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袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負

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(1)

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負

佐 担

淳 平

は じ め に 本 稿 は

︑ 試 宣 統 三 年 預 算 案 に 見 ら れ る 東 三 省 へ の 傾 斜 配 分 と 江 西

・ 安 等 省 の 過 重 な 財 政 負 担 と い う 財 政 配 分 の 特 徴 が

︑ 辛 亥 革 命 や 塩 務 稽 核 所 の 設 置

︑ 国 地 画 分

( 国 税 と 地 方 税 の 区 分)

を 経 て

︑ ど の よ う に 変 化 し た か を

︑ 袁 世 凱 政 権 期 に 編 成 さ れ た 預 算 を 手 掛 か り と し て 明 ら か に す る も の で あ る

(

)

︒ 横 山 宏 章 氏 は

︑ 辛 亥 革 命 を 「 奇 妙 な 分 権 的 革 命 」 と し て

︑ 当 時 の 多 元 的 政 治 状 況 を 説 明 し て お り

︑ 筆 者 も 財 政 史 に 於 い て

︑ 各 省 の 税 収 額

︑ 税 収 の 構 成

︑ 解 款

(

地 方 か ら 中 央 へ の 送 金)

の 負 担 額 と い っ た 差 異 を 充 分 に 考 慮 し

︑ 多 元 的 政 治 状 況 に 即 し た 理 解 を す べ き だ と 考 え て い る

(

)

︒ 周 知 の 通 り

︑ 中 国 の 各 省 は 経 済 の 構 造 や 規 模 が 相 当 程 度 異 な っ て お り

︑ 国 地 画 分 に 伴 う 田 賦 の 国 税 化 や 塩 務 稽 核 所 の 設 置 に よ り

︑ 中 央 政 府 が コ ン ト ロ ー ル で き る 財 源 が 多 く な る こ と は

︑ 補 助 金 の 増 加 に つ な が る こ と か ら

︑ 受 協 の 省

( 受 け 取 る 補 助 金 の 額 が 中 央 や 他 省 へ の 送 金 額 を 上 回 っ て い る 省)

に と っ て は む し ろ 好 ま し か っ た こ と が 想 定 さ れ る

︒ こ う し た 財 政 上 の 要 因 は

︑ 一 連 の 討 袁 戦 争 の 際 に 各 省 が 北 京 政 府 に 対 し て と っ た 態 度 に 少 な か ら ず 影 響 を 与 え た と 考 え ら れ る

︒ 従 っ て 本 稿 で は 国 地 画 分 や 塩 務 稽 核 所 の 設 置 と い っ た 中 央 の 財 政 政 策 が 地 方 に 与 え る 影 響 を 各

第 九 十 六 巻

一 五 三

(2)

省 の 立 場 に 注 目 し な が ら 叙 述 す る こ と を 試 み る

︒ 国 地 画 分 に 関 し て は 既 に 金 子 肇 氏 や 張 神 根 氏

︑ 趙 雲 旗 氏 等 を は じ め 多 く の 研 究 が 積 み 重 ね ら れ て い る

(

)

︒ し か し

︑ こ れ ら の 研 究 で は

︑ 財 政 負 担 が 多 い 省 を 「 地 方 」 と 暗 黙 の 裡 に 規 定 し

︑ 中 央 と 「 地 方 」 の 財 源 を め ぐ る 対 立 と い う 構 図 を 採 っ て お り

︑ 多 元 的 政 治 状 況 に 即 し た 分 析 に は な っ て い な い

︒ ま た 中 央 政 府 に よ る 財 政 の 近 代 化 に 主 眼 が 置 か れ て い る た め

︑ 国 地 画 分 の 取 消 を 近 代 化 の 失 敗 や 「 地 方 」 に 対 す る 妥 協 と と ら え る 傾 向 が 強 く

︑ 取 消 後 に 関 す る 言 及 が 少 な い と い う 問 題 点 も あ る

︒ し か し な が ら

︑ 財 政 年 鑑 に よ れ ば

︑ 民 国 四 年 度 に は 各 省 の 解 款 と 専 款

( 印 花

・ 於 酒 牌 照

・ 験 契

・ 契 税 増 收

・ 於 酒 増 収 等 の 税 収 か ら 成 り 中 央 に 送 金 さ れ た)

の 達 成 率 が 各 々 八 十 二

% と 九 十 九

% に 達 し て お り

︑ 国 地 画 分 取 消 が 必 ず し も 財 政 の 弱 体 化 を 意 味 す る わ け で は な い

(

)

︒ そ こ で 本 稿 で は 財 政 近 代 化 の 達 成 度 で は な く

︑ あ く ま で も 各 省 の 財 政 負 担 の 変 化 を 考 察 す る こ と と し

︑ 財 政 負 担 が 少 な い 省 及 び 受 協 の 省

︑ 国 地 画 分 取 消 後 に 於 け る 各 省 の 解 款 の 負 担 額 の 変 化 に つ い て も 考 察 の 対 象 と す る

︒ 他 方

︑ 善 後 借 款 に 伴 う 塩 務 稽 核 所 の 設 置 に 関 し て は 岡 本 隆 司 氏 の 研 究 が あ る

(

)

︒ こ の 研 究 は

︑ 塩 務 収 入 を 善 後 借 款 の 担 保 に し

︑ 塩 務 稽 核 所 を 設 置 す る こ と で 実 質 的 に 塩 務 収 入 を 中 央 財 源 化 し て い く 過 程 に 注 目 し た も の で あ る

︒ し か し な が ら

︑ 本 研 究 の 重 点 は

︑ 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 が 各 省 に ど の よ う に 受 け 止 め ら れ た か を 明 ら か に す る こ と に あ り

︑ こ の 点 は

︑ 岡 本 氏 の 論 稿 に 於 い て 十 分 に 考 察 さ れ て い な い

︒ 民 国 期 の 財 政 を 検 討 す る に 際 し て は

︑ 史 料 批 判 や 制 度

︑ 数 値 の 実 質 性 に つ い て の 吟 味 が 不 可 欠 で あ る

︒ そ の 点 で

︑ こ の 時 期 の 預 算 案 の 数 値 の 信 憑 性 と 実 現 可 能 性 に つ い て は 問 題 が あ ろ う

︒ だ が

︑ 民 国 三 年 度 以 降 は 解 款 や 専 款 の 達

第 九 十 六 巻

一 五 四

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成 率 で 良 好 な 成 績 を 収 め た 点

︑ 預 算 案 が 政 府 公 報 や 新 聞 等 の 報 道 に よ り 知 識 人 の 間 に 流 布 し て い た も の で あ り

︑ 彼 ら の 議 論 の 対 象 に な っ て い た と い う 点 に 於 い て

︑ 検 討 の 価 値 が あ る よ う に 思 わ れ る

︒ 以 上 を 踏 ま え て

︑ 本 稿 で は 袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 案 を 手 掛 か り と し て

︑ 国 地 画 分 や 塩 務 稽 核 所 の 設 置 に 伴 う 各 省 の 財 政 負 担 の 変 化 と そ れ に 対 す る 各 省 の 反 応 を 明 ら か に し た い

︒ 第 一 節 袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 の 過 程 と 会 計 年 度 ま ず 預 算 の 分 析 に 入 る 前 に 袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 の 過 程 と 会 計 年 度 に つ い て 言 及 す る

︒ 一 九 一 二 年 五 月 の 「 財 政 部 行 京 外 各 衙 門 理 決 算 預 算 文 」 に よ れ ば

︑ 当 初 参 議 院 の 建 議 に よ り 清 宣 統 三 年 旧 暦 一 月 一 日 か ら 十 二 月 末 ま で の 臨 時 決 算 と 翌 旧 暦 一 月 一 日 か ら 新 暦 の 六 月 末 ま で と 新 暦 七 月 一 日 か ら 新 暦 十 二 月 末 ま で の 臨 時 預 算 を 作 成 す る こ と が 目 指 さ れ た

(

)

