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アイマス クに よる体験学習の効果 一臨床実習へ の応用一

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Academic year: 2022

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同大医短紀要, 3:63‑66,1992 Bull.Sch.HealthS°i.OkayamaUniv.

アイマス クに よる体験学習の効果 一臨床実習へ の応用一

中 西 代 志 子 ・池 田 敏 子 ・徳 永 順 子

TheEffectsofExperientialLearningbyUsingEyemasks

‑ApplicationtoClinicalPractice‑

YoshikoNAKANISHI,ToshikoIKEDA,andJunkoToKUNAGA

Weintroducedthemethodoftheexperientiallearningofeyesighトscreeningintotheareaofasense organpracticeinordertoresearchonhowitcouldinfluencethestudents'understandingofpsychology ofthepatientssufferingfrom eyesighttroubleandthewaysoftheirhelpingthepatients.

Asaresult,Wecametotheconclusionthattheintroductionoftheexperientiallearningbyusing eyemaskswasquiteeffectiveinunderstandingpatientpsychologyandinhelpingthepatientspsycho‑

logically. Wecouldfindouttheremarkableeffectsinunderstandingthenecessityofhelping仇e patientsaswellasthewaystohelpthepatients.

KeyWords:アイマスク,体験学習,感覚器実習

1.は じ め に

看護教育において体験学習 を導入 し,教育効果 を得 た研究は数 多 くなされている。 しか し,体験 学習が臨床実習に及ぼす効果 に関 しては, いまだ 十分研究がなされていない。

本学の感覚器実習では,感覚機能障害 を持つ患 者の気持 ちを理解 し, 日常の 自立 と社会‑の適応 がで きるように援助す る能力 を養 うこ とを目的 と している。講義か ら得 た知識 を, 目的に添 って実 践す るには2週間の実習期 間は短 く,特 に,障害 を持 った患者の立場 に立 った理解や,援助 を考 え る上でよ り効果的な指導方法の必要性 を感 じさせ られ る。

そこで,今 回,感覚器実習に視覚遮断の体験学 習 を導入 し,視覚障害患者の理解 と援助 に どの よ うな影響 を及ぼすかについて調査 し, その効果 に ついて検討 したので報告す るC

岡山大学医療技術短期大学部看護学科

2.

研 究 方 法

対象は,本学

3

年生の内,眼科病棟 にて感覚器 実習 を行 った女子学生

3 4

名 とした。研究期 間は, 平成3年4月 よ り同年7月まで及び平成3年9月

よ り同年12月 まで とし,実習期 間に一致 している。

なお, 1グループの実習期 間は2週間 としているO 実施方法 は,感覚器実習開始後1週間 目に視覚遮 断に よって生 じる不安 ・不 自由の理解 と必要 とす る援助項 目につ いて第

1

回 目のアンケー ト調査 を 実施 した。調査後市販のアイマスクを使用 し,学 生2人1組 で交互 に体験学習 をした。体験項 目は, 視覚遮断状況下の実習場面 で最 も多い と考 えられ

る誘導に よる移動 を実施 した。体験項 目の詳細 は, 表

1

に示す。所要時間は

, 1

人約

3 0

分 であった。

体験学習後1週間病棟 にて実習の後,同様 に第2 回 目のアンケー ト調査 を実施 した.アンケー トは 自由記述法 とし,記述 された内容 は原文の意向を 損ね ない よ うに要約 し,表2に示 すThoms

∫ .

Carrollのい う

「 2 0

の喪失」に示 されている6群 に

‑ 63‑

(2)

中西 代志子他

表 1.体験学習内容 体 験 項 目

1.歩行

内 容

1)校舎 内 を歩行 2)階段 の昇降 3)構 内 を歩行 4)坂道の歩行

5)ェ レベー ターの使用 2.車椅子 1)校舎 内で使用

2)構 内で使用

3)ス ピー ドを変化 させ る 3.Bedか らの移動 1)安静臥床か らBedSide

へ の移動

4.トイレの使用 1)ス リッパ を履 きか えて 使用

よって分 類 した1)。そ して,視 覚 遮 断 に よ って生 じ る不安 ・不 自由 の理 解 及 び援 助 項 目につ いて,分 類 され た 内容 を体 験 学 習 の前後 で比較 した。

3.

研 究 結 果

視 覚 遮 断 に よって生 じる不安 ・不 自由 の理 解 で は,体 験 学 習前 の記 述件 数 は延 べ

1 6 3

件 ,体 験 学 習 後 の記 述 件 数 は延 べ

8 0

件 で あ っ た。 これ ら を

,∫ .

