成果から、ある 特定内容 についての深い理解は、建設的な共同問題解決場面や自分が理解 したことを他人に説明する中 で起 きることが分かっている(三,1985)。 他人 との議論のために自分の考えを言葉等で自分の外に出す ことや、他人の意見を比較することなど、協調的な認知活動場面ではごく自然に起 きている様々な活動 自 体がメタ認知的な働 きをすることも知 られている (Shirouzu,Miyake&Masukawa,2002)。

このような協調場面 を上手 く利用 した実践 も行われている。1978年 に社会心理学者Aronsonがアイデ アを出 したJigsaw形 式の授業では、学生一人一人が読んだ内容 をグループ内の成員に責任を持って説明 し質問に答えなければならない状況を作 り出 し、学びを動機付けているcAronson,197の。この形態は必然 的に自分の担当部分 と他人の担当部分 を統合する活動 を生み、互いの内容 を関連付ける機会を提供 して いる。BrownらはこのJigsaw形 式を再評価 し、積極的に学習活動の一部に取 り入れた。FCL『oStering a

Co―unけof Leamer→ プ ロジェ ク トで行 われ た環境 問題 をテーマ に した授 業実践 で はcrOwn&

Campione,1994)、 中心テーマを元にグループごとに 5つ か ら6つ のサブテーマを決めて、あるサブテーマ を担当 して調べたあ とに各サブテーマか ら1人 ずつ集 まって新 しいグループを作 って説明 し合い、プロ ジェク トに取 り組んだ。この活動は、自分 自身の担当 した内容 と他グループの担当 した内容を比較吟味 し、

それ らの関連を考えて特徴 を抽出する機会に繋がっていたと考えられる。

1‑2。 学習支援システムによる促進

学習科学の研究領域では、認知科学の研究者、教育研究者、テクノロジ開発者、授業カリキュラム作成 の専門家、そ して現場の教師 といった複数の領域の人が関わつている。その中では、これまでの認知科学 の知見、利用可能なテクノロジを最大限生か して、実際の現場で教師と共に授業カリキュラムをデザイン

して実践 し、そ して評価するという大 きなプロジェク トが実際い くつか行われている。

知識統合 を中心 とした支援システム

WISE tteb‐based lnquiry Science En宙rormlentpプロジェク トでは、テクノロジを最大限活用 して、実例 を比較 しなが ら統合的な理論 を考えてい く知識統合型カリキュラムの実践が行われているKLim&Hsi,

200o。 このプロジェク トでは日常疑間に思っている問題 をテーマに取 り入れ、学生同士の議論、プロの研 究者の意見を交えなが ら、科学的思考を身につけてい く。

例え│ご「光はどの くらい遠 くまで届 くか」という問題について、学生自身が証拠 となる具体事例をネット 上 などで集めなが ら互いに集めた事例について比較議論 し、光の性質について統合的な理解 を促す授業

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カリキュラムになっている。証拠 として集めた事例は、Sense‐IIlakerと 呼ばれるノー トシステムを使 って

「支持」「非支持」に分けて整理 して説得的な議論、理由付けを構成する。授業を通 じて学生は自分 自身で 具体例 を示 しなが ら説得的に説明で きるようになつた と報告 されてお り、カリキュラムやシステムに統 合的な知識構成活動が埋 め込 まれていることが重要であることが分かる。このプロジェク トを通 して学 生達は日常的に科学的な考え方で物事 を捉えることがで きるようになっている。

議論を中心にした支援システム

トロン ト大学教育研究所のCSIW(COmputer‐Supported htentional Leaming Envirollmentspプ ロジェク ト6cardalnada&Bereiter,199の では、自分の考えを他人に説明することによって自分の理解 も深 まると いう考えをベースに支援 している。CSILEでは発言の雛型 として「問題」「私の考える答え」「分か りたい こと、知 らな くてはならないこと」「新 しく分かつたこと」といった項 目別にフォームが用意 されてお り、

その構造 に したがつて書 き込むことがで きる。書 き込 まれたデータベース上でお互いの考えに対 してコ メン トした り、関連付けた りしなが ら理解 を深めてい くシステムになっている。すでに 10年 以上の歳月 をかけて研究、開発 されたプロジェク トで、6歳か ら大学生 にわたつて複数の国で使用 され、最近では Knowledge Forumと い う商品名で世界各地で使われている。CSIEが実験室 を離れ国際的にさまざまな 場所で使われるよう.になって分かってきたことの一うは、テクノロジを活かすには、教科や学生の文化、