︒ し か し 実 際 に こ の よ う な 形 で 臨 時 預 算 を 作 成 す る こ と は 困 難 で あ っ た

︒ こ の 理 由 に つ い て 財 政 部 は ( 一 ) 会 計 年 度 の 未 定

︑ ( 二 ) 中 央 歳 入 と 地 方 歳 入 の 未 分 化

︑ ( 三 ) 借 款 が 未 だ 調 印 さ れ ず 歳 入 と し て 確 定 で き て い な い こ と

︑ ( 四 ) 内 外 官 制 が 未 定 で 財 政 系 統 が 明 晰 で な い こ と

︑ ( 五 ) 臨 時 支 出 の 範 囲 が 確 定 し て い な い こ と の 五 点 を 挙 げ て お り

︑ 国 務 院 と 参 議 院 の 折 衝 の 結 果

︑ 一 九 一 二 年 九 月 か ら 十 二 月 ま で の 四 か 月 間 の 臨 時 預 算 を 作 成 す る こ と で 決 着 し た

(

)

︒ し か し

︑ 実 際 の 臨 時 預 算 作 成 過 程 で は ( 四 ) の 理 由 に よ り 主 管 衙 門 に よ る 預 算 の 取 り ま と め に 混 乱 を き た し た こ と が 確 認 で き る

(

)

︒ ま た 一 九 一 二 年 六 月 か ら 京 外 各 衙 門 は 共 に 毎 月 概 算 書 を 財 政 部 に 提 出 す る こ と を 求 め ら れ て い た が

︑ そ の 方 法 は か な り 混 乱 し て い た よ う で あ り

︑ 実 効 性 に は 疑 問 が も た れ る

(

)

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 五 五

(4)

次 い で 民 国 二 年 の 預 算 は

︑ ま ず 一 月 か ら 六 月 ま で の 半 年 分 が 作 成 さ れ

︑ そ の 後

︑ 民 国 二 年 七 月 か ら 民 国 三 年 六 月 ま で の 預 算 が 作 成 さ れ る こ と に な っ た

(

)

︒ 会 計 年 度 を 七 月 か ら 翌 六 月 ま で の 一 年 間 と し た の は

︑ 六 月 と 十 月 の 田 賦 の 徴 収

︑ 端 午

・ 中 秋

・ 除 夕 の 商 人 の 決 算 及 び 省 議 会 を 正 月 に

︑ 国 会 を 二

・ 三 月 に 召 集 す る と い う 議 会 の 会 期 に 合 わ せ た た め で あ る

(

)

︒ ま た 民 国 二 年 度 預 算 案 の 編 成 は

︑ 各 省 の 都 督

・ 民 政 長 が 預 算 冊 を 項 目 別 に 在 京 主 管 各 部 に 送 り

︑ 各 部 が 部 の 経 費 及 び 所 轄 の 在 京 各 機 関 の 預 算 冊 と 併 せ て 詳 細 に 審 議 し た 後

︑ 財 政 部 に 送 り

︑ 総 預 算 を 編 成 す る と い う 手 順 で 行 わ れ た

︒ こ の よ う な 地 方 の 預 算 編 成 に 在 京 主 管 各 部 を 介 在 さ せ る 仕 組 み は

︑ 清 末 の 清 理 財 政 時 に は 見 ら れ な か っ た

(

)

︒ 一 方

︑ 民 国 二 年 度 預 算 を 編 成 す る 際 に 清 宣 統 四 年 度 預 算 を 参 照 し た よ う に

︑ 預 算 の 内 容 は あ る 程 度 の 連 続 性 が あ っ た と 考 え ら れ る

(

)

︒ そ の 後

︑ 一 九 一 四 年 三 月 十 二 日 に 公 布

・ 施 行 さ れ た 会 計 条 例 で は

︑ 会 計 年 度 を 七 月 一 日 か ら 翌 六 月 三 十 日 ま で と す る こ と を 明 文 化 し た ほ か

︑ 預 算

・ 決 算 等 の 手 続 き が 定 め ら れ た

(

)

︒ し か し

︑ 一 九 一 五 年 四 月 二 十 日 の 大 総 統 申 令 に 於 い て 中 国 は 昔 か ら 年 末 を 決 算 期 と し て お り

︑ 七 月 開 始 で は 経 費 の 分 配 や 預 算 の 実 行 に も 支 障 が あ る と の 理 由 で

︑ 会 計 年 度 を 一 月 か ら 十 二 月 ま で の 一 年 間 と す る 方 針 が 示 さ れ

︑ そ の 後

︑ 修 正 会 計 法 で 会 計 年 度 が 変 更 さ れ た

(

)

︒ 従 っ て

︑ 袁 世 凱 政 権 期 に 編 成 さ れ た 預 算 の 内

︑ 民 国 二 年 度 預 算 と 民 国 三 年 度 預 算 は 各 々 一 九 一 三 年 七 月

〜 一 九 一 四 年 六 月

︑ 一 九 一 四 年 七 月

〜 一 九 一 五 年 六 月 と い う 会 計 年 度 で あ る が

︑ 民 国 四 年 度 預 算 は 一 九 一 五 年 七 月

〜 一 九 一 五 年 十 二 月 ま で の 半 年 間

︑ 民 国 五 年 度 は 一 九 一 六 年 一 月

〜 一 九 一 六 年 十 二 月 と い う 会 計 年 度 で 作 成 さ れ た

︒ 以 上 の こ と を 踏 ま え

︑ 次 節 で は 袁 世 凱 政 権 期 に 編 成 さ れ た 預 算 案 を 手 掛 か り と し

︑ 各 省 の 財 政 負 担 を 国 地 画 分 と

第 九 十 六 巻

一 五 六

(5)

そ の 取 消 後 に 於 け る 各 省 の 歳 入 に 占 め る 解 款 及 び 専 款 の 比 率 に 注 目 し て 考 察 し た い

︒ 第 二 節 各 省 の 歳 入 に 占 め る 解 款 及 び 専 款 の 比 率 本 節 で は

︑ 袁 世 凱 政 権 期 に 於 け る 中 央 と 地 方 の 財 政 配 分 に 一 定 の 影 響 を 与 え た と 考 え ら れ る 国 地 画 分 と そ の 取 消 後 の 各 省 の 歳 入 に 占 め る 解 款 及 び 専 款 の 比 率 に つ い て 考 察 す る

︒ 国 地 画 分 は 各 省 国 税 庁 籌 備 処 が 設 置 さ れ た 一 九 一 三 年 一 月 か ら

︑ 各 省 国 税 庁 籌 備 処 が 財 政 庁 に 統 合 さ れ

︑ 国 地 画 分 が 取 り 消 さ れ た 一 九 一 四 年 六 月 ま で 続 い た

︒ 国 地 画 分 の 取 消 は し ば し ば 袁 世 凱 政 権 に 打 撃 を 与 え た と さ れ る が

︑ 前 述 の 通 り

︑ 必 ず し も 財 政 の 弱 体 化 を 意 味 す る わ け で は な い

︒ こ う し た 袁 世 凱 の 求 心 力 の 回 復 を 都 督 の 忠 誠 心 や 武 力 に よ る も の だ と す る 研 究 も あ る が

︑ 財 政 配 分 の 変 化 と い う 点 か ら も こ の 事 象 を 検 討 し て み た い

(

)

︒ 第

一 項 国 地 画 分 に 対 す る 各 省 の 立 場 の 違 い 国 地 画 分 は

︑ 光 緒 三 十 四 年

( 一 九

〇 八)

八 月 に 憲 政 編 査 館 と 資 政 院 が 会 奏 し た 「 憲 法 大 綱 議 院 法 擧 法 領 及 籌 備 事 宜 」 に 見 え る よ う に

︑ 籌 備 立 憲 に 関 連 付 け ら れ て 清 末 に は 既 に 構 想 さ れ て い た

(

)

︒ そ の 方 針 は

︑ 辛 亥 革 命 を 経 て 成 立 し た 中 華 民 国 政 府 に も 継 承 さ れ

︑ 一 九 一 二 年 五 月 の 参 議 院 に お け る 財 政 総 長 熊 希 齢 の 発 言 に よ れ ば

︑ 税 目 を 画 分 す る こ と に よ り

︑ 国 と 地 方 の 権 限 を 分 け

︑ 特 に 国 税 を 優 先 的 に 確 保 す る こ と が 目 指 さ れ た

︒ こ の こ と は

︑ 当 時

︑ 軍 事 費 増 大 等 の 原 因 に よ り

︑ 各 省 政 府 に よ る 截 留 が 頻 発 し て お り

︑ 中 央 政 府 の 財 源 が 不 足 し て い た こ と に 起 因

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 五 七

(6)

