篭
熊本大学大学院生命科学研究部教授
精神科における
精神看護専門看護師宇 │左美しおり
火Iタミ ,;4部附賊病院ならびに桜ケ丘病院にて桁神石I渡CNS(非常勤)。
1997〜2001年兵Il1fリIいIf行I巡大学行1通学部勤務。1997〜2001年光愛病 院行I巡部CNSJI輔助。2001年熊本大学脹疲技術短期大学部;稀畔科教 授。2004イド熊本大学医学部保健学科数授。2008年より現職。現在,熊
支援・地域支援
1986年熊水火')4教育学部怖別数科(行I巡)教典鎚 成,MM礎卒業。1998年聖路加行機大学大学院修l釧 縄(行,波学修t)。1988〜1993年長谷川病院にて CNSとして勤務。1997年;行,謝沖ドヒ(節8)分取得。
1997〜2001年兵Il1fリIいIf行!池大学耐巡学部勤務。1(
率
謬圭
諺新連載
現在,11本においては,医療・検fIf技術の 商度化,期'11分化が進み,さらに,人院''1心 の│策療・ケアから,在宅の場を''1心とする│矢 療・ケアへの移行が推進されており,入院 ベッド数は年々減少している。また,悪性新 411ミ物,脳血椅疾懇,心疾患が死│ノ〈│の'2位3位 を占めており,病気や治療をコントロールし,
瓶気や治療と付き合う必要がある慢'││§疾患が 急蛸してきている。
加えて,生活料悩病の1伽│に伴い,リiii気が In度化し医療やケアが頬雑になってきている。
このような''1,|クミ旅荷や行謹朽の燃え尽き現 象や,うつ状態に椛旭する人の数も贈え,医擁 や府,雀ケアの質の低1くが│川越になっている!)。
さらに近年,11ノkにおいて,年│H1約3.3ノノ
地域連携入退院支援Vol、5No.1−85
日本の精神医療・精神看護の現状と課題,
地 域 生 活 移 行 支 援 の 実 態
本迎城では,6同にわたり「州1刑'科におけ る地域生活移行支援」の現状や課題,推進し ていくための支援方法や支援システムについ て述べていく。節llIIIでは,「'1本の粘神医 療・粘神行准の4,l状とI洲辿」「地域ノ│ミ活移行 支援の意義と砿塑性」について述べる。
1 塁 b i 日 本 の 精 神 医 療 .
精神看護の現状と課題
凸精神疾患患者の増加
人の''1殺者があり,n殺率の上昇は社会問題 となり,厚生労働省は自殺予防のためのさま ざまな取り組みを始めている。
I'│殺の原│天lとしては,健康問題(649%)が 雌も多く,次いで気分障詳によるもの(43.8%)
となる。2008年の厚生労働省の「患者調査」
によると,1996年には43.3万人だったうつ 病を含む気分障害の総患者数は,2008年に は104.1万人と,12年間で24倍に増加して おり,健康│H1題に伴ううつ状態や不安状態の IIL期発兄,結神状態の悪化の予防,うつ病患 苦の医瞭機関への受診が進められているもの の,成功しているとは言い難いことが報告さ れている2)。
一方,身体疾想で入院している患者の中に は,抑うつ,不安,適応障害などを韮し,早 期の粘神的支援が必要な患者が存在し,悪性 ル跡を持つ蝋帝では約20〜40%,冠動脈疾 旭怨群では16〜23%,糖尿病患者では8.5〜
27.3%,血液透析怨考では6〜34%,SLE患 行で20〜25%,慢性関節リウマチ患者では 13〜20%と言われている。また,身体疾患 蝋皇ij'f(悪性I匝癌や血液疾態,腎。肝疾患など)
の約6削が, '1等度のうつ状態や不安を持っ ていることも報杵されている3,4)。
図 1 精 神 疾 患 に よ る 在 院 期 間 別 推 計 入 院 患 者 数
■10年以上
■1年以上5年未満
■5年以上10年未満
■1年未満
9.4 (人)‑
3 0 J , 、 フ ト ' 4 ‑ 8 . 8 ‑ 8 列 一 │ ア . 3 '
一一一‑‑‐−4.7….4.5.