教師の文化に合わせたカリキュラム運用、学習活動 プランが必要だということである。テーマが不適切で あつた り、教師が話 し合いによる学習の運営に不期1れであった りすればCSIIEが十分その力 を発揮で き ないのはもちろんだが (HakTainem&Lipponen,2002)、 テーマが適切で教師がCSILEを良 く理解 して いて も、学生 自身が議論か ら学ぶ という考え方に不馴れであった り話 し合 うという活動その ものがカリ キュラムの中でうま くサポー トされていなければ学生がCSILEの持つ力を十分引 き出すことがで きない ことがわかっている (Oshima&oshima,2002)。

1‑3.目

本報告では、これらの知見 を踏 まえた大学授業での 3つ の授業実践データを対象 とする。どの授業 も協 調的な知識統合型で、学習者 自身が資料 を分担 してまとめ、互いに説明 し合い、互いの資料 を関連付けて、

自分な りに理論 を抽出 してい く形式だつた。対象授業は、1998年 度中京大学情報科学部認知科学科3年 対象の「問題解決論」(Miyake&Masub、2000,益,2004)、 同2002年 度 2年 生対象の「認知科学2」2004 年度静岡大学教育学部学校教育教員養成課程情報教育専攻 3年 生対象「学習科学」である。前者2授業は、

筆者 自身 も参加 していた学習科学研究チームの実践授業であ り、「学習科学」は、筆者 自身が授業 を担当 し た。

各授業で使用 した支援 システムは大 きく2タ イプに分けることがで きる。

1。 相互作用支援 を重視する支援 システム

主な機能 :他 人のノー トとの関連付けを容易に作成する「 リンク機能」

2。 個人の知識統合支援 を重視する支援 システム

主な機能 :概 念地図の作成 を容易 にする「ノー ト空間配置機能」

1998年 度の問題解決論 と2004年 度の学習科学の授業では、資料 を 1対 1で 比較 して関連 を考えてリン クを作成するタイプの支援 システムを導入 した。一方、2002年度の認知科学 2の 授業では、ノー トを空間

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協調学習支援 システムにおける相互作用支援 と知識統合支援

配置 し、各資料の関連 を個々人が概念地図 として作成することができた。機能 としては、3シ ステムとも、

他人のノー トを 自由に参照 し、お互いのノ

― 卜(全てのノー ト)を リンク可能なシステムであった。しか し、

この主要な「 リンク機能」と「ノー ト空間配置機能」により、それぞれ知識統合過程において、異なる活 動が支援 されると考えられる。

相互作用支援 を重視する支援 システムでは、「 リンク機能」によって、他人が まとめたノー トを関連付け る活動が、自分のノー ト同士 を関連付ける活動 と同様の容易さで可能である。このことから、自分、他人の ノー トに関わらず、様々なノー トを比較参照 し、多様 なリンクを作成するのではないかと思われる。よっ て、このタイプのシステムでは、各資料 を俯跛的に吟味する活動を促進するのではないかと考えられる。

一方、個人の知識統合を重視する支援 システムでは、1つ の画面に複数のノー トを空間配置 して、概念 地図が作成で きる。この機能により、随時 1画 面の中でノー トを追加、再配置等行いなが らマッピングす ることが可能である。このことから、は じめに作成する自分が担当する資料を中心 としなが ら、徐々に全 体像 を構成 してい くことが予想 される。よつて、このタイプのシステムでは、特定資料中心的な知識統合

を促進するのではないか と考えられる。

以上の点を検証するため、3授業の リンク作成過程のログデータ及び、特定の学習者の活動 を分析 して 検証する。

2.対象授業

分析対象 とする授業は、表2‐1の 3授業である。各授業 とも、授業中に学習者 自身が資料 を担当 してまと め、別資料のメンバーに説明 しあ うJigsaw形 式 を応用 して、授業をデザインし実践 した。(表2‐2)な お、

1998年 度の「問題解決論」では筆者は、ReCoNoteの初期開発 とサポー ト、及 び授業担当者 (三宅なほみ 教授)と授業のデザインに関わつた。2002年 度の「認知科学2」 では、ティーテ ィングアシスタントとし て授業に参加 した。

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2‐1分析対象 とした 3つ の授業実践

問題解決論 学習科学 認知科学 2

授 業 目 標 問題解決者モデルの構築

「人 とい う問題解決 システムの 特徴 をまとめよ」

適用可能な学習モデルの抽出

「人が上手 く学ぶための条件を まとめよ」  

認知科学像の構成

「私が語る認知科学をまとめよ」

シ ス テ ム ReCoNote ReCoWeb ReCoNoteⅡ

扱 っ て い る

各グループ1文

(計12文 献) 資料サ イズー 中

3タ イプの資料 を使用 (グループ を組み換 えなが らカバー)

「基礎研究、実践研究例、教育実 習経験」

資料サ イズー大

3つの領域か らなる33資 (二 1文献 をコア文献 とする)

