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17 The Analysis of Hand-Writing datas for pen-input character boxes

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(1)

平成

17

年度

学士学位論文

文字入力枠に関する筆記データの分析

The Analysis of Hand-Writing datas for pen-input

character boxes

1060362

松本達也

指導教員

任 向実

2006

3

10

(2)

要 旨

文字入力枠に関する筆記データの分析

松本達也

PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末に必要とされる手書き文字入力枠の 最適値を求める先行研究[1]から枠サイズの最適値が英数字のとき1.20 x 1.44 cm付近,か な混じり漢字のとき1.44 x 1.44 cm 付近であることを明らかにした.しかし携帯情報端末 は文字の表示領域と文字を筆記する筆記領域に限界がある.そのため手書き文字入力枠の最 適値だけではなく,手書き文字入力枠におけるデザインのガイドラインをヒューマンインタ フェースの設計者に提供する必要がある.また最適値は固定値であり,使用者によって入力 枠サイズの好みは変わってくる.このことから先行研究[1]で行われた 8回の実験の筆記さ れた入力文字の文字の幅(字幅),文字の高さ(字高)や入力枠の枠の幅(枠幅),枠の高 さ(枠高)といった筆記データをもとに,使用者に適した入力枠の変更や筆記領域の設計に どのような手法を用いるべきかを検討した. 結果として文字と枠の相関関係から筆記された文字の字幅(字高)から入力枠の枠幅(枠 高)を求める関係式を求めた.また筆記された文字と入力枠の比率から最適値に収まってい る文字の比率を求めた. キーワード 文字入力枠,最適値,筆記データ,相関関係,面積比

(3)

Abstract

The Analysis of Hand-Writing datas for pen-input character

boxes

The previous study [1] approved the optimal size for pen-input writing character boxes in handheld devices. The optimal size of pen-input writing character boxes for the input of alphanumeric characters is approximately 1.20 x 1.44cm. For hiragana and kanji characters the optimal size is approximately 1.44 x 1.44cm. The purpose of this study is to make pen input devices users write comfortably. My research is to search for the results of changing the optimal pen-input boxes for the ease of usage. I used hand-writing data of the previous study[1], where eight experiments were conducted to search for the optimal size for pen-input boxes. The result of my research is that there is significant correlation between hand-writing data and pen-input boxes, as well as the area ratio between the hand-writing data and pen-input boxes. The conclusion is that pen input devices users can write in automatically changing pen-input boxes.

key words Pen-Input Character Box, Optimal Size, Hand-Writing Datas, Correla-tion, area ratio

(4)

目次

第1章 はじめに 1 1.1 背景. . . 1 1.2 目的. . . 2 第2章 実験説明 4 2.1 使用機器 . . . 4 2.2 実験デザイン . . . 5 2.2.1 入力字種 . . . 5 2.2.2 枠数 . . . 5 2.2.3 入力姿勢 . . . 6 2.3 実験1(比率を用いない縦長と正方形) . . . 6 2.3.1 被験者 . . . 6 2.3.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 6 2.4 実験2(比率による縦長) . . . 7 2.4.1 被験者 . . . 7 2.4.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 7 2.5 実験3(形状) . . . 8 2.5.1 被験者 . . . 8 2.5.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 8 2.6 実験4(横幅) . . . 8 2.6.1 被験者 . . . 9 2.6.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 9 2.7 実験5(年齢差) . . . 9 2.7.1 被験者 . . . 10

(5)

目次 2.7.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 10 2.8 実験6(学習効果) . . . 10 2.8.1 被験者 . . . 10 2.8.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 11 2.9 実験7(Tablet PC) . . . 11 2.9.1 被験者 . . . 11 2.9.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 11 2.10 実験8(Tablet) . . . 12 2.10.1 被験者 . . . 12 2.10.2 入力枠の形状及びサイズ . . . 12 第3章 分析内容と考察 13 3.1 相関関係 . . . 13 3.1.1 字種ごとの相関 . . . 14 3.1.2 実験1 - 8の相関 . . . 15 高齢者と若者の比較 . . . 15 枠の形状 . . . 16 3.1.3 相関まとめ. . . 17 3.2 面積比 . . . 19 3.2.1 機器ごとでの分類 . . . 19 3.2.2 面積比まとめ . . . 21 第4章 おわりに 23 4.1 結論. . . 23 4.2 今後の課題 . . . 23 謝辞 25

