新・眼科診療アップデートセミナー2017
in Kyoto
Q&A 集
開催日時: 2017 年3月 25 日(土)
・26 日(日)
2017 年 3 月 25 日(土曜日) モデレーター 木下 茂(京都府立医科大学) 多焦点コンタクトレンズ 最近の進歩 濱野 孝(ハマノ眼科) メタボリックシンドロームと眼底疾患 瓶井 資弘(愛知医科大学) 加齢黄斑変性へのアプローチ 辻川 明孝(京都大学) 網膜循環障害への血管内アプローチ 門之園 一明(横浜市立大学) ドライアイ治療アップデート 堀 裕一(東邦大学) 角膜上皮再建術アップデート 西田 幸二(大阪大学) 角膜内皮障害の治療法 木下 茂(京都府立医科大学) 続発性緑内障 相原 一(東京大学) ぶどう膜炎の難症例 大黒 伸行 (JCHO 大阪病院) ぶどう膜炎治療と生物製剤 望月 学(東京医科歯科大学) 斜視のボツリヌス毒素療法と低侵襲斜視手術(MISS) 三村 治(兵庫医科大学) 2017 年 3 月 26 日(日曜日) モデレーター 大橋 裕一(愛媛大学) シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズアップデート 糸井 素純(道玄坂糸井眼科) 瞬目関連疾患の臨床 大橋 裕一(愛媛大学) 角膜感染症の鑑別と治療の考え方 外園 千恵(京都府立医科大学) 緑内障の MIGS 治療 桑山 泰明(福島アイクリニック) エビデンスに基づいた緑内障診療 谷原 秀信(熊本大学) 近視と緑内障 杉山 和久(金沢大学) 病的近視アップデート 大野 京子(東京医科歯科大学) 中間透光体の再建に向けて~水晶体から硝子体まで 大鹿 哲郎(筑波大学) iPS 再生医療の今後 高橋 政代(神戸理化学研究所) 今後の専門医制度 石橋 達朗(九州大学)
多焦点コンタクトレンズ 最近の進歩 ハマノ眼科 濱野 孝 先生 3 月 25 日(土) 13:40-14:05 Q 高齢者にCL を装用する場合、ドライアイと結膜弛緩症に対してどのような対応をされていますか。 A モイストマルチフォーカルは、ある程度保水力の有る素材のため軽度のドライアイでは問題ないと思います。実際に診察していて処方した例で、高度の弛緩症の症例はありませんでした。 Q 2W のマルチフォーカル SCL のお勧めはありますか。 A 現時点では、特にお勧め出来るレンズはありません。 メタボリックシンドロームと眼底疾患 愛知医科大学 瓶井 資弘 先生 3 月 25 日(土) 14:05-14:30 Q
RVO の症例で non perfusion area が広範囲に認められる場合、CME の有無は別としてレーザー光凝固はやはり 行わないのでしょうか。
抗VEGF 抗体投与のみで non perfusion area からの新生血管も抑えられるということでしょうか。
A
CRVO の高度虚血が頼みレーザー光凝固を初期から行います。BRVO に対しては NPA が広範囲でも初期からレ ーザー光凝固は行いません。抗VEGF では新生血管の発症を抑えることはできないというデータが出ております が、NPA の広い症例に新生血管を生じる率は BRVO、CRVO ともに30%弱ですので、新生血管が生じてから の症例でも硝子体出血を生じる症例に対する予防投与には有用と報告されています。 Q DME 困っております。 1)まずSTTA をしております。そこで眼圧上昇または効果なしで抗 VEGF はいかかでしょうか。 2)SRF があるときは全例、抗 VEGF でしょうか。 3)患者の経済状況が許す限りは反復治療でしょうか。 A 1)まず螢光眼底で漏出点が判明するものはレーザー治療が第一選択。 STTA は硝子体術後以外にはあまり用いることはないと思います。 2)SRF の有無は抗 VEGF の適応になることはありません。 3)レーザーや硝子体手術が効かない場合で抗VEGF に反応する場合は反復治療しかないと思います。 Q 抗VEGF の適応として3か月以内の脳梗塞、心筋梗塞とありましたが、現在使用できる抗 VEGF 薬はすべての 人に当てはまるのでしょうか。 安全面を含め、エビデンスはあるのでしょうか。 A 透析が始まると自然軽快する症例が多いため、全身管理も重要になってきます。 すべてにあてはまりますが、エビデンスは乏しいです。というのは安全性を評価した大規模臨床試験ではエント リー基準に3か月以内での梗塞病変を有する患者は除外されているからです。逆にエントリー基準に見合った症 例(3か月以内)では安全性が証明されております。
加齢黄斑変性へのアプローチ 京都大学 辻川 明孝 先生 3 月 25 日(土) 14:30-14:55 Q 抗VEGF 薬を繰り返し投与すると地図状萎縮ができる原因はなんでしょうか。 A 原因は不明です。一般的に生体内にもあるので、ルセンティスよりアイリーアの方がリスクが高いとされています。 VGF を恒常的に抑えることでダメージが起こると考えられています Q pachychoroid reovasculopathy の患者様(72 歳男性 狭心症既往)に 3 回ルセンティスで無反応(丈の低い SRD+ RPD)、4 回目にアイリーアで SRD が消失しました。(狭心症既往のため 4 回目からアイリーアを選択しました。) この理由ですが、アイリーアが効いたのか、それとも4 回目の注射だったためでしょうか。 また次回注射時はルセンティスでの確認が必要でしょうか。 A アイリーアの方が網膜色素上皮下病変に効果が高いと考えられていますのでアイリーアが効いたのかもしれないです。いずれにせよ今回アイリーアが効いたのだから次回もアイリーアでよいと思います。 