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水面に映りこむ光環境の把握

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Academic year: 2021

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水面に映りこむ光環境の把握

 

布川  茂樹,田中  一成,吉川  眞   

 

On the Light Environment Reflected in the Surface of the Water

 

Shigeki NUNOKAWA

Kazunari TANAKA and Shin YOSHIKAWA

 

 

Abstract: Osaka is called the capital of the water where the rivers flow through central of the city. The lights emitted in commercial space are reflected and increased in the surface of the water. It makes the sense and the image of the cityscape of Osaka in the night. In this study, the method to catch the light environment reflected in the surface of the water is analyzed, on Tonbori River Walk using GIS. Finally, the visible change by the movement of the viewpoint and the characteristic of the density distribution of the reflection in a two-dimensional plane are grasped.

 

Keywords

: 水面(surface of the water),光 (light),環境(environment ),反 射(reflection)

         

1.はじめに 

都市の夜景を形成する光として,特に大阪において その要因のひとつに「水の都」を象徴する水面の存在 が挙げられる.土佐堀川,堂島川,道頓堀川をはじめ,

市内を縦横に流れる都市河川に沿って集積している商 業・業務施設から発せられる光は,水面に映りこむこ とで増幅され,夜間における大阪の都市景観の一般的 なイメージを形成する重要な要因となっている.近年,

東京,大阪,神戸など大都市を中心に夜景ガイドブッ クが次々と発刊されているが,そのなかにはウォータ

ーフロントを対象とした事例も多数みられる.水面に 光が映りこむ特殊性,美しさの研究は多くの分野でみ られるが,これらを現実の都市空間について形態的に 記述しようとする研究はみられない. 

そこで,本研究では,水面に映りこんだ光の都市景 観のイメージ形成に大きく寄与すると考えられる客観的 な記述のための技術開発を目的とする.対岸の建物に 掲出されているネオン広告物の光が水面上に映りこんだ 際の光の位置や大きさを抽出することで,光環境の把握 を試みる.具体的には,水面での反射の定義をどのよう に扱い,またネオン広告物から照射された光が水面上に どのように分布しているのかを

GIS

を用いた工学的アプ ローチを試みる.

布川:〒535-8585  大阪市旭区大宮 5-16-1 

大阪工業大学大学院  工学研究科都市デザイン工学専攻  TEL: 06-6954-4109(内線3140) 

e-mail: [email protected]

(2)

とくに視点場の移動にともない水面上に分布された形 がどのように変化していくか.さらにそれをどのように記 述するか.また,反射する光環境に着目した際に,水面 のどの部分が重要と考えられるか。多くの視点場におい て光を捉えることのできる2次元平面上の光環境を,水面 に映りこむ光の分布を把握することで記述する可能性を 提案する.

2.研究対象地 

本研究では,大阪の繁華街「ミナミ」の中心部を流 れる道頓堀川に

2004

年に完成した「とんぼりリバー ウォーク」を対象地として選定した(図−1).「と んぼりリバーウォーク」とは,戎橋から太左衛門橋の 川の両岸に約8m 幅の遊歩道を指し,水を身近に感 じることのできる親水性の高い空間を演出している.

また,沿川の建物から遊歩道への出入り口を設け,川 側に背を向けていた建物が表を向くことで,川とまち が一体となった,にぎわいあるまちなみの創出が期待 されている.なかでももっとも特徴的であるのが夜間 時であり,遊歩道の照明は,照明位置を低くすること により必要な明るさを確保しながら,ネオンが川面に 映る美しい道頓堀川の夜景を阻害しないものとして計 画されており,いまや大阪を代表する夜景スポットの ひとつに数えられる(図−2).

 

     

 

3.条件の定義 

  水面での反射の扱い方 と光が川面に映りこむ位置に ついては,様々な条件が考えられる.特に波などの水 面の状態は,反射光の見え方に大きく影響する.本研 究では,まず基礎的な光環境把握のための技術を明ら かにするという目的のため,種々の条件を定義する必 要がある. 

まず,水面での反射についてであるが,川際の地上 部文を視点場とし,そのポイントから対岸のネオン広 告物に対し,反射して見えているか否かを記述するこ ととする.また,ここでは

GIS

のツールを用いて可 視・不可視分析を行うが,従来の

GIS

の視覚設定機 能では水面での反射と同時に波などの付加条件を考慮 した映りこみの解析は現時点では困難である.そこで 本研究では,川面を入射角反射角の等しい静水状態と 仮定し,その他の条件は今後の課題とする.

さらに,光の反射の法則を利用することで,現実に は建築物が存在する空間であっても,理論上水面に映 りこむ光の位置を予想することができる.具体的には 視点場が川の流線と平行に移動した場合,視点場と光 源の距離は同じ比率の相似の関係にある.すなわち,

全ての水面について,川面の範囲が明らかであれば,

視点の高さと川の流線と平行に移動する位置を設定し,

視対象の光の映りこむ位置を一般化して記述すること が可能である.なお,この結果を重ねることで,多く の視点から反射光を見ることができる水面を表現する.