(6)

目次

(7)

図目次

1.1 Pocket PC OS . . . 1 1.2 Transcriber . . . 1 1.3 筆記データ . . . 2 1.4 文献[2]の実験手順 . . . 3 2.1 PDA実験画面 . . . 5 2.2 Tablet,Tablet PC実験画面 . . . 5 3.1 実験5(高齢者)の相関 . . . 14 3.2 実験4(形状)の相関 . . . 15 3.3 最適値における年齢差の比較 . . . 16 3.4 かな混じり漢字の字幅,字高の比較 . . . 17 3.5 枠サイズごとの面積比(PDA). . . 19 3.6 枠サイズごとの面積比(Tablet PC). . . 20 3.7 入力枠サイズごとの文字の収まる面積比(Tablet) . . . 21

(8)

1

はじめに

1.1

背景

コンピュータへの入力インタフェースとして,スタイラスペンやデジタルペン等(以下ペ ンと略記)のペン入力インタフェースがある.これらペンを用いた入力インタフェースは携 帯時に場所をとらず,キーボード入力インタフェースとは異なり直感的に文字入力を行える 特徴を持ち,自然に情報機器を扱える入力デバイスとして研究が進められている.ペンを用 いた手書き文字入力には文字入力枠に筆記する方法(文字入力枠有り)(図1.1)と,枠が無 く直接画面の自由な場所に書き込む方法(文字入力枠無し)(図1.2)がある. 図1.1 Pocket PC OS 図1.2 Transcriber 文字入力枠無しの方法では入力枠有りより自由度は高いが,画面上から文字の切り出しが 難しいので誤認識が多く,削除等の編集ボタンと筆記できる領域とを何度も行ったりきたり してしまう.その点,入力枠有りの方法は筆記された文字を入力枠内で一文字ごとに取り出

(9)

1.2 目的

すので誤認識が少ない.先行研究(文献[1])では誤認識の少ない文字入力枠に着目し,携 帯情報端末(Personal Digital Assistants (PDAなど)),Tablet PC,Tabletでの快適に 筆記可能な手書き文字入力枠の最適値が日本語では60x60pixel(1.44x1.44cm),また英数字 では50x60pixel(1.20x1.44cm)という結論を出している. 結論に至るまで先行研究(文献[1])では手書き文字入力枠の最適値は様々な要因に影響さ れることを考慮し,文字種,枠の形状,学習効果,年齢差,他デバイスという5つの視点か ら検討を行っていた.

1.2

目的

最適値の基準は生理的要因を評価する評価指標のアンケート(書きやすさ,疲れ,枠の好 み,総合評価)を基に決定されており,入力効率を評価する入力パフォーマンス(筆記時間, 枠間の移動時間,書き間違った回数,はみ出し回数,認識率)の観点からは最適値である枠 サイズとそれ以外の枠サイズとの明確な有意差はでていない.また実験で筆記された入力文 字の文字の幅(字幅),文字の高さ(字高)や入力枠の枠の幅(枠幅),枠の高さ(枠高)と いった筆記データからの検証は行われいない(図1.3). 図1.3 筆記データ 最適値とされている入力枠は固定値である.たとえば幅か高さのどちらか一方の値を与え られ,適切な他方の値を決めたいという場合には不便である.筆記される文字のサイズは人

(10)

1.2 目的 それぞれだから使用者が必ずしも最適値を好むとは限らない.またヒューマンインタフェー スの分野でPDA等から筆記領域を設計するとき使用者の文字サイズに合わせて枠サイズを 変更することも考慮する必要があるのではないかと考える.したがって本稿では筆記データ である,入力文字の文字の幅(字幅),文字の高さ(字高)や入力枠の枠の幅(枠幅),枠 の高さ(枠高)に着目し,使用者が自分にとって使いやすい入力枠のサイズに変更したい場 合や,設計者が画面領域を考慮した筆記領域のデザインを行うためにどうような手法を用い るかを目的とした. 入力文字の文字の幅(字幅),文字の高さ(字高)や入力枠の枠の幅(枠幅),枠の高さ (枠高)に着目した関連研究として文献[2]があり文字と入力枠との相関的な関係を利用して 回帰式から手書き文字入力枠の幅と高さの関係式を出している.実験条件が行枠に複数の文 字を筆記して,筆記可能な行枠まで枠のサイズを小さくしていくものであるため1文字を筆 記する入力枠の筆記データは用いられていない(図1.4). 図1.4 文献[2]の実験手順 そこで先行研究[1]で最適値を求めるために行った8回の実験の筆記データから相関関係 を調査し,回帰式を求めた.また入力パフォーマンスから最適値となる要因を求められない 理由として入力文字のサイズが使用者によって異なることが考えられるため,入力枠のサイ ズごとに入力文字が枠に収まる比率を調査した.

