令和 2年 8月 20日 学 位 論 文 の 審 査 要 旨
学位論文申請者氏名:亀山 里江子
論 文 題 目: カーボン系燃料電池カソード触媒の活性に対する 湾曲網面構造の役割とそれを用いた高性能触媒設計
(Roles of warped graphitic layers in carbon-based cathode catalysts for polymer electrolyte fuel cells and their designing principles for high performance catalysts.)
論文の概要及び判定理由
本研究は、世界で初めて商用化された固体高分子形燃料電池に採用されたカーボンアロ イ触媒の活性点を理解する上で、炭素構造そのものが酸素還元活性をもたらすとの仮説に 立脚し、その実験的な証明と、酸素還元活性発現の理由を探ること、さらにはその活性点 を解明することでさらなる高活性触媒を得るための設計指針を確立することも目的とした 基礎研究である。具体的にはフラーレンスートを原料として湾曲した炭素網面を抽出し、
酸素還元活性の評価を行うことで炭素構造そのものが酸素還元活性をもたらすことを証明 し、その活性発現メカニズムとして、連続した湾曲網面の形成が酸素吸着特性とフェルミ 準位へ影響を与えその結果として酸素還元活性がもたらされることを明らかにした。連続 した湾曲網面の形成が高活性触媒の設計指針であるとして、新たな触媒調製手法を提案し、
連続した湾曲網面の形成を狙うことが高い酸素還元活性を有する触媒を調製する設計指針 として正しいことを示した。また、連続した湾曲網面の指標としてパラメータL/Laを提案 し、このパラメータは酸素還元活性と良い相関を有していることを明らかにし、商用化さ れたカーボンアロイ触媒の活性においても適用が可能であることを示した。以上の内容は、
連続した湾曲網面の構築が高性能触媒設計指針の基本となることを示し、目的を十分に達 成している。以上の理由により、博士(理工学)の学位に値するものと判定した。
審査年月日 令和 2年 7月14日 審 査 委 員
主査 群馬大学学術研究院 教授 中川 紳好 印 副査 群馬大学学術研究院 教授 桂 進司 印 副査 群馬大学学術研究院 教授 板橋 英之 印 副査 群馬大学学術研究院 准教授 森本 英行 印 副査 群馬大学学術研究院 教授 尾崎 純一 印
関連論文
1. 著者名:瀧上真知子、小林里江子、石井孝文、今城靖雄、尾崎純一
論 文 題 目 :Warped Graphitic Layers Generated by Oxidation of Fullerene Extraction Residue and Its Oxygen Reduction Catalytic Activity
(フラーレン抽出残渣の酸化により生成した湾曲網面とその酸素還元触媒活性)
雑誌名:Beilstein journal of nanotechnology, 第10巻, 1391頁~1400頁 2019年 7月
2. 著者名:小林里江子、石井孝文、今城靖雄、尾崎純一
論 文 題 目 :Synthesis of P-and N-Doped Carbon Catalysts for the Oxygen Reduction Reaction Via Controlled Phosphoric Acid Treatment of Folic Acid
(リン酸処理を用いた葉酸からのPNドープカーボン酸素還元触媒触媒の調製)
雑誌名:Beilstein journal of nanotechnology, 第10巻, 1497頁~1510頁 2019年 7月
参考論文
1. 著者名:小林里江子、尾崎純一
論文題目:Novel N-Doped Carbon Cathode Catalyst for Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cells Formed on Carbon Black
(カーボンブラック上に形成した新規燃料電池用窒素ドープカーボン触媒)
雑誌名:Chemistry letters, Vol.38, No.5, 396頁~397頁 2009年1月