資料サ イズー小

    57A 10人 70人

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2‐各授業の流れ

問題解決論 学習科学 認知科学2

授 業 の流 れ 調査期 間:グループ1文献 を 担当 し、調べて ReCoNo にまとめ る。まとめた内 容 をクラスで順番 に発表 する。聞 く側は、発表を聞 きなが ら自分の文献 との 関連を考える。

関連付 け期 間 :資 料 同士の 関連 を考え、ReCoNoに 上 にリンクを作成す る。作 成 したリンクをクラスで 順番に発表する。

まとめ期間:「人 という問題 解決 システムの特徴 をま とめ よ」と い う最 終 レ ポ ー トをReCoNote̲Lに まとめる。

基礎研究 :学 習科学 を支 える基礎研 究・協調学習の特徴をまとめる。放 送大学教材「学習科学 とテクノロ ジ」、第1章、第2章を利用。第 1章 はメンバー全体で、第2章Jigsaw 形式で ビデオを3分割 して分担 し てまとめ、説明 しあう。

教育実習 と振 り返 り :教育実習後、基 礎研究 を振 り返 る。教育実 習 で実 践 した内容、自己評価 をシステム上 にまとめる。

実践研究:2つの有名な海外での実践 (WISE/LBD)を Jigsaw形式で説 明 しあ う。(ま2人組 で担 当実践 例 をまとめ、その後各実践担当者1 人ずつ、2人でグループを組みなお し、互いにまとめた実践例を説明す )      

関連付け・特徴抽出:授業で学んだ基 礎研究・実践研究・教育実習経験 を 関連付 け、その共通点から「人が う まく学ぶための条件」を抽出する。

コア資料選択 と近領域 との相互 説明 :興 味 のある資料 をコア 資料 と して選 び まとめ、内容 的に近い資料 の担当者 と説明

しあ う。

担当領域内での相互説明 :担 当 領域内で他資料 をまとめた人 4度ほ どグループを組み直 しなが ら、互い に資料 を説明 しあい担当領域全体 をまとめ る。

領域 を超 えた相互説明 :他 領域 の 人 とグループを組 み、各領 域 の内容 を説明 しあい、概念 地図 を拡大 して 自分 な りの認 知科学像 を構成 す る。この段 階ではグループは3度組 み変 わ る。グ ル ー プ の構 成 メ ン バ ーは 自由で、領域内の メ ン バ ー と再 び組み、コア資料 を 中心 に領域内をまとめる活動 で もよい。

3.協 調学習支援システム

学習者 自身が まとめた内容 を互いに共有、比較吟味、関連付けがで きるよう、テキス トベースのノー ト 共有吟味支援 システムをそれぞれ考案、導入 した。

作成導入 した支援 システムは、協調的な知識構成活動 を強力に支援するため、以下の共通 した機能を搭 載 している。

1.各 (各グループ)が調べた内容 を自分な りにまとめて記入する「ノー ト」がある       ̲ 2.「ノー ト」は互いに自由に比較参照可能である

3。 関連するノー ト同士 を何 らかの形で関連付けて繋げることがで きる

4。 どのような繋が りがあるのか記入することがで きる

5.ネ ツトワーク上に記録 されていて、いつで も参照することがで きる

システムは各授業のデザイン、学生数、プロジェク トの規模、に応 じて設計、作成 された。

1998年 度の問題解決論 に導入 したReCoNoteはWebベースのシステムで、筆者をは じめとした3人 開発 した (益,1999)。ReCoNoteの正式名称は、Reflective Colaboration Noteで く吟味活動 を促進する ための協調活動用 ノー トシステムであることか ら命名 した。フレームを利用 して上下にウイン ドウを分 割、2つ のノー トを比較参照 しやすいデザ インにした。それ ら比較参照 した内容を相互 リンク機能によつ て関連付 けることが可能で、関連付けの理由をコメン トとして残す ことができる。2002年度は学習科学研 究チーム内で開発 された ReCoNoteⅡ が導入 された。ReCoNoteIIは 、カー ド型のノー トを空間上に自由に

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協調学習支援 システムにお ける相互作用支援 と知識統合支援

配置す ることがで き、大 きさも自由に変 えることが出来 る。またその ノー トをク リック して開 くと、ノー ト内 に もまた新 た な ノー トを作 成 して配 置す る こ とが 可能で、入れ子状 にノー トを入れてい く

こ とがで きる。2004年度 は、web上か ら 直接webペー ジを作成 で きる PukiWiki

に特 定 の フ ォーマ ッ トを筆 者が準 備 し た。名前 はReCoWebと した。改 良 した 部 分 は見 た 日の イ ンター フェ イス部 分 のみで、通常 の資料 をまとめ る ノー ト部 分の下部 に、明示的 に関連付 けをす る リ ンク部分 を追加 、ノー トを行 き来 して見 なが ら関連 す る部分 につ い て リンクを 作 成 で きる ように した。以下、各 システ