(11)

2

実験説明

最適値を求めるために文字種,枠の形状,学習効果,年齢差,他デバイスという5つの視 点から8回の実験を行っていた.どのような実験を行ったか,また実験ごとに使用した入力 枠サイズの説明をしていく.使用機器,実験デザインは以下のとおりである.

2.1

使用機器

他デバイス(Tablet,Tablet PC)を用いた実験以外はすべてCompaq製PDAの iPAQ

Pocket PCを用いた.主な仕様は,OS:Microsoft Pocket PC 2002 Software (Windows

CE 3.0),重さ:約190g,サイズ:84 mm(W) x 16 mm(D) x 134 mm(H),入力の空間分 解能:0.24 mm / pixelである.実験用ソフトウェアはMicrosoft embedded Visual C++ を用いて作成した(図2.1).

PDA 以外のデバイスを使用した実験では Fujitsu 製 Tablet PC の FMV

STYLIS-TIC とデスクトップPC を用いた.主な仕様はTablet PCが,OS:Microsoft Windows

XP Tablet PC Edition 2005 version 2002,重さ:約1.48kg,サイズ:210.432mm(W)×

157.824mm(H),最大解像度時の入力の空間分解: 0.2055mm/pixel,入力デバイスは本体 取り付けデジタルペンである.

デスクトップPCは,OS:Microsoft Windows 2000,ディスプレイ:イーヤマ製17イン チSXGA TFT「AS4311U」,サイズ:337.92mm(W)×270.336mm(H),最大解像度時の 入力分解能:0.264mm/pixel,入力インタフェースはWA COM製タブレットを使用した. 実験用ソフトウェアは Microsoft Visual C++とSun Microsystems Javaを用いて作成し

(12)

2.2 実験デザイン た.なお,ソフトウェアの仕様はPDA用のソフトウェアと同様である(図2.2). 図2.1 PDA実験画面 図2.2 Tablet,Tablet PC実験画面

2.2

実験デザイン

2.2.1

入力字種

入力文字の種類はすべての実験で使用されたかな混じり漢字と枠の形状を変えての実験に 使用された英数字の2種類とした.

2.2.2

枠数

入力枠サイズは大きいものから小さいものまでさまざまな種類を用意して実験をおこなっ たため,枠数は2個とした.枠が1個だけでは筆記し終わったことを認識するまで待たなく てはならず,また入力枠の個数を3個以上にした場合,入力枠のサイズを大きくしたとき画 面に収まらないと考慮したためである.

(13)

2.3 実験1(比率を用いない縦長と正方形)

2.2.3

入力姿勢

PDAでのすべての実験は入力姿勢によって評価が換わってくる可能性があることを考慮 し,「座った状態で利き手にペン,他方にPDAを持ち,PDAを持った手を机の上において 筆記」という姿勢に限定した.

2.3

実験

1

(比率を用いない縦長と正方形)

文字の種類ごとにその形状も異なっている.英語や数字の形状は縦長であり入力枠も縦長 が適していることも考えられる.そこで縦長の文字入力枠を含めて実験を行い,形状による 影響を調査した.

2.3.1

被験者

21歳から23歳まで(平均年齢21.4歳)の大学生12名(男10名,女2名,右利き),内 1名は1年のPDA使用経験があった.