Q 乳腫や下液がなくなっても視力が不変である場合、注射 はどうされますか。 A 抗VGF 薬は CNV の活動性、血管透過性を減少させる作用をもつものですので、そういう所見がなければ使用 しません。 網膜循環障害への血管内アプローチ 横浜市立大学 門之園 一明 先生 3 月 25 日(土) 14:55-15:20 Q tPA 治療の手術が 72 時間以内にできない場合、神経内科・脳神経外科に tPA 治療を行って頂いて脳血流を増やすことは効果がありますでしょうか。 A 可能です。但し、眼動脈治療の経験のある施設である必要があります。諸外国では、血管造影を用いた血栓溶解 療法がおこなわれていますが、脳梗塞の合併症がありえます。 Q 夜間に大阪でCRAO 疑いの患者が来た場合、門之園先生の所に翌日受診していただくなどは可能でしょうか。 A 現在、関西地区で同様の血管内治療の開始を予定している施設があります。開設するまでの間であれば、横浜で 対応はもちろん可能です。ご紹介ください。 Q CRVO のカニューレ治療で網膜動脈全体に行き渡るのであれば、CRAO も中心静脈内投与で効果が出る可能性があるのではないでしょうか?もしそうだとすれば同じ手技でもよいのではないでしょうか。 A 血栓を薬理学的に溶解するある程度の有効性はあると思います。但し、篩板内に存在するプラークを機械的に除 去する効果は、動脈内投与に比較して静脈内投与は劣ると思います。
ドライアイ治療アップデート
東邦大学 堀 裕一 先生 3 月 25 日(土) 15:40-16:05
Q Dumple Break、Random break をもう少し説明していただけますか。
A
Dimple break は涙液を上方にぬりつけるときに生じます。よって角膜中央部付近に生じるため視力への影響が 大きいです。
Random break は正常でも生じて、涙液層がぬりつけられた後から break が生じます。そのため様々なところ に生じます。異常所見ではありません。 Q ジクアス使用で糸状角膜炎を発症、悪化させる症例があります。どのような症例に多いのでしょうか。対応はどのようにするのが良いでしょうか。 A ジクアスを使用することによって、分泌型ムチンの量が増えます。糸状物の構成成分にはムチンがあるためジク アスを点眼してムチンが増えることで糸状物が増え、悪化する可能性があります。そのため糸状角膜炎の場合は ジクアスについては慎重投与とします。対応としては低力価のステロイドまたは涙液を増やす治療がよいと思わ れます。 痛みに関しては治療用コンタクトも有用です。 Q ドライアイの定義が変更されたとのことですが、そのうち BUT5秒以上という条件や NIBUT で代用すること ができるのでしょうか。たとえば、NIBUT と BUT の関係を調べておき、BUT5秒に相当する秒数異常の NIBUT を基準に定めるなど、ご検討はされてないでしょうか。何卒ご教示いただきますようお願い申し上げます。
A フルオレセイン染色によるが、NIBUT とフルオレセイン染色の関係がよくわかっていないので今後の検討課題です。 BUT 測定を診断基準にしています。検査機器で NIBUT を測定することは可能です
Q マイボーム腺機能障害が合併している上皮障害を伴うドライアイの治療方法について教えてください。一時的プラグは間違いでしょうか。 A マイボーム腺機能不全とドライアイは分けて考えるほうが治療しやすいと思います。MGD で生じている症状は MGD の治療、たとえば温罨法やクラリス内服薬などで行います。ドライアイの治療についてはドライアイとし て行うほうがよいと思われます。 涙液減少型ドライアイへの一時的な治療としては間違っていません。 Q 高齢者慢性結膜炎(マイボーム関連?)において、その分泌物によるためか、涙液層は不安定になりますし、強 い愁訴を伴います。定義からはドライアイ(何らかの原因による)に含まれているのでしょうか。治療法は異な ると思うのですが。 鑑別についてもご教示ください。 A ドライアイの症状があってBUT が減少していればドライアイとなります。慢性結膜炎が合併している場合は慢 性結膜炎の治療が優先されます。たとえば、抗生剤の治療やステロイドの使用です。マイボーム腺関連に関して はMGD の治療(温罨法やマッサージ)を行います。 Q Lid-Wiper Epitheliopathy はリサミングリーン、ローズベンガルがないと診断しにくいとのことですが、フルオ で染まる例は正常でしょうか。 幅広く染まる例ではLWE と診断してはいけないでしょうか。 A フルオレセイン染色で眼瞼の縁が染まる症例はあると思いますが、その場合、MGD による marks line の前方移 動と間違えやすいので注意が必要です。リッドワイパーはあくまでも眼瞼結膜に存在します。皮膚粘膜以降部と 間違えやすいので注意してください。