ムの詳細 を紹介す る。

3‑‑1。 ReCoNote

ReCoNoteは Webブラウザ上で動作 す るシステムで、CGIを利用 してお り、内 部処理 はPenによって記述 されている。

また、書 き込 まれ た情 報 はすべ て 同 一 サーバ上 に保存 される。ReCoNoteは いの意 見 や調べ た内容 を共有 可能 なだ けでな く、それ ら内容 間 を「相互 リンク 機能」によつて関連付 けて結ぶ ことがで きることが大 きな特徴 であ る。この機 能

3‑2 相互 リンク作成画面

に よつて、他 人が どの文献間を関連付 けてい るのか といつた関連付 け情報 も外化 され るため、比較吟味 の す象 とす ることがで きる。

相互 リンクを作成するときには、双方向 コメン トを記入することがで きる。具体的に言えば、ノー トA

Bを繋げるとき「ノー トAからノー トBへはどのような関連があるか」と「 ノー トBからノー トAヘ

はどの ような関連があるか」をそれぞれ独立 したコメン トとして残 してお くことがで きる。そ して、その 作成 されたリンクを後か ら他人 も活用 して、関連付 けられた ノー ト同士 を比較参照で きる。また、関連 リ ンクの リンクリス トの コメン トを参照す ることによって、ノ‐ 卜の複数の繋が りを吟味す る機会を提供 する。

ReCoNoteを利 用す るには、該 当の授 業 のReCoNoteに IDと パ ス ワー ドを入力 して ログイ ンす る。

ReCoNoteの基本画面は、上下 2つ に別れていて、異なったノー トを表示 して内容 を比較で きるようになっ ている (図 31)。 ログイン時には、下のウインドウに自分のノー ト、上のウイン ドウには総合メニューが 表示 される。ReCoNoteの中は階層構造 になっている。ノー トのカテゴリには、「個人のノー ト」と「グルー

プのノー ト」がある。

図 3‑l ReCoNo の参照画面

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個人のノー トの中には一人一人のノー トが入っていて、自分のノー トの中に考えた内容を記録 し、後か ら振 り返 ることがで きる。また、自由に他人のノー トを参照することがで きる。グループのノー トは、グ ループ活動を通 してまとめた内容を書 き込む場所であ り、そこには各グループ別にノー トがある。授業に 関連する資料 をReCoNoteに入れて利用 したい場合には「講義資料」というカテゴリが準備 される。自分 のノー トにノー トを作成するには、作成 したい階層で「ノー ト作成」ボタンを押す と、別ウインドウにノー ト作成画面が現れ、直接その上でノー トを作成することができる。作成 されたノー トは全ての利用者が参 照可能である。

関連する内容同士 をリンクで繋げたいときには、その 2つ のノー トを表示 して、リンクウイン ドウ上に ある「相互 リンク作成」ボタンを押す と、相互 リンク作成画面が表示 される。そこで、上の内容から下の 内容への リンク、及び下か ら上への リンクと双方向の リンクに対するコメン トを記入 して相互 リンクを 完成 させる (図 )2)。 作成 した相互 リンクは、ノー トを表示 したときに隣の リンクウイン ドウにリンクの コメン トとノー ト名、作成者名が一覧 リス トとなって表示 される。その リンクの リス トを見ることによっ て、その内容 自体が どこにどれだけ関連付けられているのかを容易に把握することができる。

3‑‑2.ReCoNote‖

ReCoNoteⅡ は、学習科学研 究チーム に よって新規 に作成 された システムで あ る。Javaで 実現 されていて、デー タは クライア ン トサ ーバ形式 で常 にサーバ ヘ蓄積共有 されている。

Dとパ スワー ドを入力す る と、以下 の メ ニ ュ ー 画 面 が 出 て きて、自分 の シー トー覧、過去7日分作成 された ノー ト、または各種 キー ワー ドを元 にノー トを探 して、ク リックす る と表示す る こ とが で きる。自分 の ノー トだけで な く、他 人が作成 した ノー トも自由 に参 照 で きる。また この システムで特徴 的 なの は、保存 ご とに変更前 の状態 を リ ビジ ョンと して保存 してい ることであ る。これ を活用 す る ことで どの ように して ノー トを発展 させ て きたのか も知 る こ とがで きる。ノー トを開い た画面 が図33である。ノー トには 自由にテキ ス トを記 入 す る こ とが で きる。また、

ノー トの中 に別の ノー トをカー ド型の ノー トと して埋 め込 む こ とが で きる。

この概 念地 図 には、多 くの カー ドが埋 め込 まれてい る形 になっている。図3‐4 の ように ノー ト内 にノー トを埋 め込み

師 ¬   2龍::縫 [ごtl.