2.3.2

入力枠の形状及びサイズ

枠の形状は正方形と縦長とし,枠サイズについては文字種ごとに以下のとおりである. (1)英数字(W × H) • 0.96 × 0.96 cm (40 × 40 pixels) • 1.20 × 1.20 cm (50 × 50 pixels) • 1.44 × 1.44 cm (60 × 60 pixels) • 0.61 × 1.18 cm (25 × 49 pixels) • 0.85 × 1.42 cm (35 × 59 pixels) • 1.09 × 1.66 cm (45 × 69 pixels) (2)かな混じり漢字(W × H)

(14)

2.4 実験2(比率による縦長) • 1.20 × 1.20 cm (50 × 50 pixels) • 1.44 × 1.44 cm (60 × 60 pixels) • 1.68 × 1.68 cm (70 × 70 pixels) • 0.96 × 1.38 cm (39 × 57 pixels) • 1.18 × 1.62 cm (49 × 57 pixels) • 1.42 × 1.86 cm (59 × 67 pixels)

2.4

実験

2(

比率による縦長

)

実験1の入力枠の設定では最適値を明確に判断できなかった.実験で使用した縦長の入力 枠は比率を考えず,縦横に同サイズ加えて入力枠を設定したことが原因とされる.したがっ て比率を考慮した縦長の入力枠を用いた実験を行った.

2.4.1

被験者

20歳から23歳(平均21.9歳)までの大学生12名(男性8名,女性4名),内4名は1 ∼2年のPDA使用経験があった.全員が右利きである.

2.4.2

入力枠の形状及びサイズ

形状は,縦長枠の1種類にした.(1)英数字(W × H) (比率:WH = 1.96• 0.61 × 1.18 cm (25 × 49 pixels) • 0.74 × 1.44 cm (31 × 60 pixels) • 0.86 × 1.70 cm (36 × 71 pixels) (2)かな混じり漢字について(比率:WH = 1.46• 0.94 × 1.38 cm (39 × 57 pixels) • 1.13 × 1.63 cm (47 × 68 pixels)

(15)

2.5 実験3(形状) • 1.30 × 1.90 cm (54 × 79 pixels)

2.5

実験

3

(形状)

正方形の最適値と実験2で得られた比率を用いた縦長の最適値から形状についての比較を 行った.

2.5.1

被験者

20歳から22歳(平均21.3歳)までの大学生12名(男性8名,女性4名),内1名は1 年のPDA使用経験があった.なお,全員が右利きである.

2.5.2

入力枠の形状及びサイズ

形状は,正方形と縦長枠の2種類である.文字入力枠のサイズはかな混じり漢字と英数字 の最適値の両最適値(正方形,縦長)を用いる. (1)英数字 正方形:1.44 × 1.44 cm (60 × 60 pixels) 縦長 :0.74 × 1.44 cm (31 × 60 pixels) (2) かな混じり漢字 正方形:1.44 × 1.44 cm (60 × 60 pixels) 縦長 :1.13 × 1.63 cm (47 × 68 pixels)

2.6

実験

4

(横幅)

実験3では英数字の時の最適値を求めるには至らなかった.評価として英数字の場合でも 正方形の入力枠が好まれており,縦長の入力枠との差は見られなかった.これは実験で用い

(16)

2.7 実験5(年齢差) た入力枠の設定で基準とした比率によって得られた結果だと考えられる.そこで実験3で用 いた入力枠の大きさを基にして,横幅を変更した入力枠を増やして,比較することで再度実 験を行った.

2.6.1

被験者

20歳から23歳(平均21.5歳)までの大学生12名(男性9名,女性3名),内1名は1 年のPDA使用経験があった.なお,全員が右利きである.

2.6.2

入力枠の形状及びサイズ

実験3で用いた縦長枠を最小値とし,縦幅は固定し,横幅を約10pixelずつ増加させ,実 験3の正方形のサイズまでを設定した.以下の4種類が実際に使用した枠のサイズである. (W × H) 縦長:0.74 × 1.44 cm (31 × 60 pixels) 縦長:0.96 × 1.44 cm (40 × 60 pixels) 縦長:1.20 × 1.44 cm (50 × 60 pixels) 正方形:1.44 × 1.44 cm (60 × 60 pixels)

2.7

実験

5

(年齢差)

実験1 - 4で得られた結果は被験者を学生(若者)としている.若者は高齢者と比較して も入力パフォーマンスで優れており,実験で得た最適値がすべての使用者にとって有効であ るかの判断はできない.したがって高齢者に対して若者と同様の実験を行ってもらい,その 結果を若者と比較した.

(17)

2.8 実験6(学習効果)

2.7.1

被験者

被験者の年齢を60 歳から70 歳とし,右利きの男女12 名を対象として実験を行った.平 均年齢は63.3歳で,PDAの使用経験はなかった.また,視力についてはほとんどの被験者 が老眼であったが,老眼鏡などを利用することにより文字入力に関しての支障はなかった.