Q 難治性の糸状角膜炎の治療について教えてください。糸状角膜炎とリウマチなどの自己免疫性疾患との関連はあ るのでしょうか。 A 低力価のステロイド、レバミピドも有効だと思います。眼瞼との摩擦によって悪化しますので、治療用コンタク トレンズも有効です。その場合コンタクトレンズの管理が必要になってきます。 リウマチにより角膜に炎症が生じて、糸状角膜炎が悪化することは十分に考えられます。またリウマチでは二次 性シェーグレンにより涙液量が減少しているため、糸状角膜炎の悪化に影響しています。 Q ドライアイとマイボーム腺分泌物の関係はどうなっているのでしょうか。 角膜の性状分析だけで A 最近の研究でマイボーム腺から分泌される油は涙液層の蒸発には関係していないのではないかといわれていま す。マイボーム腺の油は眼瞼から涙液がこぼれないようにブロックしてると考えられています。ですので、ドラ イアイとMGD は分けて考えて治療する必要があると思います。 Q リサミングリーンの入手方法を教えてください。 A リサミングリーンはドライアイ研究会にご相談ください。 Q シェーグレン症候群を否定された薬剤性でない(緑内障点眼など使用していない)結膜炎もない、難治性のSPK で類天疱瘡のような疾患を疑うとき、診断、治療はいかがでしょうか。 A 類天疱瘡では難治性の慢性結膜炎とドライアイ症状が特徴的です。結膜炎のないSPK だと眼瞼との摩擦が一番 考えられるのではないでしょうか。治療用コンタクトレンズの使用も選択肢の一つかと思います。 Q 辺縁角膜潰瘍患者の安定期の維持療法としてレバミピドは有効でしょうか。 A エビデンスはないですが、有効な症例も多いと思います。低力価のステロイドを使うことが有効ですが、ステロ イドの副作用を考えると、レバミピドの使用も良いかと思います。 Q シェーグレン症候群の診断基準の蛍光色素試験陽性の詳しい基準を教えてください。 A 実は詳しい規定はなく、現在の診断基準ではフルオレセイン染色もしくはローズベンガル試験で少しでも角結膜障害がみられれば陽性となります。 角膜上皮再建術アップデート 大阪大学 西田 幸二 先生 3 月 25 日(土) 16:05-16:30 Q 70 才台女性、短眼軸、狭隅角、白内障に帯状角膜変性を伴う症例に対して白内障手術を行う前処置として、塩酸 による沈着カルシウム溶解術(角膜上皮剥離+1%塩酸を綿棒につけて擦過)を行いました。 カルシウム沈着による混濁は除去できましたが、上皮再生が悪く術後4ヶ月経ってもびらんが残存しています。 ジクアス、ムコスタ、0.1%フルメトロン点眼+ソフトコンタクトレンズ装用で経過をみていますが難渋していま す。 何かよい方法があればご教示願います。 A 感染症がないことを確認したうえで羊膜パッチが次の方法ではないかと思います。 Q 角膜上の結膜を剥がして、あとは培養細胞入り点眼をするという時代は来るのでしょうか? A 点眼では細胞はひっつかないので、ある一定の形にしてそれを移植するという方法が、やはり安定するかと思い ます。コンタクトレンズの裏に細胞をひっつけるという方法は以前考えられていました。
角膜内皮障害の治療法 京都府立医科大学 木下 茂 先生 3 月 25 日(土) 16:30-16:55 Q 角膜ウイルス感染症の場合、初期から抗ウイルス薬に加えてステロイド点眼を併用すべきでしょうか。 A ステロイド点眼はウイルスの種類によって使用を考えます 例えばアデノウイルスには低濃度ステロイド点眼 単純ヘルペスウイルスには上皮型にはステロイド点眼は使用せず、実質型にはステロイド点眼と抗ウイルス治療 帯状疱疹ヘルペスには当初は使用せず2 週間ほど経過してから低濃度ステロイド点眼を使用する Q 緑内障発作時、なぜ角膜上皮のみに浮腫が起こるのでしょうか。 A 角膜上皮はバリア機能を有しており、角膜後面からの圧によりその機能が失われ、上皮基底層あたりの細胞間隙に水が溜まるものです。 Q 全層角膜移植術術後にグラナテック点眼液を内皮保護目的に使用することは有効でしょうか、また処方する場 合、回数と期間をご教示よろしくお願いします。 また内皮障害に対するグラナテック点眼は保険適応はあるのでしょうか。 A グラナテック点眼は角膜移植直後には有効と考えられますが、エビデンスは得られておりません。角膜内皮治療 に適応はなく、適応外使用にならざるをえなく およそ一~二カ月の使用で、角膜内皮障害重症分類グレードⅢの内皮欠損がない状態では使用できない。保険適 応になるかは製薬会社次第であると思われます。 Q 水疱性角膜症に対してはステロイドと緑内障点眼が有効とのことですが、おすすめの緑内障点眼はありますか。 A 正常眼圧でも下降するべきだと考えます、どの種類の緑内障点眼でもよくPG 系点眼も良いです。 Q ROCK 阻害剤はグラナテック点眼でも効果はありますか。 A そのものには有効ではありません Q CAT オペ後に内皮減少した症例に対しては、グラナテック 1 日 2 回・フルメトロン 0.1% 1 日 2 回の点眼でよろ しいでしょうか。 またフルメトロン使用中には抗生剤点眼も併用しますか。 A 意味はあると思います、 心情的に抗菌剤は使用すると思います Q 梅毒性角膜内皮実質障害の高齢者を治療していますが、高齢で検査が困難なためステロイドを中止し、高濃度食 塩水(5%NaCl)のみの処方としています。 水疱性角膜症悪化のため時折疼痛の訴えが続いており、このような場合にどういった治療がよろしいでしょう か。 A 基本的に角膜内皮障害に対する上皮浮腫と角膜水腫に対する疼痛があると思われます 眼軟膏+ステロイド点眼が良いと思われます PTK も必要であると思われます グラナテック点眼は適応ありません Q 培養内皮の材料となる内皮細胞はどのようにして採取しているのでしょうか。 A ドナー角膜内皮から採取、同種移植なので拒絶は少ないと思われます