す る と 考 え ら れ る

(

)

︒ こ う し た 中 央 財 政 を 重 視 す る 姿 勢 に 対 し て

︑ 各 省 の 意 見 は 必 ず し も 一 様 で は な か っ た

︒ 盛 京 時 報 に よ れ ば

︑ 財 政 部 が 国 税 と 地 方 税 の 画 分 に つ い て

︑ 各 省 に 意 見 を 求 め た 際

︑ 江 蘇 都 督 程 徳 全 は 地 税

( 田 賦)

を 地 方 税 に す る こ と を 主 張 し

︑ 広 東 都 督 胡 漢 民

・ 湖 南 都 督 譚 延

・ 江 西 都 督 李 烈 鈞

・ 浙 江 都 督 朱 瑞 が こ れ に 同 調 し た の に 対 し

︑ 東 三 省 は 中 央 財 政 の 財 源 不 足 を 懸 念 し て 地 税 の 一 部 を 地 方 附 加 税 と す る こ と を 主 張 し た

(

)

︒ こ れ は

︑ 東 三 省 が 従 来 受 協 の 省 で あ っ た こ と に 加 え

︑ 省 の 歳 入 に 占 め る 地 税 の 割 合 が 低 か っ た こ と が 影 響 し て い る と 考 え ら れ る

︒ 表 一 は

︑ 宣 統 四 年 預 算 案 に 於 け る 各 省 の 歳 入 の 構 成 を 示 し た も の で あ る

︒ 宣 統 四 年 預 算 案 は 塩 務 収 入 が 中 央 財 源 化 さ れ る 前 の 最 後 の 預 算 案 で あ り

︑ 民 国 元 年 の 概 算

・ 民 国 二 年 預 算 を 作 成 す る 際 に 参 考 に さ れ た

︒ こ れ に よ れ ば

︑ 東 三 省 の 歳 入 に 占 め る 地 税 の 割 合 は

︑ 奉 天 十 一

︑ 吉 林 九

・ 七

︑ 黒 龍 江 十

・ 二

% で あ る

︒ 一 方

︑ 地 税 を 地 方 税 に す る こ と を 主 張 し た 江 蘇

・ 広 東

・ 湖 南

・ 江 西

・ 浙 江 は 各 々 十 七

・ 三

︑ 九

・ 八

︑ 二 十 九

・ 六

︑ 四 十 三

・ 八

︑ 二 十 七

・ 七

% で あ り

︑ 広 東 以 外 の 四 省 は 東 三 省 よ り 歳 入 に 占 め る 地 税 の 割 合 が 高 い

(

)

︒ ま た 広 東 は 歳 入 に 占 め る 地 税 の 割 合 は 必 ず し も 高 く な い が

︑ 従 来 受 協 の 省 で は な く

︑ 中 央 財 政 の 財 源 を 充 実 さ せ る こ と に よ る 受 益 は 少 な か っ た と 考 え ら れ る

︒ 最 終 的 に は

︑ 江 蘇

・ 広 東

・ 湖 南

・ 江 西

・ 浙 江 も 東 三 省 の 提 案 に 同 調 し

︑ 一 九 一 三 年 一 月 に 各 省 国 税 庁 籌 備 処 が 設 置 さ れ 国 地 画 分 が 開 始 さ れ た 際

︑ 国 税 と 地 方 税 の 区 分 の 根 拠 と さ れ た 「 釐 定 國 家 地 方 法 草 案 」 で は

︑ 田 賦 を 国 税

︑ 田 賦 附 加 税 を 地 方 税 と す る 形 で 決 着 し た

(

)

︒ し か し

︑ 実 際 に 各 省 の 国 税 庁 籌 備 処 が 国 税 事 務 を 接 収 す る 際 に も

︑ 奉 天

・ 吉 林

・ 雲 南

・ 甘 粛

・ 新 疆 等 で は 順 調 に 完 全 接 収 が な っ た の に 対 し

︑ 江 蘇

・ 広 東

・ 湖 南

・ 江 西

・ 安 等 で は 田 賦 の 接

第 九 十 六 巻

一 五 八

(7)

収 を 主 と し て 抵 抗 に あ い

︑ 「 第 二 革 命 」 に よ り 作 業 が 停 止 す る な ど

︑ 国 税 事 務 の 接 収 状 況 に 大 き な 差 が 出 た こ と か ら 主 張 が 通 ら な か っ た 省 で は 不 満 が た ま っ て い た と 思 わ れ る

(

)

︒ 一 方 で

︑ 民 国 元 年 及 び 同 二 年 は

︑ 解 協 款 の 達 成 度 が 著 し く 低 か っ た た め

︑ そ れ ま で 協 款

( 地 方 か ら 地 方 へ の 送 金)

を 受 け て き た 財 政 基 盤 が 脆 弱 な 省 を 中 心 に 財 政 状 況 が 悪 化 す る 事 例 が 見 ら れ た

(

)

︒ 例 え ば

︑ 一 九 一 二 年 十 二 月 の 雲 南 都 督 蔡 鍔 の 呈 文 に よ れ ば

︑ 雲 南 省 は 元 来 受 協 の 省 で あ り

︑ 戸 部 銀 庫 や 各 省 か ら 年 額 百 六 十 万 両 余 り の 補 助 金 を 受 け 取 っ て い た が

︑ 辛 亥 革 命 以 降

︑ 協 款 が 停 止 さ れ た こ と に よ り

︑ 深 刻 な 財 政 赤 字 に 陥 っ た こ と が わ か る

(

)

︒ 協 款 停 止 に 伴 う 財 政 状 況 の 悪 化 は

︑ 雲 南 省 以 外 に も 甘 粛 や 広 西 で 確 認 で き る

(

)

︒ 以 上 を ま と め れ ば

︑ 国 地 画 分 に 際 し て 田 賦 を 国 税 に 分 類 す る こ と に 関 し て

︑ 江 蘇

・ 広 東

・ 湖 南

・ 江 西

・ 浙 江 と い っ た 歳 入 に 占 め る 田 賦 の 比 率 が 比 較 的 高 く

︑ ま た 従 来 か ら 財 政 負 担 が 多 か っ た 省 を 中 心 に 反 対 意 見 が 出 た 一 方

︑ 従 来 受 協 の 省 で あ っ た 東 三 省 は 田 賦 を 国 税

︑ 田 賦 附 加 税 を 地 方 税 と す る と い っ た 中 央 財 政 に 配 慮 す る 案 を 提 出 す る な ど 各 省 の 立 場 に は 違 い が 見 ら れ た

︒ ま た 最 終 的 に 東 三 省 の 案 が 通 り

︑ 国 税 事 務 の 接 収 状 況 に 大 き な 差 が 出 た こ と か ら 主 張 が 通 ら な か っ た 省 で は 不 満 が た ま っ て い た と 思 わ れ る

︒ 次 節 で は こ う し た 財 政 配 分 の 傾 向 が 「 第 二 革 命 」 を 経 て 国 地 画 分 を 取 り 消 し た 後

︑ ど の よ う に 変 化 し た か を 考 察 す る

︒ 第

二 項 国 地 画 分 取 消 後 の 各 省 の 歳 入 に 占 め る 解 款 及 び 専 款 の 比 率 国 地 画 分 は 各 省 国 税 庁 籌 備 処 に 国 税 事 務 を 管 理 さ せ

︑ 中 央 政 府 の 財 源 を 安 定 的 に 確 保 す る こ と を 目 指 し た が

︑ 主

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 五 九

(8)

第 九 十 六 巻

一 六

表一宣統四年預算各省歳入分類表(単位:元)

省別/款別田賦塩課関税貨物税正雑各税正雑各捐官業收入雑收入合計

奉天19019402483541415784462084771094950141826617265018

110%144%241%360%63%82%

吉林11726012798649137567213015983107684131757683356156733512138652

97%231%113%107%256%11%56%129%

黒龍江592679152060213684097021661546425683375798618

102%262%236%121%267%12%

直隸485846778552276661468688068286782848120658713136064824998539

194%314%266%28%115%02%26%54%

順天1786382269212345213675

836%106%58%

江蘇109547472102203520163028599426411220135915001384056208387163315514

173%332%318%95%18%09%22%33%

安289507117069081385512503625731329910654984387811948

371%218%177%64%94%12%64%

山東745621025884933435982192972139860297982131712183529717137250

435%151%200%11%82%06%08%107%

山西5271716201924360679273779021007937376143622310319219

511%196%59%71%20%04%139%

河南78621134444835513122222463441957977483803012042370

653%37%46%185%04%07%70%

陝西3863049661983950090819128521464039668910975956928624

558%96%01%131%41%01%14%158%

(9)

