岩医大歯誌 8巻3号 1983
術のバリエーションとが含まれている。今回,演者ら が試作した経頭蓋撮影専用の顎関節部X線規格撮影装 置は少なくとも同程度の再現性を有するものと確信し
ている。演題2.接着性レジンの臨床応用について 第1報 4−META含有接着性レジンの 臨床応用
213 の点有機系接着材の応用は接着層に大きな応力集中を 来す危険があると考えるが。
回 答 :岩本一夫(補綴1)
4−META含有接着性レジンは在来のセメント類と 異なり,疎水性素材であり,有機質高分子であるため に耐水性に優れ,機械的強さが格段に勝っている。こ れらのことより,充分に歯科用接着剤として右効と考
える。
。雪田卓志,岩本一夫,戸田慎治,
渡辺雅江,根本秀樹,金森敏和,
田中 久敏
演問3.感染根管治療における予後不良2症例の報告
。
遠藤 修,斎藤裕志,村上直美,
八幡昌介,鈴木鐘美*
岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座
近年の高分子化学の急速な進歩に伴って,歯科医学 のあらゆる分野において,接着性レジンの研究ならび に開発がなされ,臨床においても多方面にわたり応用 されている。本教室においても, 陶材とレジンとの 接着 について,以前より基礎研究ならびに臨床応用 を行い,過去数回にわたり,日本補綴歯科学会等にお いて報告している。今回は,更に 陶材,歯質,金 属 の三者に接着するレジンの開発の検索にあたり,
歯質と金属に強固に接着する4−META含有接着性レ ジンを臨床的に応用し,咬合の改善ならびに審美性の 回復をはかり,次のような結果を得た。
1 少数歯欠損において,4−META含有接着性レ ジンを用いた,Adhesion bridgeは,その適応 症,デザイン,および術式等を充分に考慮すれ ば,最少限の歯牙の削除にとどめることができ,
咬合の改善ならびに審美性の回復をはかることが できた。
2 抜歯を余儀なくされた症例において,床用レジ ンである,4−META含有接着性レジンを使用 し,使用中のCo−Cr金属床に増歯を行った場合 には,特別な保持機構を与えなくても,シジンと 金属の接着は強固で,その保持力は充分に機能に 耐えることができた。
3 接着という概念を歯科医療に導入することは,
これからの歯科医療の技術革新に大きな役割りを 果たすものと考えられ,さらに,今後の材料学的 研究並びに開発が不可欠のものと考えられる。
質 問:亀田 務(理工)
歯冠修復物の支台歯への接合については,接合層の 弾性係数が,接合強さを決定するとも云えるので,そ
岩手医科大学歯学部歯科保存学第一講座 岩手医科大学歯学部口腔病理学講座*
歯内療法が失敗に終る原因としては,全身的因子お よび局所的因子,またはこの両者が組み合わさったも のによって引き起こされると考えられる。局所的因 子,特にその内の技術的な因子としては,不完全な根 管の清掃,拡大,形成や不完全な根管充填等がある。
また歯周組織内における慢性炎症,即ち,肉芽組織や のう胞の存在も失敗の一因と考えられる。今回我々 は,通常の根管治療を施しても,臨床症状が改善され なかった2症例について最終的に根尖切除術を試み,
その予後と根尖部の病理組織学的検索を行なった。2 症例のうち,症例1は歯根のう胞と診断されたが,症 例2は根尖部軟組織が一部しかなく病理診断は確定で きなかった。症例1においては根尖部セメント質内に 多数の亀裂が見られ,その内部に深く潜在する細菌感 染に対して歯内療法の効果がおよぽず根尖部の治癒経 過が不良になったものと推察され,一方,咬合性外傷 の存在も原因の一つと思考された。また症例2におい ては根尖部硬組織のH.E.染色標本より, G. P.