Q 滴状角膜で角膜内皮密度が正常の場合、白内障手術は内皮密度減少の症例と同じ対応が必要でしょうか。 A 角膜内皮にストレスがもともとあり、ヒアルロン酸で保護し内皮に当たらないように注意深く手術する必要があ ります。 Q CMV 角膜内皮炎に対して抗ウイルス剤を持続点眼することは耐性ウイルス惹起につながりませんか。抗ウイル ス剤屯用では駄目でしょうか。 A CMV に対してはデノシン点眼が耐性ウイルス惹起することは不明ですが中止後1~2ヶ月で内皮炎を再発する可能性があります Q 内皮障害gradeⅢの治療について、緑内障点眼で眼圧下降した場合、内皮細胞のポンプ機能がより必要となると 考えているのですがいかがでしょうか。 A 一般的に視力低下は実質浮腫に相関せず、上皮浮腫に伴い前方の散乱が上昇し視力低下につながります。 続発緑内障 東京大学 相原 一 先生 3 月 25 日(土) 17:15-17:40 Q 続発緑内障でぶどう膜炎などの炎症が関係する場合、PG 製剤の点眼で黄斑浮腫の惹起が心配になります。黄斑 浮腫との関係はどうなのしょうか? A 基本的にはPG による CME は点眼液の防腐剤の影響が大きいといわれています。術後でなく、炎症性疾患では 後極への点眼薬の影響は少ないと考えられますし、ステロイドを使用していますので起こらない可能性が高いと 思います。心配せず使用していただいて構わないかと思います。 もしCME が起きれば PG は中止し、βブロッカーや CAI を使用されてはいかがでしょうか。 Q
最近DME に対する STTA の後に眼圧が上昇してくる症例を重ねて経験しました。STTA 後に 1-2 ヶ月以上経過 してからの上昇でした。他に原因が見当たらないのでステロイドレスポンダーかと思っているのですが、STTA 後いつぐらいから上昇し、どのくらいまで眼圧が上がるのかが一般的なのか、また点眼薬は何を選択すればよい かについてご教示お願いします。 A 正確なデータはありませんが、この症例はステロイドレスポンダーでよいかと思います。 治療は通常のOAG に準じて行ってください。 Q サルコイドーシスの隅角結節がある場合、眼圧は正常で炎症がなくても低濃度ステロイド点眼は処方したほうがよいのでしょうか? A 本当に炎症がなければ使う必要がないと思いますが、結節があるのであれば油断せず経過をみるほうがよいかと 思います。ただ私個人の見解としては低濃度ステロイドを使用して経過をみるほうがよいと思います。 Q ステロイド緑内障はどのような病態で眼圧が上昇するのでしょうか? A 細胞外基質が沈着して主経路の流出抵抗が上昇するといわれています。 Q 角膜厚による眼圧の補正方法についてご教示願います。 A エビデンスのある補正方法はありません。
ぶどう膜炎の難症例 JCHO 大阪病院 大黒 伸行 先生 3 月 25 日(土) 17:40-18:05 Q ステロイド内服薬は眼科開業医(診療所)で使ってもよいのでしょうか。 A 積極的にご使用ください。 副作用の説明を十分し、その後のモニター(採血など)を行ってください。 ぶどう膜炎でのステロイド全身投与は投与前に全身検査は済まされるべきかと思います。 Q リンデロン点眼終了後、0,1%フルメトロン点眼に切り替えて点眼を継続した方が良いでしょうか。 その場合、何回から漸減すれば良いでしょうか。 先生の投与方法のご教示をよろしくお願いいたします。 A 0.1%リンデロン点眼 1 回で消炎が図れている場合はそのまま中止することが多いです。 もし再発が気になる場合は、より弱いステロイドに切り替えますが、フルメトロンは眼内移行がよくないので、 0.01%リンデロン点眼 4 回にすることが望ましいです。2-4 週で 1 回ずつ漸減する方法をとっています。 Q 結核性ぶどう膜炎での抗結核薬投与基準を教えてください。 周辺部NPA の患者は LK 第一選択でよろしいでしょうか。 A 投与基準は結核性と判断された場合です。ガイドライン通り、4 剤(イソニアジド INH、リファンピシン RFP、 ピラジナミドPZA、エタンブトール EB)投与となります。 ピラジナミドPZA、エタンブトール EB は2か月で終了、イソニアジド INH、リファンピシン RFP は 6 ヵ月(ス テロイド内服併用の場合は9 か月)継続するのが標準治療となっております。4剤で、2 剤では耐性が生じると の報告があり現在は4 剤同時開始が基本です。 周辺部NPA に対しては PRP をしっかり入れるのが基本です。LK が何かがわからないため回答は控えます。 ぶどう膜炎治療と生物製剤 東京医科歯科大学 望月 學 先生 3 月 25 日(土) 18:05-18:30 Q 生物製剤の良さはわかったのですが、怖さは何でしょう。 A 強い免疫抑制作用のある薬剤ですので、十分な体制での副作用のモニターが必要です。重篤な副作用としては結 核、肺炎などの感染症と悪性腫瘍の誘発が挙げられます。実際の使用経験の中で、感染症は経験しましたが、悪 性腫瘍はありません。 Q 生体の、どの biomarker があがっていれば、どれを使用するというようなガイドラインはないのでしょうか。 A 残念ながら、そのようなbiomarker はありません。 斜視のボツリヌス毒素療法と低侵襲斜視手術(MISS) 兵庫医科大学 三村 治 先生 3 月 25 日(土) 18:30-18:55 Q 片側顔面けいれんに対して大頬骨筋へ注射をしていますが満足な結果が得られません。大頬骨筋での注射の刺入 角度・深度・投与量等のコツについてご教授よろしくお願いします。 また先生が片側顔面けいれんに対して実施しているスタンダードな方法がありましたらご教授お願いします。 A かなり個人差の大きく、実際には患者様の痙攣の部位をご自身で触っていただき、その部位に注射 をおこない ます。満足度が全然違うようです。 刺入角度は皮膚面に対し、直角です。 深さは、およそ2-3mm、2.5 単位で 0.1 ㏄を注入しています。