2.7.2

入力枠の形状及びサイズ

文字種はかな混じり漢字とした.英数字を用いなかった理由は,現在の高齢者が本実験時 に初めて英字を筆記する場合があると考えられるためである.初めて筆記する文字で実験を 行うと,結果に影響を与える可能性があるため,かな混じり漢字のみの実験を行った.文字 枠のサイズは,実験4で得られた結果を基にそれより20 pixels ずつ小さいサイズから大き いサイズまでの4 種類を用意した.以下に実際のサイズを示す. • 0.96 × 0.96 cm (40 × 40 pixels) • 1.44 × 1.44 cm (60 × 60 pixels)(若者の最適値) • 1.92 × 1.92 cm (80 × 80 pixels) • 2.40 × 2.40 cm (100 × 100 pixels)

2.8

実験

6

(学習効果)

実験1 - 5までのすべての被験者は熟練度を考慮しておらず,熟練度の違いで最適値に影 響を与えるかは明確ではない.そこでPDAの使用に慣れていくことで最適値に影響がある のかを検証した.

2.8.1

被験者

20歳から23歳(平均21.3歳)までの大学生12名(男性9名,女性3名),PDA使用 経験のないものとした.なお,全員が右利きである.

(18)

2.9 実験7(Tablet PC)

2.8.2

入力枠の形状及びサイズ

文字枠のサイズは,実験4で得られた結果を基にそれより10 pixelsずつ小さい枠を3 種 類を用意した.以下に実際のサイズを示す. • 0.96 × 0.96 cm (40 × 40 pixels) • 1.20 × 1.20 cm (50 × 50 pixels) • 1.44 × 1.44 cm (60 × 60 pixels)(実験4の最適値)

2.9

実験

7

Tablet PC

今までの実験結果はPDAという画面サイズが非常に限定された環境下で行われた最適値 で入力デバイスとしてPDA取り付けのスタイラスペンであった.したがって,ディスプレ イサイズが大きくなる場合と入力デバイスが異なる場合での影響は定かではない.そこでペ ンを入力デバイスとして使用されるTablet PCを用いて最適値を導いた.

2.9.1

被験者

20歳から22歳(平均21.4歳)までの大学生12名(男性10名,女性2名,右利き)ま た,実験以外でのTablet PCの使用経験は全員なかった.

2.9.2

入力枠の形状及びサイズ

• 1.44 × 1.44 cm (70 × 70 pixels) • 1.85 × 1.85 cm (90 × 90 pixels) • 2.26 × 2.26 cm (110 × 110 pixels) • 2.67 × 2.67 cm (130 × 130 pixels)

(19)

2.10 実験8(Tablet)

2.10

実験

8

Tablet

実験7ではTablet PCを実験機器として用いた.しかし,PDAとTablet PCは両入力 デバイスとも入力方法はディスプレイへの直接入力となっている.そこで,間接入力を行 うTablet を用いて実験を行い最適値を求め,デバイスの種類による影響について検討を 行った.

2.10.1

被験者

20歳から22歳(平均21.4歳)までの大学生12名(男性10名,女性2名,右利き),ま た1名は3年のTablet使用経験があった.

2.10.2

入力枠の形状及びサイズ

実験7の枠サイズに合わせて以下のように設定した. • 1.45 × 1.45 cm (55 × 55 pixels) • 1.85 × 1.85 cm (70 × 70 pixels) • 2.27 × 2.27 cm (86 × 86 pixels) • 2.67 × 2.67 cm (101 × 101 pixels) なお実験7の枠サイズと多少異なるのは,そのディスプレイの入力空間分解に多少の差が あるためである.

(20)

3

分析内容と考察

筆記データの分析目的は先行研究(文献[1])の最適な入力枠を求めることとは異なり,固 定された入力枠を求めることではなく,入力枠を変更した場合に使用者ごとで書きやすい入 力枠を提供できることを目的としている.手法として,関連研究[2]と同様にして相関関係 から回帰式を求める方法と,入力文字が入力枠に収まる比率から最適値付近の比率を求める 方法から検証を行った.また対象とした字種はかな混じり漢字とした.理由はPDA等の情 報携帯端末で使用している手書き文字入力枠が正方形を使用しているからであり,英数字は 英語と数字と異なる字種を含めているからである.関係式を求めるためにまず,相関関係で は文字種によって相関関係の違いを調べ,かな混じり漢字が回帰式に適しているのかを調査 した.次に実験1 - 8の実験ごとで文字自体の相関関係を調べた.入力枠サイズによって比 率がどのように異なるのかを検証した.入力文字が入力枠に収まる比率から最適値付近の比 率を求める方法では正方形の入力枠をサイズごとで比率を求めた.