ti3::り,が 口30   1

3‑3 ReCoNotllの ノー ト画面

3‑4 ノー トを埋 め込 む方法

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協調学習支援 システムにおける相互作用支援 と知識統合支援

たい ときには、ウインドウ右上にある「これを ドラッグ」という部分を埋め込みたいノー トにドラッグす ることで実現される。

3‑‑3:ReCoWeb

ReCoWebは、高性能な端末でなくてもWebブラウザが利用できれば活用できる支援システムとして、

Web上で文章を作成 してい くことができるPukiwikiというフリーソフトに、リンク作成部分などの基本 フォーマットを授業者側が準備 して提供 した。

トツプページは、ReCoNoteのように個人のノー トとグループでまとめるノー ト部分に分かれている。

それぞれクリックするとその中身のノー トにアクセス可能である。

ノー ト部分は各自が自由に記述できる (図 35)。 Puklwikiの作成フォーマットに従うことで、文字を太 くしたリビュレットを挿入するなど、各自が工夫 してまとめることができる。

ReCoWebで関連付けのリンク作成に相当する部分はノー ト下部に設けられた欄である (図 36)。 そこ には名前とリンクの理由を記入する部分があ り、リンクを作成するときにはどのような繋がりがあるか の理由を記入することができる。作成 したリンクはノー ト下部に追加され、ノー トと同様に誰からでも見 ることが出来るようになっている。

3‑4。 機能比較

次に、各授業で導入されたシステムの特徴を以下の表3‐1にまとめる。どの支援システムでも書き込ま れたデータはネットヮーク上のサーバに記録され、各自が全てのノー トを自由に比較参照できるように なってぃたが、情報を提示するインターフェィスがそれぞれ異なっていた。ReCoNoteと ReCoWebは文字 情報ベースであったが、ReCoNoteⅡ はテキス トゃ他のノー トを空間配置をして自分なりに概念地図を作 成することができた。一方、リンクは他人が作成 したノー トに対 して作成するReCoNoteや ReCoWebの

方が共有 しやすい状態だったが、作成 したリンクはReCoNote Ⅱと異なリシステム内全体に分散 して埋め 込まれた。

75

3‐ノー ト下の リンク部分の画面 3‑5 ノー ト部分の画面

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31 システムの特徴

ReCoNote ReCoWeb ReCoNoteⅡ

ノー ト共有 (検索で)

リ ン ク共 有 ○ (明示的) (明示的) (ノー トに埋 め込み)

    2つの ノー トの1対 1比 1つの ノー ト 1つの ノ‐ ト

表 示 自由度 (文) (文) (空間配置が可能)

支援 の特徴 自分・他人が作成 したノー トの 区別 な く、資料 を1対 1で比較 して、それ らの間の特徴 を見つ け出す。また、その資料間の リン クを自分・他 人が作成 した リン ク関係 な くリス トア ップさせ る ため、それ らの間を比較す るこ とができる。

Pukiwikiをベースにしている。授 業中 にま とめた内容、または各 自の 教 育 自習 経 験 を、階 層 を 辿 つて見 に行 くこ とがで きる。

その ノー トの下欄 に、リンクを 作成す ることがで きる。リンク は文章で書 き込むため、3つの内 容 を関連付 けて1リ ンクとして 作成 も可能。

ノー トの中にノー トを「入れ子」

状 に作成可能で、この機能 を応 用す るこ とで、ノー ト上 に複数 の ノー トを配置 して概念地図を 描 くこ とがで きる。概念地図上 で関係性の上 にコメン トを記入 す ることで リンクを明示可能で あ る。他 人 の ノ ー トは検 索 に よって共有、参照可能。

4口 分析結果

各授業における、協調学習支援 システムの利用結果は、4‐1の 通 りであつた。システムによつて各機能 のデザインが異なるので一概 には言えないが、どの授業で も活発 に利用 されていた。ReCoNote Ⅱを利用 した認知科学 2で は、授業中の協調活動 を通 したプリン トヘの書 き込み活動 と併用だつたため、システム を積極的に利用 した人 とそうでない人に分かれていた。また、1ノ ー ト内に書 き込む量が少なかつたため、

ノー ト数が多 くなっている。(ReCoNote Ⅱの リンクに関 しては、概念地図上に線 を引 く形だつたため含め ていない。)

4‑1.システム上での相互作用活動

問題解決論 と学習科学 に導入 した支援 システムでは、相互 にノー トを参照 しない と関連付 けを行 うこ とがで きず、相互作用が盛んに起 きることを想定 したデザインになつていた。システム内の リンク作成活 動 を分析 して、相互作用支援機能が重視 されたシステム とそ うでないシステムとの関連付 け方の違いを 評価する。そこで システム内のノー トを相互 に参照 して比較参照吟味 を行 つていたか どうかを評価する ために、リンクで繋げたノー トの作成者が本人か他人かを数えた。学習科学に関 しては、最終的に概念地 図を作成 した 14人 を対象 とし、その概念地図内に配置 したノー トと線 を引いて関連付けたリンクを分析