Ca r r o

llの

6

群 に よ っ て分 類 し1)体 験 学 習 前 後 で 比較 した結 果 を図 1に示 して い る。

Ⅰ群 の心 理 的安 定 に関連 す る基 本 的 な喪 失 に対 して生 じる不 安 ・不 自由 の理 解 は,体 験 学 習前 は 48件 ,体 験 学 習後 も47件 で ほぼ 同数 で あ っ たが,

体 験 学 習後 は他 の群 に比較 し, 全体 の件 数 に 占め る割合 が最 も高 か っ た。 記 述 され た 内容 で は 「暗 や み の不 安 」 「空 間 が狭 い と感 じた」 「他 の感 覚 器 が鋭 くな る」 等 が体 験 学 習後 新 た に挙 げ られ て い た 。

ⅠⅠ群 の基 本 的 技術 の喪 失 に対 して生 じる不安 ・ 不 自由 の理 解 で は,体 験 学 習 前 は77件 ,体 験 学 習 後 に は

2 8

件 とな り体 験 学 習後 著 し く減 少 した。 記 述 され た 内容 で は, 体 験 学 習 前 に は 「日常 生 活動 作 の 困難 」 「公 共 機 関 の使 用 困難 」が挙 げ られ て い たが,体 験 学 習後 に は これ らは見 られ ず, 移 動 能 力 に関 す る項 目が 多 く挙 げ られ て い た。

Ⅰ Ⅰ Ⅷ Ⅳ Ⅴ Ⅵ 評

図1 体験前後 の不安 ・不 自由の理解 の比較 表2.20の喪失

Ⅰ 心理的安定 に関連す る基本 的な喪失 1. 身体 的な完全 さの喪失

2.残存感覚 に対す る自信 の喪失 3.環境 との現実的な接触能力の喪失 4.視覚的背景 の喪失

5.光 の喪失

ⅠⅠ 基本的技術 の喪失 6.移動能力の喪失 7.日骨生活技術 の喪失

ⅠⅠⅠ 意志伝達能力の喪失

8.文書 による意志伝達能力の喪失 9.会話 に よる意志伝達機能 の喪失 10.情報 とその動 きみ知 る力の喪失

ⅠⅤ 鑑 賞能力の喪失

ll.楽 しみ を感 じる力喪失

1 2 .

美の鑑賞力の喪失

Ⅴ 職業 ・経済的安定 に関す る喪失 13.レクレー シ ョンの喪失 14.経験 ・就職 の機会 な どの喪失 15.経済的安定 の喪失

ⅤⅠ 結果 としての全 人格 に生 じる喪失

1 6 .

独立心の喪失

17.人並 みの社会 的存在 であ るこ との喪失 18.めだたない存在 であるこ との喪失 19.自己評価 の喪失

20.全人格構造 の喪失

‑ 6 4‑

(3)

アイマ ス クに よる体験学習の効果

ⅢⅠ群〜ⅤⅠ群 は,体験学習前後共 に記述件数 も少 な く,全体 に 占め る割合 も低か った。

次に,視覚遮断状況下で必要 とされ る援助の項 目では,体験学習前に必要 であると考 えられた知 識 レベルの援助は,延べ

1 8 8

件 であった。また,体 験学習後の実習場面で実際に実践で きた援助 は, 延べ

6 0

件 であった。実践では

1 / 3

に減少 した。これ らを

J . Ca r r o

llの

6

群 によって分類 し

1

),必要性 を 感 じた知識 レベルの援助項 目と実際に実践で きた 援助項 目について体験学習の前後で比較 した。図

2には, その結果 を示 している。

件数

1 2 0 9 0 6 8

3 0 0

Ⅰ Ⅰ 皿 Ⅳ Ⅴ Ⅵ 群

図2 知識 レベルの援助 (体験前)と実践できた援助

(体験後)の比較

体験学習前に必要 であると考 えられた援助項 目 では,Ⅰ群の心理的安定に関す る基本的な喪失に 対す る援助

4 8

,

ⅠⅠ群 の基本的技席 の喪失に対す る援助118件 であった。これ らの群 は,全体 の件数 に占め る割合 も著 しく高か った。

体験学習後実際に実践で きた援助項 目では, Ⅰ 群 の心理的安定に関す る基本的な喪失に対す る援 助

2 4

,

ⅠⅠ群 の基本的技術 の喪失に対す る援助

2 8

件 であった。体験学習前に比較 し,記述件数 は減 少 したが,Ⅰ群

ⅠⅠ群が,体験学習後に実践で き た援助項 目のほぼ全体 を占めていた。

ⅠⅠⅠ群〜ⅤⅠ群 は,体験学習前後共に記述件数 は少 な く,全体 に 占め る割合 もきわめて低か った。 こ れは,図1の不安 ・不 自由の理解 でのⅠⅠⅠ群〜ⅤⅠ群

と同様 の傾 向を示 している。

また,視覚遮断の体験学習の有効性についての 質問に対 して,視覚障害患者の不安 ・不 自由の理 解 に有効 であると答 えた学生は85%, どちらとも

いえない

1 2%

,援助 を実践す る上 で有効 であると 答 えた学生は

6 2%

, どちらともいえない

21%

の回 答が得 られた。

4.