3.1

相関関係

8回の実験ごとに筆記された文字と入力枠の相関調査を行った.相関については,相関係 数の値から相関のあるなしを判断できる.数値が1に近い程,相関関係が高く逆に0に近い 程,相関関係は低くなっている.一般的な相関の基準は以下のとおりである. ・相関係数(r)の絶対値の範囲  0 ≦ | r | < 0.2 ほとんど相関無し  0.2 ≦ | r | < 0.4 やや相関あり

(21)

3.1 相関関係  0.4 ≦ | r | < 0.7 かなり相関あり  0.7 ≦ | r | ≦ 1 強い相関あり

3.1.1

字種ごとの相関

文字自体の相関関係を調べるため,かな混じり漢字と英数字を実験ごとで分類して字幅, 字高の相関を出した.そして実験ごとに被験者数や実験で筆記した文字数は違うが,かな混 じり漢字と英数字の結果に明確な違いが表れた.かな混じり漢字の相関係数は 0.5∼0.9付 近と高い値を持つことがわかった.それに対して,英数字は相関係数が0.1∼0.4付近と低い. 理由として日本語の文字特性が正方形の枠に適しており, 文字全体が比率的に整っているか らと考えられる.一方英数字は英単語と数字を混在させた結果,縦長な形状の多い数字の特 徴が英語の相関に現れてしまっていることが要因になっていると考えられる. 実験データには英語と数字を分けて実験を行なったデータが無かったため,数字のみ,英語 のみの相関関係を調べるには至らなかった.図3.1は実験5(高齢者)のかな混じり漢字の 相関結果である. 図3.1 実験5(高齢者)の相関 枠の形状が縦長や正方形に関係なく相関の分布は変わらないものであった.また高齢者と

(22)

3.1 相関関係 若者ではその差は見られなかった.つまりかな混じり漢字は,若者から高齢者の年齢差が あっても筆記される文字の予測サイズが容易であるということになる.筆記された文字の一 辺(字幅か字高)が分かっていれば残りの一辺(字幅か字高)は回帰式で求められる. 図3.2は実験4(形状)の英数字の相関結果である.分布に偏りがなく無相関であること が分かる.使用した枠の形状は正方形であるが長方形で行った結果も相関関係は見られず, 英数字についてはすべて無相関な相関分布であった.このことはかな混じり漢字と違って回 帰式を用いても文字サイズの予測ができないという結論となった. 図3.2 実験4(形状)の相関

3.1.2

実験

1 - 8

の相関

高齢者と若者の比較 実験1 - 8で筆記された文字の字幅,字高の相関をみると若者より高齢者の筆記した文字 は相関係数が高い.理由として高齢者の身体能力の低下が挙げられる.若者と違い入力時間 は遅いため逆に文字を正確に筆記したのではないかと考えられる(図3.3). まず,文字入力枠サイズの最適値については若者と高齢者は同様であった.実験データか ら筆記する文字の大きさも若者と高齢者に大きな違いは見られなかった.これらのことか

(23)

3.1 相関関係 図3.3 最適値における年齢差の比較 ら,文字入力枠に対する文字の大きさは年齢差に関係しないといえる.その理由は,人が 筆記する文字の大きさは身体的な要因で変化するものではなく,経験によって個人ごとに定 まった大きさになっているためであると考える.文字の大きさについて年齢差によって大き な変化が見られなかった理由として,日常生活において文字を筆記する場合,例えば葉書き の宛名や郵便物受け取りの署名などの際に筆記する文字の大きさは,若者も高齢者も大きな 違いはないためであると考える. 枠の形状 入力枠枠の形状が正方形と長方形の違いによる相関の差は字種(英数字,かな混じり漢 字)ごとで見ても違いは見られなかった.英数字は形状が縦長であるため,縦長の入力枠で 筆記したほうが相関が高いと予測したが,正方形の入力枠でも筆記する文字は同じであるこ とが分かった. かな混じり漢字は字種の形として正方形であると考えてしまうが,実験1 - 6までのPDA 実験での枠サイズごとで筆記データの字幅,字高の平均値を求めた結果,すべての入力枠サ

(24)

3.1 相関関係 イズで字高のほうが字幅より大きいことが分かった(図3.4). 図3.4 かな混じり漢字の字幅,字高の比較 かな混じり漢字は英数字と同様に字種が縦長であるため,入力枠の形状が違っていても相 関に差が見られなかった.