20−4鶴6−̲堂二一原雲司−−−−
10.2 9.7 9.1 9.8
8.7 10
9.6 10.7 11.2 12.2 11.フ
、 19961999200220052008(年)
陣生労働省患者調盗(2008年)
また,うつ状態やうつ病の契機となるH{来 撫の第1位は,身体疾患,第2位は生活上の 出来 Ifであることが明らかとなっているが,
身体疾患を付した際に,どのように適応障害 やうつ病の'Tl期発見と介入ができるかは,粘 神疾患の予防において非常に重要であると言 える。
、精神障害者の入院期間の長期化
態脅の精神状態の悪化の兆候は,24時│州患 行の身近にいる看護師によって察知されるこ とが多いが,医療の高度化・複雑化,、ド均在 院「I数の減少に伴い,看護師にもゆとりがな くなり,患者の精神状態の悪化を早期に把握 し,適切な精神的支援を提供することが困雌 になってきている5)。すなわち,患者の些細 な変化を早期に把握し,適切なケアヘつなげ たり,不安や抑うつ状態を呈する患者に精神 的ケアを提供できたりするエネルギーや精神 的余裕が少なくなっていることも,患者の結 神状態の悪化の早期発見を遅らせる要因と なってきている6)。
一方,11本の精神障害者の、F均在院'1数は 298.4F1と世界の「'1でも長い。精神科病院入 院患者数の内訳は,入院期間1年未満の忠蒋 が40%(長期入院予備群),入院期間1年以
B 6 − 地 域 連 携 入 退 院 支 援 V o l 5 N o 、 1
kの旭行が60%となっており,人院期間が lイド/│と洲の忠仔の''1には,退院後3カノ1未満 でlIj入院を繰り返す辿荷,入院期間が3カ月 以上の忠仔でIIrめられている。また,入院期 間l年以'二の忠荷には,1年以上5年未満が 約30%,5イi皇以上10イf未満が10%,10年以 上が20%と,長期入院蝋行の数はまだ多い (図1)。
現イlミ,桁;I│'灰療においては病院の機能分化 が促進され,急性期治療病棟やスーパー救急 の病棟数が蛸え,桁神障fi淵の退院促進・地 域ノ│折支援が祇要視されている。しかし,退 院後期1川H1でのIIj:入院や瞳期人院となりやす い蝋仔,腿期入院忠荷も多く,粘神障害肴の 退院促進や地域での生活支援が効果的に進ん でいるとはI帝い難い7)。また,人院怨者には,
統合失洲リii遡行に力││え,I怖齢社会を反映して いると高えるI細Iソii遡行も期えてきている。
さらに, '水においては│矢師不足や医療の 地域絡維が社会│川越となり,全l‑R1的に医師養 成数の剛川咲旅における多職祁lHjでの役割分 }11やチーム医療の推進などが行われている8)。
ロ結神看護専門看護師の育成
このような状況をlIIl避するため,1−1本看護 協会は,1994年に(WIj石護師制度(Certified
NurseSpecialist:CNS)を発足させ,疾病構
造の変化,W'脈病やI細iIllE,心疾患,悪性腫 甥などの慢I嫉忠の1剛'1,医療経済の変化に伴 う入院'1数の減少と医療技術や診断技術の商度 化・複雑化,医療におけるニーズの多様化に対 応すべく,尚度石謹実践家の養成を始めた。
1本においては,1980年以降,宥誰系大 桝こ力Ⅱえ,人学院は159校と急期している。
その''1で,,前度行誰実践家である秤''11石誰師 を育成する大学院数は,68大学院,172教育 柵Iilである。呪イ│ミ,795人の〔Ijii'11万謹師が存
イI2し,粘神行謹('j〔liIj稀伽liは116人,また,
11本粘神稀准技術協会i認定の認定森,伽liも剛 川してきている。
附沖'1行稚(jIj[│IIj行謹師は,病棟や病院でケア
│水I雌になっている忠朽へのiII[接ケア,治療 チームヘのコンサルテーション,治療やケア の面を向上させるための教育や研究,倫叩的 な問辿に対・する洲幣機能をイiしている。弊''11 希護師の成果については,野末や'if佐芙らの 研究報杵がある。
この研究においては,《WIj呑護師が,身体 疾忠をもって粘神状態が一時的に不安定に なった忠荷や適応障群の懸行,悪性l匝賜で治 療効果が得られない鯉行,慢性疾患のコント ロールがうまくいかない怨荷,粘神科病院で 長期入院や亜症化した恕行を対象とし,病状,
11常ノlミ活,心理社会的側面,家族関係などの 側面から包括的にアセスメントし,精神療法 や症状鴛理,|│常ノ│皇活のIIj椛築,家族瞭法,
治療チームヘのコンサルテーションを行うこ とで,忠荷の身体状態の恕化の予防,粘神状 態の悪化予防,合併症のM肌狐嘆の減少,粘 神障群街の長期入院の予防,雁症と考えられ ている粘神障害荷の退院促進と地域生活の促 進,治療チームのケア技法の向上が兄られた
ことが搬杵されている9〜17)。
このように,IWIl行I准師は,懸荷の病気や 治療との共倖を助け,忠行らしいノk活の復ノヒ,
忠行にとってのノlミ活の画を向kさせるための 治療とケアを医師と協働して提供している。
しかし,(W1行I准師数は少なく,医療やケ アの充実を図るには不卜分であり,また,多 くの病院や施設における宥測lliの状況は在院