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズアップデート 道玄坂糸井眼科 糸井 素純 先生 3 月 26 日(日) 08:05-08:30 Q 現在バイオフィニティとエアオプティクス他を使用しています。一括りに第3 世代のシリコーンハイドロゲルの レンズといっても障害の種類は随分違うと思います。 過酸化水素の消毒を使用していてもエアオプティクスは巨大乳頭結膜炎が非常に多く(バイオフィニティではほ ぼない)、バイオフィニティでは下方のSPK がほとんどの case にみられます(エアオプティクスではそれほど ない)。そのようなレンズの種類による違いを他も含めて具体的に教えていただくのは不可能でしょうか?他の レンズを使用するときの参考にしたいのですが。 A ご指摘のように、ひとくちにシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズといっても、レンズごとに、素材の硬さ、 デザイン、表面性状が異なるため、合併症の頻度も変わると思います。エアオプティクスは、含水率が33%で、 レンズが硬く、機械的な刺激による巨大乳頭結膜炎が生じやすいのだと思います。特にPHMB を消毒成分にし たMPS 剤の併用で頻度が高くなると理解しています。その反面、含水率が低いためドライアイの症状は出現し にくいと考えます。バイオフィニティはレンズデザインが影響していると思うのですが、角膜がフラットな症例 では張りつくことがやや多く、含水率も48%とやや高いため、ドライアイ症状が生じやすいのだと思います。そ のような意味では、講演で次世代のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズとして紹介した3つのレンズは全 般的にコンタクトレンズトラブルを減らしてくれる良いレンズだと期待しています。 Q 基本的なことです。HCL での水はじきですが、装用する前によく、中性石鹸で手洗いするように指導していま すが、どうしても油分がつく場合、今あるメーカーのどのHCL 用の洗浄液がいいのか御教授願います。 A HCL の水はじきの主たる原因は脂質(化粧品)汚れだと考えます。研磨剤入りこすり洗いクリーナーで汚れが 落ちない場合は、ソフトコンタクトレンズ用の洗浄液ですが、ロート製薬のレンズクリア、あるいは、オフテク スのレンズシャインによるこすり洗いの指導をしています。毎日のレンズケアの際、研磨剤入りこすり洗いクリ ーナー(3~4滴)にこれらのクリーナーを1~2滴加えてこすり洗いをしても良いと思います。 Q HCL 長期装用による眼瞼下垂術後の方(強度近視)
SCL へ convent を検討中ですが乱視もあり選択肢としては見え方的には TOTAL ONE あるいは cooper vision のトーリックあたりでしょうか。 A 眼瞼下垂術後は、上眼瞼への刺激が少ないレンズを選択したいと思います。基本的にレンズが薄く、素材が柔ら かく、エッジの刺激が少ないものが良いと思います。従来型 SCL は絶対に避けたいと思います。上眼瞼結膜へ の刺激という意味では、MPS の使用も避けたいと思います。術後、直乱視が顕在化してくる眼が多く、そのよ うな眼に対してはトーリックソフトコンタクトレンズを選択します。強度近視の場合、酸素透過性を考えて、ク ーパービジョン社のマイデート-リック(シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ唯一の乱視用)を第 1 選択と しますが、現段階ではC-1.75D が最大のトリシティーであるため、乱視度が強い眼に対しては、ハイドロゲル素 材でC-2.25D が供給されている 1 日使い捨てソフトコンタクトレンズを選択しています。 Q softCL で角膜(上皮幹細胞)疲弊症はおこるのでしょうか。治療法(経過のみかた)を教えてください。 A ソフトコンタクトレンズ装用でも条件が良くなければ角膜(上皮幹細胞)疲弊症が生じると考えています。講演 で紹介した症例のように、長期の慢性酸素不足で角膜上皮障害(SPK)を生じている眼は、数日間、レンズ装用 中止しても、上皮の状態は、ほとんど状態は変わりません。多くは1ヶ月以上の装用中止を要します。慢性酸素 不足により、角膜菲薄化、角膜不正乱視を伴う症例も多く、3 ヶ月、治癒までに要した症例もあります。多くの 症例が前医で円錐角膜と診断されて来院しますが、円錐角膜に特有の角膜後面の前方突出はみられません。 長期のMPS 使用が原因と考えられる角膜(上皮幹細胞)疲弊症例を経験したことがあります。その症例はソフ トコンタクトレンズ装用を中止させ、治癒するまで6 ヶ月間かかりました。 ソフトコンタクトレンズ装用中止期間中、角膜上皮保護と感染防止目的に、私はヒアレイン点眼 6/日、抗菌剤 点眼2/日を弱いステロイド剤点眼 2/日を角膜上皮障害が治癒するまで処方しています。 経過は装用中止を指導し、1 週間後、2 週間後、1 ヶ月後、それ以降は治癒するまで 1 ヶ月ごとに来院するよう に指示しています。