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 六 一

甘粛410520251277253597527099974317479694732740796

150%92%01%356%36%12%354%

新疆425349294271981792730751209679175879111583067

269%19%125%172%01%43%371%

福建2000603163232032574461638850793270548354166257611533419

173%142%282%142%69%48%144%

浙江504615736094932231451418934055423560689834136197804418249754

277%198%122%230%30%33%02%108%

江西50590561081801641246283878685316325639459376619954211550133

438%09%142%246%74%22%51%17%

湖北23812222652876532975035018411482586656148632298360599020242711

118%131%263%173%73%32%31%178%

湖南3097012377888538108224826910763751354251131591247271110480526

296%36%51%215%103%129%126%45%

四川735807010082989904296285077637043671840462608274269834130047575

245%336%30%95%123%61%20%90%

広東34839878230443119603884234815186330320691141035827265281935530696

98%232%337%119%52%58%29%75%

広西743925851292152374013485252318321785011780316755816570776

113%130%232%205%35%03%179%103%

雲南10345592006250409293571995446559568053574036873395570203

186%360%73%103%80%10%64%123%

貴州471584204602513971086788004511777699091681209

281%12%150%65%05%30%458%

(10)

第 九 十 六 巻

一 六 二

熱河60109950035616092625720700147332911010

66%104%616%29%23%162%

察哈爾197181207518009971954622068155926

126%77%12%640%04%142%

綏遠城3131476015073

21%979%

帰化城7355167557125735191105329110222839

33%752%56%23%05%131%

庫倫1449750004500003600050481612930

02%122%734%59%82%

烏里雅蘇台20261506352

32%968%

川眞辺務727509000150028500111750

651%81%13%255%

伊犁319116380437493110451161145585

22%113%301%214%351%

阿爾泰24542454

100%

塔爾巴哈台14971497

100%

科布多50405040

100%

合計7868436271363229654762123658400532498290100650221176295429506674335940748

百分率234%212%195%109%97%30%35%88%

賈士毅民国財政史(上海、上海書店、1990年)上、36〜39頁をもとに作成。

(11)

と し て 財 政 負 担 が 多 い 東 南 各 省 の 反 発 を 招 い て

︑ 一 九 一 四 年 六 月 に 十 分 な 効 果 が 上 が ら な か っ た と し て 取 り 消 さ れ た

()

︒ 財 政 総 長 周 自 斉 は

︑ そ の 理 由 と し て

︑ ( 一 ) 軍 事 支 出 が 多 く

︑ 民 間 の 納 税 に 対 す る 意 識 が 低 い こ と

︑ ( 二 ) 税 金 の 出 納 に 関 す る 法 制 が 不 完 全 で あ り

︑ 国 家 に と っ て も 人 民 に と っ て も 弊 害 が 多 い こ と を 挙 げ て い る

︒ こ れ に よ り

︑ 国 税 と 地 方 税 が 未 分 化 で あ る と い う 制 度 面 に お い て

︑ 清 宣 統 三 年 に 戻 っ た と 言 え る が

︑ 各 省 の 解 款 負 担 の バ ラ ン ス は 必 ず し も 試 宣 統 三 年 預 算 案 の よ う な 東 三 省 重 視

・ 江 西

・ 安 等 へ の 過 重 な 財 政 負 担 と い っ た 傾 向 を 踏 襲 し た と は 言 え な い

(

)

︒ 民 国 三

・ 五 年 の 各 省 の 解 款 及 び 専 款 の 負 担 額 に ど の よ う な 特 徴 が 見 ら れ る か を 以 下 で 考 察 す る

︒ ま ず 民 国 三 年 度 の 各 省 の 歳 入 に 占 め る 解 款 の 比 率 に つ い て 考 察 す る

︒ 表 二 は

︑ 民 国 三 年 度 の 各 省 の 歳 入 に 占 め る 解 款 の 割 合 を 表 す も の で あ り

︑ 歳 入 額 は 賈 士 毅 の 民 国 財 政 史 の 「 民 国 三 年 度 預 算 各 省 入 分 類 表 」 及 び 「 年 地 方 財 政 入 出 表 」

︑ 解 款 額 は 一 九 一 四 年 六 月 六 日 付 盛 京 時 報 の 「 各 省 分 擔 之 中 央 政 費 」 に 拠 っ た

(

)

︒ こ れ に よ る と

︑ 解 款 の 負 担 額 は

︑ 江 蘇 の 三 百 七 十 五 万 元 が 最 も 多 く

︑ 以 下 降 順 に

︑ 四 川

︑ 広 東

︑ 東 三 省

・ 浙 江

・ 江 西

︑ 湖 北

︑ 安

︑ 山 東

・ 河 南

・ 山 西

︑ 直 隷

・ 福 建

︑ 湖 南

・ 陝 西

︑ 新 疆

︑ 雲 南

・ 甘 粛

・ 広 西

︑ 貴 州 の 順 で あ る

︒ ま た 歳 入 に 占 め る 解 款 の 割 合 は

︑ 以 下 降 順 に

︑ 四 川 二 十 八

・ 九

︑ 新 疆 二 十 二

・ 八

︑ 江 西 二 十 二

・ 四

︑ 江 蘇 二 十 二

︑ 安 二 十 一

・ 六

︑ 貴 州 十 九

・ 六

︑ 福 建 十 九

・ 二

︑ 湖 北 十 九

・ 一

︑ 山 西 十 八

・ 三

︑ 陝 西 十 七

・ 四

︑ 広 東 十 五

・ 五

︑ 広 西 十 四

・ 七

︑ 浙 江 十 三

・ 一

︑ 甘 粛 十 三

・ 一

︑ 河 南 十 一

・ 五

︑ 山 東 十 一

︑ 雲 南 十

・ 九

︑ 湖 南 十

・ 八

︑ 直 隷 十

・ 二

︑ 東 三 省 七

・ 三

% で あ る

︒ 従 っ て 歳 入 が 多 い 省 の 中 で

︑ 解 款 の 負 担 が 比 較 的 軽 い の は

︑ 東 三 省

・ 広 東

・ 浙 江

・ 直 隷

・ 河 南 で あ る

︒ 一 方

︑ 新 疆

・ 貴 州

・ 陝 西 と い っ た 歳 入 が 少 な い 省 に 於 い て

︑ 歳 入 に 占 め

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 六 三

(12)

る 解 款 の 比 率 が 高 く な っ て い る の も 特 徴 的 で あ る

︒ ま た 財 政 年 鑑 に よ れ ば

︑ 民 国 三 年 預 算 の 各 省 解 款 は 二 千 九 百 七 十 三 万 七 千 十 三 元 で あ り

︑ 実 収 額 は 千 四 百 万 元 余 り だ っ た と さ れ て お り ︑ 達 成 率 は 四 十 七 ・ 一 % で あ っ た

(

)

︒ 協 款 の 状 況 に つ い て は 依 拠 す べ き 史 料 に 乏 し い が

︑ 一 九 一 五 年 六 月 二 十 日 付 盛 京 時 報 の

四 年 度 協 濟 款 額 之 査 定 」 に よ れ ば

︑ 民 国 四 年 度 の 受 協 の 省 は

︑ 甘 粛

・ 新 疆

・ 黒 龍 江

・ 広 西

・ 貴 州 で あ り

︑ 試 宣 統 三 年 預 算 案 で は 受 協 の 省 で あ っ た 直 隷

・ 奉 天

・ 雲 南 は 受 協 の 省 で は な く な っ て い る

(

)