3.1.3

相関まとめ

実験1 - 8の結果,デバイスや年齢差による快適に筆記可能な枠サイズの変化はなく最適 値は同じであるが,個人ごとに筆記しやすい枠サイズは多少異なることが分かっている.し たがって,使用者の筆跡情報から,その使用者に適した枠サイズを提供する関係式を相関関 係より求めた.使用したデータは,実験1 - 8の正方形とした様々な入力枠で得られた,枠 の幅,枠の高さ,被験者総数96名から1人ごとに平均的な字幅,字高のデータを用いた. ここで求めているのは被験者が筆記する上でもっとも書きやすい文字の大きさで筆記できる ようにすることである.予測するために行う回帰式に用いる字幅や字高の筆記データは平均 値をとったほうが良いと判断した.被験者1人1人の平均的な値であれば整った文字サイズ

(25)

3.1 相関関係 になるからである. 以下が回帰分析の結果で得られたかな混じり漢字における回帰式である. (1) 枠幅と字幅の回帰式 Y = 1.46X + 13.62 (3.1) R2 = 0.74 (3.2) (Y:枠幅,X:字幅) (2) 枠高と字高の回帰式 Y = 1.28X + 12.13 (3.3) R2 = 0.70 (3.4) (Y:枠高,X:字高) (3) 字幅と字高の回帰式 Y = 0.88X − 1.13 (3.5) R2 = 0.95 (3.6) (Y:字幅,X:字高)

(26)

3.2 面積比

3.2

面積比

相関関係と同様に面積比もかな混じり漢字のみとし,その予測する入力枠を正方形のみと した.比率は単純に筆記された1文字の面積を入力枠の面積で除算した値を被験者ごとで平 均値を出したものとした.実験1-8までの入力枠を正方形,字種をかな混じり漢字としたす べての筆記データから入力枠に収まる文字サイズの比率を算出した.結果として入力文字が 入力枠の中で占める割合は平均して0.28∼0.41(28%から41%)付近であることが分かっ た. 実験機器ごとで分類したとき,筆記された文字と入力枠の面積比率は異なる.

3.2.1

機器ごとでの分類

小型であるPDAと画面サイズが大きなTablet,Tablet PCでは比率が異なる結果になっ た.まずPDAでは最適値とされる入力枠の比率は0.35付近であることが分かった(図3.5). 図3.5 枠サイズごとの面積比(PDA)

PDAを用いた実験(図3.5)では入力枠のサイズが80x80pixelと100x100pixelは高齢者 の実験で行われた筆記データを基にしており,高齢者は身体能力や視力の低下から若者より

(27)

3.2 面積比 筆記する文字のサイズが大きくなることが予測される.そのために(図3.5) では比率が高く なっている. 若者だけの比率で見ると入力枠が大きくなるにつれて筆記された文字が入力枠に収まる割 合は低くなっている.これは筆記された文字と入力枠との間に空白の部分が増大しているこ とを示す.入力枠が大きければ筆記する文字も大きくはなるがある程度のサイズでとどまっ ていることが考えられる.つまり書きやすい文字のサイズは被験者ごとで定まっており,入 力枠に合わせて筆記する文字のサイズを変えることによって書きやすさ,書きにくさが生じ ている. 図3.6 枠サイズごとの面積比(Tablet PC) 図3.6は実験7の入力枠に収まる筆記された文字の割合である.PDAと同じように直接 的に入力をおこなっているが比率は低い.実験で被験者が筆記した文字は入力枠に対して小 さく筆記したことになる.比率もすべての入力枠で0.2付近であり,どの入力枠に対しても 筆記している文字のサイズが小さいことがわかる.