した。結果は図4‑1の通 りとなった。

4‐各授業でのシステム利用結果 ReCoNote 問題 解 決論

ReCoWeb

学 習科 学

ReCoNoteⅡ 認 知 科 学 2

ノ ー ト作 成 数 306 23 960

リ ン ク作 成 数 186 113

40人 10人 70人

(11)

協調学習支援 システムにおける相互作用支援 と知識統合支援

問題解決論のReCoNoteでは、自分たちがまとめた研究例 と他グループが まとめた研究例 を1対1で 比 較 し、関連付 けを行 っていて、43件 と全体の7割以上 を占めている。さらには、他 グループが まとめた研 究例同士 を 1対 1で 比較 した関連付けが 17件 あった。学習科学のReCoWebでは、自分のまとめた研究を 中心 として、他人が まとめた研究等 と知識統合 してい く活動が 77件 で68%と活発 に起 きていた。一方、 業で扱 った研究例 と自己の教育実習経験 を結び付 けてい くような自分のノー ト同士での関連付けが28件 25%だった。このように、この2授業では、他人の資料 との比較参照活動 を活発に行 って様 々な関連付 けを見つけてい く、「多数関連付 け抽出活動」が起 きていた。一方、認知科学の ReCoNote Ⅱでは、他人の 資料 について も自分が作成 してまとめ、自分の概念地図内に自分の担当資料 を中心 として作成するタイ プが多かった。4割の学生は担当資料に関連する資料をすべて自分なりの視点でまとめて配置する活動 がみられ、残 りの学生 も、授業申説明しあつた学生のノー トしか引用 しなかった。そのため、全体としては 関連付けたノー トの65%、 79件 は自分がまとめたノー トで構成された。このように、この授業では、他人 の資料に関 しても自分の資料内容と合致する部分のみ引用 して構成するという、「自分担当中心関連付け 活動」が起 きていた。

4‑1 関連付け元の資料の作成者の違い

次 に、関連付けの コメン ト内容 を分析 したのが以下の表4‐2で ある。問題解決論のReCoN6teと 学習科学 ReCoWebの リンクデータは、コメン トの内容が研究例間で重複 したものであった場合は除外 して数え た。また学習科学の ReCoNote  Ⅱのデータは 14人 分の概念地図データから、コメン トが付いていたリンク のみを数えた。結果、俯跛的に様々な関連付けを考えていた2授業 と、担当資料中心 に関連付けた授業 と の差は見 られず、む しろ授業 目的が リンク内容の差 に繋がつていた。問題解決論 と認知科学 2で は、複数 の資料 を基に、その領域で言われている重要な理論 を抽出することを求めていた。そのため、関連付け活 動 に差は見 られたが、両授業 とも多 くの「研究成果か ら得 られた共通の認知的特徴」を抜 き出すことがで

77

4‐抜 き出された特徴の内容

問題解決論 学習科学 認知科学2

研究成果 か ら得 られた共通 の認知的特徴 37 19 59

具体的な活動、実験内容での繋が り 5 36 13

その他「同じである」「形式が同じ」など 2 0

(12)

きていた。また、学習科学では、教育実習経験 と理論 をつなげることを求めていたため、みんなの経験 を理 論 と結んでい く活発な活動が起 きていた。このことか ら、関連付け活動の タイプによつて、授業 目標の達 成度に差が出て くることはないことが示唆 される。しか し、認知科学 2で は、自己中心的なまとめ方で偏 りが見 られ、他2授業では、リス トアツプされているものの、統合的にまとめ られている訳ではなかつた。

そのため、この 2タ イプの関連付け活動 を効果的に組み合わせ る必要があると考えられる。

以上 より、問題解決論での ReCoNoteと 、学習科学でのReCoWebでは、盛んにシステム上で相互参照 吟味 を行 う協調的な活動が起 きていた。さらに裏付 けるデー タとしては、問題解決論の ノー ト参照 ログ データを見ると、自分の担当資料 ノー ト以外の、他 グループのノー トを参照 していた数がt全体の9割 上っていたことも明 らかになっている。一方認知科学 2の ReCoNote Ⅱでは、他人が担当 していた資料 に 関 しても自分の概念地図内に、自ら作成する活動が多 く見 られた。そこでは他人のノー トとリンクを繋げ ていた場合で も、授業中に説明 し合ったメンバ■のノー トを引用 している場合がほとんどだつた。このこ とか ら、ReCoNote Ⅱでの利用は、相互参照 よりも、授業中に互いに説明 し合つた協調活動の成果 を、自分 な りにまとめてい く、知識統合支援の場 として働いていた可能性が高い。