︒ ま た 一 九 一 五 年 二 月 二 十 三 日 付 盛 京 時 報 の 「 各 省 政 費 定 之 標 準 」 に よ れ ば

︑ 各 省 政 費 編 定 の 基 準 は

︑ 繁 省 の 甲

・ 乙 級

︑ 中 省 の 甲

・ 乙 級

︑ 簡 省 の 甲

・ 乙 級 の 六 段 階 に 分 け ら れ て い る が

︑ 奉 天 省 は 簡 省 の 甲 級

︑ 吉 林 省 と 黒 龍 江 省 は 簡 省 の 乙 級 と な っ て お り

︑ 低 い 位 置 づ け で あ る

(

)

︒ 試 宣

第 九 十 六 巻

一 六 四 表二 民国三年度各省の歳入に占める解款の比率

(単位:元) 省別 歳入(国+地) 解款 解款/歳入 東三省 28828430 2100000 73%

広東 19399606 3000000 155%

江蘇 17022698 3750000 220%

浙江 16041603 2100000 131%

山東 11816057 1300000 110%

直隸 11761110 1200000 102%

四川 11400887 3300000 289%

河南 11309587 1300000 115%

湖北 9426339 1800000 191%

江西 9394273 2100000 224%

湖南 8363823 900000 108%

山西 7099133 1300000 183%

安 6937118 1500000 216%

福建 6260090 1200000 192%

陝西 5160913 900000 174%

雲南 3656831 400000 109%

甘粛 3057078 400000 131%

広西 2726477 400000 147%

新疆 2630530 600000 228%

貴州 1530479 300000 196%

合計 193823062 29850000

賈士毅 民国財政史 (上海、 上海書店、 1990年) 上、 87〜90頁、 129〜133頁及び 「各省分擔之中央政 費」 ( 盛京時報 1914年6月6日) より作成。

(13)

統 三 年 預 算 案 に 於 い て 奉 天 省 の 政 費 額 は

︑ 四 川

・ 江 蘇

・ 直 隷 に 次 ぐ 第 四 位 で あ り

︑ こ れ は 奉 天 省 に 対 す る 傾 斜 配 分 が 弱 ま っ た こ と を 示 し て い る

(

)

︒ 次 に 民 国 五 年 度 の 預 算 に つ い て 分 析 す る

︒ 表 三 は

︑ 民 国 五 年 度 の 各 省 の 歳 入 に 占 め る 解 款 及 び 専 款 の 割 合 を 表 す も の で あ り

︑ 歳 入 額 は 賈 士 毅 の 民 国 財 政 史 の 「 民 国 五 年 度 預 算 各 省 入 分 類 表 」

︑ 解 款 及 び 専 款 額 は 財 政 年 鑑 に 拠 っ た

(

)

︒ こ れ に よ る と

︑ 解 款 及 び 専 款 の 負 担 額 は

︑ 江 蘇 の 七 百 五 十 万 元 が 最 も 多 く

︑ 以 下 降 順 に

︑ 広 東

︑ 浙 江

︑ 直 隷

︑ 河 南

︑ 山 西

︑ 江 西

︑ 山 東

︑ 湖 北

︑ 湖 南

︑ 四 川

︑ 福 建

︑ 陝 西

︑ 安

︑ 吉 林

︑ 甘 粛

︑ 京 兆

︑ 雲 南

︑ 奉 天

︑ 広 西

︑ 貴 州

︑ 黒 龍 江

︑ 新 疆

︑ 川 辺

︑ 帰 綏

︑ 察 哈 爾

︑ 熱 河 で あ る

︒ 因 み に 表 一 と 同 様 に 奉 天

・ 吉 林

・ 黒 龍 江 を 併 せ て 東 三 省 と し て 考 え た 場 合

︑ 二 百 十 万 元 で 全 体 の 十 二 番 目 と な る

︒ ま た 歳 入 に 占 め る 解 款 及 び 専 款 の 割 合 は

︑ 以 下 降 順 に

︑ 京 兆 四 十 三

・ 八

︑ 浙 江 四 十 一

・ 七

︑ 山 西 四 十

︑ 江 蘇 三 十 七

︑ 湖 南 三 十 四

・ 七

︑ 福 建 三 十 四

・ 五

︑ 江 西 三 十 二

・ 四

︑ 川 辺 三 十

・ 五

︑ 広 東 二 十 九

・ 三

︑ 直 隷 二 十 八

・ 一

︑ 河 南 二 十 六

・ 三

︑ 湖 北 二 十 五

・ 五

︑ 帰 綏 二 十 五

︑ 陝 西 二 十 四

・ 四

︑ 山 東 二 十 二

・ 六

︑ 貴 州 二 十

・ 九

︑ 四 川 二 十

・ 六

︑ 安 十 九

・ 八

︑ 雲 南 十 八

・ 三

︑ 吉 林 十 七

・ 一

︑ 察 哈 爾 十 六

・ 一

︑ 甘 粛 十 五

・ 五

︑ 広 西 十 二

・ 三

︑ 熱 河 九

・ 六

︑ 新 疆 七

・ 五

︑ 黒 龍 江 五

・ 九

︑ 奉 天 四

・ 五

% で あ る

︒ 因 み に 表 二 と 同 様 に 奉 天

・ 吉 林

・ 黒 龍 江 を 併 せ て 東 三 省 と し て 考 え た 場 合

︑ 八

・ 二

% で 全 体 の 二 十 四 番 目 と な る

︒ 民 国 三 年 度 預 算 に 比 べ て

︑ 割 合 が 高 め に 出 て い る が

︑ こ れ は 専 款 が 加 わ っ た た め だ と 考 え ら れ る

︒ 歳 入 が 多 い 省 の 中 で

︑ 解 款 及 び 専 款 の 負 担 が 少 な い の は

︑ 広 東

・ 奉 天

・ 四 川 で あ る

︒ 一 方

︑ 山 西

・ 湖 南

・ 福 建 は

︑ 歳 入 に 比 し て 解 款 及 び 専 款 の 負 担 額 が 多 い

︒ ま た 財 政 年 鑑 に よ れ ば

︑ 民 国 五 年 預

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 六 五

(14)

第 九 十 六 巻

一 六 六 表三 民国五年度各省の歳入に占める解款及び專款の比率 (単位:元)

省別 歳入 解款 専款 解款+専款 /

広東 24390780 4200000 2950000 7150000 293%

江蘇 20252536 5000000 2500000 7500000 370%

浙江 16672845 4260000 2700000 6960000 417%

直隷 15588377 640000 3740000 4380000 281%

山東 14889615 1227600 2137200 3364800 226%

四川 14551052 3000000 3000000 206%

河南 13996061 480000 3200000 3680000 263%

奉天 13458818 600000 600000 45%

湖北 13161683 1520000 1830000 3350000 255%

江西 10649110 2410000 1040000 3450000 324%

湖南 9541385 1200000 2110950 3310950 347%

安 9192467 220000 1600000 1820000 198%

陝西 9087522 960000 1254162 2214162 244%

山西 8857337 2100000 1446999 3546999 400%

福建 7565527 1520000 1090200 2610200 345%

吉林 7018582 1200000 1200000 171%

黒龍江 5115215 300000 300000 59%

広西 4811973 590200 590200 123%

甘粛 4517895 700000 700000 155%

新疆 3577635 270000 270000 75%

雲南 3552955 649800 649800 183%

貴州 2010983 420000 420000 209%

京兆 1528313 670000 670000 438%

熱河 1036722 100000 100000 96%

川辺 756567 230872 230872 305%

察哈爾 727305 117000 117000 161%

帰綏 612012 153200 153200 250%

合計 237121272 25737600 36600583 62338183 賈士毅 民国財政史 (上海、 上海書店、 1990年) 上、 95〜98頁及び財政 部財政年鑑編纂処 財政年鑑 (上海、 商務印書館、 1935年) 上、 4頁よ り作成。

(15)

算 の 各 省 解 款 の 達 成 率 は 二 分 の 一

︑ 専 款 の 達 成 率 は 三 分 の 二 だ っ た

(

)

︒ 以 上 を 踏 ま え れ ば

︑ 民 国 三

・ 五 年 預 算 の 財 政 配 分 に 於 い て も

︑ 依 然 と し て 奉 天 省 に 対 す る 一 定 の 配 慮 が 見 ら れ る が

︑ 受 協 の 省 か ら 外 さ れ た こ と や 政 費 編 定 の 基 準 に 於 い て 簡 省 の 甲 級 と い う 低 い 位 置 づ け と な っ た こ と か ら 清 宣 統 三 年 と 比 べ れ ば