考 察

視覚障害患者へ の理解 と援助 は,必要性 におい ては,学生は体験学習の前後 ともに,心理的安定 や基本的な技術面の喪失に対 して理解 しやすい と 考 えられ る。 また,視覚障害者 を実際に援助す る 上 で,視覚遮断状況 を体験学習す ることによ り, 患者の立場 を考慮 した具体的な援助が実践で きる

と考 えられ る。

視覚遮断によって生 じる不安 ・不 自由の理解 で は,心理的安定 に関連す る基本的な喪失への理解 に,体験学習の効果が最 も認め られている。 また, 記述 された内容か らも体験学習後 には,直接学生 が体験 を通 して実感 した と思われ る内容が挙 げ ら れ,患者の置かれている状況 を感 じ取 ることがで きている。以上 の2点か らも患者の心理面の理解 を深め る上 で,体験学習の効果があると考 えられ る。

意志伝達能力の喪失 ・鑑賞能力の喪失 ・職業 ・ 経済的安定に関す る喪失 ・結果 として全人格 に生

じる喪失については,臨床実習での患者の喪失の 実態把握には則 していないため,理解 しに くく, 援助 も考 えに くい項 目であると考 えられ る。鑑賞 能力の喪失つ いて

, ∫ .Ca r r o

llは美 の鑑賞力の喪 失は,他 の喪失 と異 な り,失明者に とっては決定 的に堪 え られない ものであ る1)と述べ てい る。 ま た,講義 において もこの点は,重要視 している。

そこで,限 られた臨床実習では学 び得 ない項 目に ついて,学習方法 を検討 してい く必要があると思 われ る。服部 は視覚遮断の体験学習によって基本 的技術 の喪失 ・意志伝達能力の喪失に含 まれ る項 目は,学生が学 び得 る項 目であ る2)。 と述べ てい るo Lか し,臨床実習において,患者 を対象 とし た場合 は,基本的技術 の喪失 に対 しては共通 して いたが,服部 の言 う意志伝達能 力の喪失2)よ ワも

‑ 6 5‑

(4)

中西 代志子他

心理面の喪失に対す る学習が よ り深め られた。

体験学習後の援助行動 では「介助者の立つ位置」

「誘導の方法」「身体 の接触面積」等が実践上の注 意点 として新 たに挙 げ られ,体験 を通 して, よ り 具体的な援助 に結びついた と考 えられ る。

また,体験学習前に基本的技術の喪失の内容 と して挙 げ られていた公共機関の使用や 日常生活動 作の自立に関す る理解が,体験後の内容 には見 ら れないことや,体験学習後実際に実践で きた援助 項 目が全体的に減少 したこ とは,体験項 目の選定 及び実習環境による影響が考 えられ る。 しか し, 実際には,学生の予想以上 に, 日常生活動作の 自 立 した患者が多いことが,影響 していると考 えら れ る。

体験学習に対す る感想では,「自立 をさまたげな い援助が必要 である」 「不 自由を克服す る努力が わか った」等が挙 げ られ,患者の 自立 を妨 げない 適切 な援助の必要性が理解 された と考 えられ る。

5.

結 論

感覚器実 習に視覚遮断の体験学習 を導入す るこ とは,視覚障害患者の心理面の理解 と援助 に有効 であ り,患者の 自立 を妨 げない援助の必要性の理 解 を助け る。 また,援助の方法が よ り具体化 され,

必要性 を理解 した援助行動 に結びつけ るこ とがで きる。以上の

3

点が明 らか となった。

6.

お わ り に

今 回の体験学習では,誘導による移動 を実施 し た。学生 は,指定 した項 目以外 に も昼 食時間 を利 用 して食事 の介助や,構外‑買物 に出る等 自発的 に視覚遮断の体験範囲 を広 げ,体験学習に対す る 意欲的な取 り組みが感 じられた。今 回の研究か ら 今後 も体験学習 を導入す ることによ り効果的な指 導方法 を検討 してい きたい と思 う。

本稿 の要 旨は第2回 日本看護学教育学会 におい て発表 したO

文 献

1)Thoms∫.Carroll(樋 口正純訳):失明, 日本盲人福 祉委月会,東京,1977

2)服 部朝 子 :視 覚 遮 断状 況下 での空間認知 と時 間認知 アイマ ス クを用 いての体験学習か ら, 日本看護研究学 会雑誌,9(4):78‑88,1987

3)山本規容 子,津 田紀子,松本比佐江 :学 内実 習におけ る体験学習の効果 鼻腔栄養 チュー ブ挿入経験 を通 し て,神戸大学医療技術短期大学部紀要, 2:145‑151, 1986

(1992年10月21日受理)

‑ 66‑

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