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責任ある安全な食料の生産・供給体制の確立
Ⅲ
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1 活動のねらい
サトイモは、本県の露地野菜における基幹品目の1つと して各地で栽培され、平成 26 年までは年間約2万トン、全 国1位の生産量でした。しかし、平成 27 年からサトイモ疫 病が複数地域に急激にまん延し、平成 28 年産統計で収穫量 が1万5百トンまで低下する事態となっています。
そこで、サトイモ疫病による被害の低減と、併せて近年 の加工・業務需要に対応した品質・量とも安定出荷できる 産地への新生を目指し、一連の活動に取り組みました。
2 活動の経過又は普及の関わり
⑴ 「宮崎のさといも」新生プロジェクトの運営
疫病発生に伴いサトイモの収量・品質は急激に悪化し、これに付随して翌年作付け する種芋の確保も十分出来なくなり、消費者や加工実需者の信頼低下とともに、生産 者の作付け意欲の低下が非常に憂慮されました。
そこで、県庁内に行政、普及、試験研究からなるプロジェクトチームを組み、①疫 病対策の確立、②優良種苗供給体制の確立、③高収量・高品質の安定生産技術の確立、 ④加工・業務用向け産地の育成を課題として整理しました。
⑵ サトイモ疫病対策に関する情報収集
サトイモに疫病が発生することは、かなり以前から知られていましたが、国内で実 際に収量が著しく低下するような記録が無く、疫病の発生生態や有効な防除対策に対 する知見が少ない状況でした。そこで、総合農業試験場、農業改良普及センター及び 専技等が協力して、疫病の地域内の発生消長や伝染源のひとつと考えられている残さ の実態調査、体系的な農薬防除や農薬散布通路の確保等の実証を県内で統一的に実施 しました。
⑶ 農薬の適用拡大に向けた働きかけ
疫病に適用のある農薬がなかったことから、国や農薬メーカーに疫病発生の状況や 農薬の適用拡大の要望を伝えていきました。また、早期の適用拡大を図るため、試験 データ収集等について他県との調整を行いました。
⑷ 疫病の防除対策の啓発
普及指導員、JA営農指導員のほか、市場関係者及び 農薬・肥料の小売店、加工実需者等、サトイモの生産・ 販売に携わる関係者を広く参集し、疫病対策に関する研 修会や現地検討会及びメール配信により、試験研究や実 証ほを通して得られた知見について情報の速やかな共有 を図りました。
⑸ 優良種苗の安定供給
現在の県内種芋産地は地域が限られ、病害発生や気象条件による供給量の変動が大
サトイモ疫病
研修会の様子
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きく不安定な状況でした。そのため、特に疫病の発生していない地域に狙いを定め、 新たな種芋産地の探索を行いました。新たに種芋栽培を始める産地に対しては、種苗 供給会社と連携しながら栽培手法や収穫作業の分担についての打合せや生育状況の調 査を行うとともに、普及センターにおいては展示ほを設置し基礎的な栽培技術の実践 を誘導しました。
3 活動の成果
⑴ 疫病に対する農薬の適用拡大
平成 29 年3月に2薬剤が疫病に適用拡大となりました。一方、 適用拡大前から農薬流通量の確保や疫病の発生時期を考慮した防 除指導を行っていたため、適用拡大の直後から防除のタイミング を逃さず速やかな薬剤の利用が図られました。
⑵ 「サトイモ疫病対策マニュアル」の作成
試験研究や現地実証等により明らかとなった疫病に対する知見 や防除対策についてとりまとめ、「サトイモ疫病対策マニュアル」
を作成しました。マニュアルでは、残さ対策、種芋の選別、農薬を散布する通路の確 保及び殺菌剤の散布等、総合的な防除対策を掲載しています。多くの生産者に内容が 周知されるよう1万部以上のマニュアルが、農業改良普及センター等を通じて生産者 へ配布され、県内各地でレベルの揃った防除対策の実施につながりました。
⑶ 疫病対策への意識の向上
平成 29 年は、サトイモ疫病に適用のある炭酸水素ナトリウム・銅水和剤の出荷量 が 28 年よりも多く、また、早い時期から出荷される傾向にあることや、農薬散布通 路を設置しているほ場ができはじめていること、各種展示ほの収量調査結果も高くな っていることから、疫病予防の意識や効果が高くなっていると考えられています。
⑷ 種芋確保の状況
新たに種芋生産を始めた地域では管理に不慣れな点はあったものの、疫病の発生は 無く県内採種量の4分の1を賄うことが出来ました。
4 今後の方向
平成 29 年現在、まだ、生産量・品質ともに目標数値に到達できていない状況です。 一方、これからのサトイモ需要は加工業務用途の割合が大きくなることが予想され、加 工実需者と安定した取引の出来る産地づくりはますます重要になってきます。そのた め、今後は施肥、かん水、除草といった基本的な栽培管理技術の徹底による収量の安定 確保に加え、機械化による作業労力や栽培コストの低減にも積極的に取り組む必要があ ると考えます。
5 対象集団又は対象農家の声
良いサトイモを作るためには、防除やかん水をきちんと実施することが重要である。 防除用管理通路を設置することで、作業性も良くなることを体感できた。今後もこの作 付け体系、作業体系でサトイモ栽培を続けていきたい。
疫病対策マニュアル