││数の卿縮化と医療の,I ;i度化・複雑化,合併 症の蛸加により,多忙を極める。このため,
患者の疾病の│リ燃や11桃予防,地域ケアの促
進,怨仔と向き合いながら治療やケアを催開 することが困難になってきている。
《侭精神障害者の退院支援に
関する行政の取り組みと課題
M1ミ労側衿は,2003年度から精神障害者 退院促進支援 j『業を開始し,2004年度には 実施対象地域を拡大している。また,2005 年度には,セーフティネット支援対策補助金,
2006年度からは障害者自立支援法の施行に 伴い,都道府県地域生活支援事業が実施され
るようになった。
M│臭労働行は,2008年度に受け入れ条件 が盤えば退院可能な精神障害者の地域移行支 援として,新たに「精神障害者地域移行支援 特別対策事業」を実施し,精神障害者の退院 促進や地域定蒋に必要な体制整備の調整,地 域体制整備コーディネーターの配置を行って いる。また,障害者自立支援法で義務付けら れている第二期障害福祉計画において,2011 年度末までの退院者数およびこれに伴う指定 障祥福祉サービスなどの見込み最について,
'二I標仙の設定を行っている'8)。
このように,退院促進支援事業は広がり,
医療施設や地域との連携,地域の受け入れ体 制の強化を│̲I的として,2008年度には地域移 行推進且が地域に殿かれ,地域体制整備コー ディネーターが設けられた。また,ピアサ ポートの活川,地域の支援体制の課題を地域 で共有し解決できるよう,自立支援協議会の 活川などが促進されている。
しかし,地域移行支援事業が活発化する一 方で,その‑ 11:業内容や予算は自治体によって 異なっている。精神障害者地域移行支援特別 対策聯業の概要を図2に示す。
また,ハ」〔生労働省は,2011年度より「鯖
地域連携入退院支援Vol、5No.1−87
《 迩 鐸
出 典 : 厚 生 労 伽 省 資 料
〉
精 神 科 病 院
精神障害者地域移行・地域定着支援
②平成23年度予算:665,308千円
③実施主体:都道府県,指定都市
⑳補助率:1/2
事業の目的「地域を拠点とする共生社会の実現」 事 業 精神障害者が住み慣れた地域を拠点とし,本人の意向に 即して,本人が充実した地域生活を送ることができるよ う関係機関の連携の下で医療,福祉等の支援を行うとい う観点から,従来の地域生活への移行支援にとどまら ず,地域生活への移行後の地域への定着支援も行う。
算:66
地 域 生 活
精神障害者の地域生活に 必要な事業(例示)
日中活動の場
・自立訓練(生活訓練)王
・就労移行支援.就労継続t
支 援 て
・地域活動支援センター町市
等票整
住 ま い の 場 備
・ グ ル ー プ ホ ー ム . す
ケ ア ホ ー ム 等 喜
と
。 相 談 支 援 事 業 を
・居住サポート事業 想定
° ピ ア サ ポ ー ト 等 、 ‑ 〆
地域への定着支援
■ 訪 問 診 療 ● 家 族 支 援
● 若 年 者 の 精 神 疾 患 の 早 期 発 見・早期対応
■地域住民の理解の促進
唖j語
福 祉 施 設
│ 福 鍵 型 I
宥謹においても,粘神障祥行の退院促進や 地域生活移行支援に関する研究は増えはじめ ており,病院における忠荷のセルフケアや症 状筏即の促進のためのケア,病院でのケアと 地域資源との連携を強化したケア・マネジメン トに関する研究,クリティカルパスを川いた退 院促進,訪問呑護を'''心とした退院後の支援体 制の充実が,粘神│鴫¥者の地域′'三活への移行 を推進していることも拙」テされている'7#'8)。
また,総合病院における粘神状態の悪化予 防のためのリエゾン粘神肴護専''11看護師を中 心とした取り細みも噸え,身体疾怨忠者のう
− 、
地域生活への移行支援
●必要な体制整備の総合調整
●利用対象者に対する退院への 啓発活動
退院に向けた個別の支援計画 の作成
● 院 外 活 動 に 係 る 同 行 支 援 等 図 2 精 神 障 害 者 地 域 移 行 支 援 特 別 対 策 事 業 の 概 要
88−地域連携入退院支標Vol、5No.1
一︐
働 き か け
且
神障裸荷アウトリーチ推進事業」を推進し,
未治療や治療中断している精神障害者に保健 師,看護師,精神保健福祉上,作業療法士な どの多職種から構成されるアウトリーチ(訪 問)支援を行うことにより,新たな人院およ びIlj:入院を防ぎ,地域生活が維持できる活動 を試行的に実施し,いくつかの自治体が取り 組みはじめている。
以上のように,厚生労働省,各自治体は,
精神障害者の退院促進や地域生活を積極的に 推進しはじめており,日本精神神経学会の調 盗においても,全国の退院者数は,少しずつ ではあるが贈えはじめている。まだ,明確な 成果は示されていないが,名実共に精神障害 荷の地域生活移行支援は進みつつある。
Z
働きかけ 。訪問看護
その他活用可能な社会資源
L
曲精神科看護者に
必要とされる実践
賀補助金医療技術評価総合研究事業研究報告課,2002.