   

図−2  川面に映りこむ光 

図−1 対象地域図 

(3)

 

4.分析方法 

  分析方法は

GIS

による空間解析を主としている.

まず対岸のネオン広告物が水面を通じて見えているか 否かを判断するために,まず,可視・不可視分析を行 う.その際の視点場は本来の視点高さを反転させた仮

想視点場としている.なお,観測範囲については,川 の流線方向に対し垂直方向に

180°とした.また,視

点場の違いにより水面に映りこむ広告物の形や位置に どのような変化が現れるのかを把握するために,視点 場を流線方向と平行に設ける(図−3). 

次に可視と判断された広告物の可視範囲をラスタラ イズし,各ポイントと視点場の座標値からとで水面上 に映りこむ座標値を算出し,その各ポイントを

GIS

の2次元平面上にプロットすることでビジュアル化し ている.最終的には,川の流線方向と平行に5mピッ チで視点場を設けて移動にともなう見えの変化を把握 する.さらに,水面上に映りこむ光が集中する箇所,

つまりいずれの視点場においても光を捉える役割を果 たす重要な水面の部分を抽出するために,それら各視 点場での映りこみをビジュアル化したレイヤーを重ね 合わせる.最後に,対岸から見た最も映りこむ光が影 響する水面を抽出する手法を検討する. 

 

5.3次元建物モデルの構築と対象広告物 

  本研究では,GIS と

CAD/CG

を統合的に利用する ことにより,視覚的な景観分析を行っている.対岸の 建物の壁面に掲出されているネオン広告物の可視・不 可視分析を行ううえで,まず建物の精緻な立ち上げと ともに広告物の正確な掲出高さと面積を知る必要があ 図−3 仮想視点場と光の反射イメージ 

図−4  道頓堀川岸の連続立面図 

(4)

る.そこで,より精緻な値のもとに分析を遂行するた め現地にて

TS

で測量を行った.そして,観測データ のもと

GIS

にて3次元建物モデルの生成を行った.

また,対象のネオン広告物については

CAD/CG

によ りモデリングを行い付加している(図−4).  

 

6.

GIS

による空間解析 

  可視・不可視分析の結果より可視とされたネオン広 告物を 0.1mサイズのグリッドにラスタライズし,各 グリッドの座標値を抽出した.さらに,仮想視点場の 座標値との相似比の関係から,任意のグリッドの水面 上での座標値を抽出した.そして,対象のネオン広告 物の水面への映りこむ位置を2次元平面上へプロット し,ビジュアル化を図った(図−5).結果,2次元 平面上での映りこむ形や位置を明らかにすると同時に,

視点場から視対象となるネオン広告物の距離の違いに 応じて見え方が大きく変化するということがわかった. 

次に,視点場の移動にともなう可視範囲,さらには 水面に映りこんだ位置や形の変化を把握するために,

川の流線方向と平行に5

m

ピッチで合計 10 の視点場 を設けて同様の分析を行った.結果,仮説と同様に視 点が移動しても映りこむ光の位置は一定の比の関係に あることを把握した.最後に,各視点場の映りこんだ 結果を

GIS

上でオーバーレイすることで,視点場が 川の流線方向と平行ないずれの位置に変化しても,常 に光の映りこみを集めることが予想される位置の分布

特性を,カーネル密度推定法を用いることにより抽出 した(図−6). 

 

7.おわりに 

  本研究では,GIS を用いてネオン広告物の水面に映 りこむ位置と形を2次元平面上で可視化する方法,そ の特性から明らかした.さらには,シークエンス分析 を行うことで,川面に映りこむ光の分布特性を把握し た.特に,TS での測量からより実空間に近い建物モ デルを構築できたこと,さらには視対象であるネオン 広告物を 0.1m という非常に細かなグリッドサイズに ラスタライズを行ったことが、分析精度の向上につな がったといえる。 

今回の分析結果は左岸から右岸を見た場合に限り,

映りこみの形や位置の一部を実験的に把握した.今後 は,同様の方法にて,「とんぼりリバーウォーク」両 岸のすべてのポイントにてネオン広告物の映りこみを 把握することで,より詳細な映りこみ位置の密度分布 を捕らえることができると考えている.最終的には,

水の回廊と呼ばれる大阪の都市河川すべての川面に映 りこむ光環境を把握し,水の回廊の光マップの作成へ と展開する. 

 

8.謝辞 

本研究を遂行するにあたり,大阪市建設局下水道河川 部からとんぼりリバーウォーク設計図面のデータの提 供していただいた.また

TS

測量には,同大学測量地 盤研究室の協力,そして研究室の大学院生の方々には データ処理や分析の等多大な協力をいただいた.ここ に記して謝意を表します. 

 

参考文献 

面出薫+光のまちづくり企画推進委員会(2006)光の 景観まちづくり 

大阪市建設局(2006) 道頓堀川水辺整備事業   福永節夫(1969)図学概説 

      図−5 映りこむ形と位置 

図−6 10 ポイントの視点場における密度分布

参照

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