瞬目関連疾患の臨床 愛媛大学 大橋 裕一 先生 3 月 26 日(日) 08:30-08:55 Q ・ヒアルロン酸点眼をしていても治りにくい症例に対してはどのように治療されますか。 ・ヒアルロン酸では改善しない症例が増えてくると予想されますが、0.1%→0.3%への変更は有効でしょうか。 ジクアスに変更したほうがよいでしょうか。 ・ヒアルロン酸・ジクアス・ムコスタすべてが無効の場合はなぜですか。 A 話を抗摩擦効果について絞って考えてみますと、ヒアルロン酸による摩擦軽減効果は一過性のものなので治りに くいことはしばしばあります。これは濃度を高めてもほぼ同様でしょう。したがって、ムチン量あるいは水分量 の増加を通じて定常的に摩擦を軽減できるジクアスあるいはムコスタがより合目的なチョイスであると言えま す。どれもが効かないというのは、講演でお示ししたストライベック曲線において、「混合潤滑~境界潤滑」に あるような症例で、たとえば涙液が高度に減少している場合、コンタクトレンズ装用している場合などが代表的 と思われます。 Q Lid Wiper が眼瞼圧と相関するなら子供で起こりやすいことになるので、涙液中ムチンとの兼ね合いとなるので しょうか。 好発年齢は。 年齢とともにムチンが減りやすくなるのでしょうか。 A 年齢が下がるほどにLWE の頻度(特に下方)は上昇しますが、興味深いことに自覚症状はありません。おそら く、これは生理的なLWE であると考えられ、講演でお示ししたストライベック曲線における流体潤滑の部分(摩 擦係数が右肩上がりの部分)に相当するのではないかと思います。逆に、病的なLWE は混合潤滑(係数が左上 がりの部分)で起こると考えればいいのではないでしょうか。ムチンは加齢とともに減少するとされていますの で、眼瞼圧が比較的高目で、涙液安定性の悪い症例に病的なLWE が起こりやすくなると考えられます。 Q filamentosa が眼表面摩擦亢進になる機序を教えてください。 A 何らかの角膜上皮障害を基盤に、脱落しかかった上皮細胞が摩擦によってロール状となるのが第1段階で、次い で一定の細胞集団が軸(芯)となり、その周囲をムチンが取り巻くように付着するのが第2 段階です。さらなる 摩擦亢進(瞬目)の中で糸状物として成長し、最終的には基底膜から剥離します。眼表面の摩擦が亢進する要件 (涙液が減少している、眼瞼圧が高いなど)がある場合にこの悪循環が形成されます。病態の詳細については、 英語なのですが、京都府立医大の谷岡先生の論文Invest Ophthalmol Vis Sci 50:3696-3702, 2009.を読まれる とためになります。 Q 眼瞼圧が高いと眼圧も上がりますか。 A 緑内障のガイドラインにも眼圧に影響を与える因子として眼瞼圧が記載されています。われわれの教室の最近の 研究でも、眼瞼痙攣の患者で、眼瞼圧をボトックスで低下させると眼圧が有意に下がることを見出していますの で、眼瞼圧の上昇が眼圧上昇に関与している可能性は十分にあると思います。 Q SLK において、潜在しうる甲状腺疾患の精査は全例に必要でしょうか。 A 疫学的には3 分の1に甲状腺異常があるとされていますので、血液検査(FT3、FT4、TSH など)をスクリーニ ングとしてできれば行っておくべきです。眼球突出が疑われる症例はもちろんですが、甲状腺眼症の所見が顕著 でない症例でもSLK を契機として異常が見つかることがありますので、早期発見、早期治療の意味からも薦め られます。 Q SLK 症例で、まったく自覚症状がない人がいます。なぜですか。 A 確かに、シェーグレン症候群による慢性的なドライアイ+SLK の症例では、比較的重症の場合でもあまり自覚症 状を訴えないことがあります。そのような患者さんでは知覚低下がベースにあるのではないかと思います。
Q ・リサミングリーンの染色方法を教えてください。リサミングリーン染色をフルオレセイン染色で代用できませ んか。 ・リサミングリーン染色でないとわからない所見はありますか。フルオレセイン染色と同時に使う時の順序はあ りますか。 ・LWE でフルオレセイン染色よりリサミングリーン染色が染まるのは組織学的変化とどのように関連している のでしょうか。 A 硝子棒の先端にリサミングリーン溶液を 1 滴垂らして、それを下方の結膜嚢にそっと入れ、数回の瞬目後に Diffuser で観察します。フルオレセイン染色の場合はブルーフリーフィルターを使えば、ほぼ同様の所見が観察 できます。ただし、スリットランプが暗い場合には、ブルーフリーフィルターをかけるとさらに暗くなるため、 所見が取りにくくなることがあります。順序はフルオレセインの後で問題ありません。明確な証明はされていま せんが、ローズベンガルと同様に、角化病変(ムチンの減少、消失)を検出しているのではないかと考えられて います。 角膜感染症の鑑別と治療の考え方 京都府立医科大学 外園 千恵 先生 3 月 26 日(日) 08:55-09:20 Q 角膜感染症の時、擦過検査、培養、採血など具体的な種類と方法をご教授ください。 A 検査室があればそこと相談し、外注なども併用していただければ結構です 好気、嫌気培養があり主に好気培養で検査いたします。 Q ヘルペス樹枝状病変とアカントアメーバの偽樹枝状病変の見分け方はどうすればよいでしょうか、培養の出し方 も教えてください A 感染性角膜炎診療ガイドラインを参照してください。 Q アカントアメーバ角膜炎が疑われたとき、軽症例~重症例の具体的な治療方法を教えてください A 疑ったときに擦過検鏡し確定診断し、抗真菌薬と消毒薬の併用にて治療 Q 真菌感染を疑ったとき貴施設の擦過ではどの染色法で鏡検をされていますか。 A グラム染色とファンギフローラ染色にて検査します。 Q 炎症が強く抗菌剤が当たっている場合は積極的にステロイドを使って良いのでしょうか?真菌症の方に点眼ス テロイドではなく内服を使用されたのはなぜですか? A 細菌感染の場合は良いですが真菌症の場合ステロイド点眼は感染を悪化させることがあります。フィブリンなど の炎症反応を抑えるためには内服にて血管移行性に治療するのがよいかと考えます。 Q 真菌でステロイド内服を使用されていましたが細菌の時も使用することはありますか?たとえばシールド潰瘍に感染が併発している場合はどうすればよいですか? A 細菌性感染では使用しません、シールド潰瘍はアレルギーがメインにあるのでステロイドの内服をすることがあります。