4‑2.知識統合活動の事例比較

次に、各授業か ら具体的な学習者の活動事例 をあげ、協調的な知識統合型授業での関連付け活動が、後 の最終 レポー ト(又はインタビュー内容)に どれだけ影響 を与えていたのかを分析 した。

ReCoNote(グループA)

最終 レポー トはグループ単位での提 出 としたため、その中か ら評価の高かったグループの レポー ト内 容 と作成 した相互 リンク内容 を分析 した。グループAは17個 の リンクを作成 し、関連付けた資料は 11資 料で、授業で扱 つた各グルァプの殆 どの資料 との間にリンクを作成 していた。その内、最終 レポー トでは 9つの資料 を明示的に言及 しなが らレポー トを作成 していた。レポー トは、まず相互 リンクで作成 した内 容 を中心 として、4‑3で示 した繋が りについてリス トアツプ的に記述 し、最後に人の問題解決システムに ついてまとめて論述する形であつた。しか し、最後 に統合 して論述する場面では、具体的な資料の引用は 見 られなかつた。ReCoNote自身は特 に最終 レポー トをまとめるための機能を提供は していなかつたが、

作成 した相互 リンクを元に、ノー ト部分に内容 を書 き直す活動が起 きていた。このように、俯腋的な関連 付け活動によつて見つけた「繋が り」を列挙 した上で全体をまとめるという知識統合活動が起きていた。

より統合的なまとめに向けて、個々のリンク内容をより統合 してい.く ために、ReCoNote Ⅱのような概念 地図作成などの支援が必要であることが示唆される。

4‐最終 レポー トでリス トアツプしたリンク繋が りの内容

猿 とバ ナナ問題 (担当資料 )と ハ ノイの塔 のつ なが り 9点問題のつなが り と覆面計算のつなが り 猿 とバナナ問題 (担当資料)

猿 とバ ナナ問題 (担当資料)

4枚カー ド問題 とハ ノイの塔 のつ なが り 胃癌 問題 と川渡 り問題 のつ なが り

チ ェ ッカーボー ド問題 と9点問題 のつ なが り

チ ェ ッカーボ=卜問題 、9点問題 、ルーチ ンスの水がめ問題 のつ なが り

(13)

協調学習支援 システムにおける相互作用支援 と知識統合支援

ReCoWeb(学習者 S)

システム内に多 くのリンクを作成 していた学哲者Sのリンク内容 と最終 レポー トを分析 して評価する

(益,2005)。 最終 レポー トは、自分の教育実習経験 を中心 として、授業で扱った実践研究 (ⅥSE,IBD

2プロジェク ト)を 明示的に示 し、そのプロジェクト内の具体的な事例 も引用 しながら論述 していた。

レポー ト内容は「学習者中心」をキー概念とし、そのサブ概念として、授業テーマを日常の生活に置き換 えて考える点と、協調的な活動の重要性の 2つ を取 り上げてまとめていた。

79

表 颯 学習者Sの リンクか ら得 られた条件 と反映具合 リンク作成によってSが抽出 した条件

協調活動 を積極的に行 う

他 人の意見 との交換 で深める

問題 を 日常的 な ものに してい く

経験則 に自分達で工夫 して作ってい く

教師は子供に考えさせあまり出て行かない

× 外化をうまく利用しお互いに理解を深める

× 考えを持 って、グループにぶつける

× 子供が取 り掛か りやすいものが授業の導入がすんなりいく

× 外化は他に個人の頭の中の吟味にも発揮する

4‑2 学習者 SのReCoWebリ ンク繋が り と反映具合

学習者Sは ReCoWeb上では20個 の リンクを作成 し、その リンクコメン ト分析から9つの条件 を抽出 したことが分かった。しか し、その条件をレポー トに反映 したのは内 5つ で 5筋 だった (表,○印が反 映 された もの)。 4‐2は 、Sが ReCoWeb内に作成 した リンクの繋が りを示 したものである (内、点線 リ ンクは レポー トに反映されなかった繋が り)。 リンク作成活動は担当実践研究を中心に行われていたこと がわかる。しか し、レポー トヘの反映を見ると、主に教育実習 と担当実践研究の間のリンクから抽出 した 条件が多 く、偏 りが見られた。例えばレポー トに反映されなかった条件の「外化」は教育実習と関連付け られていなかった。また、基礎研究を明示的に引用 して論述することはなかった。このように、俯隊的な 関導付け活動により、多 くのリンクが作成された一方、最終レポー トまでは全て反映されなかった。相互 作用支援で抽出 した活動成果 を、レポー トレベルまで知識統合支援する必要性が見え、その点では ReCoNote同様にそこまで強力ではなかった。

ReCoNote‖ (学習者K)