︑ 優 先 度 が 低 下 し て き た と 言 え る

︒ ま た

︑ 広 東 は 財 政 負 担 が 比 較 的 軽 く

︑ 清 宣 統 三 年 預 算 に 於 い て 過 重 で あ っ た 江 西

・ 安 の 負 担 は 軽 減 さ れ た こ と も 指 摘 で き る

︒ こ れ は

︑ 専 款 や 塩 税 を 中 心 と し た 税 収 の 増 加 や 国 債 の 発 行 に よ り

︑ 民 国 三 年 以 降

︑ 財 政 収 支 が 黒 字 に 転 じ た こ と や 江 蘇

・ 安

・ 江 西

・ 福 建

・ 湖 南

・ 広 東 は 一 九 一 三 年 七 月 の 「 第 二 革 命 」 後 に 都 督 が 更 迭 さ れ

︑ 袁 世 凱 と 関 係 が 近 い 人 物 が 都 督 を 務 め て い た こ と と 関 係 し て い る と 考 え ら れ る

(

)

︒ 一 方 で

︑ 民 国 三

・ 五 年 度 預 算 は 共 に

︑ 各 省 の 歳 入 に 応 じ て 財 政 負 担 が 決 定 さ れ て い た と は 言 え ず

︑ 歳 入 が 少 な い 省 に と っ て 解 款 及 び 専 款 の 負 担 が や や 重 く な っ て い る

︒ 第 三 節 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 が 各 省 に 及 ぼ し た 影 響 本 節 で は

︑ 袁 世 凱 政 権 期 の 各 省 の 財 政 負 担 に 大 き な 影 響 を 与 え た も う 一 つ の 要 因 だ と 考 え ら れ る 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 に つ い て 扱 う

︒ こ の 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 と は

︑ 一 九 一 三 年 一 月 六 日 の 臨 時 大 総 統 令 で 一 九 一 三 年 一 月 か ら 塩 務 収 入 を 特 別 支 出 金 と し て 蓄 え る と い う 方 針 が 示 さ れ

︑ 同 月 十 一 日 に 塩 務 稽 核 造 報 所 章 程 が 公 布

・ 施 行 さ れ た こ と を 契 機 と す る

(

)

︒ こ れ は 善 後 借 款 の 償 還 財 源 と し て 中 央 政 府 が 塩 務 収 入 を 把 握

・ 専 有 す る こ と を 目 指 す 措 置 で あ り

︑ 一 九 一 四 年 二 月 の 塩 務 署 内 稽 核 総 分 所 章 程 の 公 布

︑ 同 年 五 月 の 収 解 塩 款 暫 行 章 程 に よ り

︑ 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 が

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 六 七

(16)

実 質 的 な 成 果 を 挙 げ る に 至 っ た

(

)

︒ こ の よ う な 中 央 政 府 に よ る 塩 務 収 入 の 把 握

・ 専 有 は

︑ 地 方 に と っ て は 今 ま で 保 有 し て い た 財 源 の 喪 失 を 意 味 す る も の で あ る が

︑ 各 省 の 歳 入 に 占 め る 塩 務 収 入 の 比 率 は 一 様 で は な い た め

︑ 影 響 の 大 き さ も ま た 異 な っ て い た と 考 え ら れ る

︒ 従 っ て 本 節 で は 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 に 対 す る 各 省 の 立 場 の 違 い を 明 ら か に し た い

︒ 前 掲 の 表 一 に よ れ ば

︑ 塩 課 が 最 も 多 い の は

︑ 江 蘇 省 の 二 千 百 二 万 二 千 三 十 五 元 で あ り

︑ 以 下 降 順 に 四 川

︑ 広 東

︑ 直 隷

︑ 浙 江

︑ 吉 林

︑ 湖 北

︑ 山 東

︑ 奉 天

︑ 山 西

︑ 雲 南

︑ 福 建

︑ 黒 龍 江

︑ 広 西

︑ 陝 西

︑ 河 南

︑ 湖 南

︑ 江 西

︑ 熱 河

︑ 新 疆

︑ 貴 州

︑ 察 哈 爾

︑ 川 眞 辺 務 で あ る

(

)

︒ 一 方

︑ 各 省 の 歳 入 に 占 め る 塩 課 の 比 率 は

︑ 雲 南 の 三 十 六

% が 最 も 高 く

︑ 以 下 降 順 に 四 川 三 十 三

・ 六

︑ 江 蘇 三 十 三

・ 二

︑ 直 隷 三 十 一

・ 四

︑ 黒 龍 江 二 十 六

・ 二

︑ 広 東 二 十 三

・ 二

︑ 吉 林 二 十 三

・ 一

︑ 浙 江 十 九

・ 八

︑ 山 西 十 九

・ 六

︑ 山 東 十 五

・ 一

︑ 奉 天 十 四

・ 四

︑ 福 建 十 四

・ 二

︑ 湖 北 十 三

・ 一

︑ 広 西 十 三

︑ 熱 河 十

・ 四

︑ 陝 西 九

・ 六

︑ 甘 粛 九

・ 二

︑ 川 眞 辺 務 八

・ 一

︑ 察 哈 爾 七

・ 七

︑ 河 南 三

・ 七

︑ 湖 南 三

・ 六

︑ 新 疆 一

・ 九

︑ 貴 州 一

・ 二

︑ 江 西

・ 九

% で あ る

︒ 以 上 を 踏 ま え れ ば

︑ 江 蘇

・ 四 川

・ 直 隷 は

︑ 塩 課 額 と 歳 入 に 占 め る 塩 課 の 比 率 が 共 に 高 く

︑ 雲 南 は

︑ 塩 課 額 は 中 位 で あ る も の の

︑ 歳 入 に 占 め る 塩 課 の 比 率 は 高 く

︑ 省 財 政 の 塩 課 へ の 依 存 度 が 高 い と 言 え る

︒ 政 府 公 報 に は

︑ 直 隷 都 督 馮 国 璋

・ 署 雲 南 財 政 庁 庁 長 袁 家 普 及 び 兼 署 雲 南 巡 按 使 唐 継 堯

・ 署 貴 州 巡 按 使 龍 建 章 の 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 に 対 す る 不 満 が 掲 載 さ れ て い る

︒ 以 下 で 具 体 的 に ど の よ う な 点 が 問 題 に な っ た の か を 分 析 す る

第 九 十 六 巻

一 六 八

(17)

ま ず 直 隷 の 事 例 を 扱 う

︒ 一 九 一 三 年 二 月 の 直 隷 都 督 馮 国 璋 の 呈 文 は 以 下 通 り

(

)

︒ 思 う に 直 隷 省 は 受 協 の 省 で あ り

︑ 近 年 の 預 算 歳 入 は 約 一 千 六 百 万 で あ り

︑ そ の う ち 部 款

( 財 政 部 から の 補 助 金)

・ 協 款

・ 関 税 が ほ ぼ 四 分 の 一 を 占 め て い る

︒ こ の 他 は 塩 課

・ 丁 糧

・ 釐 金 及 び 正 雑 捐 税 を 本 省 収 入 の 主 と し て い る

︒ 歳 出 預 算 は 約 一 千 九 百 万 余 り で あ り

︑ 歳 入 を 支 出 と 差 し 引 き す る と

︑ 赤 字 が 既 に 三 百 万 余 り に 達 し て お り

︑ 流 用 や 資 金 の 枯 渇 は 数 え き れ な い

︒ 今 部 庫 は 残 高 不 足 で

︑ 補 助 金 の 支 給 は 全 て 停 止 し

︑ 各 省 は 自 身 の こ と に 手 一 杯 で

︑ 協 款 は 途 絶 え

︑ 関 税 は 外 債 の 償 還 に 充 て ら れ

︑ 部 款

・ 協 款

・ 関 税 の 三 項 を 全 て 截 留 し た の で

︑ 歳 入 が 併 せ て 四 百 数 十 万 減 少 し た

︒ ま た 塩 課 を 全 て 中 央 に 帰 し 歳 入 が 五 百 万 余 り 減 少 し て お り

︑ 収 入 と し て 当 て に な る も の は 僅 か 六 百 万 余 り で あ る

︒ こ れ は 一 九 一 三 年 の 一 月 の 塩 務 稽 核 造 報 所 設 置 直 後 に 上 呈 さ れ た も の で あ る

︒ 前 述 の よ う に

︑ 民 国 元 年 及 び 二 年 は 解 款 の 達 成 率 が 著 し く 低 く

︑ 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 に 加 え

︑ 部 款 と 協 款 が 停 止 さ れ た こ と に よ り

︑ 従 来 受 協 の 省 で あ っ た 直 隷 省 の 歳 入 は 不 足 し た と 考 え ら れ る

︒ た だ し

︑ こ れ は ま だ 善 後 借 款 成 立 前 の 北 京 政 府 の 財 政 が 窮 乏 し て い た 時 期 の 話 で あ る

︒ 善 後 借 款 は 半 分 余 り が 期 限 を 経 過 し た 中 国 政 府 の 負 債 返 済 や 革 命 時 の 外 国 人 損 害 賠 償 費 に 充 て ら れ た た め