緑内障の MIGS 治療
福島アイクリニック 桑山 泰明 先生 3 月 26 日(日) 09:35-10:00
Q 緑内障のすい黄色人種・黒色人種では長期経過が異なると思いますが、如何に思われますか。 MIGSdevice は合理的なものと思いますが、術後線維化の起こりにくい白人と、術後線維化の起こりや A おっしゃる通りです。今後の日本での長期成績の検討は必要だと考えます。
Q Lectomy 術後 fullmedication で眼圧 10mmHg 前後の 80 歳女性です。この状態でも視野の悪化を止められておりません。MIGS で眼圧低下を検討したほうがよいでしょうか。このままだと 5 年で失明しそうな感じです。
A Lectomy 後であると MIGS の適応ではないと考えます。 medication なしで低眼圧を目標にされるよう角膜厚や24時間眼圧など検査されるとよいと思います。 Q 講演のないようにはなかったのですが、従来の長期成績は劣っていると考えたほうがよいでしょうか。 trabeclotomy やほかの流出路再建術と比べてトラベクトーム®の A 実際にきっちりと比較された検討はなされておりませんのでエビデンスはございません。 エビデンスに基づいた緑内障診療 熊本大学 谷原 秀信 先生 3 月 26 日(日) 10:00-10:25 Q 乳頭出血が緑内障進行に重要な関係があるということは循環要因が大きいということではないでしょうか? PPG が年齢とともに視野異常が出現してくるというのは循環不全(特に頭部)の影響を考えないといけないので はないでしょうか。 A 緑内障と循環障害(血流)の関係は、古くて新しい問題です。両者になんらかの関係があることは間違いないと 思っているのですが、軸索障害が局所的に生じていると乳頭出血が生じやすいことも報告されています。網膜神 経繊維層欠損(NFLD)の端に出血が生じ、その方向で NFLD の拡大と対応する視野異常が増悪するなどの現 象も知られています。つまり、循環障害と軸索障害は互いに、原因であり、結果となりえるので、PPG で特に循 環不全が重要であるとは断定できないだろうと考えています。実際に、眼圧が重要なリスク要因であることも解 明されていますので、緑内障全般と同様に、血管障害説と機械障害説の両論がどちらも重要であろうと思います。 また論文を解釈する際に重要なのは、PPG として定義されている症例が微妙に異なっていることがあり、一部論 文では、高眼圧症と差別化した臨床研究であろうとするために、「正常眼圧範囲の」PPG と限定してデータをま とめることもあるので、この場合はNTG の議論と共通のリスク要因が強調されるかと思います。 Q GCL 菲薄は日本語とした場合「網膜神経節細胞欠損」でいいですか?それともガイドライン上正式な日本語 termがあるのでしょうか。 A 緑内障診療ガイドライン(第3 版)では、本文中および緑内障性視神経乳頭・網膜神経線維層変化判定の補足資 料において、一貫して「網膜神経線維層欠損」の用語が使用されています。第4 版の改訂における議論でも、こ の点を改変すべきであるという議論はありませんでしたので、用語の変更が必要となるような特別な議論が必要 なエビデンスが提出されないかぎりは、現状のまま「網膜神経線維層欠損」で良いかと思います。 Q ROCK 阻害薬について NTG 進行例で PG+βブロッカーに次ぐ点眼薬として追加検討時、やはりブリモニジンを選択すべきでしょう か。ROCK 阻害薬の選択や適応はないのでしょうか。ご教示のほどよろしくお願いいたします。 A ROCK 阻害薬は、動物実験や網膜神経節細胞に対して神経保護効果(および血流改善効果)を有することが証明 されています。しかし、これが直接、臨床上の視野維持効果を証明できるエビデンスとはなりません。ブリモニ ジンに関しても、LoGTS という大規模スタディが一つあるのですが、まだこれを支持する他の大規模臨床研究 は報告されておりません。したがってNTG 進行例での処方については、ガイドラインなどで強く推奨できるだ けのエビデンスは十分に蓄積されておりません。現時点において、直接、NTG における第 3 選択薬としてブリ モニジンとROCK 阻害薬を比較した前向き無作為臨床研究は報告されておらず、現時点で推奨できるだけのエ ビデンスはなく、薬剤に対する眼圧応答性や他の臨床背景要因を踏まえて、医師の裁量で選択していただくしか ありません。実際には、手術目的で紹介される患者さんにおいて、PG+β遮断薬に加えて、両者を同時処方され ている例もたくさん見かけるようになっています。