ReCoNoteⅡ を活発に活用 しながら自力構成を行った学生Kについて、詳細な知識統合プロセスを追つ た。また、学習科学研究チームのプロジェク トの一環 として、授業終了後半年後に、どのようなことを2 年生までに学んできたのかを問うインタビューが 10人程度を対象として行われたb学Kについてその インタビューデー タを合わせ て分析す ることで システム内に作成 した内容 との対応 を見 る (益&三

,2004)。

学生KはReCoNoteIIに 28個ノー トを作成 した。また、それ らのノー トを計71回書 き直 していた。最終 的 には4つの他 人の ノー ト引用 を含めた14個の ノー トを使 い概念地図の まとめを完成 させ た。概念地図 には担当領域11資料が全 て含 まれていた (図 33)。

授業終了7ヵ 月後、授業履修者 7名 を対象として事後インタビューを実施 した。インタビューは授業実

(14)

践者 と 1対 1で 行 なわれ、入学 してか ら現時点 までに認知科学 について学んだ内容 を最初は自発的に、そ して徐 々に段階的にヒン トを与えなが ら聞 き出 した。学生Kのインタビゴー時間は70分で、対象授業に 関する発話部分は40分だつた。事後 インタビューの発話内容 を書 き起 こして 495行 の言語記録簿を作成 し、授業7カ 月後の保持内容 を分析 した。また、ReCoNoteⅡ のシステムログ記録 とインタビューの内容 を 対応 させて分析 し、学生Kの協調活動 による知識統合の変化か ら学習成果を追つた。

個々の資料についての発話、統合的にまとめた内容の発話 をプロ トコルか ら抜 き出 して評価 した。結果、

11資 料中8資料がインタビュこで自発的に出てきてお り、特 に知識発達の領域に関 しては全ての資料につ いて言及 していた。統合的な発話に関 しては「人はどういう風 に賢 くなってい くの?」の問いかけに対 し、

資料 を読む以前の自分の考え方 と対比 させ なが ら、子供の成長 について学生 自身な りの統合的な説明が で きていた。これ らより、授業7カ 月後 において も授業内容についてかな りの部分 を保持 してお り、さら には統合的にも説明することができていた と言える。

次 に、ReCoNoteII上 にまとめた概念地図 と事後 インタビューの内容の対応 を分析 した。システム上に 11資 料の各 まとめ と、各資料同士 を関連付 けた 10個 のコメン ト付 きリンクを作成 していた。この10 個のコメン トとインタビューでの言及の対応 を分析 した結果、全ての コメン トに対応 した発話が見 られ、

システムにまとめた内容の保持の強 さが示 された。このインタビュー時には ReCoNoteIIを 参照 していな いにも関わらず、概念地図をベースとした話が展開されたのは興味深い。この分析か ら、協調活動 とシス テムヘのまとめ活動 を繰 り返 しなが ら構成 した内容が7カ 月後 にも保持 されてお り、さらにはシステム上 にまとめた時点 より統合を進めた形で語ることがで きるようになつていたことが分かつた。さらには、学 Kはインタビューの中で、授業中他人に説明する機会や他人か ら説明を受ける中で吟味活動が起 き、理 解深化 を進めていた過程 を自ら詳細 に言及するなど、協調活動 による知識統合の有効性 を示唆する発言 が多 く見 られた。

以上 より、この授業での支援 システム上での関連付 け活動は担当資料中心 とした偏 った統合活動 を起 こしていたが、授業中互いに説明 し合 つてまとめた成果 を支援 システム上で自分な りに概念地図を構築 してい くことは、約半年後の定着にも強 く影響 してお り、他の2支援 システムと比較 して、強力に知識統 合活動 を支援 していたといえる。

5.ま とめ

本論文では、協調的な知識統合型授業の中で特に重要な「関連付け活動」において、協調学習支援 シス テムの支援機能の特徴 に深 く関わつていることを明 らかにした。そこでは、以下の 2点 に関連が見 られる ことが分かった。

1.相 互作用支援 を重視する支援 システム :各 資料 を俯蹴的に吟味する活動 を促進

2。 個人の知識統合支援 を重視する支援 システム :特 定資料中心的な知識統合を促進

授業内で期待 している関連付 け活動は、様 々な視点か らの比較参照吟味活動である。その中で、相互作 用支援 を重視す ることで、各資料 を俯隊的に吟味 して関連付ける活動 を促進 し、知識統合支援 を重視する

ことで、特定資料中心 とした関連付け活動 を促進 させ ることができていた。この点か ら考察すると、より、

様々な視点で資料同士のつなが りを吟味 した上で、さらには、自分 自身な りの知識統合活動 を起 こしてい くためには、この 2点 の支援 を上手 く組み合わせた授業デザ インと、支援 システムのデザインを考えてい く必要があるだろう。

表 31  システムの特徴

参照

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