7)宇佐美しおり:長期入院となりやすい精神障害者へ の修正版集中包括型ケア・マネジメント(M‑CBCM)の 評価に関する研究,看護研究,V01.44,No.3,R318〜
331,2011.
8)厚生労働省:医師及び医療関係職と事務職員等との 間等での役割分担の推進について,医政発第1228001 号,2007.
9)宇佐美しおり他:日本におけるCNS等の機能とその 役割についての研究,平成9年度厚生省看護対策特別 事業研究報告書,1998.
10)宇佐美しおり他:精神看護専門看護師の直接ケア技 術の開発及び評価に関する研究一第1回,看護,Vol、55, No.12,R67〜74,2003.
11)宇佐美しおり他:精神看護専門看護師の直接ケア技 術の開発及び評価に関する研究一第2回,看護,VbI55,
NQl3,R76〜81,2003.
12)福田紀子他:精神看護専門看護師の直接ケア技術 の開発及び評価に関する研究一第3回,看護,Vol、55, No.14,R78〜85,2003.
13)福田紀子他:精神看護専門看護師の直接ケア技術 の開発及び評価に関する研究一第4回,看謹,Vol、56, No.l,R86〜94,2004.
14)片平好重他:精神看護専門看護師の直接ケア技術 の開発及び評価に関する研究一最終回,看護,Vol、56, No.2,R84〜87,2004.
15)野末聖香他:精神看護専門看護師によるコンサル テーションの効果,看護,Vol、56,No.3,R70〜75,
2004.
16)宇佐美しおり他:精神障害者へのAsselTiveCommunirty Treatment(ACT)の評価に関する研究一ケースマネ
ジメントにおける精神看護専門看護師の役割,熊本大 学医学部保健学科紀要,Vol、6,P、85〜98,2010.
17)宇佐美しおり他:病状が不安定な精神障害者の自立 支援における退院支援ケア・パッケージを含む集中型 包括型ケア・マネジメントモデルの開発,インターナ ショナル・ナーシングレビュー,Vol、32,No.1,R88〜
95,2009.
18)井上新平,安西信雄,池淵恵美:精神科退院支援ハ ンドブック,R167,医学書院,2011.
引 用 ・ 参 考 文 献
l)増野園恵:日本の病院における労働環境の現状と課 題,看護研究,Vol、40,No.7,R43〜49,2007.
2)社会・援護局障害保健福祉部,精神・障害保健課,
厚生労働省:自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム とりまとめについて,2010.
3)千田要一他:「うつ」と身体疾患,臨床精神医学,
Vol35,No.7,R927〜933,2006.
4)秋月伸哉他:がん患者の精神症状とその早期発見,
医学のあゆみ,Vol,25,No.12,R898〜902,2003.
5)宇佐美しおり他:精神看護専門看護師の活動の効果 に関するプロジェクト平成14〜15年度,社団法人日 本看護協会,2002.
6)野末聖香他:精神看護専門看護師の直接ケア技術の 開発及び評価に関する研究,平成13年度厚生科学研究
地域連携入退院支援vol5Nol−89
つ状態の改善や精神状態の悪化予防に貢献し ていることも明らかとなってきている。
このような取り組みが,患者のケア満足度,
日常生活・社会的機能を高め,患者および家 族のQOLを改善し,患者の地域での生活期間 を長くしていくことが報告されてきている。
その一方で,このような取り組みが一般化し ているとは言い難く,病院や地域による取り 組みの姿勢や方法が患者の成果に影響を与え ている。
本連載では,これらの課題を解決する方法 について紹介する予定である。
次回は,地域生活移行支援におけるチーム医 療と看護者の役割について述べる予定である。