が根尖部につき出ていた所見から,G. P.の機械的 刺激やその他糊剤等の化学的刺激により症状を呈した ものと考えられた。以上のことから通法の根管治療後 の経過が思わしくない場合は,cyst formationや,根 尖部硬識織内部の感染等も考慮して,根尖掻爬や根尖 切除,減圧療法等の外科処置とその併用療法を行なう ことによって治癒を期待することが出来るものと思わ
れる。演題4.昭和57年の本学歯学部付属病院における病理
214
検査の実態について
。武田泰典,鈴木鍾美
岩手医科大学歯学部口腔病理学講座
昭和57年に本学歯学部付属病院でなされた病理組織 検査について,症例の内訳けを述べるとともに,歯学 部における病理検査の特殊性について考察した。
昭和57年に扱かった生検材料は約500例であり,そ の内訳は腫瘍性病変が26.5%,嚢胞性病変が27.1%,
炎症性病変が18.6%,腫瘍類似病変が3.5%,その他 が2十3%であった。検体の出所の大部分は口腔外科で あったが,他に保存科,小児歯科,医学部耳鼻科,総 合病院歯科,個人開業医からのものもあった。医学部 に比較して扱かった検体数は少ないものの,歯学部に おいては硬組織検体が多いこと,歯原性腫瘍があるこ と,嚢胞性病変が多いこと,その出所は1科(ロ腔外 科)がほとんどであること等がきわだっていた。この 内の稀少症例としては次のようなものがみられた。
:oral florid papillomatosis, cystic l)ygroma colli,
amyloid deposit in the floor of mouth, Ewing s sarcoma, periapical cemental dysplasia, grarnular
Ce 11 tumor.
一方,剖検例は5例であり,その内訳はmalignant fibrous histiocytomaとsquamous cell carcino㎜
(unusuall type)がそれぞれ1例, squamous cell carcino㎜が3例であった。
臨床検査は疾病の診断や治療指針に不可欠であり,
近年,臨床病理学や外科病理学の発達に伴い病理学の 中でも検査の分野が重要な位置を占めるようになって きた。とくに病理組織検査は他の諸検査と異なり,そ の結果は確定診断となるためその重要性はいう迄もな い。年度毎に扱う検体も増加しており,検査を円滑に 行うにあたっては各科との連携はもとより,学部なら びに病院全体のより一層の御理解を仰ぎたい。
演題5.電子計算機を用いた動物実験計測システム
。平 孝清,松本範雄,染井宏祐,
佐藤 匡,鈴木 隆
岩手大学歯学部口腔生理学講座
大脳皮質体性感覚野,特に口腔投射野のニューロン
岩医大歯誌 8巻3号 1983 の活動を記録し,その回路網を解析する目的で電子計 算機を利用した動物実験計測システムを開発した。本 システムでは脳内での記録電極の位置決めや刺激印加 の制御が可能である他,誘発電位,インパルス列およ び脳波として得られるニューロン活動の記録や解析が 一 括して行えるようになり,動物実験に伴う一連の操 作の自動化が可能となった。このシステムはデータ収 集部とデータ解析部の二部分に大別される。データ収 集部は,記録電極,前置増幅器,オシロスコープ,信 号処理装置などから成るデータ記録系とステップモー タ,油圧駆動装置,皮質チェンバから成る電極位置決 め系とで構成される。これらの装置全体はマイクロコ ンピュータによって制御され,実験室内に設置されて いる。一方データ解析部は収集された大量の応答デー タに対して数値解析や画像解析を行なう部分で,カラ
ー
ディスプレイ,レーザービームプリンタ,磁気テー プ,磁気ディスクなどの入出力装置を有する大型汎用 計算機システムで構成されている。これら二つの処理 部は異なった場所に設置されているため,データ交換 媒体として,軽便さと経済的理由からカセット磁気テ
ー プを用いた。本システムを実際に用いて,ネコの犬 歯に与えた機械的刺激に対する誘発電位分布を冠状回 表面(範囲3.8mln×3. Omm)の320点で記録収集
し,ついでこれらのデータの画像解析を行なって誘発 電位分布の時間的変化を動画像としてカラーディスプ レイ装置に出力表示した。その結果,本システムを用 いることにより,データの解析精度が改善され,特に 実験操作やデータ解析に費やされる時間が大幅に短縮 されることが明らかになった。この装置によってさら にインパルス列や脳波を同時に記録,解析することに より,大脳皮質内のニューロン活動を詳細にかつ多元 的にとらえることができるものと考える。
質 問:亀田 務(理工)
ユニークな考え方であるが,こうした装置では応答 速度が問題になると思うが。
回 答:平 孝清(口生理)
御指摘のように,マイクロコンピュータのデータ処 理速度は遅い。これを考慮して我々は,信号処理装置
(シグナルプロセッサ)によって速いデータ処理を行 ない,そのあとの比較的遅いデータ処理をマイクロコ ンピュータによって行なうというシステム構成を採用
した。