︑ 北 京 政 府 の 実 収 額 は 八 千 九 百 五 十 二 万 四 千 九 百 四 十 一

・ 五 一 元 に 止 ま っ た が

︑ 民 国 二 年 の 中 華 民 国 の 税 収 が 三 億 八 千 九 百 四 十 四 万 六 千 四 十 七 元 で あ っ た こ と を 勘 案 す れ ば

︑ 歳 入 全 体 に 及 ぼ す 影 響 は 大 き か っ た と 考 え ら れ る

(

)

︒ 第 二 節 で 考 察 し た よ う に 直 隷 は 省 の 歳 入 に 比 し て 解 款 及 び 専 款 の 負 担 が 重 く な か っ た こ と か ら 状 況 は 徐 々 に 改 善 さ れ て い っ た と 考 え ら れ る

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 六 九

(18)

次 に 雲 南 の 事 例 を 扱 う

︒ 一 九 一 四 年 七 月 の 兼 署 雲 南 巡 按 使 唐 継 堯 の 呈 文 と 大 総 統 に よ る 批 令 は 以 下 の 通 り

(

)

︒ こ こ に 塩 務 署 の 電 報 が 述 べ る 各 節 は 団 練 経 費 の 性 質 を 深 く 考 え な い ば か り か

︑ 財 政 部 の 十 一 月 二 十 七 日 の 電 報 を 顧 み ず

︑ 塩 務 署 の 電 報 に よ り 財 政 部 の 電 報 を 取 り 消 す も の で あ る

︒ 況 し て 団 練 経 費 は 本 来 臨 時 附 加 税 に 属 す る も の で

︑ 原 案 に 照 ら し て 速 や か に 徴 収 を 停 止 す べ き で あ り

︑ 今 日 徴 収 を 継 続 す る の は 一 時 の 困 窮 を 凌 ぐ 為 で あ り

︑ 人 民 も 了 解 し て い る

︒ も し 永 久 に 徴 収 す る 税 と み な し

︑ 供 託 の 対 象 と す る な ら ば

︑ 人 民 は 供 託 を 定 案 と す る こ と に 疑 い を 持 ち

︑ 又 原 案 を 口 実 と し て 次 々 に 免 税 を 願 い 出 る だ ろ う

︒ す な わ ち 供 託 の 考 え は 徴 収 を 阻 害 す る も の で あ る

︒ 且 つ 全 国 の 塩 課 を 借 款 の 抵 当 と し て い て

︑ 既 に 余 り が あ り

︑ 固 よ り こ の よ う な 些 細 な 団 練 経 費 を 争 う 必 要 は な い

︒ 雲 南 の 財 政 が 赤 字 で

︑ こ の 団 練 経 費 を 截 留 し よ う と す る の は 事 実 上 こ れ に よ っ て 現 状 を 維 持 し よ う と す る も の で あ る

( 中 略)

批 令

︑ 先 の 財 政 部 の 回 答 に は

︑ 該 省 が 塩 款 を 截 留 す る こ と は 障 害 が 多 く 行 い 難 い

︒ と あ り

︑ 既 に そ の 通 り に 処 置 す る よ う に 批 令 し た

︒ 前 記 の よ う な 呈 文 は

︑ 前 批 に 照 ら し て 処 理 す べ き で あ り

︑ 該 部 に よ り 転 送 し 通 知 せ よ

︒ こ の 時 期 は

︑ 一 九 一 四 年 二 月 の 塩 務 署 内 稽 核 総 分 所 章 程 の 公 布

︑ 同 年 五 月 の 収 解 塩 款 暫 行 章 程 に よ り 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 が 実 質 的 な 成 果 を 挙 げ 始 め た 時 期 で あ る

︒ た だ し

︑ 塩 務 署 稽 核 分 所 に よ る 塩 務 収 入 の 接 収 は 一 朝 一 夕 に 進 ん だ わ け で は な い

(

)

︒ 批 令 を 見 る 限 り

︑ 財 政 部 の 十 一 月 二 十 七 日 の 電 報 に 関 し て は 何 ら か の 行 き 違 い が あ っ た よ う だ が

︑ 唐 継 堯 は 団 練 経 費 を 臨 時 附 加 税 に 属 す も の だ と し て 塩 款 の 一 部 を 充 当 し よ う と し て お り

︑ こ れ は 人 民 の 意 志 に 沿 う も の だ と し た の に 対 し

︑ 袁 世 凱 は 雲 南 省 の 塩 款 を 截 留 す る こ と を 認 め な か っ た こ と が わ か る

︒ ま た 同 年 九 月

第 九 十 六 巻

一 七

(19)

の 署 雲 南 財 政 庁 庁 長 袁 家 普 の 呈 文 に よ れ ば

︑ 中 央 政 府 は こ の 頃 年 間 九 十 万 元 余 り の 補 助 金 を 雲 南 省 に 支 給 す る こ と を 許 可 し て い た が

︑ こ の 金 額 は

︑ 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 に よ り 雲 南 省 が 喪 失 し た 税 収 を 補 う に は 十 分 な 金 額 で は な か っ た

(

)

︒ 従 っ て 省 財 政 の 塩 務 収 入 へ の 依 存 度 が 高 か っ た 雲 南 省 で は 歳 出 削 減 と 代 替 の 財 源 を 確 保 す る こ と が 深 刻 な 問 題 と な っ て い た と 考 え ら れ る

︒ 塩 務 稽 核 総 所 会 デ ー ン の レ ポ ー ト に よ れ ば

︑ 一 九 一 四 年 二 月 以 降

︑ 雲 南 省 は 塩 務 収 入 か ら 月 額 八 万 シ リ ン グ

= 約 四 万 六 千 元 の 補 助 金 の 受 け 取 り を 許 可 さ れ て お り

︑ 省 政 府 の 陳 情 の 結 果

︑ 同 年 九 月 以 降

︑ 補 助 金 が 月 額 十 二 万 五 千 シ リ ン グ

= 約 七 万 千 八 百 七 十 五 元 に 増 額 さ れ た

(

)

︒ 次 に 貴 州 省 の 事 例 を 扱 う

︒ 表 一 に よ れ ば

︑ 貴 州 省 は 塩 課 額

︑ 省 財 政 に 占 め る 塩 課 の 比 率 共 に 低 い 水 準 で あ っ た が

︑ こ の 時 期 の 塩 政 改 革 の 特 徴 で あ る 「 先 課 後 鹽 」 と 「 就 地 」 と の 関 連 か ら 興 味 深 い も の で あ る の で 取 り 上 げ る こ と に す る

(

)

︒ 一 九 一 五 年 一 月 の 署 貴 州 巡 按 使 龍 建 章 の 呈 文 は 以 下 の 通 り

(

)

︒ 思 う に 貴 州 の 塩 税 の 性 質 は 塩 釐 で あ り

︑ 塩 税 で は な い

︒ 全 て の 納 め る べ き 塩 税 は 四 川 で 塩 を 運 ぶ と き に 完 全 に 納 入 し て お り

︑ 省 に 到 っ た 後 に 内 地 税 を 加 え て 追 徴 し て い る に 過 ぎ ず

︑ 洋 貨 が 海 関 で 正 税 を 納 入 し

︑ 内 地 に 到 り 釐 金 を 追 徴 す る よ う な も の で あ り

︑ 元 来 正 税 と 関 係 が な い

︒ 未 だ 各 省 の 釐 金 を 差 し 引 い て 外 債 の 償 還 に 充 て た の は 聞 い た こ と が な く

︑ こ れ を デ ー ン に 質 し て も 答 え ら れ な い だ ろ う

︒ も し は っ き り 区 別 す る 方 法 を 求 め る な ら ば

︑ 貴 州 省 が 四 川 省 の 塩 を 売 り さ ば い て 納 付 す る 正 税 を 四 川 省 に 額 面 通 り 支 出 す る こ と を 命 じ て