Q 薬物療法から手術へのシフトについて 選択の余地を具体的に教えてください。 視野のMD 値、中心視野の残存角度、眼圧(高眼圧、低眼圧での違い)などよろしくお願いいたします。 A 個人的な原則論としては、認容範囲での薬物治療において、目標眼圧を達成できず、今後の人生を考えた上で、 クオリティオブライフ(QOL)に問題が生じるような視機能障害が生じるリスクがあれば、手術を選択すること を推奨しています。ただ具体的な基準となると、年齢や眼圧レベル、アドヒアランス、OCT 所見、残存視野の 程度と中心視野への切迫度、MD スロープなどの視野パラメータの変化率などを参考にしつつ、総合的な判断と なってしまうので、一つのパラメータで数値基準を決めるという形にはならないかと思います。もちろんMD 低 下が著しく、中心視野に切迫した閾値低下があり、高眼圧の場合は、手術へシフトするタイミングが早くなりま す。また今後、MIGS や流出路再建手術のバリエーションが、学会での議論において、どのように受け入れられ るかでも変化してくるでしょう。 近視と緑内障 金沢大学 杉山 和久 先生 3 月 26 日(日) 10:25-10:50 Q 講演最後の強度近視で視野障害が進行していく例(眼圧 14-17mmHg)での治療はどうされるのでしょうか?眼圧 下降は何%下げるべきですか? A 近視性の変化か緑内障性の変化か鑑別がつかないので治療として20%を目標に眼圧下降治療をしています。 Q 緑内障の場合近視眼では眼軸長補正する方が良いとのことですが、長眼軸DB にある眼軸 26.00mm 以上の場合 から補正するという考えでよろしいでしょうか。 また29.00mm 以上の場合もそのままでよろしいのでしょうか? A 26.00mm 以上で拡大率補正をしますので 29.00mm 以上でも当然します。また長眼軸 DB は OCT にもし搭載さ れていれば26.00mm 以上の眼軸長の症例で使います。 Q 長眼軸DB を使いたいのですがどのメーカーから出していてどの OCT に使えるのでしょうか。教えてください。 A 長眼軸DB はニデックの OCT に搭載されています。 病的近視アップデート 東京医科歯科大学 大野 京子 先生 3 月 26 日(日) 10:50-11:15 Q 低濃度アトロピン点眼の有効性は? A 学童近視に対する有効性は現在他施設ランダム化試験が行われており結果はまだと思います。しかし病的近視や 後部ぶどう腫に対する有効性は乏しいと推察されます。 Q 強度近視にて網膜分離症はよくみられるとおもいますが、遠視の高齢者にたまにみられる網膜分離症の原因は何が考えられますか。 A 遠視の高齢者にみられる網膜分離症は周辺部ではないでしょうか。病的近視の場合には黄斑部の分離症であり部 位が違うのではと思いますが、遠視の分離症の経験がなく、的外れなお答えでしたらご容赦ください。 Q 病的近視は遺伝でしょうか。 A 多くの場合遺伝と考えられます。しかしその原因遺伝子は個人により異なる可能性もあり詳細は明らかではあり ません。 Q 病的近視の脈絡膜欠損?これは先天異常の脈絡膜欠損の軽症例ですか。 A Bruch 膜欠損のことでしょうか。先天異常ではなく、機械的伸展に伴い後天的に生じたものと考えられます。
中間透光体の再建に向けて~水晶体から硝子体まで 筑波大学 大鹿 哲郎 先生 3 月 26 日(日) 11:30-11:55 Q ハイドロゲルの人工硝子体は素晴らしいです。もしも注入した人工硝子体を取り除きたい場合には、硝子体手術 ということになるのでしょうか。 A 基本的には,数カ月で自然に分解吸収されますので、除去の必要はありません。除去が必要な場合は、硝子体カ ッターで切除・除去が可能です。 Q ハイドロゲルをdrug delivery として使用することも可能なのでしょうか。 A 仰る通りです。硝子体腔内への徐放剤の基剤になり得ると考えて、現在研究を進めています。 Q 液状のものがゲル化するまでに眼内に注入する必要があると思いますが、どれぐらいの時間内に注入することが可能でしょうか。 A 27 ゲージ針で注入後、10 分程度でゲル化します。 Q Symfony を挿入する場合には、-0.5D から-1.0D に遠用を合わせるとのお話でしたが、そうすると自動車の運転 用メガネはあらたに作るということになるのでしょうか。 A -0.5D に合わせることにより、遠見から中間まで充分な視力が得られるとの報告があります。術者によっては片眼を正視、他眼を-0.5D のようなマイクロモノビジョンとしているという症例もある様です。 iPS 再生医療の今後 理化学研究所 高橋 政代 先生 3 月 26 日(日) 11:55-12:20 Q 網膜色素変性症についての治療の現状または今後の展望など教えてください。 A 網膜色素変性への視細胞移植は様々な動物実験で視機能をある程度回復するであろうという根拠になるデータ を得ることができ、2017 年1月に Stem Cell Reports 誌 に論文発表しました。この結果から2、3年後を目標 に臨床研究の準備にとりかかっております。 最初は安全性の試験からですので、視細胞の変性が最近で視力はHM に近い方、研究であり治療ではないことを 理解される方、が対象となると思います。 また、視機能回復はわずかと思われますので、矯正視力0.1 以下でもデバイスや白杖を使って自力で様々なこと をできていた方が望ましいと考えております。 今後の専門医制度 九州大学 石橋 達朗 先生 3 月 26 日(日) 12:20-12:45 Q 眼科専門医を更新していなかった者です。手続きはどうなりますか。 A 眼科専門医資格を喪失している場合には、現在は改めて眼科専門医認定試験を受験していただくしか、方法はありません。一度日本眼科学会事務局(03-3295-2360)まで、ご連絡いただき、ご相談ください。 Q 現行では勤務実態は週4 日以上となっていますが、今後は日数や勤務時間の決まりはありますか。 A 現在のところ勤務実態は週4 日以上で変更ありません。また、1 日の時間数に制限はありません。 Q 専門医試験は2018 年度から新制度になりますか。 A 眼科専門医認定試験は、2018 年度開始予定の日本専門医機構の専門研修プログラムに則って、研修される方は、 新制度になります。2017 年度までに研修を開始された方は、現行の制度での研修、眼科専門医認定試験となり ます。