(28)

3.2 面積比 図3.7は実験8の入力枠に収まる筆記された文字の割合である.PDAやTablet PCと異 なり間接的に入力をおこなっているが比率は Tablet同様に低い結果になった.このことか ら画面サイズの変化によって視覚的,心理的な要因が働き筆記する文字の大きさも変化した のではないかと考えられる. 図3.7 入力枠サイズごとの文字の収まる面積比(Tablet)

3.2.2

面積比まとめ

比率のみを参考にした結果,同じ入力枠を用いても使用機器が異なり画面サイズが大小と 様々であった場合や,入力方法が直接的か間接的かの違いで筆記される文字の大きさは異な るという結論とした.したがって比率を用いた関係式もデバイスごとで異なる. (1) PDAの比率を用いた関係式 Y = (X ÷0.35)÷2 (3.7) (Y:枠幅(枠高),X:平均の面積)

(29)

3.2 面積比

(2) Tablet,Tablet PCの比率を用いた関係式

Y = (X ÷0.25)÷2 (3.8) (Y:枠高(枠幅),X:平均文字の面積)

(30)

4

おわりに

4.1

結論

使用者が快適に筆記可能な手書き文字入力枠を固定された値ではなく,使用者ごとで快適 に筆記可能な,異なった入力枠を求めるための関係式を求めた.使用者は個人ごとで筆記す る文字の大きさは異なるため必ずしも入力枠は一定のサイズでは良いとは言えない.ここで 求めた関係式は筆記した文字と入力枠の相関関係から導き出した回帰式と,筆記した文字の 面積が入力枠の面積に収まる比率から快適に筆記することができる比率の関係式である.文 字を筆記する時,入力枠に収まる大きさで文字を筆記することから文字と入力枠には相関関 係があり,回帰式が求められたり面積の比率を利用することができる.この結果は使用者が 快適に筆記する入力枠を提供するだけでなく,ヒューマンインタフェース分野において手書 き文字入力枠の設計の手助けになるものと考える.

4.2

今後の課題

1. 使用者ごとで入力枠を変更しての評価  本稿で求められた回帰式と面積比は実験 1 - 8までの筆記データから得られた結果で あり,その評価を行う必要がある. 2. 回帰式の予測範囲の制限問題関係式の手法としては2通りになったが使用機器によって はこの関係式は使えない場合もある.問題としては先行研究 [1]で行われた実験1 - 8 で使用した入力枠が最小サイズで40 x 40 pixel,最大サイズで130 x 130 pixelしか用

(31)

4.2 今後の課題 いられていない.このことは回帰式で入力枠を予測する上で使用した入力枠より小さい 場合や大きい場合では予測に適していないことになる.また比率の関係式ではデバイス が変わるたびに関係式を変えなくてならないので定まった入力枠を求められるとは言え ない. 3. 字種ごとでの相関式に対する課題  求められた回帰式はかな混じり漢字のためとなっている.しかし,世の中には多くの 文字種が存在しており,形状も様々なものと分かっている.したがって,文字種ごとに 相関式を求め,使用者に適した枠サイズを提供する必要がある. 4. 入力の空間分解能の問題  実験で用いたデバイスにおける入力の空間分解能は3デバイスとも約0.2 mmであっ た.このことが実験で得られた最適値に影響していることが考えられる.例えば,大学 ノートなどへの筆記の場合,罫線の間隔は狭いが,その間隔に合わせて書くことに違和感 を感じない.入力の空間分解能の性能が上がり,紙への筆記と同様の環境があるならば, 最適値は本研究で求めたものよりサイズが小さくなることが予測される.このような影 響を調査するため,紙ベースでの実験を行う必要があると考える.

(32)

謝辞

本研究を行うにあたり,指導教員の高知工科大学情報システム工学科任向実助教授には多 大な御指導,御助言をいただきました.本論文を執筆するにあたり多くの助言をいただいた ことに心よりお礼申し上げます. 本論文に関して,副査を引き受けてくださり,貴重な御意見をくださった高知工科大学情 報システム工学科木村義政教授,浜村昌則助教授に心から感謝いたします. 本研究および学生生活に関して,多大な御助言と激励をいただいた,任研究室の土田智章 氏,三浦庸介氏,高橋秀明氏,西宗秀明氏また卒業した任研究室生諸氏,現在の任研究室生 諸氏に心からの感謝の意を表したいと思います.

(33)

参考文献

[1] 加藤泰史,“手書き文字入力枠の最適値とそれをベースにした手書き文字入力インタ フェースの開発”,平成16年度 修士学位論文,2004.

[2] 任向実,守屋慎次:手書き入力における字枠と行枠の幅と高さの関係式,情報処理学会 論文誌,Vol.39,No.7,pp.2298-2307 (1998).

参照

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