︑ 貴 州 省 が 納 付 す べ き 塩 税 と な し

︑ 内 地 で 徴 収 す る 附 加 税 を 塩 釐 と す る こ と を 要 請 す る

︒ こ の よ う な や り 方 は 至 極 妥 当 で あ り

︑ 行 う べ き だ

︒ 或 い は 四 川 省 の 塩 務 を 整 理 し た 後

︑ 貴 州 省 に 八 十 万 両 を 援 助 す る 旧 例 を 復 活 さ せ

︑ 全 て

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 七 一

(20)

中 央 に 送 金 す る こ と に す れ ば

︑ 更 に 簡 単 明 瞭 で あ る

︒ 地 方 附 加 税 で 地 方 の 行 政 を 処 理 す る こ と は 本 来 天 地 の 大 義 で あ り

︑ 少 し も 口 実 と し て こ れ を 図 る こ と は な く

︑ 法 理 も ま た 至 当 で あ る

︒ 塩 税 条 例 に よ れ ば

︑ 貴 州 省 は 第 二 区 で あ り

︑ 一 九 一 五 年 一 月 一 日 か ら 「 先 課 後 鹽 」 と 「 就 地 」 の 方 針 が 施 行 さ れ た

︒ こ れ に よ り 産 塩 区 で な い 貴 州 省 は 四 川 か ら 移 入 さ れ る 塩 に 対 し て 自 由 に 課 税 す る こ と が で き な く な り

︑ 財 源 を 喪 失 す る 危 機 に 瀕 し た た め

︑ 貴 州 省 が 負 担 す る 塩 税 を 四 川 省 か ら 代 わ り に 徴 収 し

︑ 内 地 附 加 税 と し て 塩 釐 の 課 税 を 従 来 通 り 行 え る よ う に 求 め た

︒ こ れ に 対 し て

︑ 財 政 総 長 周 自 斉 は 塩 務 収 入 の 管 理 の 面 で は 塩 務 署 所 管 の 運 局 に 管 理 さ せ る と 譲 ら な か っ た も の の

︑ 貴 州 省 の 財 政 が 回 復 す る ま で 全 国 の 塩 税 の 余 り か ら 貴 州 省 に 八 十 万 元 を 援 助 す る と い う 案 を 上 呈 し た

(

)

︒ こ の 結 果

︑ デ ー ン の 報 告 に よ れ ば

︑ 一 九 一 五 年 八 月 十 五 日 以 降

︑ 貴 州 省 は 四 川 の 塩 税 収 入 口 座 か ら 年 額 八 十 万 シ リ ン グ

= 約 四 十 六 万 元 を 受 け 取 る こ と に な っ た

(

)

︒ ま た 広 西 省 に お い て も 軍 事 支 出 が 塩 務 収 入 に 依 存 し て い る こ と を 理 由 と し て 接 収 に 難 色 が 示 さ れ た た め

︑ 梧 州 の 運 局 で 附 加 徴 収 を 行 い

︑ そ れ を 財 源 と し て 一 九 一 五 年 六 月 か ら 年 額 五 十 万 シ リ ン グ

= 約 二 十 八 万 七 千 元 の 補 助 金 が 支 給 さ れ る こ と に な っ た こ と が 確 認 で き る

()

︒ 以 上 を 踏 ま え れ ば

︑ 雲 南 は 元 来 受 協 の 省 で あ り

︑ 且 つ 省 財 政 の 塩 務 収 入 に 対 す る 依 存 度 も 高 か っ た た め

︑ 塩 務 収 入 の 接 収 に 対 す る 反 発 が 比 較 的 大 き か っ た と 考 え ら れ る

︒ ま た 産 塩 区 で は な い 貴 州 や 広 西 で も

︑ 塩 税 の 徴 収 を 産 塩 区 に 集 約 す る 方 針 に よ り 自 由 に 塩 釐 を 課 税 で き な い こ と が 問 題 に な っ た

︒ こ れ に 対 し て

︑ 中 央 政 府 は 塩 務 収 入 の 一 部 を こ れ ら の 省 に 配 分 し た が

︑ 喪 失 し た 税 収 を 補 う に は 十 分 な 金 額 で は な か っ た

第 九 十 六 巻

一 七 二

(21)

論 本 稿 は

︑ 試 宣 統 三 年 預 算 案 に 見 ら れ る 東 三 省 へ の 傾 斜 配 分 と 江 西

・ 安 等 省 の 過 重 な 財 政 負 担 と い う 財 政 配 分 の 特 徴 が

︑ 辛 亥 革 命 や 塩 務 稽 核 所 の 設 置

︑ 国 地 画 分 を 経 て

︑ ど の よ う に 変 化 し た の か を

︑ 袁 世 凱 政 権 期 に 編 成 さ れ た 預 算 を 手 掛 か り と し て 分 析 し た

︒ 袁 世 凱 政 権 は 当 初 国 地 画 分 の 際 に 田 賦 を 国 税 と し

︑ 田 賦 附 加 税 を 地 方 税 と す る と い っ た 中 央 財 政 を 重 視 し た 財 政 配 分 を 行 い

︑ 江 蘇

・ 広 東

・ 湖 南

・ 江 西

・ 安

・ 浙 江 か ら 反 発 を 受 け て い た

︒ し か し

︑ 民 国 三

・ 五 年 預 算 の 財 政 配 分 で は

︑ 広 東 省 は 財 政 負 担 が 比 較 的 軽 く

︑ 清 宣 統 三 年 預 算 に 於 い て 過 重 で あ っ た 江 西

・ 安 の 財 政 負 担 は 軽 減 さ れ た

︒ こ れ は

︑ 専 款 や 塩 税 を 中 心 と し た 税 収 の 増 加 や 国 債 の 発 行 に よ り

︑ 民 国 三 年 以 降

︑ 財 政 収 支 が 黒 字 に 転 じ た こ と や 江 蘇

・ 安

・ 江 西

・ 福 建

・ 湖 南

・ 広 東 は 一 九 一 三 年 七 月 の 「 第 二 革 命 」 後 に 都 督 が 更 迭 さ れ

︑ 袁 世 凱 と 関 係 が 近 い 人 物 が 都 督 を 務 め て い た こ と と 関 係 し て い る と 考 え ら れ る

︒ 一 方 で

︑ 清 宣 統 三 年 に み ら れ た 東 三 省 へ の 傾 斜 配 分 は

︑ 奉 天 省 が 受 協 の 省 か ら 外 さ れ た こ と や 政 費 編 定 の 基 準 に 於 い て 奉 天 省 が 簡 省 の 甲 級

︑ 吉 林

・ 黒 龍 江 省 が 簡 省 の 乙 級 と 共 に 低 い 位 置 づ け と な っ た こ と か ら 弱 ま っ た と 言 え る

︒ ま た 民 国 三

・ 五 年 度 預 算 は 共 に

︑ 各 省 の 歳 入 に 応 じ て

︑ 財 政 負 担 が 決 め ら れ た と は 言 え ず

︑ 歳 入 が 少 な い 省 は 解 款 及 び 専 款 の 負 担 が や や 重 か っ た

︒ 歳 入 が 少 な い 省 の 中 で も

︑ 元 来 受 協 の 省 で あ り

︑ 且 つ 省 財 政 の 塩 務 収 入 に 対 す る 依 存 度 が 高 か っ た 雲 南 は

︑ 善 後 借 款 の 償 還 財 源 確 保 を 目 的 と す る 塩 務 収 入 の 中 央 財 源 化 に よ る 影 響 が 特 に 大 き か っ た

︒ ま た 産 塩 区 で は な い 貴 州 や

袁 世 凱 政 権 期 の 預 算 編 成 と 各 省 の 財 政 負 担

佐 藤

第 九 十 六 巻

一 七 三

参照

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